(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記決定ユニットが、各電気グループに関して、前記電気グループの機器の全アドミタンスの変化を、前記測定された主電源電圧の第1変化、前記測定された主電源電圧の第2変化、前記測定された主電源電圧の第3変化及び前記切り換え可能な負荷の抵抗に基づいて決定すると共に、前記動作状態が変化された機器を有する電気グループを該決定された全アドミタンスの変化に基づいて決定する、請求項1に記載の分離装置。
前記決定ユニットは、各電気グループに関して、前記全アドミタンスの変化を前記測定された主電源電圧の第1変化、(i)前記多グループ電気ネットワークの外部インピーダンス及び前記電気グループの内部インピーダンスの和と(ii)前記電力源により供給される電圧との第1比、及び(i)前記多グループ電気ネットワークの外部インピーダンスと(ii)前記電力源により供給される電圧との第2比に基づいて決定し、前記第1比及び第2比が、前記測定された主電源電圧の第2変化、前記測定された主電源電圧の第3変化及び前記切り換え可能な負荷の抵抗から決定される、請求項2に記載の分離装置。
前記決定ユニットが、前記測定された主電源電圧の第1変化から前記主電源電圧の逆数の第1変化を決定すると共に、各電気グループに関して、前記全アドミタンスの変化を前記第1比、前記第2比及び前記主電源電圧の逆数の第1変化に基づいて決定する、請求項3に記載の分離装置。
前記ノイズ推定ユニットは前記第1比及び前記第2比における第2ノイズレベルを更に推定し、前記決定ユニットが前記全アドミタンスの変化を、エラー基準を最小化する推定値として前記第2ノイズレベルに更に基づいて決定する、請求項6に記載の分離装置。
前記決定ユニットが前記全アドミタンスの変化を、各電気グループに関して線形方程式の系を、この電気グループに関してのみ前記全アドミタンスの変化がゼロとは異なるとの仮定の下で解き、各解がエラー基準を最小にするようにすると共に、最小のエラーを生じる解を選択することに基づいて決定する、請求項4に記載の分離装置。
前記決定ユニットが、各電気グループに関して、前記測定された主電源電圧の第2変化から前記主電源電圧の逆数の第2変化を決定すると共に、前記第1比を前記電気グループの前記切り換え可能な負荷の抵抗及び前記主電源電圧の逆数の第2変化に基づいて決定する、請求項4に記載の分離装置。
前記決定ユニットが、前記少なくとも1つの電気グループに関して、前記測定された主電源電圧の第3変化から前記主電源電圧の逆数の第3変化を決定すると共に、前記第2比を前記他の電気グループの前記切り換え可能な負荷の抵抗及び前記主電源電圧の逆数の第3変化に基づいて決定する、請求項4に記載の分離装置。
各電気グループに関して、前記電圧測定器は前記主電源電圧を前記主電源電圧の第1変化の直前及び直後に測定し、前記決定ユニットが、各電気グループに関して、電力消費の変化を前記主電源電圧の第1変化の直前又は直後の前記主電源電圧の二乗及び前記全アドミタンスの変化に基づいて決定する、請求項2に記載の分離装置。
各々が1以上の機器を備える複数の電気グループを有すると共に電力源により給電される多グループ電気ネットワークと、請求項1に記載の多グループ電気ネットワークで使用される分離装置とを有する、システム。
各々が1以上の機器を備える複数の電気グループを有すると共に電力源により給電される多グループ電気ネットワークで使用される分離用コンピュータプログラムであって、請求項1に記載の分離装置を制御するコンピュータ上で実行された場合に、該分離装置に、請求項14に記載の分離方法のステップを実行させるプログラムコード手段を有する、分離用コンピュータプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、多グループ電気ネットワークにおいて使用するための分離(ディスアグリゲーション)装置、分離方法及び分離用コンピュータプログラムを提供することである。本発明の更なる目的は、上記多グループ電気ネットワーク及び該多グループ電気ネットワークにおいて使用するための上記分離装置を有するシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1態様によれば、各々が1以上の機器(器具)を備える複数の電気グループを有すると共に電力源により給電される多グループ電気ネットワークで使用される分離装置が提供され、該分離装置は、
− 各電気グループに関して、或る機器の動作状態が変化される間の前記電気グループの機器に供給される主電源電圧の第1変化を測定する電圧測定器と、
− 各電気グループに関して切り換え可能な負荷を切り換える制御ユニットであって、前記電圧測定器が、各電気グループに関して、前記電気グループの切り換え可能な負荷が切り換えられる間の前記主電源電圧の第2変化を測定するように構成される一方、前記電圧測定器が、少なくとも1つの電気グループに関して、他の電気グループの切り換え可能な負荷が切り換えられる間の前記主電源電圧の第3変化を測定するように構成された制御ユニットと、
− 前記動作状態が変化された機器を有する電気グループを、前記測定された主電源電圧の第1変化、前記測定された主電源電圧の第2変化、前記測定された主電源電圧の第3変化及び前記切り換え可能な負荷の抵抗に基づいて決定する決定ユニットと、
を有する。
【0005】
発明者により、多グループ電気ネットワークにおいては、異なる電気グループ間のクロストークにより、或る電気グループの機器の動作(運転)状態の変化が、該電気グループの主電源電圧の変化を引き起こすのみならず、他のグループの主電源電圧の(非常に小さな)変化も引き起こし得ることが発見された。このような理由により、主電源電圧の変化が単一の電圧センサのみにより監視される場合、通常、該変化が当該電気グループの機器の動作状態の変化に帰されるべきか又は他の電気グループの大幅に大きな負荷を持つ機器の動作状態の変化に帰されるべきかが不明確となる。
【0006】
前記測定された主電源電圧の第1変化、前記測定された主電源電圧の第2変化、前記測定された主電源電圧の第3変化及び前記切り換え可能な負荷の抵抗を用いることにより、前記決定ユニットは、他の電気グループにおける機器の動作状態の変化による誤検出を回避し、多グループ電気ネットワークにおける分離(ディスアグリゲーション)の精度を向上させることが可能になり得る。
【0007】
前記機器及び切り換え可能な負荷は、当該電気グループにおいて好ましくは並列に接続される。前記多グループ電気ネットワークは、好ましくは、一部が該多グループ電気ネットワークの主遮断器に帰属し得る外部インピーダンスを有し、前記電気グループは、好ましくは、内部インピーダンスとしてモデル化することが可能な自身の遮断器又はヒューズを各々有する。
【0008】
前記決定ユニットは、各電気グループに関して、前記電気グループの機器の全アドミタンスの変化を、前記測定された主電源電圧の第1変化、前記測定された主電源電圧の第2変化、前記測定された主電源電圧の第3変化及び前記切り換え可能な負荷の抵抗に基づいて決定すると共に、前記動作状態が変化された機器を有する電気グループを該決定された全アドミタンスの変化に基づいて決定するように構成されることが好ましい。
【0009】
前記決定ユニットは、各電気グループに関して、前記全アドミタンスの変化を前記測定された主電源電圧の第1変化、(i)前記多グループ電気ネットワークの外部インピーダンス及び前記電気グループの内部インピーダンスの和と(ii)前記電力源により供給される電圧との第1比、及び(i)前記多グループ電気ネットワークの外部インピーダンスと(ii)前記電力源により供給される電圧との第2比に基づいて決定するように構成され、前記第1比及び第2比は、前記測定された主電源電圧の第2変化、前記測定された主電源電圧の第3変化及び前記切り換え可能な負荷の抵抗から決定されることが好ましい。
【0010】
好ましくは、前記決定ユニットは、前記測定された主電源電圧の第1変化から前記主電源電圧の逆数の第1変化を決定すると共に、各電気グループに関して、前記全アドミタンスの変化を前記第1比、前記第2比及び前記主電源電圧の逆数の第1変化に基づいて決定するように構成される。
【0011】
前記全アドミタンスの変化は、動作状態が変化された機器を有する各電気グループを示す。
【0012】
好ましくは、前記決定ユニットは前記多グループ電気ネットワークの機器のアドミタンスの特性が記憶されたメモリを有する。前記決定された全アドミタンスの変化を、該記憶された特性と比較することにより、動作状態が変化された機器を有する電気グループを決定することができる。
【0013】
前記決定ユニットは、前記全アドミタンスの変化を、線形方程式の系を直接解くことに基づいて決定するよう構成することができる。
【0014】
加えて又は代わりに、前記決定ユニットは、前記主電源電圧の逆数の第1変化における第1ノイズレベルを推定するノイズ推定ユニットを有することができ、前記決定ユニットは、前記全アドミタンスの変化を、平均二乗誤差等のエラー基準を最小化する推定値として前記第1ノイズレベルに更に基づいて決定するように構成することができる。
【0015】
前記ノイズ推定ユニットは、前記第1比及び前記第2比における第2ノイズレベルを更に推定するように構成することができ、前記決定ユニットは前記全アドミタンスの変化を、前記第2ノイズレベルに更に基づいて、平均二乗誤差等のエラー基準を最小化する推定値として決定するよう構成することができる。
【0016】
加えて又は代わりに、前記決定ユニットは前記全アドミタンスの変化を、各電気グループに関して線形方程式の系を、この電気グループに関してのみ前記全アドミタンスの変化がゼロとは異なるとの仮定の下で解き、各解が平均二乗誤差等のエラー基準を最小にするようにすると共に、最小のエラーを生じる解を選択することに基づいて決定するよう構成することができる。
【0017】
前記決定ユニットは、各電気グループに関して、前記測定された主電源電圧の第2変化から前記主電源電圧の逆数の第2変化を決定すると共に、前記第1比を前記電気グループの前記切り換え可能な負荷の抵抗及び前記主電源電圧の逆数の第2変化に基づいて決定するように構成されることが好ましい。この構成は、各電気グループに関して、前記電気グループの切り換え可能な負荷を切り換え、前記主電源電圧の第2変化を測定し、幾つかの簡単な計算を実行することだけにより前記第1比を非常に簡単に決定することを可能にする。
【0018】
前記決定ユニットは、前記少なくとも1つの電気グループに関して、前記測定された主電源電圧の第3変化から前記主電源電圧の逆数の第3変化を決定すると共に、前記第2比を前記他の電気グループの切り換え可能な負荷の抵抗及び前記主電源電圧の逆数の第3変化に基づいて決定するように構成されることが更に好ましい。この構成は、或る電気グループの切り換え可能な負荷を切り換え、他の電気グループにおける前記主電源電圧の第2変化を測定し、幾つかの簡単な計算を実行することだけにより前記第2比を非常に簡単に決定することを可能にする。
【0019】
各電気グループに関して、前記電圧測定器は前記主電源電圧を前記主電源電圧の第1変化の直前及び直後に測定するように構成され、前記決定ユニットは、各電気グループに関して、前記電力の消費の変化を前記主電源電圧の第1変化の直前又は直後の前記主電源電圧の二乗及び前記全アドミタンスの変化に基づいて決定するように構成されることが好ましい。このように、前記決定ユニットは、動作状態が変化された機器を有する電気グループを決定することができるのみならず、この変化から生じる電力消費の変化も決定することができる。
【0020】
前記分離装置は、前記切り換え可能な負荷を有することができる。しかしながら、前記切り換え可能な負荷は、既知の抵抗を持つ如何なる他の負荷とすることもできる。例えば、上記切り換え可能な負荷は前記多グループ電気ネットワークの機器とすることもできる。
【0021】
本発明の他の態様においては、各々が1以上の機器を備える複数の電気グループを有すると共に電力源により給電される多グループ電気ネットワークと、請求項1に記載の多グループ電気ネットワークで使用される分離装置とを有するシステムが提供される。
【0022】
本発明の他の態様においては、各々が1以上の機器を備える複数の電気グループを有すると共に電力源により給電される多グループ電気ネットワークで使用される分離方法が提供され、該分離方法は、
− 各電気グループに関して、或る機器の動作状態が変化される間の前記電気グループの機器に供給される主電源電圧の第1変化を測定するステップと、
− 各電気グループに関して、前記電気グループの切り換え可能な負荷が切り換えられる間の前記主電源電圧の第2変化を測定するステップと、
− 少なくとも1つの電気グループに関して、他の電気グループの切り換え可能な負荷が切り換えられる間の前記主電源電圧の第3変化を測定するステップと、
− 前記動作状態が変化された機器を有する電気グループを、前記測定された主電源電圧の第1変化、前記測定された主電源電圧の第2変化、前記測定された主電源電圧の第3変化及び前記切り換え可能な負荷の抵抗に基づいて決定するステップと、
を有する。
【0023】
本発明の他の態様においては、各々が1以上の機器を備える複数の電気グループを有すると共に電力源により給電される多グループ電気ネットワークで使用される分離コンピュータプログラムが提供され、該コンピュータプログラムは、請求項1に記載の分離装置に、該コンピュータプログラムが該分離装置を制御するコンピュータ上で実行された場合に請求項14に記載の分離方法のステップを実行させるプログラムコード手段を有する。
【0024】
尚、請求項1の分離装置、請求項13のシステム、請求項14の分離方法及び請求項15の分離コンピュータプログラムは、特に従属請求項に記載されているような、同様及び/又は同一の好ましい実施態様を有すると理解されるべきである。
【0025】
また、本発明の好ましい実施態様は、従属請求項又は上記実施態様と各独立請求項との如何なる組み合わせとすることもできると理解されるべきである。
【0026】
本発明の上記及び他の態様は、後述する実施態様から明らかとなり該実施態様を参照して解説されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、多グループ電気ネットワーク5と、該多グループ電気ネットワーク5において使用するための分離(ディスアグリゲーション)装置4とを有するシステム10を概略的且つ例示的に示す。多グループ電気ネットワーク5は、各々が1以上の機器(家電器具)1
1,1
2,1
3,2
1,2
2,2
3,3
1,3
2,3
3を各々有する複数の電気グループ1,2,3を有すると共に、電力源6により給電される。
図1において、分離装置4の構成要素は陰影が付けられている。
【0029】
分離装置4は、各電気グループ1,2,3に対して、該電気グループ1,2,3の機器1
1,1
2,1
3,2
1,2
2,2
3,3
1,3
2,3
3に供給される主電源(主幹)電圧V
1,V
2,V
3の、或る機器の動作(運転)状態が変化される間の第1変化を測定するための電圧測定器1
4,2
4,3
4を有している。分離装置4は、各電気グループ1,2,3に対して、切り換え可能な負荷1
n,2
n,3
nを更に有し、その場合において、各電気グループ1,2,3に対し上記電圧測定器1
4,2
4,3
4は電気グループ1,2,3の切り換え可能な負荷1
n,2
n,3
nが切り換えられる間の主電源電圧V
1,V
2,V
3の第2変化を測定するように構成されると共に、少なくとも1つの電気グループ1に対し電圧測定器1
4は他の電気グループ3の切り換え可能な負荷3
nが切り換えられる間の主電源電圧V
1の第3変化を測定するように構成される。分離装置4は、更に、動作状態が変化された機器を有する電気グループ1,2,3を、測定された主電源電圧V
1,V
2,V
3の上記第1変化、測定された主電源電圧V
1,V
2,V
3の上記第2変化、測定された主電源電圧V
1の上記第3変化、及び切り換え可能な負荷1
n,2
n,3
nの抵抗R
1n,R
2n,R
3nに基づいて決定する決定ユニット7を有している。機器1
1,1
2,1
3,2
1,2
2,2
3,3
1,3
2,3
3及び切り換え可能な負荷1
n,2
n,3
nは、電気グループ1,2,3において並列に接続される。
【0030】
多グループ電気ネットワーク5は、ここでは、該多グループ電気ネットワーク5の主電源遮断器(図示略)に一部起因する外部インピーダンスZ
0を有する一方、電気グループ1,2,3も各々自身の遮断器(これも、図示略)を有し、これらは内部インピーダンスZ
1,Z
2,Z
3としてモデル化されている。幾つかの実施態様では、遮断器の代わりに簡単なヒューズを使用することもできる。
【0031】
分離装置4は、更に、該分離装置4の構成要素を制御するための、特に、電圧測定器1
4,2
4,3
4、切り換え可能な負荷1
n,2
n,3
n、及び決定ユニット7を制御するための制御ユニット8を有している。
【0032】
この実施態様において、決定ユニット7は、各電気グループ1,2,3に関して該電気グループ1,2,3の機器1
1,1
2,1
3,2
1,2
2,2
3,3
1,3
2,3
3の全アドミタンスY
1,Y
2,Y
3の変化ΔY
1,ΔY
2,ΔY
3を、測定された主電源電圧V
1,V
2,V
3の第1変化、測定された主電源電圧V
1,V
2,V
3の第2変化、測定された主電源電圧V
1の第3変化、及び切り換え可能な負荷1
n,2
n,3
nの抵抗R
1n,R
2n,R
3nに基づいて決定すると共に、動作状態が変化された機器を有する電気グループ1,2,3を全アドミタンスY
1,Y
2,Y
3の変化ΔY
1,ΔY
2,ΔY
3に基づいて決定するように構成される。
【0033】
特に、決定ユニット7は、各電気グループ1,2,3に関して、全アドミタンスY
1,Y
2,Y
3の変化ΔY
1,ΔY
2,ΔY
3を、測定された主電源電圧V
1,V
2,V
3の第1変化、(i)多グループ電気ネットワーク5の外部インピーダンスZ
0及び電気グループ1,2,3の内部インピーダンスZ
1,Z
2,Z
3と(ii)電力源6により供給される電圧V
0との第1比、並びに(i)多グループ電気ネットワーク5の外部インピーダンスZ
0と(ii)電力源6により供給される電圧V
0との第2比に基づいて決定するように構成され、ここで、上記第1比及び第2比は、測定された主電源電圧V
1,V
2,V
3の第2変化、測定された主電源電圧V
1の第3変化、及び切り換え可能な負荷1
n,2
n,3
nの抵抗R
1n,R
2n,R
3nから決定される。
【0034】
好ましくは、決定ユニット7は、測定された主電源電圧V
1,V
2,V
3の第1変化から主電源電圧の逆数1/V
1,1/V
2,1/V
3の第1変化Δ
1(1/V
1),Δ
1(1/V
2),Δ
1(1/V
3)を決定すると共に、各電気グループ1,2,3に関して全アドミタンスY
1,Y
2,Y
3の変化ΔY
1,ΔY
2,ΔY
3を前記第1比、第2比及び上記主電源電圧の逆数1/V
1,1/V
2,1/V
3の第1変化Δ
1(1/V
1),Δ
1(1/V
2),Δ
1(1/V
3)に基づいて、例えば、下記式:
【数1】
に従って決定するように構成され、ここで、インデックスi及びjは電気グループ1,2,3に関係するものである。
【0035】
この式は行列ベクトル表記で:
【数2】
と書くこともでき、ここで、Δ
1(1/V)は主電源電圧の逆数1/V
iの第1変化Δ
1(1/V
i)が積み重ねられた列ベクトルであり、Mはi番目の対角位置に第1比(Z
0+Z
i)/V
0を持ち、対角外の位置に第2比Z
0/V
0を持つ行列であり、ΔYは全アドミタンスY
iの変化ΔY
iが積み重ねられた列ベクトルである。
【0036】
この実施態様において、決定ユニット7は全アドミタンスY
1,Y
2,Y
3の変化ΔY
1,ΔY
2,ΔY
3を、例えば式(1)又は(2)に示されるように、線形方程式の系を直接解くことに基づいて決定するように構成することができる。
【0037】
“ゼロ強制法”としても知られている該直接解法は、Δ
1(1/V)又はMにノイズが存在しないとの仮定の下で、以下のように全アドミタンスY
iの変化ΔY
iの推定値を提供し:
【数3】
ここでも、インデックスi及びjは電気グループ1,2,3に関係し、記号“^”は値が推定されたものであることを示す。
【0038】
この式は、行列/ベクトル表記で:
【数4】
と書くこともでき、ここで、ΔY^は全アドミタンスY
iの変化ΔY
iの推定値が積み重ねられた列ベクトルであり、Mは、ここでも、i番目の対角位置に第1比(Z
0+Z
i)/V
0を持ち、対角外の位置に第2比Z
0/V
0を持つ行列であり、Δ
1(1/V)は、ここでも、主電源電圧の逆数1/V
iの第1変化Δ
1(1/V
i)が積み重ねられた列ベクトルである。
【0039】
加えて又は代わりに、決定ユニット7は、主電源電圧の逆数1/V
1,1/V
2,1/V
3の第1変化Δ
1(1/V
1),Δ
1(1/V
2),Δ
1(1/V
3)における第1ノイズレベルNを推定するノイズ推定ユニット9を有することができ、その場合、決定ユニット7は全アドミタンスY
1,Y
2,Y
3の変化ΔY
1,ΔY
2,ΔY
3を、下記の式に従って、例えば平均二乗誤差等のエラー基準を最小化する推定値として上記第1ノイズレベルNに更に基づいて決定するように構成することができる。
【数5】
【0040】
この式は、共分散行列Sによる全アドミタンスY
iのランダム変化ΔY
iのMMSE(最小平均二乗誤差)推定器となるもので、ここで、S
ij=E[ΔY
iΔY
j]は、推定された共分散行列Nによる主電源電圧の逆数1/V
iの第1変化Δ
1(1/V
i)にノイズが存在する場合のSのi番目の行及びj番目の列における要素であり、N
ij=E[n
in
j]はNのi番目の行及びj番目の列における要素であり、n
i及びn
jはΔ
1(1/V
i)及びΔ
1(1/V
j)における推定された測定ノイズであり、従って、推定される値はΔ
1(1/V
i)+n
i及びΔ
1(1/V
j)+n
jに等しい。
【0041】
第1ノイズレベルNの推定は、各電気グループiに関して、主電源電圧V
iのノイズレベルを同じ主電源電圧V
iの複数の測定値の分散σ
i2として推定することに基づくものであり得る。この場合、主電源電圧の逆数1/V
iの第1変化Δ
1(1/V
i)のノイズレベルn
iはσ
i2から2σ
i2/V
i4と近似することができる。
【0042】
ノイズ推定ユニット9は、前記第1比及び第2比における第2ノイズレベルWを更に推定するように構成することができ、その場合、決定ユニット7は全アドミタンスY
1,Y
2,Y
3の変化ΔY
1,ΔY
2,ΔY
3を、下記の式に従って、例えば平均二乗誤差等のエラー基準を最小化する推定値として上記第2ノイズレベルWに更に基づいて決定するように構成することができる。
【数6】
【0043】
この式は、推定された共分散行列Wによる上記第1比及び第2比に、即ちMの要素にノイズが更に存在する場合のMMSE推定器となるもので、ここで、WはMの要素の推定のノイズ分散K
ijを、
【数7】
と組み込む対角行列であり、δ
ijはi=jの場合は1に等しく、それ以外ではゼロに等しい。
【0044】
行列WはMのノイズ(Kにより示される)から得ることができ、該ノイズは測定された主電源電圧V
iの分散σ
i2から導出することができる(前述参照)。
【0045】
加えて又は代わりに、決定ユニット7は全アドミタンスY
1,Y
2,Y
3の変化ΔY
1,ΔY
2,ΔY
3を、下記の式に従って、各電気グループ1,2,3に関して、線形方程式の系を、この電気グループ1,2,3に関してのみ全アドミタンスY
1,Y
2,Y
3の変化ΔY
1,ΔY
2,ΔY
3がゼロとは異なり、各解が平均二乗誤差等のエラー基準を最小にするとの仮定の下で解くと共に、例えば最小のエラーとなる解を選択することに基づいて決定するように構成することができ:
【数8】
ここで、M
iはMのi番目の列であり、
【数9】
ここで、e
iは各エラーであり、
【数10】
はベクトルのユークリッドノルムを示す。
【0046】
各電気グループ1,2,3に関し、全アドミタンスY
1,Y
2,Y
3は、電気グループ1,2,3の機器1
1,1
2,1
3,2
1,2
2,2
3,3
1,3
2,3
3のアドミタンスY
11,Y
12,Y
13,Y
21,Y
22,Y
23,Y
31,Y
32,Y
33の和である。これが、
図1では符号Y
1,Y
2,Y
3の点線ボックスにより示されている。好ましくは、多グループ電気ネットワーク5は、異なる機器1
1,1
2,1
3,2
1,2
2,2
3,3
1,3
2,3
3の間での該多グループネットワーク5における損失は無視可能であるように構成される。更に、好ましくは、電力源6により供給される電圧V
0、多グループネットワーク5の外部インピーダンスZ
0及び電気グループ1,2,3の内部インピーダンスZ
1,Z
2,Z
3は一定であるとする。
【0047】
或る機器が動作状態を変化させた(例えば、オン又はオフされた)場合、全アドミタンスY
1,Y
2,Y
3は変化し、該全アドミタンスY
1,Y
2,Y
3の変化ΔY
1,ΔY
2,ΔY
3は、例えば、式(1)又は(2)に従って決定される。
【0048】
決定ユニット7は、各電気グループ1,2,3に関して、測定された主電源電圧V
1,V
2,V
3の第2変化から主電源電圧の逆数1/V
1,1/V
2,1/V
3の第2変化Δ
2(1/V
1),Δ
2(1/V
2),Δ
2(1/V
3)を決定すると共に、例えば下記の式に従って、前記第1比を、電気グループ1,2,3の前記切り換え可能な負荷1
n,2
n,3
nの抵抗R
1n=1/Y
1n,R
2n=1/R
2n,R
3n=1/Y
3n及び主電源電圧の逆数1/V
1,1/V
2,1/V
3の第2変化Δ
2(1/V
1),Δ
2(1/V
2),Δ
3(1/V
3)に基づいて決定するように構成され:
【数11】
ここで、インデックスiは電気グループ1,2,3に関するものであり、符号“+”は負荷1
n,2
n,3
nがオンされたことを示す一方、符号“−”は負荷1
n,2
n,3
nがオフされたことを示す。このように、切り換え可能な負荷1
n,2
n,3
nはオン又はオフされ、第1比(Z
0+Z
i)/V
0が例えば式(9)に従って決定される。
【0049】
決定ユニット7は、更に、少なくとも1つの電気グループ1に関して、測定された主電源電圧V
1の第3変化から主電源電圧の逆数1/V
1の第3変化Δ
3(1/V
1)を決定すると共に、例えば下記の式に従って、前記第2比を他の電気グループ3の切り換え可能な負荷3
nの抵抗R
3n=1/Y
3n及び主電源電圧の逆数1/V
1の第3変化Δ
3(1/V
1)に基づき決定するよう構成され:
【数12】
ここで、インデックスi及びjは電気グループ1,2,3に関するもので、i≠jである。この場合、符号“+”は負荷3
nがオンされたことを示す一方、符号“−”は負荷3
nがオフされたことを示す。このように、切り換え可能な負荷3
nはオン又はオフされ、第2比Z
0/V
0が例えば式(10)に従って決定される。
【0050】
分離装置4は、切り換え可能な負荷1
n,2
n,3
nを切り換え、主電源電圧の逆数1/V
1,1/V
2,1/V
3の第2変化Δ
2(1/V
1),Δ
2(1/V
2),Δ
3(1/V
3)を測定し、第1比(Z
0+Z
i)/V
0を規則的な間隔で繰り返して又は要求に応じて(例えば、ユーザの要求に応じて)決定し、該第1比(Z
0+Z
i)/V
0の決定を更新するように構成することができる。同様に、該分離装置4は、電気グループ3の切り換え可能な負荷3
nを切り換え、他のグループ1の主電源電圧の逆数1/V
1の第3変化Δ
3(1/V
1)を測定し、第2比Z
0/V
0を規則的な間隔で繰り返して又は要求に応じて(例えば、ユーザの要求に応じて)決定し、該第2比Z
0/V
0の決定を更新するように構成することができる。これらの更新は、当該多グループ電気ネットワーク5があまり安定しておらず、従って、これら上記比が変化する場合に、特に好ましい。
【0051】
各電気グループ1,2,3に関して、電圧測定器1
4,2
4,3
4は、好ましくは、主電源電圧V
1,V
2,V
3を該主電源電圧V
1,V
2,V
3の第1変化の直前及び直後に測定するように構成され、その場合、決定ユニット7は、好ましくは、各電気グループ1,2,3に関して電力消費の変化を、例えば下記の式に従って、主電源電圧V
1,V
2,V
3の第1変化の直前又は直後の二乗された該主電源電圧V
1,V
2,V
3及び全アドミタンスY
1,Y
2,Y
3の変化ΔY
1,ΔY
2,ΔY
3に基づいて決定するように構成され:
【数13】
ここで、インデックスiは電気グループ1,2,3に関係するものであり、V
iは、ΔY
iの実部が負である場合は主電源電圧V
iの第1変化の直前の主電源電圧であり、ΔY
iの実部が正である場合は主電源電圧V
iの第1変化の直後の主電源電圧である。
【0052】
以下には、多グループ電気ネットワークにおいて使用するための分離方法の一実施態様を
図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0053】
ステップ101において、各電気グループ1,2,3に関して或る機器の動作状態が変化される間に電気グループ1,2,3の機器1
1,1
2,1
3,2
1,2
2,2
3,3
1,3
2,3
3に供給される主電源電圧V
1,V
2,V
3の第1変化が測定され、ステップ102において、各電気グループ1,2,3に関して電気グループ1,2,3の切り換え可能な負荷1
n,2
n,3
nが切り換えられる間に主電源電圧V
1,V
2,V
3の第2変化が測定され、ステップ103において、少なくとも1つの電気グループ1に関して他の電気グループ3の切り換え可能な負荷3
nが切り換えられる間に主電源電圧V
1の第3変化が測定され、ステップ104において、動作状態が変化された機器を有する電気グループ1,2,3が、測定された主電源電圧V
1,V
2,V
3の第1変化、測定された主電源電圧V
1,V
2,V
3の第2変化、測定された主電源電圧V
1の第3変化、及び切り換え可能な負荷1
n,2
n,3
nの抵抗R
1n,R
2n,R
3nに基づいて決定される。
【0054】
ステップ102及び103はステップ101の前に実行することができ、ステップ103はステップ102の前に実行することができる。一実施態様において、先ずステップ102及び103が、この順番で実行されて、比(Z
0+Z
i)/V
0及びZ
0/V
0が決定され、次いで、ステップ101及び104が、上述した様に決定されたのと同じ比(Z
0+Z
i)/V
0及びZ
0/V
0で繰り返し実行される。当該多グループ電気ネットワークが余り安定していない場合、上記比(Z
0+Z
i)/V
0及びZ
0/V
0を更新するために、ステップ102及び103を或る時間間隔で繰り返し又は要求に応じて実行することができる。
【0055】
当該分離装置及び分離方法は、好ましくは、住宅監視のために及びエネルギ利用を分離するために使用される。
【0056】
図1を参照して上述した実施態様において、当該多グループ電気ネットワークは各々が3つの機器を備えた3つの電気グループを有しているが、該多グループ電気ネットワークは、勿論、3より多い又は少ない電気グループを有することもできると共に、各電気グループは、勿論、3より多い又は少ない機器を有することもできる。
【0057】
図1を参照して上述した実施態様において、当該分離装置は該分離装置の制御ユニットにより制御される切り換え可能な負荷を有しているが、代わりに、これら切り換え可能な負荷は当該多グループ電気ネットワークの要素、例えば該多グループ電気ネットワークの機器とすることもできる。これら切り換え可能な負荷が当該分離装置によってではなく当該多グループ電気ネットワークにより含まれる場合においても、上記制御ユニットは該切り換え可能な負荷を切り換えるように構成される。
【0058】
図1を参照して上述した実施態様において、前記第2比は第3電気グループ3の切り換え可能な負荷3
nの抵抗R
3n及び第1電気グループ1の主電源電圧の逆数1/V
1の第3変化Δ
3(1/V
1)に基づいて決定されるが、他の組み合わせも可能である。例えば、該第2比は、第2電気グループ2の切り換え可能な負荷2
nの抵抗R
2n及び第3電気グループ3の主電源電圧の逆数1/V
3の第3変化Δ
3(1/V
3)に基づいて決定することもできる。
【0059】
開示された実施態様の他の変形例は、当業者によれば、請求項に記載された本発明を実施するに際して図面、本開示及び添付請求項の精査から理解し実施することができるものである。
【0060】
尚、請求項において“有する”なる文言は他の構成要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数を排除するものではない。
【0061】
また、単一のユニット又は装置は、請求項に記載された幾つかの項目の機能を満たすことができる。また、特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせを有利に使用することができないということを示すものではない。
【0062】
また、1以上のユニット又は装置により実行される、動作状態が変化された機器を有する電気グループの決定、当該多グループ電気ネットワークの電力消費の変化の決定、前記比(Z
0+Z
i)/V
0及びZ
0/V
0の決定等の決定は、如何なる他の数のユニット又は装置により実行することもできる。多グループ電気ネットワークに使用するための前記分離方法に従う多グループ電気ネットワークに使用するための前記分離装置の決定及び/又は制御は、コンピュータプログラムのプログラムコードとして及び/又は専用のハードウェアとして実施化することができる。
【0063】
コンピュータプログラムは、光記憶媒体又は他のハードウェアと共に若しくは該ハードウェアの一部として供給される固体媒体により記憶/分配することができるのみならず、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してのように、他の形態でも分配することができる。
【0064】
請求項における如何なる符号も、当該範囲を限定するものと見なしてはならない。
【0065】
本発明は、各々が1以上の機器を備える複数の電気グループを有すると共に電力源により給電される多グループ電気ネットワークで使用される分離装置に関するものである。各電気グループに関して、電圧測定器は、或る機器の動作状態が変化される間の前記電気グループの機器に供給される主電源電圧の第1変化、及び前記電気グループの切り換え可能な負荷が切り換えられる間の前記主電源電圧の第2変化を測定する。少なくとも1つの電気グループに関して、前記電圧測定器は、他の電気グループの切り換え可能な負荷が切り換えられる間の前記主電源電圧の第3変化を測定する。決定ユニットは、前記動作状態が変化された機器を有する電気グループを、前記測定された主電源電圧の第1変化、前記測定された主電源電圧の第2変化、前記測定された主電源電圧の第3変化及び前記切り換え可能な負荷の抵抗に基づいて決定する。このように、多グループ電気ネットワークにおいて、他の電気グループにおける機器の動作状態の変化による検出誤りを回避することができると共に分離の精度を向上させることができる。