(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の捺染用白色インクジェットインク組成物(以下、本発明のインク組成物ともいう)について、その成分を中心に詳細に説明する。
【0008】
<水分散性ウレタン樹脂>
本発明における水分散性ウレタン樹脂はカチオン性化合物と反応性を有するものである。そのような水分散性ウレタン樹脂として、中でもアニオン性基を有するウレタン樹脂がより好ましい。さらに水分散性ウレタン樹脂としてポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタンが好ましい。
そして、このような水分散ウレタン樹脂の中でも、特に破断伸度が400〜1200%、かつ引張強度が10〜70MPaの樹脂を採用することができる。
本発明中の特定のグリコールエーテルとの組み合わせにより、破断伸度が400%以上であると風合い及び洗濯堅牢度が向上し、破断伸度が1200%以下であると洗濯堅牢度の悪化を防止できる。
さらに引張強度が10MPa未満であると洗濯堅牢度が悪化し、引張強度が70MPaを超えると洗濯堅牢度が十分ではないか、又は悪化する可能性がある。
なお、水分散性ウレタン樹脂の破断伸度及び引張強度は以下の条件により求めた。
ポリテトラフルオロエチレンシート上に水分散性ウレタン樹脂を塗布し、常温で12時間乾燥し、さらに60℃で6時間乾燥を行った後、シートを剥離して、膜厚が500μmの水分散性ウレタン樹脂からなる樹脂フィルムを作成した。
引張試験機((株)安田精機製作所製)を用いて、測定温度25℃、引張速度200mm/minで得られた樹脂フィルムを引張り、破断した時の強度及び伸度を求めた。
【0009】
このような物性を有する水分散性ウレタン樹脂として、NeoRez R967(ポリエーテルポリウレタン)、タケラック WS−5000、インプラニール DLHが挙げられる。
そして、水分散性ウレタン樹脂は顔料1質量部に対して1.0〜3.0質量部となるように含有させることが必要である。
1.0質量部未満であると、洗濯堅牢度が低下する。また、3.0質量部を超えると、硬化後の風合いが劣ることになる。
本発明において、水分散性ウレタン樹脂は1種類のみ使用することが好ましい。また2種類以上使用する場合であっても、その全ての樹脂が本発明中の物性を満たすことが必要である。
なお、本発明の効果を発揮する範囲において本発明中の水分散性ウレタン樹脂と共に、別の樹脂を併用してもよい。
【0010】
<架橋剤>
本発明における架橋剤としては、ブロックイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有ポリマー、エポキシ化合物、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン等とホルムアルデヒドとの付加物、多官能性アジリジン化合物等から選ばれる1種以上を使用することができる。そして、中でも、ブロックイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、及び、オキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。
さらに、水中に分散、乳化、溶解されているか、または水中に分散できる、乳化できる及び/または溶解できる架橋剤が特に好ましい。
また、本発明において、架橋剤を水分散性ウレタン樹脂1質量部に対して0.02〜0.15質量部含有することが必要であり、好ましくは0.03〜0.13質量部含有させることができる。
0.02質量部未満であると、洗濯堅牢度が低下する。また、0.15質量部を超えると、硬化後の風合いが劣ることになる。
【0011】
本発明にて架橋剤として使用されるブロックイソシアネート化合物とは、ポリイソシアネート化合物における活性なイソシアネート基をフェノールなどのブロック剤とあらかじめ反応させて不活性化したものである。ブロックイソシアネート架橋剤はその状態では架橋反応を行うことができず、化学的に安定であるが、熱処理などによってイソシアネート基に結合したブロック基を解離させて活性なイソシアネート基が形成されると、架橋反応が可能な状態となる。
【0012】
ブロックイソシアネート化合物のポリイソシアネート部分を構成する化合物としては、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物が好ましく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。これらのうち、トリイソシアネート化合物、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリスビウレット変性体等のヘキサメチレンジイソシアネートの変性物がより好ましい。
【0013】
そのようなポリイソシアネート部分を構成する化合物としては、1分子当たりイソシアネート基2個以上を有するポリイソシアネート化合物が挙げられ、例えばジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、テトライソシアネート化合物、ペンタイソシアネート化合物、ヘキサイソシアネート化合物など種々のポリイソシアネート化合物が挙げられる。ポリイソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。本実施形態に係るブロックイソシアネート架橋剤を構成するポリイソシアネート化合物は一種類であってもよいし、複数種類であってもよい。接着剤の流れ出しを生じにくくする観点から、本実施形態に係るブロックイソシアネート架橋剤を構成するポリイソシアネート化合物はトリイソシアネート化合物を含有することが好ましい。
【0014】
ブロックイソシアネート架橋剤に係るブロック剤は特に限定されない。前述のフェノールのほか、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、2−ヒドロキシピリジン、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、カルバゾール、ジメチルピラゾール、トリアゾール等を用いてもよい。本実施形態に係るブロックイソシアネート架橋剤を構成するブロック剤は一種類であってもよいし、複数種類であってもよい。また、ブロック剤とポリイソシアネート化合物との組み合わせも特に限定されず、その組み合わせが複数あって本実施形態に係るブロックイソシアネート架橋剤が複数種類の化合物から構成されていてもよい。
【0015】
ブロックイソシアネート化合物は熱分解型であることが好ましい。熱分解型である場合には、ブロック剤の種類やブロックされるポリイソシアネート化合物の種類などにより、ブロック剤の脱離反応、すなわち脱ブロック反応が顕著となる温度(以下「脱ブロック温度」とする。)を調節することができる。この脱ブロック温度の具体的な温度は特に限定されないが、その温度が例えば70〜130℃である場合には、その脱ブロック温度を有するブロックイソシアネート架橋剤を含む捺染用白色インクジェットインク組成物は、架橋前における架橋点密度が低いまたは実質的にゼロである。しかしながら、架橋反応を進行させて架橋構造を形成することにより、架橋密度を高くすることができる。
【0016】
カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド基を2つ以上有するものが好ましく、このようなものとしては、例えば、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニルカルボジイミド)等の芳香族ポリカルボジイミド;ポリ(ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等の脂環族ポリカルボジイミド、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミドなどが挙げられる。前記カルボジイミド化合物が有する官能基と反応する前記ウレタン樹脂の官能基としては、例えば、カルボキシル基が挙げられる。
【0017】
さらに、一分子あたり平均して3〜20個、特に好ましくは平均して4〜8個のカルボジイミド構成単位を含有するカルボジイミド構造含有架橋剤が好ましい。
そのようなカルボジイミド架橋剤は、例えば、場合により単官能性イソシアネート(例として、ステアリルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート)または/及び高官能性イソシアネート(例として以下に記載するジイソシアネートの三量体、ウレトジオン、アロファネート、ビウレット)の配合を伴っていてよい、ジイソシアネート(例として、テトラメチレンジイソシアネート、メチルペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルプロパン−(2,2)、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、p−イソプロピリデンジイソシアネート)のカルボジイミド化、及び、同時、又は前後して、親水化成分(例えば、アルコールまたはアミン出発のエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーまたはエチレンオキシドポリマーに基づく単官能性または二官能性のポリエーテル)との反応によって得られる。
【0018】
オキサゾリン基含有ポリマーとしては、例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)エタン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、1,8−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン等の脂肪族あるいは芳香族を含むビスオキサゾリン化合物、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンの1種または2種以上からなるポリマー等が挙げられる。これらのオキサゾリン基含有ポリマーは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、オキサゾリン基含有ポリマーが有する官能基と反応する水分散性ウレタン樹脂の官能基としては、例えば、カルボキシル基が挙げられる。
【0019】
<水溶性有機溶剤>
本発明において、捺染用白色インクジェットインク組成物は、塗膜耐性や洗濯堅牢度を改善する等を目的として、水100gへの溶解量が1〜60gのグリコールエーテルを含有する。そして好ましくは水100gへの溶解量が3〜55gである。そのような水溶性有機溶剤としては、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルを採用することができる。
水100gへの溶解量が1g未満であるとき、又は水100gへの溶解量が60gを超えるときには、塗膜耐性や洗濯堅牢度が悪化する。
そしてそのような水溶性有機溶剤の含有量は、捺染用白色インクジェットインク組成物中に10質量%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは、5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。含有量が10質量%を超えると、粘度、吐出性、インク塗膜物性及び乾燥性の点において、支障をきたすおそれがある。
【0020】
<顔料>
本発明の捺染用白色インクジェットインク組成物には、白色顔料として酸化チタン、酸化アルミニウム等を配合でき、好ましくは、アルミナ、シリカ等の種々の材料で表面処理された酸化チタンを含有させることができる。
白色顔料の配合量は、捺染用白色インクジェットインク組成物に対して1.0〜20.0質量%であることが好ましく、さらに好ましくは5.0〜15.0質量%である。顔料の含有量が1.0質量%未満では、得られる印刷物の画像品質が低下する傾向がある。一方、20.0質量%を超えると、捺染用白色インクジェットインク組成物の粘度特性に悪影響を与える傾向がある。
また、白色以外の各色相の顔料も含有させて、白色の程度を調整できる。
この各色相の顔料としては、通常のインクジェット印刷用インク組成物で従来から使用されている有機顔料又は無機顔料等の顔料を特に制限なく使用できる。また有機又は無機の顔料を樹脂層により被覆してなる樹脂被覆顔料を採用することもできる。
そして有機顔料としては、例えば、染料レーキ顔料、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジコ系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、ニトロ系、ニトロソ系、アンスラキノン系、フラバンスロン系、キノフタロン系、ピランスロン系、インダンスロン系の顔料等が挙げられる。無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、ベンガラ、黒鉛、鉄黒、酸化クロムグリーン、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
また、本発明の捺染用白色インクジェットインク組成物に配合できる各色相の顔料の具体例としては以下のものが挙げられる。
まず、イエロー顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、42、73、74、75、81、83、87、93、95、97、98、108、109、114、120、128、129、138、139、150、151、155、166、180、184、185、213等が挙げられ、好ましくは、C.I.Pigment Yellow 13、14、17、74、155、213等が挙げられる。
マゼンタ顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、7、12、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57、57:1、63:1、101、102、112、122、123、144、146、149、168、177、178、179、180、184、185、190、202、209、224、242、254、255、270、C.I.Pigment Violet 19等が挙げられ、好ましくは、C.I.Pigment Red 122、202、Pigment Violet 19等が挙げられる。
シアン顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、18、22、27、29、60等で、好ましくは、C.I.Pigment Blue 15:3等が挙げられる。
ブラック顔料としては、例えば、カーボンブラック(C.I.Pigment Black 7)等が挙げられる。
捺染用白色インクジェットインク組成物として使用するためのホワイト顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム等が挙げられ、好ましくは、アルミナ、シリカ等の種々の材料で表面処理された酸化チタンが挙げられる。
【0021】
<顔料分散剤>
また、本発明の捺染用白色インクジェットインク組成物は、必要に応じてさらに顔料分散剤を含有していてもよい。
顔料分散剤は、顔料の分散性、本発明のインク組成物の保存安定性をさらに向上させるために使用するもので、従来から使用されているものを特に制限なく使用できるが、その中でも高分子分散剤を使用することが好ましい。このような顔料分散剤としては、カルボジイミド系分散剤、ポリエステルアミン系分散剤、脂肪酸アミン系分散剤、変性ポリアクリレート系分散剤、変性ポリウレタン系分散剤、多鎖型高分子非イオン系分散剤、高分子イオン活性剤等が挙げられる。これら顔料分散剤は単独で又は2種以上を混合して使用できる。
特に、アニオン性基含有樹脂として、アクリル酸/ラウリルアクリレート/スチレン共重合体を使用することが好ましい。
上記顔料分散剤は、使用する全顔料の量を100質量部としたときに、1〜200質量部含有することが好ましい。顔料分散剤の含有量が1質量部未満では、顔料分散性、本発明のインク組成物の貯蔵安定性が低下する場合がある。一方、200質量部を超えて含有させることもできるが効果に差がでない場合もある。顔料分散剤の含有量のより好ましい下限は5質量部、より好ましい上限は60質量部である。
【0022】
<界面活性剤>
本発明の捺染用白色インクジェットインク組成物は、使用するインクジェットヘッドに応じて、界面活性剤として従来からインクジェットインク組成物に使用されているシリコン系、アセチレンジオール系界面活性剤等の界面活性剤を、吐出安定性を改良するために含有することが好ましい。
シリコン系界面活性剤の具体例としては、ポリエーテル変性シリコーンオイル、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性メチルアルキルポリシロキサン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用できる。
アセチレンジオール系界面活性剤の具体例としては、エアープロダクツ社製のサーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフィノール420、サーフィノール440、日信化学工業(株)製のオルフィンE1004、オルフィンE1010、オルフィンE1020、オルフィンPD−001、オルフィンPD−002W、オルフィンPD−004、オルフィンPD−005、オルフィンEXP.4001、オルフィンEXP.4200、オルフィンEXP.4123、オルフィンEXP.4300などが挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用できる。
本発明のインク組成物における界面活性剤の含有量は、好ましくは0.005〜1.0質量%である。0.005質量%未満であると、本発明の捺染用白色インクジェットインク組成物の表面張力が高くなり、インクジェットヘッドからの吐出安定性が低下する。一方、1.0質量%を超えると、捺染用白色インクジェットインク組成物中に泡が増加し吐出安定性が低下する。
【0023】
<添加剤>
本発明の捺染用白色インクジェットインク組成物には、必要に応じて種々の機能性を発現させるため、各種の添加剤を添加することができる。具体的には、光安定化剤、表面処理剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、可塑剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、保湿剤等が挙げられる。また、ビヒクルとして機能する硬化性ではない樹脂を配合しても良く、配合しなくても良い。
【0024】
本発明のインク組成物を調製する方法としては特に限定されず、従来から公知の印刷用インク組成物や捺染用インク組成物を得る方法を採用することができる。
具体的には、アニオン性基含有樹脂をアルカリ性水溶液に溶解しておき、これに顔料を加えて練肉する方法を採用できる。
【0025】
本発明の捺染用白色インクジェットインク組成物を印字、硬化する方法として、具体的には、本発明のインク組成物をインクジェットヘッドにより基材に吐出した後、基材に着弾した本発明のインク組成物の塗膜を加熱し硬化させる方法が挙げられる。
例えば、基材への吐出(画像の印字)は、本発明のインク組成物をインクジェット記録用プリンターの低粘度対応のプリンタヘッドに供給し、基材に対して塗膜の膜厚が、例えば、1〜60μmとなるように該インク組成物をプリンタヘッドから吐出することにより行うことができる。
本発明の捺染用白色インクジェットインク組成物を印字するインクジェット記録方式用プリンター装置としては、従来から使用されているインクジェット記録方式用プリンター装置が利用できる。
加熱硬化に使用する装置としては、加熱硬化型インク組成物を硬化させるための公知の装置を採用できる。熱源としては、赤外線、電熱線、アイロン等の直接基材に接触して加熱をする装置や、赤外線ランプや電熱線からの放射による、基材に非接触の加熱源を使用する装置を挙げることができる。
【0026】
<布帛>
本発明の捺染用白色インクジェットインク組成物により捺染される基材としては、従来から使用されている布帛でよいが、例えば、綿、絹、麻、レーヨン、アセテート、ナイロンもしくはポリエステル繊維からなる布帛、これら繊維の2種以上からなる混紡布帛等を使用できる。
【0027】
(実施例)
捺染用白色インクジェットインク組成物の調製
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
以下の実施例、比較例で使用した材料は次の通りである。
【0031】
(水性樹脂ワニス調製)
下記アニオン性基含有樹脂25質量部を、水酸化カリウム4.9質量部と水70.1質量部との混合液に溶解させて、アニオン性基含有樹脂固形分25質量%の水性樹脂ワニスを得た。
アニオン性基含有樹脂:アクリル酸/ラウリルアクリレート/スチレン共重合体(重量平均分子量30000、酸価185mgKOH/g)
【0032】
(顔料分散液調製)
上記水性樹脂ワニス36質量部に水19質量部を加えて混合し、顔料分散用樹脂ワニスを調製した。この顔料分散用樹脂ワニスに、さらに顔料としてCR−90(酸化チタン、石原産業(株)製)45質量部を加え、攪拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行い、顔料分散液を調製した。
【0033】
(捺染用白色インクジェットインク組成物調製)
上記顔料分散液に、水分散性ウレタン樹脂、架橋剤、水、水溶性有機溶剤(グリセリン、2−ピロリドン、グリコールエーテル類)、界面活性剤(オルフィンE1010、サーフィノール440)を添加して、捺染用白色インクジェットインク組成物を調製した。
【0034】
(インクジェット捺染用前処理液調製)
水83.7質量部に、硝酸カルシウム4水和物10質量部、ガラス転移温度−30℃のノニオン性スチレン−アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ジャパンコーティングレジン(株)製、固形分45%)6.0質量部、アセチレノールE100(HLB13.5、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル(株)製)0.3質量部を加えて攪拌し、インクジェット捺染用前処理液を得た。
【0035】
(前処理及び印刷物作成方法)
綿100%の黒色布帛に、上記処理液をA4サイズあたり10g含浸させて加熱乾燥した。
得られた前処理済黒色布帛に対して、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターを用いて、捺染用白色インクジェットインク組成物実施例1〜9及び比較例1〜8を、ベタ印字が4回重なるような態様で印字した。
その後ヒートプレス機を用いて印字部分を170℃の温度で1分間加熱して、捺染用白色インクジェットインク組成物を布帛に定着させて、実施例1〜9、比較例1〜8の捺染物を得た。
【0036】
(評価方法)
(画像濃度)
各捺染物の明度(L*)を分光光度計(X-Rite社製SpectroEye)を用いて測定した。
◎:L*が80以上
○:L*が70以上80未満
△:L*が50以上70未満
×:L*が50未満
【0037】
(塗膜耐性)
各捺染物を5回引っ張り伸ばして(各回とも限界まで引っ張り伸ばす)、塗膜の割れと剥離を目視にて評価した。
◎:塗膜の割れ、剥離が見られない
○:塗膜の剥離は見られないが、わずかに割れが発生する
△:塗膜の剥離は見られないが、割れが発生する
×:塗膜の割れ、剥離が見られる
【0038】
(風合い)
各捺染物を触手により評価した。
◎:捺染物が容易に折れ曲がり、綿100%の黒色布帛そのものの柔らかさに近いもの
○:捺染物が容易に折れ曲がるが、黒色布帛そのものよりも若干ごわつきを感じるもの
△:捺染物がごわつきを感じるもの
×:捺染物が自由に折れ曲がらないほど固いもの
【0039】
(洗濯堅牢度)
家庭用洗濯機で通常の洗濯(洗濯条件:通常モードでの洗濯→脱水→乾燥)を5回実施し、各捺染物の洗濯前と洗濯後の明度(L*)を分光光度計(X-Rite社製SpectroEye)を用いて測定し、洗濯前の初期値からの変化率を評価した。
◎:洗濯後において画像濃度が初期値の90%以上を保つもの
○:洗濯後において画像濃度が初期値の80%以上90%未満のもの
△:洗濯後において画像濃度が初期値の70%以上80%未満のもの
×:洗濯後において画像濃度が初期値の70%未満のもの
【0041】
本発明によれば、特に画像濃度が濃く、洗濯堅牢度が十分であり、塗膜耐性や風合いも良好であった。
これに対して、水100gへの溶解量が1〜60gのグリコールエーテルを含有しない比較例1や、溶解量が1〜60gではない有機溶剤のみを配合した比較例2及び3によれば、塗膜耐性や洗濯堅牢度に劣るものとなった。
さらにカチオン性化合物との反応性を有しない水分散性ウレタン樹脂を使用した比較例4及び5によれば、画像濃度、塗膜耐性、風合い、洗濯堅牢度の全てにおいて劣っていた。
また架橋剤を配合しない、比較例6によれば、塗膜耐性や洗濯堅牢度に劣るものとなった。そして架橋剤が少ない比較例7によれば、塗膜耐性と洗濯堅牢度に劣り、架橋剤が多すぎる比較例8によれば風合いが悪化した。
【解決手段】白色顔料、カチオン性化合物と反応性を有する水分散性ウレタン樹脂、架橋剤、水溶性有機溶剤及び水を含み、前記水分散性ウレタン樹脂1質量部に対して、前記架橋剤を0.02〜0.15質量部含有し、かつ前記水溶性溶剤として水100gへの溶解量が1〜60gのグリコールエーテルを含有する捺染用白色インクジェットインク組成物。