特許第6321185号(P6321185)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6321185複数のオイル流入口を有するスプレーノズルを用いた潤滑
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321185
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】複数のオイル流入口を有するスプレーノズルを用いた潤滑
(51)【国際特許分類】
   B21B 27/10 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
   B21B27/10 B
【請求項の数】31
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-545279(P2016-545279)
(86)(22)【出願日】2014年11月18日
(65)【公表番号】特表2017-501889(P2017-501889A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】EP2014074844
(87)【国際公開番号】WO2015104082
(87)【国際公開日】20150716
【審査請求日】2016年10月17日
(31)【優先権主張番号】14150400.1
(32)【優先日】2014年1月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515153152
【氏名又は名称】プライメタルズ・テクノロジーズ・オーストリア・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ベーム
(72)【発明者】
【氏名】トマス・ブライド
(72)【発明者】
【氏名】ゲルノ・ディリザマー
(72)【発明者】
【氏名】コンラド・クリムペルシュテッター
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ヴィパク
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−144812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 27/10,45/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールスタンド(2)における平らな金属圧延素材(1)の圧延中に潤滑油(5)を適用する方法であって、
− 互いに隣接して配置された複数のスプレーノズル(7)によって、前記潤滑油(5)が前記圧延素材(1)および前記ロールスタンド(2)の少なくとも1つのロール(3,4)の一方または両方に吹き付けられ、
− スプレーノズル(7)のそれぞれの混合チャンバ(8)には、それぞれの複数のオイル流入口(9)を介して潤滑油(5)のそれぞれの量が供給され、
− 前記それぞれの混合チャンバ(8)には、それぞれの少なくとも1つの空気流入口(10)を介して圧縮空気(11)が供給され、
− 前記潤滑油(5)は、前記それぞれの混合チャンバ(8)において前記圧縮空気(11)によって噴霧化されてエアロゾルを形成し、それぞれの少なくとも1つのノズル出口(12)を介して、前記圧延素材(1)および前記ロールスタンド(2)の前記少なくとも1つのロール(3,4)の一方または両方に吹き付けられ、
− 前記スプレーノズル(7)は、それぞれの長軸(13)を有するように筒状に体現され、
− 前記ノズル出口(12)が前記それぞれのスプレーノズル(7)の軸方向端部の一方に配置され、
− それぞれの前記少なくとも1つの空気流入口(10)が前記それぞれのスプレーノズル(7)の前記軸方向端部の他方に配置され、
− それぞれの前記スプレーノズルの1つに関しては、前記オイル流入口(9)の1つが前記長軸(13)の方向から見て規定の軸方向位置(z)に配置され、かつ少なくとも1つの他の前記オイル流入口(9)が前記長軸(13)の方向から見て同じ前記軸方向位置(z)に配置される、
潤滑油(5)を適用する方法。
【請求項2】
前記規定の軸方向位置(z)に配置された前記オイル流入口(9)は、前記長軸(13)回りに均等に分布して配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記潤滑油(5)が流量制御された方法で前記それぞれの混合チャンバ(8)に供給されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記それぞれの混合チャンバ(8)に供給される前記圧縮空気が100hPaおよび10000hPaの間の圧力(p)を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記それぞれの混合チャンバ(8)に供給される前記圧縮空気が1000hPaおよび6000hPaの間の圧力(p)を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記圧縮空気(11)が前記それぞれの混合チャンバ(8)に供給される圧力(p)は、前記それぞれの混合チャンバ(8)に供給される潤滑油(5)の量に応じて設定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記圧縮空気(11)が前記それぞれの混合チャンバ(8)に供給される前記圧力(p)が、前記それぞれの混合チャンバ(8)に供給される潤滑油の前記量に即して増加することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの空気流入口(10)が0.01mmおよび5mmの間の直径(d1)を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの空気流入口(10)が3mmおよび5mmの間の直径(d1)を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの空気流入口(10)が少なくとも約4mmの直径(d1)を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記オイル流入口(9)が0.1mmおよび1.0mmの間の直径(d2)を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記オイル流入口(9)が0.4mmおよび0.6mmの間の直径(d2)を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
それぞれの前記ノズル出口(12)は、スリット形状として体現されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ノズル出口(12)は、前記潤滑油(5)が吹き付けられる前記圧延素材(1)および前記少なくとも1つのロール(3,4)の一方または両方から100mmおよび400mmの間の距離(a1)離間していることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ノズル出口(12)は、前記潤滑油(5)が吹き付けられる前記圧延素材(1)および前記少なくとも1つのロール(3,4)の一方または両方から150mmおよび300mmの間の距離(a1)離間していることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記スプレーノズル(7)は、50mmおよび300mmの間の距離(a2)互いに離間していることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記スプレーノズル(7)は、100mmおよび200mmの間の距離(a2)互いに離間していることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
それぞれの前記スプレーノズル(7)の1つによって前記圧延素材(1)および前記少なくとも1つのロール(3,4)の一方または両方に吹き付けられる前記潤滑油(5)は、前記圧延素材(1)および前記少なくとも1つのロール(3,4)の一方または両方のそれぞれの部分エリア(16)に吹き付けられ、かつすぐ隣のスプレーノズル(7)に割り当てられる前記部分エリア(16)は、0%および50%の間で重なる範囲を有することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ロールスタンド(2)における圧延素材(1)の圧延中に平らな金属圧延素材(1)およびロールスタンド(2)の少なくとも1つのロール(3,4)の一方または両方に潤滑油(5)を適用する装置であって、
− 前記装置が前記ロールスタンド(2)の前記少なくとも1つのロール(3,4)の回転軸(3’)に平行に延在するスプレー棒(6)を有し、前記スプレー棒には複数のスプレーノズル(7)が互いに隣接して配置され、
− 各前記スプレーノズル(7)は、それぞれの複数のオイル流入口(9)を介して潤滑油(5)のそれぞれの量が供給される混合チャンバ(8)を有し、
− 前記それぞれの混合チャンバ(8)がそれぞれの少なくとも1つの空気流入口(10)を有し、該空気流入口を介して圧縮空気(11)が前記それぞれの混合チャンバ(8)に供給され、
− 各前記スプレーノズル(7)は、少なくとも1つのノズル出口(12)を有し、エアロゾルを形成するように前記それぞれの混合チャンバ(8)内で噴霧化された前記潤滑油(5)が、前記ノズル出口を介して前記圧延素材(1)および前記ロールスタンド(2)の前記少なくとも1つのロール(3,4)の一方または両方に吹き付けられ、
− 前記スプレーノズル(7)は、それぞれの長軸(13)を有するように筒状に体現され、
− 前記ノズル出口(12)が前記それぞれのスプレーノズル(7)の軸方向端部の一方に配置され、
− それぞれの前記少なくとも1つの空気流入口(10)が前記それぞれのスプレーノズル(7)の前記軸方向端部の他方に配置され、
− それぞれの前記スプレーノズルの1つに関しては、前記オイル流入口(9)の1つが前記長軸(13)の方向から見て規定の軸方向位置(z)に配置され、かつ少なくとも1つの他の前記オイル流入口(9)が前記長軸(13)の方向から見て同じ前記軸方向位置(z)に配置される、
潤滑油(5)を適用する装置。
【請求項20】
前記規定の軸方向位置(z)に配置された前記オイル流入口(9)は、前記長軸(13)回りに均一に分布して配置されていることを特徴とする、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの空気流入口(10)が0.01mmおよび5mmの間の直径(d1)を有することを特徴とする、請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの空気流入口(10)が3mmおよび5mmの間の直径(d1)を有することを特徴とする、請求項19または20に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの空気流入口(10)が少なくとも約4mmの直径(d1)を有することを特徴とする、請求項19または20に記載の装置。
【請求項24】
前記オイル流入口(9)が0.1mmおよび1.0mmの間の直径(d2)を有することを特徴とする、請求項19〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記オイル流入口(9)が0.4mmおよび0.6mmの間の直径(d2)を有することを特徴とする、請求項19〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
それぞれの前記ノズル出口(12)は、スリット形状として体現されることを特徴とする、請求項19〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記ノズル出口(12)は、前記潤滑油(5)が吹き付けられる前記圧延素材(1)および前記少なくとも1つのロール(3,4)の一方または両方から100mmおよび400mmの間の距離(a1)離間していることを特徴とする、請求項19〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記ノズル出口(12)は、前記潤滑油(5)が吹き付けられる前記圧延素材(1)および前記少なくとも1つのロール(3,4)の一方または両方から150mmおよび300mmの間の距離(a1)離間していることを特徴とする、請求項19〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記スプレーノズル(7)は、50mmおよび300mmの間の距離(a2)互いに離間していることを特徴とする、請求項19〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記スプレーノズル(7)は、100mmおよび200mmの間の距離(a2)互いに離間していることを特徴とする、請求項19〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
それぞれの前記スプレーノズル(7)の1つによって前記圧延素材(1)および前記少なくとも1つのロール(3,4)の一方または両方に吹き付けられる前記潤滑油(5)は、前記圧延素材(1)および前記少なくとも1つのロール(3,4)の一方または両方のそれぞれの部分エリア(16)に吹き付けられ、かつすぐ隣のスプレーノズル(7)に割り当てられる前記部分エリア(16)は、0%および50%の間で重なる範囲を有することを特徴とする請求項19〜30のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、ロールスタンドにおける圧延素材の圧延中に、互いに隣接して配置された複数のスプレーノズルによって、平らな金属圧延素材および/またはロールスタンドの少なくとも1つのロールに潤滑油を適用する方法に関し、
− それぞれのスプレーノズルの混合チャンバには、それぞれの1つのオイル流入口を介して潤滑油のそれぞれの量が供給され、
− それぞれの混合チャンバには、それぞれの少なくとも1つの空気流入口を介して圧縮空気が供給され、
− 潤滑油は、それぞれの混合チャンバ内で圧縮空気によって噴霧化されてエアロゾルを形成し、かつそれぞれのスプレーノズルの少なくとも1つのノズル出口を介して圧延素材および/またはロールスタンドの少なくとも1つのロールに吹き付けられる。
【0002】
本発明は、ロールスタンドの圧延素材の圧延中に、平らな金属圧延素材および/またはロールスタンドの少なくとも1つのロールに潤滑油を適用する装置にさらに関連し、
− 装置は、ロールスタンドの少なくとも1つのロールの回転軸に平行に延在し、かつ複数のスプレーノズルが互いに隣接して配置されているスプレー棒を有し、
− 各スプレーノズルは、それぞれの1つのオイル流入口を介してそれぞれの量の潤滑油が供給される混合チャンバを有し、
− それぞれの混合チャンバは、各場合において少なくとも1つの空気流入口を有し、それを介してそれぞれの混合チャンバには圧縮空気が供給され、
− 各スプレーノズルは、少なくとも1つのノズル出口を有し、それを介して、エアロゾルを形成するためにそれぞれの混合チャンバで噴霧化された潤滑油が圧延素材および/またはロールスタンドの少なくとも1つのロールに吹き付けられる。
【0003】
前記の方法および装置は、既知である。一例として特許文献1または特許文献2を参照されたい。
【0004】
冷間圧延中のロール間隙の潤滑は、圧延工程の安定性および質においてきわめて重要である。通常は、オイル/水エマルジョンがロール間隙の潤滑のために使用される。しかし、最近では、スプレーオイル/水エマルジョンではなく純潤滑油−例えば基油の形−を圧延素材および/または少なくとも1つのロールに吹き付けることが知られてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0258380号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2 465 619号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
吹き付け作業中に、潤滑すべき全幅にわたって潤滑油を均等に適用することが必要である。しかし、圧延素材の長さから見ると、潤滑油の量は変化し得る。例えば、圧延素材の幅、圧延速度、通過毎の減少率、圧延力等の圧延条件に応じて、圧延素材および/または少なくとも1つのロールに適用される潤滑油の量は、特定のロールスタンドの場合、35ml/分および2000ml/分の間で変化する場合がある。したがって、個々のスプレーノズルに関しては、潤滑油の量は、2ml/分および60ml/分の間で変化し得る。個々のスプレーノズルに関しては、幅広い調整範囲(最小最大比率が約1:30)にわたって確実に潤滑油の量を圧延素材および/または少なくとも1つのロールに適用することが必要である。
【0007】
さらなる問題は、オイル流入口が閉塞してくる場合があるということである。このような閉塞が発生すると、圧延素材の一部および/またはロール間隙の一部の潤滑が不十分となる。結果としてこれは、圧延工程において大きなマイナス効果である。
【0008】
本発明の目的は、調整の必要範囲が単純かつ確実な方法で保証され、さらに閉塞ができるだけ回避できるか、または少なくともその効果が制限されることが可能な方法を提供することであえる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
目的は、請求項1の特徴を有する方法によって達成される。方法の好都合な実施形態は、従属請求項2〜14の主題である。
【0010】
本発明によると、導入部に記載されたタイプの方法は、スプレーノズルの各混合チャンバにそれぞれの単一のオイル流入口のみではなく、それぞれの複数のオイル流入口を介してそれぞれの量の潤滑油が供給されるというように体現される。
【0011】
この手段により、例えば潤滑油のそれぞれの部分量(sub-quantity)を互いに独立して各オイル流入口に供給することが可能である。したがって、比較的少量の潤滑油の場合、例えば前記量は、1または2つのオイル流入口を介して供給できるのに対して、比較的大量の潤滑油の場合は、前記量は、全て、またはほとんど全てオイル流入口を介して供給することができる。さらに、閉塞は、通常互いに独立して発生する。オイル流入口の1つの閉塞が発生した場合でも、この場合スプレーノズルは、残りのオイル流入口を介して潤滑油を供給し続けることができる。オイル流入口の1つの閉塞が起こる可能性がある個々の場合においても、減少した調整範囲が実現可能である。しかし、オイル供給全体の不具合を実質的には確実に回避することができる。
【0012】
好ましくは、スプレーノズルはそれぞれの長軸を有する筒状に体現される。この場合、ノズル出口は、それぞれのスプレーノズルの軸方向端部の一方に好ましく配置され、かつ少なくとも1つの空気流入口は、それぞれのスプレーノズルの軸方向端部の他方にそれぞれ配置される。これは、構造上は、スプレーノズルの単純な構成、およびスプレーノズル、特に混合チャンバへの圧縮空気の単純かつ安定した誘導をもたらす。
【0013】
各場合のスプレーノズルの1つに関しては、オイル流入口の1つが長軸方向に見て規定の軸方向位置に配置される。好ましくは、オイル流入口の少なくとも他の1つは、長軸方向に見て同じ軸方向位置に配置される。これによりオイル流入口の軸方向位置を一貫した最適な方法で決定することができる。
【0014】
好ましくは、規定の軸方向位置に配置されたオイル流入口は、長軸回りに見ると均等に分布して配置される。これにより、潤滑油の特に良好な噴霧化を達成することができる。
【0015】
好ましくは、潤滑油は、流量制御された方法でそれぞれの混合チャンバに供給される。これにより、潤滑油の量を特に効果的に分配することができる。
【0016】
実際には、それぞれの混合チャンバに供給される圧縮空気が0.1barおよび10barの間の圧力であることが好都合なことが分かった。圧力は、特に1.0barおよび6.0barの間とすることができる。
【0017】
好ましくは、圧縮空気がそれぞれの混合チャンバに供給される圧力は、それぞれの混合チャンバに供給される潤滑油の量に応じて設定される。これにより、エアロゾルの形成を最適化することができる。特に、圧縮空気がそれぞれの混合チャンバに供給される圧力は、それぞれの混合チャンバに供給される潤滑油の量に即して増加させることができる。
【0018】
実際には、少なくとも1つの空気流入口が0.01mmおよび5mmの間の直径を有することが好都合なことがさらに分かった。好ましくは、直径は、3mmおよび5mmの間、特に少なくとも約4mmとすることができる。
【0019】
実際には、オイル流入口が0.1mmおよび1.0mmの間の直径を有する場合に好都合なことがさらに分かった。直径は、特に0.4mmおよび0.6mm.の間とすることができる。
【0020】
好ましくは、各ノズル出口は、スリット形状として体現される。これにより、特に比較的幅広いファン状ジェットを作ることが可能となる。
【0021】
実際には、潤滑油が吹き付けられる圧延素材および/または動作中のロールから100mmおよび400mmの間の距離だけノズル出口が離間する場合に好都合なことがさらに分かった。距離は、特に150mmおよび300mmの間とすることができる。
【0022】
実際には、スプレーノズルが50mmおよび300mmの間の距離だけ互いに離間する場合に好都合なことがさらに分かった。距離は、特に100mmおよび200mmの間とすることができる。
【0023】
各場合において1つのスプレーノズルによって圧延素材および/または少なくとも1つのロールに吹き付けられる潤滑油は、圧延素材および/または少なくとも1つのロールのそれぞれの部分エリアに吹き付けられる。好ましくは、スプレーノズルのすぐ隣に割り当てられた部分エリアは、0%および50%の間の範囲で重なる。重なる範囲が0%の場合は、部分エリアは、重複せずに単に互いに隣接する。重なる範囲が50%の場合、1つの部分エリアの中心が他の部分エリアの境界にある。逆も同じである。
【0024】
目的は、請求項15の特徴を有する装置によってさらに達成される。装置の好都合な実施形態は、従属請求項16〜24の主題である。
【0025】
本発明によると、各場合においてスプレーノズルの混合チャンバに、それぞれの単一のオイル流入口のみならず、それぞれの複数のオイル流入口を介して潤滑油のそれぞれの量が供給されることが体現された装置が−方法と同様に提供される。
【0026】
装置の好都合な実施形態は、方法の実施形態に対応する。したがって重複を避けるために、方法に関する前述の記載を参照されたい。
【0027】
本発明の上述の特性、特徴、および利点、およびこれらが達成される方法は、概略図を参照して詳細に説明される例示的な実施形態の以下の説明と関連して、より明確、かつ容易に理解することができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】側方からのロールスタンドおよび平らな圧延素材を示す。
図2】上からの図1のロールスタンドおよび圧延素材を示す。
図3】スプレーノズルの断面図を示す。
図4図3のラインIV−IVに沿った図3のスプレーノズルを通る断面を示す。
図5図4の図に対応するさらなるスプレーノズルを通る断面を示す。
図6】量−圧力図を示す。
図7】ノズル出口の実施形態の変形例の斜視図を示す。
図8】ノズル出口の実施形態の変形例の断面図を示す。
図9】各場合の複数のスプレーノズルの配置を示す。
図10】各場合の複数のスプレーノズルの配置を示す。
図11】各場合の複数のスプレーノズルの配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1および図2によると、平らな金属圧延素材1がロールスタンド2において圧延される。圧延工程中、圧延素材は、移送方向xに搬送される。ロールスタンド2は、少なくとも作業ロール3を有する。そのうえロールスタンド2は、バックアップロール4を有することあり、必要であれば、図示しないさらなるロールを有する。
【0030】
圧延素材1がロールスタンド2において圧延される場合、図1および図2に示すように、潤滑油5が圧延素材1および/またはロールスタンド2の少なくとも1つのロール3,4に適用される。図1に示す図によると、潤滑油5が圧延素材1の上面および上部作業ロール3に適用される。しかし、圧延素材1の上面を考慮する限り、圧延素材1の上面または上部作業ロール3に適用される潤滑油5は十分である。さらに、−あるいは、または圧延素材1の上面および/または上部作業ロール3への潤滑油5の適用に加えて−圧延素材1の上に配置された別のロール4、例えば上部バックアップロール4または(6つの高いスタンドの場合)上部中間ロールに潤滑油5を適用することが可能である。
【0031】
図1および図2によると、圧延素材1の上面および/または圧延素材1の上に配置された少なくとも1つのロール3,4に潤滑油5を適用する装置は、スプレー棒6を有する。スプレー棒6は、作業ロール3のそれぞれの回転軸3’に平行に延在する。複数のスプレーノズル7は、スプレー棒6に沿って互いに隣接して配置される。まとめると、スプレーノズル7は、通常同じ構造である。1つのスプレーノズル7の設計が図3および図4を参照して以下により詳細に説明される。
【0032】
さらに、潤滑油5はまた、通常圧延素材1の下面および/または少なくとも1つの下部ロール3,4に適用される。これは、図を明瞭にするために図1および図2には示されていない。圧延素材1の上面および/または上部作業ロール3および/または圧延素材1の上に配置された他のロール4への潤滑油5の適用と同様の方法で、圧延素材1の下面に関して必要であれば(直接)圧延素材1の下側および/または下部作業ロール3および/または圧延素材1の下に配置された他のロール4にも潤滑油5を適用することができる。さらに、この場合少なくとも1つのスプレー棒6がまた圧延素材1の下に配置される。
【0033】
図3によると、各スプレーノズル7は、混合チャンバ8を有する。さらに、各スプレーノズル7は、複数のオイル流入口9を有する。最低2つのオイル流入口9がある。しかし、また2つ以上のオイル流入口9がある場合もある。単位時間当たり潤滑油5のそれぞれの量Vがオイル流入口9を介してそれぞれの混合チャンバ8に供給される。さらに、混合チャンバ8は、各場合において少なくとも1つの空気流入口10を有する。圧縮空気11がそれぞれの空気流入口10を介してそれぞれの混合チャンバ8に供給される。それぞれの混合チャンバ8の内部で、供給された潤滑油5が圧縮空気11によって噴霧化されて、エアロゾルを生成する。噴霧化された潤滑油5は、各場合においてそれぞれのスプレーノズル7の少なくとも1つのノズル出口12を介して圧延素材1および/または対応するロールスタンド2のロール3,4に吹き付けられる。
【0034】
図3に示す略図を参照すると、スプレーノズル7は、好ましく筒状に体現される。したがって、スプレーノズルは、それぞれの長軸13を有する。ノズル出口12は、それぞれのスプレーノズル7の軸方向端部の一方に好ましく配置される。それぞれの少なくとも1つの空気流入口10は、この場合それぞれのスプレーノズル7の軸方向端部の他方に配置される。
【0035】
各スプレーノズル7の1つを参照すると、1つのオイル流入口9は、長軸13の方向から見て規定の軸方向位置zに配置される。少なくとも1つの他のオイル流入口9は、好ましくは、長軸13の方向から見て同じ軸方向位置zに配置される。しばしば、それぞれのスプレーノズル7の全てのオイル流入口9が前記軸方向位置zに配置される。
【0036】
図3に示す略図を参照すると、少なくとも1つの空気流入口10は、好ましくは0.01mmおよび5mmの間の直径d1を有する。好ましくは、空気流入口10の直径d1は、3mmおよび5mmの間である。特に、空気流入口10の直径d1は、少なくとも約4mmとすることができる。一方オイル流入口9は、同様に直径d2を有する。オイル流入口9の直径d2は、好ましくは0.1mmおよび1.0mmの間である。特に、オイル流入口9の直径d2は、通常0.4mmおよび0.6mmの間である。
【0037】
特に2つのオイル流入口9の場合は図4から、3つのオイル流入口9の場合は図5から明らかなように、オイル流入口は、好ましくは、長軸13の周りに均等に分布して配置される。したがって長軸13に関して、オイル流入口9は、2つのオイル流入口9の場合は、180°の角度を、3つのオイル流入口9の場合は120°の角度を好ましく形成する。したがって一般的に、−すなわちn個のオイル流入口9の場合−各2つのオイル流入口9は、長軸13に関して360°/nの角度を好ましく形成する。
【0038】
1つのスプレーノズル7の一例として図2に示すように、潤滑油5が好ましくは流量制御された方法でそれぞれの混合チャンバ8に供給される。この目的のために、図2に示す略図によると、搬送装置14および流量コントローラ15がある。流量コントローラ15には、設定流量V*が供給され、実際の流量Vが搬送装置14によってそれぞれの混合チャンバ8に送られる。設定流量V*および実際の流量Vに基づき、実際の流量Vが設定流量V*に近づく−理想的には整合する−ように、流量コントローラ15が搬送装置14のための制御信号を決定する。搬送流量により、圧力が潤滑油5を導く供給ラインにかかる。この圧力は、本発明の範囲においては制御されない。多くの場合、圧力は、1.5barおよび20barの間であり、特に2.0barおよび15barの間である。
【0039】
それぞれの混合チャンバ8に供給される圧縮空気11の圧力pは、好ましくは、0.1bar(=10hPa)および10bar(=1000hPa)の間である。特に、圧力pは、1.0bar(=100hPa)および6.0bar(=600hPa)の間とすることができる。圧力pは、対応する値において一定のままとすることが可能である。しかし、好ましくは、圧力pは、潤滑油5の量に従って、すなわち1つの流量V,V*に応じて調整される。図6は、一例として対応するグラフを示す。図6において、単位時間あたりに混合チャンバ8に供給される潤滑油5の量は、右方向にプロットされる。圧縮空気11の関連する圧力pは、図6において垂直方向にプロットされる。図6に示すグラフによると、特に単位時間あたりにそれぞれの混合チャンバ8に供給される潤滑油5の量に即して圧力pが増加することが可能である。したがって好ましくは、以下の関係式が適用される:
dp/dV>0またはdp/dV*>0
【0040】
ノズル出口12を必要に応じて作ることができる。好ましくは、ノズル出口12は、図7および図8に示すようにそれぞれスリット状に体現される。特に、スプレーノズル7は、それぞれ、前記タイプの2つのノズル出口12を有することができる。比較的幅広い、ファン状の、均一なジェットを前記タイプのノズル出口12によって特に単純な方法で作ることができる。
【0041】
図9に示す略図によると、ノズル出口12は、潤滑油5が吹き付けられる表面から距離a1離れている。あるいは、表面は、圧延素材1の表面または1つのロール3,4の表面とすることができる。距離a1は、好ましくは、100mmおよび400mmの間である。特に、150mmおよび300mmの間とすることができる。図9に示す略図によると、スプレーノズル7は、さらに距離a2だけ互いに離間している。距離a2は、作業ロール3の回転軸3’に平行に延在する。距離a2は、好ましくは、50mmおよび300mmの間である。特に、100mmおよび200mmの間とすることができる。
【0042】
図9に示す略図によると、潤滑油5は、各場合において1つのスプレーノズル7によって圧延素材1および/または対応するロール3,4のそれぞれの部分エリア16にのみ吹き付けられる。対照的に、スプレー棒6、すなわちスプレーノズル7全体によって、潤滑油5は、圧延素材1および/または対応するロール3,4に、少なくとも圧延素材1の幅b1にわたって−しばしば対応するロール3,4の全幅b2にわたって−均等に適用される。このような均一な適用を確実にするために、圧延素材1または、場合により対応するロール3,4からのノズル出口12の距離a1、および互いからのスプレーノズル7の距離a2は、各場合において1つのスプレーノズル7のそれぞれのスプレーパターンに応じて設定される。
【0043】
個々の場合の状況に応じて、すぐ隣のスプレーノズル7に割り当てられる部分エリア16と重なる範囲が50%となるように、距離を設定することができる。この場合、図9に示す略図によると、特定のスプレーノズル7の部分エリア16は、2つの部分エリア16の中間が前記部分エリア16にすぐに隣接するように延在する。したがって特定の部分エリア16に関して、左手区画および右手区画が存在する。潤滑油5は、右側の隣接するスプレーノズル7によっても右手区画に適用される。同様の方法で、潤滑油5は、左側の隣接するスプレーノズル7によっても左手区画に適用される。一方、部分エリア16に割り当てられるスプレーノズル7によってのみ独占的に潤滑油5が適用される部分エリア16の区画は存在しない。
【0044】
あるいは、個々の場合の状況に応じて、すぐ隣のスプレーノズル7に割り当てられる部分エリア16と重なる範囲が0%となるように距離を設定することができる。この場合、図10に示す略図によると、特定のスプレーノズル7の部分エリア16は、前記部分エリア16のすぐ隣の2つの部分エリア16の境界まで延在する。この場合、部分エリア16は、重複することなく互いに隣接する。したがって、特定の部分エリア16に関しては、右または左の隣接するスプレーノズル7によっても潤滑油5が適用される区画は存在しない。
【0045】
しかし、多くの場合、すぐ隣のスプレーノズル7に割り当てられる部分エリア16と重なる範囲が前記2つの極値の間となるように、距離の設定が選択される。したがって、特定の部分エリア16に関しては、左手区画および右手区画が存在する。潤滑油5は、右側の隣接するスプレーノズル7によっても右手区画に適用される。同様な方法で、潤滑油5は、左側の隣接するスプレーノズル7によっても左手区画に適用される。前記2つの区画の間に、−図9による実施形態とは対照的に−関連するスプレーノズル7のみによって独占的に潤滑油5が適用される部分エリア16の中間区画が連続して存在する。例えば、すぐ隣のスプレーノズル7に割り当てられる部分エリア16と重なる範囲が15%および40%、特に20%および30%となるように距離の設定を選択することができる。図11は、単なる一例として、重なる範囲が約25%である前記タイプの設定を示す。
【0046】
まとめると、本発明は、以下の事項の状態に関連する。
【0047】
ロールスタンド2において平らな金属圧延素材1を圧延する間、潤滑油5は、互いに隣接して配置された複数のスプレーノズル7によって圧延素材1および/またはロールスタンド2の少なくとも1つのロール3,4に吹き付けられる。各場合において、スプレーノズル7の混合チャンバ8には、それぞれの複数のオイル流入口9を介してそれぞれの量の潤滑油5が供給される。それぞれの混合チャンバ8には、それぞれの少なくとも1つの空気流入口10を介して圧縮空気11が供給される。潤滑油5は、圧縮空気11によってそれぞれの混合チャンバ8において噴霧化され、エアロゾルを形成し、それぞれの少なくとも1つのノズル出口12を介して圧延素材1および/またはロールスタンド2の少なくとも1つのロール3,4に吹き付けられる。
【0048】
本発明は、多数の利点を有する。特に、潤滑油5の搬送される流量Vの幅広い範囲の調整が単純な方法で実現することができる。さらに、複数のオイル流入口9があることにより、スプレーノズル7の信頼性が大幅に向上する。さらに、それぞれの部分エリア16に対応するスプレーノズル7のスプレーパターンは、搬送される流量Vの調整範囲全体にわたって事実上常に維持することができる。必要な潤滑油5の全体量を最小に保つことができる。それにもかかわらず、全有効幅にわたって非常に均一な厚さを有するオイルフィルムが作られる。
【0049】
本発明は、好ましい例示的な実施形態に基づいてより詳細に示され、説明されたが、本発明は、開示された例に限定されず、本発明の保護範囲を逸脱することなく当業者によって他の変化形を得ることができるものである。
【符号の説明】
【0050】
1 圧延素材
2 ロールスタンド
3 作業ロール
3’ 回転軸
4 バックアップロール
5 潤滑油
6 スプレー棒
7 スプレーノズル
8 混合チャンバ
9 オイル流入口
10 空気流入口
11 圧縮空気
12 ノズル出口
13 長軸
14 搬送装置
15 流量コントローラ
16 部分エリア
a1,a2 距離
b1,b2 幅
d1,d2 直径
p 圧力
V,V* 流量
x 移送方向
z 軸方向位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11