【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、冒頭に挙げた種類のバーナーにおいて、本課題は、燃料供給装置が、相互作用チャンバを有する少なくとも1つの流体発振器を含んでいることによって解決され、相互作用チャンバの入口は、燃料供給装置の燃料導管に接続されており、相互作用チャンバの第1の排出導管は、少なくとも第1の燃料ノズルまで延在し、第2の排出導管は、少なくとも第2の燃料ノズルまで延在しており、流体発振器は、排出導管毎に、フィードバック導管を含んでおり、フィードバック導管は、その一方の端部で、少なくとも1つの燃料ノズルの下流の領域において各排出導管に合流し、他方の端部で、相互作用チャンバの入口領域に合流している。
【0010】
例えば、少なくとも第1の燃料ノズル及び少なくとも第2の燃料ノズル、又は、第1の燃料ノズル群及び第2の燃料ノズル群が、共通の燃料インジェクタに配置され、予混合流路における燃料の可能な限り均一な分散のために、径方向に分散して配置され得る。例えば、少なくとも第1の燃料ノズルは、吸込み側にも、少なくとも第2の燃料ノズルは、旋回ブレード状に構成された燃料インジェクタの圧力側にも配置され得る。第1の燃料ノズル群及び第2の燃料ノズル群は、例えば、異なる燃料インジェクタにも配置され得る。例えば、ほぼ向かい合って燃料ランスに配置された燃料インジェクタ内に配置され得る。
【0011】
流体発振器は、高価な弁を用いずにすむ流体制御要素として長らく知られてきた。例えば、流体発振器は、空気を支持面の境界層に供給し、境界層の分離を回避するために用いられる。
【0012】
流体発振器は、その入口に接しており、圧力下にある流体フローによって動作する。この流体フローは、相互作用チャンバ内で振動させられるので、当該チャンバの少なくとも1つの出口には、交互に、流出する噴流が衝突する。従って、流体発振器の排出導管からは、脈動する流体フローが流出し、排出導管は、交互に流体を排出する。先行技術からは、フィードバック導管を有する流体発振器が知られており、当該フィードバック導管は、相互作用チャンバ内の振動を安定化するために、相互作用チャンバの出口領域を、相互作用チャンバの入口領域と接続している。先行技術に係るフィードバック導管は、その一方の端部で、それぞれ相互作用チャンバの出口近くで相互作用チャンバに合流し、その他方の端部で、当該出口の上流において、相互作用チャンバの入口近くで相互作用チャンバに合流する。それぞれの出口には、振動している間に、流体フローが衝突し、それによって、フィードバック導管の端部において圧力が上昇し、当該圧力は、当該導管を通じて、入口領域にさらに伝えられ、フローが相互作用チャンバの側壁にまさに接する領域まで伝えられる。それによって、振動するフローは、側壁から分離する傾向を有する。これは、振動を安定化させる、相互作用チャンバの出口領域と入口領域との間の圧力条件のフィードバックにつながる。
【0013】
本発明では、先行技術のようにフィードバック導管を相互作用チャンバの出口領域に合流させるのではなく、それぞれの排出導管に、少なくとも1つの燃料ノズル又は燃料ノズル群の下流の領域において合流させることが提案されており、当該排出導管は、少なくとも1つの燃料ノズル又は燃料ノズル群まで延在している。本発明によると、それによって、燃料ノズルのすぐ上流の予混合領域における予混合流路内の圧力条件を、フィードバック信号に取り込むことが可能になる。排出導管は、燃料ノズル又は燃料ノズル群の下流において、フィードバック導管が合流する末端部を有し得る。
【0014】
予混合流路内の、燃料ノズル群の領域における静圧が比較的高い場合、排出導管を通る燃料はより少なくなり、排出導管内の動圧はより低くなる。それによって、本発明に基づいてフィードバック導管を構成する際に、フィードバック信号が少なくなり、燃料は、排出導管内を、予混合流路内の排出導管の燃料ノズル上流における逆の圧力条件の場合よりも長く流れる。予混合流路内の燃料ノズル群の領域における静圧が比較的低い場合、相互作用チャンバの付属する出口の衝突の際、より多くの燃料が、付属する排出導管を通って流れ、排出導管内の動圧はより高くなる。付属のフィードバック導管は、排出導管の少なくとも1つの燃料ノズルの下流で排出導管に合流しているので、排出導管の端部領域に合流するフィードバック導管における圧力はより高くなり、付随する燃料噴流は、相互作用チャンバの入口領域の側壁からより速く分離し、最も近い出口に燃料を衝突させる。従って、相互作用チャンバ内の燃料噴流の振動は、排出導管により長く燃料を衝突させ、その少なくとも1つの燃料ノズルは、予混合流路の、より高い圧力が支配的である領域に合流する。それによって、一般的に比較的少ない燃料が、より高い流路圧力の領域に合流している燃料ノズルから流出する、又は、より多くの燃料が、圧力の低い領域内に噴射されるという効果が補償される。この補償によって、本発明では、予混合流路においてより均一な燃料濃度が得られる。従って、少なくとも2つの、流体発振器に接続された燃料ノズル群又は燃料ノズルを通じた燃料の噴射は、付加的な制御装置を必要とせずとも、独力で調整される。結果として生じる、予混合流路における燃料濃度のより均一な分散によって、有害物質の排出量が削減される。時間的かつ場所的に変動する燃料の噴射によって、さらに、燃料ノズル群によって排出される燃料と、脇を通過して流れる圧縮空気との良好な混合がもたらされる。本発明によると、流体発振器によって変動する燃料の噴射に基づいて、バーナーの滞留時間プロフィールの広がりももたらされ、それによって、バーナーと炎との相互作用が減少し、熱音響振動が引き起こされることが減少する。
【0015】
熱音響振動及び滞留時間という概念を説明するために、燃焼室内で、音響振動と熱放出における変動との相互作用が生じ得ることに注意すべきである。これらは、いわゆるガスタービンの固有モードに一致する振動数に関する場合、互いに増大し得る。これらの固有モードは、ガスタービンそれぞれの大きさ及び様式に依存する。このような熱音響振動は、ガスタービンの運転の際に、部材を著しく損傷し、設備の運転停止を強いる可能性がある。
【0016】
熱音響振動を引き起こさないようにするために、バーナーの、動作中に生じる滞留時間プロフィールは、可能な限り広くて良く、当該滞留時間は、燃料ノズルから排出された流体が炎に至るまでに要する時間である。
【0017】
流体発振器によって燃料を供給されるバーナーの燃料ノズル又は燃料ノズル群は、時間的にも場所的にも脈動する燃料噴流ゆえに、ノズルの出口において条件付で、通過して流れる圧縮空気内の燃料濃度プロフィールの変動を有しており、それによって再び、熱音響的安定性が、バーナーの拡大した滞留時間プロフィールに基づいて、例えば従来の圧力旋回ノズル又はフルジェットノズルを有するバーナーと比較して、改善される。燃料の脈動的な噴射の振動数は、例えば、相互作用チャンバの大きさによって調整され得る。バーナーは、複数の流体発振器を含んでいて良く、これらの流体発振器は、それぞれ少なくとも2つの排出導管に、それぞれ少なくとも1つの燃料ノズル又は燃料ノズル群を用いて、燃料を供給する。
【0018】
構造が異なる様々なタイプの流体発振器が知られている。本発明は、これらの流体発振器の特別なタイプに限定されるものではない。これら全てのタイプは、圧力下にある流体噴流が入口を通って流入する相互作用チャンバを有しているという点で共通である。当該噴流は、相互作用チャンバの様々な側壁又は側壁領域に周期的に接するので、当該噴流とチャンバの側壁との相互作用について言及することが可能であり、当該噴流の振動が引き起こされるので、当該噴流は、周期的に異なる経路で、チャンバを通過して流れ、従って、出口領域において周期的に、相互作用チャンバの様々な出口を通って当該相互作用チャンバを離れるか、又は、様々な方向において、相互作用チャンバの中央の出口を離れる。従って、当該噴流は、少なくとも2つの向かい合う側壁領域に、周期的に接するか、又は、フローの滞留によって、再び分離する。
【0019】
流体発振器の機能の仕方は先行技術であるので、ここでは、流体発振器について短く説明するにとどめる。加えて、図面には、いくつかのタイプの流体発振器が示されている。本発明は、用いられる流体発振器のタイプには左右されない。本発明は、好ましくは、相互作用チャンバの入口領域で分岐する側壁に基づいて、流入する噴流の振動を引き起こす流体発振器から出発している。特に、本発明は、好ましくは、相互作用チャンバのほぼ回転対称な構成から出発しており、当該構成は、チャンバの一方の端部で、回転軸の周囲に配置され、少なくとも1つの出口を有する出口領域に向かい合って配置された入口を有している。振動を引き起こすために、この種類の相互作用チャンバの場合、相互作用チャンバは、少なくともチャンバの入口領域において、出口領域への方向においてディフューザ状に拡張する。フィードバック導管の機能の仕方については、すでに上述した。
【0020】
本発明の有利な態様は、以下の説明及び下位請求項に記載され、その特徴は、個別に、又は、任意の組み合わせにおいて用いられ得る。
【0021】
有利には、第1の排出導管が、第1の燃料ノズル群まで延在し、第2の排出導管が、第2の燃料ノズル群まで延在しており、フィードバック導管はそれぞれ、各燃料ノズル群の下流の領域において、排出導管に合流していると規定され得る。
【0022】
第1の燃料ノズル群及び第2の燃料ノズル群、又は、第1の燃料ノズル及び第2の燃料ノズルは、例えば、共通の燃料インジェクタ内に配置され得る。当該燃料インジェクタは、例えば旋回発生器の旋回ブレードであり得る。ブレードの吸込み側でも圧力側でも、予混合流路内では異なる圧力が支配的であるので、第1の燃料ノズル又は第1の燃料ノズル群が旋回ブレードの吸込み側に、第2の燃料ノズル又は第2の燃料ノズル群が圧力側に配置され得る。本発明によると、それによって、ほぼ同じ量の燃料を、ブレードの両側に噴射することができる。
【0023】
フィードバック導管が、少なくとも1つの燃料ノズルの下流において、排出導管に接続されていることも有利であると見なされ得る。
【0024】
その際、当該排出管と当該フィードバック導管とは、異なる直径を有し得る。
【0025】
少なくとも第1の燃料ノズル及び少なくとも第2の燃料ノズルが、異なる燃料インジェクタ内に配置されていることも有利であると見なされ得る。
【0026】
特に、両方の燃料インジェクタが、ほぼ向かい合って、バーナーランスに配置されていることは有利であると見なされ得る。
【0027】
従って、予混合流路内の燃料濃度は、少なくとも両方の向かい合う領域において、当該領域において圧力条件が異なるにも関わらず、互いに順応する。
【0028】
少なくとも2つの燃料ノズル又は少なくとも2つの燃料ノズル群は、共通の燃料インジェクタ内に配置されており、その予混合流路における径方向配置の点で異なっているので、燃料濃度が、径方向で、予混合流路のバーナーランスの近くの領域及びバーナーランスから遠くの領域における異なる圧力条件にも関わらず、均一化されることも、有利であると見なされ得る。流体発振器は、バーナーハブ内に、又は、燃料インジェクタ内にも配置され得る。
【0029】
有利には、さらに、バーナーが、2つ以上の、このように流体発振器に接続された燃料ノズル群を、異なる燃料インジェクタ内に含んでいることが規定され得る。
【0030】
それによって、予混合流路内の、様々な燃料インジェクタの下流において、燃料濃度を均一化することが可能になる。
【0031】
本発明のさらなる有利な態様は、様々な燃料インジェクタが、一周するようにバーナーランス上に配置されており、付属する排出導管が、一周するように相互作用チャンバ上に配置されていることを規定し得る。
【0032】
少なくとも1つの燃料インジェクタは、燃料インジェクタによって囲まれた燃料ノズルが配置された基部を含んでおり、当該基部は、特に旋回発生器の旋回ブレードであることも有利であると見なされ得る。
【0033】
有利には、さらに、相互作用チャンバは、その一方の端部に入口を有し、反対側の端部に出口領域を有しており、当該チャンバの入口から出口を含む出口領域まで延在する側壁又は側壁領域によって区切られており、少なくとも2つの向かい合って配置された側壁又は側壁領域は、少なくとも入口領域で、出口への方向において分岐していることが規定され得る。
【0034】
本発明の当該態様によると、圧力下で相互作用チャンバに入口を通過して流入する燃料噴流の振動は、噴流を分岐構造を有する側壁領域に交互に接触させることによって引き起こされる。本発明に係る相互作用チャンバにおける振動の発生は、入口領域において、分岐する側壁/側壁領域によって引き起こされるフローの滞留に基づいている。
【0035】
少なくとも2つの向かい合って配置された側壁が、相互作用チャンバの入口領域で、出口方向において、相互作用チャンバの入口のフロー流入方向に対して7.5°よりも大きい角度で分岐していることも有利であると見なされ得る。
【0036】
振動を引き起こすために適している相互作用チャンバの開放角は、先行技術から知られている。フローの流入方向に対して少なくとも7.5°の角度が、特に有利であると明らかになっている。
【0037】
有利には、相互作用チャンバは、ほぼ回転対称に構成されており、相互作用チャンバは、少なくとも入口領域において、出口方向へディフューザ状に広がっていることが規定され得る。
【0038】
流体発振器の回転対称な構造によって、相互作用チャンバの出口領域を始点とする排出導管の全周に燃料を噴射することが可能になる。
【0039】
流体発振器は、例えば、バーナーランスの中央に配置され、回転して、バーナーランス上に配置された燃料インジェクタの全周に燃料を供給することが可能であり、それぞれ、流体発振器の少なくとも1つの排出導管は、燃料インジェクタの各燃料ノズル群まで延在している。一周する燃料インジェクタは、共に2つの燃料段を含み得る。各段に、適した流体発振器を設けることが可能である。
【0040】
本発明のさらなる課題は、複数のバーナーを有するバーナーアセンブリについて記載することにあり、当該バーナーアセンブリでは、メインバーナーが、1つ又は複数の、互いに対して同心に配置された円に配置されており、それによって、バーナーアセンブリの動作中に、有害物質の排出量を減少させること、又は、圧力の変動を減少させることが可能になる。
【0041】
このために、少なくとも1つのバーナーが、請求項1から11のいずれか一項に従って構成されている。
【0042】
当該バーナーは、例えば、バーナーアセンブリの中央に配置されたパイロットバーナーであり得る。さらなる実施例によると、付加的又は代替的に、バーナーアセンブリのメインバーナーも、請求項1から11のいずれか一項に従って構成され得る。
【0043】
本発明に係るバーナー又は本発明に係るバーナーアセンブリは、特に安定した燃焼を、特に部分負荷運転においても可能にする。
【0044】
本発明のさらなる課題は、動作中に、有害物質の排出量の減少と、燃焼室内の圧力変動の減少とを可能にするような、ガスタービンのための燃焼室及びガスタービンについて記載することにある。
【0045】
このために、燃焼室は、請求項1から12のいずれか一項に記載のバーナーを少なくとも1つ含み、ガスタービンは、請求項13に記載の燃焼室を少なくとも1つ含んでいる。
【0046】
本発明のさらなる適切な態様及び利点は、図面を用いた、本発明の実施例の説明の対象であり、同じ参照符号は、同じ機能の部材を示している。