(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本明細書では、便宜上、モータの中心軸Jの方向を上下方向として説明するが、本発明によるモータの使用時における姿勢を限定するものではない。また、本明細書では、モータの中心軸Jの方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向及び周方向を単に「径方向」及び「周方向」と呼ぶ。
【0013】
実施の形態1.
図1及び
図2は、本発明の実施の形態1によるモールドモータ100の一構成例を示した外観斜視図であり、互いに異なる方向から見た外観が示されている。
【0014】
モールドモータ100は、樹脂製のハウジングを備えたインナーロータ型モータであり、家電製品、事務機器、医療機器、自動車などの駆動装置の駆動源として使用される。ハウジングから突き出したシャフト10は、上下方向に延びる中心軸Jに沿って配置された回転軸である。ハウジングは、軸方向上方に開口を有する有底円筒形のモータケーシング2と、モータケーシング2の開口を覆うケーシングカバー3とにより構成される。
【0015】
ケーシングカバー3には、軸方向上方に突出する上ボス部32が形成され、上ボス部32の径方向外方には、上防振部材4が取り付けられている。また、モータケーシング2の底面には、軸方向下方に突出する下ボス部23が形成され、下ボス部23の径方向外方には、下防振部材5が設けられている。上防振部材4及び下防振部材5は、いずれも環状形状の弾性材料により構成され、モールドモータ100の動作時に生じる振動を吸収する。
【0016】
また、上ボス部32の外周面には、凹形状の上ボス凹部321が形成され、上防振部材4の内周面には、上ボス凹部321に収容される凸形状の回り止め部42が形成されている。同様にして、下ボス部23の外周面には、凹形状の下ボス凹部231が形成され、下防振部材5の内周面には、下ボス凹部231に収容される凸形状の回り止め部52が形成されている。このため、上防振部材4及び下防振部材5は、上ボス部32及び下ボス部23に対し、回転しないように取り付けられている。
【0017】
モータケーシング2の外周面下端部には、コネクタ6が設けられている。また、モータケーシングの外周面上には、上下方向に延びる軸受導通部材7が設けられている。軸受導通部材7を介して、上ボス部32及び下ボス部23内にそれぞれ収容された軸受(不図示)を互いに導通させることにより、電食による軸受の劣化を抑制することができる。
【0018】
図3は、モータ取付台200に取り付けられたモールドモータ100を示した斜視図である。モールドモータ100は、モータ取付台200に取り付けられた状態で使用される。モードルモータ100は、シャフト10が水平となる姿勢で、モータ取付台200に取り付けられる。このとき、上防振部材4及び下防振部材5の外周面が、モータ取付台200の保持部210,220によって支持されている。このため、モールドモータ100の振動は、上防振部材4及び下防振部材5によって吸収され、当該振動がモータ取付台200に伝わって騒音が生じるのを抑制することができる。
【0019】
図4〜
図7は、本発明の実施の形態1によるモールドモータ100の詳細構成の一例を示した図である。
図4は、モールドモータ100の展開斜視図であり、モールドモータ100を構成する各部品を軸方向に展開させた様子が示されている。
図5は、モールドモータ100の平面図であり、軸方向上方から見た様子が示されている。
図6は、モールドモータ100の底面図であり、軸方向下方から見た様子が示されている。
図7は、モールドモータ100の断面図であり、中心軸Jを含む平面によりモールドモータ100を切断した場合の切断面が示されている。
【0020】
モールドモータ100は、駆動装置のモータ取付台200に固定される静止部と、当該静止部により回転可能に支持される回転部とにより構成される。回転部には、シャフト10及びロータ11が含まれる。一方、静止部には、モータケーシング2、ケーシングカバー3、上防振部材4、下防振部材5、コネクタ6、軸受導通部材7、上軸受ブラケット33及び下軸受ブラケット24が含まれる。以下、これらの各部品について詳しく説明する。
【0021】
<シャフト10>
シャフト10は、軸方向(上下方向)に延びる略円柱状の金属製部材であり、上軸受8及び下軸受9により支持され、中心軸Jを中心として回転する。また、上軸受8及び下軸受9のための止め輪12及び13がシャフト10に設けられている。シャフト10の上端部は、ケーシングカバー3の上ボス部32から上方へ突出し、当該突出部が出力軸として駆動装置の駆動部に連結される。なお、シャフト10の下端部をモータケーシング2の下ボス部23から下方へ突出させ、当該突出部を出力軸として駆動装置の駆動部に連結することもできる。
【0022】
<ロータ11>
ロータ11は、シャフト10に固定され、シャフト10とともに回転する回転子であり、ロータマグネット111及びロータホルダ112により構成される。ロータ11は、ロータマグネット111をシャフト10から電気的に絶縁する絶縁ロータである。なお、ロータ11として、非絶縁ロータを採用することもできるが、絶縁ロータを採用することにより、電食による軸受の劣化を抑制することができる。
【0023】
ロータマグネット111は、円筒形状の永久磁石であり、ロータホルダ112の外周面に固定されている。また、ロータマグネット111の径方向外側には、径方向においてステータ25と対向する磁極面が形成され、当該磁極面は、N極の磁極領域とS極の磁極領域とが周方向に交互に並ぶように着磁されている。
【0024】
ロータホルダ112は、シャフト10とともに回転する部材であり、シャフト10に固定される内側コア部113と、内側コア部113の径方向外方に配置される外側コア部114と、内側コア部113及び外側コア部114を連結する連結部材115とが含まれる。内側コア部113及び外側コア部114は、いずれも円筒形状の金属部材、例えば、ケイ素鋼板などの磁性鋼板を軸方向に積層した積層鋼板により構成される。連結部材115は、絶縁性材料、例えば、所定の誘電率を有する絶縁樹脂により構成される。
【0025】
<上軸受8・下軸受9>
上軸受8は、ロータ11の上方に配置され、シャフト10を回転可能に支持する転がり軸受である。
図7に示された上軸受8は、金属製の玉軸受であり、2以上の転動体82と、一対の内輪81及び外輪83とを備えている。内輪81及び外輪83は、いずれも円環形状の金属部材であり、内輪81の径方向外方に外輪83が配置されている。転動体82は、球形状の金属部材であり、内輪81の外周面と、外輪83の内周面との間に配置されている。
【0026】
下軸受9は、ロータ11の下方に配置され、シャフト10を回転可能に支持する転がり軸受である。
図7に示された下軸受9は、金属製の玉軸受であり、2以上の転動体92と、一対の内輪91及び外輪93とを備えている。内輪91及び外輪93は、いずれも円環形状の金属部材であり、内輪91の径方向外方に外輪93が配置されている。転動体92は、球形状の金属部材であり、内輪91の外周面と、外輪93の内周面との間に配置されている。なお、上軸受8及び下軸受9には、すべり軸受を用いることもできる。
【0027】
<止め輪12及び13>
止め輪12及び13は、上軸受8及び下軸受9が軸方向に移動するのを制限する軸受ストッパーであり、円環形状の部材により構成され、シャフト10の外周面上に形成された周方向の溝部に固定される。止め輪12は、シャフト10に挿入された上軸受8の内輪が軸方向下方へ移動するのを阻止し、止め輪13は、シャフト10に挿入された下軸受9の内輪91が軸方向上方へ移動するのを阻止する。
【0028】
<モータケーシング2>
モータケーシング2は、軸方向上方に開口を有する略有底円筒形の樹脂成形品であり、ステータ25の外周を覆う円筒部21と、円筒部21の下端から径方向内方に向けて延びる底壁部22と、底壁部22の底面から軸方向下方に向けて突出する下ボス部23とにより構成される。底壁部22は、ステータ25の下方に配置され、中心軸Jを中心とする円環形状の板状体である。また、モータケーシング2の円筒部21には、水抜き穴21aが設けられている。
【0029】
モータケーシング2は、下軸受ブラケット24、ステータ25及び回路基板26を金型内に挿入した後、金型内に樹脂を注入することにより、これらの部品を樹脂に埋め込み、当該部品を樹脂と一体化する成形方法、いわゆるインサート成形によって形成される。モータケーシング2の樹脂には、絶縁性樹脂が用いられる。
【0030】
水抜き穴21aは、円筒部21の内周面に形成された第1の溝部と、円筒部21の上端面に形成された第2の溝部とにより構成される。第1の溝部は、ステータ25の上端から軸方向上方に延びる凹部として形成される。第2の溝部は、第1の溝部と連結され、径方向外方に向けて延びる凹部として形成され、ケーシングカバー3の水抜き穴31cに対向している。
【0031】
<下ボス部23>
下ボス部23は、下軸受9を収容する軸受収容部であり、下防振部材5が取り付けられている。下ボス部23は、軸方向下方に延びる円筒部232と、円筒部232の下端から径方向内方に延びる底部233とを含む有底円筒形状からなる。また、円筒部232の径方向内側に下軸受9が配置され、径方向外側に下防振部材5が配置されている。さらに、円筒部232の外周面には、下防振部材5が回転するのを防止するための2以上の下ボス凹部231が設けられている。
【0032】
下ボス凹部231は、円筒部232の外周面に形成された凹部、つまり、切り欠き部である。下ボス凹部231は、円筒部232の周方向の一部を径方向内方へ窪ませた形状を有し、下防振部材5の回転を防止している。また、下ボス凹部231は、貫通孔を有し、下ボス凹部231内において下軸受ブラケット24の外周面の一部を露出させている。なお、下ボス凹部231の具体的な形状及び配置は任意である。また、下ボス凹部231の数も任意であり、1又は2以上の下ボス凹部231を形成することができる。なお、貫通孔は、2以上の下ボス凹部231のうち、少なくとも1つに形成されていればよい。
【0033】
本実施の形態による下ボス凹部231は、円筒部232の下端から軸方向上方に向けて延びる凹部として形成されている。つまり、下ボス部23の底部233に、その外周縁から径方向内方に向かう切り欠き領域が形成され、当該切り欠き領域を軸方向上方へ延ばした柱状空間として、下ボス凹部231が形成されている。また、下ボス凹部231は、周方向において互いに対向する内壁面に挟まれ、径方向内方を開口させている。また、下ボス部23の外周面上には、3つの下ボス凹部231が形成されており、これらの下ボス凹部231は周方向に等間隔で配置されている。つまり、3つの下ボス凹部231が、120°の間隔をあけて配置されている。
【0034】
<下軸受ブラケット24>
下軸受ブラケット24は、下軸受9を保持する金属製の軸受保持部材であり、モータケーシング2の下ボス部23内に配置される。下軸受ブラケット24は、軸方向下方に延びる円筒部と、当該円筒部の下端から径方向内方に延びる底部とを含む有底円筒形状からなり、さらに円筒部の上端には径方向外方に延びるリム部を備えている。例えば、下軸受ブラケット24は、亜鉛メッキ鋼板などの金属板をプレス加工することにより形成され、円筒部の内周面が露出し、リム部が下ボス部23の内周面に埋め込まれた状態で、下ボス部23内に配置されている。下軸受9は、下軸受ブラケット24の円筒部内に軸方向上方から挿入され、下軸受9の外輪93の外周面は、下軸受ブラケット24の円筒部の内周面に接触し、下軸受9及び下軸受ブラケット24は、互いに電気的に接続されている。
【0035】
<ステータ25>
ステータ25は、モールドモータ100の電機子であり、ステータコア251、コイル252及びインシュレータ253を備えている。ステータ25は、ロータマグネット111の径方向外側に形成された略円筒形状からなり、その内周面を露出させた状態でモータケーシング2の円筒部21内に埋め込まれ、当該内周面が、間隙を介してロータマグネット111の外周面と対向している。
【0036】
ステータコア251は、ケイ素鋼板などの磁性鋼板を軸方向に積層した積層鋼板からなる。各磁性鋼板は、円環状のコアバックと、当該コアバックから径方向内方に突出する複数本の磁極歯とを有する。つまり、ステータ25の内周面は、磁極歯の端面により構成されている。
【0037】
コイル252は、インシュレータ253を介して、ステータコア251の磁極歯に巻回された巻き線である。コイル252に駆動電流を供給すれば、磁芯である磁極歯に径方向の磁束が発生する。このため、磁極歯とロータマグネット111との間に周方向のトルクが発生し、シャフト10が中心軸Jを中心として回転する。インシュレータ253は、ステータコア251とコイル252とを電気的に絶縁する樹脂製の部材である。
【0038】
<回路基板26>
回路基板26は、コイル252に駆動電流を供給する電子回路と、ロータ11の回転位置を検出する磁気センサを搭載した基板であり、コネクタ6と電気的に接続されている。回路基板26は、モータケーシング2の底壁部22に埋め込まれた略円板形状の基板であり、シャフト10を貫通させる貫通孔が設けられている。
【0039】
<予圧部材27>
予圧部材27は、上軸受8及び下軸受9に予圧を付与する弾性部材であり、例えば、ウェーブワッシャが用いられる。予圧部材27は、下軸受9の外輪93と、下軸受ブラケット24の底部との間に配置されている。
【0040】
<ケーシングカバー3>
ケーシングカバー3は、モータケーシング2の開口を覆う円板形状の樹脂成形品であり、絶縁性樹脂が用いられる。例えば、モータケーシング2のモールド樹脂と同一の樹脂が用いられる。ケーシングカバー3を樹脂製にすることにより、ケーシングカバー3が金属製である場合に比べ、防振性及び防音性を向上させることができる。ケーシングカバー3は、ステータ25の開口縁から径方向内方に向けて延びる天壁部31と、天壁部31の上面から軸方向上方に向けて突出する有蓋円筒形状からなる上ボス部32とにより構成される。
【0041】
<天壁部31>
天壁部31は、ステータ25の上方に配置され、中心軸Jを中心とする円環形状の板状体であり、外周縁部311、圧入部312、ネジ孔31a、水抜き穴31c及び誤配置防止用穴35を備えている。天壁部31の外径は、モータケーシング2の円筒部21の外径よりも小さくなっている。このため、軸受導通部材7が、モータケーシング2及びケーシングカバー3間において浮き上がり、剥がれ難くなるのを防止している。
【0042】
外周縁部311は、天壁部31の外周縁が含まれ、モータケーシング2の円筒部21の上端面と対向する円環形状からなる。圧入部312は、天壁部31の下面から軸方向下方に突出する円筒形状であり、外周縁部311の下端よりも軸方向下方まで突出し、円筒部21の内周面に圧入される。
【0043】
ネジ孔31a及びネジ34は、モータケーシング2及びケーシングカバー3を締結するための締結手段である。天壁部31には2以上のネジ穴が周方向に配置されている。ネジ孔31aは、天壁部31を軸方向に貫通する貫通孔であり、ネジ孔31aを通るネジ34は、モータケーシング2のネジ孔(不図示)と締結され、ケーシングカバー3がモータケーシング2に固定される。
【0044】
水抜き穴31cは、外周縁部311の下面に形成された溝部であり、モータケーシング2の水抜き穴21aに対向する位置から径方向外方に向けて延び、モータケーシング2の円筒部21よりも外側へ達する細長い凹部である。
【0045】
誤配置防止用穴35は、天壁部31の上面から軸方向下方に窪む有底凹部からなり、モータケーシング2の凸部と対向する位置に配置される。例えば、モータケーシング2における誤配置防止用の凸部は、円筒部21の下端部において、円筒部21の外周面から径方向外方に向けて突出するコネクタ6である。
【0046】
<上ボス部32>
上ボス部32は、上軸受8を収容する軸受収容部であり、上防振部材4が取り付けられている。上ボス部32は、軸方向上方に延びる円筒部322と、円筒部322の上端から径方向内方に延びる天蓋部323とを含む有蓋円筒形状からなる。また、円筒部322の径方向内側に上軸受8が配置され、径方向外側に上防振部材4が配置されている。さらに、円筒部322の外周面には、上防振部材4が回転するのを防止するための2以上の上ボス凹部321が設けられている。
【0047】
上ボス凹部321は、円筒部322の外周面に形成された凹部、つまり、切り欠き部である。上ボス凹部321は、円筒部322の周方向の一部を径方向内方へ窪ませた形状を有し、上防振部材4の回転を防止している。また、上ボス凹部321は、貫通孔を有し、上ボス凹部321内において上軸受ブラケット33の外周面の一部を露出させている。なお、上ボス凹部321の具体的な形状及び配置は任意である。また、上ボス凹部321の数も任意であり、1又は2以上の上ボス凹部321を形成することができる。なお、貫通孔は、2以上の上ボス凹部321のうち、少なくとも1つに形成されていればよい。
【0048】
本実施の形態による上ボス凹部321は、円筒部322の上端から軸方向下方に向けて延びる凹部として形成されている。つまり、上ボス部32の天蓋部323に、その外周縁から径方向内方に向かう切り欠き領域が形成され、当該切り欠き領域を軸方向下方へ延ばした柱状空間として、上ボス凹部321が形成されている。また、上ボス凹部321は、周方向において互いに対向する内壁面に挟まれ、径方向内方を開口させている。また、上ボス部32の外周面上には、3つの上ボス凹部321が形成されており、これらの上ボス部凹部321は周方向に等間隔で配置されている。つまり、3つの上ボス凹部321が、120°の間隔をあけて配置されている。
【0049】
<上軸受ブラケット33>
上軸受ブラケット33は、上軸受8を保持する金属製の軸受保持部材であり、ケーシングカバー3の上ボス部32内に配置される。上軸受ブラケット33は、軸方向上記に延びる円筒部と、当該円筒部の上端から径方向内方に延びる蓋部とを含む有蓋円筒形状からなり、さらに円筒部の下端には径方向外方に延びるリム部を備えている。例えば、上軸受ブラケット33は、亜鉛メッキ鋼板などの金属板をプレス加工することにより形成され、円筒部の内周面が露出し、リム部が上ボス部32の内周面に埋め込まれた状態で、上ボス部32内に配置されている。上軸受8は、上軸受ブラケット33の円筒部内に軸方向下方から挿入され、上軸受8の外輪83の外周面は、上軸受ブラケット33の円筒部の内周面に接触し、上軸受8及び上軸受ブラケット33は、互いに電気的に接続されている。
【0050】
<軸受導通部材7>
軸受導通部材7は、モータケーシング2の径方向外側を通って、上軸受ブラケット33及び下軸受ブラケット24を互いに導通させることにより、上軸受8及び下軸受9を互いに導通させている。例えば、銅等の金属箔に接着剤を塗布した柔軟性を有する帯状の導電性テープが、軸受導通部材7として用いられる。
【0051】
軸受導通部材7は、ケーシングカバー3の天壁部31の上面と、モータケーシング2の円筒部21の外周面と、モータケーシング2の底壁部22の下面に沿って配置されている。軸受導通部材7の上端は、上ボス凹部321から露出する上軸受ブラケット33の外周面と接触している。また、軸受導通部材7の下端は、下ボス凹部231から露出する下軸受ブラケット24の外周面と接触している。また、軸受導通部材7は、天壁部31の外周縁部311の下面とモータケーシング2の円筒部21の上端面とが接触している周方向の位置に配置される。
【0052】
<上防振部材4・下防振部材5>
図8は、下防振部材5を示した図であり、軸方向から見た外観が示されている。上防振部材4及び下防振部材5は同一の構成を有するため、ここでは、下防振部材5の構成についてのみ説明する。なお、上防振部材4及び下防振部材5は同一の構成でなくてよい。
【0053】
下防振部材5は、円筒形状の本体部50と、本体部50の外周を取り囲む形状を有する金属製のフレーム53とを備える。例えば、本体部50は、高弾性を有する弾性ゴムにより構成される。フレーム53は、本体部50を補強する補強部材である。例えば、フレーム53は、帯状の金属板を曲げ加工することにより形成される。
【0054】
本体部50には、下ボス凹部231内に収容される2以上の回り止め部52が設けられている。回り止め部52は、内周面51上の凸部であり、内周面51から径方向外方に突出する形状からなる。各回り止め部52は、内周面51において周方向に等間隔で配置される。
【0055】
軸受導通部材7の下側の端部は、下ボス凹部231から露出する下軸受ブラケット24の外周面上に配置され、下防振部材5の回り止め部52の径方向内側によって覆われる。例えば、軸受導通部材7の下側の端部は、下ボス凹部231内において、下軸受ブラケット24と接触し、下防振部材5の回り止め部52は、軸受導通部材7の下側の端部に接触している。
【0056】
軸受導通部材7の上側の端部は、上ボス凹部321から露出する上軸受ブラケット33の外周面上に配置され、上防振部材4の回り止め部42の径方向内側によって覆われる。例えば、軸受導通部材7の上側の端部は、上ボス凹部321内において、上軸受ブラケット33と接触し、上防振部材4の回り止め部42は、軸受導通部材7の上側の端部に接触している。
【0057】
<ケーシングカバー3の下面>
図9は、ケーシングカバー3の下面を示した図であり、ケーシングカバー3を下から見た外観が示されている。ケーシングカバー3の天壁部31には、複数のネジ孔31aが配置されている。圧入部312には、ケーシングカバー3の割れを防止するために、2以上の圧入凹部31bが設けられている。圧入凹部31bは、圧入部312の外周面から径方向内方に窪む形状からなる。
【0058】
例えば、圧入凹部31bは、圧入部312の下端から軸方向上方に向けて延びる溝形状からなる。各圧入凹部31bは、圧入部312の外周面において周方向に等間隔で配置されている。すなわち、4つの圧入凹部31bが90°の間隔をあけて配置されている。
【0059】
本実施の形態によるモールドモータ100を構成する各部品は、上述した通りである。以下では、これらの部品相互の関係や、それによって生じる作用効果について詳しく説明する。
【0060】
(1)防振部材の回り止め
本実施の形態によるモールドモータ100では、下防振部材5の回り止め部52が下ボス部23の下ボス凹部231内に収容されるため、下防振部材5が下ボス部23に対して回転すれば、回り止め部52の側壁が下ボス凹部231の内壁面と接触する。このため、モールドモータ100は、下防振部材5及びモータケーシング2の相対的な回転を制限することができる。
【0061】
また、モールドモータ100では、上防振部材4の回り止め部42が上ボス部32の上ボス凹部321内に収容されるため、上防振部材4が上ボス部32に対して回転すれば、回り止め部42の側壁が上ボス凹部321の内壁面と接触する。このため、モールドモータ100は、上防振部材4及びケーシングカバー3の相対的な回転を制限することができる。
【0062】
また、下ボス凹部231が下ボス部23の下端から軸方向上方に向けて延びる切り欠き形状からなるため、モータケーシング2を樹脂成形する際に、金型からモータケーシング2を軸方向に抜き取り易い。このため、モールドモータ100は、モータケーシング2の加工性を向上させることができる。
【0063】
また、各下ボス凹部231が周方向に等間隔で配置されるため、下防振部材5を下ボス部23に配置する際に、最大で120°回転させれば、下防振部材5の周方向の位置を下ボス部23に合わせることができる。従って、モールドモータ100は、下防振部材5を下ボス部23に配置する際の作業性を向上させることができる。また、モールドモータ100は、下ボス部23が下防振部材5によって均等に支持されるため、下ボス部23及び下防振部材5間で周方向に付加される力に偏りが生じるのを抑制することができる。
【0064】
また、上ボス凹部321が上ボス部32の上端から軸方向下方に向けて延びる切り欠き形状からなるため、ケーシングカバー3を樹脂成形する際に、金型からケーシングカバー3を軸方向に抜き取り易い。このため、モールドモータ100は、ケーシングカバー3の加工性を向上させることができる。
【0065】
また、各上ボス凹部321が周方向に等間隔で配置されるため、上防振部材4を上ボス部32に配置する際に、最大で120°回転させれば、上防振部材4の周方向の位置を上ボス部32に合わせることができる。また、上ボス部32が上防振部材4によって均等に支持されるため、上ボス部32から上防振部材4に径方向に付加される圧力に偏りが生じるのを抑制することができる。
【0066】
(2)軸受の電食対策
例えば、モールドモータ100は、パルス幅変調された駆動信号を回路基板26上のインバータ回路に供給することによって駆動される。モールドモータ100の駆動電圧は、高効率化の要求を満たすために、高電圧化されている。また、モールドモータ100の駆動信号は、低振動及び低騒音を実現するにあたって理想的な正弦波を得るために、そのキャリア周波数が高周波数化されている。
【0067】
ところが、モールドモータ100の場合、上軸受ブラケット33とステータ25のコイル252とがモールド樹脂を挟んで配置されるため、上軸受ブラケット33及びコイル252は、所定の静電容量を有する容量素子として機能する。このため、コイル252の中性点における電圧が上がれば、上記容量素子には電荷が溜まることになる。このとき、上軸受8に付加される電圧、すなわち、軸電圧が軸受内部の油膜の絶縁破壊電圧を超えれば、シャフト10から、ロータ11、ステータ25、モールド樹脂、上軸受ブラケット33、上軸受8を経てシャフト10に至る循環経路には微小電流が流れることになる。上軸受8に電流が流れれば、内輪81又は外輪83と転動体82との間のギャップにおいてスパークが発生するため、上軸受8の表面が損傷するいわゆる電食が生じ、上軸受8の寿命が短くなる。
【0068】
下軸受ブラケット24と回路基板26との間にも、上軸受ブラケット33及びコイル252と同様に静電容量が形成される。このため、下軸受9に付加される軸電圧が軸受内部の油膜の絶縁破壊電圧を超えれば、シャフト10から、ロータ11、ステータ25、回路基板26、モールド樹脂、下軸受ブラケット24、下軸受9を経てシャフト10に至る循環経路には微小電流が流れることになる。
【0069】
本実施の形態によるモールドモータ100では、軸受導通部材7が上軸受ブラケット33と下軸受ブラケット24とを電気的に接続するため、上軸受ブラケット33及び下軸受ブラケット24が同電位となる。このため、上軸受ブラケット33側の静電容量と下軸受ブラケット24側の静電容量とが大きく異なる場合であっても、上軸受8及び下軸受9に付加される軸電圧を小さくすることができ、上軸受8及び下軸受9の電食を抑制することができる。
【0070】
また、モールドモータ100では、内側コア部113と外側コア部114とが連結部材115によって電気的に絶縁されるため、連結部材115を備えない場合に比べ、ロータ11のインピーダンスが高くなる。このため、モールドモータ100は、上軸受8及び下軸受9に付加される軸電圧を相対的に低くすることができる。
【0071】
また、ケーシングカバー3を樹脂製にすることにより、ケーシングカバー3が金属製である場合に比べ、上軸受8とステータ25との間の絶縁性が高くなることから、上軸受8の電食を抑制することができる。また、軸受導通部材7を上軸受ブラケット33及び下軸受ブラケット24と直接接触させることにより、モールドモータ100は、他の部材を介在させ間接的に接続する場合に比べ、上軸受ブラケット33及び下軸受ブラケット24を良好に導通させることができる。
【0072】
また、軸受導通部材7は、モータケーシング2の径方向外方に配置されている。このため、軸受導通部材7をモータケーシング2の径方向内方に配置する場合に比べ、ロータ11との接触、ステータ25に対する絶縁等を考慮する必要がない。従って、モールドモータ100は、構造が簡素となり、部品数を削減することができ、また、安価に製造することができる。
【0073】
(3)軸受導通部材7の剥がれ防止
本実施の形態によるモールドモータ100は、軸受導通部材7が導電性テープであり、導電性テープが天壁部31の上面においてネジ孔31a間に配置される。このため、導電性テープがネジ孔31aを塞ぐことがなく、軸受導通部材7をケーシングカバー3及びモータケーシング2に配置する際の作業性を向上させることができる。
【0074】
また、導電性テープの下側の端部が下防振部材5の回り止め部52の径方向内側によって覆われる。このため、モールドモータ100は、下ボス凹部231において導電性テープが下軸受ブラケット24の外周面から剥がれ難くすることができる。特に、下防振部材5の回り止め部52が導電性テープの下側の端部に接触しているため、導電性テープが下軸受ブラケット24の外周面から剥がれるのを防止することができる。
【0075】
また、導電性テープの上側の端部が上防振部材4の回り止め部42の径方向内側によって覆われる。このため、モールドモータ100は、上ボス凹部321において導電性テープが上軸受ブラケット33の外周面から剥がれ難くすることができる。特に、上防振部材4の回り止め部42が導電性テープの上側の端部に接触しているため、導電性テープが上軸受ブラケット33の外周面から剥がれるのを防止することができる。
【0076】
また、天壁部31の外径がモータケーシング2の円筒部21よりも小さい。このため、モールドモータ100は、天壁部31の外周縁部311と円筒部21の上端部との間に間隙が生じ難くなることから、導電性テープの剥がれを防止することができる。また、導電性テープは、天壁部31の外周縁部311の下面とモータケーシング2の円筒部21の上端面とが接触している周方向の位置に配置される。このため、外周縁部311と円筒部21との間に間隙をより生じ難くすることができる。
【0077】
(4)ケーシングカバー3の水溜り防止
本実施の形態によるモールドモータ100では、天壁部31の上面がフラット形状からなる。このため、ケーシングカバー3の上面を鉛直上方向に向けた状態でモールドモータ100を使用する場合に、モールドモータ100は、ケーシングカバー3の上面に水が溜まるのを防止することができる。
【0078】
(5)ケーシングカバー3の割れ防止
本実施の形態によるモールドモータ100では、圧入部312に複数の圧入凹部31bが設けられている。このため、モールドモータ100は、圧入部312をモータケーシング2の円筒部21の内周面に圧入する際に、径方向内方の力に対する圧入部312の強度が増すことから、ケーシングカバー3の割れを防止することができる。
【0079】
(6)ケーシングカバー3の水抜き穴
本実施の形態によるモールドモータ100では、天壁部31の外周縁部311に水抜き穴31cが設けられている。このため、モールドモータ100は、モータケーシング2の円筒部21内に浸入した水を外部へ排出することができる。
【0080】
(7)ケーシングカバー3の誤配置防止構造
本実施の形態によるモールドモータ100では、天壁部31の下面に軸方向上方に窪む凹部、すなわち、水抜き穴31cが設けられている。このため、モールドモータ100は、ケーシングカバー3をモータケーシング2に固定する際に、ケーシングカバー3の周方向の位置を誤って配置するのを防止することができる。
【0081】
また、天壁部31の上面には、軸方向下方に窪む凹部、すなわち、誤配置防止用穴35が設けられている。このため、モールドモータ100は、ケーシングカバー3をモータケーシング2に固定し、或いは、モールドモータ100をモータ取付台200に配置する際に、ケーシングカバー3の周方向の位置を誤って配置し、或いは、モールドモータ100の周方向の位置を誤って配置するのを防止することができる。
【0082】
誤配置防止構造は、ケーシングカバー3の上面に軸方向上方に突出する凸部を備え、或いは、ケーシングカバー3の下面に軸方向下方に突出する凸部を備える構成であっても良い。また、誤配置防止構造は、誤配置防止用に2以上の凹部又は凸部を備え、各凹部又は凸部を周方向に不等間隔で配置するような構成であっても良い。
【0083】
なお、実施の形態1では、天壁部31の上面がフラット形状からなる場合の例について説明したが、ケーシングカバー3の上面に水が溜まるのを防止するには、ケーシングカバー3の上面において、上ボス部32の下端部が天壁部31の外周縁部311の上端部と上下方向の同じ位置にあるか、或いは、上端部よりも上方にあれば良い。
【0084】
図10は、ケーシングカバー3の他の構成例を示した断面図であり、天壁部31の外周縁部311と上ボス部32との間に段差を有する場合が示されている。段差は、上ボス部32の円筒部322と外周縁部311との間に形成されている。
【0085】
図11は、ケーシングカバー3の他の構成例を示した断面図であり、天壁部31の外周縁部311と上ボス部32との間になだらかな傾斜面が設けられる場合が示されている。天壁部31の傾斜面は、径方向外側に向かうにつれて、軸方向下方に下がる壁面形状からなる。
図10及び
図11に示したモールドモータ100は、上ボス部32の下端部が天壁部31の外周縁部311の上端部よりも上方にあることから、ケーシングカバー3の上面に水が溜まるのを防止することができる。
【0086】
実施の形態2.
実施の形態1では、天壁部31の外径をモータケーシング2の円筒部21よりも小さくすることにより、導電性テープの剥がれを防止する場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、天壁部31の外周縁部311に傾斜面を設けることにより、導電性テープの剥がれを防止する場合について説明する。なお、前述した実施の形態1によるモールドモータ100と同一の構成部分についての重複する説明は省略する。
【0087】
図12は、本発明の実施の形態2によるモールドモータ101の一構成例を示した断面図である。モールドモータ101は、
図7のモールドモータ100と比較すれば、ケーシングカバー3の天壁部31に傾斜面31dが設けられている点で異なる。傾斜面31dは、径方向外側に向かうにつれて、軸方向下方に下がる壁面形状からなる。例えば、傾斜面31dは、天壁部31の外周縁部311の周方向の一部に形成される。導電性テープ(不図示)は、傾斜面31dの位置に配置される。
【0088】
本実施の形態によるモールドモータ101は、天壁部31の外周縁部311と円筒部21の上端部との間に間隙が生じ難くなることから、導電性テープの剥がれを防止することができる。
【0089】
実施の形態3.
実施の形態1では、ケーシングカバー3が樹脂製であり、上軸受ブラケット33を上ボス部32内に収容する場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、ケーシングカバー3が金属製であり、ケーシングカバー3が上軸受8を直接に保持する場合について説明する。なお、前述した実施の形態1によるモールドモータ100と同一の構成部分についての重複する説明は省略する。
【0090】
図13は、本発明の実施の形態3によるモールドモータ102の一構成例を示した断面図である。モールドモータ102は、
図7のモールドモータ100と比較すれば、ケーシングカバー3が金属製であり、上ボス部32が径方向内側に上軸受8を直接に保持する点で異なる。上軸受8は、上ボス部32の円筒部322の内周面に挿入される。
【0091】
例えば、ケーシングカバー3は、亜鉛メッキ鋼板などの金属板をプレス加工することにより形成される。ケーシングカバー3は、天壁部31の圧入部312をステータ25の円筒部21の内周面に圧入することにより、モータケーシング2に固定される。
【0092】
軸受導通部材(不図示)の一端は、下ボス凹部231から露出する下軸受ブラケット24の外周面と接触し、軸受導通部材の他端は、ケーシングカバー3に接触している。本実施の形態によるモールドモータ102では、軸受導通部材がケーシングカバー3と下軸受ブラケット24とを電気的に接続するため、上軸受8及び下軸受9の電食を抑制することができる。
【0093】
なお、実施の形態1〜3では、下ボス部23に下ボス凹部231が設けられ、下防振部材5の回り止め部52を収容する場合の例について説明したが、本発明は、下ボス部23に外周面の凸形状からなる下ボス凸部を設け、下防振部材5の回り止め部に収容させるような構成であっても良い。