(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
モノアルケニルアレーンおよびミルセンのカップリングされたブロックコポリマーを製造する方法であって、反応器にスチレンおよび有機リチウム開始剤を導入し;モノアルケニルアレーンを重合してモノアルケニルアレーンのポリマーブロックを形成し;ミルセンを反応器に導入し;ミルセンの重合を継続してスチレンおよびミルセンのジブロックポリマーを形成し;反応器にカップリング剤を導入し、スチレンおよびミルセンのジブロックコポリマーをカップリングし、(S−M)nXを形成し、ここでSはスチレンのポリマーブロックであり、Mはミルセンのポリマーブロックであり、nは2から5の整数であり、Xはカップリング剤の残基であり、ポリスチレン含有量は50重量%以下であり、スチレンブロックの分子量は10から20kg/モルであり、ミルセンブロックの分子量は40から220kg/モルであり、さらにミルセンの重合工程の後にある量のブタジエンを導入し、ブタジエンを重合してポリブタジエンの少なくとも1つの分子を形成し、それにより(S−M/B)nXの構造を有し、そして、ブロックコポリマーは5から80モル%のビニル含有率を有する、
ブロックコポリマーを製造する方法。
【背景技術】
【0003】
現在、ホットメルト感圧接着剤用途のための最良に実行できるスチレン系ブロックコポリマーは、スチレン−イソプレン−スチレン(米国特許第7307124号参照)である。ホットメルト感圧接着剤のための別の良好なスチレン系ブロックコポリマーは、中間ブロックがブタジエンおよびイソプレンのランダム混合物であるスチレン−ブタジエン/イソプレン−スチレンである。これらのコポリマーは粘着付与剤で変性されたときに、良好な接着特性、良好な引張特性および許容可能なホットメルト粘度を有しているので、これらのコポリマーは最良の性能を有している。
【0004】
イソプレンおよびブタジエンのような石油由来のモノマーは、価格の変動および循環不足に苦しんでいる。これに関しては、石油由来のモノマーの必要性を減らすのに役立ち得る代替のバイオ由来のモノマーを検討することが重要である。代替の1つのそのような種類は、ミルセン(C
10H
16)を含む天然に存在する生成物であるテルペンである。ミルセンのようなテルペンはまた、天然に存在する生成物から工業的規模で生合成することもできる。
【0005】
Quirkの米国特許第4374957号は、有機リチウム開始剤を用いる逐次重合によって製造されたスチレン−ミルセン−スチレン(SMS)の線状のトリブロックポリマーを開示する。この著作物では、ニートな非配合化スチレン−ブタジエン−スチレンおよびスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーは、それらを接着剤として有用にするには粘着性を欠いていたことが指摘された。本発明のSMSブロックコポリマーが作製された。実施例のポリスチレン含有率はSMSブロックコポリマーの23から58重量%の範囲であり、得られた引張強度は3.5から12.8MPaの範囲であった。配合化接着剤組成物はこれらのブロックコポリマーから作製されなかった。さらに、ミルセンの含有率が増加するにつれて、本発明のポリマーは、上昇する粘着性を有することが質的に観察された一方で、これらの非配合化ポリマーについては全く接着性が分析的に測定されず、そのようなものとしてこのポリマー自身は接着剤として評価されていなかった。
【0006】
特に接着剤組成物に使用される場合、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーと同様またはより優れた特性を有するスチレン系ブロックコポリマーの必要性が存在する。特に、低いホットメルト粘度および接着剤のより低温での用途を可能にするためにスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーよりも優れたメルトフローレートを有するスチレン系ブロックコポリマーの必要性が存在する。粘度変化が最少化され、ホットメルト方法がより安定なものになり、製造時の廃棄物が削減されるので、ホットメルト粘度安定性も非常に望ましい特徴である。そのような特性を有しているので、本発明の接着剤は、限定されることはないが、ロールコーティング、スロットコーティング、回転噴霧、噴霧をはじめとする、当技術分野で公知の任意の方法により所望の基材に塗布することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ミルセンはアニオン重合性モノマーであり、下記一般式で表すことができる。
【化1】
【0018】
ミルセンは2つの異性体アルファおよびベータを有しており、ベータはより豊富であり、本発明にとって好適であるが、両方機能する。この発明の目的に対し、我々は共役ジエンとしてミルセンに言及する。当業者は、このモノマーは実際には3つのアルケニル基を有することを理解するであろう。しかし、これらのアルケニル基の2つはモノマーの一端において共役的な方法で隣接して存在する。アニオン重合において活性であるのは共役ジエンを有するこの末端である。
【0019】
モノアルケニルアレーンは、スチレン、およびメチルスチレン、ジメチルスチレン、アルファ−メチルスチレン、ジフェニルエチレン等のような置換スチレン、ならびにこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはスチレンである。
【0020】
モノアルケニルアレーンおよびミルセンのブロックコポリマーは、同様の分子量のSISポリマーと比較して相対的に低いホットメルト粘度を有し、ホットメルト接着剤に有用である。スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーをはじめとする従来のホットメルト組成物の重要な欠点は、ホットメルト粘度が安定せず、溶融温度で処理中に著しく変化することである。本発明では、ホットメルト粘度の変化は極端なものではない。
【0021】
このポリマーはまた、「匹敵する」SISポリマーと比較してより低い弾性率を示す。より少ない可塑剤および粘着付与剤を使用して、同様の特性を達成することができる。低い弾性率は感圧接着剤を得るために必要とされる。ポリマーの弾性率は、粘着付与剤および可塑剤を使用することによって低下させることができる。ポリマーの弾性率がより低い場合、より少ない補助成分を使用して、必要な特性を得ることができる。また、いくつかの用途では難しい基材上でのまたは再閉鎖可能な包装フィルム上での接着のような非常に低い弾性率が必要とされる。
【0022】
本発明は、モノアルケニルアレーンの少なくとも1つのポリマーブロックおよびミルセンの少なくとも1つのポリマーブロックを有するブロックコポリマーに関する。本発明のブロックコポリマーは、ジブロックおよび/またはトリブロックコポリマー構造に順次形成されるか、または2つ以上のアームを有する放射状または星形コポリマーを形成するためにカップリングすることができる。ジブロックコポリマーの形態は1つのポリマーモノアルケニルアレーンブロックおよび1つのポリマーミルセンブロックを有することは自明である一方、トリブロックコポリマーは、2つの末端ポリマーモノアルケニルアレーンブロックおよび1つのポリマーミルセン中間ブロックを含む。放射状または星形ブロックコポリマーは2を超えるアームを有し、各アームは、モノアルケニルアレーンブロック、ミルセンブロックまたはモノアルケニルアレーンの少なくとも2つの末端ポリマーブロックが平均組成物中に存在するように両方を有する。
【0023】
モノアルケニルアレーン−ミルセンジブロックおよびトリブロック生成物は、第1の工程が、スチレンの重合が実質的に完了するまで、有機リチウム開始剤によってスチレン等のモノアルケニルアレーンを重合することを含む、逐次重合法によって製造することができる。次に第2の工程では、ミルセンが第1の工程から生じたスチレンのポリマーブロックを収容する反応器に添加される。重合が自発的に起こり、実質的に全てのミルセンが重合されて、スチレン−ミルセンのジブロックコポリマーを形成するまで進行する。その後、トリブロックコポリマーが所望される場合、追加の量のスチレン炭化水素をリビングスチレン−ミルセンジブロックに添加することができる。任意の量のモノアルケニルアレーンを添加して、第3のブロックを形成してもよい。好ましい実施形態では、第3のブロックにおけるモノアルケニルアレーンの割合は、第1の工程のものとほぼ等しい。再び重合が容易に起き、実質的に全てのスチレンモノマーが重合するまで継続する。このように、モノアルケニルアレーン−ミルセン−モノアルケニルアレーンのトリブロックコポリマーが順次形成され、構造SMSで表される。
【0024】
放射状(分枝しており、「星型」ブロックコポリマーと呼ばれることもある)ポリマーまたは線状カップリングポリマーの調製は、「カップリング」と呼ばれる重合後の工程を必要とする。放射状ブロックコポリマーに対する式(S−M)
nX中、Sは重合モノアルケニルアレーンであり、Mは重合ミルセンブロックであり、nは1から約30、好ましくは約1から約5の整数であり、Xはカップリング剤の残りまたは残基である。カップリングされたブロックコポリマーのS−Mアームは、上記のように逐次重合によって形成される。適切な条件下で、これらのジブロックS−Mコポリマーアームは一緒に結合して、「n」が2に等しい場合(ジブロックの2つのアームが一緒にカップリングされることを意味する)はトリブロックコポリマーを、「n」が2より大きい場合は星型放射状型ポリマーを形成する。カップリング方法は統計的方法であり、全体ブロックコポリマー組成物に対する得られた平均値nは、ブロックコポリマー組成物中の放射状構造のアームの平均数を表す。例えば、目標構造が線状トリブロック(n=2)である、カップリングされたブロックコポリマー組成物は、カップリングしていないジブロック、3つのアームの放射状構造(n=3)、4つのアームの放射状構造(n=4)等も含み得、カップリング反応のカップリング条件および効率は、得られたブロックコポリマー組成物内の構造の分布を決定する。3つ以上のアームを有する放射状コポリマーは、典型的には、同等の分子量ならびにSおよびMの同等の相対量で逐次製造されたトリブロックコポリマーよりも低い粘度をもたらす。また、Sブロックは、逐次重合で作られたものと比較してカップリング手順において分子量および組成についてはるかに均一であることができる。
【0025】
本発明の実施形態は対称的な、カップリングされたブロックコポリマーに限定されるものではない。カップリングされたアームは同一で、対称的な、カップリングされたポリマーをもたらしてもよいし、それらは異なって、非対称の、カップリングされたポリマーをもたらしてもよい。非対称の実施形態では、いくつかのアームはSブロックまたはMブロックを含まなくてもよい。さらに、非対称の、カップリングされたブロックコポリマーは、SおよびMブロックの分子量およびSブロックの組成が変化してもよいアームを含んでもよい。このような非対称の、カップリングされたブロックコポリマーでは、ブロックは、分子量または組成の違いを示すためにS、S’、S”、M、M’、M”として表すことができる。
【0026】
好ましい実施形態では、種々のカップリングされたアームのSブロックの組成および分子量は変化せず、対称的な放射状ブロックコポリマーが生じる。
【0027】
様々なカップリング剤が当分野で知られており、例えば、ジハロアルカン、ハロゲン化ケイ素、シロキサン、多官能性エポキシド、シリカ化合物、カルボン酸と一価アルコールとのエステル(例えば、アジピン酸ジメチル)、およびエポキシ化油が挙げられる。星型ポリマーは、例えば、米国特許第3985830号、第4391949号および第4444953号、カナダ特許第716645号に開示されているようなポリアルケニルカップリング剤を用いて調製される。適切なポリアルケニルカップリング剤としては、ジビニルベンゼン、好ましくはm−ジビニルベンゼンが挙げられる。好ましいのは、テトラアルコキシシラン、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)およびテトラメトキシシラン、アルキル−トリアルコキシシラン、例えば、メチル−トリメトキシシラン(MTMS)、脂肪族ジエステル、例えば、アジピン酸ジメチルおよびアジピン酸ジエチル、ならびにジグリシジル芳香族エポキシ化合物、例えば、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応に由来するジグリシジルエーテルである。
【0028】
カップリング効率は、連結技術によって調製されるブロックコポリマーの合成において重要である。典型的なアニオン性ポリマーの合成では、カップリング反応の前に、未結合アームは、ただ1つのハードセグメント(通常はポリスチレン)を有する。それが材料の強度機構に寄与する場合、2つのハードセグメントがブロックコポリマーに必要とされる。
【0029】
米国特許第4039593号およびRe.27145号(その説明は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、リチウム開始剤による共役ジエン炭化水素のアニオン重合は周知である。重合は、各リチウム部位でリビングポリマー骨格を構築するモノリチウム、ジリチウムまたはポリリチウム開始剤により開始する。
【0030】
一般に、本発明に有用なポリマーは、−150°から300℃の温度範囲、好ましくは0から100℃の温度範囲で適切な溶媒中で有機アルカリ金属化合物とモノマーを接触させることによって調製することができる。特に有効な重合開始剤は、一般式RLiを有する有機リチウム化合物であり、ここでRは、1から20個の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式、またはアルキル置換脂環式基である。適切な溶媒としては、脂肪族炭化水素、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンもしくはシクロヘキサンもしくはシクロヘプタン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン、ならびにエーテル、例えば、テトラヒドロフランもしくはジエチルエーテルが挙げられる。
【0031】
本発明に用いられるブロックコポリマーは、その間の全ての点を含む約20から100%のカップリング効率(「CE」)を有する。CEが100%未満である場合、残りはカップリングしていないジブロックである。CEは、カップリング剤を添加した時に、リビングP−Liであり、カップリング反応の完了時にカップリング剤の残基を介して結合されるポリマーの鎖末端の割合として定義される。実際には、GPCのデータがポリマー生成物に対するCEを計算するために使用され、全アームの百分率として報告される。
【0032】
本発明に有用なモノアルケニルアレーンとしては、スチレン、アルファ−メチルスチレン、メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、容易に入手可能であり、その反応性が容易にブロックコポリマーをもたらすので、スチレンが特に好ましい。スチレンは、本発明のブロックコポリマーの主要なモノアルケニルアレーン成分である。しかし、モノアルケニルアレーンポリマーブロック(S)は、Sブロックの総重量に基づいて5重量%までの少量の上述した他のモノアルケニルアレーンのコモノマーを含有することができる。Sブロックの総含有率は、ブロックコポリマーの総重量に基づいて少なくとも10重量%である。本発明の目的に対し、スチレン含有率は、ブロックコポリマーにおけるモノアルケニルアレーンの含有率を意味する。モノアルケニルアレーンの含有率はモノアルケニルアレーン−ミルセンブロックコポリマーの総重量の10、20、30、40、または50重量%および10から50重量%の範囲内の全ての点とすることができる。残りはもちろんポリミルセンである。接着剤組成物が感圧性接着剤である場合、好適なモノアルケニルアレーン含有率は15から30重量%である。接着剤組成物がホットメルト噴霧可能な建設用接着剤である場合、好ましいモノアルケニルアレーン含有率は25から50重量%である。
【0033】
米国特許第5399627号は、ポリマーの形成におけるカップリング反応を高め、枝数のより多い放射状ポリマーをもたらすという点で、ジエン中間ブロックの端部の少量のブタジエンが有用であることを教示する。別には、少量のブタジエンの添加が1つのブロックから別のブロックへのクロスオーバーを高めることができるか、2つの隣接するブロックの相分離を増大させ得ることが知られている。この目的のためのブタジエンの量はポリマー鎖の非ブタジエンセグメントの全ての端部がブタジエンの少なくとも1つの分子で提供されることを保証するのに十分な量でのみ添加されることを必要とするが、より多くのブタジエンが添加されてもよく、通常は、反応が妥当な時間枠内で進行するのに十分な量が存在することを確実にするため、ブロックコポリマーの総重量の約1〜3重量%が添加される。本発明のカップリングされたモノアルケニルアレーン−ミルセンブロックコポリマーは、カップリングを向上させるために、このような方法を用いて製造することができる。
【0034】
モノマーの共役ジエン部は、[C
1=C
2−C
3=C
4]で表すことができる。共役ジエンのアニオン重合は、これらの炭素の4個全てがポリマー骨格に組み込まれた、あるいはこれらの炭素の2個のみ(C
1−C
2またはC
3−C
4)がポリマー骨格に組み込まれたポリマーをもたらすことができる。ミルセンのアニオン重合は、ポリマー骨格中に4個すべての炭素を組み込む1,4−組み込まれ単位、およびポリマー骨格中に2つの炭素のみを組み込む3,4−組み込まれ単位を有するポリマーをもたらすことができる。2個の炭素のみが3,4−付加工程によって組み込まれるミルセンモノマーの一部はポリマー骨格に垂れ下がったより大きな基を与える。本発明の目的に対し、3,4−付加工程によって組み込まれるミルセンモノマーの量はビニル含有量であると言われる。
図3は、一般的なポリジエン微細構造(参考文献:H. L. HsiehおよびR. P. Quirk、Anionic Polymerization Principles and Practical Applications、ニューヨーク、ニューヨーク州: Marcel Dekker、1996)を示し、ここでミルセンについてはR=CH
2CH
2CHC(CH
3)
2である。
【0035】
当業者は、使用された溶媒の極性が3,4の組み込みに対する1,4の組み込みの比率に影響することを知っている。極性が増加すると、典型的には、3,4−組み込みが増加する。従って、本発明のコポリマーは約5から約80モル%のビニル含有率を有することができる。
【0036】
本明細書で使用するように、用語「分子量」は、ポリマーまたはコポリマーのブロックのkg/モルで表される見掛けの分子量を意味する。この明細書および特許請求の範囲において言及される分子量は、ASTM D5296に従って行われるような、ポリスチレン較正標準を用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。GPCは、ポリマーが分子サイズに応じて分離され、最も大きい分子が最初に溶出される周知の方法である。クロマトグラフは市販のポリスチレン分子量標準を用いて較正される。そのように較正されたGPCを用いて測定したコポリマーの分子量はスチレン等価分子量であり、見掛けの分子量と呼ばれる。GPCカラムを通って溶出するポリマーの組成がポリスチレンとは組成が異なる場合、見掛けの分子量は絶対または真の分子量とは異なる。しかし、十分に特徴付けられたモデルのポリマーとの比較により、必要な場合は、見かけの分子量から真のまたは絶対的な分子量への変換が可能である。使用される検出方法は、好ましくは、紫外線検出器および屈折率検出器の組合せである。本明細書で表現される分子量はGPCトレースのピークで測定され、一般に「ピーク分子量」(Mp)と呼ばれる。
【0037】
典型的なトリブロックコポリマーは、接着剤の用途に有用であるのに十分な分子量およびポリスチレン含有率を有していなければならない。本発明のブロックコポリマーの典型的な組成は、約10から約50重量%の間のポリスチレン含有率および5から50kg/モル、好ましくは8から35kg/モル、最も好ましく10から20kg/モルのポリスチレン分子量によって記述される。ミルセンブロックの分子量は約10から約300kg/モル、好ましくは25から250kg/モル、最も好ましくは40から220kg/モルである。本明細書に表された分子量範囲は、2つのポリスチレンブロックの間にまたがるポリミルセンブロックの記述と考えられるべきである。当業者は、不完全なカップリングから生じるジブロックポリマーを考慮すると、ポリミルセンブロックの分子量範囲はここで特定されたものの半分であることを理解するであろう。
【0038】
SMSポリマーはそれ自体は粘着性ではない。ダルキスト基準の下では、良好な感圧接着剤(即ち、軽い圧力下で迅速に結合を形成することができる接着剤)に対する要件は、1×10
−6cm
2/dyne(使用温度で)を超える1秒クリープコンプライアンスを有する接着剤として設定される。貯蔵弾性率の値およびSMI単位に変換されると、この規則は使用温度で10
5Paより低い弾性係数を有するようになる。本発明のブロックコポリマーの弾性率は、この値より上でありため、それらは適切な感圧接着特性を示すように配合することが必要となる。
【0039】
典型的な感圧接着剤またはホットメルト接着剤は、スチレン−ミルセンブロックコポリマーの100部に基づいて、該ブロックコポリマーの100部に基づいて、約30から250部の適切な粘着付与剤、該ブロックコポリマーの100重量部に基づいて、約0から80部の適切な可塑剤、該ブロックコポリマーの100重量部に基づいて、約0.1から3重量部の安定剤を含む。
【0040】
適切な粘着付与剤は、相溶性のあるC
5、C
9もしくはC
5/C
9炭化水素樹脂、水素化または部分的に水素化されたC
5もしくはC
9炭化水素樹脂、またはスチレン化されたC
5もしくはC
9樹脂の群から選択することができる。さらに、適切な粘着付与剤としては、テルペン、スチレン化テルペン樹脂、完全水素化もしくは部分水素化テルペン樹脂、ロジンエステル、ロジン誘導体およびそれらの混合物が挙げられる。本発明の好適な市販の粘着付与樹脂としては、脂肪族樹脂であるPiccotac 1095−Nが挙げられる。Regalrez(商標)シリーズ、例えば、Regalrez(商標) 1018、Regalrez(商標) 1085もしくはRegalrez(商標) 6108のような市販の炭化水素粘着付与樹脂ならびに「Regalite」、「エスコレッツ」、「ウィングタック」、および「アルコン」の商標で販売されている他の樹脂も好適である。
【0041】
本発明の接着剤組成物は1つ以上の可塑剤を含んでいてもよい。適切な可塑剤としては、特性においてパラフィン系またはナフテン系のような可塑化油が挙げられる。このような製品としては、商標SHELLFLEX(R)、商標CATENEX(商標)およびEDELEX(商標)およびONDINA(R)の下、シェル・オイル・カンパニーから入手可能なものおよびドレーク油が挙げられる。EDELEX(R) N956は実施例に記載されている。
【0042】
熱安定剤を使用することが好ましいが、それは本発明の組成物では必要とされない。それにもかかわらず、酸化防止剤のような1つ以上の安定剤の使用は、ホットメルト接着剤組成物に特に適している。酸化防止剤は、ヒンダードフェノールのような一次酸化防止剤、または亜リン酸誘導体のような二次酸化防止剤、またはそれらの混合物としてのいずれかで使用することができる。許容可能な安定剤は、Irganox(R) 565、1010、1076もしくは1726またはIrgafos(R) 168(全てBASF社)または住友からのSumilizer(R) GSもしくはT−PD、またはAlbemareからのEthanox 330である。
【0043】
本発明のポリマー混合物は、他のポリマー、充填剤、補強材、難燃剤、ブロッキング防止剤、潤滑剤ならびに他のゴムおよびプラスチック配合成分を、本発明の範囲から逸脱することなく、さらに配合することができる。
【0044】
無機充填剤の組み込みはブロックコポリマーの最終用途において重要である。特に、充填剤は、振動減衰組成物として意図された物品の質量および密度を高めるために重要である。制振組成物中に存在する無機充填剤の性質および量は、減衰の程度および振動伝播が温度および周波数によってどのように影響されるかに重要な影響を有する。無機充填剤の異なる形態を使用することができる。例えば、プレートレットの形態を有する充填剤、または非プレートレット形態を有する充填剤を用いることができる。プレートレットの形態の無機充填剤の例としては、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、鉛フレークおよびグラファイトが挙げられる。マイカは特に有効であることがわかった。様々な非プレートレット充填剤、例えば、クレー、炭酸カルシウム、バライト(硫酸バリウム)、シリカおよび鉄粉を使用することができる。相乗効果は、プレートレット充填剤および非プレートレット充填剤の間に実現することができる。使用された充填剤の総量は高くてもよい。量が増加するにつれて減衰が向上する。充填剤の含有率の上限は、柔軟性、引裂強度および成形性等の最終組成物の必要な物理的特性および機械的特性によって決定される。
【0045】
本発明では、振動減衰組成物は、100重量部のブロックコポリマー、約50から約100重量部の粘着付与剤および無機充填剤を含む。前述したように、組成物の所望の物理的特性および機械的特性を維持しながら、充填剤の量は可能な限り高くすることができる。800重量部までの充填剤の量が有用である。充填剤の好ましい量は300重量部までであり、最も好ましい量は50重量部までである。
【実施例】
【0046】
[架空の例1]
アニオン重合等級の溶媒、モノマーおよびアルキルリチウム開始剤を使用し、標準的なアニオン重合技術を用いて、シクロヘキサン4.5kgを10リットルの水冷反応器内で60℃に加熱し、sec−ブチルリチウム24mL(s−BuLi:シクロヘキサン中の0.3M溶液)で処理した。約30kg/モルの真の分子量(MW)の第1のポリマーブロックを提供するために、約215gのスチレンモノマー(S)を添加する。重合の開始は、溶液の色の赤橙への変化および重合液の温度のわずかな上昇によって示される。スチレンモノマーの重合が完了した後、約250gのミルセン(M)を添加して、約65kg/モルの真の総MWを有するリビング2ブロックコポリマーが得られる。ミルセンの重合により溶液の色が黄色に変わる。ミルセンの重合が完了すると、約35gのスチレンモノマー(S)を添加して、約70kg/モルの真のMWの総3ブロックコポリマーが得られる。リビング重合溶液にスチレンを添加すると、赤橙色へのリビング重合溶液の色の変化を誘発する。コポリマーの第3のブロックの重合が完了すると、イソプレン約5gを添加し、その後カップリング剤のテトラメトキシシラン438mgを重合溶液に添加し、反応を60℃で約2時間進行させる。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリマー生成物の分析により、ポリマー鎖の少なくとも80%がカップリングされて、線状のペンタブロックコポリマー(S−M−S’)
2−Si(OMe)
2ならびにそれぞれ関連する3および4アームカップリング放射状ポリマーである(S−M−S’)
3−SiOMeおよび(S−M−S’)
4−Siの混合物を形成するであろう。
【0047】
[実施例1−カップリングされたSMSの重合手順]
シクロヘキサンおよびスチレンはカルディックから購入した。ブタジエンはGerling Horz and Co.から購入し、ミルセンは、Aldrichから購入した。sec−ブチルリチウムはAcrosから購入した。カップリング剤として使用されたメチルトリメトキシシラン(MTMS)はエボニック・インダストリーズから購入した。シクロヘキサン、スチレン、ブタジエンおよびミルセンを活性化酸化アルミニウムによって精製し、窒素雰囲気下で4℃で保存した。
【0048】
重合は全て以下の手順に従って行った:所望の量の溶媒(シクロヘキサン)をオートクレーブ(10L、水冷)に添加し、50℃に加熱した。sec−ブチルリチウムをオートクレーブに添加し、続いてスチレン用量1を添加した。スチレンモノマー(ポリスチレン1)の重合後、GPCを用いて分子量を測定し、目標の分子量を得るために、必要に応じてスチレンモノマーの残りの用量を添加した。第2の用量のスチレンの変換後、シクロヘキサン中のミルセンモノマー(75重量%)を反応器に添加した。ミルセンモノマーの添加完了後、この混合物をさらに20分間反応させ、その後ブタジエン6gを添加した。その後、カップリング剤MTMSを、0.45モルMTMS/Liイオン(MTMS/Li;ポリスチレン1のMpに基づいて算出さミリモルLi)の合計比で3つの用量で添加した。1時間のカップリング時間後、メタノールを添加した。ポリマーをIrganox 565で安定化した。スチーム凝固仕上げ後オーブン(50℃)で乾燥させることによって、乾燥ポリマーを得た。
【0049】
【表1】
【0050】
ポリマー試験
典型的なSIS(スチレン−イソプレン−スチレン)ブロックコポリマーおよび典型的なS−I/B−S(スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン)ブロックコポリマーを、本発明のスチレン−ミルセン−スチレンのカップリングされたトリブロックコポリマーであるSMS1、SMS2およびSMS3に対して試験した。
【0051】
種々のポリマーの分子特性を表2に見出すことができる。
【0052】
【表2】
【0053】
メルトフローレート(MFR、200℃、5kg)および引張強度(TS)をニートポリマー試料について決定した。TSは溶媒キャストフィルム上で実施した。粘弾性特性は、レオメトリックスRDAIIレオメーターで動的機械分析(DMA)によって測定した。選択された周波数は、10rad/秒であり、温度は5℃/分の増加でもって、−100から+200℃の範囲であった。DMAの結果は
図1に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
表3から分かるように、SMSポリマーは非常によく流れ、MFRは150g/10分を超えていた。約300g/10分を超えるMFR値については、精度は信頼できず、SMS1とSMS2との間で実際の差異はない。
【0056】
SMSブロックコポリマーのTSおよび弾性率は低い。破断時の伸びは、よりコンパクトなゴム構造(ダングリング鎖)に起因して、匹敵する分子量のSISおよびS−I/B−Sポリマーよりも低い。最も高いピークMwを有するSMS1は、SMSブロックコポリマーの中で破断時の最高の伸びも示す。SMSポリマーのより低い機械的性能は、ほとんどのASC用途では問題ない。
【0057】
DMAにより測定した主な粘弾性パラメータを表4に要約した。
【0058】
【表4】
【0059】
SMSポリマーは表4で非常に柔らかいポリマーであり、このことは接着剤用途へのその適用性を確認するものである。SMSブロックコポリマーとSISおよびS−I/B−Sを比較すると、SMSブロックコポリマーについて以下の観察を行うことができる。
− 同じ条件で測定すると、TgがSISよりもわずかに低い(−54℃対−50℃)。
− タンデルタピークは、SISポリマーに対するよりも広範であり、また非常に高い。これら2つの後者の特性は、これらのポリマーが、良好な減衰性能(タンデルタピーク高さはSMS1については2.9である)を有するべきであることを示唆する。
− SMSポリマーは非常に低い弾性率(同様のPSC含有率で、それはSISポリマーの弾性率の約半分)を示し、それは広い温度範囲で非常に平坦なままである。これは比較的広い温度範囲にわたって安定した特性の徴候である。クロスオーバーポイントは、類似のPSブロックサイズを有するSISまたはS−I/B−Sよりも著しく低い。これは、これらのポリマーが匹敵するSISポリマーよりも低い温度で処理することができるという別の証拠である。
−
図1に見られるように、25℃における弾性率は、SMS1、SMS2およびSMS3のそれぞれに対し2.2×10
5Pa、4.9×10
5Paおよび4.4×10
5Paであり、従って(非常に低いが)ダルキスト基準を超える。従って、これらのポリマーは、十分なPSA特性を得るために配合することが必要となる。配合されていないSMS1を22±2g/m
2で塗布した。ステンレス鋼への引きはがし粘着力を測定することができなかった。しかし、SISおよびS−I/B−Sに比べてより低い弾性率のために、SMSポリマーは、適切な特性を得るためにより少ない粘着付与剤が必要となるかも知れない。
【0060】
[実施例2−接着剤組成物および特性]
全てのブロックコポリマーを典型的な粘着テープ配合を用いて比較した。
ブロックコポリマー 100phr
粘着付与樹脂 125phr
油 25phr
酸化防止剤 1phr
【0061】
【表5】
【0062】
非ブロックコポリマー成分の完全なリストは表6に見ることができる。
【0063】
【表6】
【0064】
F1からF4は150℃の温度でホットメルト配合した。F1、F2、F3およびF4の粘度(mPasで表される)のホットメルト安定性対時間(24時間)を一緒にグラフ化し、
図2に示した。.ホットメルト粘度はブルックフィールドRVDVII粘度計で測定した。図から分かるように、F1およびF2が、より高い粘度を示すF3およびF4より平らでより低い粘度を示し、その高い粘度は24時間にわたって著しく低下し、その安定性は本発明のF1およびF2程安定していないことを示す。
【0065】
接着剤試験
表7の以下の試験を表5の接着剤組成物に対して実施した。
【0066】
【表7】
【0067】
接着剤配合物の試料を、150℃の温度でミニZブレード上でホットメルト配合した。次いで、それらを22±2g/m
2のコーティング厚さでBraiveコーターを用いてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に直接溶剤塗布した。
【0068】
表8は、F1からF4の接着特性およびホットメルト粘度を示す。ホットメルト粘度は、160℃に設定したブルックフィールド粘度計を用いて24時間記録した。SMSポリマーは、優れた積極的な粘着性を発揮し、これは低いローリングボールタック値によって示されている。他の接着特性はSISと同等である。SAFTで表された温度耐性も、ポリマーのクロスオーバーポイントが低いという事実にもかかわらず、同等またはより良好である。これは、ポリマーのより良好なホットメルト安定性の徴候である。最終的に、ホットメルト粘度は、同等の接着/密着特性を有する標準的なSISおよびS−I/B−Sよりもほぼ5倍低い。これは非常に価値のあることである。ホットメルト粘度は大幅に低いだけでなく、それは高温で経時でもより安定である。これはSMSポリマーの予期しない特徴である。
【0069】
【表8】
【0070】
C
5/C
9樹脂を用いると、C
5樹脂を用いるよりも粘度は低い。何故ならばC
5/C
9樹脂はポリスチレン末端ブロックと部分的に相溶性であるためである。この非常に低い粘度は、現在SISまたはS−I/B−S系の配合物に使用されるものよりも低い温度で接着剤を製造または塗布することを可能にするはずである。これは、エネルギーの節約をもたらし、本発明のSMSポリマーの使用が感熱基材上を容易に覆うことを可能にする。それは、また、未だホットメルト処理可能であろうより高いポリマー含有率の配合物の配合を可能にする。
【0071】
SMS2、SMS3、SISおよびS−I/B−Sポリマーを溶剤配合し、22±2g/m
2のコーティング厚さでBraiveコーターを用いてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に直接溶剤塗布した。得られた塗膜の接着特性は表9に見ることができる。
【0072】
【表9】
【0073】
再度、SMSポリマーは匹敵するSISおよびS−I/B−Sポリマーより低いRBTを示す。接着値が少し低いが、それらはより高いPS含有率も示す。
【0074】
予想されるように、C
5樹脂を含有する配合物はより良好なSAFTを有する(表9参照)。何故ならば、この樹脂はポリスチレンブロックを柔らかくしないためである。SMS2は、最小の分子であるが、最低のSAFT(剪断接着破壊試験)の結果を示す。
【0075】
表9からわかるように、良好な感圧接着性能および優れたタックを示す配合物はSMSポリマーを用いて得ることができる。
【0076】
このように、本発明に従って、前述の目的、狙い、利点を完全に満足させるスチレン−ミルセンブロックコポリマー樹脂およびこの樹脂を組み込んだ接着剤組成物の両方が提供されたことは明らかである。本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、多くの代替、修正、および変形が前述の説明に照らして当業者に明らかであることは明白である。従って、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲に入るような全てのそのような代替、修正および変形を包含することが意図される。