(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記建物の複数の前記階の図面が登録された図面記憶手段と、前記図面のデータに、前記位置測位装置から受信した前記携帯端末装置の前記位置情報を組み合わせて、前記データに係る図面上に、前記携帯端末装置の位置をリアルタイムで表示する画像を作成する画像作成手段と、を更に備え、
前記画像作成手段は、表示すべき前記階として指定された表示階の電力量計及び濃煙感知器で停電又は濃煙が感知されたときに、前記表示階の前記図面のうち前記停電又は濃煙によって暗くなる停電部分又は濃煙部分の領域に、色彩表示を重ね合せることにより、前記停電部分又は前記濃煙部分を暗くした前記表示階の前記画像を作成し、
前記表示手段は、前記画像作成手段で作成された前記画像をリアルタイムで刻々と表示することを特徴とする請求項1記載の位置特定システム。
前記建物内の消防設備の制御を行う管理施設である防災センターに設けられた火災断定ボタン,前記建物内の火災感知器又は煙感知器,又は、前記建物内で火災を通報する押しボタンを備えた発信機の作動信号を受信したことに基づいて、前記画像作成手段が、前記携帯端末装置の位置をリアルタイムで表示する前記画像の作成を開始することを特徴とする請求項2記載の位置特定システム。
前記受信手順の前に、図面記憶手段が、前記建物のそれぞれの前記階の図面のデータを登録する手順と、前記建物における壁・設備の設置・除去の工事前に、該工事について消防機関に提出された報告書類に合致する図面になるよう、前記工事の都度前記図面のデータを更新する手順とを行い、
前記制御手段が、図面記憶手段に登録された前記建物のそれぞれの前記階の前記図面のデータに、前記位置測位装置から受信した前記携帯端末装置の前記位置情報を組み合わせて、前記データに係る図面上に、前記携帯端末装置の位置をリアルタイムで表示する画像を作成する画像作成手順を実行し、
前記表示手順では、前記画像作成手順で作成された前記画像をリアルタイムで刻々と表示することを特徴とする請求項5記載の位置特定方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係る位置特定システムS(以下、「システムS」という。)について、建物Bである高層ビルを例にして、
図1〜
図13を参照しながら説明する。
本実施形態は、
図1に示すように、AR(拡張現実)を活用した透視救助システム(See-Through AR rescue system ;STAR rescue system)とも呼ぶシステムに関し、G空間×ICT技術(情報通信技術;Information and Communication Technology)と総合操作盤の既存の図面とを連結して前記課題を解決するものである。
ここで、G空間情報とは、地理空間情報と同義であり、地理空間情報とは、後述する「地理空間情報活用推進基本法」においては、位置情報、すなわち「空間上の特定の地点又は区域の位置を示す情報(当該情報に係る時点に関する情報を含む)」又は位置情報及び「位置情報に関連づけられた情報」からなる情報と定義される(平成25年版情報通信白書 ICT白書 総務省編)。
【0029】
本実施形態のシステムSは、位置測位機器、IMES等の位置測位技術と、AR(拡張現実)等の建物可視化技術を用いて、救助隊員R2の位置、在館者P(要救助者V含む)の位置を監視するものである。
システムSでは、総合操作盤1と、総合操作盤1に元々格納された各階の平面
図71、91を利用して、防災センターCの指揮本部R1(消防指揮隊)、救助隊員の携行する携帯端末31に、各階の平面図に、救助隊員R2の位置、在館者P(要救助者V含む)の位置情報を重ね合せた映像を、相互に連携させてリアルタイムで表示する。
【0030】
これにより、平常時の防犯・動態管理、火災発生後の避難時の避難管理、逃げ遅れが生じた場合の救助管理が可能となる。特に、救助階での要救助者Vの救出に用いることができ、迅速・効率的な人命救助に役立てることができる。
システムSの概略模式図は、
図2の通りである。システムSにより、活動現場の救助隊員R2の画面と防災センターCの指揮本部R1が使用する総合操作盤1の画面には、活動現場の平面
図71、91に、要救助者V、救助隊員R2の位置情報を重ね合せた映像が、同期して表示され、救助の可視化が図られ、救助の報告、指示伝達、情報共有を迅速に行うことができる。
【0031】
システムSは、総合操作盤が設置された防火対象物に適用可能である。例えば、高層ビル等の建物や、地下街,トンネル等の地下施設、工場,空港,駅,港湾等の構造物に用いることができる。また、防災センター及び総合操作盤が設置されていればよく、国際会議場のように低層で広い建築物や、敷地内に仮設テント等が配置されたイベント会場、屋外コンサート会場、広場等に用いることもできる。
また、ICタグ51(携帯端末)を、原子力発電所の作業員(滞在者)に所持させ、各ICタグ51の発電所(管理領域)内の移動ルートを監視することにより、被ばく量の管理に用いてもよい。
【0032】
システムSは、火事、地震等の災害に被災した建物Bにおいて、消防隊Rの救助隊員R2が建物B内に取り残された要救助者Vの救助を行う際に、防災センターCの消防隊Rの指揮本部R1と、救助活動現場の救助隊員R2とから、救助隊員R2及び要救助者Vの位置を確認するシステムである。
システムSでは、総合操作盤1内の平面
図71のデータを活用して、総合操作盤1から平面
図71のデータを携帯端末31(タブレット端末等)に送信することにより、最新のG空間情報を活用した新しい救助活動が可能となる。
但し、火事等の災害発生直後に、消防隊R到着前に、防災センターCの担当者が、建物B内の滞在者の誘導のために用いることもできる。この場合には、消防隊Rの代わりに、防災センターCの担当者が、携帯端末31を所持し、要救助者Vの代わりに、自力で移動可能な滞在者の位置情報が表示される。
【0033】
<システムSの構成>
図3は、本実施形態のシステムSの概略を示すシステム説明図、
図4は、システムSの主要構成を示す説明図である。
本実施形態の建物Bは、大型の高層ビルであって、各階のフロアには、飲食店や駐車場、オフィスなどが入居している。
システムSは、建物B内に構築され、
図3に示すように、建物B内の防災センターCと、救助活動が行われる活動現場Aとの間に設けられている。防災センターCに設置された総合操作盤1と、防災センターCに常備され、各救助隊員R2や建物Bの警備員等が身につける救助隊員携帯端末装置としてのICタグ51と、防災センターCに常備され、救助隊員R2や建物Bの警備員等が活動現場Aで使用する複数の携帯表示装置としての携帯端末31と、建物Bの活動現場Aとなる各フロアに設置された位置測位装置としての位置測位センサー41と、在館者P又は要救助者V(滞在者)の所持する(要救助者)携帯端末装置としての携帯端末61と、を主要構成要素とする。
【0034】
在館者Pとは、建物B内に滞在する者をいう。
要救助者Vとは、広義には在館者Pに含まれ、建物Bの火災発生時に、自力避難できない逃げ遅れ者をいう。都市部の建築物は高層等の耐火建築物や地下施設等が多く、この耐火建築物の火災の特徴として、開口部も少なく密閉性も高いことから、濃煙や熱気が滞留するため、要救助者が多数発生する可能性がある。
【0035】
消防隊Rとは、消防に所属する職員のうち、火災が発生した際に火災現場である建物Bへ赴く隊をいう。消防隊Rのうち、救助隊員R2は、各フロアの活動現場Aにおいて、災害発生時に逃げずに各フロアに取り残された要救助者Vを救助する救助活動をする。
救助隊員R2は、3名で1つの検索班を形成して、要救助者Vの検索を行う。検索班は、実際に救助活動を行う2名の検索員と、2名の検索員を結ぶ確保ロープ(命綱)を確保する確保者(隊長)で構成される。検索要領は、確保者(隊長)が検索起点で確保ロープを保持しながら、検索員の動きに合わせてロープの繰り出し及びけん引を行い誘導する。検索員は照明器具などを携帯し、濃煙熱気に暴露されないよう低い姿勢をとり、自分の位置を見失わないよう手を壁に沿わせて要救助者Vを検索する。要救助者を発見すると検索員2名で協力して、安全な場所まで要救助者Vを搬送する。
空気ボンベの容量が最大約20分のため、救助隊員R2は、時間管理下(検索起点までの退出時間も含む)で要救助者Vを救出する。
倉庫、地下等の大空間での検索活動では、濃煙熱気(赤外線暗視技術などがあるが、濃煙熱気状況下では煙自体の熱気に遮られて透視できない。)が充満して視界が悪く、壁等に沿って行動することもできないため、肉眼等では自己位置の判らない状況下での活動となる。また、濃煙熱気状況下での長時間の活動は救助隊員R2の疲労が蓄積し、また個人装備の重量も20kg以上あることから体力の消耗が激しい。
【0036】
また、消防隊Rのうち、指揮者は、建物Bの防災センターCに指揮本部R1を設置し、建物Bにおける救助活動や消防活動を指揮する。
消防隊Rは、防災センターCに常備されたICタグ51を身につけており、救助隊員R2のうち、確保者は、携帯端末31を携帯している。なお、救助隊員R2も、携帯端末31を携帯していてもよい。
建物Bの各フロアには、位置測位センサー41、公知の防火戸42、煙感知器又は熱感知器等の公知の感知器43、火災を発
見した人が押しボタンを押すことにより火災を通報する公知の発信機44、建物B内の人に火災の発生を知らせるベル等から構成される公知の地区音響装置45等が設置されている。
【0037】
位置測位センサー41は、信号を発信して携帯端末の位置情報を取得する装置である。位置測位センサー41は、位置が特定される携帯端末側にプログラムのインストールがいらない方式の発信機、例えば、IMES(Indoor Messaging System)送信機又はiBeacon送信機等から構成される。但し、位置測位センサー41を介さず、災害時に起動し、位置情報を総合操作盤1に送信するアプリケーションを、携帯端末61及びICタグ51にインストールして用いてもよい。
IMES送信機は、それ自身の位置座標(緯度、経度、標高)やフロア階数(フロアID)などの情報を送信し、受信機となる携帯端末側で受信された位置情報を受信点位置とみなす送信機であって、位置情報をメッセージとして送信する方式による。1,575.42MHz±8.2kHzを中心周波数とする。相互に10〜20mの距離をおいて、建物Bに複数設置される。
【0038】
また、iBeacon送信機は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)をデータの送受信に用いた近距離無線通信技術であるiBeaconの端末である。iBeaconのデータ転送可能な範囲は、理論値で50m、推奨値で10mである。
位置測位センサー41は、感知器43、発信機44、地区音響装置45や、不図示の誘導灯、非常照明、防煙垂れ壁等に内蔵又は外付けされていてもよいし、建物Bの壁、床、天井に埋め込み又は外付けされていてもよい。
なお、位置測位は、そのほか、WiFi, Bluetooth(登録商標),GPS,加速度センサを用いたPDR(Pedestrian Dead Reckoning:歩行者自立航法),準天頂衛星(QZS)を用いて行ってもよい。
【0039】
建物Bには、
図3に示す防災センターCが設けられている。防災センターCは、建物内の火災等の監視と消防設備等の制御を行う管理施設であって、一定の防火対象物については、消防法により設置が義務付けられている。防災センターCは、消防隊Rがこの場所で有効な指揮活動等を行えるように活動スペースを確保することとされており、建物Bにおける火災発生時には、消防活動及び救助活動を行う消防隊の指揮本部となる。
【0040】
防災センターCには、
図4に示すように、総合操作盤1と、受信機21と、予備電源装置22と、その他不図示の通信・非常放送設備等が設置されている。
受信機21は、建物Bに設置された防火戸42、感知器43、発信機44、地区音響装置45との間で情報を送受信して、情報を総合操作盤1に中継する装置であり、基本的には1棟の建物Bに対して一つ設けられている。従って、一ヶ所の防災センターCで複数の建築物を監視する場合には、総合操作盤1は、防災センターCが設置された建物Bの受信機21のほか、他の棟に設置された不図示の受信機とも接続される。
【0041】
総合操作盤1は、消防・防災設備を有機的に機能させ、消防活動を有効にすることを設置目的とし、「複数の消防用設備等に係わる監視、操作等により、防火対象物全体における火災の発生、火災の拡大状況などを把握できる機能を始めとする総合的な管理機能を有するもの」であって、「表示部、操作部、制御部、記録部及び附属設備で構成されるものとし、防火対象物の規模、利用形態、火災における人命安全の確保、防火管理体制及び消火活動の状況に応じて、円滑に運用できる機能を有」し、一定規模以上の防火対象物に設置が義務づけられているものである。
図4のように、受信機21を介して、建物Bに設置された防火戸42、感知器43、発信機44、地区音響装置45と情報送受信可能に連結され、これらの機器の監視、管理等を行う。
【0042】
現行の「総合操作盤」の基準は、高層建築物、大規模建築物等に対して、防災センター等で消防設備等や防災設備等を一括集中管理するために、2004年5月31日に告示で定められたものである。「総合操作盤」を必要とする防火対象物については、消防法施行規則第12条第1項第8号に規定されている。
「総合操作盤」は、CRT表示等に火点階及びその上下階の平面図を表示する機能、消防設備等や防災設備等を制御する機能、火災発生時に到着した消防隊に的確かつ早急に情報提供するための消防活動支援機能等を備えることとされており、作動した感知器の位置やスプリンクラー設備の作動範囲、防火戸等の防災設備の作動状況を把握できる機能を有している。
【0043】
総合操作盤1は、機能の一つとして、火災発生時に、到着した消防隊に的確かつ早急に情報提供するため、消防活動支援機能を備えている。
一 CRT表示等に感知器、発信機又はガス漏れ検知器が作動した全ての階の平面図及び当該階に係る次の事項を分かりやすく表示できること。
(一) 作動した感知器又は発信機の位置
(二) 作動したガス漏れ検知器の位置及びガス遮断弁の作動状況
(三) 防火区画を構成する壁の位置並びに防火戸、防火・防煙シャッター、ダンパー及び可動防煙垂れ壁の作動状況
(四) 排煙機及び排煙口の作動状況
(五) スプリンクラー設備等自動消火設備の作動範囲
二 CRT等には、次の各階の平面図が簡単な操作により分かりやすく表示されること。(一) 出火階の平面図
(二) 出火階以外の感知器、発信機又はガス漏れ検知器の作動した階の平面図
(三) 出火階の直上階の平面図
(四) 出火階の直下階の平面図
【0044】
本実施形態の総合操作盤1は、
図4に示すように、
制御手段としてのCPU11、インターフェース部12、表示装置13、記憶装置であるHDD14、ROM15、RAM16及び記憶媒体装置17、CPU11に指令を入力するとき操作されるキーボード18、マウス19等を備えている。
CPU11は、ROM15又はHDD14に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行するようになされている。RAM16には、CPU11が各種の処理を実行するために必要なデータなどが記憶される。
記憶媒体装置17は、外付けハードディスク、光磁気ディスク、CD−R、DVD、メモリスティックなどにより構成され、インターフェース部12を介して送信されてきたデータを適宜記憶し、またこれを読み出すことができるようになされている。
記憶媒体装置17は、HDD14に格納された建物Bの新築時の設備付き図面データや、レイアウト変更後に変更部分が修正された修正図面のデータを、外部から、図面データベースに格納するときに用いられる。
【0045】
HDD14には、救助用端末管理テーブル、図面データベース(
図5の機器位置テーブル、表示用図面テーブル、図面データフォルダ)が格納されている。
救助用端末管理テーブルには、防災センターCに常備される携帯端末31及びICタグ51の個体識別情報が、それぞれ格納されている。
機器位置テーブルには、建物Bの防火戸42、感知器43、発信機44、地区音響装置45、位置測位センサー41等の機器の個体識別情報と階数及び緯度,経度,標高が、相互に紐付けて登録されている。
表示用図面テーブルには、建物Bの各階の表示用図面データの階数、表示用図面データの名称、P0、P1の緯度、経度、標高が、相互に紐付けて登録されている。
図面データフォルダには、建物Bの各階の表示用図面データが、ファイルに名称を付されて格納されている。
図面データフォルダに格納された各階の図面データは、CAD(Computer Aided Design)で作成された各階の平面図の電子データである。
この平面図データは、該当する階の平面図に、壁,扉,窓,階段,エスカレータ,エレベータ,各種設備等が描画された画像データである。また、この平面図データには、防火戸42、感知器43、発信機44、地区音響装置45等の消防用設備が、これらの消防用設備の位置を特定可能でかつ個々の設備を識別可能なアイコンにより描画されている。
【0046】
また、平面図データは、建物Bの建築時に作成され、建物Bのいずれかの箇所でレイアウト変更等の工事が行われた場合には、その都度、変更内容を反映した修正が行われている。
建物Bについて工事が行われたときには、工事の内容の届け出義務及び総合操作盤1内の平面図データの更新の義務が課されているため、工事の後、遅滞なく、工事箇所における変更内容が、平面図データに登録されて更新される。
従って、平面図データは、常に建物Bの最新の状態に一致した図面データとなっている。更新前の古い平面図データは残されておらず、常に最新のものだけが一部格納されている。
なお、本実施形態では、
図5の表示用図面データのように、平面図の電子データを用いているが、
図6のように、3次元図面の電子データを用いてもよい。
【0047】
ICタグ51は、防災センターCに、数十〜数百個等の建物Bの規模に応じた個数が常備され、各救助隊員R2又は建物Bの警備員等がそれぞれ一つずつ身につける小型の電子装置である。ICタグ51は、CPU、送受信部、記憶装置等を備えている。ICタグ51の記憶装置には、GPS機能プログラムが格納され、位置測位センサー41から位置測位可能に構成されている。
ICタグ51は、位置測位センサー41からの電波を受けて、内蔵の個体識別情報等を含む電波信号を送信し、この電波信号が位置測位センサー41により受信されることにより、ICタグ51の位置情報が取得される。
なお、ICタグ51の代わりに、救助隊員R2が所持する携帯電話、PHS等の携帯可能な通信機器を用いてもよい。
【0048】
携帯端末61は、在館者P又は、火災、地震等の災害発生時に、各フロアに取り残された要救助者Vが所持する携帯電話、PHS等の携帯可能な通信機器である。なお、携帯端末61は、携帯可能な通信機器であればよく、携帯音楽プレーヤ、カメラ、ポケットコンピュータ、携帯ゲーム機、無線機、ポケットベル等であってもよい。
携帯端末61は、CPU、送受信部、表示装置、記憶装置、キーボード等を備えている。携帯端末61の記憶装置には、GPS機能プログラムが格納され、位置測位センサー41から位置測位可能に構成されている。
近年、多くの個人が携帯端末を携帯して所持していることから、本実施形態では、位置測位センサー41により測位した携帯端末61の位置を、在館者P,要救助者Vの位置とみなしている。
【0049】
救助隊員R2又は建物Bの警備員等の所持する携帯端末31は、総合操作盤1から送信される活動現場Aの図面データを表示する表示装置を備えた携帯可能な通信機器からなり、本実施形態では、
図3に示すように、タブレット型コンピュータからなる。携帯端末31は、そのほか、空気呼吸器の面体(マスク)内に搭載した画像表示装置、両眼用,単眼用,ビデオ透過型,透過型のヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、腕時計型ウェラブルコンピュータ、衣類にコンピュータを統合したウェラブルコンピュータとして構成してもよい。
携帯端末31は、CPU、送受信部、表示装置、記憶装置、キーボード等を備えている。なお、携帯端末31の記憶装置には、GPS機能プログラムが格納され、位置測位センサー41から位置測位可能に構成されている。
【0050】
携帯端末31は、必要数を防災センターCに常備し、不図示のアクセスポイントを用いて、総合操作盤1との間で無線LAN(Local Area Network)を構築して、総合操作盤1と携帯端末31との間で情報送受信可能とされる。携帯端末31は、総合操作盤1と情報送受信可能に接続された状態で、総合操作盤1から、活動現場Aの図面データに、活動現場Aに存在するICタグ51、携帯端末61の位置が重ね合わされて表示された位置表示データを受信して、表示装置の画面に表示する。なお、携帯端末31の位置も、図面上に併せて表示してもよい。
【0051】
<システムSの構築>
次に、システムSの構築作業の流れについて説明する。
所定の防火対象物である建物Bの新築時には、消防関連法規の規定に基づき、建物B内には、総合操作盤1等を備えた公知の防災センターCが設置される。また、建築基準法規及び消防関連法規に従って、
図5に示すような建物Bの各階の平面図データが、CADシステムを用いて作成される。
この平面図データには、
図5に示すように、予め、壁,扉,窓,階段,エスカレータ,エレベータ,各種設備等が描画されている。
このように、作成段階でCADシステムを用いて作成された平面図データを用いるため、歪みがなく比較的安価に正確な平面図データを得ることができる。また、全てシステムSでは、このように総合操作盤1に内装された平面図データを用いるため、実現化が容易となる。
【0052】
総合操作盤1の保守担当者は、建物Bの各階の平面図データを、全フロア分入手すると、保守担当者のオフィスの不図示の自席のコンピュータを用いて、表示用図面データの作成を行う。
表示用図面データの作成は、自席のコンピュータのHDDに登録された不図示の表示用図面データ作成プログラムを用いて、CPU11により実行される。
コンピュータの画面上で、保守担当者により、建物Bの任意の階の平面図データのアイコンがクリックされると、コンピュータは、不図示の表示用図面データ作成プログラムを立ち上げ、クリックされた平面図データを画面上に表示する。
各階の平面図上において、基準点P0が選択され、この基準点P0に、保守担当者が、不図示の緯度経度プログラムで取得した緯度、経度のデータが入力されると、コンピュータは、基準点P0に、入力された緯度a0,経度b0を登録する。
また、画面上において、緯度、経度が異なる他の基準点P1についても、同様に、緯度a1,経度b1を登録する。
【0053】
なお、将来的に3次元図面データとして活用する場合には、基準点P0には、緯度a0、経度b0のほかに、建物Bの設計資料から得た標高c0のデータを、基準点P1には、緯度a1、経度b1のほかに、建物Bの設計資料から得た標高c1のデータを登録すればよい。また、この場合、基準点P0は、標高と、緯度又は経度の一方が最も小さい点、基準点P1は、標高と、緯度又は経度の一方が最も大きい点とすればよいが、P0、P1は、その階の3次元図面データの形状によって適宜選択される。P0、P1には、緯度、経度、標高のいずれもが相互に相違する基準点が選択される。
【0054】
次いで、保守担当者により、平面図データの該当する位置に、防火戸42、感知器43、発信機44、地区音響装置45、位置測位センサー41等のデータ入力が行われる。データ入力では、予め定められたアイコンと、該当する機器の個体識別情報が入力される。これにより、コンピュータは、入力された位置について、P0,P1から自動で計算した緯度,経度と、該当する機器の個体識別情報と、処理中の階数と、入力されたアイコンを特定するアイコン特定情報と、を登録する。
処理中の階の平面図データについて、全ての機器の登録が完了し、保守担当者により、画面上の不図示の完了ボタンがクリックされると、登録された機器の個体識別情報と階数及び緯度,経度を、相互に紐付けて、
図5の機器位置テーブルに自動登録し、各階の表示用図面データの階数、表示用図面データの名称、基準点P0、基準点P1の緯度、経度を、相互に紐付けて、
図5の表示用図面テーブルに自動登録し、表示用図面データを、表示用図面データフォルダに自動登録して、表示用図面データ作成プログラムの処理を終了する。
なお、表示用図面データ作成プログラムの処理は、総合操作盤1で行ってもよい。
【0055】
次いで、保守担当者は、
図5の機器位置テーブル、表示用図面テーブル、表示用図面データフォルダを、記憶媒体装置17に格納し、この記憶媒体装置17を防災センターに持ち込み、総合操作盤1に接続し、HDD14の図面データベースに、複写又は移動して、格納する。
【0056】
また、建物Bへのテナント等の入居者の入居、退居時、建物Bのレイアウト変更、設備の設置等のために、入居者又は建物Bの管理者が壁や設備の設置や除去等の工事をする際には、入居者又は建物Bの管理者には、工事を実行する前に、工事の内容について消防機関へ報告することが義務づけられている。保守担当者は、消防機関への報告書類を入居者又は建物Bの管理者から取得し、この書類に基づき、工事の後速やかに、図面データベースの登録内容を更新し、実際の建物Bの設置状況との整合を図る。
【0057】
保守担当者による図面データベースの登録内容の更新は、次の手順で行われる。
HDD14の表示用図面データフォルダから、更新したい階の表示用図面データを選択すると、総合操作盤1のCPU11は、不図示の表示用図面データ作成プログラムを立ち上げ、選択された表示用図面データを画面上に表示する。
画面上に表示された表示用図面データが、保守担当者の操作により、消防機関への報告書類に合致するように変更される。
処理中の階の平面図データについて、全ての変更が完了し、保守担当者により、画面上の不図示の完了ボタンがクリックされると、
図5の機器位置テーブル、表示用図面テーブル、表示用図面データフォルダを、変更された内容のデータに自動更新して、表示用図面データ作成プログラムの処理を終了する。
【0058】
以上の表示用図面データ作成プログラムの処理により、機器位置テーブル、表示用図面テーブル、表示用図面データフォルダは、常に最新のデータに更新された状態となっている。
また、総合操作盤1のCPU11は、保守担当者の操作により、HDD14の救助用端末管理テーブルに、救助隊員R2が救助活動で使用する携帯端末31と、救助活動に従事する救助隊員R2の全員が身につけるICタグ51の個体識別情報を登録する。
救助用端末管理テーブルには、防災センターCが所有する全ての携帯端末31、ICタグ51の個体識別情報を登録する。
【0059】
<通常時及び火災発生後消防隊R未到着時:建物B内の在館者Pの位置特定処理>
以上のようにして構築されたシステムSが使用される場面は、大きく分類して、通常時、火災発生後消防隊R未到着時、消防隊R到着時の3つに分けられ、ここでは、通常時、火災発生後消防隊R未到着時の処理について説明する。
通常時とは、火災や地震の発生していない場合をいい、防犯・動態管理等のために建物B内に存在する在館者Pの位置を確認するために用いられる。例えば、一時間ごとの建物B内の警備巡回の際に、防災センターCの総合操作盤1から、在館者Pの位置確認や不審者の有無確認をしてもよいし、巡回する警備員が、携帯端末31を持って建物B内を巡回して、在館者Pの位置確認や不審者の有無確認をしてもよい。
また、火災発生後消防隊R未到着時とは、火災発生後消防隊Rを呼んだ後到着するまでの間などを含む。火災発生後消防隊R未到着時には、建物Bの警備員等が、防災センターCの総合操作盤1又は携帯端末31で、在館者Pの移動方向や、止まっている位置を確認することにより、在館者Pの避難方向の確認、適切でない方向に移動する在館者Pがいないかの確認等を行うことができる。例えば、在館者Pが任意の場所に移動した後、そこから動かない場合には、出口の鍵が閉まっているなどの可能性があるため、出口の鍵を持って、その出口に警備員や自衛消防隊等が急行し、鍵を開けることができる。
【0060】
システムSを用いて、通常時及び火災発生後消防隊R未到着時に、在館者Pの位置を特定する処理について説明する。
位置の特定は、在館者Pの携帯端末61等を含むあらゆる携帯端末を、総合操作盤1の表示装置13及び携帯端末31の画面に表示することにより行う。なお、在館者Pの携帯端末61等を含むあらゆる携帯端末としては、建物Bの警備員等が身につけたICタグ51や、携帯端末31を含む。
【0061】
総合操作盤1の不図示の画面で、不図示の透視監視ボタンがクリックされると、不図示の表示階指定画面を表示して、
図7のフローチャートの処理をスタートする。
図7のフローチャートの処理は、総合操作盤1のCPU11で制御される。
まず、ステップS31で、不図示の表示階指定画面又は
図8の表示階選択ボタン92がクリックされることにより、表示階が指定されたかを判定する。
【0062】
表示階の指定がされている場合(ステップS31:Yes)、ステップS32で、指定された階数をキーとして、総合操作盤1のHDD14に格納された
図5の表示用図面テーブルを参照して該当する表示用図面データの名称を取得し、取得した名称をキーとしてHDD14に格納された
図5の図面データフォルダを参照して、指定された階の表示用図面データを取得する。
次いで、ステップS34で、指定された階の携帯端末31、61及びICタグ51を含む携帯端末の位置情報を取得する。
【0063】
表示階の指定がされていない場合(ステップS31:No)、ステップS33で、任意の階が表示階画面90に表示されているか判定する。
任意の階が表示されていない場合(ステップS33:No)、透視監視ボタンクリック後、まだ表示階が指定されていないものとして、ステップS31に戻り、不図示の表示階指定画面又は
図8の表示階選択ボタン92がクリックされることにより、表示階が指定されたかを判定する。
【0064】
任意の階が表示されている場合(ステップS33:Yes)、表示階の指定がされていないため、ユーザが、表示されている任意の階の表示継続を望んでいるものとして、表示階の指定はそのままとして、ステップS34に進み、表示される階の携帯端末31、61及びICタグ51を含む携帯端末の位置情報を取得する。
このステップでは、表示される階の階数をキーとして、総合操作盤1のHDD14に格納された機器位置テーブルを参照して、表示される階の位置測位センサー41の個別識別情報を取得し、この個別識別情報に係る位置測位センサー41から、表示される階に存在する携帯端末の位置情報と、その携帯端末の携帯端末31、61及びICタグ51の別を取得する。
【0065】
各携帯端末の携帯端末31、61及びICタグ51の別は、各携帯端末の個体識別情報をキーとして、機器位置テーブルを参照し、携帯端末31又はICタグ51であるかを判定して行う。携帯端末31又はICタグ51である場合には、携帯端末31又はICタグ51である旨の識別を付す。携帯端末31又はICタグ51でない場合には、防災センターCで準備された携帯端末31及びICタグ51のいずれでもないとする。
ステップS35で、表示階において火災を感知したか判定する。このステップでは、表示階の階数をキーとして、HDD14の機器位置テーブルを参照して、表示階の機器の個別識別情報を取得し、取得した個別識別情報の感知器43、発信機44のうち、作動しているものがあるかを判定することにより行う。
火災を感知していない場合(ステップS35:No)、ステップS37で、表示される階の分電盤の電力量計で、電流が計測されていないかを判定すると共に、表示される階に設置された濃煙の感知器43で、濃煙が感知されているかを判定することにより、表示される階が停電である又は濃煙が充満しているかを判定する。
なお、濃煙の感知器43を用いた濃煙の感知の処理では、所定数以上、例えば、5以上の隣接するイオン化式又は光電式煙感知器が作動したときに、濃煙が感知されたと判定してもよいし、映像に映る空間の煙の濃度を識別する映像式の煙感知システム、例えば、映像火災警報システム等により、予め設定された濃度以上の煙が感知されたときに濃煙が感知されたと判定してもよい。
ステップS35〜S37の処理では、ステップS35における火災感知時及び非感知時のいずれにおいても、ステップS37で、表示階における停電及び濃煙の有無を判定している。つまり、ステップS37では、火災の有無に関わらず起こり得る停電だけでなく、火災時にのみ起こり、非火災時には起こり得ない濃煙の有無についても判定している。
このように、ステップS35の結果に関わりなく、ステップS37で、ステップS35とは別個独立に停電及び濃煙の有無を判定するので、火災発生のダブルチェックを行うことができる。つまり、火災が発生しているにもかかわらず、ステップS35で、何らかの理由により火災が感知されなかった場合には、ステップS37の判定により、ステップS39で表示階が暗表示されるので、ユーザは、火災が発生していることと、感知器43のデータ送信系統に何らかの異常があることを知ることができる。
火災を感知した場合(ステップS35:Yes)、ステップS36で、作動を検知した感知器43、発信機44の位置情報を取得する。このステップでは、作動を検知した感知器43、発信機44の個別識別情報をキーとして機器位置テーブルを参照し、緯度、経度を取得する。
次いで、ステップS37で、表示される階が停電である又は濃煙が充満しているかを判定する。
【0066】
停電でなく、濃煙も充満していない場合(ステップS37:No)、ステップS38で、ステップS32で取得した表示階の図面データに、S34で取得した表示階の携帯端末の位置情報を重ねて、総合操作盤1の表示装置13に、
図8の表示階画面90を表示する。このとき、ステップS36で火災を感知していた場合には、作動を検知した感知器43、発信機44の位置情報を、炎の形状のアイコンからなる火災表示として、併せて表示する。
次いで、ステップS40で、表示階画面90を、携帯端末31に送信する。
【0067】
停電であるか又は濃煙が充満している場合(ステップS37:Yes)、ステップS39で、ステップS32で取得した表示階の図面データに、S34で取得した表示階の携帯端末の位置情報を重ね、停電又は濃煙によって暗くなる平面
図91の領域に、公知の方法により、背景が視認できる程度にグレーの色彩を重ね合せて、表示装置13に、停電部分又は濃煙部分を暗くした不図示の表示階画面90を表示する。このとき、ステップS36で火災を感知していた場合には、作動を検知した感知器43、発信機44の位置情報を、炎の形状のアイコンからなる火災表示として、併せて表示する。
次いで、ステップS40で、表示階画面90を、携帯端末31に送信する。
なお、このステップでは、電源が入っていない携帯端末31は、送信された情報を受信できないため、電源が入っている携帯端末31のみで、表示階画面90が表示される。
【0068】
また、ステップS38又はS39で総合操作盤1の表示装置13に表示された表示階画面90の情報を、その直後のステップで、携帯端末31に送信しているため、総合操作盤1の表示装置13と携帯端末31との間で、表示される表示階画面90が同期して表示される。
その後、
図7のフローチャートの処理を終了する。
図7のフローチャートの処理は、総合操作盤1の不図示の画面で、不図示の透視監視ボタン以外のボタンがクリックされるまで、繰り返される。
【0069】
また、総合操作盤1のCPU11は、ステップS38又はS39で表示された
図8又は不図示の表示階画面90を、公知の方法で録画して、録画したデータを、所定時間毎、例えば10分毎のデータとし、そのデータに含まれる映像の録画時間帯をファイル名称として、HDD14内の不図示の映像記憶手段に格納する。
総合操作盤1の表示装置13で、
図8のリプレイボタン95がクリックされると、CPU11は、表示装置13に、再生する映像のファイル名称を選択可能に表示する不図示の時間帯指定画面を表示する。時間帯指定画面で、録画された時間帯を示すファイル名称が指定されると、CPU11は、不図示の映像記憶手段から、指定されたファイル名称の映像のデータを取得し、不図示のリプレイ画面で、指定された映像を再生する。
【0070】
不図示のリプレイ画面では、過去に表示装置13に表示された表示階画面90が再生される。従って、例えば、小火(ぼや),地震,火災等の発生直後や、地区音響装置45の鳴動直後の表示階における在館者Pの移動状況を、その当時の表示階画面90を、直後又は事後に再生して、確認することができる。
このリプレイ画面は、火災発生後消防隊R到着前における在館者Pの避難経路への誘導や、避難経路が適切に確保されているか否かの確認等に用いることができる。例えば、適切でない方向へ移動している在館者Pが確認された場合は、放送等により、適切な方向へ移動するよう誘導できる。複数の在館者Pが一箇所で止まった場合には、避難経路に荷物や施錠された扉等の障害物が存在する可能性があるため、携帯端末31を携帯して、警備担当者等が該当箇所に行って、状況確認又は障害物の撤去等ができる。
また、避難及び救助完了後には、避難経路、避難誘導、救助等が適切であったかなどの検討に用いることができる。
【0071】
<要救助者救助支援:システムSを利用した建物B内の要救助者V及び救助隊員R2の位置特定処理>
システムSを用いて、火災、地震等発生時に消防隊Rが建物B内の要救助者Vを救助する救助活動中に、要救助者V及び救助隊員R2の位置を特定する処理について説明する。
位置の特定は、要救助者Vの携帯端末61及び救助隊員R2の携帯端末31、救助隊員R2のICタグ51を、総合操作盤1の表示装置13及び携帯端末31の画面に表示することにより行う。
【0072】
位置特定処理は、建物Bの任意の階で火災が発生し、その階のフロアに、要救助者Vが取り残されている状況を例として説明する。
建物Bで火災が発生すると、感知器43により煙や熱等が感知されるか、発信機44の不図示のボタンが押されることにより、その信号が受信機21を介して総合操作盤1に送信される。
感知器43又は発信機44で火災が検知されると、連動して地区音響装置45で火災の発生を知らせるベルが鳴らされ、又は、自動火災報知設備と連動して火災を知らせるアナウンスが、不図示の放送設備を通じて自動で流される。同時に、建物Bの防災担当者により、火災発生の確認及び消防機関への通報が行われ、消防隊Rが、建物Bへ出場する。
建物Bの防災担当者により、火災の発生が確認され、不図示の火災断定ボタンが押されると、
図9、
図10のフローチャートの処理がスタートする。なお、
図9、
図10のフローチャートは、発信機44が押された場合にも、スタートする。
図9、
図10のフローチャートの処理は、総合操作盤1のCPU11で制御され、感知器43又は発信機44の作動信号受信後は、総合操作盤1の不図示の連動停止ボタンが押されるまで、繰返し実行される。
【0073】
ステップS1で、感知器43又は発信機44の作動信号に含まれる感知器43又は発信機44の個体識別情報を取得する。
次いで、ステップS2で、ステップS1で取得した作動機器の個体識別情報をキーとして、HDD14の図面データベースの機器位置テーブルを参照し、作動機器の階数及び位置情報(緯度、経度)のデータを取得する。なお、3D図面を用いる場合には、位置情報として、緯度、経度と共に、標高のデータを取得する。
ステップS3で、階数及び位置情報を取得していない作動機器があるか、判定する。
階数及び位置情報を取得していない作動機器がある場合(ステップS3:Yes)、全ての作動機器についての情報取得が完了していないものとして、ステップS1に戻り、情報取得をしていない感知器43又は発信機44について、作動信号に含まれる感知器43又は発信機44の個体識別情報を取得する。
【0074】
階数及び位置情報を取得していない作動機器がない場合(ステップS3:No)、全ての作動機器についての情報取得が完了したものとして、ステップS4で、建物B全体の位置測位センサー41で検出される携帯端末の階ごとの検出数Naを取得する。
このステップS4では、建物Bの全ての位置測位センサー41から、検出された携帯端末31、61、ICタグ51の位置する階のデータを受信して、階ごとの携帯端末31、61、ICタグ51の検出数Naを取得する。
【0075】
ステップS5で、建物B全体の位置測位センサー41で検出される消防隊Rの携帯端末31及びICタグ51の階ごとの検出数Nrを取得する。
このステップS
5では、建物Bの全ての位置測位センサー41から、検出された携帯端末のうち、消防隊Rの携帯端末31及びICタグ51の個体識別情報に合致した携帯端末31の位置する階のデータを受信して、階ごとの携帯端末31の検出数Nrを取得する。
次いで、ステップS6で、階ごとに、Na−Nrの演算を行い、階ごとの要救助者Vの携帯端末61の数を算出する。
【0076】
次いで、ステップS7で、総合操作盤1の表示装置13に、表示階画面70が表示されているかを判定する。
総合操作盤1の表示装置13に、表示階画面70が表示されている場合(ステップS7:Yes)、火災検知直後ではなく、火災検知後に既に表示階画面70が表示された後であって、最初に火災が発生した階を表示する処理は必要ないものとして、ステップS8で、総合操作盤1の表示装置13に、表示階画面70として表示すべき階が、表示階選択ボタン72により指定されているかを判定する。
表示階画面70として表示すべき階が、表示階選択ボタン72により指定されている場合(ステップS8:Yes)、ステップS9で、表示階選択ボタン72により指定された表示階の指定が、表示装置13に表示された表示階画面70の階数と一致するかを判定する。
表示階の指定が、表示装置13に表示された表示階画面70の階数と一致しない場合(ステップS9:No)、総合操作盤1のユーザは、その時点で表示装置13に表示された階とは異なる階の画面を表示したいものとして、ステップS10で、指定された階の表示用図面データを取得する。このステップでは、まず、表示階選択ボタン72で選択された階数をキーとして、表示用図面テーブルを参照し、その階数の表示用図面データの名称を取得する。次に、この名称をキーとして
図5の表示用図面データフォルダを参照し、該当する名称の表示用図面データを取得する。
次いで、
図9のAから
図10のAを経てステップS12に進み、その階数に係る表示階において、位置測位センサー41により、携帯端末31、61及びICタグ51が検出されたか判定する。
【0077】
また、表示階画面70として表示すべき階が、表示階選択ボタン72により指定されていない場合(ステップS8:No)、ステップS9で、総合操作盤1のユーザは、表示装置13に表示されている階の切り替えを望んでいないものとして、
図9のAから
図10のAを経てステップS12に進み、その階数に係る表示階において、位置測位センサー41により、携帯端末31、61及びICタグ51が検出されたかを判定する。
総合操作盤1の表示装置13に、表示階画面70が表示されていない場合(ステップS7:No)、まだ火災検知直後であって、表示階画面70が表示装置13に表示されておらず、最初に火災が検知された火災発生階の表示を行う必要があるとして、ステップS11で、最初に感知器43又は発信機44が作動した出火階の表示用図面データを取得する。このステップでは、ステップS2で取得した作動機器の階数をキーとして、表示用図面テーブルを参照し、その階数の表示用図面データの名称を取得する。次に、この名称をキーとして
図5の表示用図面データフォルダを参照し、該当する名称の表示用図面データを取得する。
次いで、
図9のAから
図10のAを経てステップS12に進み、その階数に係る表示階において、位置測位センサー41により、携帯端末31、61及びICタグ51が検出されたかを判定する。
【0078】
表示階において、位置測位センサー41により、携帯端末31、61及びICタグ51が検出された場合(ステップS12:Yes)、ステップS13で、検出された携帯端末は、消防隊Rの携帯端末31、ICタグ51であるか判定する。このステップS12では、検出された携帯端末31、ICタグ51の個体識別情報をキーとして、HDD14の救助用端末管理テーブルを参照し、一致する個体識別情報が登録されているか否かを判定する。
検出された携帯端末が、消防隊Rの携帯端末31、ICタグ51であった場合(ステップS13:Yes)、ステップS14で、消防隊Rの携帯端末31、ICタグ51の位置情報(緯度、経度)を取得する。
次いで、ステップS16で、表示階において、位置測位センサー41に検出されており、まだ位置情報を取得していない携帯端末31、61、ICタグ51があるか判定する。
【0079】
一方、検出された携帯端末が、消防隊Rの携帯端末31、ICタグ51でなかった場合(ステップS13:No)、検出された携帯端末は、要救助者Vの携帯端末61であるものとして、ステップS15で、要救助者Vの携帯端末61の位置情報(緯度、経度、標高)を取得する。
次いで、ステップS16で、表示階において、位置測位センサー41に検出されており、まだ位置情報を取得していない携帯端末31、61、ICタグ51があるか判定する。
表示階において、位置測位センサー41に検出されており、まだ位置情報を取得していない携帯端末31、61、ICタグ51があった場合(ステップS16:Yes)、表示階において、まだ全ての携帯端末31、61、ICタグ51の情報取得が終わっていないものとして、ステップS13で、検出された携帯端末は、消防隊Rの携帯端末31、ICタグ51であるか判定する。
表示階において、位置測位センサー41に検出されており、まだ位置情報を取得していない携帯端末31、61及びICタグ51がない場合(ステップS16:No)、その表示階の全ての携帯端末31、61及びICタグ51について、位置情報の取得が完了したものとして、ステップS17で、表示階において火災を感知したか判定する。
表示階において、位置測位センサー41により、携帯端末31、61及びICタグ51が検出されない場合(ステップS12:No)、ステップS17で、表示階において火災を感知したか判定する。
このステップでは、表示階の階数をキーとして、HDD14の機器位置テーブルを参照して、表示階の機器の個別識別情報を取得し、取得した個別識別情報の感知器43、発信機44のうち、作動しているものがあるかを判定することにより行う。
火災を感知していない場合(ステップS17:No)、ステップS19で、表示される階の分電盤の電力量計で、電流が計測されていないかを判定すると共に、表示される階に設置された濃煙の感知器43で、濃煙が感知されているかを判定することにより、表示される階が停電である又は濃煙が充満しているかを判定する。
なお、濃煙の感知器43を用いた濃煙の感知の処理では、所定数以上、例えば、5以上の隣接するイオン化式又は光電式煙感知器が作動したときに、濃煙が感知されたと判定してもよいし、映像に映る空間の煙の濃度を識別する映像式の煙感知システム、例えば、映像火災警報システム等により、予め設定された濃度以上の煙が感知されたときに濃煙が感知されたと判定してもよい。
ステップS17〜S19の処理では、ステップS17における火災感知時及び非感知時のいずれにおいても、ステップS19で、表示階における停電及び濃煙の有無を判定している。つまり、ステップS19では、火災の有無に関わらず起こり得る停電だけでなく、火災時にのみ起こり、非火災時には起こり得ない濃煙の有無についても判定している。
このように、ステップS17の結果に関わりなく、ステップS19で、ステップS17とは別個独立に停電及び濃煙の有無を判定するので、火災発生のダブルチェックを行うことができる。つまり、火災が発生しているにもかかわらず、ステップS17で、何らかの理由により火災が感知されなかった場合には、ステップS19の判定により、ステップS21で表示階が暗表示されるので、ユーザは、火災が発生していることと、感知器43のデータ送信系統に何らかの異常があることを知ることができる。
火災を感知した場合(ステップS17:Yes)、ステップS18で、作動を検知した感知器43、発信機44の位置情報を取得する。このステップでは、作動を検知した感知器43、発信機44の個別識別情報をキーとして機器位置テーブルを参照し、緯度、経度を取得することによって行う。
次いで、ステップS19で、表示される階が停電である又は濃煙が充満しているかを判定する。
【0080】
停電でなく、濃煙も充満していない場合(ステップS19:No)、ステップS20で、表示階の図面を、表示階画面70の平面
図71に表示する。
このステップでは、ステップS10又はS11で取得された表示用図面データに、ステップ14及びステップS15で取得された携帯端末31、61、ICタグ51の位置情報で特定される位置に、携帯端末31、61、ICタグ51のアイコンを重ね、更に、ステップS2で取得した作動機器の階数が、表示用図面データの階数に一致する場合には、作動機器の位置情報で特定される位置に、火災表示46を示すアイコンを重ねることにより、平面
図71を作成する。
また、ステップS6で算出した階ごとのNa−Nrの値を、階数に紐付けた要救助者数表73を作成する。
作成した平面
図71及び要救助者数表73と、表示階選択ボタン72とのデータを、表示装置13に送信し、
図11に示すように、総合操作盤1の表示装置13に表示階画面70を表示する。
このとき、ステップS17で作動を検知した感知器43、発信機44の位置情報を取得していた場合には、この位置情報も、炎の形状のアイコンからなる火災表示として、併せて表示する。
【0081】
次いで、ステップS22で、表示階画面70のデータを、消防隊Rの携帯端末31に送信し、携帯端末31の表示装置に、
図7又は
図12と同様の表示階画面70又は70´を表示する。
【0082】
停電であるか又は濃煙が充満している場合(ステップS19:Yes)、ステップS21で、ステップS10又はS11で取得した表示階の図面データに、S13〜S16で取得した表示階の携帯端末の位置情報を重ね、停電又は濃煙によって暗くなる平面
図71の領域に、公知の方法により、背景が視認できる程度にグレーの色彩表示76を重ね合せて、総合操作盤1の表示装置13に、停電部分又は濃煙部分を暗くした
図12の表示階画面70´を表示する。このとき、ステップS17で作動を検知した感知器43、発信機44の位置情報を取得していた場合には、この位置情報も、炎の形状のアイコンからなる火災表示46として、併せて表示する。
次いで、ステップS22で、表示階画面70のデータを、消防隊Rの携帯端末31に送信し、携帯端末31の表示装置に、
図11又は
図12と同様の表示階画面70又は70´を表示する。
次いで、ステップS23で、
図11又は
図12の画面上で、災害対策本部のコンピュータへの送信ボタン74がオンにされているか判定する。
送信ボタン74がオンにされている場合(ステップS23:Yes)、ステップS24で、表示階画面70又は70´のデータを、国、地方自治体又は国際機関の災害対策本部のコンピュータに、送信する。
この処理では、インターネットを介して、HDD14に登録された不図示のurlにアクセスし、これにより、不図示のID入力画面が表示される。この画面で、ID及びパスワードが入力されると、所定のクラウドのアカウントにアクセスし、
図11又は
図12と同様の表示階画面70又は70´を、災害対策本部のコンピュータから閲覧可能に送信する。
その後、ステップS25で、総合操作盤1の不図示の連動停止ボタンが押されて、
図9,
図10のフローチャートの処理の終了が指示されたか判定する。
送信ボタン74がオンにされていない場合(ステップS23:No)、災害対策本部への画面の送信は不要であるとして、ステップS25で、総合操作盤1の不図示の連動停止ボタンが押されて、
図9,
図10のフローチャートの処理の終了が指示されたか判定する。
図9,
図10のフローチャートの処理の終了が指示されていない場合(ステップS25:No)、表示階における要救助者V及び救助隊員R2のリアルタイムでの位置監視の続行が指示されたものとして、
図10のBから
図9のBを経てステップS4に進み、建物B全体の位置測位センサー41で検出される携帯端末の階ごとの検出数Naを取得する。
つまり、
図9、
図10のフローチャートの処理は、感知器43又は発信機44の作動信号受信後、総合操作盤1の不図示の連動停止ボタンが押されるまで、ステップS4〜S25が繰返し実行される。
図9,
図10のフローチャートの処理の終了が指示された場合(ステップS25:No)、救助活動の終了等により、表示階における要救助者V及び救助隊員R2のリアルタイムでの位置監視が不要になったものとして、処理を終了する。
【0083】
このように、
図9、
図10のフローチャートの処理が、消防活動、救助活動が終了して連動停止ボタンが押されるまで、連続して繰返し実行されるため、要救助者V及び救助隊員R2の位置を、リアルタイムで、総合操作盤1及び携帯端末31に表示できる。
【0084】
従来の消防隊Rの救助活動は、救助を行う部屋のドアの外の煙や熱の影響の少ない場所で、救助隊の隊長が、命綱を確保し、救助隊員R2は、煙や停電で視野のきかない部屋の中等を手探りで進入して、要救助者Vを探し出して救助していた。このため、どこに要救助者Vがいるか把握するまでに時間を要していたが、システムSによれば、救助するその時点における要救助者Vの位置がタイムリーに把握できるので、効率的な救助活動が可能となる。
また、システムSによれば、救助隊員R2をリアルタイムで把握できるので、救助活動の安全が図れる。
【0085】
更に、システムSによれば、建物Bの部屋の状況や要救助者Vの情報、救助隊員R2の状況などについて、防災センターCの指揮本部R1との間で情報共有ができる。
従来は、防災センターCの指揮本部R1と活動部隊である救助隊員R2との連絡は、固定された非常電話で行うこととされていたが、実際の活動現場から非常電話までの距離が離れていることも多く、円滑な情報連絡、連携体制が十分に取れているとは言えない状況にあった。システムSの採用により、災害現場の最先端で活動する検索員、検索起点で命綱を確保する隊長、防災センターCで災害活動全体を統括する指揮隊との間で有効、かつ、的確な情報連絡、連携体制が確保できる。
更に、非常電話や消防隊専用無線機等の音声による情報伝達だけでなく、システムSの導入により、指揮本部R1と救助隊員R2との間で、重要情報を文字情報として相互共有することもできる。これにより情報の輻輳や伝達漏れを回避できると共に、重要情報を画面上に残置させることにより伝達内容を徹底させることができる。
【0086】
システムSでは、総合操作盤1の図面データを活用しているために、実現容易である。セキュリティの問題などで平面図データの提供を躊躇するビルオーナーやテナントがあるが、告示で総合操作盤1の平面図データを火災発生時には消防隊に情報提供することになっているので、そのデータを活用することについては難しくはない。更にシステムSの取扱いが、元来セキュリティを担保する防災センターCに設置されることで、セキュリティに対する信頼度や安心感を高めることができる。
【0087】
また、テナント等の入居者の入居、退去や、フロアのレイアウト変更、設備の設置や除去等の工事を行う際には、消防への報告が義務付けられているため、総合操作盤1に格納された図面データは、管理領域の状況と常に一致した最新の内容に更新されている。従って、本実施形態では、救助隊員R2は、建物Bの内部の状況と常に一致した最新の図面上に、要救助者Vと救助隊員R2の携帯端末装置の位置が表示された画像を用いて要救助者Vの救助活動を行うことができるため、迅速かつ効率のよい救助活動が可能となる。図面の更新に関わる信頼性が確保できるので、救助活動現場の状況が画像とは異なるという予想外の事態が起こりにくいため、救助隊員R2は、画像に表示された地図を信じて、救助活動に専念できる。
【0088】
また、図面データとして、3次元の図面データを基に総合操作盤内の各階立面図データを作成してもよい。これにより、将来的には3次元のCAD図面データを用いた3次元図面の上に要救助者と救助隊員の携帯端末装置の位置を立体的に特定できるので、同じ構造が層状に複数階積層されてなるビルだけでなく、地下鉄の駅、工場、地下街、エネルギー貯蔵施設など、一つの階の内部空間の形状が複雑な建築物においても、システムSを適用可能となる。
【0089】
このように、総合操作盤で、救助活動用の画像の作成を行うため、自動火災報知機能と、建築物内の要救助者の位置表示機能とを、一つの総合操作盤で達成することができ、火災発生時の火災検知、火災報知、救助支援を、連動し、調和させた一体の流れで実行可能となる。従って、救助隊員の携帯端末装置の表示画像に、火災検知、火災報知の状況も反映可能となり、救助活動現場の救助隊員に、現場情報をより多く、迅速に、伝達することも可能となる。これにより、現在携帯無線や非常電話等の音声による消防隊員相互の情報連絡に加えて、画像表示による情報連絡も可能となり、救助を含む消防活動の確実性が向上する。
更に、火災発生時の火災検知、火災報知、救助支援に関する情報のコンピュータ処理を、一つの総合操作盤で実行できるので、コンピュータ間の送受信時の通信障害によって処理が滞る事態が起こりえず、一刻を争う消防、救助現場において、迅速、確実、正確に、救助隊員携帯端末装置に要救助者携帯端末装置の位置を表示可能となる。
【0090】
なお、本実施形態では、火災発生後、消防隊R活動中における救助隊員R2と要救助者Vの位置を画面に表示しているが、消防隊R到着前に、防災センターCの担当者が、建物B内の滞在者の避難誘導のために用いてもよい。
感知器43又は発信機44で火災が検知されると、自動火災報知設備が発報し、これに対応して、総合操作盤1の画面上に、不図示の消防支援ボタンが表示される。
この消防支援ボタンがクリックされると、総合操作盤1は、
図13の消防支援画面80を表示する。
図13の消防支援画面80で、透過救助システムボタン81がクリックされると、
図9、
図10の処理が実行される。
このとき、画面上には、要救助者Vの代わりに、自力で移動できる滞在者が表示され、滞在者が、画面上で移動している様子が、リアルタイムで表示される。
従って、消防隊R到着前に、防災センターCの担当者が、建物B内の滞在者の移動方向をリアルタイムで監視しながら、放送により、避難方向を指示することができる。
また、滞在者が、出口に向かって移動している場合には、防災センターCの担当者が、携帯端末31と出口の鍵を持って出口に向かい、出口を開錠して、滞在者を非難させることもできる。
【0091】
本発明によれば、総合操作盤を、防犯・避難管理にも使えるようになり、総合操作盤の有効活用が可能となる。総合操作盤を用いることで、図面の更新が確保され、システムの信頼性が高い。個々の総合操作盤は、一般財団法人日本消防設備安全センター等によって、基準に適合していることが認定されているため、本発明のシステムでの利用にあたって、信頼性が高い。
従って、本発明のシステムは、オリンピック開催時の大規模施設の動態管理・テロ対策にも利用可能である。また、本発明のシステムでは、クラウドを活用して、災害現場と署、本部、国等で情報共有もできる。
また、逃げ遅れ者の早期救出、消防隊員の負担軽減、消防隊員の安全向上、セキュリティの信頼性確保が可能となる。更に、システム導入が簡便で比較的安価であるにもかかわらず、システムの発展性も見込まれる。