特許第6321254号(P6321254)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6321254-ケーブル支持金具用取付け工具 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6321254
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】ケーブル支持金具用取付け工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 27/14 20060101AFI20180423BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   B25B27/14 Z
   H02G1/02
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-60413(P2017-60413)
(22)【出願日】2017年3月27日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136686
【氏名又は名称】株式会社ブレスト工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(72)【発明者】
【氏名】板倉 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】今野 洋一郎
【審査官】 竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3207153(JP,U)
【文献】 特開平6−121423(JP,A)
【文献】 特開2013−87907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 27/14
H02G 1/00−1/08
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮自在な操作ポールと、該操作ポールの上端部に設けられた金具保持体とで構成され、ケーブルを支持せしめるフック部の一端から上方に向けて取付けボルトが延長形成されたケーブル支持金具を、天井下面のインサートに取付けるケーブル支持金具用取付け工具であって、
前記金具保持体は、前記フック部の下端部を保持する保持部と、該保持部の上部に形成され前記取付けボルトの側面を挟着保持する一対のボルト支持部とを備え、
該ボルト支持部にて前記取付けボルトを揺動自在に支持するように構成すると共に、前記取付けボルトが傾斜したときに前記フック部に当接する落下防止具を設けたことを特徴とするケーブル支持金具用取付け工具。
【請求項2】
前記保持部は、前記フック部を載置する載置部と、前記フック部を前記取付けボルトごと前記保持部の上から差し込むように配置された一対の挟着板体とで形成され、
該挟着板体の上部に前記ボルト支持部を配置すると共に、該挟着板体の中央部に前記落下防止具を配置し、
該落下防止具は、各挟着板体から相対向して当接する一対の係止板が開閉自在に設けられ、前記フック部を係止板の間に強制的に差し込むと該係止板が開くように構成した請求項1記載のケーブル支持金具用取付け工具。
【請求項3】
前記ボルト支持部の側面にフック形状の補助係止具を設け、該補助係止具に係止した前記ケーブルを前記インサートに取付けた前記ケーブル支持金具の前記フック部に敷設するように構成した請求項1又は2記載のケーブル支持金具用取付け工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先行配線工事におけるケーブル支持金具を安全且つ容易に取付けることができるケーブル支持金具用取付け工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスビルなどで、天井が貼られる前にケーブルを敷設する先行配線工事が行われることがある。この工事では、天井面のインサートに先行配線用のケーブル支持金具を取付けることが一般的である。そして、このケーブル支持金具を取付ける作業は、脚立などを使用する高所作業になり、転落などの危険が伴うものであった。
【0003】
高所における取付け作業を安全にする取付け工具として、例えば特許文献1に記載の光ファイバー敷設用のポールや、特許文献2に記載のケーブルハンガ緊車用の着脱工具などが提案されている。
【0004】
特許文献1のポールは、鉄骨等の磁性体が露出状態に設けられている天井部に、温度監視用の光ファイバーを敷設する際に使用するもので、ポールの先端にファイバー吊下具を載置する保持部を備えたものである。
【0005】
一方、特許文献2の着脱工具は、ケーブルハンガ緊車をメッセンジャワイヤに着脱する際に使用するもので、伸縮自在なポール部の先端に、ケーブルハンガ緊車の複数個のビーズが設けられたU字状環部が挿入される受け部と、この受け部の内部でビーズ押圧固定する固定部と、を備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3286811号公報
【特許文献2】実用新案登録第2526845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先行配線工事に使用されるケーブル支持金具は、ケーブルを支持する略円弧状のフック部の上端に取付けボルトを延長形成した構成で、この取付けボルトを天井面のインサートにネジ止めし、フック部に先行配線用のケーブルを支持する構成である。そのため、特許文献1や特許文献2のような取付け工具では、先行配線用のケーブル支持金具を天井面のインサートにネジ止めすることは極めて困難である。
【0008】
すなわち、先行配線工事のケーブル支持金具をインサートに取付ける作業は、取付けボルトの端部をインサートのネジ孔に当て、ケーブル支持金具全体を回転させることでインサートにネジ止めする作業になる。そのため、インサートのネジ孔の軸芯と取付けボルトの軸芯とが一致しなければ取付けボルトをネジ止めすることはできない。このとき、ポールの先端にケーブル支持金具をしっかりと保持していなければ、取付けボルトが大きく傾いてしまい、取付け作業ができなくなるおそれがあった。
【0009】
ところが、ケーブル支持金具が傾かないにようにポールの先端にしっかりと固定すると、取付けボルトをインサートにネジ止めすることが困難になることが判明した。すなわち、インサートのネジ孔の軸芯に合わせて取付けボルトをネジ止めする場合、インサートのネジ孔が常に鉛直下方を向いている場合は問題ないが、インサートのねじ孔の向きが僅かでも傾いていると、この傾きに取付けボルトの軸芯を合わせる必要がある。そうすると、取付けボルトの傾斜角度を維持しながらポールを回転操作しなければならず、ポールの先端にケーブル支持金具をしっかりと固定するとこのような軸芯を合わせながらネジ止めする作業が極めて困難な作業になることが判明したものである。
【0010】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、長尺なポール先端に支持したケーブル支持金具をインサートの軸芯に合わせてネジ止めできるようにすることで、先行配線工事におけるケーブル支持金具を安全且つ容易に取付けることが可能なケーブル支持金具用取付け工具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、伸縮自在な操作ポール10と、該操作ポール10の上端部に設けられた金具保持体20とで構成され、ケーブルQを支持せしめるフック部P1の一端から上方に向けて取付けボルトP2が延長形成されたケーブル支持金具Pを、天井下面のインサートRに取付けるケーブル支持金具用取付け工具であって、
前記金具保持体20は、前記フック部P1の下端部を保持する保持部21と、該保持部21の上部に形成され前記取付けボルトP2の側面を挟着保持する一対のボルト支持部22と、を備え、該ボルト支持部22にて前記取付けボルトP2を揺動自在に支持するように構成すると共に、前記取付けボルトP2が傾斜したときに前記フック部P1に当接する落下防止具23を前記保持部21と前記ボルト支持部22との間に設けたことにある。
【0012】
第2の手段において、前記保持部21は、前記フック部P1を載置する載置部21Aと、前記フック部P1を前記取付けボルトP2ごと前記保持部21の上から差し込むように配置された一対の挟着板体21Bとで形成され、該挟着板体21Bの上部に前記ボルト支持部22を配置すると共に、該挟着板体21Bの中央部に前記落下防止具23を配置し、該落下防止具23は、各挟着板体21Bから相対向して当接する一対の係止板23Aが開閉自在に設けられ、前記フック部P1を係止板23Aの間に強制的に差し込むと該係止板23Aが開くように構成したものである。
【0013】
第3の手段は、前記ボルト支持部22の側面にフック形状の補助係止具24を設け、該補助係止具24に係止した前記ケーブルQを前記インサートRに取付けた前記ケーブル支持金具Pの前記フック部P1に敷設するように構成したことにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1のごとく、ボルト支持部22にて取付けボルトP2を揺動自在に支持するように構成すると共に、取付けボルトP2が傾斜したときにフック部P1に当接する落下防止具23を保持部21とボルト支持部22との間に設けたことにより、長尺な操作ポール10の先端に支持したケーブル支持金具PをインサートRの軸芯に合わせてネジ止めできるようになった。
【0015】
請求項2のように、フック部P1を載置する載置部21Aと、フック部P1を取付けボルトP2ごと保持部21の上から差し込むように配置された一対の挟着板体21Bとで保持部21を形成し、挟着板体21Bの上部にボルト支持部22が形成され、挟着板体21Bの中央部に前記落下防止具23を配置したものであるから、ケーブル支持金具Pのフック部P1は、この挟着板体21Bの板面に沿って揺動自在に保持される。しかも、ケーブル支持金具Pが大きく傾くと、このフック部P1が落下防止具23に当接するのでケーブル支持金具Pの落下を防止することができる。この結果、ケーブル支持金具Pの揺動範囲でインサートRの軸芯に沿ったねじ込みが可能になるものである。
【0016】
また、落下防止具23は、各挟着板体21Bから相対向して当接する一対の係止板23Aが開閉自在に設けられ、フック部P1を係止板23Aの間に強制的に差し込むと該係止板23Aが開くように構成しているので、インサートRにケーブル支持金具Pを取付けた後は、金具保持体20を引き下げることで落下防止具23からケーブル支持金具Pを簡単に取り外すことができるものである。
【0017】
請求項3のごとく、ボルト支持部22の側面に上向きフック形状の補助係止具24を設け、該補助係止具24に係止したケーブルQをインサートRに取付けたケーブル支持金具Pのフック部P1に係止するように構成したことにより、インサートRに装着した後のケーブル支持金具P配線作業も容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の使用状態を示す正面図である。
図2】本発明の装着状態を示す分解斜視図である。
図3】本発明の装着状態を示す断面図である。
図4】本発明によるケーブル支持金具の保持状態を示す正面図である。
図5】本発明によるケーブル敷設状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明取付け工具は、オフィスビルなどで、天井が貼られる前にケーブルQを敷設する先行配線工事が行われる際に、天井面のインサートRに先行配線用のケーブル支持金具Pを取付ける際に使用する工具である。このケーブル支持金具Pは、ケーブルQを支持せしめるフック部P1の一端から上方に向けて取付けボルトP2が延長形成された支持金具である。
【0020】
本発明工具は、伸縮自在な操作ポール10と、該操作ポール10の上端部に設けられた金具保持体20とで構成されている(図1参照)。
【0021】
操作ポール10は、伸縮自在な杆体11の上端部に固定ねじ部12を設けたもので、この固定ねじ部12で金具保持体20を着脱自在に連結する(図2参照)。一方、金具保持体20は、保持部21、ボルト支持部22、落下防止具23を備えている。
【0022】
保持部21は、ケーブル支持金具Pのフック部P1の下端部を保持する部材で、図示例では、フック部P1を載置する載置部21Aと、フック部P1を取付けボルトP2ごと上から差し込む間隔で配置された一対の挟着板体21Bとで形成している(図2参照)。更に、操作ポール10の固定ねじ部12を連結するネジ孔21Cを保持部21の下面に形成している(図3参照)。
【0023】
ボルト支持部22は、取付けボルトP2の側面を挟着保持する一対の部位で、保持部21の上部に形成され、取付けボルトP2を挟着保持するものである(図2参照)。図示のボルト支持部22は、保持部21の挟着板体21B上部に設けている。そして、このボルト支持部22にて取付けボルトP2を揺動自在に支持するように構成している(図4参照)。
【0024】
仮に、ボルト支持部22に取付けボルトP2が揺動しないようにしっかりと固定してしまうと、取付けボルトP2の先端から操作ポール10の末端までが一本の軸となってしまうので、インサートRが傾斜している場合は取付けボルトP2をネジ止めすることが困難になる。
【0025】
一方、ボルト支持部22に支持した取付けボルトP2の揺動幅が大きくなると、ボルト支持部22から外れてケーブル支持金具Pが落下するおそれがある。そのため、保持部21とボルト支持部22との間に落下防止具23を設け、取付けボルトP2が大きく傾斜したときに、フック部P1が落下防止具23に当接するように構成している(図4参照)。
【0026】
この落下防止具23は、挟着板体21Bの略中央部に配置したもので、各挟着板体21Bから相対向して当接する一対の係止板23Aを開閉自在に設けている(図3参照)。図示の落下防止具23は、一対の係止板23Aと、各係止板23Aを挟着板体21Bに連結する連結具23Bとで構成している。この係止板23Aは弾性力を有する板体が断面略くの字状に屈曲して突き出た中央部を相互に向き合うように配置している。そして、フック部P1を係止板23Aの間に強制的に差し込むと該係止板23Aが開くように構成している。この結果、係止板23Aの上から下にフック部P1を差し込むこと作業や、係止板23Aの下から上に向けてフック部P1を抜き出す作業が簡単に行える。尚、落下防止具23の係止板23Aを保持部21と一体に形成することで、連結具23Bを省略することも可能である。
【0027】
本発明工具の使用手順は、まず保持部21にケーブル支持金具Pを装着する。すなわち、保持部21の上から差し込んだフック部P1にて落下防止具23を強制的に開いて通過させ、フック部P1の下端部を載置部21A上に載置する(図1参照)。
【0028】
更に、ボルト支持部22にケーブル支持金具Pの取付けボルトP2を挟着して揺動自在に固定する(図4参照)。この状態で操作ポール10を伸ばし、取付けボルトP2の端部をインサートRのネジ孔の位置に合わせながら操作ポール10を回転させる。そうすると、インサートRのネジ孔の軸芯が仮に傾斜しているような場合でも、取付けボルトP2が揺動することで、自然に傾斜角度に合わせてネジ込むことができる。
【0029】
インサートRにケーブル支持金具Pを取付けた後は、金具保持体20を鉛直下方に向けて強制的に引き下げるとケーブル支持金具Pから金具保持体20を取り外すことができる。このとき、落下防止具23はフック部P1によって強制的に開くので、落下防止具23が取り外し作業の妨げにならずに済む(図3参照)。
【0030】
次に、補助係止具24を使用してフック部P1にケーブルQを敷設する。この補助係止具24は、フック部P1と同様のフック形状を成し、ボルト支持部22の側面に設けている。そして、敷設するケーブルQを補助係止具24に係止して持ち上げ、インサートR近くのフック部P1に載置してケーブルQを敷設する(図5参照)。
【0031】
尚、本発明の操作ポール10や金具保持体20構成、更には保持部21、ボルト支持部22、落下防止具23等の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由である。
【符号の説明】
【0032】
P ケーブル支持金具
P1 フック部
P2 取付けボルト
Q ケーブル
R インサート
10 操作ポール
11 杆体
12 固定ねじ部
20 金具保持体
21 保持部
21A 載置部
21B 挟着板体
22 ボルト支持部
23 落下防止具
23A 係止板
23B 連結具
24 補助係止具
【要約】
【課題】先行配線工事におけるケーブル支持金具を安全且つ容易に取付けることが可能なケーブル支持金具用取付け工具を提供する。
【解決手段】金具保持体20にフック部P1の下端部を保持する保持部21を設ける。この保持部21の上部に一対のボルト支持部22を設ける。ボルト支持部22にて取付けボルトP2の側面を挟着保持する。ボルト支持部22にて取付けボルトP2を揺動自在に支持する。保持部21とボルト支持部22との間に落下防止具23を設ける。
取付けボルトP2が傾斜するとフック部P1が落下防止具23に当接するように構成する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5