(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上面が開口し、内部に弁室が設けられるとともに、該弁室の下側に弁口及び流出室が順次設けられ、外周部に前記弁室に連なる一次側流入口と前記流出室に連なる二次側流出口が設けられた樹脂製の弁本体と、前記弁口をその下側から開閉するための弁体部が設けられ、前記弁本体に上下方向に摺動自在に嵌挿された弁棒と、該弁棒を上下方向に開閉駆動すべく前記弁本体の上面開口を塞ぐようにその上部に取り付けられた感圧応動部材と、を備え、前記弁本体の上部で前記感圧応動部材の下面側に、二次側圧力を前記感圧応動部材に感知させるための感圧室が設けられている減圧弁であって、
前記弁本体は、前記一次側流入口がその外周部に開口する有底筒状部を有するハウジング部材と、前記有底筒状部に挿着固定され、前記弁棒が摺動自在に嵌挿される案内孔、前記一次側流入口に連なる周側開口部を持つ前記弁室、及び前記弁口が設けられた円筒状のホルダ部材とで分割構成され、
前記ハウジング部材は、樹脂成形品であり、
前記ハウジング部材の有底筒状部に設けられた一次側流入口の開口部と前記ホルダ部材に設けられた前記弁室の前記周側開口部との間を封止すべく、流入用開口部を持つシート状、板状、もしくはリング状の開口間シール部材が前記一次側流入口の開口周縁部と前記弁室のシール装着面との間に介装され、
前記開口間シール部材の上面は、前記ホルダ部材に設けられた下向きの段状部に対向しており、前記開口間シール部材の下面は、前記ハウジング部材に設けられた上向きの段状部に対向していることを特徴とする減圧弁。
前記開口間シール部材は、前記一次側流入口の開口周縁部と前記弁室の前記シール装着面との間に厚み方向に圧縮されて挟圧保持されていることを特徴とする請求項1に記載の減圧弁。
前記開口間シール部材は、前記流入用開口部に沿ってその内面側及び/又は外面側に、当該シール部材の厚み方向に突出する環状突起が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の減圧弁。
前記一次側流入口の開口部、前記弁室の周側開口部、及び前記開口間シール部材の流入用開口部は、概略同一寸法の湾曲した楕円形状とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の減圧弁。
前記開口間シール部材は、自然状態において前記ホルダ部材の円筒状外周面に概ね沿うような湾曲した形状とされていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の減圧弁。
前記開口間シール部材は、前記弁室の前記シール装着面及び/又は前記一次側流入口の前記開口周縁部に焼き付け、接着、圧入等により固定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の減圧弁。
【背景技術】
【0002】
給湯設備等に使用される減圧弁として、例えば下記特許文献1に所載のように、樹脂製の弁本体と、弁棒と、感圧応動部材(ダイアフラム装置)とを備えたものが知られている。
【0003】
詳細には、樹脂製の弁本体は、上面が開口し、内部に弁口付き弁座を有する弁室が設けられるとともに、弁口の下側に流出室が設けられ、外周部に弁室に連なる一次側流入口と前記流出室に連なる二次側流出口が設けられている。
【0004】
また、弁棒は、弁口をその下側から開閉するための弁体部が設けられ、前記弁本体に上下方向に摺動自在に嵌挿されている。
【0005】
前記感圧応動部材は、弁棒を上下方向に開閉駆動すべく前記弁本体の上面開口を塞ぐようにその上部に取り付けられている。
【0006】
また、前記二次側流出口と感圧応動部材との間に二次側圧力を感圧応動部材(のダイアフラム)に感知させるための感圧室が設けられている。
【0007】
かかる減圧弁では、樹脂製の弁本体や通路構成部品等が圧力によって破壊されるのを防止すべく、一次側の圧力が弁本体や通路構成部品の耐圧限界値を越えたときに開弁して一次側の圧力を二次側に逃がす逃がし弁が弁本体内に設けられている。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に所載の減圧弁では、逃がし弁の逃がし弁口が感圧室に開口しているので、一次側圧力が所定値を越えたとき、逃がし弁が開くと、一次側圧力は逃がし弁から感圧室を経由して二次側流出口へと抜けるので、ダイアフラム装置に悪影響を及ぼし、調圧動作が乱れるおそれがあり、また、単一の弁本体内に弁棒の案内孔、弁室、流出室、感圧室等を形成して、弁棒を後付けする構成であるので、弁本体の下面を開口として、この下面開口から弁棒を挿入した後に、該下面開口を別体のねじ込み式底蓋部材で閉塞するとともに、外部との気密性を確保するため、この閉塞部分をOリング等でシールする必要がある。そのため、部品点数が多くなり、部品コスト、加工組立てコストが高くなる等の問題がある。
【0009】
かかる問題を解消すべく、本発明の発明者等は、先に、次のような構成の減圧弁を提案している(特許文献2参照)。
【0010】
すなわち、前記提案の減圧弁は、上面が開口し、内部に弁室が設けられるとともに、該弁室の下側に弁口及び流出室が順次設けられ、外周部に前記弁室に連なる一次側流入口と前記流出室に連なる二次側流出口が設けられた樹脂製の弁本体と、前記弁口をその下側から開閉するための弁体部が設けられ、前記弁本体に上下方向に摺動自在に嵌挿された弁棒と、該弁棒を上下方向に開閉駆動すべく前記弁本体の上面開口を塞ぐようにその上部に取り付けられた感圧応動部材と、を備え、前記弁本体の上部で前記感圧応動部材の下面側に、二次側圧力を前記感圧応動部材に感知させるための感圧室が設けられている。
【0011】
加えて、前記弁本体は、前記一次側流入口がその外周部に開口する有底筒状部を有する樹脂製のハウジング部材と、前記有底筒状部に上から落とし込まれるように挿入されて溶着等により固定され、前記弁棒が摺動自在に嵌挿される案内孔、前記一次側流入口に連なる周側開口部を持つ前記弁室、及び前記弁口が設けられた樹脂製の円筒状ホルダ部材とで分割構成されるとともに、前記ホルダ部材と前記有底筒状部の底部との間に前記流出室が画成され、前記ホルダ部材に、一次側圧力が所定値を越えたとき一次側圧力を前記流出室に逃がす逃がし弁が設けられている。
【0012】
かかる前記提案の減圧弁では、逃がし弁の設置部位が、従来例のように感圧応動部材側ではなく、感圧応動部材とは反対側とされ、一次側圧力が所定値を越えたとき、一次側圧力を逃がし弁を介して(従来例のように感圧室ではなく)二次側流出口に近い流出室を経由して二次側流出口へ逃がすように構成されるので、逃がし弁が開いたとき感圧応動部材への影響は少ない。そのため、調圧動作が乱されることなく、樹脂製の弁本体や通路構成部品等が圧力によって破壊されるのを防止することができる。
【0013】
また、前記弁本体は、ハウジング部材とホルダ部材とで分割構成されているので、従来例のように弁本体の下面開口を別体のねじ込み式底蓋部材で閉塞するとともに、この閉塞部分をOリング等でシールすることは不要となる。そのため、部品点数の削減、加工組立てコストの低減等を効果的に図ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記提案の減圧弁においては、前記弁本体がハウジング部材とホルダ部材とで分割構成され、ホルダ部材をハウジング部材(の有底筒状部)に落とし込むように挿入して固定するようにされている関係上、一次側(流入口、弁室)と二次側(感圧室、流出室)との間を確実にシールする必要があり、そのため、ホルダ部材の上部(周側開口部より上側)をハウジング部材の上部(一次側流入口より上側)に溶着等により気密的に接合することにより、ホルダ部材のハウジング部材への固定とシールを行うとともに、ホルダ部材の下部(周側開口部より下側)とハウジング部材の下部(一次側流入口の下側)との間にOリング等のシール材を介装する必要があり、そのため、加工組立コストが嵩むという問題があった。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、弁本体がハウジング部材とホルダ部材とで分割構成され、ホルダ部材をハウジング部材の有底筒状部に落とし込んで挿着固定するようにされたもとで、加工組立コストを低く抑えることのできる減圧
弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成すべく、本発明に係る減圧弁は、基本的には、上面が開口し、内部に弁室が設けられるとともに、該弁室の下側に弁口及び流出室が順次設けられ、外周部に前記弁室に連なる一次側流入口と前記流出室に連なる二次側流出口が設けられた樹脂製の弁本体と、前記弁口をその下側から開閉するための弁体部が設けられ、前記弁本体に上下方向に摺動自在に嵌挿された弁棒と、該弁棒を上下方向に開閉駆動すべく前記弁本体の上面開口を塞ぐようにその上部に取り付けられた感圧応動部材と、を備え、前記弁本体の上部で前記感圧応動部材の下面側に、二次側圧力を前記感圧応動部材に感知させるための感圧室が設けられる。
【0018】
そして、前記弁本体は、前記一次側流入口がその外周部に開口する有底筒状部を有するハウジング部材と、前記有底筒状部に挿着固定され、前記弁棒が摺動自在に嵌挿される案内孔、前記一次側流入口に連なる周側開口部を持つ前記弁室、及び前記弁口が設けられた円筒状のホルダ部材とで分割構成され、
前記ハウジング部材は、樹脂成形品であり、前記ハウジング部材の有底筒状部に設けられた一次側流入口の開口部と前記ホルダ部材に設けられた弁室のシール装着面との間を封止すべく、流入用開口部を持つシート状、板状、もしくはリング状の開口間シール部材が前記一次側流入口の開口周縁部と前記弁室の前記シール装着面との間に介装され
、前記開口間シール部材の上面は、前記ホルダ部材に設けられた下向きの段状部に対向しており、前記開口間シール部材の下面は、前記ハウジング部材に設けられた上向きの段状部に対向していることを特徴としている。
【0019】
また、前記開口間シール部材は、前記一次側流入口の開口周縁部と前記弁室の前記シール装着面との間に厚み方向に圧縮されて挟圧保持され、前記流入用開口部に沿ってその内面側及び/又は外面側に、当該シール部材の厚み方向に突出する環状突起が設けられている。
【0020】
更に、好ましい態様としては、前記一次側流入口の開口部、前記弁室の周側開口部、及び前記開口間シール部材の流入用開口部は、概略同一寸法の湾曲した楕円形状とされていることを特徴としている。
【0021】
更にまた、他の好ましい態様としては、前記開口間シール部材は、自然状態において前記ホルダ部材の円筒状外周面に概ね沿うような湾曲した形状とされ、前記弁室の周側開口周縁部及び/又は前記一次側流入口の開口周縁部に焼き付け、接着、圧入等により固定されていることを特徴としている。
【0022】
更にまた、前記ホルダ部材には、前記開口間シール部材が装着されるシール装着面が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る減圧弁では、ハウジング部材に設けられた一次側流入口の開口周縁部とホルダ部材に設けられた弁室のシール装着面との間に開口間シール部材が介装されるので、一次側(流入口、弁室)と二次側(感圧室、流出室)との間を別途にシールする必要がなくなり、そのため、先提案のものでは溶着等により気密的に接合していたホルダ部材の上部とハウジング部材の上部との間には気密性は要求されず、この上部においてはホルダ部材のハウジング部材への固定のみを行えばよい(ねじ止めでも可)ので、厳格な寸法管理や綿密性が要求される、気密性を確保するためのは作業は不要となり、また、先提案のものにおいてホルダ部材の下部とハウジング部材の下部との間をシールしていたOリング等のシール材は不要となるので、それらが相俟って加工組立コストを低く抑えることができる。
【0025】
また、
開口間シール部材は、減圧弁だけでなく、湾曲したオーバル形状の開口部が形成された第1円筒体に、前記開口部と概略同一寸法形状の周側開口部が形成された第2円筒体を挿入して、前記開口部と周側開口部を対向させるとともに、前記開口部と周側開口部との間を封止する必要のある組立体(流体が流通する機器類)であれば、同様に適用できる。
【0026】
この場合、従前の前記機器類では、先提案の減圧弁と同様に第1及び第2円筒体の上部と下部において溶着やOリング等でシールしていたが、本発明の開口間シール部材を用いれば、シール箇所が1箇所で済み、部品点数の削減、加工組立コストの低減等を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る減圧弁の一実施例を示す縦断面図である。
図示の減圧弁1は、樹脂製の弁本体10と、弁棒30と、感圧応動部材としてのダイアフラム装置40とを備えている。
【0030】
樹脂製の弁本体10は、上面が開口し、内部に弁室21が設けられるとともに、その下側に弁座23付き弁口22が設けられ、さらに弁口22の下側に流出室26が設けられ、外周部に弁室21に連なる一次側流入口11(開口部11a)と流出室26に連なる二次側流出口12(開口部12a)が設けられている。また、弁本体10の上部でダイアフラム装置40(ダイアフラム41)の下面側に、二次側圧力をダイアフラム装置40に感知させるための感圧室24が画成されている。
【0031】
また、弁棒30は、上から順に、後述するダイアフラム装置40連結用の突出雄ねじ部31、ダイアフラム支承部32、摺動大径部33、中間小径部34、円錐状係止部36a付き取付部36、及び前記取付部36に外嵌され、弁口22をその下側から開閉するための弁体部35を有し、その摺動大径部33が弁本体10(の案内孔19)に上下方向に摺動自在に嵌挿されている。
【0032】
弁棒30の摺動大径部33の外周には、案内孔19との間に形成される摺動面間隙をシールすべく、Oリング28が装着されている。
【0033】
弁体部35は、前記弁座23に接離する短円筒状のゴム製のシール部材35aと、該シール部材35aを円錐状係止部36a付き取付部36に取付固定するための、通し穴37a付き有底短円筒状の下側押さえ部材37とを備え、該下側押さえ部材37は取付部36の下端部に設けられた縦穴状円筒部36bでかしめ固定(かしめ部38)されている。
【0034】
ダイアフラム装置40は、弁棒30を上下方向に開閉駆動すべく弁本体10の上面開口10aを塞ぐようにその上部に取り付けられている。詳細には、ダイアフラム装置40は、弁本体10の上面開口10aを覆うように配在された中央通し穴付きダイアフラム41と、このダイアフラム41の外周部を弁本体10のダイアフラム受け部10bと協同してその下端面部42bで挟圧封止する断面概略段付き凸字状のキャップ42と、ダイアフラム41とキャップ42の上部との間に配在されてダイアフラム41を下方に付勢する圧縮コイルばね45と、を有している。
【0035】
加えて、ダイアフラム41と弁棒30との連結固定等のため、次の構成部材を備えている。すなわち、弁棒30の突出雄ねじ部31挿通用の中央通し穴を有し、前記圧縮コイルばね45の下端を受け止めるべくダイアフラム41上に乗せられる下側ばね受け部材43と、前記突出雄ねじ部31に螺合せしめられてダイアフラム支承部32と協同してダイアフラム41を挟圧保持するための締付用ナット44と、圧縮コイルばね45の上端を受け止める逆立ハット形の上側ばね受け部材46と、この上側ばね受け部材46の受け止めと圧縮コイルばね45のセット荷重調節とに供すべく、前記キャップ42の上部口筒部42a内周に形成された雌ねじ部42iに螺合せしめられる雄ねじ部47eが形成された調節用ナット47と、を備え、キャップ42の下端面部42bを複数本のボルト類48で弁本体10の上面部に締付固定することにより、ダイアフラム装置40は弁本体10に組み付けられている。
【0036】
なお、前記突出雄ねじ部31の上部には、締付用ナット44を螺合締付する際の回り止めに供される両面平行面取りされた把持部31a(
図2)が形成されている。また、上側ばね受け部材46の底部中央は球面受座とされるとともに、調節用ナット47の下部は逆立円錐台状とされて、上側ばね受け部材46(及び圧縮コイルばね45)には自動調芯性が与えられている。
【0037】
前記弁本体10は、より詳細には、一次側流入口11がその外周部に開口する有底筒状部16を有する樹脂製のハウジング部材15と、前記有底筒状部16に上から落とし込まれるようにして挿着固定され、弁棒30(の摺動大径部33)が摺動自在に嵌挿される案内孔19、ハウジング部材15の一次側流入口11(開口部11a)に連なる周側開口部21aを持つ弁室21、及び前記弁体部35により開閉される弁座23付き弁口22が設けられた樹脂製のホルダ部材20とで分割構成されている。
【0038】
ハウジング部材15の有底筒状部16においては、その中心線Oに対して一次側流入口11(の中心線)が直交配置されており、一次側流入口11の開口部11aは、流体の流入方向から見た場合に円形であり、これを展開すれば有底筒状部16の外周面に沿って湾曲した楕円形状とされている。
【0039】
また、有底筒状部16の上部内周には、環状係止部16dを有する大径嵌挿穴16aが形成されるとともに、ホルダ部材20(の上側嵌合部20A)における上部外周には前記大径嵌挿穴16aに嵌め込まれて係止される環状掛止部20dを有する大径嵌合部20aが設けられており、組立時に、後述する開口間シール部材50を伴うホルダ部材20を有底円筒状部16内に落とし込むように挿入して大径嵌挿穴16aと嵌合部20aとの接触部分(環状係止部16d周りと環状掛止部20d周り)を超音波溶着により溶着固定するようになっている。なお、後述するように、ここでの溶着は、ホルダ部材20をハウジング部材15に固定するためのもので、気密性は要求されない。ハウジング部材15とホルダ部材20は、超音波溶着する関係上、同一材質とすることが好ましい。
【0040】
ホルダ部材20は、概略形状が段付き円筒状とされ、上側嵌合部20Aと、中間嵌合部20Bと、下部小径部20Cとからなっている。上側嵌合部20Aは、
図1、
図2に加えて
図3、
図4を参照すればよくわかるように、成形上の便宜(薄肉化・均肉化して変形やボイドの発生を抑制)を図るための、肉抜き凹部20eや円環状深溝20f(下部小径部20Cにも円弧状溝20k)等が形成されるとともに、肉抜き凹部20eの底部の内周には、前記案内孔19の最上部を構成するように左右一対の平面視扇形状の凸部20gが立設されている。
【0041】
また、ホルダ部材20の上端一側部には、組立時、つまり有底筒状部16に落とし込こむようにして挿着固定する際の便宜(位置決め等)を図るべく、径方向外方に突出する平面視概略矩形状の横突片部20jが設けられている。この横突片部20jは有底筒状部16の上端部に形成された凹部16j(
図2)に嵌合せしめられる。
【0042】
また、円環状深溝20fの一部の下側には、後述する流出室26と感圧室24とを連通させるように断面円弧状の感圧通路25が連設されている。なお、肉抜き凹部20eや円環状深溝20fは感圧室24の一部を構成する。
【0043】
ホルダ部材20の中間嵌合部20Bの内部には、弁室21が形成されている。ホルダ部材20の、中間嵌合部20B及び下部小径部20Cには、下部小径部20Cよりも小径なシール装着面21Aが設けられていて、このシール装着面21Aの中間嵌合部20Bからの深さは、後述する開口間シール部材50の板状部分(
図5に示される湾曲矩形板状部51)の厚みとほぼ同じ寸法とされている。
【0044】
弁室21の側面とシール装着面21Aとの間には、一次側流入口11の開口部11aと概略同一寸法形状の、シール装着面21Aに沿って湾曲した楕円形状の周側開口部21aが形成されている。
【0045】
そして、一次側流入口11の開口部11aと弁室21の周側開口部21aとの間を封止すべく、一次側流入口11の開口周縁部11Aとホルダ部材20のシール装着面21Aとの間に、開口間シール部材50が介装されている。この開口間シール部材50については後で詳述する。
【0046】
ホルダ部材20の下部小径部20Cは、その外周部のうちの二次側流出口12側の一部が切欠されており、中間嵌合部20Bの弁室21の下側に連なって弁座23付き弁口22が形成されている。ホルダ部材20の下部と有底筒状部16の底部16bとの間には、二次側流出口12が開口する流出室26が画成されている。
【0047】
また、ホルダ部材20には、上側嵌合部20Aと中間嵌合部20Bとを貫通するように、言い換えれば、前記流出室26と感圧室24とを連通させるように断面円弧状の感圧通路25が設けられている。
【0048】
また、本実施例では、樹脂製の弁本体10や通路構成部品等が圧力によって破壊されるのを防止すべく、一次側の圧力が所定の圧力を越えたときに開く逃がし弁70がホルダ部材20における下部20Cに横向きに(半径方向に沿って)設けられている(
図2参照)。詳細には、逃がし弁70は、小径下部20Cの外周面から半径方向に沿って横向きに形成された有底の収納穴71と、該収納穴71の底部(弁座)72に形成されて弁口22に開口するオリフィスからなる逃がし弁口73と、この逃がし弁口73を開閉するゴム製のボール弁体75と、このボール弁体73を閉弁方向に付勢する圧縮コイルばねからなる閉弁ばね76と、を備え、この閉弁ばね76のばね受けとして前記有底筒状部16の内周壁部が使用されている。
【0049】
次に、一次側流入口11の開口周縁部11Aとホルダ部材20のシール装着面21Aとの間に介装された開口間シール部材50について説明する。
【0050】
開口間シール部材50は、ゴム等の弾力性を持つ材料を素材として金型成形により製作され、
図5にその自然状態(組み付け前の状態)が示されているように、ホルダ部材20におけるシール装着面21Aの円筒状外周面に概ね沿うような湾曲した形状とされている。
【0051】
詳細には、シール装着面21Aに嵌め込まれる湾曲矩形板状部51を有し、この湾曲矩形板状部51の中央に、一次側流入口11の開口部11a及び弁室21の周側開口部21aと概略同一寸法の楕円形状とされた流入用開口部52が形成されている。
【0052】
前記湾曲矩形板状部51における内面側及び外面側には、流入用開口部52に沿って、自然状態において当該湾曲矩形板状部51の厚み方向に突出する断面半円状の環状突起55、56が設けられている。
【0053】
また、湾曲矩形板状部51における左右両端部中央には、位置ずれ防止等のため、前記シール装着面21Aの両側に形成された横嵌合部21yに嵌合する矩形横突出部53、53が設けられている。
【0054】
かかる構成の開口間シール部材50を弁室21のシール装着面21Aと一次側流入口11の開口周縁部11Aとの間に組み付けるにあたっては、ホルダ部材20の2つの横嵌合部21yに開口間シール部材50のそれぞれの矩形横突出部53を嵌合させるようにして、該開口間シール部材50をシール装着面21Aに当て、この状態を保ちながら、ホルダ部材20を有底円筒状部16内に差し込み、有底筒状部16の上部内周に形成された大径嵌挿穴16aの環状係止部16dにホルダ部材20の上部外周に形成された大径嵌合部20aの環状掛止部20dが当接するまで押し込む。
【0055】
このとき、開口間シール部材50の下面は、ハウジング部材10の底部に設けられた段状部11Vに当接又は近接する。
【0056】
これにより、開口間シール部材50、あるいは少なくとも環状突起55、56は厚み方向に圧縮されつつ、ホルダ部材20のシール装着面21Aと弁本体10の内周部との間にぴったりと嵌合して、挟圧保持される(
図1参照)。この場合、湾曲矩形板状部51の内面側及び外面側に突設されている環状突起55、56は圧縮されて押し潰され (
図1ではほとんど見えない)、該環状突起55、56部分の対接面圧が上がり、開口部11aと周側開口部21aとの密封性が高められる。
【0057】
このようにして、開口間シール部材50を組み付けた後、大径嵌挿穴16aと嵌合部20aとの接触部分(環状係止部16d周りと環状掛止部20d周り)を超音波溶着により溶着固定する。
【0058】
上記のようにして開口間シール部材50を組み付けているので、この開口間シール部材50の作用のみで、一次側(流入口11、弁室21)と二次側(感圧室24、流出室26)との間は確実にしっかりとシールされている。
【0059】
したがって、本発明実施例の減圧弁1では、一次側(流入口11、弁室21)と二次側(感圧室24、流出室26)との間を別途にシールする必要がなくなり、そのため、先提案のものでは溶着等により気密的に接合していたホルダ部材20の上部とハウジング部材15(有底筒状部16)の上部との間には気密性は要求されず、この上部においてはホルダ部材20のハウジング部材15への固定のみを行えばよいので、厳格な寸法管理や綿密性が要求される、気密性を確保するための溶着作業は不要となり、簡易な溶着作業で済ませることができ、また、先提案のものにおいてホルダ部材20の下部とハウジング部材15の下部との間をシールしていたOリング等のシール材は不要となるため、それらが相俟って加工組立コストも低く抑えることができる。
【0060】
また、楕円形状の開口部(52)が形成されるとともに、該開口部(52)に沿ってその内面側及び外面側に厚み方向に突出する環状突起(55、56)が設けられた湾曲板状体(51)からなる開口間シール部材(50)は、上記実施例の如くの減圧弁(1)だけでなく、湾曲した楕円形状の開口部(11a)が形成された第1円筒体(16)に、前記開口部(11a)と概略同一寸法形状の周側開口部(21a)が形成された第2円筒体(20)を挿入して、前記開口部11aと周側開口部(21a)を対向させるとともに、前記開口部11aと周側開口部(21a)との間を封止する必要のある組立体(流体が流通する機器類)であれば、同様に適用できる。
【0061】
この場合、従前の前記機器類では、先提案の減圧弁と同様に第1及び第2円筒体(16、20)の上部と下部において溶着やOリング等でシールしていたが、本発明実施例の開口間シール部材(50)を用いれば、シール箇所が1箇所で済み、部品点数の削減、加工組立コストの低減等を図ることができる。
【0062】
なお、上記実施例では、ホルダ部材20をハウジング部材15(有底筒状部16)に溶着により固定していたが、前述したように該固定部分に気密性は要求されないので、その固定手法としては、溶着に限られることはなく、ねじ止め、かしめ止め、接着、螺合、圧入等でもよく、また、固定部位も、上部に限られることはなく、下部や側部等でもよい。
【0063】
また、上記実施例では、開口間シール部材50は、自然状態(組み付け前の状態)においてホルダ部材20における中間嵌合部20Bの円筒状外周面に概ね沿うような湾曲した形状とされているが、これに限られることはなく、自然状態では平板状で組み付け時に湾曲させるようにしたものでもよい。
【0064】
また、ホルダ部材20をハウジング部材15に挿着固定する前に、開口間シール部材50をホルダ部材20の周側開口周縁部21A(又は一次側流入口11の開口周縁部11A)に焼き付け、接着、圧入等により固着しておいてもよいし、別途に係止手段を講じて開口間シール部材50を湾曲させた状態でホルダ部材20の周側開口周縁部21A(又は一次側流入口11の開口周縁部11A)に固定するようにしてもよい。
【0065】
また、開口間シール部材50は、上記実施例のような矩形板状に限られず、楕円板状等でもよいし、たわみやすいシート状のものやリング状のもの等でもよい。
【0066】
また、環状突起55、56は、断面半円形状であるものとして説明したが、この環状突起の断面は、山型、リブ状など、いかなる形状でも良い。
【0067】
更に、湾曲矩形板状部51が比較的小さく、及び/あるいは当該開口間シール部材50が比較的軟らかい弾性材料により構成されている場合には、湾曲矩形板状部51の厚みをシール装着面21Aの中間嵌合部20Bからの深さ(あるいはシール装着面21Aと弁本体10の開口周縁部11Aとの間の距離)よりも大きな厚みとし、該湾曲矩形板状部51そのものの弾性力を利用して開口部11aと周側開口部21aとを密封するようにすれば、環状突起55、56の一方、又はその双方を省略できることは言うまでもない。
【0068】
更にまた、開口間シール部材50の素材は、湾曲矩形板状部51、流入用開口部52、環状突起55、56が一体的に形成される場合には、ゴムに限られず、弾力性を有するものであれば他の材料でもよい。
【0069】
更にまた、開口間シール部材50に環状突起55、56を設ける場合には、環状突起55、56のみを弾性材料で構成し、湾曲矩形板状部51は弾性を有しない材料で構成しても良い。この場合、湾曲矩形板状部51に対して環状突起55、56を接着、溶着あるいはインサート形成等の手法により、開口間シール部材50を構成することができる。 さらにまた、開口間シール部材は、予め湾曲された湾曲矩形板状部を備えるものとして説明したが、本発明はこれのみに限定されることはなく、平面状に形成された弾性を有する板状部を備え、これをホルダ部材のシール装着面に巻きつけるようにしてから弁本体に装着しても良いことは当然である。