(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1および第2の電極の間の液体の抵抗を測定するための電気回路であって、電気回路の第1の端子に第1の電極が接続され、電気回路の第2の端子に第2の電極が接続されており、該電気回路は、
第1端において第1の端子に接続されたキャパシタC1および第1端において第2の端子に接続されたキャパシタC2と、
第1端においてキャパシタC1の第2端に接続された、既知の参照抵抗Rrefと、
スイッチ手段であって、
(a)第1のスイッチ構成を形成するために、既知の参照抵抗Rrefの第2端に第1の参照電圧V+、および、キャパシタC2の第2端により低い第2の参照電圧V−を接続するか、または、
(b)第2のスイッチ構成を形成するために、キャパシタC2の第2端に第1の参照電圧V+、および、既知の参照抵抗Rrefの第2端により低い第2の参照電圧V−を接続するか、のいずれかのためのスイッチ手段と、
キャパシタC1と既知の参照抵抗Rrefとの間の接続時の電圧Vsenseを測定するための測定手段と、を備えており、
既知の参照抵抗Rrefと、第1および第2のスイッチ構成それぞれについて観察された電圧Vsenseとに基づいて、液体の抵抗の値を決定するように構成される、
電気回路。
第1および第2の電極のそれぞれが、二重ルーメンチューブの第2のルーメン内に位置するワイヤを介して、電気回路の第1および第2の端子のうちの対応する1つに電気的に接続されており、二重ルーメンチューブの第1のルーメンが、流体送達デバイスと第1の部位または第2の部位との間に血液を移送するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
スイッチ手段が第1のスイッチ構成と第2のスイッチ構成との間で交互に操作され、測定手段が、スイッチ手段が第1のスイッチ構成と第2のスイッチ構成との間で変化するたびにその前後で電圧Vsenseを測定するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
第1および第2のマルチプレクサがそれぞれ、第1の参照電圧に接続された第1の入力と、第2の参照電圧に接続された第2の入力とを有している、請求項12記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(導電性回路)
図1に示された典型的な電気回路は、対象となる流体の電気伝導率または抵抗を測定するために使用されうる。1つの実施形態では、流体は電解質溶液または透析用流体であってよく、回路は、究極的には、血管内投与のための流体の適合性を保証するために流体の導電率の測定値を提供することができる。流体中に溶解された溶質の濃度の監視に加えて、電気回路は、回路に接続された電極の間の流体の連続性における何らかの中断も監視することができる。例えば、該回路は、気泡の存在について、または混入している物質の存在について、静脈内の流体ラインを監視するために使用可能である。別の実施形態では、流体は血液であってよく、(例えば導管内の)血流路の電気抵抗測定値の変化は、血流路と測定用電極との間に不連続部が存在するかどうかを示すために使用されてもよい。例えば、血流路は、血管、動静脈瘻またはグラフトのセグメント内に留置ニードルまたはカテーテルを含んだ血液のカラムを、2つの電極の間に含んでなる場合がある。血管アクセスの離脱は血流路内への空気の導入をもたらし、その結果電極間の血液カラムの抵抗率の変化を引き起こすことができる。電気回路は、血流路のインピーダンスと透析用流体のインピーダンスとの間の差に合わせて調節するために、(その適用に応じて)容易に修正可能である。
【0015】
図1に示された回路は、低価格の電子部品を使用して、対象とする媒体1の未知の抵抗R
xを、特にその未知の抵抗が電解流体を介した導電路を伴う場合に、測定するために使用されうる。1対のマルチプレクサを含んでなる交換網2は、ノードV
AおよびV
Bの参照電圧V+およびV−への接続を可能にする。未知の抵抗R
xを有する、対象の媒体1は、端子V
TAおよびV
TB3に接続され、参照抵抗器R
ref4を備えた分圧回路を形成する。導電率測定値を得るために、交流電圧が、既知の参照抵抗器R
Ref4(例えば透析用流体の場合、680Ω)および対象の媒体1の未知の抵抗R
xによって作られた分圧回路への交換網2を介して対象の媒体1に伝えられてもよい。分圧回路の中間点5が測定される。中間点5の信号V
Senseは増幅器10によってバッファされて、アナログ・デジタル変換器(ADC)11の入力信号V
inを作り出す。分圧回路が一方向に、次いで他方向に駆動されるにつれて、V
Senseは2つの値の間で切り替わる。この信号は、導電度セル中の流体1がキャパシタC1およびC2 6を通して回路内へ交流結合されているので、切り替え後の短時間のみ有効である。したがって、直流阻止キャパシタC1およびC2 6は、直流電流が未知の抵抗(電解質の流体または血液による導電路が挙げられる)を通るのを防止するために使用されてもよい。実施形態では、直列キャパシタCはそれぞれ、平行な2つのキャパシタであって一方は例えば0.1uFの値を有し、他方は例えば10uFの値を有するキャパシタを、含んでなることができる。直列抵抗器7が、交換網およびその他の感知回路によるノイズおよびサージ電圧への曝露を低減するために使用されてもよい。ADC11は、回路が2つの構成の間で切り替わるとともに、多数の信号サンプルをとることができる。
【0016】
交換網2は、一方の半サイクルの間にV
AをV+に、V
BをV−に接続し、他方の半サイクルの間にV
BをV+に、V
AをV−に接続する、1対の交互に生じる2値制御信号13,14によって駆動されうる。これは、V
senseノード5において、
図2に示された波形20に類似の波形をもたらす。この実施形態では、V
Refは4ボルトであって、その結果、
図2に示されるように、V
senseの大きさは4ボルト未満となる。分圧回路8は、それぞれ陽性の参照電圧V
Refおよびグラウンドに近い電圧V+およびV−を作り出す。1つの実施形態では、R1は10オームの値を有することが可能であり、R2は2Kオームの値を有することが可能である。交換網2の両方のマルチプレクサがゼロに操作された場合、回路は停止し、低いほうの電圧が端子V
TAおよびV
TB 3に伝えられる。V
Aが高く、V
Bが低い場合、高いほうの電圧が参照抵抗器R
Ref4に伝えられ、低いほうの電圧が未知の抵抗R
xを有する対象の媒体1に伝えられる。V
Bが高く、V
Aが低い場合、高いほうの電圧が未知の抵抗R
xを有する対象の媒体1に伝えられ、低いほうの電圧が参照抵抗器R
Ref4に伝えられる。
【0017】
矩形波の各エッジ前後の電圧の変化ΔV
senseは、参照抵抗R
ref4、対象の媒体1の未知の抵抗R
x、および任意の直列抵抗(例えばR
s7を含む)のみに依存することを示すことが可能であり、この短時間の間にキャパシタがインクリメンタル形の短絡回路として働くので一般に直列容量C1またはC2 6には依存しない。特に、
Δα=ΔV
sense/(V
+−V
−)=(R
y−R
ref−R
th)/(R
y+R
ref+R
th)=(ρ−1)/(ρ+1)
であって、上記式中、R
y=R
x+2R
S+R
thであり、R
th=マルチプレクサ2および分圧回路8からのソース直列抵抗であり、ρ=R
y/(R
ref+R
th)である。(ソース直列抵抗R
thは、マルチプレクサ2の抵抗および分圧回路8のテブナン等価抵抗の和として導き出すことができる。例えば、R1=10オーム、R2=2Kオームについては、R
th=R1‖(R1+R2)=9.95オームである)。したがって、R
yが短絡回路である場合、ρ=0およびΔα=−1である。このとき、センスノードの電圧変化ΔV
senseは、V
Aにおけるドライブノードとは反対の振幅を有するV
Bの電圧変化と等しい。R
yが開放回路である場合、ρ=∞およびΔα=1である。このとき、センスノードの電圧変化ΔV
senseは、ドライブノードV
Aの電圧変化と等しい。従って、この電圧変化が測定されれば、先述の方程式を未知の抵抗R
xについて解くことが可能である:
R
x=ρ(R
ref+R
th)−2R
s−R
th、前記式中、ρ=(1+Δα)/(1−Δα)
図1に示されるように、高周波ノイズを除去するために、ローパスフィルタ9が抵抗器R
fおよびキャパシタC
fによって形成されてもよい。1つの典型的な配置構成では、R
Fは1KΩの値を有することが可能であり、C
Fは0.001uFの値を有することが可能である。その後、緩衝増幅器10およびアナログ・デジタル変換器(ADC)11が、コンピュータまたはデジタルシグナルプロセッサ(図示せず)について感知された電圧を測定することができる。
【0018】
参照電圧V+およびV−は、V+がADC11の参照電圧V
Refに近く、かつV−がADC11のグラウンド参照電圧に近いように、分圧回路8から導出されることが好都合となりうる。例えば、R
1=10Ω、R
2=2kΩ、およびV
ref=4.0Vのとき、V+=3.980VおよびV−=0.020Vである。これは、両電圧をADC11の能動感知領域(active sensing region)内、ただしエッジ付近に位置付け、該領域において該電圧は較正に使用することができる(下記に議論される)。スイッチSW
112は負荷抵抗の感知を較正する助けとなるように使用されうる。
【0019】
いくつかの改善により、成分値の変動に関係する誤差が減少する可能性がある。第1に、V
senseが落ち着いてV+とほぼ等しくなるまでV
Aが比較的長時間にわたってV+に切り替えられる較正ステップの導入が可能であり、その時点でADC11はV
senseの測定を行うことができる。第2の較正ステップは、V
senseが落ち着いてV−とほぼ等しくなるまで、V
Aを比較的長時間にわたってV−に切り替えることを伴うことが可能であり、その時点でADC11はV
senseの次の測定を行うことができる。これにより、ADC11はV+およびV−の両方を測定することが可能となる。
【0020】
第2に、
図2に示されるように、矩形波が切り替わる間、スイッチング波形の両エッジ前後のADC11読み取り値を使用して無次元量Δα:
Δα=ΔV
Sense/(V
+−V
−)=[(V2−V1)+(V3−V4)]/2(V
+−V
−)
を計算することができる。その結果、波形の両エッジを使用して
ΔV
sense=[(V2−V1)+(V3−V4)]/2
を測定することが可能であり、そのため回路への非対称的反応は相殺される可能性が高い。別例として、波形のおよそ中間点での平均電圧が使用されてもよく;その結果は、例えば、Δα=ΔV
Sense/(V
+−V
−)=[(V7−V6)+(V7−V8)]/2(V
+−V
−)、そしてΔV
Sense=[(V7−V6)+(V7−V8)]/2である。さらに、ADC11の入力信号V
inの示差測定値だけが使用されてもよい。したがって、緩衝増幅器10およびADC11のいかなるオフセットエラーも相殺することができる。さらに、Δαは、同じ信号経路を使用した測定値に基づいたレシオメトリックな量である。したがって、ADC11のいかなる利得誤差も相殺することができる。
【0021】
参照抵抗器R
Ref4は、直列抵抗R
s7を考慮して、所望の範囲の未知の抵抗の端点の幾何平均と等しくなるように最適に選択されうる。例えば、R
s=100ΩでありR
xが100Ω〜3000Ωである場合、R
y=R
x+2R
Sは300Ω〜3200Ωであり、R
refはおよそ(300Ω・3200Ω)の平方根=980Ωとなるはずである。100k〜300kオームの範囲の(例えば動静脈瘻を介してある電極から別の電極に及ぶ血液のカラムにおける)未知の抵抗を測定するためには、参照抵抗器R
ref4はおよそ200kオームに変更可能であり、緩衝増幅器10への入力時のローパスフィルタ9のフィルタキャパシタR
Fは完全に除去可能である。
【0022】
分圧回路の出力はその抵抗値比率の非線形関数であるため、ADC11からの読取り値における誤差またはノイズは、R
yがR
refと等しい場合に結果として生じるR
yの計算において最も小さい部分的誤差(感度)を生じ、この感度が増大するほどR
yは参照抵抗R
refから外れる。具体的には、抵抗値比率における感度は以下のとおり:
Sρ=(1/ρ)・δρ/δΔα=2/[((1+Δα)(1−Δα)]=2/[1−(Δα)
2]
であることを示すことができる。R
y=R
refの時、ρ=1、Δα=0およびSρ=2である。したがって、このポイントの周囲でのΔαの変化0.001(ADCフルスケールの0.1%)については、計算される抵抗R
yは0.002または0.2%だけ変化する。表1に示されるように、感度はρが1から外れるにつれて増大する。
【0023】
【表1】
図3は、ノイズ/誤差感度が、約6:1の未知/参照抵抗比では倍増し、10:1の比では3倍になることを示している。この範囲の外側の抵抗測定値は、ノイズおよび誤差に対する感度増大の影響を受ける。
【0024】
較正を目的として、スイッチSW
112を使用して、R
x=0の点を較正で除外する(calibrate out)ために抵抗測定を行うことができる。好ましくは、このスイッチ12は、端子V
TAおよびV
TB 3を横切って、または実行可能な限り該端子に近接して配置されるべきであり、そのことが真のゼロ点較正をもたらすことになろう。しかしながら実際上、スイッチ12を端子V
TAおよびV
TB 3に近接して位置づけることにより、スイッチ12が外部雑音およびサージ電圧を生じやすくなり、対象の媒体1の中へ直流漏れ電流を導入する可能性がある。
【0025】
直列容量C1およびC2 6、および矩形波の使用は、電解質の導電路を備えた未知の抵抗にとって重要である。これには少なくとも2つの理由がある。第1に、電解質溶液または同様の特性を有する体液を通って直流電流が流れるのを防止することは、多くの適用において重要となりうるが;そうでなければ端子V
TAおよびV
TB 3において電極の電気めっきまたは電気分解のうち少なくともいずれかが生じる可能性がある。この回路では、キャパシタC1およびC2 6が直流電流を阻止する。更に、該キャパシタは非常に小さい電流(マイクロアンペア以下)が流れるのを可能にするので、交互に生じる矩形波電圧を使用することは平均電流をさらに制限する助けとなりうる。
【0026】
第2に、小さな電気化学的直流電圧が対象の媒体1に導入される(例えば、流体通路内の電極が時間とともに異なる速度で酸化しうる)場合、この直流電圧はキャパシタC1およびC2 6によって阻止されうる。抵抗を計算する方法は示差測定をとるので、いかなる残余の直流電圧も、対象の媒体1の未知の抵抗Rxを計算する過程を通じて相殺されうる。
(血管離脱検知器)
上述したもののような導電度測定回路の適切な改変形態を用いて、血液の導電度および導電度の変化を検知することが可能である。より具体的には、ある量の血液中に空気が入った場合、該血液の導電度に生じる変化を検知することが可能である。この状況は、例えば、血管内アクセス部位が体外血液回路において逸脱に至ったときに生じる可能性がある。
【0027】
図1に示される回路は、導電度セルまたは導管1の中のある量の流体の抵抗性を測定するために使用可能である。ある量の透析用溶液の抵抗または導電度を表わす導電度セル1のR
xの測定値については、参照抵抗器R
Ref4についての好都合な値はおよそ680オームとなるように選択可能である。第1のカニューレまたはニードルから、動静脈瘻を通って、第2のカニューレまたはニードルへと伸びる血液のカラムの抵抗または導電度を表わす導管1のR
xの測定値については、参照抵抗器R
Ref4について好都合な値はおよそ200kオームとなるように選択可能である。
【0028】
血液または血漿のような体液のカラムの連続性を監視するためにこの回路を使用する利点には、下記すなわち:
− 導電度セルまたは導管1への容量結合は、端子V
TAおよびV
TBにおける電極のめっきおよび腐食を引き起こすおそれのある直流電流を阻止すること;
− 電圧レベルおよび電流レベルは患者の安全性のために非常に低くかつ分断されること;
− 電流は一時的にのみ流れ、同時に測定が行われること、が挙げられる。測定と測定との間は電流は流れない。
【0029】
参照抵抗器R
ref4の低いほうの値(例えば680オーム)を用いて、この回路は透析液導電度測定のために適切に構成される。参照抵抗器R
ref4のはるかに高いほうの値(例えば200kオーム)を用いて、この回路は、動静脈瘻からの血管ニードルの逸脱を検知するために動脈ニードルと静脈ニードルとの間の抵抗を測定するように適切に構成される。
(電極の配置)
流体送達装置から患者の血管または血管グラフトに至る流体カラムの連続性は、上述の電子回路を使用して監視することが可能である。送達される流体には、血液または任意の電解質溶液、例えば透析用流体が挙げられる。以下の説明は血液透析システムに関係するものとなるが、本発明の同じ動作原理は、血管アクセスを介して患者に流体を送達するように構成されたあらゆるデバイスに適用することができる。
図4によって例証された実施形態では、血液透析機200の流体流回路100の内部のある量の血液またはその他の流体の導電度は、該流体量の両端の、血液またはその他の流体と直接接触する電極を使用して、電子工学的に監視することが可能である。
図1に示されるもののような電気回路を使用すると、一方の電極はV
TA端子に接続可能であり、他方の電極は回路のV
TB端子に接続可能である。回路によって電極に加わる電圧は、患者へのいかなる害も防止するように、十分に小さく(例えば約4ボルト以下)、十分に短時間で、かつ十分に分断された直流電圧とすることができる。この例では、流体流回路100は、動脈アクセスニードル102、動脈カテーテルチューブ104、動脈カテーテルチューブコネクタ106、動脈血回路チューブ108、動脈血回路チューブ108と血液透析機200との間の移行部110、血液ポンプ入口ライン112、血液ポンプ114、血液ポンプ出口ライン116、透析器118、透析器出口ライン120、エアトラップ122、血液透析機200と静脈血回路チューブ126との間の移行部124、静脈カテーテルチューブコネクタ128、静脈カテーテルチューブ130、静脈アクセスニードル132、および、患者の血管または瘻134の、動脈のアクセスニードル102と静脈アクセスニードル132との間に位置する部分の腔内体積、を備えて示されている。留意すべきことは、本明細書中に記載された発明が、動脈アクセスニードルが患者の1つの血管内にある一方、静脈アクセスニードルが動脈アクセス部位からのある程度の距離だけ離れた別個の血管内にある状況も包含しているということである。更に、上記の回路は、
図4に示される静脈還流ラインを持たない流体送達システムにおける血管アクセスの完全性を監視するために使用されてもよい。その場合、例えば、位置Bの電極は、血管または血管グラフトにアクセスしている第2のニードルまたはカニューレと行き止まりラインで連通している流体に接触する電極と対になることが考えられる。別例では、血管セグメント内の中空の留置カニューレまたは中実のトロカールに導電性ワイヤを装備可能であり、該ワイヤがその後監視システムにおける第2の電極としての役割を果たすことが考えられる。アクセスされている血管セグメントは、外科的に構築された動静脈瘻であってもよいし、ゴアテックス(Gortex)血管グラフトのような人工導管も含まれうる。用語「動脈(の)」は、本明細書中では、血流回路の、血液を患者から離れて血液透析機200に向かって導く部分を表すために使用される。用語「静脈(の)」は、血流回路の、血液を血液透析機200から離れて患者に向かって戻るように導く部分を表すために使用される。用語「アクセスニードル」は、患者の血管セグメントまたは瘻に侵入するニードルまたはカテーテルデバイスを表すために使用される。様々な実施形態において、アクセスニードルは対応するカテーテルチューブ104,130に恒久的に取り付けられてもよいし、可逆的に接続されてもよい。
【0030】
流体流回路100の任意のセグメントの連続性は、対象とする流体および血液含有セグメントの両側において流体に接触させて2つの電極を配置することにより監視することができる。動脈アクセスニードル102、もしくは動脈カテーテルチューブ104、または静脈アクセスニードル132もしくは静脈カテーテルチューブ130の離脱を監視するために、1つの電極が血流回路の静脈側のルーメンとつながるように設置可能である一方、第2の電極が血流回路の動脈側のルーメンとつながるように設けられる。1つの実施形態では、2つの電極は透析機200またはその近くに、1つの電極が血液ポンプ110の上流の血液に接触し、かつ第2の電極が透析器118またはエアトラップ122のうち少なくともいずれかの下流の血液に接触して、配置されうる。例えば、電極は移行部110,124に組み込まれてもよい。
【0031】
別の実施形態では、電極のうちの1つは、アクセスされる血管または血管グラフトに流体流を送達するために使用される機器(例えば透析機)よりも血管アクセス部位134に近い地点で流体流回路100の中の流体に接触するように配置可能である。好ましい実施形態では、両電極は透析機200に付随した機器よりも患者の血管または血管グラフトに近くなるように配置可能である。これは、透析機200に関連した電気的干渉をさらに低減する可能性がある。電極Aは動脈カテーテルチューブコネクタ106またはその近くに好都合なように設けられ、第2の電極Bは静脈カテーテルチューブコネクタ128またはその近くに好都合なように設けられることが可能である。この配置構成では、第1の電極から患者の血管アクセスを介して第2の電極への電気的導通経路は、透析機200に向かって逆に伸びる経路よりはるかに短い(かつ電気抵抗が小さい)。ある場合には、アクセスカテーテル104,130は約0.3メートル(約1フィート)程度の長さとなりうるのに対し、動脈および静脈チューブ108および126は約1.8メートル(約6フィート)の長さとなりうる。回路中の流体の電気的伝導特性のため、チューブ108,126、および透析機200の構成要素を組み込んだ経路に伴う電気抵抗は、患者の血管または瘻134を通る経路に伴う電気抵抗よりも何倍も大きくなりうる。
【0032】
透析機200に関連した電気的干渉はこうして低減され、アクセスに関連した離脱による電気抵抗の変化は、より容易に検知することができる。好ましくは、電極AおよびBは透析機から患者までの距離の50%を超えた位置となるように配置される。より好ましくは(かつより好都合には)、電極AおよびBは、患者に到達する前の最後の解除可能な流体接続の近くに位置する。血液透析システムの1つの実施形態では、血液チューブ108および126は長さおよそ1.8メートル(およそ6フィート)であり、動脈および静脈カテーテルチューブ104,130は長さ約0.6メートル(約2フィート)以下である。よって、電極AおよびBに好都合な場所は、動脈および静脈血回路チューブ108,126を動脈および静脈カテーテルチューブ104,130に接続する動脈ラインおよび静脈ラインコネクタ106,128(例えばルアータイプコネクタまたはその改変形態であってよい)となるであろう。
(コネクタ電極)
図5Aおよび5Bに示されるように、1つの実施形態では、血液透析システムの血液回路用の血液ラインコネクタは、コネクタのルーメン内の任意の液体と接触可能な電極を組込むことができる。1つの態様では、電極は、任意の適切なコネクタ、例えばコネクタ300のチューブ接続部または基端302に設けられた環状の導電性キャップ310からなることができる。該電極は、例えばステンレス鋼のような、耐久性かつ非腐蝕性の材料から構築されることが好ましい。コネクタ300の先端側連結端304は、例えば、動脈または静脈カテーテルの対応するルアータイプコネクタとの密封係合をなすように構築可能である。キャップ310の内側環状表面312(一部または全体)は、コネクタのルーメン314の中に存在する任意の液体と接触可能である。
図5Bに示されるように、コネクタと該コネクタに取り付けられる任意の可撓チューブとの間の流体密封接続を維持するために、Oリング316または適切な密封材がキャップ電極310とコネクタの基端302との間に設けられてもよい。
【0033】
エラストマー製のOリングは、血液を移送する構成要素が過熱液体を用いる消毒または滅菌に供される血液透析システムまたはその他の体外システムにおいて、特に有用な場合がある。コネクタのプラスチック成分の熱膨脹率は、組み込まれた金属電極の熱膨脹率とは大きく異なっており、その結果1回または複数回の滅菌または消毒処置の後では恒久的密封が維持されない可能性がある。電極と該電極が配置されるコネクタ座との間の接合部にOリングのようなエラストマー製の構成要素を加えることで、電極とコネクタとの間の膨脹率および収縮率の差を調製することにより密封を維持することができる。
【0034】
図6に示されるように、1つの実施形態では、導電性電極310(例えばステンレス鋼で構築されたもの)はコネクタ300の一部(コネクタの基端302、または別例としてコネクタの先端側接続端304)に組み込まれ、これを覆って可撓チューブ318の端部が設置されてもよい。この実施形態では、電極310は略円筒状であり、可撓チューブ318のセグメントの端部が電極310の外側表面上でより容易に滑り嵌合接続することが可能なように、基端部にテーパ状部320を有する。
図6に示されるように、電極310の内側表面は、電極キャップ310がコネクタ300の基端302を覆って滑動し、かつ基端302に当接することを可能にする内部レッジ322を有する。コネクタ300は、金属またはより典型的にはプラスチック材料を含めた任意の適切な硬質材料から構築可能である。レッジ322は、電極310の直径の小さな内側表面312が適切に配置されてコネクタ300のルーメン314を通過する任意の液体(例えば血液)と接触することを確実にする助けとなる。コネクタ300と電極310、および電極310と上に重なっているチューブ318の終端との間の接続は、構成要素の組成との適合性を有する任意の適切な接着剤を用いて気密性または恒久的とされうる。
【0035】
コネクタと電極との間の血液漏れを防止し、かつ血液成分が移行して詰まる可能性のある電極下のエリアを制限するべく、より確かな密封を保証するために、Oリング316が電極310の内側表面の、電極内部レッジ322の近くに組み込まれてもよい。これは、
図6の拡大詳細図に見られる。この例では、Oリング316はステンレス鋼の電極310とコネクタ300の先端302との間を密封している。可撓チューブ318の引き伸ばされた端部をコネクタ300の基端302の上に保持するために、コネクタの設計にコネクタ300の基端302の逆刺要素324が組み込まれてもよい。ある実施形態では、電極310は、電極310およびコネクタ300の逆刺324の両方を覆って引き伸ばされた可撓チューブ部分によって、適所に保持される。
【0036】
ワイヤ326が電極310の外側表面上にはんだ付け、溶接またはその他の方法で固定されてもよく、該ワイヤは、上に重なって引き伸ばされたチューブ318の下を、コネクタ300に沿ってより先端側へ出るまで進むことができる。このように該ワイヤは、内側表面312がルーメン内の流体(例えば血液)と接触するために電極310に出入りする電気的信号を、伝えることができる。図示された例では、ワイヤ326は電極310の先端側部分にはんだ付けされ、チューブ318の下を進み、チューブ318とコネクタ300の対応する止め具326との当接部において表面に出る。
【0037】
図7A〜7Cに示されるような別の実施形態では、米国特許出願公開第2010/0056975号明細書(その内容は参照により本願に組み込まれる)に記載されるようなコネクタ400が、コネクタ400の中央部分406が電極を組み込むことができるように、改変されている。コネクタ400の中央部分406に沿って電極を設けることにより、コネクタの先端側連結端404を変更する必要が回避され、かつ可撓チューブの終端とコネクタの基端402との間の相互作用のいかなる変更も回避される。この例では、血液ラインコネクタ400は、該コネクタの先端側連結端404に2つの異なるタイプの密封接続をなすように、例えば患者アクセスラインのルアータイプコネクタのための内側のねじ型接続405と、透析システムの血液を移送する構成要素を通る呼び水および消毒液の再循環のための透析機ポートとの外側の圧入式接続407とをなすように構築される。圧入式機構407は、コネクタ400の先端404の外側表面上に切頭円錐形状を有して形成される一方、ルアー適合型のネジ式機構405はコネクタ400の先端404の対応する内側表面上に形成される。切頭円錐形部材の外側表面は、透析機200またはその他のデバイスの嵌め合わせコネクタの座との密封係合をなすように構築される。コネクタ400の先端側連結端404から基端方向へ伸びる1対の錠止アーム408はそれぞれ、透析機上の嵌め合わせコネクタ上の対応する錠止機構と係合する逆刺部分409と、透析機から逆刺部分409を解除するのに役立つ指押下げ部分410とを有することができる。逆刺部分409は、圧入式接続をなす時に、切頭円錐形部材を透析機上の相手コネクタとの密封係合において錠止する助けとなる。錠止アームの先端は、コネクタ400の切頭円錐形部分407より基端側に位置するフランジ411を介してコネクタに付着するように構築可能である。コネクタ400は、可撓チューブと密封係合するための基端側チューブ取付端面402を有する。チューブ取付端面402は、コネクタ400からの可撓チューブ端部の離脱防止を支援するために1つ以上の逆刺機構412を有していてもよい。
【0038】
図7Bはコネクタ400の側面図を示し、コネクタ400のルーメンと直接通じるように電極を設置するのを可能にするアクセス機構またはポート420が見えるようになっている。他の実施形態では、アクセス機構は、鋭利または鈍いニードルを備えたシリンジを使用したコネクタ400のルーメン414の内部からの流体のサンプリングを可能にするために、エラストマー製止め具(セプタム付きまたはセプタム無し)を収容することもできる。別例として、該機構は、コネクタ400のルーメン414への別の流体ラインの接続を可能にするポートとしての役割をはたしてもよい。
【0039】
さらに別の実施形態では、
図7Cの断面図に示されるように、コネクタ400の中央部分406は2つのアクセスポートを有していてもよい。流体アクセスポート420aはサンプリングポートとしての役割を果たすことが可能であり、電極ポート420bは電極クレードルとしての役割を果たすことができる。サンプリングポート420aの内部のエラストマー製止め具422は、コネクタ400のルーメン414まで延在するように形作られて、ニードルを用いたルーメン414の中の流体のサンプリングの一方で同時に気密性密封の維持を可能にすることができる。別例として、セプタム付きキャップまたは密封材を有するルアータイプコネクタであって、嵌め合わせルアータイプコネクタを有するシリンジまたはカテーテルと接続することができるコネクタが、ポートに組み込まれることも可能である。電極ポート420bは、電極424の座またはクレードルとしての役割を果たすことができる。電極は所定位置に圧入または接合され、かつ接着剤で、または図示されるようにOリング416で、密封可能である。ワイヤ426は、電極424の外側表面上にはんだ付け、溶接またはその他の方法で固定されてもよく、コネクタ400が取り付けられている動脈チューブ108または静脈チューブ126とともに透析機200に向かって基端側へ進むことができる。
【0040】
上記の電極実施形態のいずれにおいても、電極は、コネクタ300,400またはこれらの変形物を通り抜ける流体の温度を監視するさらなる目的のために、適切なサイズのサーミスタ、またはサーミスタと電気導体との組合せに置き換えられてもよい。
(ワイヤアセンブリ)
1つの実施形態では、コネクタ106,128(1つは血流回路の動脈側、1つは静脈側)の1対の電極を出入りする電気的信号を運ぶワイヤは、血液チューブ108,126とは別個かつ離れて透析機200へ向かって戻るように進むことが可能であり、透析機では該ワイヤは最終的に
図1に示された導電性回路のような導電率検知回路を終端として接続する。導電性回路は次に、アクセス離脱と一致する流体導電率の変化が生じたかどうかを判断するために、適切に構成された信号を透析機上のプロセッサに提供する。変化が生じていれば、例えば、プロセッサは警告状態を引き起こすことも可能であるし、血液ポンプ114のシャットダウンを始動して、血液チューブ108または126のうち少なくともいずれかの機械的な閉塞を引き起こすことも可能である。
【0041】
透析機と患者との間を一緒に、または別々に伸びるワイヤは、絡み、破損し、または切断に至るリスクにさらされている。したがって、好ましくは、ワイヤ326または426はそれぞれその関連するチューブ108,128に取付け、結合、またはその他の方法で組み込まれることが可能である。ワイヤをその関連するチューブに組み入れることにより、ワイヤおよび接続部を保護し、患者と透析装置との間のインタフェースを単純化する便利な方法が提供される。これを達成する典型的な方法は、
図8A〜8Dに示されている。好ましい実施形態では、チューブは、押出し法で形成可能な可撓性材料(例えばシリコーン)で構成される。
図8Aに示されるように、可撓チューブの繊維強化と同様に、可撓シリコーンチューブが形成かつ押出加工されるときに疎性ワイヤメッシュが該チューブに埋め込まれてもよい。
図8Aに示されるように、ワイヤメッシュ500は、繊維強化チューブの構築に類似の方法で、押出加工の際に可撓チューブ502の壁内に埋め込み可能である。
図8Bに示されるように、例えば、絶縁ワイヤ504が、二次押出加工、または2つの構造物が接着剤によって連結されるプロセス、のいずれかの際に該ワイヤに隣接したチューブ506の外側表面に連結されることも可能である。
図8Cに示されるように、チューブ材料の二次同心層508を生じる第2の押出加工が、一次押出加工後のチューブの外側表面に沿って走るワイヤを取り込むように行われることも可能である。
図8Dに示されるように、形成中のチューブ510が、該チューブの壁内に埋め込まれたワイヤ512とともに共押出加工されることも可能である。
【0042】
上記の方法のうちのいくつかにおいては、得られるチューブ・ワイヤ複合物は、ワイヤとチューブのシリコーン材料との間の熱膨脹率の差から、巻きを生じやすい傾向を有する場合がある。材料が押出加工後に冷えるにつれて、埋め込まれたワイヤをシリコーンが強固に捕捉する結果、冷えたチューブ・ワイヤ束状物が巻く可能性がある。好ましい実施形態では、押出ダイスのワイヤルーメンは、埋め込まれるべきワイヤの断面積よりもかなり大きな断面積を提供するのに十分な大きさになるように構築される。その結果、シリコーンが冷えるにつれて、ワイヤを囲んでいる通路はワイヤを強固に包むほどには収縮しない。絶縁ワイヤを組み込む共押出工程で、
図9に示されるようなチューブ・ワイヤ束状物を生成することができる。この例では、可撓チューブ514は、流体移送ルーメン516およびワイヤ移送ルーメン518の共押出物である。好ましくは、ワイヤ520は柔軟性および耐久性のために多重撚りであり、例えばPTFEのような、耐久性、可撓性の合成絶縁材522にコーティングまたはシース形成(sheathed)されている。撚りワイヤ520のPTFE系シース522は、シリコーンチューブ押出工程に関連した高温を保持することが可能であり、その結果、該チューブの完全性は、透析機200または患者ラインコネクタ106,128のいずれかに接続するため最終的にチューブを出るワイヤ部分524に沿って維持される。コーティング処理またはシース形成処理は、ワイヤが押出加工後かつ冷却時にワイヤ移送ルーメンの側壁に付着するのを防止する助けにもなりうる。
【0043】
図10は、典型的なコネクタ・ワイヤ・チューブアセンブリの断面図を示す。コネクタ400の基端側チューブ接続端が、取り付けられた二重ルーメンチューブ514の端部とともに示されている。流体移送ルーメン516は、コネクタ400の基端への圧入または接合のうち少なくともいずれかがなされ、コネクタ400の中央ルーメン414を通る流体の流れが可能となっている。撚りワイヤ520ははんだ付けまたはその他の方法で電極424に取り付けられ、該電極はコネクタ400のルーメン414内部に存在する任意の流体と導電接触している。チューブ514の外側を進む、ワイヤ520の非接続部分は、例えばPTFEのような絶縁合成コーティングでシース形成されていることが好ましい。任意選択で、露出ワイヤおよびシース付きワイヤいずれについてのこの部分も、RTVのような密封材で密封されてもよい。シース付きワイヤ522は、コネクタ400上のチューブ514の終端近くでチューブ514のワイヤ移送ルーメン518に入る。その後、ワイヤ/チューブ束状物は透析機200に向かって進み、透析機においてワイヤは
図1に示されるもののような導電性回路と接続するためにチューブから出る。
【0044】
図11は、
図12に示されるような血液透析装置220の中で着脱交換式ユニットとして使用可能な典型的な体外回路210を示す。この実施形態では、体外回路は、血液ポンプカセット114、透析器118、静脈還流エアトラップ122、動脈血チューブ108、静脈血チューブ126、動脈カテーテルコネクタ106、および静脈カテーテルコネクタ128を含んでなる。動脈コネクタ106および静脈コネクタ128は、
図5Aおよび5Bに示されたコネクタ300に類似の、または
図7A〜7Cに示されたコネクタ400に類似のタイプのものであってもよいし、これらの変形物であってもよい。動脈血チューブ108および静脈血チューブ126は、
図8A〜8D、または
図9に示されたタイプのものであってよい。コネクタ106,128の電極に対して端子接続を形成しているワイヤは、セグメント524A,524Bとして動脈チューブ106および静脈チューブ126を出てコネクタと接続し、該コネクタは最終的には該接続を、透析装置に、
図1に示されるもののような導電性回路に関連した端子へと渡す。図示された実施形態では、コネクタ526は、血液ポンプ114およびエアトラップ122のための支持構造体212に載置される。
【0045】
図12は、
図11に示された体外回路210を受承するように構成された典型的な血液透析装置220を示す。この説明図では、透析器118は既に装置220に載置されている。基本ユニット220は、嵌め合わせ血液ポンプカセット114の制御ポートを受承する。組をなしたレースウェイまたはトラック222は、外部まで延長されて患者に接続されていない時の動脈血チューブ106および静脈血チューブ126の対をまとめる助けとなる。コネクタ224は、ワイヤセグメント524Aおよび524Bとコネクタ526との間でなされた接続を受け取って、
図1に示されたもののような導電性回路の端子接続部へと渡す。チューブオクルーダ226は、静脈血チューブ126がエアトラップ122を出た後で該チューブ126を、また動脈血チューブ108が血液ポンプカセット114に到達する前に該チューブ108を、受け入れるように配置される。オクルーダ226は、体外血流の中止を必要とする警告状態が生じた場合はすぐに、例えば、空気圧式または電気機械式で始動されうる。オクルーダ226の1組のアームは、可撓チューブの壁に対して回転し、該チューブ内の流体流を制限または停止するように構成されうる。したがって、装置220の内部に設置されたコントローラは、
図1に類似の導電性回路からの信号であって、コネクタ106および128に載置された電極の間の流体または血液のカラムの電気抵抗を表わす信号を、受信することができる。コネクタは、血液ポンプ114、透析器118およびエアトラップ122よりも患者の血管または瘻134に流体的に非常に接近して配置されるので、血管または瘻134を通る流体通路に関連した信号は、コネクタ106/128と患者の血管または瘻134との間の血液または流体のカラムが完全であるか中断されているかを識別することができる。コントローラは、導電性回路によって検知された電気抵抗が予め決められた値を超えることが見出されると応答するようにプログラム可能である。その後、状況に応じて、コントローラは、血流断絶の可能性について患者に警告するためのアラームを引き起こすことが可能であり、さらに任意選択で患者から出入りする体外フローの中止をオクルーダ226に命令することもできる。
(離脱検知回路の操作)
図13は、上述かつ
図1に示された離脱検知回路を利用した試験結果を示す。この場合、米国特許出願公開第2009/0114582号明細書および同第2010/0056975号明細書(これらの内容は参照により本願に組み込まれる)に開示されたものに類似の血液透析血液回路および装置が使用された。
図11に示された体外回路210は、血液ポンプ114、透析器118、エアトラップ122、静脈血回路チューブ126および動脈血回路チューブ108を含んでなる。体外回路210は
図12に示されたものに類似の血液透析装置220に嵌め合わされる。試験された血流回路は、
図11に示された血液ポンプカセット114に配置構成された1対の膜ベースの血液ポンプ、透析器118、静脈還流エアトラップ122、動脈血チューブセット108、静脈血チューブセット126、動脈および静脈コネクタ106,128、ならびに
図4に示されるような血管アクセスニードル102,132に接続されたカテーテルチューブセット104,130を備えたものであった。ニードル102,132は血液凝固阻止が施されたウシ血液の入った容器内に置かれた。血液チューブセット108,126は長さおよそ1.8メートル(およそ6フィート)であり、カテーテルチューブセット104および130は長さおよそ0.6メートル(およそ2フィート)以下であった。ニードルは、瘻または血管からのニードルの離脱をシミュレートするために、血液が流れる間に容器から手作業で交互に出し入れされた。
図13の期間A、CおよびFは、ニードルが容器中の血液に沈められていた時間に相当する。これらの期間に
図1の離脱検知回路によって測定された電気抵抗は、平均120,000〜130,000オームであった。
図13の期間BおよびEは、静脈還流ニードル132(血液ポンプから陽圧下)が容器内の血液表面から数センチメートル上に引き上げられ、血液が静脈還流量ニードルを出て下方の血液の容器に入ったために空気と混じり合った血液の流れが形成されている時間に相当する。これらの期間に測定された電気抵抗は平均140,000〜150,000オームであった。期間Dは、ニードルのうち一方が容器から完全に取り出され、完全にオープンな電気回路が生じている時間に相当する。この期間に測定された電気抵抗は、平均約160,000〜180,000オームであった。したがって、コントローラは、中断されていない血流と中断された血流との間の、監視された電気回路の抵抗の差を識別するように容易にプログラム可能である。これらの結果は、動脈ニードル102と静脈ニードル132との間の血液の連続性の中断は、2つの電極が体外血液回路の血液処理構成要素114,118,122よりも動脈アクセス部位および静脈アクセス部位に比較的接近して設けられた場合、該2つの電極の間で測定される電気抵抗の検知可能な変化を確実に生じうることを示した。更に、(空気中を通る血流中のように)血流の連続性の部分的な中断でも、測定される電気抵抗の変化がより小さいにもかかわらず、確実に検知することができる。