(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力ポートにおける伝送速度と、出力ポートにおける伝送速度とを所定の期間において比較し、速度比較の結果、前記入力ポートにおける伝送速度と、前記出力ポートにおける伝送速度とがほぼ等速度である場合、所定の装置に対して、カットスルー可能であることを示すカットスルー通知を送信するカットスルー可否判定手段と、
前記入力ポートから受信するフレームに含まれる、前記カットスルー通知に基づいてカットスルーによる伝送を指定するための情報に応じて、伝送方式を切り替える伝送方式切替手段と、
前記伝送方式切替手段によりカットスルーによる伝送方式へ切り替えが行われた場合に、前記受信したフレームをカットスルー方式によって前記出力ポートへ伝送するカットスルー処理手段と、
を備える第1の通信装置。
前記伝送方式切替手段によりカットスルー以外の伝送方式へ切り替えが行われた場合に、前記受信したフレームをストアアンドフォワード方式によって前記出力ポートへ伝送するストアアンドフォワード処理手段を
さらに備える請求項1記載の第1の通信装置。
請求項1または2記載の第1の通信装置から送信された前記カットスルー通知に基づいて、前記第1の通信装置の前記入力ポートに対して送信するデータを含むフレームに、前記カットスルーによる伝送を指定する情報であるカットスルー方式指示子をセットすることが可能な方式指定手段と、
前記カットスルー方式指示子がセットされたフレームを送信するデータ送信制御手段
を備える第2の通信装置。
前記方式指定手段は、前記カットスルー通知に代えて、請求項1または請求項2記載の第1の通信装置から送信された前記カットスルー通知を受信した通信装置から送信されたカットスルー指示に基づいて、前記カットスルー方式指示子をセットすることが可能である
請求項3記載の第2の通信装置。
入力ポートにおける伝送速度と、出力ポートにおける伝送速度とを所定の期間において比較し、速度比較の結果、前記入力ポートにおける伝送速度と、前記出力ポートにおける伝送速度とがほぼ等速度である場合、所定の装置に対して、カットスルー可能であることを示すカットスルー通知を送信するカットスルー可否判定処理と、
前記入力ポートから受信するフレームに含まれる、前記カットスルー通知に基づいてカットスルーによる伝送を指定するための情報に応じて、伝送方式を切り替える伝送方式切替処理と、
前記伝送方式切替処理においてカットスルーによる伝送方式へ切り替えが行われた場合に、前記受信したフレームをカットスルー方式によって前記出力ポートへ伝送するカットスルー処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータ・プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
【0020】
図1を参照すると、本実施形態に係る通信システムは、少なくとも1台以上の中継装置1、送信装置10、および受信装置20を有する。送信装置10、および受信装置20は、それぞれフレームの送信または受信が可能な通信装置である。なお、送信装置10、および受信装置20は、送受信の両方が可能な通信装置であってもよい。
【0021】
中継装置1は、送信装置10と受信装置20との間の通信経路において、送信装置10と受信装置20との通信を中継することができる通信装置である。中継装置1と送信装置10との間、および、中継装置1と受信装置20との間は、それぞれLAN(ローカルエリアネットワーク)や無線等の通信ネットワーク(以下、単に「ネットワーク」と言う。)を介して通信可能である。
【0022】
中継装置1、送信装置10、および受信装置20は、それぞれCPU(Central Processing Unit:図示せず)を用いて実行されるコンピュータ・プログラム(ソフトウェア・プログラム)の制御により動作する一般的な情報処理装置(コンピュータ)によって構成されても良いし、または、各部が、専用のハードウェアデバイスあるいは論理回路で構成されても良い。なお、この中継装置1、送信装置10、および受信装置20をコンピュータによって実現したハードウェア構成例については、
図7を参照して後述する。
【0023】
中継装置1は、入力ポート2、出力ポート3、カットスルー可否判定部4、伝送方式切替部5、カットスルー処理部6、および、ストアアンドフォワード処理部7を含む。
【0024】
入力ポート2は、中継装置1に接続されるネットワークからの伝送データ(信号)の入力が可能な通信インタフェースの端子である。入力ポート2は、送信装置10からの伝送データを受信することができる。なお、入力ポート2は、中継装置1において、複数存在しうる。
【0025】
出力ポート3は、中継装置1に接続されるネットワークへの伝送データ(信号)の出力が可能な通信インタフェースの端子である。出力ポート3は、送信装置10、および受信装置20への伝送データ、および後述するカットスルー通知を送信することができる。なお、出力ポート3は、中継装置1において、それぞれ複数存在しうる。すなわち、上述した送信装置10に対応する出力ポート3と、受信装置20に対応する出力ポート3は、異なるポートであってもよい。
【0026】
カットスルー可否判定部4は、入力ポート2における伝送速度と、出力ポート3における伝送速度とを比較することができる。速度比較の結果、ほぼ等速度である場合、所定の装置に対して、カットスルー可能であることをカットスルー通知によって通知する。例えば、カットスルー可否判定部4は、送信装置10と受信装置20との間の通信が開始された後、所定の期間において、その通信における入出力ポート間の伝送速度を比較してもよい。そして、比較の結果、ほぼ等速度であると判定した時点で、カットスルー可否判定部4は、例えば、送信装置10に対してカットスルー通知を送信してもよい。なお、「ほぼ等速度」とは、測定誤差などを考慮して、所定の範囲内における若干の速度違いがある状態であってもよい。
【0027】
伝送方式切替部5は、入力ポート2を介して、送信装置10から送信されたフレームを受信する。そして、伝送方式切替部5は、受信したフレームにおいて、カットスルー通知に基づいてカットスルーによる伝送(転送)を指定する情報であるカットスルー方式指示子に応じて、伝送方式を切り替える。すなわち、伝送方式切替部5は、カットスルーによる伝送を指定されている受信フレームをカットスルー処理部6に渡す。
【0028】
カットスルー処理部6は、フレームにおいてカットスルーフラグがセットされている場合に、伝送方式切替部5からフレームを受け取る。カットスルー処理部6は、受け取ったフレームをカットスルー方式によって、出力ポート3へ伝送する。
【0029】
ストアアンドフォワード処理部7は、フレームにおいてカットスルー方式指示子がセットされていない場合に、伝送方式切替部5からフレームを受け取る。ストアアンドフォワード処理部7は、受け取ったフレームをストアアンドフォワード方式によって、出力ポート3へ伝送する。
【0030】
なお、カットスルー方式、およびストアアンドフォワード方式による伝送技術については、よく知られた一般的な技術を採用することができるので、本実施形態における詳細な説明は省略する。
【0031】
送信装置10は、データ送信制御部12、および、方式指定部11を含む。
【0032】
方式指定部11は、カットスルー可否判定部4から受信したカットスルー通知に基づいて、送信するデータを含むフレームにカットスルー方式指示子をセットした後に、フレームをデータ送信制御部12に渡す。すなわち、方式指定部11は、受信装置20との通信中に受信したカットスルー通知に基づいて、それ以降の送信フレームに方式指示子をセットすることにより、中継装置1においてカットスルーによる伝送が行われるように制御することができる。なお、方式指定部11は、データ送信制御部12が送信するフレームのうち、伝送速度の短縮が要求される一部のフレームに対して、選択的にカットスルー方式指示子をセットしてもよい。または、方式指定部11は、カットスルーによる伝送が不適切である送信フレームを除いた送信フレームに対して、カットスルー方式指示子をセットしてもよい。
【0033】
データ送信制御部12は、方式指定部11がセットしたカットスルー方式指示子を含む受信装置20宛てのフレームを、中継装置1に対して送信する。
【0034】
受信装置20は、データ受信制御部21を含む。
【0035】
データ受信制御部21は、中継装置1を介して、送信装置10から送信されたフレームを受信する。
【0036】
なお、ストアアンドフォワード処理部7は、カットスルー以外の伝送技術であれば、ストアアンドフォワード方式ではない、その他の伝送方式によって伝送を行ってもよい。すなわち、本実施形態において、ストアアンドフォワード方式は、伝送技術の一例である。
【0037】
また、カットスルー可否判定部4は、入力ポート2における伝送速度と、出力ポート3における伝送速度とが、等速度でない場合に、カットスルーが不可能であることをカットスルー通知によって通知してもよい。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、異速度の通信が混在可能なネットワークにおいても、適切なカットスルーによって、中継を行う通信装置における伝送遅延を短縮できるという効果がある。
【0039】
その理由は、カットスルー可否判定部4が、入力ポート2における伝送速度と、出力ポート3における伝送速度とがほぼ等速度であることを確認することにより、伝送経路がカットスルーによる伝送可能な状態であることを確認するからである。また、カットスルー可否判定部4が、送信装置10などに対して、カットスルー可能であることをカットスルー通知によって通知する。すなわち、送信装置10は、フレームを送信する前に、中継装置1を含む通信経路がカットスルー可能な伝送速度であることを確認することができる。そして、伝送方式切替部5が、カットスルー通知に基づいてセットされたカットスルー方式指示子に応じて、カットスルー処理部6がカットスルーを実行するからである。このようにして、中継装置1は、異速度の通信が混在しているネットワークにおいても、カットスルーを適切に行うことができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、特定のデータを選択してカットスルーを適用することができるという効果がある。
【0041】
その理由は、送信装置10における方式指定部11は、伝送遅延の短縮が要求されるフレームに対して、選択的に、カットスルー方式指示子をセットすることができるからである。
【0042】
また、本実施形態によれば、カットスルー通知をデータ受信装置20に対して送信しないならば、データ受信装置20は、一般的なデータ通信装置を採用することができるという効果もある。
【0043】
<第2の実施形態>
次に、上述した第1の実施形態を基本とする第2の実施形態について説明する。以下では、第2の実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明し、第1の実施形態と同様な構成を有する第2の実施形態の構成要素には、第1の実施形態で付した参照符号と同一の参照符号を付し、その構成要素について重複する詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態では、受信装置と送信装置は、2台の中継装置を介して通信する。本実施形態では、各中継装置は、受信装置に対してカットスルー通知を送信する点が、第1の実施形態と異なる。また、受信装置は、各中継装置から受信するカットスルー通知に基づいて、総合的に伝送方式を判定する点が、第1の実施形態と異なる。
【0045】
本実施形態は、EhternetAVB(Audio Video Bridging)を用いた車載カメラシステムに、本発明を適用した例である。
【0046】
まず、
図2を参照して、以下に本実施形態のシステム構成を説明する。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る車載カメラシステムの構成を示す構成図である。
【0047】
図2を参照すると、本実施形態は、中継装置100、中継装置110、カメラ220、およびヘッドユニット320を含む。カメラ220は、第1の実施形態における送信装置10に相当する送信装置200を含む。また、ヘッドユニット320は、第1の実施形態における受信装置20に対応する受信装置300を含む。
【0048】
送信装置200、および受信装置300は、それぞれフレームの送信または受信が可能な通信装置である。なお、送信装置200、および受信装置300は、送受信の両方が可能な通信装置であってもよい。
【0049】
カメラ220と中継装置100との間、中継装置100と中継装置110との間、中継装置110とヘッドユニット320の間は、それぞれLAN(ローカルエリアネットワーク)や無線等の個別のネットワークによって通信可能に接続される。すなわち、中継装置100、および中継装置110は、カメラ220と、ヘッドユニット320との間の通信を中継することができる。中継装置100は、カメラ220と中継装置110との間の通信経路において、カメラ220と中継装置110との間の通信を中継することができる通信装置である。また、中継装置110は、中継装置100とヘッドユニット320との間の通信経路において、中継装置100とヘッドユニット320との通信を中継することができる通信装置である。
【0050】
中継装置100、中継装置110、カメラ220、およびヘッドユニット320は、それぞれCPU(Central Processing Unit:図示せず)を用いて実行されるコンピュータ・プログラム(ソフトウェア・プログラム)の制御により動作する一般的な情報処理装置(コンピュータ)によって構成されても良いし、または、各部が、専用のハードウェアデバイスあるいは論理回路で構成されても良い。なお、この中継装置100、中継装置110、送信装置200、および受信装置300をコンピュータによって実現したハードウェア構成例については、
図7を参照して後述する。
【0051】
また、本実施形態では、通信を開始する際に、送信装置200、中継装置100、中継装置110、および受信装置300は、各装置間において、データを伝送するパスをあらかじめ設定し、その後、リアルタイムな映像データ(ストリーム)を、カメラ220からヘッドユニット320に対して伝送する。
【0052】
中継装置100、および、中継装置110の構成は、第1の実施形態と同様であるので、
図1を参照して説明する。
図1を参照すると、中継装置100、および、中継装置110は、それぞれが、入力ポート2、出力ポート3、カットスルー可否判定部4、伝送方式切替部5、カットスルー処理部6、および、ストアアンドフォワード処理部7を含む。
【0053】
カットスルー可否判定部4は、本実施形態においては、上述したパス設定を行う間に、入力ポート2における伝送速度と、出力ポート3における伝送速度との比較を行う。また、カットスルー可否判定部4は、本実施形態においては、ヘッドユニット320に対して、カットスルー通知を送信する。上記以外のカットスルー可否判定部4の動作は、第1の実施形態と同様であるので、重複する詳細な説明は省略する。
【0054】
伝送方式切替部5は、本実施形態においては、受信したフレームのヘッダに含まれるカットスルーフラグの値に応じて、伝送方式を切り替える。すなわち、本実施形態においては、カットスルーフラグが、第1の実施形態における「カットスルー方式指示子」に相当する。上記以外の伝送方式切替部5の動作は、第1の実施形態と同様であるので、重複する詳細な説明は省略する。
【0055】
上記以外の入力ポート2、出力ポート3、カットスルー処理部6、および、ストアアンドフォワード処理部7の動作は、第1の実施形態と同様であるので、重複する詳細な説明は省略する。
【0056】
カメラ220は、撮影機210、および第1の実施形態における送信装置10に相当する送信装置200を含む。
【0057】
撮影機210は、映像を撮影することができる。撮影機210は、撮影している間、映像のデータをリアルタイムに送信装置200に渡す。
【0058】
送信装置200の構造は、第1の実施形態と同様であるので、
図1を参照して説明する。
図1を参照すると、送信装置200は、方式指定部11と、データ送信制御部12とを含む。
【0059】
方式指定部11は、本実施形態においては、カットスルー通知の代わりに、ヘッドユニット320から、カットスルー通知に基づいて送信されるカットスルー指示を受信する。そして、方式指定部11は、受信したカットスルー指示に基づいて、データ送信制御部12が送信するフレームにカットスルーフラグをセットする。すなわち、方式指定部11は、本実施形態においては、間接的に、カットスルー通知に基づいて動作する。上記以外の方式指定部11の動作は、第1の実施形態と同様であるので、重複する詳細な説明は省略する。
【0060】
データ送信制御部12は、撮影機210から受けた映像データを、リアルタイムなストリームデータとして、中継装置100(および中継装置110)を介して、ヘッドユニット320宛てに送信する。
【0061】
ヘッドユニット320は、再生機310、および第1の実施形態における受信装置20に対応する受信装置300を含む。
【0062】
再生機310は、受信装置300から受け取ったストリームを再生する。
【0063】
以下に、
図3を参照して受信装置300の構造を説明する。
図3は、第2の実施形態に係る受信装置300の構成を示すブロック図である。
【0064】
受信装置300は、第1の実施形態におけるデータ受信制御部21に加えて、中継方式決定部301を含む。
【0065】
中継方式決定部301は、中継装置100、および中継装置110における各々のカットスルー可否判定部4から受信したカットスルー通知に基づいて、中継装置100、および中継装置110において、カットスルーを使用するかどうかを決定する。カットスルーを使用する場合、中継方式決定部301は、中継装置100、および中継装置110を介して、カメラ220に対し、カットスルーを使用することを指示するカットスルー指示を送信する。
【0066】
データ受信制御部21の動作は、基本的に第1の実施形態と同様である。データ受信制御部21は、中継装置110(および中継装置100)を介して、カメラ220から送信されたフレームを受信する。そして、データ受信制御部21は、受信したフレームに含まれるストリームデータを再生機310に渡す。
【0067】
次に、上述した構成を備える本実施形態の動作について、
図4を参照して、詳細に説明する。
図4は、第2の実施形態に係る車載カメラシステムにおける通信シーケンスの一例を示す図である。なお、中継装置100の動作と中継装置110の動作は、基本的に同様であるので、以下の説明においては、中継装置100における各部の動作の説明をもって、中継装置110における対応する各部の動作の説明に代える。
【0068】
まず、ヘッドユニット320のデータ受信制御部21と、カメラ220のデータ送信制御部12とが、中継装置100および中継装置110を介して、映像伝送パスを設定する(ステップS1)。
【0069】
映像伝送パスが設定される間、中継装置100および中継装置110におけるカットスルー可否判定部4は、入出力ポートの伝送速度を比較することにより、カットスルーの可否を判定する(ステップS2)。
【0070】
具体的には、中継装置100におけるカットスルー可否判定部4は、パス設定の間、入力ポート2におけるカメラ220から受信するフレームの伝送速度と、出力ポート3における中継装置110へ送信するヘッドユニット320宛てのフレームの伝送速度とを比較する。カットスルー可否判定部4は、パス設定の開始と終了とを、例えば、フレームのパターン解析によって検知することができる。
【0071】
速度比較の結果、入出力ポート間の伝送速度がほぼ等速度であると認めた場合、カットスルー可否判定部4は、ヘッドユニット320に対してカットスルー可能であることを示すカットスルー通知を送信する(ステップS3)。この具体例では、中継装置100、および中継装置110の両方が、カットスルー可能であることを示すカットスルー通知を送信したこととする。
【0072】
ヘッドユニット320においては、受信装置300における中継方式決定部301が、カットスルー通知を受信する。そして、中継方式決定部301は、設定したパスに介在するすべての中継装置から、カットスルー可能であることを示すカットスルー通知を受信した場合、カットスルーの使用を決定する(ステップS4)。
【0073】
中継方式決定部301は、カットスルーの使用を決定した場合、カメラ220に対して、カットスルー指示を送信する(ステップS3)。カットスルー指示は、中継装置100および中継装置110を介して、送信装置200に届く。カットスルー指示を受信すると、送信装置200の方式指定部11は、カットスルー指示を受けたことを、図示しない記憶装置に記憶する。
【0074】
なお、このとき、中継方式決定部301は、さらに、中継装置100および中継装置110に対しても、カットスルー指示を送信してもよい。カットスルー指示を受けた場合、中継装置100および中継装置110は、例えば、カメラ220から送信されたフレームを受ける入力ポート2を示す入力ポート情報と、ヘッドユニット320に対してフレームを出力する出力ポート3を示す出力ポート情報、および、ヘッドユニット320の宛先アドレスなどを示す宛先情報などを、図示しない記憶装置に記憶してもよい。
【0075】
パス設定の終了後、カメラ220は、ヘッドユニット320宛てに、ストリームデータの配信を開始する。
【0076】
まず、方式指定部11は、カットスルー指示に基づいて、データ送信制御部12が送信するフレームの一部または全部にカットスルーフラグを立てた後に、データ送信制御部12にフレームを渡す。
図5は、第2の実施形態におけるカットスルーフラグの具体例を示す図である。
図5に示すヘッダ501は、IEEE1722(「IEEE Standard for Layer 2 Transport Protocol for Time−Sensitive Applications in Bridged Local Area Networks」、Approved 10 February 2011)において定義されるヘッダ構造を表す。カットスルーフラグ502は、例えば、ヘッダ501においてReservedとされている領域に含まれる1bitを使用してもよい。方式指定部11は、例えば、カットスルーフラグ502を立てる(「1」にする)ことにより、データフレーム500をカットスルー方式で伝送することを指定してもよい。このとき、方式指定部11は、カットスルーフラグ502を立てない(「0」にする)ことにより、データフレーム500をストアアンドフォワード方式で伝送することを指定してもよい。データ送信制御部12は、方式指定部11がセットしたカットスルーフラグを含む受信装置20宛てのフレームを、中継装置100に対して送信する(ステップS6)。
【0077】
中継装置100において、伝送方式切替部5は、カメラ220から受信したフレームにおけるカットスルーフラグに基づいて、伝送方式を切り替える。具体的には、伝送方式切替部5は、入力ポート2からフレームの入力があると、フレームのヘッダに含まれるカットスルーフラグを調べる。カットスルーフラグが立っている場合、伝送方式切替部5は、出力ポート3へのカットスルーを実行する。すなわち、伝送方式切替部5は、カットスルー処理部6に対して、入力ポート2からのフレームを渡す。
【0078】
カットスルー処理部6は、フレームのヘッダに含まれる宛先アドレスに基づいて、フレームの出力先である出力ポート3を識別する。そして、カットスルー処理部6は、出力ポート3に対してフレームを出力する(ステップS7)。同様にして、中継装置110においても、カットスルーによる伝送が実行される。
【0079】
一方、カットスルーフラグが立っていない場合、伝送方式切替部5は、出力ポート3へのストアアンドフォワードを実行する。すなわち、伝送方式切替部5は、ストアアンドフォワード処理部7に対して、入力ポート2からのフレームを渡す。ストアアンドフォワード処理部7は、フレームに対して、バッファリング、エラー判定、宛先解決、スイッチングなど、カットスルーでは行われない各種処理を行ってから、出力ポート3に対してフレームを出力する。このストアアンドフォワード処理部7の処理によって、エラーフレームの伝送が防止できる。
【0080】
なお、ステップS3において、中継方式決定部301が中継装置100および中継装置110に対してもカットスルー指示を送信していた場合、伝送方式切替部5は、ステップS7の処理に際して、記憶しておいた情報に基づいた確認を行ってもよい。すなわち、伝送方式切替部5は、カットスルーフラグに加えて、入出力ポートと宛先アドレスとの組み合わせが記憶されている場合に、カットスルーを実行するようにしてもよい。
【0081】
中継装置110の出力ポート3からフレームが伝送されると、ヘッドユニット320にストリームデータが送信される(ステップS8)。すなわち、受信装置300におけるデータ受信制御部21が、中継装置110から伝送されたストリームデータを含むフレームを受信する。
【0082】
このようにして、本実施形態に係る車載カメラシステムは、カットスルーを実行可能であることを確認した後にカットスルーの実行を指定することにより、カットスルーを適切に実行することができる。
【0083】
また、
図6に示すように、カメラ220は、伝送遅延を短縮したい映像を含むストリームデータを選択して、カットスルーを実行することができる。
図6は、第2の実施形態に係る車載カメラシステムにおける通信の様子を示す模式図である。カメラ220における方式指定部11は、ステップS6において、データ送信制御部12が送信するフレームのうち、伝送速度の短縮が要求される一部のフレームに対して、選択的にカットスルーフラグをセットしてもよい。例えば、方式指定部11は、撮影機210が撮影した映像のストリームデータを含むフレームを選択して、カットスルーフラグを立ててもよい。一方、方式指定部11は、ストリームデータ以外の制御信号を含むフレームには、カットスルーフラグを立てないようにしてもよい。この結果、中継装置100および110は、映像を含むストリームデータをカットスルーで伝送するが、制御信号を含むフレームに対してはストアアンドフォワードで伝送することが実現できる。
【0084】
また、ヘッドユニット320からカメラ220に対する制御信号の送信においても、本実施形態を適用する場合、
図6に示すように、ヘッドユニット320は、カットスルーフラグを立てずに制御信号を含むフレームを送信することにより、ストアアンドフォワードによる高品質な伝送方式を選択することが可能である。
【0085】
なお、中継方式決定部301は、送信装置200に配置してもよい。その場合、カットスルー可否判定部4は、カットスルー通知を送信装置200に対して送信する。また、中継方式決定部301は、受信装置300に対して、カットスルー指示を送信しなくても構わない。
【0086】
以上、説明したように、本実施形態には、異速度の通信が混在可能なネットワークにおいて、通信経路に2台の中継装置を含む場合にも、適切なカットスルーによって、中継を行う通信装置における伝送遅延を短縮できるという効果がある。
【0087】
その理由は、中継方式決定部301が、中継装置100および中継装置110のそれぞれにおけるカットスルー可否判定部4から、カットスルー可能であることを示すカットスルー通知を受信することを確認するからである。これにより、中継方式決定部301は、使用する通信経路の全域において、カットスルー可能であることを確認するので、適切にカットスルーを実行することができる。上述した通り、カットスルーは、ストアアンドフォワードに比べて、バッファリング、エラー判定、宛先解決、スイッチングなどの処理を行わない分だけ、中継装置内における遅延を短縮する効果が得られる。
【0088】
また、本実施形態には、特定のデータを選択してカットスルーを適用することができるという効果がある。
【0089】
その理由は、カメラ220における方式指定部11は、伝送遅延の短縮が要求されるストリームデータを含むフレームに対して、選択的に、カットスルーフラグを立てることができるからである。
【0090】
なお、上述した各実施形態において
図1、
図2、および
図3に示した各部は、それぞれ独立したハードウェア回路で構成されていてもよいし、ソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捕らえることもできる。ただし、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。このような場合のハードウェア環境の一例を
図7を参照して説明する。
図7は、本発明の各実施形態に係る通信システムに適用可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成を例示する図である。すなわち、
図7は、上述した各実施形態における中継装置1、中継装置100、中継装置110、送信装置10、受信装置20、カメラ220、およびヘッドユニット320の少なくとも何れかを実現可能コンピュータの構成であって、上述した各実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を示す。
【0091】
図7に示したコンピュータ900は、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM(Random Access Memory)903、通信インタフェース(I/F)904、ディスプレイ905、及びハードディスク装置(HDD)906を備え、これらがバス907を介して接続された構成を有する。なお、
図7に示したコンピュータが中継装置1、中継装置100、中継装置110、送信装置10、受信装置20、およびカメラ220として機能する場合、ディスプレイ905は常時設けられる必要はない。また、通信インタフェース904は、上述した各実施形態において、当該各コンピュータ間における通信を実現する一般的な通信手段である。ハードディスク装置906には、プログラム群906Aと、各種の記憶情報906Bとが格納されている。プログラム群906Aは、例えば、上述した
図1、
図2、および
図3に示した各ブロック(各部)に対応する機能を実現するためのコンピュータ・プログラムである。各種の記憶情報906Bは、
図1、
図2、および
図3に示した各部が動作に際して、一時的に格納した情報などである。このようなハードウェア構成において、CPU901は、コンピュータ900の全体の動作を司る。
【0092】
そして、上述した各実施形態を例に説明した本発明は、各実施形態の説明において参照したブロック構成図(
図1、
図2、および
図3)あるいはシーケンス図(
図4)の機能を実現可能なコンピュータ・プログラムを供給した後、そのコンピュータ・プログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して実行することによって達成される。また、このコンピュータ内に供給されたコンピュータ・プログラムは、読み書き可能な一時記憶メモリ903またはハードディスク装置906などの不揮発性の記憶デバイス(記憶媒体)に格納すれば良い。
【0093】
また、前記の場合において、当該各装置内へのコンピュータ・プログラムの供給方法は、フロッピーディスク(登録商標)やCD−ROM等の各種記録媒体を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信ネットワーク1000を介して外部よりダウンロードする方法等のように、現在では一般的な手順を採用することができる。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータ・プログラムを構成するコード、或いは係るコードが記録されたところの、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体によって構成されると捉えることができる。
【0094】
なお、上述した実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下の付記に限定されるものではない。
【0095】
(付記1)
入力ポートにおける伝送速度と、出力ポートにおける伝送速度とを所定の期間において比較し、速度比較の結果、前記入力ポートにおける伝送速度と、前記出力ポートにおける伝送速度とがほぼ等速度である場合、所定の装置に対して、カットスルー可能であることを示すカットスルー通知を送信するカットスルー可否判定手段と、
前記入力ポートから受信するフレームに含まれる、前記カットスルー通知に基づいてカットスルーによる伝送を指定するための情報に応じて、伝送方式を切り替える伝送方式切替手段と、
前記伝送方式切替手段によりカットスルーによる伝送方式へ切り替えが行われた場合に、前記受信したフレームをカットスルー方式によって前記出力ポートへ伝送するカットスルー処理手段と、
を備える第1の通信装置。
【0096】
(付記2)
前記伝送方式切替手段によりカットスルー以外の伝送方式へ切り替えが行われた場合に、前記受信したフレームをストアアンドフォワード方式によって前記出力ポートへ伝送するストアアンドフォワード処理手段を
さらに備える付記1記載の第1の通信装置。
【0097】
(付記3)
付記1または2記載の第1の通信装置から送信された前記カットスルー通知に基づいて、前記第1の通信装置の前記入力ポートに対して送信するデータを含むフレームに、前記カットスルーによる伝送を指定する情報であるカットスルー方式指示子をセットすることが可能な方式指定手段と、
前記カットスルー方式指示子がセットされたフレームを送信するデータ送信制御手段
を備える第2の通信装置。
【0098】
(付記4)
付記1または2記載の複数の第1の通信装置と付記3記載の第2の通信装置とを含む通信システムに接続される第3の通信装置であって、前記複数の第1の通信装置から送信される前記カットスルー通知を受信し、すべての前記カットスルー通知がカットスルー可能であることを示すときに、前記複数の第1の通信装置においてカットスルーを使用することを指示するカットスルー指示を付記3記載の第2の通信装置に対して送信する中継方式決定手段
を備える第3の通信装置。
【0099】
(付記5)
前記方式指定手段は、前記カットスルー通知に代えて、付記1または付記2記載の第1の通信装置から送信された前記カットスルー通知を受信した通信装置から送信されたカットスルー指示に基づいて、前記カットスルー方式指示子をセットすることが可能である
付記3記載の第2の通信装置。
【0100】
(付記6)
付記3または付記5記載の第2の通信装置から送信されるフレームを、1台以上の付記1または付記2記載の第1の通信装置によって中継する通信システム。
【0101】
(付記7)
入力ポートにおける伝送速度と、出力ポートにおける伝送速度とを所定の期間において比較し、
速度比較の結果、前記入力ポートにおける伝送速度と、前記出力ポートにおける伝送速度とがほぼ等速度である場合、所定の装置に対して、カットスルー可能であることを示すカットスルー通知を送信し、
前記入力ポートから受信するフレームに含まれる、前記カットスルー通知に基づいてカットスルーによる伝送を指定するための情報に応じて、伝送方式を切り替え、
カットスルーによる伝送方式へ切り替えた場合は、前記受信したフレームをカットスルー方式によって前記出力ポートへ伝送する
中継方法。
【0102】
(付記8)
伝送方式を切り替える際に、カットスルー以外の伝送方式へ切り替えた場合は、前記受信したフレームをストアアンドフォワード方式によって前記出力ポートへ伝送する
付記7記載の中継方法。
【0103】
(付記9)
付記7または8記載の前記カットスルー通知を受信し、
前記カットスルー通知に基づいて、前記カットスルーによる伝送を指定する情報であるカットスルー方式指示子をセットしたフレームを、付記7または8記載の前記入力ポートに対して送信する
データ送信方法。
【0104】
(付記10)
付記7または8記載の中継方法によって、データを中継する複数の通信装置から、付記7または8記載の前記カットスルー通知を受信し、
すべての前記カットスルー通知がカットスルー可能であることを示すときに、前記複数の通信装置においてカットスルーを使用することを指示するカットスルー指示を、付記9記載のデータ送信方法によって、前記データを送信する通信装置に対して送信する
中継方式決定方法。
【0105】
(付記11)
付記10記載の前記カットスルー指示を受信し、
前記カットスルー指示に基づいて、カットスルーによる伝送を指定する情報であるカットスルー方式指示子をセットしたフレームを、付記7または8記載の前記入力ポートに対して送信する
データ送信方法。
【0106】
(付記12)
入力ポートにおける伝送速度と、出力ポートにおける伝送速度とを所定の期間において比較し、速度比較の結果、前記入力ポートにおける伝送速度と、前記出力ポートにおける伝送速度とがほぼ等速度である場合、所定の装置に対して、カットスルー可能であることを示すカットスルー通知を送信するカットスルー可否判定処理と、
前記入力ポートから受信するフレームに含まれる、前記カットスルー通知に基づいてカットスルーによる伝送を指定するための情報に応じて、伝送方式を切り替える伝送方式切替処理と、
前記伝送方式切替処理においてカットスルーによる伝送方式へ切り替えが行われた場合に、前記受信したフレームをカットスルー方式によって前記出力ポートへ伝送するカットスルー処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータ・プログラム。