特許第6321161号(P6321161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6321161-多結晶シリコンの包装 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321161
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】多結晶シリコンの包装
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20180423BHJP
   C01B 33/02 20060101ALI20180423BHJP
   B65B 25/00 20060101ALI20180423BHJP
   B65D 81/127 20060101ALI20180423BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   B65D77/04 D
   C01B33/02 E
   B65B25/00 Z
   B65D81/127 A
   B65D85/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-526491(P2016-526491)
(86)(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公表番号】特表2016-531049(P2016-531049A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】EP2014063481
(87)【国際公開番号】WO2015007490
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2016年3月11日
(31)【優先権主張番号】102013214099.1
(32)【優先日】2013年7月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リヒテネッガー,ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】ペヒ,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ビエッツ,マティーアス
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−036981(JP,A)
【文献】 特表2010−528955(JP,A)
【文献】 特開2001−058674(JP,A)
【文献】 特開2006−256628(JP,A)
【文献】 実開平06−027632(JP,U)
【文献】 特開2011−057229(JP,A)
【文献】 特開2008−189354(JP,A)
【文献】 実開平05−094187(JP,U)
【文献】 実開昭59−094069(JP,U)
【文献】 特開2013−241330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/04
B65B 25/00
B65D 81/127
B65D 85/00
C01B 33/02
B65D 85/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのプラスチック袋を有し、各プラスチック袋中に多結晶シリコン塊を備える輸送容器であって、
包装密度が650kg/m以上で950kg/m以下であり、
輸送容器中のプラスチック袋は、プラスチック袋の長辺が輸送容器の底面の平面にほぼ平行に重なり合って、配置されており、および
各プラスチック袋の中に存在する前記塊の体積を1とした場合の、各プラスチック袋の全容積が2.4から3.0であることを特徴とする輸送容器。
【請求項2】
包装密度が、800kg/mを超えて950kg/m以下である請求項1に記載の輸送容器。
【請求項3】
前記輸送容器内に存在する剰余の容積が、発泡体からなる、またはPU、ポリエステルもしくは発泡性ポリスチレンの成形要素からなる詰め物で、70%を超える広さまで充填されている、請求項1または2に記載の輸送容器。
【請求項4】
前記プラスチック袋が、少なくとも部分的に重なり合っている、請求項1から3の何れかに記載の輸送容器。
【請求項5】
詰め物が、重なり合っているプラスチック袋の間に配置されている、請求項1から4の何れかに記載の輸送容器。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の輸送容器が複数固定されているパレット。
【請求項7】
多結晶シリコン塊が、請求項1から5の何れかに記載のように輸送容器に入れられ、多結晶シリコン塊の輸送方法。
【請求項8】
多結晶シリコン塊が、請求項1から5の何れかに記載のように輸送容器に入れられ、かつ、複数の輸送容器が、請求項6に記載のようにパレットに固定される、多結晶シリコン塊の輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコンの包装に関する。
【背景技術】
【0002】
多結晶シリコン(ポリシリコン)は、主にシーメンス法によって、トリクロロシラン等のハロシランから堆積され、その後できる限り汚染が少ない多結晶シリコン塊に粉砕される。
【0003】
半導体および太陽光発電産業における用途では、できる限り汚染が少ない水準の塊ポリシリコンが望まれる。従って、この材料はまた、顧客に輸送される前に、汚染を低くして包装されるべきである。
【0004】
一般的に、ポリシリコン塊は一重または多重プラスチック袋に包装される。通常、ポリシリコン塊は二重袋に包装される。
【0005】
これらの袋は、その後外包装、(例えば大きな段ボール箱)に入れられ、顧客に輸送される。
【0006】
塊ポリシリコンは、流動性がない鋭いエッジのバルク材料である。従って、包装作業において、この材料が充填の過程で従来のプラスチック袋に穴をあけないこと、または最悪の場合、さらに完全にプラスチック袋を破損しないことを確実にするべきである。
【0007】
これを避けるため、様々な方策が従来技術において提案されている。
【0008】
US 20100154357 A1は、密封作業の際に袋から空気を吸い出し、10から700mbarの真空を得ることを提案している。
【0009】
US 20120198793 A1は、溶着作業の前に袋から空気を吸い出し、空気の少ない平らな袋を得ることを開示している。
【0010】
しかしながら、これらの方策では、穴あきを防止することはできないことが分かっている。
【0011】
US 20100154357 A1は、包装作業の際プラスチック袋内に、エネルギー吸収材を提供する。これは穴あきを防ぐはずである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0154357号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0198793号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、袋の穴あきは包装作業の際だけでなく、顧客への輸送過程でも起こり得る。塊ポリシリコンは、鋭いエッジをしており袋の中でこれら塊が好ましくない向きをした場合に、袋のフィルムに対するこれら塊の相対移動および袋のフィルムへのこれら塊の圧力がそれぞれ、袋のフィルムを突き破り、貫通する結果となる。
【0014】
袋の包装から突き出た塊は、周囲の物質によって直接、および内側の塊は流入する外気によって、容認しがたいほど汚染され得る。
【0015】
さらに、包装されたシリコン塊の輸送の過程で、相対移動およびぶつかり合うことで、またはエッジが破砕することおよび摩耗することで、好ましくない二次的な粉砕が起こる。
【0016】
これは、この過程で生じた微粉がとりわけ明らかに顧客が行う工程に悪影響を及ぼすため望ましくない。結果として、顧客はさらなる処理の前にこれら微粉の画分を再度篩って取り除かなければならず、不都合である。
【0017】
この問題は、粉砕および分級、清浄および未清浄シリコンに対して、包装サイズ(一般的に袋にはポリシリコンが5または10kg入っている。)にかかわらず等しく当てはまる。
【0018】
袋の破損のリスクは塊の質量に比例して増加することが分かっている。
【0019】
原理上考えられる一つの選択肢、袋のフィルムを強化することによって穴あき率を減少させることは、とりわけそのような柔軟性の劣るフィルムは取扱いがより困難およびより高価になり得るため、実用性が低いことが分かっている。
【0020】
これらの穴あきおよび二次的な粉砕の主な原因は、輸送中のこれら袋の過度な「運動の自由度」にある。輸送(トラック、空輸、海運および列車、貨物等)の間、包装単位への応力は多い。
【0021】
ここで、最も有害な影響は、例えば、トラック輸送によって生じるような顕著な度合の絶え間のない振動の中で見られることが研究で示されている。
【0022】
この問題によって本発明の目的は生じた。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の目的は、特許請求の範囲によって達成される。
【0024】
本発明は、意外にも、輸送中に生じる穴あきと微粉の両方を最少に抑えた。同時に、費用面での優位性が達成された。
【0025】
本発明者らは、包装されたポリシリコンの袋が、二次包装単位(例えば段ボール箱の中)で有する空間が大きいほど、振動の影響がより大きな破損を与えることを認識している。過度に詰まった包装は穴あき数の増加の原因となり、過度に緩い包装は、同様に穴あきおよびかなり多い微粉の原因となる場合がある。
【0026】
本発明は、従って、二次包装単位(段ボール箱)における移動の余地(空きスペース)を減少させることを制御することによって、不要な二次的な粉砕もしくは包装フィルムの穴あきを避ける、または顕著に減少させることを想定する。段ボール箱の中でのこれら袋の制御された配置によって、例えば、規定の水平の重ね合わせによって、または、特定の詰め物によって、これら微粉/穴あきを回避することが可能である。
【0027】
これは、5および10kgの包装体、または同桁の単位における、粉砕および分級、清浄および未清浄シリコンに対して等しく当てはまる。これらは、特に、典型的なエッジの長さが0.1mmから250mmの間の塊シリコンの場合に採用される。
【0028】
さらなる利点は、大箱の膨隆がないこと、標準の箱と比べて一定の箱高さ、および製造費用の削減(消耗品および人件費の削減)である。
【0029】
本発明は、少なくとも2つのプラスチック袋を有し、各プラスチック袋中に多結晶シリコン塊を備える、包装密度が500kg/mより大きいことを特徴とする輸送容器に関する。
【0030】
本発明の中で、包装密度は、輸送容器の内容積に対する多結晶シリコン塊の初期重量として定義される。
【0031】
前記包装密度は、650kg/mより大きいことが好ましい。包装密度が800kg/mより大きいことが特に好ましい。しかしながら、前記包装密度は、950kg/mまでであるべきである。
【0032】
本発明は、さらに、本発明の複数の輸送容器のパレットへの固定もまた提供する。
【0033】
本発明は、さらに、前記プラスチック袋の穴あき率が、輸送後に20%未満である、本発明の輸送容器による多結晶シリコン塊の輸送方法にも関する。
【0034】
前記穴あき率は、10%未満が好ましく、5%未満がより好ましい。理想的には、穴あきは全く生じない。
【0035】
穴あきは、本発明の中で、少なくとも1つの目に見える孔、即ち、長さ方向の範囲が0.3mm以上の孔を有する袋の、輸送容器内のすべての袋に対する割合として定義される。
【0036】
輸送中に生じるSi微粉の断片は、<100ppmwが好ましく、<50ppmwがより好ましい。理想的には、微粉は生じない。
【0037】
以下、塊サイズ3から5については、8mm×8mmのサイズの正方形の網目を有する網目スクリーンによって取り除かれ得るサイズを備えるシリコンの塊または粒子のすべてを微粉とする。塊サイズ0から2については、網目のサイズがここでは1mm×1mmとして定義される他は、同じ定義が適用される。
【0038】
サイズの分類は、シリコン塊の表面の2点間の最長の距離(=最大長さ)として定義される:
【0039】
【表1】
【0040】
好ましくは、輸送容器内に存在する剰余の容積(=箱の容積−すべての袋の体積)は、特定の詰め物、例えば、発泡体である箱挿入物で、70%を超える広さまで、より好ましくは100%の広さまで充填される。
【0041】
好ましくは、PU、ポリエステルもしくは発泡性ポリスチレンまたは別のポリマーからなる成形要素もまた導入される。
【0042】
輸送容器の中にこれら袋を水平に配置することが好ましい。これは、これらの充填袋が長い方の側面を箱の底部の上にして置かれていることを意味すると理解される。垂直の配置は、対照的に、これら充填袋が箱の中で直立して置かれることを意味する。
【0043】
これら袋は、水平配置の場合、重なり合ってもよく、これは、一つの袋が部分的に別の袋の上に同様に置かれていてもよいことを意味する。
【0044】
これら袋の箱内での好ましい水平配置は図1によって以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】8つの充填袋を備えた箱を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
それぞれがポリシリコン塊2で充填された8つの袋3が箱1に入っている。それぞれ2つの袋3を備えた全部で4つの平面が存在する。詰め物4は、これら平面の一部の間に入っている。これら袋3は、水平に配置されている;これら袋3の長辺は、箱の底面にほぼ平行である。
【0047】
これら袋の間の仕切り、例えば内箱、セル仕切り、または厚紙の仕切りは好ましいものの、信頼性のある輸送に絶対必要というわけではない。
【0048】
例えば、それぞれがポリシリコン塊を10kg含む8つの袋は、一つの輸送容器に水平に入れられていてもよい。この場合、従ってこの輸送容器はポリシリコン80kgで充填されている。
【0049】
これら輸送容器は、パレットに固定されるのが好ましく、より好ましくは、緊締される。例えば、それぞれがポリシリコン80kgを含む6つの輸送容器を一つのパレットに固定することが可能である。
【0050】
この輸送容器は、外包装要素は、例えば、段ボール箱が好ましい。
【0051】
これら塊の体積に対するプラスチック袋の全容積は、2.4から3.0が好ましい。
【0052】
これは、これら塊をプラスチック袋に入れた後に、プラスチック袋の中に存在する空気をこのプラスチック袋を閉じる前に取り除くことによって達成される。
【0053】
好ましくは、このプラスチック袋は、二重袋であって、第一および第二のプラスチック袋、ならびに第一のプラスチック袋の中に塊のポリシリコンを含み、第一のプラスチック袋は第二のプラスチック袋の中に挿入されており、どちらのプラスチック袋も密封されており、これら塊の体積に対するこの二重袋の全容積は、2.4から3.0である。
【0054】
これら塊の体積に対する第一の袋の全容積は、2.0から2.7が好ましい。
【0055】
好ましくは、第一の袋の寸法は、これらポリマーフィルムがこれらシリコン塊と近接して並ぶような寸法である。このようにして、これら塊間の相対移動を避けることができる。
【0056】
これらプラスチック袋は、高純度ポリマーからなることが好ましい。好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)もしくはポリプロピレン(PP)または複合フィルムである。複合フィルムは、柔軟な包装体が作られる多層包装フィルムである。個々のフィルム層は、一般的に押出しまたは積層される。
【0057】
前記プラスチック袋は、厚さが10から1000μmであることが好ましく、100から300μmがより好ましい。
【0058】
これらプラスチック袋は、例えば、溶着、接着、縫い付けまたは型締めによって閉じることができる。これらプラスチック袋は、好ましくは溶着によって閉じられる。
【0059】
包装した袋の容積を測定するために、袋を水浴に入れる。
【0060】
変位した水は、この袋の全容積に相当する。
【0061】
シリコンの体積は、超高純度シリコンの一定密度(2.336g/cm)を用いて、シリコンの重量から決定した。
【0062】
別の方法として、シリコンの体積は前記浸漬法によって同様に測定することができた。
【0063】
空気はシリコン充填プラスチック袋から各種方法によって取り除くことができる:
手押しとその後の溶着
留め金具または押印装置とその後の溶着
吸引装置とその後の溶着
真空室とその後の溶着
包装過程の周囲条件は、温度18から25℃が好ましい。相対空気湿度は、30から70%が好ましい。
【0064】
凝縮水の生成はこの方法で回避できることが分かっている。
【0065】
好ましくは、包装はさらに濾過された空気環境で行われる。
【実施例】
【0066】
微粉断片の測定
塊サイズ3から5の微粉断片を測定するため、8mm平方の網目、またはより小さい塊サイズについては1mm平方の網目の網目スクリーン、および振動モータを用いる。篩って取り除いた微粉断片は、重量測定手法によって定量化した。
【0067】
[実施例1]
輸送シミュレーション(最悪のケース):トラックのパレットの表面への輸送の振動からの典型的な応力800km、トラック輸送の衝撃2から6g(重力加速度)、搭載単位の転換および海外輸送に対する水平方向の衝撃。
【0068】
表1は、調べた箱の概観を示す。
【0069】
これら試験例では、これらのポリ塊は、以下の箱の中でPE二重袋(290μm)に配置される。
【0070】
【表2】
【0071】
袋に存在する塊の体積に対する各二重プラスチック袋の全容積は2.4から3.0の範囲であった。
【0072】
表2は、調べた5つの箱についての包装密度、微粉および穴あきを示す。試験ごとに960kgを評価した。穴あき率は、外袋の穴あきに基づく。
【0073】
【表3】
【0074】
[実施例2]
積み降ろしを伴うトラック旅程1000km
ここでも表1の箱1−5を調べた。
【0075】
表3は、調べた5つの箱についての包装密度、微粉および穴あきを示す。試験ごとに960kgを評価した。
【0076】
包装密度が500kg/m未満である場合、容器内での袋の配置(水平/垂直)にかかわらず、400ppmwを超える微粉が輸送の過程で生じ、穴あき率は25%を超える。
【0077】
【表4】
【符号の説明】
【0078】
1 箱
2 ポリシリコン塊
3 袋
4 詰め物
図1