【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は概して、免疫原性組成物を安定化させ、その沈殿を阻害する新規製剤に関する。さらに詳細には、ある実施形態において、本発明は容器中に含まれる免疫原性組成物の沈殿を阻害する新規製剤に関する。ある特定の実施形態において、本発明は、シリコーン油相互作用、剪断力、輸送時の攪拌などに対して免疫原性組成物を安定化させる新規製剤に関する。
【0009】
従って、ある実施形態において、本発明は、多糖類−タンパク質コンジュゲートを安定化させる製剤に関し、この製剤は、(i)pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約7.5のpKaを有する)、(ii)界面活性剤および(iii)1つまたは複数の多糖類−タンパク質コンジュゲートを含む。一つの特定の実施形態において、多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤は、容器中に含まれる。ある実施形態において、この容器は、バイアル、バイアルストッパー、バイアル密封装置、ガラス密封装置、ゴム密封装置、プラスチック密封装置、シリンジ、シリンジストッパー、シリンジプランジャー、フラスコ、ビーカー、目盛付シリンダー、発酵槽、生物反応器、チューブ、パイプ、バッグ、ジャー、アンプル、カートリッジおよび使い捨てペンからなる群の1つまたは複数から選択される。ある実施形態において、この容器はシリコーン処理されている。
【0010】
ある実施形態において、製剤のpH緩衝塩溶液は、5.5から7.5のpHを有する。他の実施形態において、緩衝液は、リン酸塩、コハク酸塩、ヒスチジンまたはクエン酸塩である。ある実施形態において、緩衝液は、最終濃度1mMから10mM、pH5.8から6.0のコハク酸塩である。ある特定の実施形態において、コハク酸塩緩衝液の最終濃度は5mMである。他の実施形態において、pH緩衝塩溶液中の塩は、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムまたはその組み合わせを含む。ある特定の実施形態において、pH緩衝塩溶液中の塩は塩化ナトリウムである。
【0011】
別の実施形態において、製剤の界面活性剤は、ポリソルベート20(Tween(商標)20)、ポリソルベート40(Tween(商標)40)、ポリソルベート60(Tween(商標)60)、ポリソルベート65(Tween(商標)65)、ポリソルベート80(Tween(商標)80)、ポリソルベート85(Tween(商標)85)、Triton(商標)N−101、Triton(商標)X−100、オキシトキシノール40、ノノキシノール−9、トリエタノールアミン、トリエタノールアミンポリペプチドオレエート、ポリオキシエチレン−660ヒドロキシステアレート(PEG−15、Solutol
H15)、ポリオキシエチレン−35−リシノール酸塩(Cremophor
EL(商標))、大豆レシチンおよびポロキサマーからなる群から選択される。ある特定の実施形態において、界面活性はポリソルベート80である。別の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は、少なくとも0.01%から10%ポリソルベート80重量/製剤体積である。他の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は、0.01%ポリソルベート80重量/製剤体積である。さらに別の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は0.05%ポリソルベート80重量/製剤体積である。別の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は0.1%ポリソルベート80重量/製剤体積である。ある他の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は1.0%ポリソルベート80重量/製剤体積である。さらに別の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は10.0%ポリソルベート80重量/製剤体積である。
【0012】
別の実施形態において、多糖類−タンパク質コンジュゲートは1つまたは複数の肺炎球菌多糖類を含む。ある実施形態において、1つまたは複数の肺炎球菌多糖類は、エス・ニューモニエ(S.pneumoniae)血清型4多糖類、エス・ニューモニエ血清型6B多糖類、エス・ニューモニエ血清型9V多糖類、エス・ニューモニエ血清型14多糖類、エス・ニューモニエ血清型18C多糖類、エス・ニューモニエ血清型19F多糖類、エス・ニューモニエ血清型23F多糖類、エス・ニューモニエ血清型1多糖類、エス・ニューモニエ血清型3多糖類、エス・ニューモニエ血清型5多糖類、エス・ニューモニエ血清型6A多糖類、エス・ニューモニエ血清型7F多糖類およびエス・ニューモニエ血清型19A多糖類である。ある実施形態において、多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤のタンパク質は、CRM
197、破傷風トキソイド、コレラトキソイド、百日咳トキソイド、大腸菌(E.coli)易熱性トキソイド(LT)、肺炎球菌溶血素トキソイド、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌付着因子タンパク質A(PsaA)、連鎖球菌からのC5aペプチダーゼ、インフルエンザ菌(Haemophilus
influenzae)タンパク質D、卵白アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)およびツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)からなる群から選択される。
【0013】
一つの特定の実施形態において、多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤は、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型4多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型6B多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型9V多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型14多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型18C多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型19F多糖類およびCRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型23F多糖類を含む7価肺炎球菌コンジュゲート(7vPnC)製剤である。
【0014】
別の具体的な実施形態において、多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤は、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型4多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型6B多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型9V多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型14多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型18C多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型19F多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型23F多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型1多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型3多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型5多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型6A多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型7F多糖類およびCRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型19A多糖類を含む13価肺炎球菌コンジュゲート(13vPnC)製剤である。
【0015】
他の実施形態において、製剤は、1つまたは複数の髄膜炎菌性多糖類、1つまたは複数の髄膜炎菌性抗原タンパク質、またはその組み合わせをさらに含む。さらに別の実施形態において、製剤は、1つまたは複数の連鎖球菌多糖類、1つまたは複数の連鎖球菌抗原タンパク質、またはその組み合わせをさらに含む。
【0016】
ある他の実施形態において、製剤は1つまたは複数のアジュバントをさらに含む。好適なアジュバントの例を以下に記載する。
【0017】
他の実施形態において、本発明は、連鎖球菌C5aペプチダーゼ(SCP)組成物を安定化させる製剤に関し、この製剤は、(i)pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約6.5のpKaを有する)、(ii)界面活性剤および(iii)連鎖球菌C5aペプチダーゼを含む。一つの特定の実施形態において、SCP製剤は容器中に含まれる。ある実施形態において、容器は、バイアル、バイアルストッパー、バイアル密封装置、ガラス密封装置、ゴム密封装置、プラスチック密封装置、シリンジ、シリンジストッパー、シリンジプランジャー、フラスコ、ビーカー、目盛付シリンダー、発酵槽、生物反応器、チューブ、パイプ、バッグ、ジャー、アンプル、カートリッジおよび使い捨てペンからなる群の1つまたは複数から選択される。
【0018】
他の実施形態において、製剤のpH緩衝塩溶液は5.5から7.5のpHを有する。他の実施形態において、緩衝液は、コハク酸塩、ヒスチジン、リン酸塩またはクエン酸塩である。一つの特定の実施形態において、緩衝液は、1mMから10mMの最終濃度、pH5.8から6.0のコハク酸塩である。別の具体的な実施形態において、コハク酸塩緩衝液の最終濃度は5mMである。さらに別の実施形態において、pH緩衝塩溶液中の塩は、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムまたはその組み合わせを含む。
【0019】
ある実施形態において、製剤中の界面活性剤は、ポリソルベート20(Tween(商標)20)、ポリソルベート40(Tween(商標)40)、ポリソルベート60(Tween(商標)60)、ポリソルベート65(Tween(商標)65)、ポリソルベート80(Tween(商標)80)、ポリソルベート85(Tween(商標)85)、Triton(商標)N−101、Triton(商標)X−100、オキシトキシノール40、ノノキシノール−9、トリエタノールアミン、トリエタノールアミンポリペプチドオレエート、ポリオキシエチレン−660ヒドロキシステアレート(PEG−15、Solutol
H15)、ポリオキシエチレン−35−リシノール酸塩(Cremophor
EL(商標))、大豆レシチンおよびポロキサマーからなる群から選択される。一つの特定の実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80である。ある実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は、0.01%から10%ポリソルベート80重量/製剤体積である。さらに別の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は0.01%ポリソルベート80重量/製剤体積である。他の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は0.05%ポリソルベート80重量/製剤体積である。さらに別の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は0.1%ポリソルベート80重量/製剤体積である。別の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は1.0%ポリソルベート80重量/製剤体積である。さらに別の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は10.0%ポリソルベート80重量/製剤体積である。
【0020】
ある他の実施形態において、SCP組成物は、連鎖球菌ポリペプチド、肺炎球菌ポリペプチド、髄膜炎菌性ポリペプチドおよびブドウ球菌ポリペプチドからなる群から選択される1つまたは複数のポリペプチドをさらに含む。さらに別の実施形態において、SCP組成物は、連鎖球菌多糖類、肺炎球菌多糖類、髄膜炎菌性多糖類およびブドウ球菌多糖類からなる群から選択される1つまたは複数の多糖類をさらに含む。
【0021】
別の実施形態において、製剤は、1つまたは複数のアジュバントをさらに含む。好適なアジュバントの例を以下に記載する。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、シリコーン処理された容器中に含まれる多糖類−タンパク質コンジュゲートのシリコーンにより誘発される沈殿を阻害する製剤に関し、この製剤は(i)pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約7.5のpKaを有する)、(ii)アルミニウム塩および(iii)1つまたは複数の多糖類−タンパク質コンジュゲートを含む。ある実施形態において、シリコーン処理された容器は、バイアル、バイアルストッパー、バイアル密封装置、ガラス密封装置、ゴム密封装置、プラスチック密封装置、シリンジ、シリンジストッパー、シリンジプランジャー、フラスコ、ビーカー、目盛付シリンダー、発酵槽、生物反応器、チューブ、パイプ、バッグ、ジャー、アンプル、カートリッジおよび使い捨てペンからなる群の1つまたは複数から選択される。
【0023】
ある実施形態において、製剤中のpH緩衝塩溶液は、5.5から7.5のpHを有する。他の実施形態において、製剤中の緩衝液は、リン酸塩、コハク酸塩、ヒスチジンまたはクエン酸塩である。さらに別の実施形態において、緩衝液は、1mMから10mMの最終濃度、pH5.8から6.0のコハク酸塩である。ある特定の実施形態において、コハク酸塩緩衝液の最終濃度は5mMである。さらに別の実施形態において、pH緩衝塩溶液中の塩は、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムまたはその組み合わせを含む。ある特定の実施形態において、pH緩衝塩溶液中の塩は塩化ナトリウムである。
【0024】
他の実施形態において、アルミニウム塩は、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムまたは硫酸アルミニウムである。一つの特定の実施形態において、アルミニウム塩はリン酸アルミニウムである。
【0025】
ある他の実施形態において、製剤は、ポリソルベート80(Tween(商標)80)をさらに含む。一つの特定の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は、少なくとも0.01%から10%ポリソルベート80重量/製剤体積である。
【0026】
別の実施形態において、多糖類−タンパク質コンジュゲートは1つまたは複数の肺炎球菌多糖類を含む。ある実施形態において、1つまたは複数の肺炎球菌多糖類は、エス・ニューモニエ血清型4多糖類、エス・ニューモニエ血清型6B多糖類、エス・ニューモニエ血清型9V多糖類、エス・ニューモニエ血清型14多糖類、エス・ニューモニエ血清型18C多糖類、エス・ニューモニエ血清型19F多糖類、エス・ニューモニエ血清型23F多糖類、エス・ニューモニエ血清型1多糖類、エス・ニューモニエ血清型3多糖類、エス・ニューモニエ血清型5多糖類、エス・ニューモニエ血清型6A多糖類、エス・ニューモニエ血清型7F多糖類およびエス・ニューモニエ血清型19A多糖類である。
【0027】
ある他の実施形態において、多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤のタンパク質は、CRM
197、破傷風トキソイド、コレラトキソイド、百日咳トキソイド、大腸菌易熱性トキソイド(LT)、肺炎球菌溶血素トキソイド、肺炎球菌
表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌付着因子タンパク質A(PsaA)、連鎖球菌からのC5aペプチダーゼ、インフルエンザ菌タンパク質D、卵白アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)およびツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)からなる群から選択される。
【0028】
一つの特定の実施形態において、多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤は、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型4多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型6B多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型9V多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型14多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型18C多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型19F多糖類およびCRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型23F多糖類を含む7価肺炎球菌コンジュゲート(7vPnC)製剤である。
【0029】
別の具体的な実施形態において、多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤は、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型4多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型6B多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型9V多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型14多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型18C多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型19F多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型23F多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型1多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型3多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型5多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型6A多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型7F多糖類およびCRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型19A多糖類を含む13価肺炎球菌コンジュゲート(13vPnC)である。
【0030】
さらに他の実施形態において、製剤は、1つまたは複数の髄膜炎菌性多糖類、1つまたは複数の髄膜炎菌性抗原タンパク質、またはその組み合わせをさらに含む。
【0031】
別の実施形態において、製剤は、1つまたは複数の連鎖球菌多糖類、1つまたは複数の連鎖球菌抗原タンパク質、またはその組み合わせをさらに含む。
【0032】
ある他の実施形態において、製剤は1つまたは複数のアジュバントをさらに含む。好適なアジュバントの例を以下に記載する。
【0033】
他の実施形態において、本発明は、シリコーン処理された容器中に含まれる連鎖球菌C5aペプチダーゼ(SCP)組成物のシリコーンにより誘発される沈殿を阻害する製剤に関し、この製剤は、(i)pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約6.5のpKaを有する)、(ii)アルミニウム塩および(iii)連鎖球菌C5aペプチダーゼを含む。ある実施形態において、容器は、バイアル、バイアルストッパー、バイアル密封装置、ガラス密封装置、ゴム密封装置、プラスチック密封装置、シリンジ、シリンジストッパー、シリンジプランジャー、フラスコ、ビーカー、目盛付シリンダー、発酵槽、生物反応器、チューブ、パイプ、バッグ、ジャー、アンプル、カートリッジおよび使い捨てペンからなる群の1つまたは複数から選択される。
【0034】
別の実施形態において、製剤のpH緩衝塩溶液は、5.5から7.5のpHを有する。他の実施形態において、緩衝液は、コハク酸塩、ヒスチジン、リン酸塩またはクエン酸塩である。ある実施形態において、緩衝液は、1mMから10mMの最終濃度、pH5.8から6.0のコハク酸塩である。別の実施形態において、pH緩衝塩溶液中の塩は、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムまたはその組み合わせを含む。
【0035】
ある他の実施形態において、製剤は、ポリソルベート80(Tween(商標)80)をさらに含む。一つの特定の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は0.01%から10%ポリソルベート80重量/製剤体積である。
【0036】
さらに他の実施形態において、SCP組成物は、連鎖球菌ポリペプチド、肺炎球菌ポリペプチド、髄膜炎菌性ポリペプチドおよびブドウ球菌ポリペプチドからなる群から選択される1つまたは複数のポリペプチドをさらに含む。
【0037】
ある他の実施形態において、SCP組成物は、連鎖球菌多糖類、肺炎球菌多糖類、髄膜炎菌性多糖類およびブドウ球菌多糖類からなる群から選択される1つまたは複数の多糖類をさらに含む。
【0038】
さらに別の実施形態において、製剤は1つまたは複数のアジュバントをさらに含む。好適なアジュバントの例を以下に記載する。
【0039】
他の実施形態において、本発明は、髄膜球菌2086タンパク質組成物を安定化させる製剤に関し、この製剤は、(i)pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約6.5のpKaを有する)、(ii)界面活性剤および(iii)髄膜球菌2086タンパク質を含む。髄膜球菌2086タンパク質の例を以下に記載する。一つの特定の実施形態において、髄膜球菌2086タンパク質製剤は容器中に含まれる。ある実施形態において、容器は、バイアル、バイアルストッパー、バイアル密封装置、ガラス密封装置、ゴム密封装置、プラスチック密封装置、シリンジ、シリンジストッパー、シリンジプランジャー、フラスコ、ビーカー、目盛付シリンダー、発酵槽、生物反応器、チューブ、パイプ、バッグ、ジャー、アンプル、カートリッジおよび使い捨てペンからなる群の1つまたは複数から選択される。
【0040】
他の実施形態において、製剤のpH緩衝塩溶液は、5.5から7.5のpHを有する。他の実施形態において、緩衝液は、コハク酸塩、ヒスチジン、リン酸塩またはクエン酸塩である。一つの特定の実施形態において、緩衝液は、1mMから10mMの最終濃度、pH5.8から6.0のコハク酸塩である。別の具体的な実施形態において、コハク酸塩緩衝液の最終濃度は5mMである。さらに別の実施形態において、pH緩衝塩溶液中の塩は、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムまたはその組み合わせを含む。
【0041】
ある実施形態において、製剤中の界面活性剤は、ポリソルベート20(Tween(商標)20)、ポリソルベート40(Tween(商標)40)、ポリソルベート60(Tween(商標)60)、ポリソルベート65(Tween(商標)65)、ポリソルベート80(Tween(商標)80)、ポリソルベート85(Tween(商標)85)、Triton(商標)N−101、Triton(商標)X−100、オキシトキシノール40、ノノキシノール−9、トリエタノールアミン、トリエタノールアミンポリペプチドオレエート、ポリオキシエチレン−660ヒドロキシステアレート(PEG−15、Solutol
H15)、ポリオキシエチレン−35−リシノール酸塩(Cremophor
EL(商標))、大豆レシチンおよびポロキサマーからなる群から選択される。一つの特定の実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80である。ある実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は0.01%から10%ポリソルベート80重量/製剤体積である。さらに別の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は0.01%ポリソルベート80重量/製剤体積である。他の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は0.05%ポリソルベート80重量/製剤体積である。さらに別の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は0.1%ポリソルベート80重量/製剤体積である。別の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は1.0%ポリソルベート80重量/製剤体積である。さらに別の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は10.0%ポリソルベート80重量/製剤体積である。
【0042】
ある他の実施形態において、髄膜球菌2086タンパク質組成物は、連鎖球菌ポリペプチド、肺炎球菌ポリペプチド、髄膜炎菌性ポリペプチドおよびブドウ球菌ポリペプチドからなる群から選択される1つまたは複数のポリペプチドをさらに含む。さらに別の実施形態において、髄膜球菌2086タンパク質組成物は、連鎖球菌多糖類、肺炎球菌多糖類、髄膜炎菌性多糖類およびブドウ球菌多糖類からなる群から選択される1つまたは複数の多糖類をさらに含む。
【0043】
別の実施形態において、製剤は1つまたは複数のアジュバントをさらに含む。好適なアジュバントの例を以下に記載する。
【0044】
他の実施形態において、本発明は、シリコーン処理された容器中に含まれる髄膜球菌2086タンパク質組成物のシリコーンにより誘発される沈殿を阻害する製剤に関し、この製剤は、(i)pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約6.5のpKaを有する)、(ii)アルミニウム塩および(iii)髄膜球菌2086タンパク質を含む。ある実施形態において、容器は、バイアル、バイアルストッパー、バイアル密封装置、ガラス密封装置、ゴム密封装置、プラスチック密封装置、シリンジ、シリンジストッパー、シリンジプランジャー、フラスコ、ビーカー、目盛付シリンダー、発酵槽、生物反応器、チューブ、パイプ、バッグ、ジャー、アンプル、カートリッジおよび使い捨てペンからなる群の1つまたは複数から選択される。
【0045】
別の実施形態において、製剤のpH緩衝塩溶液は、5.5から7.5のpHを有する。他の実施形態において、緩衝液は、コハク酸塩、ヒスチジン、リン酸塩またはクエン酸塩である。ある実施形態において、緩衝液は、1mMから10mMの最終濃度、pH5.8から6.0のコハク酸塩である。別の実施形態において、pH緩衝塩溶液中の塩は、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムまたはその組み合わせを含む。
【0046】
ある他の実施形態において、製剤は、ポリソルベート80(Tween(商標)80)をさらに含む。一つの特定の実施形態において、製剤中のポリソルベート80の最終濃度は0.01%から10%ポリソルベート80重量/製剤体積である。
【0047】
さらに他の実施形態において、髄膜球菌2086タンパク質組成物は、連鎖球菌ポリペプチド、肺炎球菌ポリペプチド、髄膜炎菌性ポリペプチドおよびブドウ球菌ポリペプチドからなる群から選択される1つまたは複数のポリペプチドをさらに含む。
【0048】
ある他の実施形態において、髄膜球菌2086タンパク質組成物は、連鎖球菌多糖類、肺炎球菌多糖類、髄膜炎菌性多糖類およびブドウ球菌多糖類からなる群から選択される1つまたは複数の多糖類をさらに含む。
【0049】
さらに別の実施形態において、製剤は、1つまたは複数のアジュバントをさらに含む。好適なアジュバントの例を以下に記載する。
【0050】
本発明の他の特性および利点は、以下の詳細な説明、その実施形態、および請求の範囲から明らかになるであろう。
【0051】
本発明は、多糖類−タンパク質コンジュゲートおよびタンパク質免疫原などの免疫原性組成物の安定性を改善するための当該分野において継続する必要性に対処する。従って、本発明は概して、免疫原性組成物を安定化させ、沈殿を阻害する、新規界面活性剤製剤および/または新規アルミニウム塩製剤に関する。さらに詳細には、以下に記載される本発明は、容器、例えば、発酵槽、生物反応器、バイアル、フラスコ、バッグ、シリンジ、ゴム栓、チューブ中などで、加工、開発、製剤、製造および/または貯蔵される免疫原性組成物を安定化させ、その微粒子形成(例えば、凝集、沈殿)を阻害する製剤に対する当該分野の必要性に対処する。
【0052】
発明の背景において前述したように、例えばこれに限定されないが、免疫原性組成物の化学的安定性、免疫原性組成物の物理的/熱安定性、免疫原性組成物の容器/密封システムとの適合性、免疫原性組成物および不活性成分(例えば、緩衝液、塩、賦形剤、抗凍結剤)間の相互作用、製造プロセス、投与形態、輸送、貯蔵および取り扱い中に遭遇する環境条件(例えば、温度、湿度、剪断力)、製造から使用までの時間の長さを包含する様々な因子が、免疫原性組成物の安定性に影響を及ぼす。
【0053】
本発明の免疫原性組成物の安定性は、当業者に周知であり、慣例的である標準的技術を用いて容易に決定される。例えば、免疫原性組成物は、安定性、凝集、免疫原性、微粒子形成、タンパク質(濃度)損失などについて、これに限定されないが、光散乱、光学密度、沈降速度遠心分離、沈降平衡遠心分離、円二色性(CD)、Lowry分析、ビシンコニン酸(BCA)分析、抗体結合などを包含する方法により分析される。
【0054】
すでに詳細に記載したように、本発明は、免疫原性組成物を、界面活性剤、例えば、Tween(商標)80を用いて製剤することにより、免疫原性組成物の安定性が向上され、沈殿が阻害されるという予想外で驚くべき結果に関する。例えば、本発明(例えば、実施例2参照)において、13価肺炎球菌コンジュゲート(13vPnC)であって、緩衝塩溶液中で製剤され、単回投与シリンジ中に充填されたものは、2〜8℃で、水平オービタルシェーカーにより穏やかに攪拌すると、10分以内に溶液から析出し始めることが観察された。(13vPnC免疫原性組成物の典型的な加工、輸送および貯蔵状態をシミュレートするために水平オービタルシェーカーを使用した)。しかし、緩衝塩溶液および0.001%Tween(商標)80中で製剤され、単回投与シリンジ中に充填され、2〜8℃で穏やかに撹拌された13vPnCは、25時間安定で、目に見える沈殿の兆候は無かった(データは不図示)。従って、このデータは、界面活性剤(例えば、Tween(商標)80)を免疫原性組成物製剤に添加することにより、免疫原性組成物の安定性が向上されることを証明した。
【0055】
13vPnCの第二の安定性研究は、界面活性剤を製剤に添加すると、13vPnCの安定性が著しく向上されることをさらに裏付けた。例えば、0.05%Tween(商標)80を用いた13vPnC製剤(表1)およびTween(商標)80を用いない13vPnC製剤(0.0%、表1)の安定性(即ち、13vPnC抗原性の変化を測定することにより分析)を2時間にわたって評価した。表1に示すように、2時間の分析で13の血清型多糖類(Tween(商標)80なしで製剤)の抗原性が有意に減少した。しかし、非常に劇的なことに、0.05%Tween(商標)80を含む13vPnC製剤(表1)は、2時間の抗原性分析の間中、強固な安定性を示した。0.01%Tween(商標)80または0.05%Tween(商標)80のいずれかを用いて250mLガラスビン中で製剤された13vPnCは、製剤を30分間、2〜8℃で撹拌することにより誘発される著しい剪断力に抵抗し、抗原性はほとんどまたは全く失われない(例えば、実施例2、表2参照)。
【0056】
他の実験(実施例3)において、免疫原性連鎖球菌C5aペプチダーゼ(SCP)組成物の安定性は、界面活性剤、例えば、Tween(商標)80を用いて製剤した場合に、大きく向上されることが示された。例えば、
図1Aに示すように、5mMコハク酸塩緩衝液(pH6.0)、10mMリン酸塩緩衝液(pH7.0および7.4)または10mM Tris緩衝液(pH7.5)のいずれかを用いて製剤したSCP(55μg/mL)を2日間攪拌した後、SCP濃度が有意に減少した(例えば、90%以上)。しかし、
図1Bに示すように、0.025%Tween(商標)80をSCPコハク酸塩、SCPリン酸塩およびSCPTris製剤に、2日間攪拌する前に添加することにより、SCPの損失が完全に阻害され、これは
図1Aで観察された。
【0057】
本発明の13vPnC免疫原性組成物はまた、アジュバント、例えば、リン酸アルミニウム(AlPO
4)を用いるか、または用いないで製剤することができる。従って、別の一連の実験(実施例4)において、13vPnC免疫原性組成物を、5mMコハク酸塩緩衝液(pH5.8)、0.85%NaClおよびAlPO
4(0.25mgアルミニウム/ml)中、界面活性剤を添加せずに製剤した(例えば、Tween(商標)80は製剤中に含まれていなかった)。
【0058】
これらの実験において、13vPnC免疫原性組成物(AlPO
4の存在下で製剤)を様々なシリコーン処理された容器およびシリコーン処理されていない容器中に充填し(例えば、表3参照)、2〜8℃で撹拌することにより、模擬輸送および取り扱い条件に付した。これらの実験において(実施例4)、さらに高いシリコーン含量を有する容器は、さらに高度の13vPnC微粒子形成およびさらに高い割合の13vPnC抗原性損失を示した。微粒子のFTIR分析は、この微粒子がタンパク質およびシリコーンからなり(データは不図示)、約85%の13vPnCがAlPO
4と結合することを示し、この場合、残りの15%は溶液中遊離(AlPO
4と結合しない)13vPnCであった。
【0059】
AlPO
4を用いて製剤された13vPnC免疫原性組成物および用いて製剤された13vPnC免疫原性組成物(これを次に同じシリンジ中に充填した)を比較する別の実験において、AlPO
4なしで製剤された13vPnCは、試験されたシリンジ中で、AlPO
4を含む13vPnCよりも高い抗原性損失を維持することが見出された(例えば、
図6および
図7参照)。
【0060】
従って、本発明は前述のように、免疫原性組成物の安定性に影響を及ぼす様々な因子(例えば、剪断力、輸送攪拌、シリコーン油相互作用、吸着、製造プロセス、温度、湿度、製造から使用までの時間の長さなど)に対して、免疫原性組成物、例えば、多糖類−タンパク質コンジュゲート(例えば、13vPnC)およびタンパク質免疫原(例えば、連鎖球菌C5aペプチダーゼ、髄膜球菌ORF
2086タンパク質)を安定化し、その凝集または沈殿を阻害する新規製剤に関する。
【0061】
ある実施形態において、本発明は、多糖類−タンパク質コンジュゲートを安定化させる製剤に関し、この製剤は、pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約7.5のpKaを有する)、界面活性剤および1つまたは複数の多糖類−タンパク質コンジュゲートを含む。他の実施形態において、多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤は容器中に含まれる。別の実施形態において、本発明は連鎖球菌C5aペプチダーゼ(SCP)組成物を安定化させる製剤に関し、この製剤は、pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約6.5のpKaを有する)、界面活性剤および連鎖球菌C5aペプチダーゼを含む。ある実施形態において、SCP製剤は容器中に含まれる。別の実施形態において、本発明は、髄膜球菌2086タンパク質組成物を安定化させる製剤に関し、この製剤は、pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約7.5のpKaを有する)、界面活性剤および髄膜球菌2086タンパク質を含む。ある実施形態において、髄膜炎菌性2086製剤は容器中に含まれる。
【0062】
ある他の実施形態において、本発明は、シリコーン処理された容器中に含まれる多糖類−タンパク質コンジュゲートの、シリコーンにより誘発される沈殿を阻害する製剤に関し、この製剤は、pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約7.5のpKaを有する)、アルミニウム塩および1つまたは複数の多糖類−タンパク質コンジュゲートを含む。別の実施形態において、本発明は、シリコーン処理された容器中に含まれる連鎖球菌C5aペプチダーゼ(SCP)組成物の、シリコーンにより誘発される沈殿を阻害する製剤に関し、この製剤は、pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約6.5のpKaを有する)、アルミニウム塩および連鎖球菌C5aペプチダーゼを含む。ある他の実施形態において、本発明は、シリコーン処理された容器中に含まれる髄膜球菌2086タンパク質組成物の、シリコーンにより誘発される沈殿を阻害する製剤に関し、この製剤は、pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約7.5のpKaを有する)、アルミニウム塩および髄膜球菌2086タンパク質を含む。
【0063】
さらに他の実施形態において、本発明は、髄膜球菌2086タンパク質の抗原安定性およびアルミニウム塩アジュバント(例えば、AlPO
4)に対する結合(%)を最適化する製剤に関し、この製剤は、pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約7.5のpKaを有する)、界面活性剤、アルミニウム塩、および髄膜球菌2086タンパク質を含む。ある実施形態において、この製剤は容器中に含まれる。
【0064】
以下で定義するように、「沈殿」、「沈殿物」、「微粒子形成」、「混濁」および「凝集」なる用語は交換可能に用いることができ、多糖類−タンパク質コンジュゲートまたはタンパク質(またはポリペプチド)免疫原の「凝集」をもたらす物理的相互作用または化学反応を意味する。凝集(例えば、タンパク質凝集)のプロセスは周知であり(しかし十分には理解されていない)、当該分野において記載され、熱、圧力、pH、攪拌、剪断力、凍結−解凍、脱水、重金属、フェノール系化合物、シリコーン油、変性剤などをはじめとする多くの物理化学的ストレスによりしばしば影響を受ける。
【0065】
以下に定義するように、本発明の「多糖類−タンパク質コンジュゲート」、「肺炎球菌コンジュゲート」、「7価肺炎球菌コンジュゲート(7vPnC)」、「13価肺炎球菌コンジュゲート(13vPnC)」、「連鎖球菌C5aペプチダーゼ(SCP)免疫原性組成物」および「髄膜球菌2086タンパク質免疫原性組成物」は、液体製剤、凍結液体製剤および固体(例えば、凍結乾燥)製剤を包含する。
【0066】
A.界面活性剤
前述のように、本発明は、免疫原性組成物の安定性に影響を及ぼす様々な因子(例えば、剪断力、輸送攪拌、シリコーン油相互作用、吸着、製造プロセス、温度、湿度、製造から使用までの時間の長さなど)に対して免疫原性組成物を安定化させ、凝集を阻害する製剤に関する。ある実施形態において、本発明は界面活性剤を含む製剤に関する。
【0067】
界面活性剤(または表面活性剤)は一般に(a)親水性基または部分および親油性(疎水性)基または部分を含む分子または化合物および/または(b)溶液の表面張力を減少させる分子、物質または化合物として定義される。本明細書において定義される場合、本発明の「界面活性剤」は、免疫原性組成物製剤の表面張力を低下させる分子または化合物である。
【0068】
本発明の製剤において使用される界面活性剤は、本明細書において記載される免疫原性組成物を安定化させ、凝集を阻害する任意の界面活性剤または界面活性剤の組み合わせを含む。従って、本発明の界面活性剤としては、これに限定されないが、ポリソルベート20(Tween(商標)20)、ポリソルベート40(Tween(商標)40)、ポリソルベート60(Tween(商標)60)、ポリソルベート65(Tween(商標)65)、ポリソルベート80(Tween(商標)80)、ポリソルベート85(Tween(商標)85)、Triton(商標)N−101、Triton(商標)X−100、オキシトキシノール40、ノノキシノール−9、トリエタノールアミン、トリエタノールアミンポリペプチドオレエート、ポリオキシエチレン−660ヒドロキシステアレート(PEG−15、Solutol
H15)、ポリオキシエチレン−35−リシノール酸塩(Cremophor
EL(商標))、大豆レシチン、ポロキサマー、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデシルアミノ酸エステル、リソレシチン、ジメチル−ジオクタデシルアンモニウムブロミド、メトキシヘキサデシルグリセロール、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアミン(例えば、ピラン、硫酸デキストラン、ポリIC、カーボポール)、ペプチド(例えば、ムラミルペプチドおよびジペプチド、ジメチルグリシン、ツフチン(tuftsin))、油エマルジョン、ミネラルゲル(例えば、リン酸アルミニウム)および免疫刺激複合体(ISCOMS)が挙げられる。
【0069】
当業者は、界面活性剤の存在下および非存在下で特定の免疫原性組成物の表面張力を測定することにより、好適な界面活性剤または界面活性剤の組み合わせを容易に決定できる。別法として、界面活性剤を、免疫原性組成物の凝集を軽減、阻害または防止するその能力について定性的(例えば、微粒子形成の目視検査)または定量的(例えば、光散乱、沈降速度
遠心分離、光学密度、抗原性)に評価する。
【0070】
B.容器
ある実施形態において、本発明は、容器中に含まれる免疫原性組成物の製剤に関する。本明細書において定義されるように、本発明の「容器」は、研究、加工、開発、製剤、製造、貯蔵および/または投与中に、免疫組成物を「含有」、「保持」、「混合」、「ブレンド」、「分配」、「注入」、「移動」、「噴霧」するためなどに使用される物質の組成物を含む。例えば、本発明の容器としては、これに限定されないが、一般的実験室用ガラス製品、フラスコ、ビーカー、目盛り付きシリンダー、発酵槽、生物反応器、チューブ、パイプ、バッグ、ジャー、バイアル、バイアル密封装置(例えば、ゴムストッパー、キャップのねじ)、アンプル、シリンジ、シリンジストッパー、シリンジプランジャー、ゴム密封装置、プラスチック密封装置、ガラス密封装置などが挙げられる。本発明の容器は、製造材料に限定されず、ガラス、金属(例えば、スチール、ステンレススチール、アルミニウムなど)およびポリマー(例えば、熱可塑性物質、エラストマー、熱可塑性物質−エラストマー)などの物質を包含する。
【0071】
前記の容器が決して網羅的リストではなく、単に当業者に対して、組成物の研究、加工、開発、製剤、製造、貯蔵および/または投与の間、免疫原または免疫原性組成物を含有、保持、混合、ブレンド、分配、注入、移動、噴霧などするために使用される様々な容器に関してのガイダンスとしての働きをすることは、当業者には理解されるであろう。本発明において使用されることが想定される追加の容器は、実験装置メーカーおよび製造業者、例えば、United
States Plastic Corp.(Lima、OH)、VWR(商標)(West
Chester、PA)、BD Biosciences(Franklin Lakes、NJ)、Fisher Scientific International Inc.(Hampton、NH)およびSigma−Aldrich(St.Louis、MO)から出版されたカタログで見出すことができる。
【0072】
従って、本発明の新規製剤は、組成物の研究、加工、開発、製剤、製造、貯蔵および/または投与の様々な段階全体にわたって、容器中に含まれる免疫原性製剤を安定化させ、沈殿を阻害する点で特に有利である。本発明の新規製剤は、免疫原性組成物を物理的/熱的ストレス(例えば、温度、湿度、剪断力など)に対して安定化させるだけでなく、マイナスの因子または影響、例えば、免疫原性組成物の容器/密封システム(例えば、シリコーン処理された容器)との不適合性に対して、免疫原性組成物の安定性を向上させ、沈殿を阻害する。
【0073】
従って、本発明の新規製剤は、シリコーン油により誘発される沈殿および前述の沈殿に対して免疫原(即ち、多糖類−タンパク質コンジュゲート、タンパク質またはポリペプチド抗原)を安定化させるのに特に有用である。例えば、2006年4月26日に出願された同時係属中の米国出願番号60/795,098(本発明の一部として参照される)は、シリンジ、ガラスバイアル、ゴムストッパーなどの容器上で見られるシリコーン油の存在下での免疫原性組成物の凝集を記載し、界面活性剤を容器に添加することにより、これらの免疫原性組成物のシリコーン油により誘発される凝集が防止された。
【0074】
C.アジュバントおよび製剤担体/賦形剤
ある実施形態において、本発明の免疫組成物をさらに、アジュバントを用いて製剤する。アジュバントは、免疫原または抗原とともに投与される場合、免疫応答を向上させる物質である。これに限定されないが、インターロイキン1−α、1−β、2、4、5、6、7、8、10、12(例えば、米国特許第5,723,127号参照)、13、14、15、16、17および18(およびその突然変異形態)、インターフェロン−α、βおよびγ、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF、例えば、米国特許第5,078,996号
およびATCC受入番号39900参照)、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、ならびに腫瘍壊死因子αおよびβ(TNF)をはじめとする多くのサイトカインまたはリンホカインは、免疫調節活性を有することが証明され、従って、アジュバントとして使用できる。本発明において有用なさらに別のアジュバントとしては、制限無く、MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、およびRANTESを包含するケモカインが挙げられる。
【0075】
ある実施形態において、免疫原性組成物製剤の免疫応答を向上させるために使用されるアジュバントは、制限無く、MPL(商標)(3−O−脱アシル化モノホスホリルリピッドA;Corixa、Hamilton、MT)を包含し、これは米国特許第4,912,094号(本発明の一部として参照される)に記載されている。合成リピッドA類似体または
アミノアルキルグルコサミンリン酸塩化合物(AGP)、またはその誘導体もしくは類似体(Corixa(Hamilton、MT)から入手可能であり、米国特許第6,113,918号(本発明の一部として参照される)に記載されている)もアジュバントとしての使用に適している。このようなAGPの1つは、2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]エチル2−デオキシ−4−O−ホスホノ−3−O−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル]−2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル−アミノ]−b−D−グルコピラノシド(529とも呼ばれる(以前はRC529と呼ばれた))である。この529アジュバントは、水性形態として、または安定なエマルジョン(RC529−SE)として製剤される。
【0076】
さらに別のアジュバントとしては、鉱物油および水エマルジョン、アルミニウム塩(alum)、例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなど、Amphigen、Avridine、L121/スクアレン、D−ラクチド−ポリラクチド/グリコシド、プルロニックポリオール、ムラミルジペプチド、死滅ボルデテラ(Bordetella)、サポニン、例えば、米国特許第5,057,540号(本発明の一部として参照される)に記載されているStimulon(商標)QS−21(抗原性、Framingham、MA.)、およびこれから生じる粒子、例えば、ISCOMS(免疫刺激複合体)、米国特許第5,254,339号に記載されているISCOMATRIX(CSL
Limited、Parkville、Australia)、ヒト型結核菌(Mycobacterium
tuberculosis)、細菌性リポ多糖類、合成ポリヌクレオチド、例えば、CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチド(米国特許第6,207,646号(本発明の一部として参照される))、欧州特許第1,296,713号および第1,326,634号に記載されているIC−31(Intercell
AG、Vienna、Austria)、百日咳トキシン(PT)、または大腸菌易熱性トキシン(LT)、特にLT−K63、LT−R72、PT−K9/G129;例えば、国際特許公開番号WO93/13302およびWO92/19265(本発明の一部として参照される)が挙げられる。
【0077】
公開された国際特許出願番号WO00/18434(アミノ酸29位のグルタミン酸が別のアミノ酸(アスパラギン酸以外)、好ましくはヒスチジンにより置換されている)に記載されているものをはじめとするコレラトキシンおよびその突然変異体も、アジュバント(およびキャリアタンパク質)として有用である。類似のCTトキシンまたは突然変異体は、公開された国際特許出願番号WO02/098368に記載されている(この場合、アミノ酸16位のイソロイシンが別のアミノ酸で置換されている(単独またはアミノ酸68位のセリンの別のアミノ酸による置換と組み合わせて);および/またはアミノ酸72位のバリンが別のアミノ酸で置換されている)。他のCTトキシンは、公開された国際特許出願番号WO02/098369に記載されている(アミノ酸25位のアルギニンが別のアミノ酸により置換されている;および/またはアミノ酸がアミノ酸49位で挿入されている;および/または2つのアミノがアミノ酸35位および36位で挿入されている)。
【0078】
ある実施形態において、免疫原性組成物製剤は、医薬的に許容される希釈剤、賦形剤または医薬的に許容される担体を含む。一つの実施形態において、医薬的に許容される希釈剤は、滅菌水、注射用水、無菌等張塩溶液または生理的緩衝液である。多糖類−タンパク質コンジュゲートおよび/またはタンパク質免疫原をかかる希釈剤または担体と通常の方法で混合する。本明細書において用いられる場合、「医薬的に許容される担体」なる用語は、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などであって、ヒトまたは他の脊椎動物宿主に対する投与に適したものを包含することが意図される。適切な担体は、当業者には明らかであり、投与経路に大きく依存する。
【0079】
例えば、免疫原性組成物製剤中に存在する賦形剤は、保存料、化学安定剤および懸濁化剤または分散剤である。典型的には、安定剤、保存料などは、標的とされる受容者(例えば、ヒト対象)における有効性について最良の製剤を決定するために最適化される。保存料の例としては、クロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化硫黄、没食子酸プロピル、パラベン、エチルバニリン、グリセリン、フェノール、およびパラクロロフェノールが挙げられる。安定化成分の例としては、カザミノ酸、スクロース、ゼラチン、フェノール赤、N−Zアミン、二リン酸一カリウム、ラクトース、ラクトアルブミン加水分解物、および粉ミルクが挙げられる。
【0080】
ある実施形態において、免疫原性組成物製剤を、ヒト対象に投与するために、例えば、液体、粉末、エアゾル、錠剤、カプセル、腸溶錠もしくはカプセル、または坐剤の形態で調製する。従って、免疫原性組成物製剤としては、これに限定されないが、懸濁液、溶液、油性または水性ビヒクル中エマルジョン、ペースト、および移植可能な徐放性または生分解性製剤も挙げられる。
【0081】
本発明の免疫原性組成物は、通常の生理学的に許容される担体、希釈剤および賦形剤、例えば、溶媒、緩衝液、アジュバント、または前述の種類の医薬製剤において有用な他の成分の選択により限定されない。適切なpH等張性、安定性、および他の通常の特性を有する、これらの医薬的に許容される組成物の前述の成分からの調製は、当該分野において可能である。
【0082】
D.免疫原
ある実施形態において、本発明の多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤は、1つまたは複数の肺炎球菌多糖類を含む。他の実施形態において、本発明の多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤は、1つまたは複数の連鎖球菌多糖類を含む。さらに別の実施形態において、本発明の多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤は、1つまたは複数の髄膜炎菌性多糖類を含む。さらに別の実施形態において、本発明の多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤は、1つまたは複数の肺炎球菌多糖類、1つまたは複数の肺炎球菌ポリペプチド、1つまたは複数の連鎖球菌多糖類、1つまたは複数の連鎖球菌ポリペプチド、1つまたは複数の髄膜炎菌性多糖類、および/または1つまたは複数の髄膜炎菌性ポリペプチドの組み合わせを含む。
【0083】
以下で定義するように、「多糖類」なる用語は、免疫原性および細菌性ワクチン分野において通常使用される抗原性単糖類要素(または抗原性単位)、例えばこれに限定されないが、「単糖類」、「オリゴ糖」、「多糖類」、「リポ糖」、「リポオリゴ糖(LOS)」、「リポ多糖類(LPS)」、「グリコしレート」、「複合糖質」などを包含することを意味する。
【0084】
本発明の一つの特定の実施形態において、1つまたは複数の肺炎球菌多糖類は、エス・ニューモニエ血清型4多糖類、エス・ニューモニエ血清型6B多糖類、エス・ニューモニエ血清型9V多糖類、エス・ニューモニエ血清型14多糖類、エス・ニューモニエ血清型18C多糖類、エス・ニューモニエ血清型19F多糖類、エス・ニューモニエ血清型23F多糖類、エス・ニューモニエ血清型1多糖類、エス・ニューモニエ血清型3多糖類、エス・ニューモニエ血清型5多糖類、エス・ニューモニエ血清型6A多糖類、エス・ニューモニエ血清型7F多糖類およびエス・ニューモニエ血清型19A多糖類である。
【0085】
ある実施形態において、多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤は、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型4多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型6B多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型9V多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型14多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型18C多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型19F多糖類およびCRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型23F多糖類を含む7価肺炎球菌コンジュゲート(7vPnC)製剤である。
【0086】
ある他の実施形態において、多糖類−タンパク質コンジュゲート製剤は、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型4多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型6B多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型9V多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型14多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型18C多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型19F多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型23F多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型1多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型3多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型5多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型6A多糖類、CRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型7F多糖類およびCRM
197ポリペプチドとコンジュゲートしたエス・ニューモニエ血清型19A多糖類を含む13価肺炎球菌コンジュゲート(13vPnC)製剤である。
【0087】
多糖類は、当業者に公知の標準的技術により調製される。例えば、本発明において記載される莢膜多糖類を、肺炎連鎖球菌(Streptococcus
pneumoniae)の血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19Fおよび23Fから調製し、各血清型は大豆ベースの培地中で増殖し、個々の多糖類を次に、遠心分離、沈殿、限外濾過、およびカラムクロマトグラフィーにより精製する。同様に、連鎖球菌多糖類(例えば、β−溶血性連鎖球菌、例えば、A群連鎖球菌、B群連鎖球菌、C群連鎖球菌およびG群連鎖球菌)ならびに髄膜炎菌性多糖類(例えば、髄膜球菌リポオリゴ糖(LOS)またはリポ多糖類(LPS)からの1つまたは複数の多糖類(またはオリゴ多糖類))を、当業者に公知の一般的技術および方法を用いて、臨床的に関連する血清型または血清学的グループから調製する。精製された多糖類を次に化学的に(例えば、還元的アミノ化により)活性化して、キャリアタンパク質と反応できる多糖類を調製する。活性化したら、各莢膜多糖類を別々にキャリアタンパク質(例えば、CRM
197)とコンジュゲートさせて、複合糖質を形成し(または各莢膜多糖類を同じキャリアタンパク質とコンジュゲートさせ)、単回投与製剤に製剤する。
【0088】
多糖類の化学的活性化およびその後のキャリアタンパク質とのコンジュゲート(即ち、多糖類−タンパク質コンジュゲート)は、通常の手段により達成される。例えば、米国特許第4,673,574号および第4,902,506号参照。
【0089】
キャリアタンパク質は、好ましくは非毒性かつ非反応原性であり、十分な量および純度で得ることができるタンパク質である。キャリアタンパク質は標準的コンジュゲート手順に適している。本発明の特定の実施形態において、CRM
197をキャリアタンパク質として使用する。
【0090】
CRM
197(Wyeth、Sanford、NC)は、カザミノ酸および酵母エキスベースの培地中で増殖させたジフテリア菌(Corynebacterium
dyphtheria)C7株(β197)の培養物から単離されたジフテリア毒素の非毒性変異体(即ち、トキソイド)である。CRM
197を、限外濾過、硫酸アルミニウム沈殿、およびイオン交換クロマトグラフィーにより精製する。別法として、CRM
197を米国特許第5,614,382号(本発明の一部として参照される)に従って組み換えにより調製する。他のジフテリアトキソイドもキャリアタンパク質としての使用に適している。
【0091】
他の実施形態において、本発明のキャリアタンパク質は、酵素的に不活性な連鎖球菌C5aペプチダーゼ(SCP)(例えば、米国特許第6,951,653号、米国特許第6,355,255号および米国特許第6,270,775号に記載されている1つまたは複数のSCP変異体)である。
【0092】
他の好適なキャリアタンパク質としては、不活性化細菌毒素、例えば、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、コレラトキソイド(例えば、国際特許出願WO2004/083251に記載されているCT
E29H)、大腸菌LT、大腸菌ST、および緑膿菌(Pseudomonas
aeruginosa)から得られる外毒素Aが挙げられる。細菌外膜タンパク質、例えば、外膜複合体c(OMPC)、ポーリン、トランスフェリン結合タンパク質、肺炎球菌溶血素、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌付着因子タンパク質(PsaA)、またはインフルエンザ菌(Haemophilus
influenzae)タンパク質Dも使用できる。他のタンパク質、例えば、卵白アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)またはツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)もキャリアタンパク質として使用できる。
【0093】
莢膜多糖類をキャリアタンパク質とコンジュゲートさせた後、多糖類−タンパク質コンジュゲートを様々な技術により精製する(多糖類−タンパク質コンジュゲートの量に関して濃縮する)。これらの技術としては、濃縮/ダイアフィルトレーション操作、沈殿/溶出、カラムクロマトグラフィー、および深層濾過が挙げられる。
【0094】
個々の複合糖質を精製した後、これらを配合して本発明の免疫原性組成物を製剤する。本発明の多糖類−タンパク質コンジュゲートの製剤は、当該分野において承認された方法を用いて行うことができる。例えば、13の各肺炎球菌コンジュゲートを、生理学的に許容されるビヒクルを用いて製剤して、組成物を調製できる。かかるビヒクルの例としては、これに限定されないが、水、緩衝塩溶液、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびデキストロース溶液が挙げられる。
【0095】
他の実施形態において、本発明は、連鎖球菌C5aペプチダーゼ(SCP)免疫原性組成物を安定化させる製剤に関し、この製剤はpH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約6.5のpKaを有する)、界面活性剤および連鎖球菌C5aペプチダーゼを含む。C5aペプチダーゼは高度に保存されたセリンプロテアーゼであり、全β−溶血性連鎖球菌(例えば、A、B、CおよびG群連鎖球菌)にわたって発現される。例えば、B群連鎖球菌(GBS)C5aペプチダーゼをコードするヌクレオチド配列は、A群連鎖球菌(GAS)C5aペプチダーゼをコードするヌクレオチド配列と98%同一である。従って、本発明のある実施形態において、免疫原性組成物β−溶血性連鎖球菌により誘発される感染症に対する免疫原性組成物は、免疫原(または抗原)を含む。
【0096】
一つの特定の実施形態において、本発明のC5aペプチダーゼは酵素的に不活性な連鎖球菌C5aペプチダーゼ(例えば、米国特許第6,951,653号、米国特許第6,355,255号および米国特許第6,270,775号(それぞれ具体的に本発明の一部として参照される)の1つまたは複数に記載されている1つまたは複数のSCP変異体)である。別の特定の実施形態において、本発明の新規免疫原性製剤において用いされるSCPは、B群連鎖球菌からクローンされる。別の実施形態において、B群連鎖球菌SCP配列を遺伝的に突然変異させて、タンパク質分解不活性にし(例えば、米国特許第6,951,653号;第6,355,255号および第6,270,775号参照)、大腸菌において組み換えタンパク質として発現させる。
【0097】
別の実施形態において、本発明は、髄膜球菌2086タンパク質免疫原性組成物を安定化させる製剤に関し、この製剤は、pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約7.5のpKaを有する)、界面活性剤および髄膜球菌2086タンパク質を含む。髄膜球菌2086タンパク質は、「ORF2086」(例えば、国際公開番号WO
03/063766 A2(国際出願番号PCT/US02/32369)、国際公開番号WO 04/094596 A2(国際出願番号PCT/US04/011901)、および国際公開番号WO 04/065603 A2(国際出願番号PCT/US04/000800)参照(それぞれは具体的に本発明の一部として参照される))として同定される核酸配列オープンリーディングフレームによりコードされる。さらなる実施形態において、本発明は、抗原安定性および髄膜球菌2086タンパク質のアルミニウム塩アジュバント(例えば、AlPO
4)との結合(%)を最適化する製剤に関し、この製剤は、pH緩衝塩溶液(この緩衝液は約3.5から約7.5のpKaを有する)、界面活性剤、アルミニウム塩、および髄膜球菌2086タンパク質を含む。
【0098】
本明細書において言及される全ての特許および刊行物は本発明の一部として参照される。
【0099】
E.実施例
以下の実施例は、特に他に詳細に記載されない限り、当業者に周知で慣例的な標準的技術を用いて行う。以下の実施例は、例示目的で記載し、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。