特許第6321292号(P6321292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィの特許一覧

<>
  • 特許6321292-照明制御 図000004
  • 特許6321292-照明制御 図000005
  • 特許6321292-照明制御 図000006
  • 特許6321292-照明制御 図000007
  • 特許6321292-照明制御 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321292
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】照明制御
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
   H05B37/02 C
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-513118(P2017-513118)
(86)(22)【出願日】2015年9月6日
(65)【公表番号】特表2017-527088(P2017-527088A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】EP2015070311
(87)【国際公開番号】WO2016037951
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2017年3月7日
(31)【優先権主張番号】14183950.6
(32)【優先日】2014年9月8日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】マギエルス レムコ
(72)【発明者】
【氏名】アレクセイユ ズミトリー ヴィクトロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】メイソン ジョナサン デービッド
(72)【発明者】
【氏名】シュライビ サナエ
【審査官】 野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/104927(WO,A2)
【文献】 国際公開第2013/179175(WO,A1)
【文献】 米国特許第08248467(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/00−39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者によって占有される環境の少なくとも一部を照らす1つ以上の照明器具を制御し、且つ/又は前記環境内で使用可能な1つ以上の家庭用機器若しくは事務用機器を制御するための送信機と、
前記送信機を介して前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器を制御するための制御機能を提供するコントローラと
を含む機器であって、
前記コントローラは前記利用者の人物の周りに配置される高度計から高度測定値を受信し、且つそれに基づき、前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器のそれぞれの高度に対する前記利用者の高度に依存して前記制御機能を提供する、機器。
【請求項2】
前記送信機は複数の照明器具及び/又は家庭用機器若しくは事務用機器を制御するためのものであり、
前記制御機能は、利用者が操作可能な制御部の組をユーザ端末のユーザインタフェースを介して前記利用者に提示することを含み、前記利用者が操作可能な制御部のそれぞれは、前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器のうちのそれぞれの1つ以上を前記利用者が制御することを可能にし、
相対的高度に対する前記依存は、それぞれの前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器の高度に対して前記利用者の高度がどの程度近いかに従って前記利用者への関連性を表すやり方で、前記利用者が操作可能な制御部を提示することを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記利用者が操作可能な制御部が一覧内に提示され、前記コントローラが、前記それぞれの照明器具及び/又は家庭用機器若しくは事務用機器の高度に対して前記利用者の高度がどの程度近いかに依存して前記一覧を順序付けることにより、前記利用者が操作可能な制御部の前記関連性を表す、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記送信機は複数の照明器具及び/又は家庭用機器若しくは事務用機器を制御するためのものであり、
前記環境は、同一水平レベル上の区域を含む複数の区域を含み、各区域は前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器の1つ以上を含み、
前記コントローラは、前記それぞれの照明器具及び/又は家庭用機器若しくは事務用機器の前記区域に従って前記ユーザインタフェース内の前記利用者が操作可能な制御部を更にグループ化する、請求項2又は3に記載の機器。
【請求項5】
前記制御機能が前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器を自動で制御することを含み、相対的高度に対する前記依存は、前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器のそれぞれの高度に対する前記利用者の高度に依存して前記自動制御を行うことを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項6】
前記環境が複数の別個のレベルに分割され、
相対的高度に対する前記依存は、前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器が位置する前記レベルに対して、前記利用者が前記別個のレベルの何れに位置するかに依存して前記制御機能を提供することを含む、請求項1乃至5の何れか一項に記載の機器。
【請求項7】
前記環境が建物を含み、前記レベルが前記建物の階数である、請求項6に記載の機器。
【請求項8】
前記コントローラは、前記利用者が位置する前記レベル内の前記高度計の高さを前記高度測定値に基づいて決定し、且つ前記高さに依存して前記制御機能を提供する、請求項6又は7に記載の機器。
【請求項9】
前記コントローラが、データベースからの前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器のそれぞれの高度の記録にアクセスし、相対的高度に依存した前記制御機能の前記提供は前記記録へのアクセスに基づき、前記コントローラは、
前記環境のグラフィカルマップ上で前記照明器具及び/若しくは前記家庭用機器若しくは前記事務用機器の位置を指示することによって、又は
前記照明器具及び/若しくは前記家庭用機器若しくは前記事務用機器のそれぞれの前記高度に前記高度計を配置し、前記高度計から対応する測定値を得ることによって、
前記利用者が前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器の前記高度を前記データベース内に記録することを可能にする、前記利用者が使用するためのコミッショニング機能を更に提供する、請求項1乃至8の何れか一項に記載の機器。
【請求項10】
前記機器がモバイルユーザ端末であり、前記高度計が前記ユーザ端末に内蔵されている、請求項1に記載の機器。
【請求項11】
前記ユーザ端末がウェアラブルである、請求項10に記載の機器。
【請求項12】
前記機器が、前記送信機及びコントローラを含むユーザ端末を含み、前記高度計が前記ユーザ端末の外部にある、請求項1乃至9の何れか一項に記載の機器。
【請求項13】
請求項12に記載の機器の前記ユーザ端末及び外部の高度計を含むシステムであって、前記高度計がウェアラブルである、システム。
【請求項14】
利用者によって占有される環境の少なくとも一部を照らす1つ以上の照明器具を制御し、且つ/又は前記環境内で使用可能な1つ以上の家庭用機器若しくは事務用機器を制御する方法であって、
機器の制御機能を使用して、前記機器の送信機を介して前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器を制御するステップと、
前記利用者の人物の周りに配置される高度計から高度測定値を受信するステップと
を含み、
前記高度計からの前記高度測定値に基づき、前記制御機能が、前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器のそれぞれの高度に対する前記利用者の高度に依存する、方法。
【請求項15】
利用者によって占有される環境の少なくとも一部を照らす1つ以上の照明器具を制御し、且つ/又は前記環境内で使用可能な1つ以上の家庭用機器若しくは事務用機器を制御するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータ可読記憶媒体上に実装され、且つ実行されると、
送信機を介して前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器を制御するための制御機能を提供する操作と、
前記利用者の人物の周りに配置される高度計から高度測定値を受信する操作と、
前記高度計からの前記高度測定値に基づき、前記照明器具及び/又は前記家庭用機器若しくは前記事務用機器のそれぞれの高度に対する前記利用者の高度に依存して前記制御機能を提供する操作と
を行うコードを含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、利用者によって占有される環境の少なくとも一部を照らすように構成される1つ以上の照明器具、及び/又はかかる環境内で使用可能な1つ以上の家庭用機器若しくは事務用機器を制御するための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、照明をオン/オフに切り替えるために、照明レベルを上下に調光するために、発光色設定を設定するために、又は状態情報を照明装置に要求するために、建物又は他の環境を照らす1つ以上の照明器具を制御するための幾つかの技法が存在する。
【0003】
1つの技法は、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ等のユーザ端末上で実行されるアプリケーションを使用することである。ユーザ端末と照明装置の制御ユニットとの間には有線又は無線の通信チャネル、モバイルユーザ端末の場合は典型的にはWi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)チャネル等のRFチャネルが設けられる。アプリケーションは、ユーザ端末上で実行されるアプリケーションに入力されるユーザ入力に基づき、このチャネルを使用して制御ユニットに照明制御要求を送信するように構成される。何れの照明器具が制御されるべきかを決定するために、利用者はアプリケーションによって提示される一覧から所望の照明器具を選択する。
【0004】
別の実施例では、照明器具によって放たれる光内に埋め込まれる(即ち、人間にとって実質的に知覚不能なほど高い周波数で光内に変調される)符号化光信号を検出するために、アプリケーションはユーザ端末の内蔵カメラ(例えばスマートフォンの背面カメラ)を使用することができる。この技術に基づき、システム内の照明器具のそれぞれは、システム内で一意のそれぞれの異なるID(例えば異なるコード又は変調周波数)が埋め込まれる光を放つように構成される。利用者は自らが制御しようとする照明器具又はシーンにカメラを向けることができ、カメラによって捕捉される光内で検出される埋込みIDに基づき、関連する照明器具の識別情報をアプリケーションが自動で突き止める。
【0005】
別の技法は、利用者が特定の区域内、例えば特定の室内にいるときを検出するための屋内位置特定ネットワークを提供することである。屋内位置特定ネットワークは、建物内の様々な位置に設置される複数のアンカノードを含み、そのそれぞれは(装置中心の手法では)利用者のモバイルユーザ端末によって検出されるビーコン信号を放ち、又は(ネットワーク中心の手法では)モバイル端末によって放たれるビーコン信号を聴く。利用者の現在位置を突き止めるために、受信信号強度(例えばRSSI)又は飛行時間(ToF:time of flight)等、それらの信号の測定値が使用され得る。例えば照明をオンにし又は薄暗くするために利用者が照明を制御するためのユーザ入力を行うと、システムは利用者が検出される室内又は区域内の照明器具のみを制御する。
【0006】
他の技法は、建物内の照明を自動で(即ち、利用者による明確なユーザ入力を必要とせずに)制御するためのシステムを提供する。そうした自動制御は、プレゼンスインフラ又は位置特定ネットワークによって利用者の存在を検出し、利用者がいると検出される任意の区域内の照明を自動でオンにし又は明るくすること、及び利用者がいると検出されない任意の区域内の照明を自動でオフにし又は暗くすることを含む。例えば、利用者が室内にいるかどうかを検出するために受動型赤外線(PIR:passive infrared)センサ又は能動型超音波センサ等のプレゼンスセンサが建物の各室内に設置され得、利用者の存在が検出されるときにそれぞれの室内の照明器具が自動でトリガされ、ある期間にわたって存在が検出されない後で時間切れになり得る。
【0007】
上記の技法の全ては利用者にとって扱いにくいか、又は環境(例えば建物)内に著しい量のインフラが設置されることを必要とする可能性がある。
【0008】
制御される照明器具を利用者が一覧から選択する事例では、住居設定又は事務所設定等において接続される照明器具の数が増すにつれ、利用者が制御可能な照明器具が多数あることにより、各照明器具を個別に制御することが複雑且つ時間のかかるものになり得る。最も関連する照明器具用の制御部が多数の選択肢によって目立たなくなる場合があり、利用者は所望の照明器具用の制御部を見つけるまで多くの選択肢をスクロールするか、又は検索しなければならない。
【0009】
制御される照明器具が符号化光に基づいて識別される場合、利用者が慣れている又は快適である動作ではない可能性がある、利用者が自らのスマートフォン又はタブレットのカメラを照明にかざすことを必要とする点で、かかる形態も依然として利用者にとって不自然であり得る。更に、全てのスマートフォン及びタブレットのカメラが符号化光を検出可能なわけではなく、必ずしも全ての照明器具が符号化光を放つように装備されているわけでもない。
【0010】
屋内位置特定又はプレゼンス検出が使用される場合、かかる形態は著しい量のインフラが設置されることを必要とし、そのことは複雑で時間がかかり、費用もかかる可能性がある。更に、例えば内部でビーコンノードが常に途絶えることなくビーコン信号を放つ屋内位置特定ネットワークの場合、又は連続的な超音波パルスを放つ能動型超音波センサ等の他の能動型感知様式の場合、インフラの消費電力が非常に大きいことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の問題又はそれ以外の問題の1つ以上を解決するために、1つ以上の照明器具を制御する際に使用するための代替的技術を見つけることが望ましい。同様の考察は、照明だけでなく他の家庭用機器又は屋内機器の制御にも当てはまり得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書で開示される一態様によれば、(オンのときに)利用者によって占有される環境の少なくとも一部を照らす1つ以上の照明器具を制御し、且つ/又は環境内で使用可能な1つ以上の屋内機器若しくは事務用機器を制御するための(有線又は無線)送信機を含む機器が提供される。例えば環境は、照明器具の異なるものが様々な階数にわたって位置する建物を含み得る。ユーザ端末は、好ましくはスマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ等のモバイル端末のユーザ端末の形態を取り得る。この機器は、送信機を介して照明器具を制御するための制御機能、例えばWi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)によって照明を制御するためのアプリケーションを提供するように構成されるコントローラも含む。コントローラは、利用者の人物の周りに配置される高度計から高度測定値を受信し、且つそれに基づき、照明器具及び/又は機器のそれぞれの高度に対する利用者の高度に依存して、例えば照明器具及び/又は機器が位置する階数に対する、利用者がいる建物の階数に依存して、前記制御機能を提供するように構成される。
【0013】
機器はモバイルユーザ端末の形態を取ることができ、高度計は前記ユーザ端末に内蔵され得る。実施形態では、高度計を組み込むこのユーザ端末がウェアラブル、例えば照明制御アプリケーション及び高度計を有するスマートウォッチ又はスマートグラスであり得る。或いは、この機器は、高度計がユーザ端末の外部にあるモバイルユーザ端末又は静止ユーザ端末(送信機及びコントローラを含む)を含み得る。その場合、実施形態では高度計がウェアラブルであり得る。
【0014】
実施形態では、送信機は複数の照明器具及び/又は家庭用機器若しくは事務用機器を制御するためのものである。前記制御機能は、利用者が操作可能な制御部の組をユーザ端末のユーザインタフェースを介して利用者に提示することを含むことができ、利用者が操作可能な制御部のそれぞれは、照明器具及び/又は機器のうちのそれぞれの1つ以上を利用者が制御することを可能にする。この場合、相対的高度に対する前記依存は、それぞれの照明器具及び/又は機器の高度に対して利用者の高度がどの程度近いかに従って利用者への関連性を表すやり方で、利用者が操作可能な制御部を提示することを含む。即ち、高度に関して利用者により近い照明器具及び/又は機器を制御する、利用者が操作可能な制御部の1つ以上は、高度に関して利用者から離れている照明器具及び/又は機器を制御する、利用者が操作可能な制御部の他の1つ以上よりも関連性があるものとして(例えばより目立つように)提示される。換言すれば、制御部は、利用者に対するその垂直近接度に従って優先順位付けされる。
【0015】
例えば、利用者が操作可能な制御部は一覧内に提示され得、及びコントローラは、それぞれの照明器具及び/又は機器の高度に対して利用者の高度がどの程度近いかに依存してその一覧を順序付けることにより、利用者が操作可能な制御部の関連性を表すように構成され得る。即ち、高度に関して利用者により近い照明器具及び/又は機器を制御する、利用者が操作可能な制御部の1つ以上は、高度に関して利用者から離れている照明器具及び/又は機器を制御する、利用者が操作可能な制御部の他の1つ以上よりも一覧内の高い位置に提示される。
【0016】
ある例示的応用では、環境が複数の別個のレベル、例えば建物の階数に分割され、及び相対的高度に対する前記依存が、照明器具及び/又は機器が位置するレベル(例えば階数)に対して、利用者が別個のレベル(例えば階数)の何れに位置するかに依存して制御機能を提供することを含む。例えば、利用者と同じ階上にある照明器具及び/又は機器を制御する、利用者が操作可能な制御部が一覧の最上部に提示され得、又はさもなければ別の階にある他の照明器具及び/又は機器よりも目立つように提示され得る。
【0017】
高度計の代替的用途として、ユーザインタフェース内の手動制御部の提示を優先順位付けする代わりに、前記制御機能は照明器具及び/又は機器を自動で制御することを含むことができ、及び相対的高度に対する前記依存は、照明器具及び/又は機器のそれぞれの高度に対する利用者の高度に依存して自動制御を行うことを含み得る。例えばコントローラは、利用者と同じ階上にある照明を自動でオンにし、利用者によって占有されていない階上の照明を自動でオフにするように構成され得る。
【0018】
任意選択的に、環境(例えば建物)は、同一水平レベル上の区域を含む複数の区域(例えば部屋)に分割され得、各区域は照明器具及び/又は機器の1つ以上を含み、及びコントローラは、それぞれの照明器具及び/又は機器の区域(例えば部屋)に従ってユーザインタフェース内の利用者が操作可能な制御部をグループ化するように更に構成され得る。これは、先に明記したローカル化技法(例えばRSSI又はToF)の1つ以上を採用することによって実現され得る。
【0019】
実施形態では、コントローラは、利用者が位置するレベル(例えば階)内の高度計の高さを前記高度測定値に基づいて決定し、且つ前記高さに依存して前記制御機能を提供するように更に構成され得る。
【0020】
実施形態では、コントローラは、データベースからの照明器具及び/又は機器のそれぞれの高度の記録にアクセスするように構成され得、前記相対的高度に依存した制御機能の提供はかかる記録へのアクセスに基づく。
【0021】
更なる実施形態では、コントローラは、環境のグラフィカルマップ上で照明器具及び/若しくは機器の位置を指示することによって、又は照明器具及び/若しくは機器のそれぞれの高度に高度計を配置し、及び高度計から対応する測定値を得ることによって、利用者が照明器具及び/又は機器の高度を前記データベース内に記録することを可能にする、利用者が使用するためのコミッショニング機能を提供するように更に構成され得る。
【0022】
本明細書で開示される更なる態様によれば、本明細書で開示されるコントローラ又はシステムの特徴の何れかによる操作を含む対応する方法が提供され得る。本明細書で開示される別の態様によれば、本明細書で開示されるコントローラの特徴の何れかによる操作を実行するように構成される、コンピュータ可読記憶媒体上に実装されるコードを含む対応するコンピュータプログラム製品が提供され得る。
【0023】
本開示の理解を促進し、実施形態を実践し得る態様を示すために、添付図面を例として参照する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】照明システム及び利用者を含む環境の概略図である。
図2】外部の高度計及び照明器具と通信するユーザ端末の概略図である。
図3】照明器具と通信する、内蔵高度計を有するユーザ端末の概略図である。
図4】利用者が操作可能な複数の制御部がユーザ端末のユーザインタフェースによって示されている、ユーザ端末の概略図である。
図5】利用者が操作可能な複数の制御部がユーザ端末のユーザインタフェースによって示されている、ユーザ端末の別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
人間を取り巻く電子装置の多くは、互いに(直接又はネットワークを介して)通信する機能を備える点でますます「接続」されている。即ち、場合により多岐にわたる様々な目的に使用される様々な個々の機能を有する様々な装置が情報を共有することができる。更に、スマートフォン及びタブレット、更にはスマートリストバンド、スマートウォッチ、スマートグラス等のウェアラブルデバイス等の装置が利用者、装置自体、及び/又はその環境に関する情報を感知する機能を備え、使用の状況に合った対話機能を提供することができる。
【0026】
照明システムは同じ動向をたどり、接続される照明システムの人気が高まっている。例えばPhilipsのHue等のシステムは、人がデジタルチャネルによって自宅内の照明を制御することを可能にしている。しかし、接続される器具の数が増すにつれ、それらの全ての装置を制御する複雑さも増す。
【0027】
例えば照明システムでは、利用者が制御可能な全照明器具の一覧の最上部に最も関連する照明器具が常にあるわけではない。少数(例えば約5個まで)の照明器具では、全照明器具にわたる制御が利用者にとって比較的簡単な方式で提供され得るが、その個数が増えると直ちに全ての照明器具を個別に制御すること、又はシステム内の知られている全ての照明器具の一覧を検索することが望ましくなくなることが想像できる。例えば50個までの照明器具をサポートするシステムは、制御可能な照明器具の長い一覧をもたらし、利用者が特定の照明器具を選択しようとする場合、そのための特定の制御部を見つけることは煩雑で時間がかかり且つ/又は退屈な手続きになり得る。
【0028】
照明器具をシーン内にグループ化し、又は部屋ごとにグループ化する可能性は、上記の手続きをある程度単純化する。しかし、環境内のシーン又は部屋の数が増えるにつれ、かかるグループ化さえも使用するのが困難になり得る。
【0029】
かかる検討事項に対処するために、利用者に最も関連する照明器具を制御する制御部を優先しながら制御部を順序付けることが望ましく、即ち、その結果、最も容易に入手可能な対話の実行可能手段が利用者の現状に最も適しているものになる。
【0030】
位置情報(即ち、利用者の現在位置に関する情報)でユーザインタフェースを拡張することは、利用者向けの制御部を構成し単純化することを促進し得る。以下、利用者の位置に関する情報を実施形態ではウェアラブルテクノロジによって決定し、利用者向けの対話の実行可能手段をその決定に基づいて順序付けするか、又は他に優先させるための高度な技法を提供する。とりわけ、照明器具と比べた利用者の垂直位置を決定するために高度計が使用される。利用者の相対的垂直位置に基づき、利用者と同じレベルにある照明器具用の制御部がユーザインタフェース内で最初(例えば一覧内の先頭)に提示される。例えば自宅又は事務所等の階数レベル(例えばグランド階や一階等)が(例えば利用者が所持するブレスレット又は携帯電話内の)高度計センサに基づいて決定され得、決定された階数レベル上にある照明器具を(他の階上の照明器具と比べて)最も目立つように列挙又は他に提示するような態様でユーザインタフェースが構成され得る。
【0031】
図1は、例えば1つ以上の住居又は企業事務所を含む建物の形態を取る環境2の一例を示す。建物2は、複数の階数(階)3と、異なる階数3の少なくとも一部にわたって建物2内の様々な位置に設置又は他に配置される複数の照明器具4を含む照明システムとを含む。各照明器具4は、LEDアレイ、ガス放電灯、フィラメント電球等、少なくとも1つの光源(ランプ)を含む。照明器具4は、(オンのときに)1人又は複数の利用者(人間)によって占有され得る建物等の環境の要部を照らすために適切な出力及び分布で発光する照明装置であり、即ち、それにより利用者は周囲を歩くことができ、環境内の物体を見ることができる(従って照明器具は、例えば情報のみを提供し、十分な照明を与えない機器のディスプレイの表示灯とは異なる)。
【0032】
図示の実施例では、建物2がグランド階3(0)、一階3(1)、及び二階3(2)の3階数を含む(本明細書で使用される階数番号は地上の階数を指すことに留意されたい)。この3階にわたって12個の照明器具4が割り当てられており、グランド階3(0)には3個の天井設置型照明器具4a、4b、4c及び1個の自立型照明器具4dがあり、一階3(1)には3個の天井設置型照明器具4e、4f、4g及び1個の自立型照明器具4hがあり、二階3(2)には3個の天井設置型照明器具4i、4j、4k及び1個の自立型照明器具4lがある。当然ながら、これは一実施例に過ぎず、異なる階数にわたる異なる数の照明器具もあり得る。
【0033】
建物2は、任意の所与の時点において階数3の何れか1つ(又は階数3の少なくとも幾つか)に位置し得る(人間の)利用者6によって占有される。利用者6は、ユーザ端末8を所持し又はユーザ端末8にアクセスできる。実施形態では、ユーザ端末8は利用者6がその人物の周りに持ち運ぶ、例えば保持され、着用され、ポケット又はバッグ内にしまわれるモバイルユーザ端末である。例えばユーザ端末8は、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、スマートウォッチ、又はスマートグラスの形態を取り得る。或いは、利用者6の位置が依然として未知であるが、ユーザ端末8はデスクトップコンピュータ又は専用の照明制御端末(例えば壁パネル)等の静止端末であることも排除されない(例えば静止端末は建物内に配置されるかかる幾つかの端末のうちの1つであり、端末の位置についての記録は入手できない)。
【0034】
図2及び図3も参照すると、ユーザ端末8は、少なくとも照明器具4に制御信号を伝送するために照明器具4と通信するための送信機18を含む。実施形態では、送信機18は、制御信号に応答してそれぞれの照明器具4から肯定応答及び/又は状態報告を受信するための受信機もユーザ端末8上で伴い得るが、それはあり得る全ての実施形態において必須ではない。以下、送信コンポーネント18は送信及び受信の両方のためのトランシーバと呼ばれるが、最低でも送信機であることが理解されよう。
【0035】
トランシーバ18は、これらの通信を無線技術、例えばWi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等のRF技術、イーサネット(登録商標)若しくはDMX等の有線技術、又はそれらの任意の組合せによって行うように構成され得る。通信は、無線ルータ及び/又は照明器具4の中央制御ユニット等、1つ以上の中間端末12を介して伝達され得る。或いは、上述の通信は、中央コントローラ又はルータ等の中間ユニット12を必要とすることなしに、ユーザ端末8と照明器具4との間で直接、例えばユーザ端末8と照明器具4のそれぞれとの間の直接の無線接続によって伝送され得る。
【0036】
実例として、ある照明システムの実施例ではシステムの中央制御ユニットがなく、照明器具4のそれぞれが自らのローカル制御ユニット及び無線受信機を含む。ユーザ端末8上のコントローラ16は、自らのトランシーバ18を使用し、照明器具の個々の受信機のそれぞれとの直接の無線接続、例えばZigBee(登録商標)又はBluetooth(登録商標)接続により、更には照明器具4及び/又は他のユーザ端末のうちの他の1つ以上によって無線で中継されるアドホックルート又はピアツーピアルートにより、照明制御信号を所望の照明器具4に直接伝送する。この実施例の改変形態として、ユーザ端末8上の制御コントローラ16が、信号を中継するがそれ自体は照明システム自体の制御ユニットではない無線ルータ、例えばWi-Fi(登録商標)ルータの形態を取る中間ユニット12を介して照明制御信号を所望の照明器具4に伝送する。
【0037】
代替的な照明システムの実施例では、照明システムが中央制御ユニットの形態を取る中間ユニット12を含む。ユーザ端末8上のコントローラ16が照明制御信号を中央制御ユニット12に伝送し、中央制御ユニット12がその照明制御信号を関連する照明器具4に転送する。例えばこの通信は、ユーザ端末8と制御ユニット12との間の無線接続(例えばWi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標))、及び制御ユニット12と照明器具4との間の無線又は有線インフラ(例えばイーサネット(登録商標)又はDMX)によって行われ得る。中央制御ユニット12から照明器具4に転送される照明制御信号は、ユーザ端末8から中央制御ユニット12に伝送されるときとは異なる形態を取り得る。転送は、中央制御ユニット12によって適用される1つ以上の条件次第とすることができ、例えば中央制御ユニット12は、利用者6が照明を制御できるようにする前に利用者6が本人であることを確認するための認証を行うことができ、且つ/又は他の利用者からの潜在的に競合する制御要求を調停するための調停を行うことができる。
【0038】
簡潔にするために様々な選択肢をその都度繰り返さないが、本明細書に記載の通信の何れも上記で論じられたかかる任意の手段によって行われ得ることが理解されよう。
【0039】
ユーザ端末8上では、コントローラ16が、トランシーバ18に動作可能に結合され、照明制御信号を生成し、トランシーバ18を介してそれぞれの照明器具4に伝送するためにその照明制御信号を出力することによって照明器具4を制御するように構成される。コントローラ16は、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体(例えばハードディスク等の磁気媒体、EEPROM又は「フラッシュ」メモリ等の電子媒体)上に実装されるソフトウェアの形態で実装され、ユーザ端末8の1個又は複数個のプロセッサ上で実行されるように構成され得る。例えば実施形態では、コントローラ16がユーザ端末8上で実行される照明制御アプリケーションの形態を取る。但し、コントローラ16が代わりに専用のハードウェア回路、構成可能若しくは再構成可能な回路(例えばPGA又はFPGA)、又はソフトウェアとハードウェアとの任意の組合せによって実装され得ることも除外されない。
【0040】
いかなる手段で実装されようとも、ユーザ端末8上のコントローラ16は、高度計10から高度測定値を得るようにも構成される。本明細書で言及される高度計とは、(屋内位置特定ネットワーク又はGPS等の衛星による位置特定ネットワーク等の3D位置特定ネットワークを概して用いて3D位置を測定する測位システムとは対照的に)地球に対する高度を検出するための専用の感知モダリティを含む器具である。実施形態では、高度計は、気圧を感知することに基づいて高度測定値を決定するように構成される気圧センサを含む。
【0041】
図1及び図2に示されているように、高度計10はユーザ端末8の外部に、即ち、別個のハウジングを有し、ユーザ端末8と機械的に接続されないことができる。例えば高度計は、例えば腕時計、リストバンド、アームバンド、ウエストバンド、ヘッドバンドの形態を取るか、又は布片に組み込まれるウェアラブル高度計とすることができる。本明細書で使用されるウェアラブルという用語は、装置を身体に取り付け、ぶら下げ、さもなければ身体から支持するように、又は服の別のアイテム(例えばクリップ又はピンを含む)に取り付けるようにデザインされる形状を有する(例えばストラップ、ゴム紐、1つ以上の身体部位にフィットするように形作られる衣類を含む)任意の装置を指し得る。
【0042】
外部の高度計10の場合、コントローラ16が高度計から高度測定値を好ましくはWi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)接続等の無線接続によって受信するように構成される(但し高度測定値が、高度計10とユーザ端末8との間の可撓ケーブルの形態を取る有線接続によって受信され得ることも除外されない)。実施形態では、高度測定値が照明器具4と通信するのに使用されるのと同じトランシーバ18によって受信され、或いは、ユーザ端末8は、高度測定値を受信するために使用する別のトランシーバ(又は少なくとも受信機)を備え得る。何れにしても、照明器具4に関連して論じられるのと同様の選択肢が高度計10との接続に関してあり得る(即ち、直接接続又は無線ルータ等の1つ以上の中間端末12を介した接続)。
【0043】
或いは、高度計10は、コントローラ16と同じユーザ端末8内に、即ち、同じハウジング内に組み込まれ得、コントローラ16は高度測定値を内部接続によって得るように構成される。この場合、ユーザ端末8はモバイルユーザ端末であり、実施形態ではウェアラブル、例えばスマートウォッチ又はスマートグラスであり得る。
【0044】
高度計10がユーザ端末8の内部にあろうと外部にあろうと、高度計10が提供する高度測定値は、ユーザ端末8上のコントローラ16が利用者の現在の高度を決定することを可能にする。実施形態では、高度計10から受信される高度測定値は、高度計の高度を(デジタルシステム内で可能な限り)ほぼ連続可変スケールで規定し、例えば高度計の高度を地上のメートル単位で表す。この場合、ユーザ端末8上のコントローラ16は、連続可変スケールからの高度測定値を例えばメートルから階数に変換することにより、利用者の高度を階数に換算して求めるように構成され得る。或いは、既に階数を単位にして表わされている高度測定値を出力するように高度計10が較正され得ることも除外されず、その場合、ユーザ端末8上のコントローラ16は、高度計10から高度計10の階数を単に読み取ることによって利用者6の高度を求めることができる。
【0045】
更にコントローラ16は、照明器具4のそれぞれの高度を求めるように構成される。実施形態では、コントローラ16は、データベース11内で照明器具4のそれぞれを探索することによって照明器具4のそれぞれの高度を求めるように構成され、データベース11は、照明器具のそれぞれのID(例えばアドレス)を、階数に関して又はコントローラ16が階数に変換する(例えばメートルを単位とする)(ほぼ)連続可変スケールの値に関して照明器具のそれぞれの高度とマッピングする。照明器具は、通常、決まった高度を有することに留意されたい。任意選択的に、データベースは照明器具4のそれぞれの個々の名前も規定することができる。実施形態では、照明器具4のそれぞれの高度が、例えば照明器具4のそれぞれに個々にマップされる階数を単位とする高度を探索することによって得られ得る。即ち、コントローラ16は、各照明器具4のIDを使ってデータベース11をクエリし、対応する高度の指示を得る。例えば下記の例がある。
【0046】
【表1】
【0047】
或いは、照明器具4のそれぞれの高度の指示は、階数にマップされる照明器具の組を探索することによって得られる。即ち、コントローラ16は、階数を使ってデータベース11をクエリし、その階上に1つ以上の照明器具4の何れが位置するかについての指示を得る。例えば、下記の通りである。
【0048】
【表2】
【0049】
又は、上記の例の改変形態では、データベース11が照明器具の高さを(ほぼ)連続可変スケールで(例えばメートル又はセンチメートル単位で)規定することができ、コントローラ16がそれを階数に変換する。
【0050】
データベース11は、小さいルックアップテーブルから大規模データベースまで、任意の適切なデータ構造の形態を取り得る。データベース11は、ユーザ端末8内の内蔵データ記憶域上に及び/又はユーザ端末8の外部にある外部データ記憶域上に実装され得る。外部データ記憶域の場合、コントローラ16は外部データ記憶域との適切な接続によって、好ましくはWi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)接続等の無線接続によってデータベース11をクエリするように構成される(但し有線接続も除外されない)。実施形態では、照明器具4と通信するのに使用されるのと同じトランシーバ18によってデータベース11がクエリされ、或いは、ユーザ端末8は、データベース11をクエリするために使用する別のトランシーバを備え得る。何れにしても、照明器具4に関連して論じられるのと同様の選択肢がデータベース11との接続に関してあり得る(即ち、直接接続又は無線ルータ等の1つ以上の中間端末12を介した接続)。更に、データベース11を記憶するデータ記憶域は、環境2内でローカルに又はリモートに記憶され得る。例えば実施形態では、データベース11が環境2のローカルエリアネットワークのサーバ上に記憶され得、コントローラ16が、トランシーバ18及びローカルエリアネットワークの無線ルータ12を介して無線でデータベース11にアクセスするように構成され得、又は他の実施形態では、データベース11がインターネット又はモバイルセルラネットワーク等の広域ネットワークのサーバ上に記憶され得、コントローラ16が、トランシーバ18及び広域ネットワークに接続する無線アクセスポイント12を介してデータベース11に無線でアクセスするように構成され得る。データベース11を記憶するデータ記憶域は、単一の記憶ユニット(例えば単一のサーバユニット)内に実装されても、1箇所又は複数箇所の地理的位置にわたる複数の記憶ユニット(例えば複数のサーバユニット)にわたって分散され得ることにも留意されたい。
【0051】
別の代替形態として、照明器具4の高度をデータベース11内で探索する代わりに、照明器具4が内蔵高度計を備えることもでき、自らの現在の高度についての指示をコントローラ16に伝送することができる。例えば殆どのシナリオで照明器具4が決まった高度を有するが、かかる代替形態は、照明器具4が場合により可変高度を有し得るシステムに対応し得る。
【0052】
動作面では、コントローラ16は、利用者の現在の使用の状況に合わせられ、従って照明システムとの対話を単純化する対話の実行可能手段を利用者6に与えるように構成される。
【0053】
コントローラ16は、利用者6が現在位置する建物2の階数3、例えばグランド階や二階等として表わされる利用者6の現在位置を求めるために高度計10を使用する。更に、建物全体にわたる照明器具4の分布も知られており、各照明器具4の位置も建物2の階数3によって表わされ得る。コントローラ16は、その情報を用いて利用者6の現在の高度をシステム内の照明器具4それぞれの高度と比較するように、従って照明器具4のそれぞれに対する利用者6の垂直近接度を求めるように構成される。
【0054】
更に図4及び図5を参照すると、コントローラ16は、利用者が操作可能な複数の制御部15をユーザ端末8のユーザインタフェース14(例えばユーザ端末8の画面上に提示されるグラフィカルユーザインタフェース又はテキストによるユーザインタフェース)によって利用者に提示するように構成される。利用者6によって活性化されるとき、各制御部15は照明器具4のそれぞれ、又は照明器具4のそれぞれのグループ(例えば所与の階上の又は所与の室内の全ての照明器具)を操作する。例えば制御部は、それぞれの照明器具4をオン/オフ切り替えること、照明器具4を上下に調光すること、発光色を変えること、及び/又は状態情報をそれぞれの照明装置4に要求することを利用者が行えるようにし得る。
【0055】
利用者6の位置(照明器具4に対して利用者6が何れの階にいるかに関する)に基づき、コントローラ16は、利用者6の最も近くに位置する(即ち、同じ階上にある)照明器具4の制御部15を高い優先順位で且つユーザインタフェース14内で最初に順序付けて提示するように構成されるのに対し、更に離れている(別の階上にある)照明器具4の制御部15はより低い優先順位を有し、ユーザインタフェース14内で低い順序を付けられる。従って、コントローラ16は、ユーザインタフェース内の照明器具4の制御部を編成する。利用者6の(垂直)位置を共有する照明器具4はユーザインタフェース14内でより高い(例えば一覧内のより高い)順位が与えられ、照明器具4が離れれば離れるほどその順位も下がる。最も高い順位を有する照明器具4は、ユーザインタフェース14内でアクセスできる最初の照明器具である。
【0056】
利用者6にとって、このことは利用者が自らの状況に関連するランプに容易にアクセスできることを確実にし、それはシステムが利用者のためにランプを優先順位付けするからである。このことは所望の照明器具4の選択を単純化し、その照明器具又は照明器具のグループ用の制御選択肢15を見つけるのにかかる時間及び労力を減らす。
【0057】
例えば、図示の図1の実施例を図4及び図5と組み合わせて参照すると、利用者6が二階3(2)に位置する場合、コントローラ16はそれを検出し、利用者6が照明器具4i、4j、4k、及び4lと同じ階上にいると判定する。この判定に基づき、コントローラ16は、利用者が操作可能な照明器具4i、4j、4k、4l用の制御部15を制御部一覧の最上部に提示することができる(図4参照)。任意選択的に、他の照明器具4a〜4h用の制御部15もそのそれぞれの高度と利用者6の高度との差の程度に従って順序付けられ得、即ち、それにより隣接する階上の照明器具が一覧の直下に列挙され、或いは、コントローラ16は単に同じ階上の照明器具用の制御部15を最初に提示し、他の階上の照明器具用の制御部には特定の順序を与えないこともできる。
【0058】
利用者6が階段を下りて一階3(1)に行く場合、コントローラ16がそれを検出し、利用者6が照明器具4e、4f、4g、及び4hと同じ階上にあると判定する。この判定に基づき、コントローラ16は、今度は利用者が操作可能な照明器具4e、4f、4g、4h用の制御部15を制御部一覧の最上部に提示することができる(図5参照)。
【0059】
実施形態では、開示された技法は、垂直的に最も近接する照明器具4を制御部15の一覧の最上部に順位付けることに限定されないことに留意されたい。他の実施形態では、例えば利用者6と同じ階数3上にある照明器具4用の制御部15を強調表示し又はそれらを分離されたメニュー内で提示することにより、垂直的に最も近接する照明器具4用の制御部15をより目立たせ又はより高く優先順位付けする他の態様がある。
【0060】
更なる実施形態では、高度計が階数3の間隔よりも細かい分解能まで正確である場合、現在の階数3内の高度計の高さをコントローラ16が決定することを高度計の高度測定値が可能にするように対話が拡張され得る。例えば、高度計10又は(内蔵高度計の場合に)高度計10が収容されるユーザ端末8はウェアラブルとすることができ、利用者6の肢に(例えばリストバンドによって)取り付けられ得、又は利用者6の手の中で保持され得る。従って、高度計10からの高度測定値は、利用者6が何れの階数3上にいるかだけでなく、利用者の肢の高さ又は手等の肢の特定の部位の高さもコントローラ16が突き止めることを可能にする。更に、コントローラ16が、何れの階上にあるか(例えばこれはデータベース11内にも記憶されている)よりも細かい分解能で照明器具4の高さも突き止めることができる場合、コントローラ16は、同じ階数3上にある照明器具4の高さと比べた利用者の手又は肢の高さを決定することができる。その場合、利用者6が自らの肢又は手を動かすことにより、コントローラ16は対応する高さに位置する照明器具4を優先させることができる。例えば、手を上に動かすことは天井灯を選択し、卓上スタンドのレベルに手を保持することは卓上スタンドを選択すること等になる。
【0061】
更なる実施形態では、照明器具4が各階数3の水平面内の区域ごとに更にグループ化され得、例えば区域は別々の部屋であり又は様々な照明シーンに対応する。例えばデータベース11は、照明器具4のそれぞれが何れの区域に属するかについての情報も記憶することができ、コントローラ16はデータベース11をクエリすることによってグループ化を決定することができる。コントローラ16は、その区域に従ってグループ化される照明器具4用の制御部15を提示することができる。
【0062】
かかる事例の特定の実装形態では、個々の照明器具の名前又はIDを表示する代わりに、コントローラ16はグループ名のみを表示することができる。更に、ユーザインタフェース14内のグループ又はシーンの順序は、各グループ内の個々の照明器具4の順序に基づくことができ、例えばユーザインタフェース14は利用者6の(垂直的に)最も近くにある照明器具4を含むグループを最初に表示し、或いは、グループは各グループに関連する「平均」高度に従って順序付けられ得る。
【0063】
一部の実施形態では、コントローラ16が、照明器具4の水平位置に対する利用者6の水平位置に基づいて適合するようにも構成され得る。例えばコントローラ16は、屋内位置特定ネットワーク又はGPS等の衛星による位置特定ネットワークから、又は符号化光等の他の手段によって利用者6の水平位置を求めることができる。例えばコントローラ16は、制御部15をまず高度に基づいて、次いで水平位置に基づいて優先順位付けすることができ、例えば制御部15をまず階数3に基づいて優先順位付けし、次いでその階内での利用者への水平近接度に基づいて優先順位付けする。例えば、一覧の最上部に提示される、利用者6と同じ階上にある照明器具4用の制御部15の組のうち、制御部15がその最上部の組内でその区域(例えば部屋又はシーン)に従ってグループ化され得、利用者6と同じ区域内にある照明器具4は一覧の一番上に(又は概して同じ階数3上にある他の照明器具4よりも目立つように)提示される。
【0064】
従って、開示される技法は追加の位置情報によって任意選択的に拡張され得る。例えば、特定の室内の照明器具4の分布が分類の一部であり得る。部屋の検出は、符号化光技法(様々な照明器具4によって放たれる光内に目に見えないように埋め込まれる一意のID)によって、インテリジェントビーコンによって、無線信号強度検出によって、又はかかる技術の組合せによって実現され得る。一覧は、利用者に垂直的に近いだけでなく水平的にも近いランプによって拡張され得る。
【0065】
また更なる実施形態では、コントローラ16は、システムの使用前に照明器具4のそれぞれに位置を最初に割り当てるためのコミッショニング機能を提供し且つ/又はその位置を更新するように、即ち、階数に関する垂直位置を割り当て、実施形態では部屋又は区域等の関連する任意の水平位置特定情報を割り当てるようにも構成され得る。実施形態では、コントローラ16は、利用者6が照明器具4を制御することを可能にする、利用者が操作可能な制御部15を提示するのと同じユーザインタフェース14によってこの機能を提供する。例えば設置時に又はシステムを更新するために、コントローラ16は、照明器具4を表すアイコンを建物2(例えば自宅又は事務所)のマップ上にドラッグアンドドロップすることにより、何れの照明器具4が何れの位置にあるかを利用者6が指定することを可能にすることができ、或いは、照明器具4が位置する階数を利用者が入力する。これは設置中又は更新中の照明器具4ごとの名前付けプロセスの一部とすることもできる。
【0066】
高度計10及び任意の水平位置特定技術によって得られる利用者の位置に関する情報は、照明器具4と同じ位置の枠組み内で表わされ、そのため、利用者6が相対的に位置する間取図は照明器具の間取図と同じ又は均等になる。
【0067】
改変形態では、手動コミッショニングの代わりに、高度計10からの測定値を使用して半自動式に照明器具4のコミッショニングを支援するようにコントローラ16が構成され得、即ち、利用者6の現在位置を検出するために使用されるのと同じ高度計10が、設置中又はシステムの更新中に照明器具の高度を記憶するためにも使用され得る。この場合、新たな照明器具4が設置されると、(例えばウェアラブルデバイス内で着用される)高度計10を対象の照明器具4に近付けることにより、利用者6はその照明器具4をレジストレーションすることができる。この動作の結果、コントローラ16は高度計10による測定に基づいて高度を検出し、例えばその高度を階数及び任意選択的に階内の高さにも関してデータベース11内に記憶することにより、その高度を新たに設置される照明器具4に関連付ける。こうして、利用者6が照明器具4を設置するときにシステムが現在の階数3を検出し、自動で記憶する。この場合、照明器具4が地面に対するその高度及び(ある階の天井照明を次の階の床照明とグループ化するのを防ぐための)天井の平均高さに基づいて自動でグループ化され得るため、間取図は必須ではない。
【0068】
上記の実施形態は専ら例として説明されたことが理解されよう。
【0069】
例えば、上記で開示された技法は自宅に限定されず、事務所や病院等の他の照明領域にも適用され得る。更に、上記で開示された技法は建物の階数に関してのみ適用できるわけではなく、個別のレベルに分割される、例えば平坦にされた庭のレベル、船のレベル、又は足場設備内のレベルに分割される任意の環境に関して適用され得る。
【0070】
別の代替形態として、高度計10は高度を連続可変スケールで出力することができ、ユーザ端末8上のコントローラ16は、個別の階数又はレベルに変換することなしに(ほぼ)連続可変スケールを処理し続けるように構成され得る。この場合、コントローラ16は、照明器具4の高度を連続可変スケールで(例えば照明器具4の高度をかかる形式で記憶している可能性があるデータベース11をクエリすることによって)求め、その高度を利用者6の高度と連続可変スケールで比較する。次いでコントローラ16は、利用者の高度と照明器具4の高度との定量化された差の順に、利用者が操作可能なユーザインタフェース14内の対応する制御部15を連続可変スケールで優先順位付けすることができる。例えばコントローラは、メートル又はセンチメートル単位の利用者の高度をメートル又はセンチメートル単位の照明器具4のそれぞれの高度と比較し、一覧内の制御部15をメートル又はセンチメートルの差に従って順序付けすることができる。本開示では、デジタル電子機器内で表現することによる値の固有の定量化は、「離散的」だと見なされるほど十分粗いと考えられていないことにここでも留意されたい。
【0071】
更に本開示の範囲は、制御部を関連性に従って優先順位付けすることに限定されない。代替的実施形態では、コントローラ16が、利用者の高度に基づいて照明器具4を自動で制御するように、例えば利用者6と同じ階数3上にある照明を自動でオンにし、他の階数3上にある照明を自動でオフにするように構成され得る。
【0072】
更に、上記で開示された技法は照明以外の他の用途、例えばオーディオ機器及び/又はビデオ機器、TV、DVSプレーヤ、セットトップボックス、洗濯機、食器洗い機等の他の小型若しくは大型家庭用機器、及び/又はプリンタ、スキャナ、写真複写機、ファックス機等の事務用機器の制御にも適用され得る。例えば、利用者が操作可能なかかる機器を制御するための制御部15は、利用者の現在位置に適用される場合に提供され得る。
【0073】
特許請求の範囲に記載の本発明を実施する際、開示された実施形態に対する他の改変形態が図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲を検討することで当業者によって理解され、もたらされ得る。特許請求の範囲では、「含む」という語は他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は複数形を排除しない。特許請求の範囲で列挙される幾つかのアイテムの機能を単一のプロセッサ又は他のユニットが果たし得る。ある手段が互いに異なる従属請求項で列挙されているという単なる事実は、それらの手段の組合せが有利に使用されてはならないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光学記憶媒体又はソリッドステート媒体等の適当な媒体上に記憶され且つ/又は分散され得るが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムによって等、他の形態で分散され得る。特許請求の範囲のいかなる参照符号も範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5