【課題を解決するための手段】
【0005】
ある側面によれば、入力オーディオ信号を再サンプリングして出力オーディオ信号にするシステムが記述される。システムは再サンプリング器と称されてもよい。システムは、有理再サンプリング比に従って再サンプリングを実行するよう構成されていてもよい。再サンプリング比L/Mはアップサンプリング因子L(たとえばLは1以上の整数)およびダウンサンプリング因子M(たとえばMは1以上の整数)によって定義されてもよい。よって、再サンプリング器は、入力サンプリング・レートの入力オーディオ信号を再サンプリングして出力サンプリング・レートの出力オーディオ信号にするよう構成されていてもよい。ここで、出力サンプリング・レートは入力サンプリング・レートのL/M倍に対応する。
【0006】
本システムは、出力オーディオ信号のイメージングおよび/またはエイリアシングを低減するよう構成されているフィルタからのフィルタ係数の現在の部分集合を使って、入力オーディオ信号の一つまたは複数の入力サンプルから出力オーディオ信号の現在の出力サンプルを決定するよう構成されている処理ユニットを有していてもよい。フィルタは、アンチイメージング/アンチエイリアシング・フィルタと称されてもよい。フィルタは、所定数N個のフィルタ係数を有するデジタル・フィルタ(たとえば、有限インパルス応答(FIR)フィルタ)として実装されてもよい。現在の出力サンプルを決定するためのフィルタ係数の現在の部分集合は、アンチイメージング/アンチエイリアシング・フィルタの所定数N個のフィルタ係数から選択されてもよい。特に、フィルタ係数の現在の部分集合は、アンチイメージング/アンチエイリアシング・フィルタのポリフェーズ構造のあるフェーズに対応してもよい。
【0007】
上記のように、アンチイメージング/アンチエイリアシング・フィルタは、N個のフィルタ係数の全集合を有していてもよい。フィルタ係数のこの全集合は、ポリフェーズ構造の複数のフェーズに細分されてもよい。ここで、各フェーズは、フィルタ係数の全集合からのフィルタ係数の部分集合を含む。特に、ポリフェーズ構造はL個のフェーズ、すなわちアップサンプリング因子Lに対応する数のフェーズを含んでいてもよい。すると、異なるフェーズについてのフィルタ係数の部分集合はそれぞれN/L個のフィルタ係数を含んでいてもよい。典型的には、ポリフェーズ構造の異なるフェーズについてのフィルタ係数の部分集合は互いに背反である。換言すれば、典型的には、フィルタ係数の全集合からの各フィルタ係数は、単一のフェーズについての単一の部分集合内に含まれるだけである。さらに、異なるフェーズについてのフィルタ係数の部分集合の和集合は典型的にはフィルタ係数の全集合に対応する。
【0008】
本システムは、異なる出力サンプルを決定するために使われる、フィルタのポリフェーズ構造の異なるフェーズのフェーズ・インデックスと、それぞれ直前の出力サンプルを決定するために使われる直前のフェーズのフェーズ・インデックスとの間のマッピングを与え、フェーズ・インデックスとフィルタからのフィルタ係数のそれぞれの部分集合との間のマッピングを与える、一つまたは複数のルックアップテーブルを有していてもよい。
【0009】
特に、本システムは、異なる出力サンプルを決定するために使われる、アンチイメージング/アンチエイリアシング・フィルタのポリフェーズ構造の異なるフェーズのフェーズ・インデックスと、それぞれ直前の出力サンプルを決定するために使われる直前のフェーズのフェーズ・インデックスとの間のマッピングを与えるフェーズ・ルックアップテーブルを有していてもよい。換言すれば、フェーズ・ルックアップテーブルは、アンチイメージング/アンチエイリアシング・フィルタのポリフェーズ構造のフェーズのシーケンスを示していてもよく、該フェーズのシーケンスは、出力オーディオ信号の出力サンプルの対応するシーケンスを決定するために使われる。よって、フェーズ・ルックアップテーブルは、ポリフェーズ構造の各フェーズについて、ポリフェーズ構造の直後のフェーズを示してもよい。
【0010】
さらに、本システムは、フェーズ・インデックスと、アンチイメージング/アンチエイリアシング・フィルタからのフィルタ係数のそれぞれの部分集合との間のマッピングを提供するフィルタ・ルックアップテーブルを有していてもよい。換言すれば、フィルタ・ルックアップテーブルは、ポリフェーズ構造の異なるフェーズについてのフィルタ係数の諸部分集合(諸サブフィルタをなす)を示していてもよい。
【0011】
あるいはまた、本システムは、フェーズ・インデックスおよびフィルタからのフィルタ係数のそれぞれの部分集合との間のマッピングを与える組み合わされたフェーズ/フィルタ・ルックアップテーブルを有していてもよい。組み合わされたフェーズ/フィルタ・ルックアップテーブルのフェーズ・インデックスは、出力オーディオ信号の出力サンプルの対応するシーケンスを決定するために使われるフェーズ・インデックスのシーケンスに従って順序付けられてもよい。例として、組み合わされたフェーズ/フィルタ・ルックアップテーブルは、異なるフェーズ・インデックスについてフィルタ係数の異なる部分集合を示す複数の行(または列)を有していてもよく、それらの行は出力オーディオ信号の出力サンプルの対応するシーケンスを決定するために使われるフェーズ・インデックスのシーケンスに従って順序付けられてもよい。よって、組み合わされたフェーズ/フィルタ・ルックアップテーブルの行(または列)の順序付けは、異なる出力サンプルを決定するために使われる、フィルタのポリフェーズ構造の異なるフェーズのフェーズ・インデックスと、それぞれ直前の出力サンプルを決定するために使われる直前のフェーズのフェーズ・インデックスとの間のマッピングを与える。
【0012】
組み合わされたフェーズ/フィルタ・ルックアップテーブルを使う結果として、現在の出力サンプルについてのフィルタ係数の現在の部分集合は、モジュロLポインタに基づくルックアップ動作を使って決定されうる。
【0013】
処理ユニットは、前記一つまたは複数のルックアップテーブルを使って、現在の出力サンプルの直前の前の出力サンプルについての前のフェーズ・インデックスに基づいて、フィルタ係数の現在の部分集合を決定するよう構成されていてもよい。
【0014】
特に、処理ユニットは、フェーズ・ルックアップテーブルを使って、(現在の出力サンプルの直前の前の出力サンプルを決定するために使われたフェーズを同定する)前のフェーズ・インデックスに基づいて、(現在の出力サンプルを決定するための使われるべき現在のフェーズを同定する)現在のフェーズ・インデックスを決定するよう構成されていてもよい。よって、現在のフェーズ・インデックスの決定は、(よって現在のフェーズの決定は)ルックアップ動作を使って計算効率のよい仕方で実行されうる。同様に、処理ユニットは、フィルタ・ルックアップテーブルを使って、現在のフェーズ・インデックスに基づいてフィルタ係数の現在の部分集合を決定するよう構成されていてもよい。よって、処理ユニットは、計算効率のよいルックアップ動作を使って現在の出力サンプルを決定するために使われるフィルタ係数を決定するよう構成されていてもよい。
【0015】
あるいはまた、処理ユニットは、組み合わされたフェーズ/フィルタ・ルックアップテーブルへのモジュロLポインタを使って、現在の出力サンプルの直前の前の出力サンプルについての前のフェーズ・インデックスに基づいて、フィルタ係数の現在の部分集合を決定するよう構成されていてもよい。
【0016】
上記のように、本システムは、Lが1より大きいとして、アップサンプリング因子Lに従って入力オーディオ信号を再サンプリングするよう構成されていてもよい。その際、アンチイメージング/アンチエイリアシング・フィルタのポリフェーズ構造はL個のフェーズを有していてもよい。さらに、その際、フェーズ・ルックアップテーブルは、L個のフェーズについてのL個のフェーズ・インデックスのそれぞれについて、直前のフェーズについてのフェーズ・インデックスへのマッピングを提供してもよい。換言すれば、フェーズ・ルックアップテーブルは、現在および前のフェーズ・インデックスのマッピングする対をもつL個のエントリーを有していてもよい。フェーズ・ルックアップテーブルは、出力オーディオ信号の出力サンプルの対応するシーケンスを決定するために使われるフェーズのフェーズ・インデックスのシーケンスを示してもよい。フェーズ・インデックスのシーケンス(すなわち、使用されるべきフェーズのシーケンス)は、典型的には、アップサンプリング因子Lおよび/またはダウンサンプリング因子Mに依存する。処理ユニットは、アップサンプリング因子Lに基づきおよび/またはダウンサンプリング因子Mに基づきフェーズ・インデックスのシーケンスおよび/またはフェーズ・ルックアップテーブルを決定するよう構成されていてもよい。さらに、処理ユニットは、フィルタ係数の部分集合および/またはフィルタ・ルックアップテーブルを決定するよう構成されていてもよい。これらの決定は、再サンプリング器の初期化の際に実行されてもよい。すると、入力オーディオ信号のその後の処理は、あらかじめ決定されたフェーズ・インデックスのシーケンスおよび/またはフェーズ・ルックアップテーブルならびにフィルタ係数のあらかじめ決定された諸部分集合および/またはあらかじめ決定されたフィルタ・ルックアップテーブルを使って実行されてもよい。
【0017】
処理ユニットは、1からLまで増える整数のシーケンスを含む基本ベクトルを決定することによってフェーズ・インデックスのシーケンスおよび/またはフェーズ・ルックアップテーブルを決定するよう構成されていてもよい。さらに、該基本ベクトルをM回連結することにより、基本ベクトルから連結ベクトルが決定されてもよい。フェーズ・インデックスのシーケンスは、連結ベクトルからM番目毎の項目を選択することによって決定されてもよい。すると、フェーズ・ルックアップテーブルは、フェーズ・インデックスのシーケンスに基づいて決定されてもよい。フェーズ・インデックスのシーケンスを決定するこの方法は、乗算または除算のような計算上わずらわしいタスクを含まないので、有益である。
【0018】
しかしながら、フェーズ・インデックスのシーケンスを決定するための上述した方法は、L×M個の項目を含む連結ベクトルの決定および記憶に関わる。以下では、フェーズ・インデックスのシーケンスを決定する代替的な方法が記述される。これはメモリ資源に関する改善された効率を提供する。フェーズ・インデックスのシーケンスを決定するために、処理ユニットは、フェーズ・インデックスのシーケンスから第一のフェーズ・インデックスを選択するよう構成されていてもよい。第一のフェーズ・インデックスは、LまたはLの倍数だけ増大させられてもよい。ただし、増大させられた第一のフェーズ・インデックスはM以下とする。その結果、結果として得られる増大させられた第一のフェーズ・インデックスは値Mを超える。フェーズ・インデックスのシーケンスにおいて第一のフェーズ・インデックスの直後の第二のフェーズ・インデックスが、増大させられた第一のフェーズ・インデックスに基づいて決定されてもよい。特に、第二のフェーズ・インデックスは、増大させられた第一のフェーズ・インデックスMからMを引いて中間フェーズ・インデックスを与えることによって決定されてもよい。その際、第二のフェーズ・インデックスは、L+1から中間フェーズ・インデックスを引くことによって決定されてもよい。上述したプロセスは、(現在の反復工程の第一のフェーズ・インデックスを、直前の反復工程の第二のフェーズ・インデックスで置き換えることにより)逐次反復的な仕方で繰り返されて、フェーズ・インデックスの完全なシーケンスを決定してもよい。
【0019】
さらに、処理ユニットは、隣り合うフェーズ・インデックスの一つまたは複数の対についてフェーズ・インデックスのシーケンスからの隣り合うフェーズ・インデックスの間の差をΔ=[M MOD L]に設定することによって、フェーズ・インデックスのシーケンスを決定するよう構成されていてもよい。
【0020】
本システムは、種々の再サンプリング比のために設計されうる。換言すれば、本システムは、種々のアップサンプリング因子Lに従っておよび/または種々のダウンサンプリング因子Mに従って再サンプリングを実行するよう構成されうる。この目的のために、フェーズ・ルックアップテーブルは、それぞれ複数の異なる再サンプリング比L/Mについて複数のフェーズ・インデックスからフェーズ・インデックスへのマッピングを有していてもよい。さらに、フィルタ・ルックアップテーブルは、それぞれ複数の異なる再サンプリング比L/Mについて複数のフェーズ・インデックスからフィルタ係数の部分集合へのマッピングを有していてもよい。その際、処理ユニットは、適用可能な再サンプリング比についての適切なマッピングを選択するよう構成されていてもよい。
【0021】
あるさらなる側面によれば、フェーズ・インデックスのシーケンスを決定する方法が記述される。フェーズ・インデックスのシーケンスは、入力オーディオ信号の入力サンプルのシーケンスから再サンプリングされたオーディオ信号の出力サンプルのシーケンスを決定するために使われる再サンプリング・フィルタのポリフェーズ構造のフェーズの対応するシーケンスを同定してもよい。本方法は、フェーズ・インデックスのシーケンスから第一のフェーズ・インデックスを選択することを含んでいてもよい。第一のフェーズ・インデックスは、アップサンプリング因子LまたはLの倍数だけ増大させられてもよい。ただし、増大させられた第一のフェーズ・インデックスはダウンサンプリング因子M以下とする。フェーズ・インデックスのシーケンスにおいて第一のフェーズ・インデックスの直後の第二のフェーズ・インデックスが、増大させられた第一のフェーズ・インデックスに基づいて決定されてもよい。本方法はさらに、第二のフェーズ・インデックスを、増大させられた第一のフェーズ・インデックスMからMを引いて中間フェーズ・インデックスを与えることによって決定することを含んでいてもよい。さらに、本方法は、第二のフェーズ・インデックスを、L+1から中間フェーズ・インデックスを引くことによって決定することを含んでいてもよい。
【0022】
もう一つの側面によれば、フェーズ・インデックスのシーケンスを決定する方法が記述される。フェーズ・インデックスのシーケンスは、再サンプリング・フィルタのポリフェーズ構造のフェーズの対応するシーケンスを同定してもよい。ここで、フェーズ・インデックスのシーケンスは、入力オーディオ信号の入力サンプルのシーケンスから再サンプリングされたオーディオ信号の出力サンプルのシーケンスを決定するために使われるものである。本方法は、1からアップサンプリング因子Lまで増える整数のシーケンスを含む基本ベクトルを決定することを含んでいてもよい。さらに、本方法は、該基本ベクトルをM回連結することにより、基本ベクトルから連結ベクトルが決定することを含んでいてもよい。ここで、Mはダウンサンプリング因子である。フェーズ・インデックスのシーケンスは、連結ベクトルからM番目毎の項目を選択することによって決定されてもよい。
【0023】
もう一つの側面によれば、複数の異なるチャネルを含むマルチチャネル・オーディオ信号についてのオーディオ・デコード・システムが記述される。前記複数の異なるチャネルは一つまたは複数のサラウンド・チャネルを含んでいてもよい。本オーディオ・デコード・システムは、マルチチャネル・オーディオ信号を示すビットストリームを受領するよう構成されていてもよい。ビットストリームは、マルチチャネル・オーディオ信号を提供するためにデコードされてもよい。さらに、オーディオ・デコード・システムは、第一の条件および第二の条件が満たされているかどうかを判定するよう構成されていてもよい。第一の条件は、マルチチャネル・オーディオ信号が低減された数のチャネルにダウンミックスされるべきであることを含んでいてもよく、あるいは示していてもよい。このダウンミックスは、ビットストリームのデコードのコンテキストにおいてまたはビットストリームのデコード後に実行されうる。よって、第一の条件は、オーディオ・デコード・システムがマルチチャネル・オーディオ信号の予定されているダウンミックスを認識していることに向けられてもよい。
【0024】
第二の条件は、前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルがすでに前記複数の異なるチャネルのうちの他のチャネルのうちの一つまたは複数に対して位相シフトされているかどうかを含んでいてもよく、あるいは示していてもよい。換言すれば、本オーディオ・デコード・システムは、前記マルチチャネル・オーディオ信号の前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルがすでに位相シフトされているかどうかを検証するよう構成されていてもよい。位相シフトは、前記マルチチャネル・オーディオ信号の他のチャネルに対して90度の位相シフトに対応していてもよい。第二の条件は、受領されたビットストリーム内に含まれる情報(たとえばフラグ)に基づいて検証されてもよい。よって、第二の条件は、ビットストリーム内に含まれる指示(たとえばフラグ)に基づいて判定されてもよい。代替的または追加的に、本オーディオ・デコード・システムは、(本稿で概説されるように)前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルが前記複数の異なるチャネルのうちの他のチャネルのうちの一つまたは複数に対して位相シフトされているという事実の確率を決定するために、前記マルチチャネル・オーディオ信号を解析するよう構成されていてもよい。
【0025】
本オーディオ・デコード・システムは、前記第一の条件が満たされる場合(すなわち、マルチチャネル・オーディオ信号がダウンミックスされることになっている場合)かつ前記第二の条件が満たされない場合(すなわち、オーディオ・デコード・システムが前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルがすでに位相シフトされていることを確認できない場合)、前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルに位相シフトを適用して一つまたは複数の位相シフトされたサラウンド・チャネルを与えるよう構成されていてもよい。前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルへの位相シフトは、前記第一の条件が満たされ、かつ前記第二の条件が満たされない場合にのみ適用されうる。それ以外の場合には、前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルの位相は不変のままにされてもよい。本オーディオ・デコード・システムは、前記複数の異なるチャネルのうちの他のチャネルのうちの一つまたは複数に対して前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルに90度の位相シフトを適用するよう構成されていてもよい。
【0026】
よって、本オーディオ・デコード・システムは、前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルの一貫した位相シフトを保証するよう構成されうる。そのような一貫した位相シフトは、典型的には、行列エンコード(すなわちダウンミックス)および行列でコード(すなわちアップミックス)のコンテキストにおけるチャネル分離のために有益である。さらに、信号を打ち消す位相シフトの発生が防止または低減できる。そのような信号打ち消しは、前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルに位相シフトを複数回適用することに起因して生じうる。
【0027】
本オーディオ・デコード・システムはさらに、行列エンコードを使って、前記マルチチャネル・オーディオ信号からダウンミックスされたオーディオ信号を決定するよう構成されていてもよい。ダウンミックスされたオーディオ信号は典型的には前記マルチチャネル・オーディオ信号より少ないチャネルを含む。行列エンコードの一部として、本オーディオ・デコード・システムは、前記一つまたは複数の(位相シフトされた)サラウンド・チャネルを減衰させて、一つまたは複数の減衰されたサラウンド・チャネルを与え、前記一つまたは複数の減衰されたサラウンド・チャネルを前記複数の異なるチャネルのうちの他のチャネルの一つまたは複数と組み合わせて、ダウンミックスされたオーディオ信号の一つまたは複数のチャネルを与えるよう構成されていてもよい。
【0028】
もう一つの側面によれば、マルチチャネル・オーディオ信号をビットストリームにエンコードするためのオーディオ・エンコード・システムが記述される。前記マルチチャネル・オーディオ信号は複数の異なるチャネルを含む。前記複数の異なるチャネルは一つまたは複数のサラウンド・チャネルを含む。本オーディオ・エンコード・システムは、前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルが前記複数の異なるチャネルのうちの他のチャネルのうちの一つまたは複数に対して位相シフトされているという事実の確率を決定するよう構成されていてもよい。該確率の決定は、前記複数の異なるチャネルのオーディオ・コンテンツを解析することを含んでいてもよい。特に、前記複数の異なるチャネルのオーディオ・コンテンツのスペクトルが解析されてもよい。さらに、前記複数の異なるチャネルのスペクトルのフェーズが比較されてもよい。
【0029】
代替的または追加的に、確率は、前記マルチチャネル・オーディオ信号の履歴に基づいて決定されてもよい。例として、本オーディオ・エンコード・システムは、前記マルチチャネル・オーディオ信号の起源および/または前の処理を認識していてもよい。特に、本オーディオ・エンコード・システムは、前記マルチチャネル・オーディオ信号の(前記オーディオ信号の記録から始まる)処理の(完全な)チェーンを認識していてもよい。この知識は、前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルが前記複数の異なるチャネルのうちの他のチャネルのうちの一つまたは複数に対して位相シフトされているという事実の確率を決定するために使われてもよい。特に、この知識は、前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルが位相シフトされているという事実を排除する(確率=0%)または確認する(確率=100%)ために使われてもよい。
【0030】
さらに、本オーディオ・エンコード・システムは、決定された確率が所定の確率閾値を超える場合に、前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルが前記複数の異なるチャネルのうちの他のチャネルのうちの一つまたは複数に対して位相シフトされているという事実の指示をビットストリーム中に挿入するよう構成されていてもよい。この指示は、ビットストリームの所定のビットまたはフラグを含んでいてもよい。
【0031】
あるさらなる側面によれば、複数の異なるチャネルを含むマルチチャネル・オーディオ信号をデコードする方法が記述される。前記複数の異なるチャネルは一つまたは複数のサラウンド・チャネルを含んでいてもよい。本方法は、マルチチャネル・オーディオ信号を示すビットストリームを受領することを含んでいてもよい。さらに、本方法は、第一の条件および第二の条件が満たされているかどうかを判定することを含んでいてもよい。第一の条件は、マルチチャネル・オーディオ信号が低減された数のチャネルにダウンミックスされるべきであることの検証を含んでいてもよい。第二の条件は、前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルが前記複数の異なるチャネルのうちの他のチャネルのうちの一つまたは複数に対して位相シフトされているかどうかの検証を含む。これは、ビットストリーム内に含まれる指示(たとえばフラグ)に基づいて検証されてもよい。代替的または追加的に、これは、前記マルチチャネル・オーディオ信号自身に基づいて、および/または前記マルチチャネル・オーディオ信号の処理チェーンに関する知識に基づいて決定されてもよい。本方法はさらに、前記第一の条件が満たされ、かつ前記第二の条件が満たされない場合に、前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルに位相シフトを適用して一つまたは複数の位相シフトされたサラウンド・チャネルを与えることを含んでいてもよい。
【0032】
もう一つの側面によれば、マルチチャネル・オーディオ信号をビットストリームにエンコードする方法が記述される。前記マルチチャネル・オーディオ信号は複数の異なるチャネルを含んでいてもよい。前記複数の異なるチャネルは一つまたは複数のサラウンド・チャネルを含んでいてもよい。本方法は、前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルが前記複数の異なるチャネルのうちの他のチャネルのうちの一つまたは複数に対して位相シフトされているという事実の確率を決定することを含んでいてもよい。さらに、本方法は、決定された確率が所定の確率閾値を超える場合に、前記一つまたは複数のサラウンド・チャネルが前記複数の異なるチャネルのうちの他のチャネルのうちの一つまたは複数に対して位相シフトされているという事実の指示をビットストリーム中に挿入することを含んでいてもよい。
【0033】
あるさらなる側面によれば、オーディオ・フレームのシーケンスを含むオーディオ信号を、ビットストリーム・フレームの対応するシーケンスを含むビットストリームにエンコードするオーディオ・エンコード・システムが記述される。本オーディオ・エンコード・システムは、オーディオ・フレームの前記対応するシーケンスについてのサブストリーム・フレームの第一のシーケンスを提供するよう構成されていてもよい。サブストリーム・フレームの前記第一のシーケンスは、オーディオ・フレームの前記シーケンスの第一の表現を含んでいてもよい。表現は、オーディオ信号を表わすいくつかのチャネル(たとえば2チャネルまたは5.1チャネル)を含んでいてもよい。代替的または追加的に、表現は、ビットレートの指示を含んでいてもよく、あるいは表現はサブストリーム・フレームのシーケンスのビットレートに関連付けられていてもよい。本オーディオ・エンコード・システムはさらに、オーディオ・フレームの対応するシーケンスについてのサブストリーム・フレームの第二のシーケンスを提供するよう構成されていてもよい。第一および第二のシーケンスは、オーディオ・フレームの同じシーケンスの異なる表現を含んでいてもよい。
【0034】
さらに、オーディオ・エンコード・システムは、ビットストリーム・フレームのシーケンスを決定するよう構成されていてもよい。その際、ビットストリーム・フレームは、該ビットストリーム・フレーム内の異なる位置において前記第一および第二のシーケンスからの対応するサブストリーム・フレームを含む。特に、ビットストリーム・フレームのシーケンスは、各ビットストリーム・フレームが、前記第一および第二のシーケンスからの対応するサブストリーム・フレームを含むよう決定されてもよい。よって、ビットストリームは、同じオーディオ信号の複数の表現を含みうる。該複数の表現は、たとえばチャネル数に関しておよび/またはビットレートに関して異なりうる。代替的または追加的に、ビットストリームは、異なるオーディオ信号からのオーディオ・フレームの対応するシーケンスについてのサブストリーム・フレームの異なるシーケンスを含んでいてもよい。
【0035】
オーディオ・エンコード・システムは、ビットストリーム・フレームのシーケンスのビットストリーム・フレーム中に制御情報を挿入するよう構成されていてもよい。ここで、前記制御情報は、ビットストリーム・フレーム内に含まれるサブストリーム・フレームの位置および/または表現を示す。そのような制御情報は、ビットストリーム・フレームのシーケンスの各ビットストリーム・フレーム中に挿入されてもよい。制御情報は、オーディオ処理システムが、ビットストリーム・フレームの完全なシーケンスをデコードする必要なしに、ビットストリームからのサブストリーム・フレームのシーケンスのうちの一つまたは複数のシーケンスを同定できるようにする。
【0036】
制御情報は、前記第一および第二のシーケンスについて第一および第二の制御情報を含んでいてもよい。特に、ビットストリーム・フレームのそれぞれが、ビットストリーム・フレーム内に含まれる第一および第二のシーケンスのサブストリーム・フレームを同定するために第一および第二の制御情報を含んでいてもよい。オーディオ・エンコード・システムは、異なる長さの符号語を使って第一および第二の制御情報をエンコードするよう構成されていてもよい。換言すれば、オーディオ・エンコード・システムは、制御情報をエンコードするために可変長エンコードを使うよう構成されていてもよい。
【0037】
第一および第二の制御情報をエンコードするためにそれぞれ使われる符号語の長さは、それぞれ第一および第二のシーケンスのビットレートに依存してもよい。特に、第一のシーケンスのビットレートが第二のシーケンスのビットレートより高い場合には、第一の制御情報をエンコードするために使われる一つまたは複数の符号語の長さは、第二の制御情報をエンコードするために使われる一つまたは複数の符号語の長さより大きくてもよい。および/またはその逆。
【0038】
よって、本オーディオ・エンコード・システムは、可変長符号を使って第一および第二の制御情報をエンコードするよう構成されていてもよい。それにより、もし――平均で――サブストリーム・フレームの第一のシーケンスがサブストリーム・フレームの第二のシーケンスより多くのビットを含む場合には、――平均で――第一の制御情報は第二の制御情報より多くのビットを含んでいてもよい。逆も成り立つ。換言すれば、オーディオ・エンコード・システムは、第一および第二の制御情報に起因するサブストリーム・フレームの第一および第二のシーケンスの相対的なオーバーヘッドの間の相違が減らされるように、可変長符号を使って第一および第二の制御情報をエンコードするよう構成されうる。
【0039】
あるさらなる側面によれば、ビットストリーム・フレームの対応するシーケンスを含む入力ビットストリームを受領し、処理するよう構成されたオーディオ処理システムが記述される。ビットストリーム・フレームのシーケンスからのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレーム内に、サブストリーム・フレームの第一および第二のシーケンスから対応するサブストリーム・フレームを含む。第一および第二のシーケンスは、オーディオ・フレームの同じシーケンスの異なる表現を含んでいてもよい。さらに、ビットストリーム・フレームのシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレーム内に含まれる第一および第二のシーケンスからのサブストリーム・フレームの位置および/または表現を示す制御情報を含んでいてもよい。オーディオ処理システムは、制御情報を使って、ビットストリーム・フレームのシーケンスからサブストリーム・フレームの第一および/または第二のシーケンスを抽出するよう構成されていてもよい。特に、オーディオ処理システムは、サブストリーム・フレームの第一のシーケンスをデコードする必要なしに、および/またはサブストリーム・フレームの第二のシーケンスをデコードする必要なしに、ビットストリーム・フレームのシーケンスからサブストリーム・フレームの第一および/または第二のシーケンスを抽出するよう構成されていてもよい。よって、オーディオ処理システムは、計算効率のよい仕方でサブストリーム・フレームのシーケンスの一つまたは複数を同定するよう構成されていてもよい。
【0040】
さらに、オーディオ処理システムは、第一のシーケンスのサブストリーム・フレームを、出力ビットストリームのビットストリーム・フレームの対応するシーケンスに挿入するよう構成されていてもよい。さらに、オーディオ処理システムは、出力ビットストリームのビットストリーム・フレーム中に制御情報を挿入するよう構成されていてもよい。制御情報は、出力ビットストリームのビットストリーム・フレーム内の第一のシーケンスからのサブストリーム・フレームの位置および/または表現を示していてもよい。よって、オーディオ処理システムは、計算効率のよい仕方で、入力ビットストリーム内に含まれているサブストリーム・フレームの諸シーケンスのセレクションを含む出力ビットストリームを生成するよう構成されてもよい。
【0041】
あるさらなる側面によれば、オーディオ・フレームのシーケンスを含むオーディオ信号を、ビットストリーム・フレームの対応するシーケンスを含むビットストリームにエンコードする方法が記述される。本方法は、オーディオ・フレームの前記対応するシーケンスについてのサブストリーム・フレームの第一のシーケンスを提供する段階と、オーディオ・フレームの前記対応するシーケンスについてのサブストリーム・フレームの第二のシーケンスを提供する段階とを含んでいてもよい。第一および第二のシーケンスは、典型的にはオーディオ・フレームの同じシーケンスの異なる表現を含む。本方法はさらに、ビットストリーム・フレームのシーケンスを決定することを含んでいてもよい。その際、ビットストリーム・フレームは、該ビットストリーム・フレーム内の異なる位置において前記第一および第二のシーケンスからの対応するサブストリーム・フレームを含む。加えて、本方法は、ビットストリーム・フレームのシーケンスのビットストリーム・フレーム中に制御情報を挿入することを含んでいてもよい。前記制御情報は、ビットストリーム・フレーム内に含まれるサブストリーム・フレームの位置および/または表現を示してもよい。
【0042】
もう一つの側面によれば、オーディオ・フレームのシーケンスを含むオーディオ信号を示すビットストリームを処理する方法が記述される。本方法は、ビットストリーム・フレームの対応するシーケンスを含む入力ビットストリームを受領することを含む。ビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレーム内の異なる位置またはポジションに、サブストリーム・フレームの第一および第二のシーケンスからの対応するサブストリーム・フレームを含む。第一および第二のシーケンスは、オーディオ・フレームの同じシーケンスの異なる表現を含んでいてもよい。ビットストリーム・フレームのシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレーム内に含まれるサブストリーム・フレームの位置/ポジションおよび/または表現を示す制御情報を含んでいてもよい。さらに、本方法は、制御情報を使って、ビットストリーム・フレームのシーケンスからサブストリーム・フレームの第一のシーケンスを抽出することを含んでいてもよい。
【0043】
あるさらなる側面によれば、ビットストリーム・フレームの対応するシーケンスを含むビットストリームを処理するオーディオ処理システムが記述される。ビットストリーム・フレームのシーケンスはオーディオ信号のオーディオ・フレームの対応するシーケンスを示してもよい。オーディオ処理システムは、ビットストリーム・フレームのシーケンスについてのカウンタ値のシーケンスを生成するよう構成されていてもよい。カウンタ値のシーケンスは、逐次的に順序付けされたカウンタ値(たとえば昇順または降順のカウンタ値)を含んでいてもよい。さらに、それらのカウンタ値は、最小値および最大値を含んでいてもよい。カウンタ値のシーケンス内で最大値の次に最小値がきてもよく、あるいは逆でもよい。換言すれば、カウンタ値は最小値と最大値との間で周期的に巡回してもよい。
【0044】
オーディオ処理システムは、カウンタ値のシーケンスからのカウンタ値を、ビットストリーム・フレームのシーケンスからのビットストリーム・フレーム中に挿入するよう構成されていてもよい。カウンタ値は制御情報としてビットストリーム・フレーム中に挿入されてもよい。カウンタ値の挿入の結果として、ビットストリーム・フレームの制御情報(すなわちカウンタ値)は、ビットストリーム・フレームのシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示してもよい。これは、ビットストリーム・フレームの異なるシーケンスの連結を含むビットストリーム内の接合点を検出するために有益でありうる。接合点は、カウンタ値に基づいて検出されてもよい。特に、接合点は、カウンタ値の特定の値に基づいておよび/または直接相続くビットストリーム・フレームのカウンタ値の不連続性に基づいて検出されてもよい。
【0045】
ビットストリーム・フレームは典型的には、オーディオ信号の対応するオーディオ・フレームを示すペイロード・データを含む。カウンタ値および/または制御情報は、諸ビットストリーム・フレームの端に(たとえば先頭にまたは末尾に)位置されてもよい。換言すれば、カウンタ値および/または制御情報は、諸ビットストリーム・フレーム内の所定のポジション/位置に位置決めされてもよい。特に、カウンタ値および/または制御情報は、ペイロード/データの上流または下流に位置決めされてもよい。例として、ビットストリーム・フレームは、まず制御情報(たとえば、フレーム同期語および/またはビットストリーム・バージョン情報)を含み、それに所定の位置にあるカウンタ値が続いてもよい。ビットストリームの露出したおよび/またはあらかじめ決定された位置におけるカウンタ値および/または制御情報の位置決めは、カウンタ値および/または制御情報の同定を簡略化し、それにより、ビットストリームの処理および接合点の検出を簡略化しうる。
【0046】
もう一つの側面によれば、接合されたビットストリームを生成するオーディオ処理システムが記述される。接合されたビットストリームは、ビットストリーム・フレームの対応する第一のシーケンスを含む第一のビットストリームからおよびビットストリーム・フレームの対応する第二のシーケンスを含む第二のビットストリームから生成されてもよい。ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスは、第一のオーディオ信号のオーディオ・フレームの対応する第一のシーケンスを示していてもよく、ビットストリーム・フレームの第二のシーケンスは、第二のオーディオ信号のオーディオ・フレームの対応する第二のシーケンスを示していてもよい。第二のオーディオ信号は第一のオーディオ信号とは異なっていてもよい。
【0047】
ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第一のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第一のカウンタ値を含む。同様に、ビットストリーム・フレームの第二のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第二のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第二のカウンタ値を含む。よって、第一および第二のビットストリームはそれぞれ第一および第二のカウンタ値を含む。
【0048】
オーディオ処理システムは、ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスからの特定のビットストリーム・フレームにおいて第一のビットストリームを打ち切り、それにより打ち切られたビットストリームを提供するよう構成されていてもよい。さらに、オーディオ処理システムは、打ち切られたビットストリームをビットストリーム・フレームの第二のシーケンスと連結して、それにより接合されたビットストリームを提供するよう構成されていてもよい。連結の結果としておよびカウンタ値を提供する結果として、接合されたビットストリームの第一の部分内に含まれる第一のカウンタ値および接合されたビットストリームの第二の部分内に含まれる第二のカウンタ値が、第一および第二のビットストリームの間の接合点を示していてもよい。特に、特定のビットストリーム・フレームの第一のカウンタ値および接合されたビットストリーム内で該特定のビットストリーム・フレームに続くビットストリーム・フレームの第二のカウンタ値は、第一および第二のビットストリームの間の接合点を示してもよい。より具体的には、特定のビットストリーム・フレームの第一のカウンタ値と、接合されたビットストリーム内で該特定のビットストリーム・フレームの次のビットストリーム・フレームの第二のカウンタ値との間の不連続が、第一および第二のビットストリームの間の接合点を示してもよい。
【0049】
本オーディオ処理システムはさらに、前記特定のビットストリーム・フレームの第一のカウンタ値を所定のカウンタ値に設定するおよび/または接合されたビットストリーム内で該特定のビットストリーム・フレームに続くビットストリーム・フレームの第二のカウンタ値を前記所定のカウンタ値に設定するよう構成されていてもよい。よって、前記特定のビットストリーム・フレームのカウンタ値(第一のカウンタ値と称される)は、接合点の直前のビットストリーム・フレームを示してもよく、および/または前記特定のビットストリーム・フレームの直後のビットストリーム・フレームのカウンタ値(第二のカウンタ値と称される)は接合点の直後のビットストリーム・フレームを示してもよい。典型的には、(接合点の直前または直後のビットストリーム・フレームの)これらのカウンタ値の一方のみを前記所定のカウンタ値に割り当てることが十分である。特に、接合点の直後のビットストリーム・フレームのカウンタ値を所定のカウンタ値に設定する(だけ)ことがリアルタイム処理のために有益でありうる。
【0050】
前記所定のカウンタ値は、前記カウンタ値の最小値および最大値によって与えられるカウンタ値のカウンタ値範囲の外側にあってもよい。換言すれば、第一および/または第二のカウンタ値は、最小値と最大値の間のカウンタ値範囲からの値を取ってもよい。前記所定のカウンタ値は該カウンタ値範囲の外にあってもよい。例として、カウンタ値の最小値は「1」であってもよく、前記所定のカウンタ値は「0」であってもよい。所定の値に設定されているカウンタ値の検出は、特定のビットストリーム・フレームと接合されたビットストリーム内の前記特定のビットストリーム・フレーム後のビットストリーム・フレームとの間の接合点の存在を示しうる。
【0051】
もう一つの側面によれば、ビットストリームの接合の検出を可能にする方法が記述される。ビットストリームは、ビットストリーム・フレームのシーケンスを含む。ビットストリーム・フレームの前記シーケンスは、オーディオ信号のオーディオ・フレームの対応するシーケンスを示す。本方法は、それぞれビットストリーム・フレームのシーケンスについてのカウンタ値のシーケンスを生成することを含む。さらに、本方法は、カウンタ値のシーケンスからのカウンタ値を、ビットストリーム・フレームのシーケンスからのビットストリーム・フレーム中に、たとえば制御情報として、挿入することを含む。その際、ビットストリーム・フレームの制御情報は、ビットストリーム・フレームのシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す。
【0052】
あるさらなる側面によれば、接合点を示す接合されたビットストリームを生成する方法が記述される。本方法は、ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスからの特定のビットストリーム・フレームにおいて第一のビットストリームを打ち切り、打ち切られたビットストリームを提供することを含む。ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスは、第一のオーディオ信号のオーディオ・フレームの対応する第一のシーケンスを示す。ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第一のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第一のカウンタ値を含む。さらに、本方法は、打ち切られたビットストリームをビットストリーム・フレームの第二のシーケンスを含む第二のビットストリームと連結することを含む。ビットストリーム・フレームの第二のシーケンスは、第二のオーディオ信号のオーディオ・フレームの対応する第二のシーケンスを示す。ビットストリーム・フレームの第二のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第二のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第二のカウンタ値を含む。前記特定のビットストリーム・フレームの第一のカウンタ値および/または接合されたビットストリーム内で該特定のビットストリーム・フレームに続くビットストリーム・フレームの第二のカウンタ値は、第一および第二のビットストリームの間の接合点を示してもよい。
【0053】
あるさらなる側面によれば、接合されたビットストリームをデコードするオーディオ・デコード・システムが記述される。接合されたビットストリームは、ビットストリーム・フレームの第一および第二のシーケンスの連結を含む。第一および第二のシーケンスはそれぞれ第一および第二のオーディオ信号を示す。ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第一のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第一のカウンタ値を含む。ビットストリーム・フレームの第二のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第二のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第二のカウンタ値を含む。
【0054】
オーディオ・デコード・システムは、第一および第二のカウンタ値に基づいて第一および第二の連結されたシーケンスの間の接合点を検出するよう構成されていてもよい。接合点は、(本稿で概説されるように)隣り合うビットストリーム・フレームのカウンタ値の不連続性に基づいて、および/または所定のカウンタ値をもつカウンタ値に基づいて検出されてもよい。
【0055】
さらに、オーディオ・デコード・システムは、接合点後の接合されたビットストリームのビットストリーム・フレームを正しくデコードするために必要なデータが利用可能であるかどうかを判定するよう構成されていてもよい。ビットストリーム・フレームを正しくデコードするために必要なデータは、ビットストリーム・フレームの前記第二のシーケンスをデコードするために使われるデコード方式の設定を含む。さらに、ビットストリーム・フレームが(接合のため当該接合されたビットストリームには含まれていない)前のビットストリーム・フレームに依存しないことを保証される必要があることがありうる。換言すれば、当該ビットストリーム・フレームがデコードのために必要なエンコードされたオーディオ・データすべてを含んでいる独立(すなわちI)フレームであることを保証される必要があることがある。
【0056】
さらに、オーディオ・デコード・システムは、前記データが利用可能でない場合には、接合点後の接合されたビットストリームのビットストリーム・フレームのデコードをサスペンドするよう構成されていてもよい。特に、オーディオ・デコード・システムは、正しいデコードのために必要なデータ(すべて)が利用可能になる接合されたビットストリームのビットストリーム・フレームまで、接合点後のビットストリーム・フレーム(すべて)のデコードをサスペンドするよう構成されていてもよい。代替的または追加的に、オーディオ・デコード・システムは、デコードがサスペンドされたビットストリーム・フレームについて、無音を示すオーディオ・フレームを提供するよう構成されていてもよい。よって、オーディオ・デコード・システムは、正しいデコードのために必要なデータすべてが利用可能である時点まで(すなわちそのようなビットストリーム・フレームまで)接合点後に「無音」をレンダリングするよう構成されていてもよい。こうすることにより、可聴アーチファクトの出力が軽減できる。
【0057】
もう一つの側面によれば、ビットストリーム・フレームの第一および第二のシーケンスの連結を含む接合されたビットストリームをデコードする方法が記述される。第一および第二のシーケンスはそれぞれ第一および第二のオーディオ信号を示してもよい。ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第一のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第一のカウンタ値を含む。ビットストリーム・フレームの第二のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第二のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第二のカウンタ値を含む。本方法は、第一および第二のカウンタ値に基づいて第一および第二のシーケンスの間の接合点を検出することを含んでいてもよい。さらに、本方法は、接合点後の接合されたビットストリームのビットストリーム・フレームを正しくデコードするために必要な(すべての)データが利用可能であるかどうかを判定することを含む。加えて、本方法は、前記データが利用可能でない場合には、接合点後の接合されたビットストリームのビットストリーム・フレームのデコードをサスペンドするおよび/または該ビットストリーム・フレームについて無音を出力することを含んでいてもよい。
【0058】
あるさらなる側面によれば、ビットストリームを処理するオーディオ処理システムが記述される。前記オーディオ処理システムは、たとえばオーディオ・デコード・システムまたはサンプル・レート変換システムまたはオーディオ・エンコード・システムを有していてもよいまたはそれであってもよい。ビットストリームは、ビットストリーム・フレームの第一および第二のシーケンスの連結を含んでいてもよく、第一および第二のシーケンスは一つまたは複数のオーディオ信号を示す。前記一つまたは複数のオーディオ信号は、オーディオ信号の集合と称されてもよい。接合されたビットストリームの場合、第一のシーケンスは、第一のオーディオ信号(またはオーディオ信号の第一の集合)を示してもよく、第二のシーケンスは、第二のオーディオ信号(またはオーディオ信号の第二の集合)を示してもよい。しかしながら、第一および第二のシーケンスはいずれも、長さおよび/または時間的な位置のような異なる時間的属性をもつ、同じオーディオ信号の抜粋を示していてもよい。
【0059】
ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第一のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第一のカウンタ値を含む。さらに、第一のシーケンスは、あらかじめ決定された組のフレーム長をもつビットストリーム・フレームの第一のサブシーケンスを含む。第一のサブシーケンスのフレーム長の組は、第一のサブシーケンスのビットストリーム・フレームが第一の所定の平均フレーム長Nを示すようなものである。
【0060】
ビットストリーム・フレームの第二のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第二のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第二のカウンタ値を含む。さらに、第二のシーケンスは、もう一つの(可能性としては異なる)あらかじめ決定された組のフレーム長をもつビットストリーム・フレームの第二のサブシーケンスを含んでいてもよい(ここで、フレーム長はたとえばサンプル数の単位で測られてもよい)。第二のサブシーケンスのフレーム長の組は、第二のサブシーケンスのビットストリーム・フレームが第二の所定の平均フレーム長Kを示すようなものである。
【0061】
オーディオ処理システムは、第一および第二のシーケンスの間の遷移点を検出するよう構成される。遷移点は、(ビットストリーム内の任意の位置における)異なるオーディオ信号の間の任意の接合点(スプライス点とも称される)であってもよい。代替的または追加的に、遷移点は、ビットストリームのフレームレートが変わるビットストリーム内の点に対応していてもよい。
【0062】
オーディオ処理システムはさらに、ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスから第一のビットストリーム・フレームを決定するよう構成される。ここで、第一のビットストリーム・フレームは、遷移点の直前である。加えて、オーディオ処理システムは、第一のビットストリーム・フレームのシーケンス・インデックス値i
1を、第一のビットストリーム・フレームの第一のカウンタ値q
1に基づいて決定するよう構成される。シーケンス・インデックス値i
1は、第一のサブシーケンス内での第一のビットストリーム・フレームの位置および/またはフレーム長を示してもよい。特に、シーケンス・インデックス値i
1は、第一のサブシーケンスの所定のフレーム長の組内での第一のビットストリーム・フレームのフレーム長を示してもよい。
【0063】
加えて、オーディオ処理システムは、ビットストリーム・フレームの第二のシーケンスから第二のビットストリーム・フレームを決定するよう構成される。ここで、第二のビットストリーム・フレームは、遷移点の直後である。オーディオ処理システムは、その際、第二のビットストリーム・フレームのシーケンス・インデックス値i
2を、第一のビットストリーム・フレームのシーケンス・インデックス値i
1に基づいて決定してもよい。第一のシーケンス・インデックス値i
1と同様に、シーケンス・インデックス値i
2は、第二のサブシーケンス内での第二のビットストリーム・フレームの位置および/またはフレーム長を示してもよい。特に、シーケンス・インデックス値i
2は、第二のサブシーケンスの所定のフレーム長の組内での第二のビットストリーム・フレームのフレーム長を示してもよい。
【0064】
第一のビットストリーム・フレームのシーケンス・インデックス値i
1に基づいて第二のビットストリーム・フレームのシーケンス・インデックス値i
2を決定することによって、接合点であってもおよび/またはフレームレート変化を受けたとしても、ビットストリーム610の「フェーズ」が維持されるまたはロックされることが保証されることができる。この結果として、デコードされたビットストリームのオーディオ品質が改善されうる。
【0065】
第一のビットストリーム・フレームのシーケンス・インデックス値i
1はi
1=q
1 mod Zとして決定されてもよい。ここで、Zは第一のサブシーケンス内のビットストリーム・フレームの数である。これは第二のビットストリーム・フレームにも適用可能でありうる。
【0066】
第一のビットストリーム・フレームのシーケンス・インデックス値i
1は第一の剰余値r
1に関連付けられてもよい。ここで、第一の剰余値r
1は、第一のビットストリーム・フレームまでの第一のサブシーケンスのビットストリーム・フレームについての中間的な平均フレーム長と、第一の所定の平均フレーム長との間の差を示していてもよい。オーディオ処理システムは、第一の剰余値r
1に基づき、かつ第二の所定の平均フレーム長に基づき、第一の擬似シーケンス・インデックス値(^付きのi
1)を決定するよう構成されていてもよい。特に、ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスが(第一の所定の平均フレーム長ではなく)第二の所定の平均フレーム長を示す場合、第一の剰余値r
1がどのシーケンス・インデックス(^付きのi
1)に関連付けられるかが決定されてもよい。次いで、擬似シーケンス・インデックス値(^付きのi
1)に基づいて第二のビットストリーム・フレームのシーケンス・インデックス値i
2が決定されてもよい。特に、第二のビットストリーム・フレームのシーケンス・インデックス値i
2は
【数1】
として決定されてもよい。ここで、Zは(フレームレートが不変のままである場合の)第二のサブシーケンスのビットストリーム・フレームの数である。
【0067】
上記のように、遷移点は接合点であってもよい。そのような場合、遷移点は、第一および/または第二のカウンタ値に基づいて検出されてもよい。特に、遷移点は、第二のビットストリーム・フレームの第二のカウンタ値に基づいて、たとえば、所定のカウンタ値をもつ第二のビットストリーム・フレームの第二のカウンタ値に基づいて、検出されてもよい。よって、ビットストリームの「フェーズ」ロックが、指示される接合点にも、すなわち所定のカウンタ値によって指示される接合点にも、適用可能でありうる。
【0068】
第一の所定の平均フレーム長は、整数ではなく、有理数であってもよい。他方、第一のサブシーケンスのビットストリーム・フレームの前記所定の組のフレーム長は整数であってもよい。よって、第一のサブシーケンスは、整数フレーム長の組を使って分数平均フレーム長を提供するために使われてもよい。フレーム長の組は繰り返されて前記第一のシーケンスをなしてもよい。同様に、第二の所定の平均フレーム長は、整数ではなく、有理数であってもよく、第二のサブシーケンスのビットストリーム・フレームの前記所定の組のフレーム長は整数であってもよい。
【0069】
第一の所定の平均フレーム長は、第二の所定の平均フレーム長とは異なっていてもよい。特に、比K/Nまたは比N/Kは1より大きな整数であってもよい。このように、「フェーズ」ロックはフレームレート変化にも適用可能でありうる。
【0070】
もう一つの側面によれば、ビットストリームを処理するためのオーディオ処理システムが記述される。前記オーディオ処理システムは、たとえばオーディオ・デコード・システムまたはサンプル・レート変換システムまたはオーディオ・エンコード・システムを有していてもよいまたはそれであってもよい。ビットストリームは、ビットストリーム・フレームの第一および第二のシーケンスの連結を含んでいてもよく、第一および第二のシーケンスは、たとえばオーディオ信号の集合のうちの、一つまたは複数のオーディオ信号を示す。接合されたビットストリームの場合、第一のシーケンスは、(たとえばオーディオ信号の第一の集合の)第一のオーディオ信号を示してもよく、第二のシーケンスは、(たとえばオーディオ信号の第二の集合の)第二のオーディオ信号を示してもよい。しかしながら、第一および第二のシーケンスはいずれも、長さおよび/または時間的な位置のような異なる時間的属性をもつ、同じオーディオ信号の異なる抜粋を示していてもよい。
【0071】
ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第一のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第一のカウンタ値を含む。さらに、第一のシーケンスは、第一の平均フレーム長を示す。ビットストリーム・フレームの第二のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第二のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第二のカウンタ値を含む。さらに、第二のシーケンスは、第二の平均フレーム長を示す。第一および第二の平均フレーム長は異なっていてもよい。
【0072】
オーディオ処理システムは、第一および第二のシーケンスの間の遷移点を検出するよう構成される。さらに、オーディオ処理システムは、遷移点の直前のビットストリーム・フレームの第一のシーケンスから第一のビットストリーム・フレームを決定し、第一のビットストリーム・フレームの第一のカウンタ値q
1を決定するよう構成される。加えて、オーディオ処理システムは、遷移点の直後または遷移点にすぐ続くビットストリーム・フレームの第二のシーケンスから第二のビットストリーム・フレームを決定し、第二のビットストリーム・フレームの第二のカウンタ値q
2を決定するよう構成される。
【0073】
さらに、オーディオ処理システムは、遷移点が接合点であるかどうかを、第一のカウンタ値q
1、第二のカウンタ値q
1、第一の平均フレーム長および第二の平均フレーム長に基づいて決定するよう構成されていてもよい。よって、接合点の存在は、(フレームレート変化の場合であっても)信頼できる仕方で決定されうる。この結果として、デコードされるビットストリームの知覚的な品質が改善されうる。
【0074】
特に、オーディオ処理システムは、第二のビットストリーム・フレームについての目標カウンタ値kを、第一のカウンタ値q
1に基づき、第一の平均フレーム長に基づき、かつ第二の平均フレーム長に基づいて決定するよう構成されていてもよい。第二のビットストリーム・フレームについての目標カウンタ値kは、第一のカウンタ値の最大値Q
maxおよび/または最小値Q
minに基づいても決定されてもよい。さらに、オーディオ処理システムは、遷移点が接合点であるかどうかを判定するために、目標カウンタ値kを第二のカウンタ値q
2と比較するよう構成されていてもよい。より具体的には、オーディオ処理システムは、目標カウンタ値kが第二のカウンタ値q
2と異なる場合に(のみ)遷移点が接合点であると判定するよう構成されていてもよい。
【0075】
Nは平均フレーム長であってもよく、Kは第二の平均フレーム長であってもよい。比K/Nは1より大きな整数であってもよい。すなわち、フレームレートが遷移点において増大してもよい。その場合、目標カウンタ値kは
【数2】
として決定されてもよい。あるいはまた、比N/Kが1より大きな整数であってもよい。すなわち、フレームレートが遷移点において減少してもよい。その場合、目標カウンタ値kは
【数3】
として決定されてもよい。
【0076】
あるさらなる側面によれば、ビットストリーム・フレームの第一および第二のシーケンスの連結を含むビットストリームを処理する方法が記述される。第一および第二のシーケンスは一つまたは複数のオーディオ信号を示す。ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第一のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第一のカウンタ値を含む。第一のシーケンスは、所定の組のフレーム長をもつビットストリーム・フレームの第一のサブシーケンスを含み、第一のサブシーケンスのビットストリーム・フレームは第一の平均フレーム長を示す。ビットストリーム・フレームの第二シーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第二のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第二のカウンタ値を含む。第二のシーケンスは、所定の組のフレーム長をもつビットストリーム・フレームの第二のサブシーケンスを含み、第二のサブシーケンスのビットストリーム・フレームは第二の所定の平均フレーム長を示す。
【0077】
本方法は、第一および第二のシーケンスの間の遷移点を検出し、遷移点の直前のビットストリーム・フレームの第一のシーケンスから第一のビットストリーム・フレームを決定することを含む。さらに、本方法は、第一のビットストリーム・フレームのシーケンス・インデックス値i
1を第一のビットストリーム・フレームの第一のカウンタ値q
1に基づいて決定することを含む。シーケンス・インデックス値i
1は、第一のサブシーケンス内での第一のビットストリーム・フレームの位置を示す。加えて、本方法は、遷移点の直後のビットストリーム・フレームの第二のシーケンスから第二のビットストリーム・フレームを決定することを含む。本方法はさらに、第二のビットストリーム・フレームのシーケンス・インデックス値i
2を、第一のビットストリーム・フレームのシーケンス・インデックス値i
1に基づいて決定することを含む。シーケンス・インデックス値i
2は、第二のサブシーケンス内での第二のビットストリーム・フレームの位置を示す。
【0078】
もう一つの側面によれば、ビットストリーム・フレームの第一および第二のシーケンスの連結を含むビットストリームを処理する方法が記述される。第一および第二のシーケンスは、一つまたは複数のオーディオ信号を示す。ビットストリーム・フレームの第一のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第一のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第一のカウンタ値を含む。第一のシーケンスは、第一の平均フレーム長を示す。ビットストリーム・フレームの第二のシーケンスのビットストリーム・フレームは、ビットストリーム・フレームの第二のシーケンス内のビットストリーム・フレームの逐次順を示す第二のカウンタ値を含む。第二のシーケンスは、第二の平均フレーム長を示す。
【0079】
本方法は、第一および第二のシーケンスの間の遷移点を検出し、遷移点の直前のビットストリーム・フレームの第一のシーケンスから第一のビットストリーム・フレームを決定することを含む。加えて、本方法は、第一のビットストリーム・フレームの第一のカウンタ値q
1を決定することを含む。さらに、本方法は、遷移点の直後のビットストリーム・フレームの第二のシーケンスから第二のビットストリーム・フレームを決定し、第二のビットストリーム・フレームの第二のカウンタ値q
2を決定することを含む。本方法はさらに、遷移点が接合点であるかどうかを、第一のカウンタ値q
1、第二のカウンタ値q
1、第一の平均フレーム長および第二の平均フレーム長に基づいて決定することを含む。
【0080】
あるさらなる側面によれば、ソフトウェア・プログラムが記述される。ソフトウェア・プログラムは、プロセッサ上での実行のために、かつ該プロセッサ上で実行されたときに本稿において概説される方法段階を実行するために適応されていてもよい。
【0081】
もう一つの側面によれば、記憶媒体が記述される。記憶媒体は、プロセッサ上での実行のために、かつ該プロセッサ上で実行されたときに本稿において概説される方法段階を実行するために適応されたソフトウェア・プログラムを有していてもよい。
【0082】
もう一つの側面によれば、コンピュータ・プログラム・プロダクトが記述される。コンピュータ・プログラムは、コンピュータ上で実行されたときに本稿において概説される方法段階を実行するための実行可能命令を含んでいてもよい。
【0083】
本特許出願において概説される好ましい実施形態を含む方法およびシステムは、単独で、あるいは本稿に開示される他の方法およびシステムとの組み合わせで使われてもよいことを注意しておくべきである。さらに、本特許出願において概説される方法およびシステムのすべての側面は、任意に組み合わされうる。特に、請求項の特徴は、任意の仕方で互いに組み合わされうる。