(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ピッキング作業の際、店舗ごとの受注情報をカートのどの間口に割り付けるのかは使用者任せになっており、ピッキング効率の向上に繋がる割り付けが必ずしも成されているとは言えなかった。
【0005】
本発明の課題は、各店舗の受注情報の各間口への割り付けを自動で行い、作業効率の向上、作業負荷の軽減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係るピッキングカートは、商品の受注情報に基づいて保管場所から取り出された商品を出荷先ごとのコンテナに収容して搬送するピッキングカートであって、複数の載置部と、通信手段と、制御部と、提示手段とを備えている。載置部は、計量器を含み、コンテナが載せられる。通信手段は、出荷先ごとの受注情報を上位装置から入手する。制御部は、コンテナを載せる載置部の決定に利用する有用情報を受注情報から取得する。提示手段は、有用情報を使用者に提示する。そして、制御部は、予め設定されるピッキング作業において使用者が優先する
複数の条件
であって、少なくともピッキングカートの運転性に基づく基準を含む条件のうち作業者により選択された条件に基づき、受注情報それぞれを複数の載置部のうちのいずれの載置部に割り付けるのかを切り替える。
【0007】
このピッキングカートでは、出荷先ごとの商品をどの載置部のコンテナに収容させるのかを使用者が任意に決定するのではなく、使用者の作業負荷に関わる有用情報に基づいて決定することができるので、作業効率の向上、作業負荷軽減に繋がる。
【0008】
本発明の第2観点に係るピッキングカートは、第1観点に係るピッキングカートであって、制御部が、有用情報に基づいて出荷先ごとの受注情報それぞれを複数の載置部のうちのいずれの載置部に割り付けるのかを決定する。そして、提示手段は、載置部への割り付け結果を使用者に提示する。
【0009】
このピッキングカートでは、制御部は、商品をコンテナに投入する際の作業負荷が軽減されるように、受注情報とそれに応じた商品の収容先となる載置部との最適な組合せを決定するので、使用者は自ら決定する必要がなく、使い勝手がよい。
【0010】
本発明の第3観点に係るピッキングカートは、第1観点に係るピッキングカートであって、選択手段をさらに備えている。選択手段は、提示された有用情報をさらに絞り込むための複数の項目を提示して使用者に優先すべき項目を選択させる。制御部は、選択された項目に沿って絞り込まれた有用情報に基づいて、出荷先ごとの受注情報それぞれを複数の載置部のうちのいずれの載置部に割り付けるのかを決定する。そして、提示手段は、載置部への割り付け結果を使用者に提示する。
【0011】
このピッキングカートでは、制御部が、受注情報とそれに応じた商品の収容先となる載置部との最適な組合せを決定する際に、使用者が従来ピッキング作業の際に優先していたものを反映することができる。
【0012】
本発明の第4観点に係るピッキングカートは、第2観点又は第3観点に係るピッキングカートであって、有用情報が、出荷先ごとの受注商品の総重量である。
【0013】
このピッキングカートでは、出荷先ごとの受注商品の総重量が予め判明しているので、例えばピッキング作業後にコンテナを降ろす際の負荷を軽減するために、制御部は、総重量が最も大きくなる出荷先の受注情報を下方の載置部に割り付けることができる。
【0014】
本発明の第5観点に係るピッキングカートは、第2観点又は第3観点に係るピッキングカートであって、有用情報が、出荷先ごとの受注商品の総アイテム数である。
【0015】
このピッキングカートでは、出荷先ごとの受注商品の総アイテム数が予め判明しているので、例えばピッキング作業時の効率が上がるように、制御部は、総アイテム数が最も多くなる出荷先の受注情報をハンドルに近い載置部に割り付けることができる。
【0016】
本発明の第6観点に係るピッキングカートは、第2観点又は第3観点に係るピッキングカートであって、有用情報が、出荷先ごとの受注商品の総商品数である。
【0017】
このピッキングカートでは、出荷先ごとの受注商品の総商品数が予め判明しているので、例えばピッキング作業時の効率が上がるように、制御部は、総商品数が最も多くなる出荷先の受注情報をハンドルに近い載置部に割り付けることができる。
【0018】
本発明の第7観点に係るピッキングカートは、第2観点又は第3観点に係るピッキングカートであって、提示手段が表示画面を有する。
【0019】
このピッキングカートでは、使用者は、制御部が決定した[受注情報とそれに応じた商品の収容先となる載置部との最適な組合せ]を、画面を介して目視確認することができるので、使用者による受注情報の載置部への割り付けミスを防止することができる。
【0020】
本発明の第8観点に係るピッキングカートは、第2観点又は第3観点に係るピッキングカートであって、提示手段がラベルおよびラベル印字機構を有する。
【0021】
このピッキングカートでは、使用者は、制御部が決定した[受注情報とそれに応じた商品の収容先となる載置部との最適な組合せ]を、ラベルを介して目視確認することができるので、使用者による受注情報の載置部への割り付けミスを防止することができる。
【0022】
本発明の第9観点に係るピッキングカートは、第7観点に係るピッキングカートであって、載置部それぞれに対応する複数の表示灯と、ラベル上の印字内容を読み込むスキャナとをさらに備えている。制御部は、スキャナが読み込んだ割り付け結果に対応する表示灯を点灯、若しくは点滅させる。
【0023】
このピッキングカートでは、受注情報の割り付け先となる載置部を示す表示灯が点灯または点滅するので、使用者が受注情報の割り付け先を間違えることが防止される。
【0024】
本発明の第10観点に係るピッキングカートは、第3観点に係るピッキングカートであって、使用者を特定するための特定手段と、記憶部とをさらに備えている。記憶部は、使用者が選択した項目およびその項目を選択した頻度を使用者別に記憶する。制御部は、特定された使用者の選択頻度の高い上記項目に沿って絞り込まれた有用情報に基づいて、出荷先ごとの受注情報それぞれを複数の載置部のうちのいずれの載置部に割り付けるのかを決定する。そして、提示手段は、載置部への割り付け結果を使用者に提示する。
【0025】
このピッキングカートでは、使用者が特定されると、制御部は、その使用者が毎回ピッキング作業前に選択していた項目の中で選択頻度の高い項目を取り込むことができる。また、制御部は、受注情報とそれに応じた商品の収容先となる載置部との最適な組合せを決定する際に、使用者がピッキング作業の際に優先していたものを反映することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るピッキングカートでは、出荷先ごとの商品をどの載置部上のコンテナに収容させるのかを使用者が任意に決定するのではなく、使用者の作業負荷に関わる有用情報に基づいて決定することができるので、作業効率の向上、作業負荷軽減に繋がる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0029】
(1)ピッキングシステム200の構成
図1は、本発明の一実施形態に係るピッキングカート10を用いたピッキングシステム200のネットワーク構成例を示すブロック図である。
図1において、ピッキングシステム200は、配送センター内に設けられている。
【0030】
ピッキングシステム200には、無線通信機器を介してサーバ1とピッキングカート10との間で情報の送受信ができるネットワームが構築されている。なお、サーバ1には、ピッキングカート一台につき1つのID番号が登録されている。
【0031】
サーバ1は、複数の店舗(端末100)から受注情報を受け、それらを記憶する。また、サーバ1は、商品が陳列されている棚位置が判別できる情報を記憶している。さらに、サーバ1は、受注商品の情報および商品位置情報をリンクさせ、それらをピッキングカート10に与える。
【0032】
図2は、ピッキングカート10の斜視図である。また、
図3は、ピッキングカート10の制御ブロック図である。
図2において、ピッキングカート10は、複数の載置部21,22,23と、複数の計量器31,32,33と、通信部40と、制御部50と、表示パネル60と、ラベルプリンタ70と、スキャナ80とを備えている。各載置部21,22,23には、1台の計量器が据え付けられており、各計量器31,32,33に1個のコンテナが載せられる。
【0033】
制御部50は、通信部40を介して受注商品の情報およびそれにリンクした商品位置情報をサーバ1から受信する。制御部50は、それらの情報をメモリ53に記憶する。また、制御部50は、ラベルプリンタ70に必要な受注情報を印字させる。ここで、必要な情報とは、受注商品の総重量、総商品数及び総アイテム数といった有用情報である。
【0034】
また、制御部50は、表示パネル60に受注商品の情報およびその商品が陳列されている棚位置を提示させ、使用者は所定の棚位置から受注商品をピッキングし、スキャナ80を用いてピッキングした商品のバーコード等を読み取る。
【0035】
制御部50は、スキャナ80からの読取情報に基づいて受注商品の情報とピッキングした商品の情報とが一致するか否かを判定し、一致した場合は表示パネル60に一致の旨を表示させる。一方、一致しない場合には、表示パネル60にエラーの旨を表示させる。
【0036】
作業者は、表示パネル60の表示を確認し、ピッキングカート10のコンテナに商品を投入する。コンテナの下部には計量器31,32,33が据え付けられているので、制御部50は、コンテナに投入された商品の重量を把握することができる。
【0037】
制御部50は、計量器31,32,33から与えられた重量値が受注商品の重量と一致するか否か判定し、一致した場合は表示パネル60に一致の旨を表示させる。一方、一致しない場合には、表示パネル60にエラーの旨を表示させる。
【0038】
(2)ピッキングカート10の構成
(2−1)本体カート11
本体カート11は、下荷台13と、上荷台15と、フレーム17と、作業台18と、ハンドル19を有している。下荷台13は、搬送経路を走行できるように床面と対向する側に4個の車輪13a,13b,13c,13dが取り付けられている。下荷台13の上面には2つの載置部22,23が設けられている。
【0039】
上荷台15は、下荷台13の上方で使用者の腰あたりになる高さ位置に水平に支持されている。上荷台15の上面には載置部21が設けられている。また、下荷台13と上荷台15との中間位置に、棚14が配置されている。
【0040】
フレーム17は、下荷台13の2つの載置部22,23に挟まれた領域から上方に延びる4つの角柱17a,17b,17c,17dで構成されている。本体カート11の直進方向側にある2つの角柱17a,17bは、上荷台15の下面まで延びて上荷台15を支持する。棚14の4コーナーも4つの角柱17a,17b,17c,17dによって直接または間接的に支持されている。
【0041】
本体カート11の後進方向側にある2つの角柱17c,17dは、上荷台15の下面に到達する前に斜めに後方に折れ、上荷台15の後方端を支持する。さらに、2つの角柱17c,17dは、上荷台15の後方端を支持する位置からさらに延びて、使用者の胸あたりになる高さ位置から水平かつ後方に折れ曲り、所定長さ水平に延びた位置に終端を有する。この終端近傍には、この終端によって支持される作業台18が配置されている。そして、作業台18の後進方向側の側面からさらに後進方向側へ突出するハンドル19が設けられている。
【0042】
使用者は、本体カート11を搬送経路に沿って運転しながら、搬送経路を挟むように対向配置された商品棚から受注商品をピッキングする。
【0043】
(2−2)第1載置部21、第2載置部22及び第3載置部23
3つの載置部21,22,23のうちの2つの載置部22,23が下荷台13上に設けられ、残り1つの載置部21は上荷台15上に設けられている。載置部21,22,23は、コンテナが配置される部分であり。説明の便宜上、載置部21、載置部22および載置部23を第1載置部21、第2載置部22及び第3載置部23という。
【0044】
第1載置部21、第2載置部22及び第3載置部23には予め間口バーコード21a,22a,23aが設定されており、間口バーコード21a,22a,23aは各載置部の上面または側面に貼り付けられている。ここで、間口とはコンテナが配置される計量器および載置部を含めた空間の単位である。
【0045】
第1載置部21、第2載置部22および第3載置部23それぞれの側面には、表示LED21b,22b,23bが設けられている。商品をコンテナに投入する際の投入先を明示するためである。
【0046】
(2−3)計量器31,32,33
計量器31,32,33は、秤量台31a,32a,33aの下方にロードセル方式の重量センサを有する計量器である。説明の便宜上、計量器31、計量器32および計量器33を、第1計量器31、第2計量器32および第3計量器33という。
【0047】
第1計量器31、第2計量器32および第3計量器33は、第1載置部21、第2載置部22および第3載置部23と対応するように据え付けられている。
【0048】
(2−4)通信部40
通信部40は、第2載置部22と第3載置部23との間に配置された電装品ボックス55内に収納されている。通信部40は、配送センター内に据え付けられた通信機器を介してサーバ1と無線通信を行なうことができる。なお、電装品ボックス55の上部外側には無線アンテナ40aが取り付けられている。
【0049】
(2−5)制御部50
制御部50は、電装品ボックス55内に収容されている。
図3において、制御部50には、マイコン51およびメモリ53が内蔵されている。マイコン51には、第1計量器31、第2計量器32、第3計量器33、通信部40、表示パネル60、ラベルプリンタ70及びスキャナ80からの信号等が入力される。
【0050】
また、マイコン51は、表示パネル60の表示制御と、表示LED21b,22b,23bのON−OFF制御と、ラベルプリンタ70の印字制御とを行う。
【0051】
(2−6)表示パネル60
表示パネル60は、作業台18上にされている。表示パネル60は、タッチパネル式の液晶表示画面であって、入力キー、各種機能を発揮させるための選択ボタンが表示されている。
【0052】
(2−7)ラベルプリンタ70
ラベルプリンタ70は、棚14上に据え付けられている。ラベルプリンタ70には、印刷済みの出荷ラベルが排出される排出口70aが設けられている。排出口70aの内部には、ラベル用紙が収納されており、内蔵サーマルヘッドにおいて印字が行われた後に、排出口70aから排出される。出荷ラベルには、出荷先を特定するラベル・バーコードが印字されており、通常は使用者が排出された出荷ラベルをコンテナに添付される。
【0053】
(2−8)スキャナ80
スキャナ80は、印字後の出荷ラベルに表示されたバーコード、商品に付された商品バーコードを読み取るバーコードスキャナである。ピッキングカート10には、2台のスキャナ80を備えており、一方は表示パネル60の横に固定されている固定スキャナ81であり、他方は表示パネル60の後方(進行方向側)に配置されているハンディスキャナ83である。
【0054】
使用者は手軽な商品のバーコードを読み込ませるときに固定スキャナ81を使用し、大型商品のバーコード、出荷ラベルのラベル・バーコードおよび間口バーコードを読み込ませるときにハンディスキャナ83を使用する。
【0055】
(3)ピッキングシステム200の運用例
ピッキングシステム200の運用例として、以下、図面を参照しながら使用者の操作の手順ごとに説明する。
【0056】
(3−1)手順1:メニュー画面602の表示
図4Aは、表示パネル60に表示されるログイン画面601の正面図である。また、
図4Bは、表示パネル60に表示されるメニュー画面602の正面図である。
図4Aにおいて、ピッキングカート10の使用者は、電源をオンにして表示パネル60のログイン画面601から、自身のIDコードを入力してログインし、メニュー画面602を表示させる。
【0057】
図4Bにおいて、メニュー画面602には、ピッキング作業を行う旨の指示を出す[ピッキング]ボタン602aを含む複数の機能選択ボタンが表示される。なお、機能ボタンは、追加することも可能である。
【0058】
(3−2)手順2:プリンタID入力画面603の表示
図4Cは、表示パネル60に表示されるプリンタID入力画面603の正面図である。使用者は、先のメニュー画面602に表示された[ピッキング]ボタン602aを押してプリンタID入力画面603を表示させる。
【0059】
図4Cにおいて、プリンタID入力画面603は、出荷ラベルを発行するラベルプリンタ70を指定するために必要な画面であって、使用者がピッキングカート10に搭載されているラベルプリンタ70のID番号を入力することによって、そのラベルプリンタ70とサーバ1とがリンクする。
【0060】
プリンタIDは、スキャナ読込およびキー入力のいずれでも対応可能である。スキャナ読込のときは、読込と同時にID表示欄603aにID番号が表示される。キー入力のときは、表示キー603bの数字を押すごとにID表示欄603aに対応数字が表示される。
【0061】
(3−3)手順3:割付条件設定画面604の表示
図4Dは、表示パネル60に表示される割付条件設定画面604の正面図である。ピッキングカートの使用者は、先の
図4Cの画面からラベルプリンタ70のID番号をスキャナ80でスキャンして、或いは使用者自身がラベルプリンタ70のID番号をキー入力して、
図4Dの割付条件設定画面604を表示させる。
【0062】
図4Dにおいて、割付条件設定画面604には、[商品の入れ易さ]選択ボタン604a、[コンテナの下ろし易さ]選択ボタン604bおよび[カートの運転性]選択ボタン604cといった、ピッキング作業において使用者が優先する条件を設定するための選択ボタンが表示されている。
【0063】
一方、制御部50のメモリ53には、[商品の入れ易さ]、[コンテナの下ろし易さ]および[カートの運転性]それぞれの条件について、事前に評価して順位付けした結果が記憶されている。以下、
図5を参照しながら詳細を説明する。
【0064】
図5は、各間口の条件別優位性の順位を示す順位表である。
図5において、間口を特定には、各間口に対応する載置部の名称を使用している(もちろん、各間口に据え付けられている計量器の名称を使用してもよい)。
図5の表から、各間口がどこに優位性があるのを知ることができる。
【0065】
例えば、[商品の入れ易さ]という条件では、「商品の総重量が軽く、総商品数が多い」という出荷先のコンテナが適した間口はどこかという観点で評価した結果、1位:第2載置部22、2位:第1載置部21、3位:第3載置部23という順位付けがなされている。
【0066】
また、[コンテナの降ろし易さ]という条件では、「商品の総重量が重く、総商品数が少ない」という出荷先のコンテナが適した間口はどこかという観点で評価した結果、1位:第3載置部23、2位:第1載置部21、3位:第2載置部22という順位付けがなされている。
【0067】
また、[カートの運転性]という条件では、「商品の総重量が重く、総商品数が多い」という出荷先のコンテナが適した間口はどこかという観点で評価した結果、1位:第2載置部22、2位:第3載置部23、3位:第1載置部21という順位付けがなされている。
【0068】
(3−4)手順4:仮割り付け
使用者は、
図4Dの割付条件設定画面604において自身が重視する条件を選択することによって、制御部50が出荷先ごとのコンテナを、使用者が選択した条件に合う間口に仮割り付けを行なうことができる。
【0069】
例えば、使用者が[商品の入れ易さ]選択ボタン604aを押して「商品の入れ易さ」を選択すると、制御部50は「総重量が軽く総商品数が多い」という条件で各店舗の受注情報を照合し店舗を1―3に順位付けする。さらに、制御部50は、「商品の入れ易さ」に基づいて予め1−3に順位付けされている間口順位と店舗順位とが対応するように、出荷ラベル或いはその出荷ラベルが添付されたコンテナを仮割り付けする。
【0070】
また、使用者が[コンテナの下ろし易さ]選択ボタン604bを押して「コンテナの降ろし易さ」を選択すると、制御部50は「総重量が重く総商品数が少ない」という条件で各店舗の受注情報を照合し店舗を1−3に順位付けする。さらに、制御部50は、「コンテナの降ろし易さ」に基づいて予め1−3に順位付けされている間口順位と店舗順位とが対応するように、出荷ラベル或いはその出荷ラベルが添付されたコンテナを仮割り付けする。
【0071】
また、使用者が[カートの運転性]選択ボタン604cを押して「カートの運転性」を選択すると、制御部50は「総重量が重く総商品数が多い」という条件で各店舗の受注情報を照合し店舗を1−3に順位付けする。さらに、制御部50は、「カートの運転性」に基づいて予め1−3に順位付けされている間口順位と店舗順位とが対応するように、出荷ラベル或いはその出荷ラベルが添付されたコンテナを仮割り付けする。
【0072】
例えば、使用者が「コンテナの降ろし易さ」を選択し、制御部50が「総重量が重く総商品数が少ない」という条件で各店舗の受注情報を照合した結果、3つのA店舗,B店舗,C店舗に対しB−C−Aの順で順位付けが成されたとする。
【0073】
図4Eは、表示パネル60に表示される出荷ラベル発行画面605の正面図である。
図4Eにおいて、上記順付けの結果は、出荷ラベル発行画面605に表示される。出荷ラベル発行画面605の左欄は店舗名を、中央欄は注意事項、右欄は順位を示している。なお、出荷ラベル発行画面605への画面切換は、使用者が一つ先の割付条件設定画面604で[コンテナの下ろし易さ]選択ボタン604bを押すことによって行われる。
【0074】
また、出荷ラベル発行画面605への切り換えと同時に、店舗ごとの出荷ラベルがラベルプリンタ70から発行される。出荷ラベルには、ラベル番号が印字されている。このラベル番号は、ラベルの識別だけでなく、ラベル発行時に制御部50が順位付けした順位表示をも兼ねている。
【0075】
したがって、コンテナの下ろし易さの順位として、A店舗の出荷ラベルには[3]、B店舗の出荷ラベルには[1]、C店舗の出荷ラベルには[2]が印字される。また、制御部50は、ラベル番号と出荷先受注情報とをリンクして記憶している。
【0076】
また、制御部50は、[商品の入れ易さ]選択ボタン604a、[コンテナの下ろし易さ]選択ボタン604bおよび[カートの運転性]選択ボタン604cそれぞれについて使用者別にその使用者が選択した結果を都度登録しておき、画面が
図4Dの割付条件設定画面604に切り換わった際に、選択頻度の高い選択ボタンをハイライトさせることができる。
【0077】
(3−5)手順5:間口割付画面606の表示
図4Fは、表示パネル60に表示される間口割付画面606の正面図である。使用者は、先の出荷ラベル発行画面605において[OK]ボタン605dを押して、間口割付画面606を表示させる。
【0078】
図4Fにおいて、間口割付画面606にはピッキングカート10の画像が表示され、同時に各間口の隣にラベル番号及び対応する店舗名が点滅表示される。なお、ラベル番号および店舗名のいずれか一方だけを点滅表示させてもよい。
【0079】
図4Fに示すとおり、間口バーコード21aに対応する間口の近傍にラベル番号[2](C店舗)の文字が点滅する。これは、「ラベル番号[2]が印字された出荷ラベル或いはその出荷ラベルが付いたコンテナをこの間口に割り付けてください」というメッセージである。
【0080】
また、間口バーコード22aに対応する間口の近傍にラベル番号[3](A店舗)の文字が点滅する。これは、「ラベル番号[3]が印字された出荷ラベル或いはその出荷ラベルが付いたコンテナをこの間口に割り付けてください」というメッセージである。
【0081】
同様に、間口バーコード23aに対応する間口の近傍にラベル番号[1](B店舗)の文字が点滅する。これは、「ラベル番号[1]が印字された出荷ラベル或いはその出荷ラベルが付いたコンテナをこの間口に割り付けてください」というメッセージである。
【0082】
なお、
図4Fの間口割付画面606の上部メッセージ欄606aに「カートの間口と出荷ラベルを紐付けてください」というメッセージが表示されるが、ここでいう「紐付け」とは間口とそこに割り付けられた出荷ラベルとを一組としてピッキング作業が完了するまで拘束することを意味する。
【0083】
例えば、
図4Fにおいて、ラベル番号[1]のB店舗向け出荷ラベルと間口バーコード23aの間口とが紐付けされた後は、B店舗向け出荷ラベルと間口バーコード23aの間口とはデータ的にリンクすることになる。つまり、この間口ではB店舗向け出荷ラベルが添付されたコンテナが第3計量器33(
図2参照)に載せられているので、コンテナに投入される商品のコードがB店舗向け商品のコードと一致しているか否か、商品投入後に第3計量器33から出力される重量が予め登録されている当該商品の重量と一致するか否かが照合されることになる。
【0084】
なお、この手順5では、出荷先ごとのコンテナの割り付け先が提示されているだけであり、割り付けが確定されるまでは「紐付け」は成立しない。
【0085】
(3−6)手順6:割り付けの確定
使用者は、スキャナ80で先ず間口バーコードを読み込み、次に当該間口に対応する画面上の間口の隣に表示されているラベル番号と同じ番号が印字されている出荷ラベルのラベル・バーコードを読み込む。
【0086】
もちろん、順序は逆になってもよく、使用者は、スキャナ80で先ずラベル・バーコードを読み込み、次に当該ラベルに表示されているラベル番号と同じ番号が点滅しているところの間口バーコードを読み込んでもよい。この場合、ラベル・バーコードを読み込んだ際に、当該ラベルが割り付けられるべき間口(載置部)の表示LED(
図2の21b,22b,23b)を点滅させることによって、使用者は表示パネル60の間口割付画面606で確認することなく間口を特定することができる。
【0087】
これによって、先にコードを読み込んだ間口とその次にコードを読み込んだ出荷ラベルとが紐付けされ、その出荷ラベルが添付されたコンテナの割付先となる間口が確定される。
【0088】
従来であれば、使用者はスキャナ80で間口バーコードを読み込み、その後にラベル・バーコードを読み込むことによって、そのラベル・バーコードが添付されたコンテナの割付先となる間口が決定されている。つまり、出荷先ごとのコンテナをどの間口に割り付けるのかは使用者任せであった。
【0089】
しかしながら、本実施形態では、ラベルプリンタ70から排出される出荷ラベル及び表示パネル60に、出荷先ごとのコンテナの割り付け先が表示されるので、使用者はその表示に従って割り付ければよいので、使い勝手がよい。
【0090】
なお、使用者が、制御部50が決めた仮割り付けどおりに割り付けたくない場合は、スキャナ80で先ず間口バーコードを読み込んだ後、使用者自身がその間口に適していると判断した店舗のラベル・バーコードを読み込むことによって、そのラベル・バーコードが添付されたコンテナの割付先となる間口が決定される。
【0091】
(4)特徴
(4−1)
ピッキングカート10では、制御部50が、使用者の作業負荷に関わる総重量、総商品数、総アイテム数といった有用情報に基づいて出荷先ごとの受注情報それぞれを第1載置部21、第2載置部22及び第3載置部23のうちのいずれの載置部(間口)に割り付けるのかを決定し、ラベル又は表示パネル60の間口割付画面606に仮割り付け結果を表示する。
【0092】
つまり、制御部50は、商品をコンテナに投入する際の作業負荷が軽減されるように、受注情報とそれに応じた商品の収容先となる載置部(間口)との最適な組合せを決定するので、使用者は自ら決定する必要がなく、使い勝手がよい。
【0093】
(4−2)
また、使用者は、割付条件設定画面604上に提示された条件項目の中から自身が重視する条件を選択することによって、制御部50が出荷先ごとのコンテナを、使用者が選択した条件に合う載置部(間口)に仮割り付けを行ない、ラベル又は表示パネル60の間口割付画面606に割り付け結果を表示する。
【0094】
つまり、制御部50は、受注情報とそれに応じた商品の収容先となる載置部(間口)との最適な組合せを決定する際に、使用者が従来ピッキング作業の際に優先していたものを反映することができる。
【0095】
(4−3)
また、制御部50は、スキャナ80が読み込んだ出荷ラベルが添付されたコンテナの割り付け先の表示灯を点灯、若しくは点滅させることによって、わざわざ表示パネル60の間口割付画面606を見なくとも、出荷先ごとのコンテナを間違えることなく割り付け先に配置することができる。
【0096】
(4−4)
ピッキングカート10では、使用者が特定されると、制御部50は、その使用者が毎回ピッキング作業前に選択していた項目の中で選択頻度の高い条件項目を取り込むことができるので、制御部50が、受注情報とそれに応じた商品の収容先となる載置部(間口)との最適な組合せを決定する際に、使用者がピッキング作業の際に優先していたものを反映することができる。
【0097】
(5)変形例
(5−1)第1変形例
上記実施形態では、一店舗分の受注商品が1つのコンテナに入り切ることを前提に説明している。しかしながら、特定の店舗の受注商品の数量が他の店舗に比べて突出しており1つのコンテナに入り切らないことも考えられる。
【0098】
従来、A,B,C店舗のうちA店舗の受注商品だけが1個のコンテナに収容できず、3個のコンテナ(CA1,CA2,CA3)に分けて収容するような場合、B店舗向けコンテナCB及びC店舗向けコンテナCCへの商品収容が完了していても、A店舗の積み替えを優先するので、A店舗向けのコンテナ(CA1,CA2,CA3)のうちの第3番目のコンテナCAに残りの受注商品が収容されるまで、B,C店舗向けコンテナCB,CCをともなって搬送することになります。
【0099】
たとえ受注商品の総重量ではA店舗向けが最大であっても、コンテナ1個当たりの総重量としてはコンテナCA1,CA2,CA3それぞれがコンテナCB,CCよりも大きくなるとは限らず、コンテナCA1,CB,CCの中ではコンテナCA1が最大重量であったが、コンテナCA1を後工程に払い出してコンテナCA2を置いた後は、コンテナCB,CCの方が重たいという事態が想定される。
【0100】
そこで、制御部50は、A,B,C店舗の受注情報から各店舗の受注商品の総重量、総商品数、総アイテム数、及び容積を抽出した上で、一店舗分の受注商品が1つのコンテナに入り切るか否かを判断し、特定店舗のみに複数のコンテナを要すると決定した場合には、制御部50は手順4において、各店舗向けのコンテナを仮割り付けする際に以下の順位付けを行なう。
【0101】
使用者が
図4Dの割付条件設定画面604において[商品の入れ易さ]選択ボタン604aを押して「商品の入れ易さ」を選択すると、制御部50は「コンテナ重量が軽く総商品数が多い」という条件で各店舗の受注情報を照合し店舗を1―3に順位付けする。
【0102】
また、使用者が[コンテナの下ろし易さ]選択ボタン604bを押して「コンテナの降ろし易さ」を選択すると、制御部50は「コンテナ重量が重く総商品数が少ない」という条件で各店舗の受注情報を照合し店舗を1−3に順位付けする。さらに、制御部50は、「コンテナの降ろし易さ」に基づいて予め1−3に順位付けされている間口順位と店舗順位とが対応するように、出荷ラベルが添付されたコンテナを仮割り付けする。
【0103】
また、使用者が[カートの運転性]選択ボタン604cを押して「カートの運転性」を選択すると、制御部50は「コンテナ重量が重く総商品数が多い」という条件で各店舗の受注情報を照合し店舗を1−3に順位付けする。さらに、制御部50は、「カートの運転性」に基づいて予め1−3に順位付けされている間口順位と店舗順位とが対応するように、出荷ラベルが添付されたコンテナを仮割り付けする。
【0104】
これによって、特定の店舗の受注商品の数量が他の店舗に比べて突出しており1つのコンテナに入り切らないような状況も適切に自動割り付けが実行される。
【0105】
(5−2)第2変形例
上記実施形態の手順4では、使用者は、
図4Dの割付条件設定画面604において自身が重視する条件を選択することによって、制御部50が出荷先ごとのコンテナを、使用者が選択した条件に合う間口に仮割り付けを行なうことになっている。
【0106】
しかしながら、使用者によっては、自己の経験則に基づいて出荷先ごとのコンテナを割り付けることが想定される。
【0107】
このような場合は、
図4Dの割付条件設定画面604において使用者は条件を選択せずに[ピッキング開始]ボタン604dを押すことによって、画面が
図6に示す画面に切り換わる。
【0108】
図6は、表示パネル60に表示される出荷ラベル発行画面607の正面図である。
図6において、出荷ラベル発行画面607の左欄は店舗名を、中央欄は注意事項、右欄はラベル番号を示している。
【0109】
このラベル番号は、出荷ラベルの発行順を示している。出荷ラベルは、出荷ラベル発行画面607への切り換えと同時に、店舗ごとの出荷ラベルがラベルプリンタ70から発行される。出荷ラベルには、ラベル番号が印字されている。
【0110】
したがって、A店舗の出荷ラベルには[1]、B店舗の出荷ラベルには[2]、C店舗の出荷ラベルには[3]が印字される。また、制御部50は、ラベル番号と出荷先受注情報とをリンクして記憶している。
【0111】
図7は、表示パネル60に表示される間口割付画面608の正面図である。使用者は、先の出荷ラベル発行画面607において[OK]ボタン607dを押して、間口割付画面608を表示させる。
【0112】
図7において、間口割付画面608にはピッキングカート10の画像が表示され、同時に各間口の隣にラベル番号及び対応する店舗名が点滅表示される。もちろん、ラベル番号および店舗名のいずれか一方だけを点滅表示させてもよい。
【0113】
図7における仮割り付けでは、既定条件に従って第1載置部21にラベル番号[1]のA店舗を、第2載置部22にラベル番号[2]のB店舗を、第3載置部23にラベル番号[3]のC店舗を割り付ける。
【0114】
ここで、制御部50は、既定条件としてシステムの初稼働のときはデフォルトの条件を選択し、2回目以降は受注のあった店舗について過去の受注履歴と照合して適切な条件を選択する。そのために、制御部50は、過去の受注情報とそのときの間口割付け履歴を使用者別に登録している。
【0115】
制御部50は、上記登録履歴から今回の受注情報と一致するもの、一致するものがない場合は、受注商品の総重量、総商品数、および総アイテム数を総合的に判断して今回の受注情報に近いもののうち受注日が近いものを抽出して、そのときの割付けを適用する。
【0116】
上記のとおり、第2変形例によれば、使用者の行動パターンを考慮した割り付けを提示することができるので、使用者は無意識に割り付けしつつも自身が慣れている割り付けから大きくは外れないように誘導されているので、ピッキング作業性を阻害するような割り付けは防止される。