(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321370
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】情報処理装置ラック
(51)【国際特許分類】
H05K 7/02 20060101AFI20180423BHJP
H05K 7/18 20060101ALI20180423BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20180423BHJP
G06F 1/18 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
H05K7/02 N
H05K7/18 E
H05K7/00 B
G06F1/18 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-265376(P2013-265376)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-122407(P2015-122407A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】大野 淳弥
【審査官】
石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−111242(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3093453(JP,U)
【文献】
特開2002−100889(JP,A)
【文献】
特開2001−298284(JP,A)
【文献】
特開2004−200343(JP,A)
【文献】
特開平10−075076(JP,A)
【文献】
特開2004−349656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/00
1/16−1/18
H05K 7/00−7/10
7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に複数の区画を有し、それぞれの区画に情報処理装置を搭載するラック本体部と、
前記区画ごとにそれぞれ設けられ、前記ラック本体部の側面に配置されるケーブルダクトであって、それぞれの前記区画内に配置される一方の開口部が前記ラック本体部の背面に向いて備えられ、もう一方の開口部は前記ラック本体部の底面に向いて備えられるケーブルダクトと
を含む情報処理装置ラック。
【請求項2】
前記ケーブルダクトは、前記ラック本体部の背面に向く前記一方の開口部からラック本体部の底面に向く前記もう一方の開口部にかけて、一定の角度で傾斜している形状、もしくは一定の曲率の曲線状、もしくは直角に曲がるL字状である請求項1に記載の情報処理装置ラック。
【請求項3】
前記情報処理装置と前記ラック本体部の側面との間に取り付けられ、前記情報処理装置を可動範囲内で移動可能とするレールと、
前記レールに取り付けられ、前記情報処理装置の背面に接続するケーブルを束ね、前記レールによって前記情報処理装置が移動する際に、前記ケーブルを連動して移動させるケーブルアームと
をさらに含み、
前記ケーブルが前記ケーブルアームを経由し前記ラック本体部の背面に向く前記ケーブルダクトの前記一方の開口部に通される請求項1または2に記載の情報処理装置ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザが利用する際にセキュリティが確保される情報処理装置ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の情報処理装置を収容するラックにおいて、複数のユーザがそれぞれの情報処理装置(たとえば、サーバ)を専用で利用する目的などのため、各区画に収容されている情報処理装置に対し区画間のセキュリティの確保を必要とする場合がある。この種の情報処理装置ラック(以下、単にラックとも呼ぶ)は、仕切り板によって高さ方向に複数の区画に仕切られており、各区画にユーザ毎の情報処理装置が搭載され保管されている。このような情報処理装置ラックにおいて、情報処理装置に接続されるケーブル配線にもセキュリティが確保される。すなわち、このラックは、区画ごとに分けられたケーブルダクトを備える。
【0003】
ケーブル配線にもセキュリティが確保されるこの種のラックの一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたラックは、ラックの側面に、区画ごとに分けられラック底面に通じるケーブルダクトが備えられ、このケーブルダクトにケーブルを通すことにより、区画に搭載された情報処理装置は外部と接続する。
【0004】
図4は、特許文献1に記載されたラックと同様の構成を有する、関連技術の情報処理装置ラックを示す斜視図である。
図4に示すように、ケーブル500を通すケーブルダクト310が、情報処理装置400を搭載するラック(情報処理装置ラック)100の側面に備えられる。ケーブル500は、情報処理装置400に接続する配線である。
図5は、
図4のA−A´断面図である。
図5に示すように、情報処理装置400と接するラック内側面にレール600が取り付けられる。これにより、情報処理装置400は、レール600に沿ってレールの可動範囲内に移動可能である。なお、
図4における側面カバー800は、
図5では省略し、
図5におけるリアドア200は、
図4では省略されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−111242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図4および
図5において、情報処理装置400の配線端子は通常背面側に設けられ、作業者の保守作業も情報処理装置400の背面から実施される。ケーブル500の配線ルートは、
図4に示す矢印の通り、情報処理装置400の背面から情報処理装置400の側面に沿ってケーブルを通し、ケーブルダクト310の開口部に入れるルートとなる。
【0007】
しかし、ケーブルダクト310の開口部は、情報処理装置400の背面からは奥まった位置にあり、ケーブルを通すことは困難である。さらに、ケーブルダクト310の開口部が、情報処理装置400の背面から奥まった位置にあることで、
図5に示すように、情報処理装置400の側面においてレール600がケーブル500の配線ルートを阻害する。したがって、特許文献1に記載されたラックは、情報処理装置400の背面からはケーブル配線作業は困難であるという問題点がある。また、配線を実施するにはケーブルダクト310が備えられるラック本体部100の側面(側面カバー800)を開放できることが必要という問題点もある。
【0008】
本発明の目的の一例は、上述した問題点を解決できる情報処理装置ラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態における情報処理装置ラックは、複数の区画を有し、それぞれの区画に情報処理装置を搭載するラック本体部と、前記区画ごとにそれぞれ設けられ、前記区画ごとに設けた一方の開口部が前記ラック本体部の背面近傍に備えられ、もう一方の開口部は前記ラック本体部の底面近傍に備えられるケーブルダクトとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、情報処理装置の背面からのケーブル配線作業が容易という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態における情報処理装置ラック1000の構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態における情報処理装置400をラック本体部100内に搭載し、情報処理装置400側のみケーブル500を配線した一例の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態における変形例を示し、レール600とケーブルアーム700を有する情報処理装置ラック1200でのケーブル配線の概要を示す概略図である。
【
図4】
図4は、関連技術における情報処理装置ラックでのケーブル配線の概要を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態における情報処理装置ラック1000の構成を示す概略図である。
図1を参照すると、情報処理装置ラック1000は、ラック本体部100と、リアドア200と、ケーブルダクト300と、を備える。ここで、ラック本体部100は、その幅方向、奥行き方向、高さ方向を
図1のとおりそれぞれx軸方向、y軸方向、z軸方向と定義する。
図1において、情報処理装置ラック1000は、y軸方向に沿って、手前左側が背面、奥行き右側が正面を向いているものとする。
【0014】
次に、第1の実施の形態における情報処理装置ラック1000の構成について説明する。
【0015】
ラック本体部100は、高さ方向(z軸方向)に複数の区画を有し、それぞれの区画に情報処理装置ないし機器を搭載する。ラック本体部100は、所定の高さであらかじめ区画が区分けされていても、仕切り板によって区画の高さを任意に変更できてもよい。
【0016】
リアドア200は、ラック本体部100の背面に区画ごとに開閉可能なように設けられる。ただし、
図1では、最上部の区画のみリアドア200を示している。リアドア200の施錠および開閉機構の方式は適宜管理者が決定してよいが、セキュリティ管理を考慮して、施錠はあった方が望ましい。
【0017】
図2は、情報処理装置400をラック本体部100内に搭載し、情報処理装置400側のみケーブル500を配線した一例の概略図である。なお、情報処理装置400およびケーブル500の視認性のため、ラック本体部100のフレームの一部およびリアドア200を省略する。また、
図2においても情報処理装置ラック1000は、y軸方向に沿って、手前側が背面、奥側が正面を向いているものとする。
【0018】
ケーブルダクト300は、区画ごとにそれぞれ設けられる。ケーブルダクト300の一方の開口部が、各区画内に配置され、ラック本体部100の背面近傍に備えられる。もう一方(他方)の開口部は、ラック本体部100の底面近傍に位置し、開口が底面側に向いて固定されている。
【0019】
ラック本体部100の各区画の背面近傍に備えられた開口部は、背面を向いて口が開いた形状をしているので、作業者はラック本体部100の背面からケーブルダクト300の開口部に容易にアクセスすることができる。また、ケーブルダクト300は、ラック本体部100の区画ごとの背面近傍の開口部からラック本体部100の底面の開口部にかけて一定の角度で傾斜している。
【0020】
ケーブル500は、ラック本体部100に搭載した情報処理装置400に、一方の端部が接続される。ケーブル500のもう一方の端部は、ラック本体部100の区画ごとの背面近傍に備えられたケーブルダクト300の開口部に通され、ラック本体部100の底面に排出される。ラック本体部100の底面に排出されたケーブル500の端部は、電源コンセントやLAN(Local Area Network)ポートのような外部端子と接続される。
【0021】
なお、ラック本体部100の各区画の背面近傍に備えられた開口部は、区画ごとに仕切られ、セキュリティ性のための他の区画の開口部にケーブル500を入れられない構造にすることが望ましい。また、ケーブルダクト300のラック本体部100の背面近傍に備えられた開口部は、リアドアを開放した時に作業者がケーブルに関する作業を行う際に支障がない向きに口が開いた形状であればよい。
【0022】
図1および2ではケーブルダクトは背面から見て右側に備えられているが、背面から見て左側に、あるいは左右両側に備えられていてもよい。また、
図1および
図2ではケーブルダクトは区画の背面からラック本体部100の底面に向かって傾斜した形状となっているが、前述の条件が満たされていれば、形状は一定の曲率の曲線状や直角に曲がるL字状であってもよい。また、ケーブルダクト300のラック本体部100の背面近傍に備えられる開口面の向きは、リアドアを開放した時に作業者がケーブルに関する作業を行う際に支障がなければ、どのような向きでもよい。
【0023】
次に、本発明の第1の実施の形態の効果について説明する。
【0024】
上述した本実施形態における情報処理装置ラック1000は、情報処理装置400の背面からケーブルダクトにケーブルを通すことが容易である。
【0025】
その理由は、以下のような構成を含むからである。即ち、ケーブルダクト300の開口部は、ラック本体部100の側面ではなくラック本体部100の背面近傍に備えられる。これにより、ラックの側面を開放することなく、情報処理装置400の背面からケーブルダクトにケーブルを通すことが容易という効果が得られる。
【0026】
[変形例]
また、変形例として、レールとケーブルアームを使用して情報処理装置を設置した場合の、情報処理装置ラックの背面側の構成について図面を参照して詳細に説明する。以下、本実施形態の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。
【0027】
図3は、変形例に係る情報処理装置ラック1200の構成を示す概略図で、実質的に
図1のラック本体部を仕切り板に平行に切断した断面図に相当するものである。なお、ラック本体部110の構成は第1の実施形態のラック本体部100と同等であるものとする。
【0028】
図3を参照すると、本変形例における情報処理装置ラック1200は、第1の実施形態のそれと比べて、新たにレール600とケーブルアーム700を、ラック本体部110の区画毎に備える。
【0029】
レール600は、情報処理装置400とラック本体部110内の左右両側面に取り付けられ、情報処理装置400の各区画への挿抜をガイドする。すなわち、情報処理装置400は、レール600の長さ方向に沿って移動可能とする。
【0030】
具体的に、レール600は少なくとも2つのレール部材から構成され、一方のレール部材(第1のレール部材)は情報処理装置400の側面に、もう一方のレール部材(第2のレール部材)はラック本体部内の側面に取り付けられる。情報処理装置400を各区画に挿抜する場合、2つのレール部材は互いに嵌合しながら、情報処理装置400は、y軸方向に摺動する。
【0031】
ケーブルアーム700は、装置側アーム701とリアドア側アーム702とアーム連結部703と複数のケーブル保持部材704からなる。装置側アーム701とリアドア側アーム702は、アーム連結部703により折り畳み可能なように連結される。また、装置側アーム701およびリアドア側アーム702のそれぞれの長さ方向には複数のケーブル保持部材704が固定されている。ケーブル保持部材704は、情報処理装置400の背面に接続するケーブル500をケーブルアーム700に沿って束ねる。ケーブル保持部材704はアーム連結部703にも設置されていてよい。装置側アーム701およびリアドア側アーム702の、アーム連結部703により連結されていない方のそれぞれの端部は、レール600に固定される。すなわち、装置側アーム701の一端は、情報処理装置400の側面の第1のレール部材に、リアドア側アーム702の一端はラック本体部110内の側面の第2のレール部材に取り付けられる。
【0032】
レール600に沿って情報処理装置400を移動する時に、装置側アーム701は、第1のレール部材を介して情報処理装置400と連動して移動し、ケーブル保持部材704に束ねられたケーブル500も連動して移動する。この時、リアドア側アーム702と第2のレール部材との接続部は移動しないため、アーム連結部703を挟み装置側アーム701とラック側アーム702のなす角度は変化するが、ケーブル500の配線ルートの長さは変化しない。このため、ケーブルアーム700は、情報処理装置400の移動の際にケーブル500が引っ張られることを防止し、ケーブル500の接続抜けを防止する。
【0033】
次に、本発明の変形例の効果について説明する。
【0034】
上述した変形例における情報処理装置ラック1200も、ケーブル配線作業が容易である。即ち、第1にケーブルダクト300の開口部はリアドア200近傍に備えられ、情報処理装置400側面でのケーブル500の配線作業を必要としないからである。また、情報処理装置400側面においてレール600がケーブル500の配線ルートを阻害しない。また、この変形例ではケーブルの接続抜け防止の効果も得られる。
【0035】
以上、各実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しえる様々な変更をすることができる。
い。
【符号の説明】
【0036】
100、110 ラック本体部
200 リアドア
300、310 ケーブルダクト
400 情報処理装置
500 ケーブル
600 レール
700 ケーブルアーム
701 装置側アーム
702 リアドア側アーム
703 アーム連結部
704 ケーブル保持部材
800 側面カバー
1000、1200 情報処理装置ラック