特許第6321356号(P6321356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6321356薄膜トランジスタ及びその製造方法、アレイ基板、ディスプレー装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321356
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタ及びその製造方法、アレイ基板、ディスプレー装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20180423BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20180423BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20180423BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   H01L29/78 619A
   H01L29/78 618B
   H01L29/78 618A
   G02F1/1368
   H01L21/316 X
   H01L21/316 M
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-247184(P2013-247184)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-123723(P2014-123723A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2016年11月11日
(31)【優先権主張番号】201210564245.8
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】507134301
【氏名又は名称】北京京東方光電科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼ 振宇
(72)【発明者】
【氏名】徐 少▲穎▼
(72)【発明者】
【氏名】李 田生
(72)【発明者】
【氏名】▲閻▼ ▲長▼江
(72)【発明者】
【氏名】李 靖
(72)【発明者】
【氏名】田 宗民
【審査官】 脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0045904(US,A1)
【文献】 特開2007−073562(JP,A)
【文献】 特開2006−202901(JP,A)
【文献】 特開2010−056546(JP,A)
【文献】 特開2011−258949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
G02F 1/1368
H01L 21/316
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板の上にゲート電極、活性層、ソース・トレイン電極、一つ又は複数の絶縁層、及び画素電極を形成し、少なくとも一つの絶縁層を形成する際、順次にボトム酸化シリコン層及びトップ酸化シリコン層を形成し、前記トップ酸化シリコン層中の水素含有量が前記ボトム酸化シリコン層の水素含有量よりも高いようにして、
前記トップ酸化シリコン層の水素含有量は5〜10%であり、前記ボトム酸化シリコン層の水素含有量は1〜5%であり、
前記ボトム酸化シリコン層は200〜300℃、300〜800sccmのシランガス流量で蒸着され、前記トップ酸化シリコン層は240〜340℃、600〜1200sccmのシランガス流量で蒸着されることを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項2】
前記薄膜トランジスタが酸化物薄膜トランジスタであり、前記少なくとも一つの絶縁層がエッチングストップ層を含み、前記製造方法は、順次にベース基板の上にゲート電極、ゲート絶縁層、活性層、エッチングストップ層、ソース・トレイン電極、保護層及び画素電極を形成し、前記エッチングストップ層を形成する際、順次に前記ボトム酸化シリコン層としてボトムエッチングストップ層及び前記トップ酸化シリコン層としてトップエッチングストップ層を形成し、前記トップエッチングストップ層中の水素含有量が前記ボトムエッチングストップ層の水素含有量よりも高いようにする、ことを特徴とする請求項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項3】
前記ベース基板の上にゲート電極を形成し、
前記ベース基板と前記ゲート電極の上方を覆うように前記ゲート絶縁層を形成し、
前記ゲート絶縁層の前記ゲート電極に対応する上方に活性層を形成し、
前記活性層の上方に前記ボトムエッチングストップ層を形成し、
前記ボトムエッチングストップ層の上方に前記トップエッチングストップ層を形成し、
前記トップエッチングストップ層の上方に前記ソース・トレイン電極を形成し、
前記ゲート絶縁層、前記ソース・トレイン電極及び前記トップエッチングストップ層の上方を覆うように前記保護層を形成し、
前記ソース・トレイン電極と前記保護層の上方に前記画素電極を形成する、
ことを特徴とする請求項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項4】
蒸着された前記ボトムエッチングストップ層の厚さは200〜1000オングストロームであり、蒸着された前記トップエッチングストップ層の厚さは1000〜1500オングストロームである、ことを特徴とする請求項またはに記載された薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項5】
インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物半導体或はインジウム・亜鉛酸化物半導体によって活性層を製造する、ことを特徴とする請求項からの何れか一項に記載された薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項6】
前記活性層がマグネトロンスパッタリング方式によって蒸着される、ことを特徴とする請求項からの何れか一項に記載された薄膜トランジスタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレー技術分野における薄膜トランジスタ(TFT)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の酸化物半導体薄膜トランジスタ(酸化物薄膜トランジスタ)の構造を示している。図1に示すように、従来の酸化物薄膜トランジスタは、下から上まで順次にベース基板10と、ゲート電極11と、ゲート絶縁層12と、活性層13と、エッチングストップ層14と、ソース・トレイン電極15と、保護層16と、画素電極17とを含む。
【0003】
図2(a)−図2(g)は、従来の酸化物薄膜トランジスタの製造方法を示している。図2(a)に示すように、従来の製造方法において、まず、ベース基板10の上にゲート電極11を形成し、図2(b)に示すように、ベース基板10とゲート電極11を覆うようにゲート絶縁層12を形成し、図2(c)に示すように、ゲート絶縁層12のゲート電極11に対応する上方に、酸化物半導体(例えば、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO))からなる活性層13を形成し、図2(d)に示すように、活性層13の上方にエッチングストップ層14を形成し、図2(e)に示すように、エッチングストップ層14の上方にソース・トレイン電極15を形成し、図2(f)に示すように、ソース・トレイン電極15、エッチングストップ層14、ゲート絶縁層12を覆うように保護層16を形成し、最後に、図2(g)に示すように、ソース・トレイン電極15と保護層16の上方に画素電極17を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アモルファスシリコン(a−Si)薄膜トランジスタを製造するプロセスに比べて、酸化物薄膜トランジスタの製造プロセスは、さらにエッチングストップ層のプロセス(つまり、図2(d)に示すステップ)を含む。酸化物薄膜の特性が界面の特性、特にエッチングストップ層の薄膜蒸着プロセスの影響を大きく受けるため、エッチングストップ層のプロセスで製造される、例えば、酸化シリコン薄膜が低い水素含有量を保持することが要求され、一般に酸化シリコン薄膜中の水素含有量が6%(アモルファスシリコン薄膜トランジスタのプロセスで使われる窒化シリコン薄膜の水素含有量は20%程度である)より低いことが要求される。エッチングストップ層のプロセスの目的として、一方、ソース・トレイン電極のエッチングプロセスの際に、エッチング液が活性層をエッチングすることを防止し、他方、エッチングストップ層が一般に酸化シリコン材料から形成され、酸化シリコン薄膜が低い水素含有量を保持することを確保するために、現在一般にプラズマ強化化学気相蒸着法(PECVD)を採用して酸化シリコン薄膜を蒸着する。このPECVD方法で酸化シリコン薄膜を蒸着する際、シランの分解から生じる水素イオンは活性層中の金属酸化物(例えば、IGZO)の中のIn、Zn、O等と反応し易いため、IGZO薄膜の特性を影響することになる。これに対して、現在よく採用する方法は、蒸着温度を200℃ほどまで下げることであるが、この方法によれば、反応ガスの流量が一定である場合、蒸着形成された酸化シリコン薄膜中の水素含有量が増えてしまい、薄膜の安定性が悪化され、また、薄膜の蒸着速度も下がる不都合が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一方面は、ベース基板と、ゲート電極と、活性層と、ソース・トレイン電極と、画素電極と、一つ又は複数の絶縁層とを備え、少なくとも一つの絶縁層がボトム絶縁層及びトップ絶縁層を含み、前記トップ絶縁層中の水素含有量が前記ボトム絶縁層中の水素含有量よりも高い薄膜トランジスタを提供する。
【0006】
例えば、前記薄膜トランジスタが酸化物薄膜トランジスタであり、前記酸化物薄膜トランジスタが複数の絶縁層を備え、当該複数の絶縁層がゲート絶縁層、エッチングストップ層及び保護層を含み、前記エッチングストップ層がボトムエッチングストップ層及びトップエッチングストップ層を含み、前記トップエッチングストップ層中の水素含有量が前記ボトムエッチングストップ層の水素含有量よりも高い。
【0007】
例えば、前記酸化物薄膜トランジスタにおいて、前記トップエッチングストップ層の水素含有量が5〜10%であり、前記ボトムエッチングストップ層の水素含有量が1〜5%である。
【0008】
例えば、前記酸化物薄膜トランジスタにおいて、ゲート電極がベース基板の上方に設けられ、ゲート絶縁層がベース基板とゲート電極の上方を覆い、活性層がゲート絶縁層のゲート電極に対応する上方に設けられ、ボトムエッチングストップ層が活性層の上方に設けられ、トップエッチングストップ層がボトムエッチングストップ層の上方に設けられ、ソース・トレイン電極がトップエッチングストップ層の上方に設けられ、保護層がゲート絶縁層、ソース・トレイン電極及びトップエッチングストップ層の上方を覆い、画素電極がソース・トレイン電極と保護層の上方に設けられる。
【0009】
例えば、前記酸化物薄膜トランジスタにおいて、前記ボトムエッチングストップ層の厚さが200〜1000オングストロームであり、前記トップエッチングストップ層の厚さが1000〜1500オングストロームである。
【0010】
例えば、当該薄膜トランジスタにおいて、前記活性層が、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物半導体又はインジウム・亜鉛酸化物半導体からなる。
【0011】
例えば、当該薄膜トランジスタにおいて、前記活性層がマグネトロンスパッタリング方式によって蒸着される。
【0012】
また、本発明の他の一方面は、上述した前記薄膜トランジスタを備えるアレイ基板を提供する。
【0013】
また、本発明のさらに他の一方面は、上述したアレイ基板を備えるディスプレー装置を提供する。
【0014】
そして、本発明のまたさらに他の一方面は、ベース基板の上にゲート電極、活性層、ソース・トレイン電極、一つ又は複数の絶縁層、及び画素電極を形成し、少なくとも一つの絶縁層を形成する際、順次にボトム絶縁層及びトップ絶縁層を形成し、前記トップ絶縁層中の水素含有量が前記ボトム絶縁層中の水素含有量よりも高いようにする薄膜トランジスタの製造方法を提供する。
【0015】
例えば、前記薄膜トランジスタは酸化物薄膜トランジスタであり、前記少なくとも一つの絶縁層がエッチングストップ層を含み、前記製造方法は、順次にベース基板の上にゲート電極、ゲート絶縁層、活性層、エッチングストップ層、ソース・トレイン電極、保護層及び画素電極を形成し、前記エッチングストップ層を形成する際、順次にボトムエッチングストップ層及びトップエッチングストップ層を形成し、前記トップエッチングストップ層中の水素含有量が前記ボトムエッチングストップ層の水素含有量よりも高くようにする。
【0016】
例えば、前記製造方法は、ベース基板の上にゲート電極を形成し、ベース基板とゲート電極の上方を覆うようにゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層のゲート電極に対応する上方に活性層を形成し、活性層の上方にボトムエッチングストップ層を形成し、ボトムエッチングストップ層の上方にトップエッチングストップ層を形成し、トップエッチングストップ層の上方にソース・トレイン電極を形成し、ゲート絶縁層、ソース・トレイン電極及びトップエッチングストップ層の上方を覆うように保護層を形成し、ソース・トレイン電極と保護層の上方に画素電極を形成する。
【0017】
例えば、当該方法において、前記ボトムエッチングストップ層が200〜300℃、300〜800sccmのシランガス流量で蒸着され、前記トップエッチングストップ層は240〜340℃、600〜1200sccmのシランガス流量で蒸着される。
【0018】
例えば、当該方法において、蒸着された前記ボトムエッチングストップ層の厚さが200〜1000オングストロームであり、蒸着された前記トップエッチングストップ層の厚さが1000〜1500オングストロームである。
【0019】
例えば、当該方法において、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物半導体或はインジウム・亜鉛酸化物半導体によって活性層を製造する。
【0020】
例えば、当該方法において、前記活性層はマグネトロンスパッタリング方式によって蒸着される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、従来の酸化物薄膜トランジスタの構造概略図である。
図2図2(a)−図2(g)は、従来の酸化物薄膜トランジスタの製造プロセスの概略図である。
図3図3は、本発明の酸化物薄膜トランジスタの構造概略図である。
図4図4は、本発明の酸化物薄膜トランジスタの製造プロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願明細書の背景技術において従来のTFT製造プロセスに対する記載によれば、酸化物薄膜トランジスタの構造及び製造プロセスをどのように改善するのか、例えば、エッチングストップ層中の酸化シリコン薄膜の水素含有量を下げ、酸化物薄膜トランジスタが優れた特性を保持し、且つ、エッチングストップ層薄膜の蒸着速度を向上するのが本技術分野の課題となっている。
【0023】
本発明の一つの実施形態において、薄膜トランジスタの少なくとも一つの絶縁層は、二層構造プロセスを採用して製造される。即ち、ボトム絶縁層及びトップ絶縁層をそれぞれ製造することにより、絶縁層薄膜の性質に基づいてそれぞれ異なるプロセス条件を採用してボトム絶縁層及びトップ絶縁層を製造する。
【0024】
以下、酸化物薄膜トランジスタ中のエッチングストップ層を例として、具体的な実施形態及び図面を結合しながら本発明の薄膜トランジスタ及びその製造方法を詳細に説明する。
【0025】
特別に定義しなければ、ここで使われる技術用語又は科学用語は本発明の所属分野における一般の従業者が理解できる通常の意味である。ここで使われる「一つ」、「一」、又は「当該」等と類似する表現は、数を制限するものではなく、少なくとも一つ存在することを意味する。「含む」或は「包含」等と類似する表現は、この表現の前にある素子や部材が挙げられた素子や部材及び同じものを有しているが、他の素子又は部材も排除しないことを意味する。「接続」又は「繋がる」等と類似する表現は、物理的又は機械的な接続に制限されるものではなく、電気的な接続を含むこともでき、その上、直接や間接的接続に限らない。「上」、「下」、「左」、「右」等は単に相対位置関係を意味するものであり、説明される対象の絶対位置関係が変わると、当該相対位置関係もそれにつれて変わる可能性がある。
【0026】
図3は、本発明の一つの実施形態に係る酸化物薄膜トランジスタの構造を示す。図3に示すように、本実施形態の酸化物薄膜トランジスタは、ベース基板20、ゲート電極21、ゲート絶縁層22、活性層23、エッチングストップ層24、ソース・トレイン電極25、保護層26及び画素電極27を備える。ベース基板20に対して、前記エッチングストップ層24はボトムエッチングストップ層24a及びトップエッチングストップ層24bを含み、トップエッチングストップ層24b中の水素含有量はボトムエッチングストップ層24a中の水素含有量よりも高い。
【0027】
製造中において、必ず水素イオンがエッチングストップ層に浸入するため、水素含有量を低い水準に保持しようとする場合、シランの流速を下げる必要があるが、そうすると薄膜蒸着の速度を影響し、また、高い薄膜蒸着速度を保持する場合、薄膜中の水素含有量がまた上がる。そのため、上層の水素含有量が比較的に高く、底層の水素含有量が比較的に低いように二層のエッチングストップ層を製造する場合、蒸着速度を影響しないに加え、エッチングストップ層中の水素イオンが酸化物半導体の活性層に対する影響を減少させることもできる。
【0028】
例えば、トップエッチングストップ層24bの水素含有量が5%〜10%であり、ボトムエッチングストップ層24aの水素含有量が1%〜5%である。
【0029】
上述した例示の水素含有量を条件として製造された酸化物薄膜トランジスタは、性能がさらに優れるともに、蒸着速度も改善される。
【0030】
図3に示すように、ゲート電極21がベース基板20の上に形成され、ゲート絶縁層22がベース基板20とゲート電極21の上を覆い、活性層23がゲート絶縁層22のゲート電極21に対応する上に形成され、ボトムエッチングストップ層24aが活性層23の上に形成し、トップエッチングストップ層24bがボトムエッチングストップ層24aの上に形成され、ソース・トレイン電極25がトップエッチングストップ層24bの上に形成され、保護層26がゲート絶縁層22、ソース・トレイン電極25及びトップエッチングストップ層24bの上を覆い、画素電極27がソース・トレイン電極25と保護層26の上に形成される。
【0031】
酸化物薄膜トランジスタの特性を改善するために、この実施形態は二層エッチングストップ層構造を採用し、即ち、ボトムエッチングストップ層24aとトップエッチングストップ層24bをそれぞれ設ける。ボトムエッチングストップ層24aを形成する時、低い蒸着温度及び低いシランガス流量を採用して、反応雰囲気におけるシランの分解から生じる水素イオンの含有量を下げ、水素イオンが活性層中の金属酸化物、例えば、IGZO中のIn、Zn、O等と反応することで酸化物薄膜トランジスタの特性に与える影響を防止し、また、トップエッチングストップ層24bを形成する時、高い蒸着温度及び高いシランガス流量を採用し、この際、蒸着温度が高いため、反応雰囲気中のシランが十分に分解される。また、高い蒸着温度及びシランガス流量とすることで、シランの分解から生じる水素イオンの濃度が高くなるが、ボトムエッチングストップ層24aが活性層中の金属酸化物、例えばIGZOと水素イオンの接触を阻止するため、水素イオンと金属酸化物例えばIGZO中のIn、Zn、O等が反応することが防止され、酸化物薄膜トランジスタの特性を影響しなく、同時に、このように得られたトップエッチングストップ層24bの水素含有量がボトムエッチングストップ層の水素含有量よりも高いため、酸化シリコン薄膜中の水素含有量を効果的に下げ、酸化物薄膜トランジスタが優れた特性を保持でき、酸化物薄膜トランジスタの安定性を上げ、且つ、エッチングストップ層薄膜の蒸着速度を上げる。
【0032】
ここで、エッチングストップ層を蒸着する際、反応温度及び反応雰囲気中のシランガス流量のいずれも反応雰囲気中でのシランの分解から生じる水素イオンの含有量を影響する。反応温度が一定である場合、シランガス流量が低いほどシランの分解が十分になり、形成された酸化シリコン薄膜中の水素含有量が低いが、蒸着速度もこれにつれて下がる。逆に、反応温度が一定である場合、シランガス流量を高く設定すると、蒸着速度の向上には有利であるが、シランガスの分解が不十分になり易いため、酸化シリコン薄膜中の水素含有量を下げるにはよくない。そのため、設定された温度及び実際の生産の要求に基づいてシランガス流量を適切に決める必要がある。一方、シランガス流量が一定である場合、温度が高いほどシランの分解が十分になり、分解から生じる水素イオンが多く、蒸着速度が速いが、生じた水素イオンが金属酸化物例えばIGZO中のIn、Zn、O等と反応し易くなるため、酸化物薄膜トランジスタの特性に影響を与えることになる。そのため、蒸着速度及び薄膜特性を総合的に考え、反応温度及び反応雰囲気中のシランガス流量を適切に設定するべきである。
【0033】
本発明の実施形態の一つの例において、蒸着速度及び薄膜特性を総合的に考えた上、ボトムエッチングストップ層の蒸着温度を200〜300℃、好ましくは250℃に、シランガス流量を300〜800sscm(標準状況でミリリットル毎分)、好ましくは600sscmに、蒸着電力を6000Wに設定して、反応雰囲気中のシランの分解から生じる水素イオンの含有量を下げ、水素イオンが活性層中の金属酸化物例えばIGZO中のIn、Zn、O等と反応することを防止する。トップエッチングストップ層に対しては、蒸着温度を240〜340℃、好ましくは290℃に設定して、反応雰囲気中のシランの分解がさらに十分になり、酸化シリコン薄膜中の水素含有量を下げるようにする。シランガス流量は実際の生産要求に基づいて設定でき、高いシランガス流量は薄膜の蒸着速度の向上に有利である。薄膜の蒸着速度を向上させるために、本発明の実施形態の一つの例において、シランガス流量は600〜1200sscm、好ましくは900sscmであり、蒸着電力は3500Wである。
【0034】
本発明の実施形態は上述したプロセス条件の設定によって、ボトムエッチングストップ層における酸化シリコン薄膜中の水素含有量を3%ほどまで減少でき、トップエッチングストップ層における酸化シリコン薄膜中の水素含有量を5%ほどまで減少できる(従来製造された酸化シリコン薄膜中の水素含有量は6%ほどである)。
【0035】
また、ボトムエッチングストップ層とトップエッチングストップ層の厚さの設定もエッチングストップ層全体の蒸着速度及び薄膜特性を影響する。本発明の実施形態では、薄膜蒸着速度及び薄膜特性を総合的に考え、例えば、ボトムエッチングストップ層の厚さを200〜1200オングストローム、好ましくは500オングストロームに設定し、前記トップエッチングストップ層の厚さを例えば1000〜1500オングストローム、好ましくは1500オングストロームに設定する。
【0036】
また、酸化シリコン薄膜とフォトレジストの接着性を向上すするために、例えば、トップエッチングストップ層とフォトレジストとの間に一層の接着層(図面で省略する)を添えてもよく、当該接着層は通常に一層数百オングストロームの窒化シリコン薄膜である。
【0037】
本発明の実施形態に係る酸化物薄膜トランジスタは、各層の薄膜が従来の薄膜製造方法及び材料によって製造でき、例えば、ゲート電極はAlNd、Al、Cu、Mo、MoW或はCrの単層膜によって、又は、AlNd、Al、Cu、Mo、MoW或はCrのいずれかの組み合わせで構成される複合膜によって製造でき、また、ゲート絶縁層は窒化シリコン(SiN)或は酸化シリコン(SiO)薄膜によって製造てき、そして、活性層はマグネトロンスパッタリング方式を採用してインジウム・亜鉛酸化物(IZO)半導体或はドーピングされたIZO(例えばインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO))半導体によって製造できる。
【0038】
上述した酸化物薄膜トランジスタを実現するために、本発明のもう一つの実施形態は酸化物薄膜トランジスタの製造方法を提供する。図4に示すように、本発明の実施形態に係る製造方法は、
ベース基板20の上にゲート電極21を形成するステップ2aと、
ベース基板20とゲート電極21を覆うようにゲート絶縁層22を形成するステップ2bと、
ゲート絶縁層22のゲート電極21に対応する上方に活性層23を形成するステップ2cと、
活性層23の上方にボトムエッチングストップ層24aを形成するステップ2dと、
ボトムエッチングストップ層24aの上方にトップエッチングストップ層24bを形成するステップ2eと、
トップエッチングストップ層24bの上方にソース・トレイン電極25を形成するステップ2fと、
ゲート絶縁層22、ソース・トレイン電極25及びトップエッチングストップ層24bを覆うように保護層26を形成するステップ2gと、
ソース・トレイン電極25と保護層26の上方に画素電極27を形成するステップ2hと、を含む。
【0039】
上述したステップは、それぞれ図4におけるステップ2a〜2gで示す。
【0040】
上述した各層の薄膜はいずれも従来の薄膜製造方法及び材料によって製造できる。例えば、ステップ2aにおいて、ゲート電極はAlNd、Al、Cu、Mo、MoW或はCrの単層膜によって、又は、AlNd、Al、Cu、Mo、MoW或はCrのいずれかの組み合わせで構成される複合膜によって製造でき、例えば、ステップ2bにおいて、ゲート絶縁層は窒化シリコン(SiN)或は酸化シリコン(SiO)薄膜でもよく、例えば、ステップ2cにおいて、活性層はマグネトロンスパッタリング方式を採用してインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)半導体又はインジウム・亜鉛酸化物(IZO)半導体によって製造できる。
【0041】
また、本発明の実施形態は、蒸着温度、シランガス流量及び薄膜蒸着厚さが酸化物薄膜トランジスタの特性及び蒸着速度に与える影響を総合的に考えている。一つの例において、例えば、ステップ2dにおいて、ボトムエッチングストップ層の蒸着温度を200〜300℃、好ましくは250℃に設定し、例えば、シランガス流量を300〜800sscm、好ましくは600sscmに、蒸着電力を6000Wに、蒸着厚さを200〜1000オングストローム、好ましくは500オングストロームに設定し、例えば、ステップ2eにおいて、トップエッチングストップ層の蒸着温度を240〜340℃、好ましく290℃に設定し、シランガス流量を600〜1200sscm、好ましくは900sscmに、蒸着電力を3500Wに、蒸着厚さを1000〜1500オングストローム、好ましくは1500オングストロームに設定する。
【0042】
また、酸化シリコン薄膜とフォトレジストの接着性を向上するために、例えば、トップエッチングストップ層とフォトレジストとの間に一層の接着層(図示を省略する)をさらに備えるようにしてもよく、当該接着層は通常に一層の厚さが数百オングストロームである窒化シリコン薄膜である。
【0043】
例えば、図2(a)〜(g)に示す従来のプロセスに比べて、本発明の実施形態で提供する薄膜トランジスタは二層構造を採用してエッチングストップ層を製造し、以下のような利点を具備する。まず、ボトムエッチングストップ層において従来よりもやや低い蒸着温度及び低いシランガス流量のプロセスを採用し、従来よりも低い温度を採用したが、低いシランガス流量を採用したことで、シランの分解がさらに十分になり、また、トップエッチングストップ層に対してボトムエッチングストップ層の流量が低いため、ボトムシラン分解から生じる水素イオンの濃度がトップ絶縁層よりもさらに低くなり、これにより、エッチングストップ層中の水素含有量をさらに下げるのに有利である。そして、トップエッチングストップ層を蒸着する時、形成されたボトムエッチングストップ層は生じた水素イオンが活性層中の金属酸化物と反応することを阻止し、これにより、高温及び高シランガス流量の条件でトップエッチングストップ層を蒸着することができ、シランの分解から生じる水素イオンと活性層中の金属酸化物が反応されることを防止でき、且つ、エッチングストップ層の薄膜蒸着速度を向上させる。
【0044】
以上、酸化物薄膜トランジスタ中のストップ層を例として、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ及びその製造方法を説明した。なお、上述した温度、ガス流量及び蒸着電力、薄膜厚さなどを含むプロセスパラメータは全部、本発明の例示的なプロセスパラメータであり、本発明の実施形態を限定するものではなく、当業者が実際の需要に基づいてプロセスパラメータに対して調整を行うことができる。
【0045】
また、本発明の実施形態に係る二層構造を採用して絶縁層を製造するプロセスは、酸化物薄膜トランジスタ中の、例えば酸化シリコンを材料とするエッチッグストップ層のみに限られなく、酸化物薄膜トランジスタ中の、例えば、酸化シリコンを材料とする保護層や、酸化物薄膜トランジスタ或はアモルファスシリコン薄膜トランジスタ中の、例えば窒化シリコンを材料とするストップ層又は保護層にも適用され、これらに係る具体的な原理は上述した酸化物薄膜トランジスタ中のストップ層と類似し、ここでその説明を省略する。
【0046】
また、本発明のもう一つの実施形態は、上述した薄膜トランジスタを含み、当該薄膜トランジスタを例えば画素ユニットのスイッチング素子とするアレイ基板を提供する。例えば、本発明の実施形態に係るアレイ基板は、複数のゲートラインと複数のデータラインを備え、これらのゲートラインとデータラインとが互いに交差することでマトリクス状に配列された画素ユニットを制限し、各画素ユニットは、スイッチング素子である薄膜トランジスタと液晶の配列を制御するための画素電極を備える。例えば、各画素の薄膜トランジスタのゲート電極は、対応するゲートラインと電気的に接続され或は一体的に形成され、ソース電極は、対応するデータラインと電気的に接続され或は一体的に形成され、トレイン電極は、対応する画素電極と電気的に接続され或は一体的に形成される。
【0047】
また、本発明のもう一つの実施形態は、上述したアレイ基板を備えるディスプレー装置を提供する。例えば、ディスプレー装置は液晶ディスプレー、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレーであってもよい。
【0048】
液晶ディスプレー装置において、アレイ基板は対向基板と互いに対向され液晶セルを形成し、液晶セルに液晶材料が充填されている。当該対向基板は、例えばカラーフィルター基板である。例えば、当該液晶ディスプレー装置は、アレイ基板に対するバックライトをさらに備えてもよい。OLEDにおいて、アレイ基板の上に有機発光材料の積層が形成され、各画素ユニットの画素電極が陽極又は陰極として有機発光材料を駆動して発光させ、表示操作を行うために用いられる。
【0049】
上述した説明は、単に本発明の最適な実施形態に過ぎなく、本発明の保護範囲を制限するものではない。
【符号の説明】
【0050】
10、20 ベース基板
11、21 ゲート電極
12、22 ゲート絶縁層
13、23 活性層
14 エッチングストップ層
24a ボトムエッチングストップ層
24b トップエッチングストップ層
15、25 ソース・トレイン電極
16、26 保護層
17、27 画素電極
図1
図2
図3
図4