(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を
図1〜
図14を用いて説明する。
図1に示した本実施形態の超音波流量計10は、横方向に延びた筒形ボディ11を備えている。筒形ボディ11は、軸方向の両端部にフランジ部11F,11Fを備え、それらフランジ部11F,11Fを介して、流体(例えば、空気、都市ガス、水等)が流れるパイプ90の途中に接続される(
図2参照)。なお、流体は、パイプ90を一方向(
図2の左側から右側)に流れる。
【0010】
図3に示すように、筒形ボディ11は、インナースリーブ20の外側がアウタースリーブ40で覆われた二重管構造になっていて、インナースリーブ20の内側部分が本発明の計測流路13になっている。
【0011】
詳細には、アウタースリーブ40は、インナースリーブ20よりも軸長が長くなっていて、軸方向の中間部41の内径が、両端部42,42の内径よりも段付き状に大きくなっている。また、アウタースリーブ40の両端部42,42(以下、小径部42,42という。)の内径は、インナースリーブ20の内径とほぼ同じ大きさになっていて、アウタースリーブ40の中間部41(以下、大径部41という。)の内径は、インナースリーブ20の外径よりも大きくなっている。そして、インナースリーブ20が小径部42,42の間に挟まれて、インナースリーブ20と大径部41との間に、本発明に係る圧力計測室43が形成されている。なお、アウタースリーブ40の両端部、即ち、小径部42,42の大径部41と反対側の端部には、上述したフランジ部11F,11Fが備えられている。
【0012】
図5に示すように、アウタースリーブ40は、小径部42,42のうち上流側の小径部42を構成するサブスリーブ構成体45と、下流側の小径部42及び大径部41を構成するメインスリーブ構成体46とを結合してなる。そして、インナースリーブ20は、メインスリーブ構成体46の大径部41側の開口46Aから挿入組み付けされている。
【0013】
図3に示すように、サブスリーブ構成体45は、下流側(
図3の右側)の端部に肉厚部45Aを有し、その肉厚部45Aがメインスリーブ構成体46の大径部41側の開口縁と嵌合可能となっている。また、肉厚部45Aの上流側部分には、小径フランジ部45Fが設けられていて、メインスリーブ構成体46の大径部41側の開口縁に設けられた小径フランジ部46Fと結合するようになっている。なお、図示はしないが、両小径フランジ部45F,46Fの間には、シール部材(例えば、Oリング)が備えられ、メインスリーブ構成体46とサブスリーブ構成体45との間がシールされている。
【0014】
また、
図4に示すように、メインスリーブ構成体46の大径部41の上部には、下流側(
図4の右側)の端部の一部が内側に陥没した陥没部41Aが設けられている。そして、この陥没部41Aの形成に伴って、大径部41には、管壁41Hの一部が段付き状に縮径された段差壁41Dが備えられている。
【0015】
図3に示すように、インナースリーブ20の両端部には、インナースリーブ20の軸方向に対して斜め前方(
図3の斜め上方)と斜め後方(
図3の斜め下方)に突出した1対のセンサ保持部22,22が設けられ、それら1対のセンサ保持部22,22に1対の超音波センサ15,15が保持されている。そして、超音波流量計10では、超音波センサ15,15の間、即ち、計測流路13を斜めに横切る方向で超音波の送受波が行われ、流体の流れに沿った順方向の超音波の伝播時間と、流体の流れに逆らった逆方向の超音波の伝播時間との差に基づいて、計測流路13を通過する流体の流速及び流量を計測する。
【0016】
また、インナースリーブ20の内側断面形状は、円形になっていて、軸方向の中間部の内径は一定であるのに対して、軸方向の両端部の内径は、端部に向かうに従って僅かに拡径している。即ち、計測流路13の断面積は、軸方向の両端部から中間部に向かうに従って徐々に小さくなっている。
【0017】
センサ保持部22,22は、インナースリーブ20の外周面から斜めに突出した分岐管21,21を備え、その分岐管21,21の内側にセンサ保持孔21A,21Aが形成されている。センサ保持孔21A,21Aは、インナースリーブ20の内側面で開口し、計測流路13に連通している。超音波センサ15,15は、分岐管21,21の先端開口から各センサ保持孔21A,21Aに挿入されて組み付けられている。なお、分岐管21,21とアウタースリーブ40の大径部41の内側面との間には、例えば、0.5mm以上の隙間が設けられていて、分岐管21,21がアウタースリーブ40と接触しないようになっている。
【0018】
ところで、本実施形態では、
図6(A)に示すように、インナースリーブ20は、下流側のセンサ保持部22(
図3及び
図6(A)における右側のセンサ保持部22)を含む第1スリーブ構成体25と、上流側のセンサ保持部22(
図3及び
図6(A)における左側のセンサ保持部22)を含む第2スリーブ構成体26とに分割可能となっている。そして、これら第1と第2のスリーブ構成体25,26を、それぞれアウタースリーブ40に固定することで、第1と第2のスリーブ構成体25,26同士が合体状態に保持され、アウタースリーブ40内でインナースリーブ20が形成されている。
【0019】
ここで、第1スリーブ構成体25と第2スリーブ構成体26の各合体面の間には、ギャップG1が設けられている(
図6(A)及び
図6(B)参照)。そして、ギャップG1を介して、計測流路13内の流体が圧力計測室43(
図3参照)に導入されるようになっている。即ち、ギャップG1は、本発明の「オリフィス」に相当する。また、ギャップG1により、インナースリーブ20の管壁20Hを伝搬するノイズを抑えることが可能になる。なお、ギャップG1の幅は、計測対象の流体の種類に応じて適宜設定される。
【0020】
詳細には、第1スリーブ構成体25と第2スリーブ構成体26の各合体面は、以下のようになっている。即ち、
図6(A)及び
図6(B)に示すように、各合体面は、インナースリーブ20の幅方向(
図6(B)の上下方向)でセンサ保持部22を挟み、かつ、インナースリーブ20の軸方向でインナースリーブ20の上流側(
図6(A)の左側)の端部から分岐管21の先端部まで延びた1対の縦線部L1,L1と、それら1対の縦線部L1,L1の先端間を連絡した横線部L2とからなる。この構成によれば、ギャップG1が、計測流路13内の流体の流れに与える影響を抑えることができる。
【0021】
なお、第1スリーブ構成体25は、
図5及び
図6(A)に示すように、2分割されていない下流側のセンサ保持部22とインナースリーブ20の大部分とを有しており、両端部がアウタースリーブ40の小径部42,42の大径部41側の開口縁部に嵌合する(
図3参照)ことで、アウタースリーブ40に位置決めされている。一方、第2スリーブ構成体26は、分岐管21が2分割された上流側のセンサ保持部22と固定用突片27とを有し、この固定用突片27が、上述した大径部41の段差壁41D(
図4参照)に重ねられた状態で、螺子止めされることで、インナースリーブ20がアウタースリーブ40に固定される。
【0022】
また、
図8に示すように、第2スリーブ構成体26の固定用突片27には、気密端子28が備えられている。この気密端子28には、超音波センサ15,15のリード線が接続される。気密端子28の各端子金具29は、大径部41の段差壁41Dを大径部41の軸方向に貫通して、大径部41の外側に固定された中継基板35に接続されている。即ち、超音波センサ15,15の信号は、中継基板35を介してアウタースリーブ40の外部に出力されるようになっている。
【0023】
図7に示すように、アウタースリーブ40における大径部41の陥没部41Aには、1対のセンサ取付部32,32が大径部41の周方向に並べて設けられている。これらセンサ取付部32,32は、大径部41の径方向外側に突出し、内側にセンサ取付孔32A,32A(本発明の「1対の貫通孔」に相当する。)を有している。そして、それら1対のセンサ取付孔32A,32Aに、温度センサ30と圧力センサ31が挿通組み付けされて、計測流路13内を流れる流体の流量の温度及び圧力が計測可能となっている。
【0024】
ここで、
図4に示すように、1対のセンサ取付孔32A,32A(
図4には、一方のセンサ取付孔32Aのみが示されている。)は、アウタースリーブ40の軸方向で、1対の超音波センサ15,15の上流側の端部と下流側の端部との間に配置されていて、温度センサ30及び圧力センサ31が、インナースリーブ20よりも軸方向の外側に突出しないようになっている。なお、
図4に示すように、温度センサ30及び圧力センサ31が挿通される方向は上下方向になっていて(
図4には、圧力センサ31のみが示されている。)、1対の超音波センサ15,15が超音波を送受信する斜め前後方向と直交している。また、1対のセンサ取付孔32A,32Aの内側面と各センサ30,31との間は、図示しないシール部材(例えば、Oリング)によってシールされている。
【0025】
温度センサ30は、棒状をなし、先端部にて温度を検知する構造になっている。そして、温度センサ30は、インナースリーブ20の管壁20Hに貫通形成されたセンサ挿通孔30Aを挿通して、先端部が計測流路13内に配置されている。温度センサ30は、センサ挿通孔30Aの内側面との間に隙間を有して配置され、この隙間を介して、計測流路13内の流体が圧力計測室43(
図3及び
図4参照)に導入される。即ち、温度センサ30とセンサ挿通孔30Aとの間の隙間は、本発明の「オリフィス」になっている。
【0026】
また、
図3に示すように、温度センサ30は、1対の超音波センサ15,15を結ぶ直線よりも下流側に配置されている。即ち、1対の超音波センサ15,15は、温度センサ30よりも上流側で超音波を送受波する。この構成によれば、温度センサ30によって計測流路13内に乱流が引き起こされても、その乱流の影響が流量計測に及ぶことが防がれる。
【0027】
なお、温度センサ30は、インナースリーブ20の内径を2rとしたときに、インナースリーブ20の中心軸からr/√2の位置にある流体の温度を計測するように配置することが好ましい。このように配置すれば、流体の温度と筒形ボディ11の外側の温度との差によって、径方向に流体の温度分布が生じる場合であっても、流体の平均温度を計測することができる。
【0028】
また、
図7に示すように、圧力センサ31は、先端部がアウタースリーブ40の内側面よりも奥まった位置に配置され、感圧部が圧力計測室43(
図3参照)に露出して圧力計測室43内の流体の圧力を計測するようになっている。ここで、上述のように、第1スリーブ構成体25と第2スリーブ構成体26との合体面の間のギャップG1によって、圧力計測室43には、計測流路13内の流体が導入されるので、圧力センサ31は、計測流路13内と同じ流体圧力を計測可能となっている。この構成によれば、圧力センサ31が、動圧の影響を抑えるか又は無くして計測流路13内の流体の圧力(静圧)を計測することができる。
【0029】
図8に示すように、温度センサ30及び圧力センサ31の上方には、超音波流量計10の内部電源としての電池61が備えられている。電池61は、アウタースリーブ40の径方向に中心軸を有する柱状をなし、電池61の上部が次述する回路基板62と接続している。
【0030】
電池61の上方には、筒形ボディ11の径方向と直交する回路基板62が備えられている。この回路基板62には、中継基板35、温度センサ30及び圧力センサ31のケーブルが接続されている。そして、回路基板62は、温度センサ30及び圧力センサ31によって計測される流体の温度及び圧力を用いて、1対の超音波センサ15,15によって計測される実測流量を、予め設定された基準温度、基準圧力(例えば、0度、1気圧や20度、1気圧)における流量(以下、「換算流量」という。)に換算する。なお、回路基板62を筒形ボディ11の径方向から見たときの大きさは、同方向から見たときの電池61の大きさよりも大きくなっている。
【0031】
回路基板62の上方には、表示モニタ63が重ねて配置されている。そして、この表示モニタ63に、回路基板62が求めた換算流量が表示される。なお、表示モニタ63が、本発明の「表示部」に相当する。
【0032】
このように、本実施形態の超音波流量計10では、筒形ボディ11の軸方向における1対の超音波センサ15,15の最も離れた端部同士、即ち、上流側端部と下流側端部の間に、1対のセンサ取付孔32A,32Aが配置され、それら1対のセンサ取付孔32A,32Aに温度センサ30及び圧力センサ31が外側から挿入組み付けされている。そして、それら温度センサ30及び圧力センサ31に対して筒形ボディ11の径方向の外側に、電池61、回路基板62及び表示モニタ63が重ねて配置されているので、温度センサ30、圧力センサ31、電池61、回路基板62及び表示モニタ63を超音波流量計10に一体に備えつつも、筒形ボディ11の軸方向の嵩張りを小さくすることができる。
【0033】
ところで、本実施形態の超音波流量計10では、電池61、回路基板62及び表示モニタ63を備えた表示ケース70を、筒形ボディ11に取り付けるだけで、電池61、回路基板62及び表示モニタ63を、上記した位置に容易に配置することができるようになっている。
【0034】
図9に示すように、表示ケース70は、ケース本体71の上部と下部に、先端筒部72と蓋体73を組み付けた構造になっている。ケース本体71は、円筒の上端部が段付き状に拡径された形状になっていて、その拡径された部分に回路基板62が固定されると共に、拡径されていない部分の内側に電池61を収容している。なお、表示モニタ63は、回路基板62の中央部に重ねて固定される。
【0035】
蓋体73は、ケース本体71の上面に重ねて取り付けられる。また、蓋体73の中央部は、透明材料(例えば、透明樹脂やガラス)で構成された表示窓73Hになっていて、この表示窓73Hを通じて、表示モニタ63の表示内容が外側から視認できるようになっている。
【0036】
先端筒部72は、全体が略角筒状をなし、上部にケース本体接続部75を有している。ケース本体接続部75は、軸方向に延びた円筒状をなし、ケース本体71の下端部の内側面に形成された雌螺子部(図示せず)を外側から先端筒部72の雄螺子部に組み付け、ケース本体71と先端筒部72を固定している。
【0037】
また、先端筒部72の下端部には、側方に張り出した鍔部76が設けられ、この鍔部76がアウタースリーブ40と結合するようになっている。具体的には、
図7及び
図8に示すように、アウタースリーブ40(メインスリーブ構成体46)の大径部41には、中継基板35、温度センサ30及び圧力センサ31の周囲から径方向に突出した起立包囲壁33が設けられている。なお、本実施形態では、起立包囲壁33のうち下流側の壁部は、大径部41の陥没部41Aの開口縁から起立している。
【0038】
そして、起立包囲壁33の開口縁から側方に張り出した鍔部34に、先端筒部72の鍔部76を重ねた状態で、鍔部34と鍔部76をボルトで締結することで、表示ケース70が筒形ボディ11に組み付けられる。なお、鍔部34と鍔部76の間には、パッキン77が挟まれている。
【0039】
本実施形態の超音波流量計10の構成は以上である。この超音波流量計10は、例えば、以下の手順で組み立てられる。
【0040】
まず、1対の超音波センサ15,15を、第1スリーブ構成体25及び第2スリーブ構成体26の分岐管21,21の先端開口から挿入してセンサ保持部22,22に組み付けると共に、第2スリーブ構成体26の固定用突片27に気密端子28を取り付ける。そして、第1と第2のスリーブ構成体25,26を合体させる。次に、固定用突片27を貫通した端子金具29の基端部に、各超音波センサ15,15の図示しないリード線を接続(ハンダ付け)する。
【0041】
次いで、第1と第2のスリーブ構成体25,26とが合体したインナースリーブ20を、メインスリーブ構成体46の開口46A側から挿入し、第1のスリーブ構成体25の下流側端部を、メインスリーブ構成体46の小径部41の開口縁に嵌合させる(
図5参照)。ここで、インナースリーブ20をメインスリーブ構成体46に挿入する過程で、固定用突片27に保持された気密端子28の各端子金具29が、メインスリーブ構成体46における大径部41の段差壁41Dを貫通し、各端子金具29の先端部が中継基板35に接続される。
【0042】
次いで、固定用突片27と大径部41の段差壁41D(
図4参照)とを螺合結合する。これにより、第2のスリーブ構成体26がアウタースリーブ40に固定される。また、第2スリーブ構成体26が固定されたことで、第1スリーブ構成体25が、メインスリーブ構成体46に対して抜け止めされる。
【0043】
次いで、サブスリーブ構成体45の肉厚部45Aをメインスリーブ構成体46の大径部41に嵌合させて開口46Aを塞ぎ、小径フランジ部45F,46F同士を結合する。
【0044】
次いで、大径部41のセンサ取付部32,32に、温度センサ30と圧力センサ31を取り付ける。そして、中継基板35、温度センサ30及び圧力センサ31のケーブルを回路基板62に接続し、表示ケース70の鍔部76と、アウタースリーブ40の起立包囲壁33の鍔部34とを結合する。これにより、超音波流量計10が得られる。
【0045】
図10には、超音波流量計10とは別の超音波流量計10Vが示されている。この超音波流量計10Vの筒形ボディ11Vは、上述した超音波流量計10の筒形ボディ11が接続されるパイプ90よりも外径が大きな大型パイプ91の途中に接続される。以下、第1の超音波流量計10、第2の超音波流量計10Vと称して、これら超音波流量計10,10Vを区別する。
【0046】
図11に示すように、第2の超音波流量計10Vの筒形ボディ11Vは、横方向に延びた計測管111の両端部にフランジ111Fが取り付けられた構造になっている。この計測管11の外径、内径は共に、第1の超音波流量計11のアウタースリーブ40の外径よりも大きくなっている。そして、計測管111の内側部分が、大型パイプ91(
図10参照)を流れる流体が通過する計測流路113(
図13参照)になっている。なお、計測流路113の断面積についても、第1の超音波流量計10の計測流路13の断面積よりも大きくなっている。
【0047】
また、計測管111は、軸方向の中間寄り位置に1対のセンサ保持部122,122を備えている。1対のセンサ保持部122,122は、計測管111の外周面から径方向に互いに反対側へ突出し、先端部にケーブル接続部123,123を有している。センサ保持部122の内部には、計測管111の軸方向に対して斜めに交差した方向に延びて計測流路113と連通した分岐管121が設けられ、この分岐管121内に超音波センサ15が保持されている。
【0048】
なお、
図12に示すように、1対の分岐管121,121は、計測管111を軸方向から見たときに、水平方向に対して斜めに交差した直線上に配置されている。即ち、第2の超音波流量計10Vでは、1対の超音波センサ15,15は、水平面に対して交差した面内で超音波を送受波する。
【0049】
ケーブル接続部123には、計測管111の軸方向に延びた端子取付孔126が設けられ、この端子取付孔126の開口側の端部に接続端子125が装着されている。また、端子取付孔126と分岐管121の内側とは、区画壁124によって区画され、区画壁124には、気密端子128が貫通している。そして、気密端子128の分岐管121側の端部に、超音波センサ15のリード線15Aが接続される一方、気密端子128の端子取付孔126側の端部に、接続端子125のリード線125Aが接続されている。そして、接続端子125に、接続ケーブル127が接続されている。
【0050】
図10及び
図11に示すように、計測管111の軸方向における中央部の外周面には、角筒状の起立包囲壁133が突出形成されている。起立包囲壁133の上流側と下流側の壁部には、上述した接続端子125と同じ構造の接続端子136,136が装着され、これら接続端子136,136に、接続ケーブル127,127の接続端子125と反対側の端部が接続されている。
【0051】
なお、
図14に示すように、上流側のセンサ保持部122の接続端子125は、接続部が下流側を向くように配置され、下流側のセンサ保持部122の接続端子125は、接続部が上流側を向くように配置されている。また、起立包囲壁133の上流側の壁部に装着された接続端子136は、接続部が上流側を向くように配置され、下流側の壁部に装着された接続端子136は、接続部が下流側を向くように配置されている。そして、上流側のセンサ保持部122の接続端子125に接続された接続ケーブル127は、下流側に湾曲したU字状に取り回されて下流側の接続端子136に接続し(
図10参照)、下流側のセンサ保持部122の接続端子125に接続された接続ケーブル127は、上流側に湾曲したU字状に取り回されて上流側の接続端子136に接続している。
【0052】
図13に示すように、計測管111のうち起立包囲壁133で囲まれた部分には、センサ取付部132,132が軸方向に並べて設けられている。センサ取付部132は、第1の超音波流量計10のセンサ取付部32と同様の構造になっていて、内側にセンサ取付孔132A,132A(本発明の「1対の貫通孔」に相当する。)を有している。そして、それら1対のセンサ取付孔132A,132Aに、温度センサ30と圧力センサ31が挿通されて、計測流路113内を流れる流体の流量の温度及び圧力が計測可能となっている。なお、第1の超音波流量計10における1対のセンサ取付孔32,32と同様に、1対のセンサ取付孔132A,132Aは、筒形ボディ11Vの軸方向で1対の超音波センサ15,15の上流側端部と下流側端部との間に配置されている。
【0053】
また、
図13に示すように、起立包囲壁133の先端部には、鍔部134が設けられている。この鍔部134は、第1の超音波流量形10における起立包囲壁33の鍔部34と同じ大きさ、同じ形状になっていて、第1の超音波流量計10の表示ケース70の鍔部76を取り付け可能になっている。即ち、第1の超音波流量計10と第2の超音波流量計10Vの間では、共通の表示ケース70を用いることができるようになっている。
【0054】
なお、第2の超音波流量計10Vでは、接続端子136のリード線が表示ケース70内の回路基板62に接続される。第2の超音波流量計10Vのその他の構成については、第1の超音波流量計10と同じになっているので、同一符号を付すことで説明を省略する。
【0055】
本実施形態に係る第1の超音波流量計10及び第2の超音波流量計10Vの構成に関する説明は以上である。次に、第1の超音波流量計10及び第2の超音波流量計10Vの作用効果について説明する。
【0056】
第1の超音波流量計10及び第2の超音波流量計10Vでは、筒形ボディ11の軸方向における1対の超音波センサ15,15の最も離れた端部同士の間に、1対のセンサ取付孔32A,32A(第2の超音波流量計10Vでは、1対のセンサ取付孔132A,132A)が並べて配置され、それら1対のセンサ取付孔32A,32Aに温度センサ30及び圧力センサ31が外側から挿入組み付けされている。そして、それら温度センサ30及び圧力センサ31に対して筒形ボディ11の径方向の外側に、電池61、回路基板62及び表示モニタ63が重ねて配置されているので、温度センサ30、圧力センサ31、電池61、回路基板62及び表示モニタ63を超音波流量計10に一体に備えつつも、筒形ボディ11の軸方向の嵩張りを小さくすることができる。
【0057】
そして、第1の超音波流量計10及び第2の超音波流量計10Vによれば、パイプ90の周辺に、例えば、別のパイプが通っている等して、超音波流量計の設置スペースをパイプの軸方向に十分に確保できない場合であっても、超音波流量計をパイプに接続することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、温度センサ30及び圧力センサ31を囲む起立包囲壁33,133に表示ケース70を固定することで、温度センサ30及び圧力センサ31に対して筒形ボディ11,11Vの径方向外側に、電池61、回路基板62及び表示モニタ63を容易に配置することができる。しかも、外径が異なる2種類の筒形ボディ11,11Vに、共通の表示ケース70を取り付け可能としたので、筒形ボディのみを変更するだけで、大きさが異なるパイプ90,91に超音波流量計を取り付けることが可能になる。
【0059】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0060】
(1)上記実施形態では、表示ケース70が、外径が異なる2種類の筒形ボディ11,11Vに着脱可能な構成であったが、外径が異なる3種類以上の筒形ボディに着脱可能であってもよいし、1種類の筒形ボディにのみ取り付けられる構成であってもよい。
【0061】
(2)第2の超音波流量計10Vの筒形ボディ11Vを、第1の超音波流量計10の筒形ボディ11と同様に、二重管構造としてもよい。
【0063】
(
3)上記実施形態では、サブスリーブ構成体46が、アウタースリーブ40の上流側の小径部42を構成し、メインスリーブ構成体45が、大径部41と下流側の小径部42を構成していたが、サブスリーブ構成体46が、下流側の小径部42を構成し、メインスリーブ構成体45が、大径部41と上流側の小径部42を構成してもよい。
【0064】
(
4)上記実施形態では、筒形ボディ10,10Vが、パイプ90,91とフランジ接続する構成であったが、筒形ボディ10,10Vの両端部に螺子部を設けて、パイプ90,91と螺合結合する構成であってもよい。
【0065】
(
5)上記実施形態では、一方向に流体が流れるパイプ90,91に超音波流量計10,10Vが接続される例を示したが、双方向に流体が流れるパイプに接続されてもよい。なお、流体が一方向に流れる頻度が逆方向に流れる頻度よりも多い場合には、その一方向に流体が流れたときにおいて、温度センサ30より上流側で超音波センサ15,15が超音波を送受波するようにすれば、温度センサ30が乱流の原因となることが防がれる。
【0066】
なお、本発明の技術的範囲には属さないが、上記実施形態の第1の超音波流量計10には、以下の技術的特徴が具現化されている。
【0067】
即ち、その技術的特徴とは、「流体が流れるパイプ(90)の途中に接続される筒形ボディ(11)と、前記筒形ボディ(11)内に形成された計測流路(13)を流れる前記流体の流量を計測する流量計測部(15,15)と、前記計測流路(13)内の流体の圧力を計測する圧力センサ(31)とを備えた流量計(10)」において、「前記筒形ボディ(11)に、前記計測流路(13)を内側に有したインナースリーブ(20)と、前記インナースリーブ(20)を外側から囲んで前記インナースリーブ(20)との間に圧力計測室(43)を形成するアウタースリーブ(40)と、前記計測流路(13)の前記流体を前記圧力計測室(43)に導入するオリフィス(G1)とを備え、前記圧力センサ(31)を、前記アウタースリーブ(40)の管壁(41H)に固定して、前記圧力計測室(43)に導入された前記流体の圧力を計測する」構成にしたことである。
【0068】
上記構成によれば、圧力センサは、圧力計測室に導入された流体圧力を計測するので、動圧の影響を抑えるか又は無くして流体の圧力を計測することができる。なお、上記実施形態の第1の超音波流量計10のように、計測流路内の流体の温度を計測すれば、圧力センサの計測結果を用いて、流量計測部の計測結果(実測流量)を、予め定めた基準温度、基準圧力における流量に換算することができる。ここで、計測流路内の流体の温度は、流量計とは別に設けた温度計測器にて計測してもよいし、上記実施形態の第1の超音波流量計10のように、流量計に取り付けた温度センサにて計測してもよい。また、流量の換算は、流量計とは別の外部機器にて行ってもよい。
【0069】
[上記実施形態の構成のまとめ]
上記実施形態には、以下の[1]〜[9]の構成が含まれている。
【0070】
[1]
流体が流れるパイプの途中に接続される筒形ボディと、
前記筒形ボディ内の計測流路を斜めに横切る方向に対向配置され、互いに超音波を送受波して前記流体の流量を計測する1対の超音波センサと、
前記流体の温度を計測する温度センサと、
前記流体の圧力を計測する圧力センサと、
前記温度センサ及び前記圧力センサの計測結果に基づいて、前記1対の超音波センサにより計測された実測流量を予め定めた基準温度、基準圧力における流量に換算する回路基板と、
換算後の流量を表示する表示部と、
内部電源としての電池と、を備えた超音波流量計において、
前記筒形ボディの外周壁のうち前記筒形ボディの軸方向における前記1対の超音波センサの最も離れた端部同士の間に配置される部分に、1対の貫通孔を設け、
前記温度センサ及び前記圧力センサを、前記筒形ボディの外側から前記1対の貫通孔に挿入組み付けし、
前記温度センサ及び前記圧力センサに対して前記筒形ボディの径方向の外側に、前記電池、前記回路基板及び前記表示部を順に重ねて配置したことを特徴とする超音波流量計。
【0071】
[1]の構成では、筒形ボディの軸方向で1対の超音波センサの最も離れた端部同士の間に挟まれた部分に、温度センサ及び圧力センサが配置され、それら温度センサ及び圧力センサに対して筒形ボディの径方向の外側に、電池、回路基板及び表示部が重ねて配置されるので、温度センサ、圧力センサ、電池、回路基板及び表示部を超音波流量計に一体に備えつつも、筒形ボディの軸方向の嵩張りを小さくすることができる。
【0072】
[2]
前記筒形ボディの外周壁から起立して前記温度センサ及び前記圧力センサを囲む起立包囲壁と、
一端有底の容器状をなして、その容器の底部に前記表示部を有しかつ前記電池と前記回路基板とを収容した表示ケースとを備え、
前記表示ケースの開口縁と前記起立包囲壁の先端開口縁とを重ねた状態で、前記表示ケースを前記筒形ボディに固定したことを特徴とする[1]に記載の超音波流量計。
【0073】
[2]の構成では、温度センサ及び圧力センサを囲む起立包囲壁に表示ケースを固定することで、温度センサ及び圧力センサに対して筒形ボディの径方向外側に、電池、回路基板及び表示部を容易に配置することができる。
【0074】
[3]
相互に外径が異なる前記筒形ボディを複数種類備えて、
それら複数種類の前記筒形ボディで、前記起立包囲壁の先端開口縁を同形状にして、共通の前記表示ケースを取り付け可能としたことを特徴とする[2]に記載の超音波流量計。
【0075】
[3]の構成では、外径が異なる複数種類の筒形ボディに、共通の表示ケースを取り付け可能としたので、筒形ボディのみを変更するだけで、大きさが異なるパイプに超音波流量計を取り付けることが可能になる。
【0076】
[4]
前記筒形ボディは、前記計測流路を内側に有しかつ前記1対の超音波センサを保持する1対のセンサ保持部を両端部に有したインナースリーブと、前記インナースリーブを外側から囲んで前記インナースリーブとの間に圧力計測室を形成するアウタースリーブと、前記計測流路の前記流体を前記圧力計測室に導入するオリフィスとを有し、
前記圧力センサは、前記アウタースリーブの管壁に固定されて、前記圧力計測室に導入された前記流体の圧力を計測することを特徴とする[1]乃至[3]のうち何れか1の構成に記載の超音波流量計。
【0077】
[4]の構成では、筒形ボディが計測流路を内側に有するインナースリーブと、インナースリーブを外側から囲むアウタースリーブとを有し、計測流路内の流体圧力がオリフィスを介して、インナースリーブとアウタースリーブとの間に形成された圧力計測室に導入される。そして、圧力センサは、圧力計測室に導入された流体圧力を計測するので、動圧の影響を抑えるか又は無くして流体の圧力を計測することができる。
【0078】
[5]
前記アウタースリーブを、軸方向でメインスリーブ構成体とサブスリーブ構成体とに分割すると共に、前記メインスリーブ構成体の前記サブスリーブ構成体側の端部に内径が段付き状に大きくなった大径部を設け、
前記大径部の内側に前記インナースリーブを挿通した状態で前記メインスリーブ構成体と前記サブスリーブ構成体を合体状態に保持して、前記メインスリーブ構成体と前記サブスリーブ構成体とで前記インナースリーブを軸方向に挟み、前記インナースリーブと前記大径部との間の隙間を前記圧力計測室としたことを特徴とする[4]に記載の超音波流量計。
【0079】
[5]の構成では、メインスリーブ構成体の拡径部にインナースリーブを挿通させた状態で、メインスリーブ構成体とサブスリーブ構成体を合体状態に保持して、アウタースリーブの内側にインナースリーブに固定することができる。また、拡径部とインナースリーブとの間の隙間を圧力計側室にとして利用することができる。
【0080】
[6]
前記インナースリーブを、前記1対のセンサ保持部のうち一方のセンサ保持部を有した第1スリーブ構成体と、他方のセンサ保持部を有した第2スリーブ構成体とに分割し、それら第1スリーブ構成体と第2スリーブ構成体をそれぞれ前記アウタースリーブに固定することで、それら第1スリーブ構成体と第2スリーブ構成体を合体状態に保持すると共に、前記第1スリーブ構成体と前記第2スリーブ構成体の合体面の間に隙間を設けて前記オリフィスとしたことを特徴とする[4]又は[5]に記載の超音波流量計。
【0081】
[6]の構成では、インナースリーブが、第1スリーブ構成体と第2スリーブ構成体とに分割され、これら第1スリーブ構成体と第2スリーブ構成体の合体面の間の隙間を利用して、計測流路内の流体を圧力計測室に導入することができる。また、合体面の間の隙間によって、インナースリーブの管壁を伝搬する筐体ノイズを抑制又は無くすことができる。
【0082】
[7]
前記センサ保持部には、前記インナースリーブの管壁から斜めに突出して前記計測流路に連通した分岐管が備えられ、
前記第1スリーブ構成体及び前記第2スリーブ構成体の各前記合体面は、前記インナースリーブの幅方向で前記センサ保持部を挟みかつ前記インナースリーブの軸方向で前記インナースリーブの前記一方のセンサ保持部側の端部から前記分岐管の先端部まで延びた1対の縦線部と、1対の縦線部の先端間を連絡した横線部とからなることを特徴とする[6]に記載の超音波流量計。
【0083】
[7]の構成では、第1スリーブ構成体と前記第2スリーブ構成体の合体面の間の隙間が計測流路内の流体の流れに与える影響を抑え、安定して計測を行うことが可能となる。
【0084】
[8]
前記温度センサは、前記アウタースリーブの管壁に固定され、棒状をなしてインナースリーブの管壁に貫通形成されたセンサ挿通孔に挿通され、
前記温度センサと前記センサ挿通孔の内側面との間の隙間を前記オリフィスとしたことを特徴とする[4]乃至[7]のうち何れか1の構成に記載の超音波流量計。
【0085】
[8]の構成では、温度センサを計測管内に導入するセンサ挿通孔を利用して、計測流路内の流体を圧力計測室に導入することができる。
【0086】
[9]
前記1対の超音波センサは、前記温度センサよりも上流側で超音波を送受波することを特徴とする[1]乃至[8]のうち何れか1の構成に記載の超音波流量計。
【0087】
[9]の構成では、温度センサによって計測流路内に乱流が引き起こされても、その乱流の影響が流量計測に及ぶことが防がれる。
[参考例]
本発明の技術的範囲には属さないが、図15に示すように、1対のセンサ保持部22,22を、インナースリーブ20の軸方向に対して斜め上方と斜め下方に配置し、温度センサ30と1対の超音波センサ15,15とを、筒型ボディ11の周方向に重ねて配置してもよい。なお、図15に示す例では、アウタースリーブ40の軸方向で、温度センサ30と圧力センサ31が上流側から順に並べて配置され、温度センサ30がセンサ保持部22と干渉しないようになっている。