特許第6321389号(P6321389)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小糸製作所の特許一覧

<>
  • 特許6321389-アクチュエーター 図000002
  • 特許6321389-アクチュエーター 図000003
  • 特許6321389-アクチュエーター 図000004
  • 特許6321389-アクチュエーター 図000005
  • 特許6321389-アクチュエーター 図000006
  • 特許6321389-アクチュエーター 図000007
  • 特許6321389-アクチュエーター 図000008
  • 特許6321389-アクチュエーター 図000009
  • 特許6321389-アクチュエーター 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321389
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】アクチュエーター
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/08 20060101AFI20180423BHJP
   B60Q 1/115 20060101ALI20180423BHJP
   B60Q 1/12 20060101ALI20180423BHJP
   F21S 41/00 20180101ALI20180423BHJP
   F21S 43/00 20180101ALI20180423BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20180423BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20180423BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20180423BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20180423BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20180423BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20180423BHJP
【FI】
   B60Q1/08
   B60Q1/115
   B60Q1/12 100
   F21S8/12 251
   F21S8/12 210
   F21S8/12 220
   F21W101:10
   F21Y101:00 300
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-18654(P2014-18654)
(22)【出願日】2014年2月3日
(65)【公開番号】特開2015-145168(P2015-145168A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2017年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(74)【代理人】
【識別番号】100114122
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸夫
(74)【代理人】
【識別番号】100086841
【弁理士】
【氏名又は名称】脇 篤夫
(72)【発明者】
【氏名】田島 計一
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−123854(JP,A)
【文献】 特開2008−140650(JP,A)
【文献】 特開2013−105594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
F21S 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記開口を閉塞するカバーとによって構成された灯具外筐の内部に配置されたランプユニットの光源から出射される光の照射方向を調整するアクチュエーターであって、
内部に配置空間を有するケース体と、
前記配置空間に配置された駆動モーターと、
基面部と前記駆動モーターの駆動力が伝達される駆動力伝達部と前記ランプユニットに連結され前記駆動力伝達部に伝達された駆動力を前記ランプユニットに出力する出力軸部とを有すると共に前記ケース体に前後方向へ移動自在に支持された被駆動体とを備え、
前記基面部と前記駆動力伝達部と前記出力軸部が一体に形成され、
前記基面部が前記ケース体に直接載置された
アクチュエーター。
【請求項2】
前記ケース体に前記被駆動体を前後方向へ案内するガイド部が一体に設けられた
請求項1に記載のアクチュエーター。
【請求項3】
上下方向を向く基板と前記基板上に搭載された電子部品とを有する回路基板が設けられ、
前記駆動力伝達部としてギヤ部が設けられ、
前記配置空間に前記駆動モーターの駆動力によって回転され前記ギヤ部に噛合されたウォームが配置され、
前記電子部品が左右方向において前記駆動モーター及び前記ウォームの側方に位置された
請求項1又は請求項2に記載のアクチュエーター。
【請求項4】
前記ウォームに噛合され前記駆動モーターの駆動力を前記ウォームに伝達する伝達ギヤが設けられ、
前記基板に外部からの電力が供給されるコネクターが搭載され、
前記伝達ギヤと前記駆動モーターと前記コネクターが左右方向において並んで位置された
請求項3に記載のアクチュエーター。
【請求項5】
前記被駆動体の前後方向への移動時に前記出力軸部が回転され、
前記出力軸部の周面が球面状に形成された
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載のアクチュエーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駆動モーターの駆動力によって出力軸部が前後方向へ移動されてランプユニットの光軸調整を行うアクチュエーターについての技術分野に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2013−247797号公報
【背景技術】
【0003】
車輌用前照灯には、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に、光源や光源から出射された光を反射するリフレクターを有するランプユニットが配置されたものがある。
【0004】
車輌用前照灯には、ランプユニットがブラケット等の支持体に回動自在(傾動自在)に支持され、ランプユニットがアクチュエーターの駆動力によって回動されてランプユニットの光源から出射される光の照射方向を調整することが可能なタイプがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載された車輌用前照灯においては、ランプユニットがアクチュエーターによって垂直面内において回動されることにより、車載物の重量によって変化する光軸のズレを調整する所謂レベリング調整(レベリング動作)が行われる。また、ランプユニットがアクチュエーターによって水平面内において回動されることにより、車輌の走行方向に追従して光軸の向きを変化させる所謂スイブル調整(スイブル動作)が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような光源から出射される光の照射方向を調整することが可能な車輌用前照灯には、スイブル動作の機能を有するがレベリング動作の機能を有さないタイプとレベリング動作の機能を有するがスイブル動作の機能を有さないタイプとが存在する。
【0007】
従って、このようなスイブル動作又はレベリング動作の一方の機能を有する車輌用前照灯におけるアクチュエーターにあっては、スイブル動作用又はレベリング動作用の一方の部品のみが設けられる。
【0008】
例えば、レベリング動作のみの機能を有する車輌用前照灯におけるアクチュエーターにあっては、駆動源として機能する駆動モーターや駆動モーターの駆動力によって動作されランプユニットを上下方向へ回動させるための各部が設けられるが、これらの各部の構造を簡素化することが望まれる。
【0009】
そこで、本発明アクチュエーターは、上記した問題点を克服し、部品点数の削減による構造の簡素化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1に、本発明に係るアクチュエーターは、上記した課題を解決するために、少なくとも一方に開口を有するランプハウジングと前記開口を閉塞するカバーとによって構成された灯具外筐の内部に配置されたランプユニットの光源から出射される光の照射方向を調整するアクチュエーターであって、内部に配置空間を有するケース体と、前記配置空間に配置された駆動モーターと、基面部と前記駆動モーターの駆動力が伝達される駆動力伝達部と前記ランプユニットに連結され前記駆動力伝達部に伝達された駆動力を前記ランプユニットに出力する出力軸部とを有すると共に前記ケース体に前後方向へ移動自在に支持された被駆動体とを備え、前記基面部と前記駆動力伝達部と前記出力軸部が一体に形成され、前記基面部が前記ケース体に直接載置されたものである。
【0011】
これにより、基面部と駆動力伝達部と出力軸部がそれぞれ被駆動体の一部として設けられると共に、基面部がケース体に直接載置され、部品点数が削減される。
【0012】
第2に、上記した本発明に係るアクチュエーターにおいては、前記ケース体に前記被駆動体を前後方向へ案内するガイド部が一体に設けられることが望ましい。
【0013】
これにより、被駆動体がケース体に一体に設けられたガイド部に案内されて前後方向へ移動される。
【0014】
第3に、上記した本発明に係るアクチュエーターにおいては、上下方向を向く基板と前記基板上に搭載された電子部品とを有する回路基板が設けられ、前記駆動力伝達部としてギヤ部が設けられ、前記配置空間に前記駆動モーターの駆動力によって回転され前記ギヤ部に噛合されたウォームが配置され、前記電子部品が左右方向において前記駆動モーター及び前記ウォームの側方に位置されることが望ましい。
【0015】
これにより、電子部品の配置領域と駆動モーター及びウォームの配置領域とが左右方向において各別に形成される。
【0016】
第4に、上記した本発明に係るアクチュエーターにおいては、前記ウォームに噛合され前記駆動モーターの駆動力を前記ウォームに伝達する伝達ギヤが設けられ、前記基板に外部からの電力が供給されるコネクターが搭載され、前記伝達ギヤと前記駆動モーターと前記コネクターが左右方向において並んで位置されることが望ましい。
【0017】
これにより、伝達ギヤと駆動モーターとコネクターが前後方向に並ばない。
【0018】
第5に、上記した本発明に係るアクチュエーターにおいては、前記被駆動体の前後方向への移動時に前記出力軸部が回転され、前記出力軸部の周面が球面状に形成されることが望ましい。
【0019】
これにより、出力軸部に側方に突出された部分が存在しない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基面部と駆動力伝達部と出力軸部がそれぞれ被駆動体の一部として設けられるため、部品点数の削減による構造の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図2乃至図9と共に本発明の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用前照灯の縦断面図である。
図2】車輌用前照灯の内部構造を示す分解斜視図である。
図3】アクチュエーターの分解斜視図である。
図4】カバーケースを外した状態で示すアクチュエーターの斜視図である。
図5】被駆動体の拡大斜視図である。
図6図7と共にスイブル動作を示すものであり、本図は、動作前の状態を示す概略平面図である。
図7】動作後の状態を示す概略平面図である。
図8】被駆動体の被ストッパー部が配置ケースに設けられた前側のストッパーに接して被駆動体の移動が規制された状態を示す拡大平面図である。
図9】被駆動体の被ストッパー部が配置ケースに設けられた後側のストッパーに接して被駆動体の移動が規制された状態を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明アクチュエーターを実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0023】
[車輌用前照灯]
先ず、アクチュエーターが用いられる車輌用前照灯1について説明する(図1及び図2参照)。
【0024】
車輌用前照灯1は、それぞれ車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0025】
車輌用前照灯1は前方に開口を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞するカバー3とを備えている。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間が灯室4aとして形成されている。
【0026】
ランプハウジング2の後端部には前後に貫通された取付用開口2aが形成されている。
【0027】
灯室4aにはブラケット5が配置されている。ブラケット5は図示しないエイミング調整機構によって左右方向及び上下方向へランプハウジング2に傾動自在に支持されている。ブラケット5は左右方向に延びる取付部6と取付部6の左右両端部からそれぞれ上方に突出された柱部7、7と柱部7、7の上端部間を連結し左右方向に延びる吊下部8とから成る。吊下部8の左右方向における中央部には支持受部8aが形成されている。支持受部8aは円弧状に形成され、上面が球面状に形成されている。吊下部8には支持受部8aの内側に前方に開口され上下に貫通された挿入凹部8bが形成されている。
【0028】
取付部6には下方に突出された結合用突部6a、6aが左右に離隔して設けられている。
【0029】
灯室4aにはランプユニット9が配置されている。ランプユニット9はブラケット5に上下方向へ回動自在(傾動自在)に支持されている。
【0030】
ランプユニット9は光を反射するリフレクター10とリフレクター10の後端部に取り付けられた光源11とリフレクター10の前側に位置されたレンズホルダー12とレンズホルダー12の前端部に取り付けられて保持された投影レンズ14とを有している。
【0031】
リフレクター10は前方に開口された椀状に形成され、内面が反射面10aとして形成されている。リフレクター10の後端部には取付孔10bが形成されている。
【0032】
光源11としては、例えば、放電灯が用いられている。光源11は口金部11aと光出射部11bを有し、口金部11aがリフレクター10の取付孔10bに取り付けられている。光出射部11bから出射された光はリフレクター10の反射面10aで反射され、投影レンズ14及びカバー3を透過されて前方へ向けて照射される。
【0033】
リフレクター10と投影レンズ14の間には固定シェード13が配置されている。固定シェード13は光源11から出射された光の一部を遮蔽する機能を有している。
【0034】
固定シェード13の前側には可動シェード15が回動可能な状態で配置されている。可動シェード15は光源11から出射された光の一部を遮蔽する機能を有し、回動位置に応じて光の遮蔽量を変更し、例えば、ハイビームとロービームの切替を行う機能を有している。
【0035】
ランプユニット9の下端部にはジョイント16が取り付けられている。ジョイント16は上下方向を向く被取付板部17と被取付板部17から下方に突出された連結用突部18とを有している、連結用突部18には下方に開口された連結凹部18aが形成されている。
【0036】
ジョイント16は被取付板部17がネジ止め等によってランプユニット9の下端部に取り付けられる。
【0037】
ランプユニット9の上端部には被支持突部19が設けられている。被支持突部19は上方に突出され被支持軸部20と被支持軸部20の上面から上方に突出された回転規制リブ21、21とを有している。
【0038】
被支持軸部20の上端部は下方に凸の略半球状の摺動部20aとして設けられている。回転規制リブ21、21は左右方向を向く板状に形成され、左右に離隔して位置されている。
【0039】
被支持軸部20は摺動部20aの下側の部分がブラケット5の吊下部8に形成された挿入凹部8bに挿入され、摺動部20aが支持受部8aに上側から摺動可能に支持される。
【0040】
ランプユニット9は押さえバネ22を介して吊下部8に吊り下げられている。押さえバネ22は前後方向を向く横長の被取付面部23と被取付面部23の上縁から後方に突出された押さえ片部24と被取付面部23の上縁からそれぞれ後方に突出された上側面部25、25と被取付面部23の下縁からそれぞれ後方に突出された下側面部26、26とから成る。
【0041】
押さえ片部24は被取付面部23の上縁の左右方向における中央部から後方に突出され、上側面部25、25は押さえ片部24の左右に位置されている。下側面部26、26はそれぞれ上側面部25、25の真下に位置されている。
【0042】
押さえ片部24と上側面部25、25の間には空間が形成され、これらの空間はそれぞれ規制用スリット22a、22aとして形成されている。
【0043】
押さえバネ22は、被支持軸部20の摺動部20aが支持受部8aに支持された状態において、被取付面部23が吊下部8の前面に押し当てられると共に上側面部25、25と下側面部26、26が吊下部8の左右方向における中央部を上下から挟持することにより吊下部8に取り付けられる。
【0044】
押さえバネ22が吊下部8に取り付けられた状態においては、押さえ片部24によって摺動部20aが上方から押さえられて摺動部20aが支持受部8aに上方から押し付けられ、摺動部20aが支持受部8aに摺動可能にされてランプユニット9が被支持軸部20を支点としてブラケット5に対して上下方向へ回動可能にされる。このとき被支持突部19の回転規制リブ21、21がそれぞれ押さえバネ22の規制用スリット22a、22aに挿入され、ランプユニット9の被支持軸部20を支点とした左右方向への回動が規制される。
【0045】
ランプユニット9の前端部にはランプユニット9における投影レンズ14の外側の部分を前側から遮蔽するユニットカバー27が取り付けられている。
【0046】
ランプハウジング2の後端部には取付用開口2aを閉塞するバックカバー28が取り付けられている。
【0047】
光源11の口金部11aの後端部には、放電灯点灯装置29が取り付けられている。放電灯点灯装置29は光源11を点灯するための装置であり、内部に点灯回路を有している。
【0048】
放電灯点灯装置29はケーブル29aによって図示しない電源回路に接続されている。
【0049】
[アクチュエーター]
次に、ランプユニット9を上下方向へ回動させてレベリング動作を行うためのアクチュエーター30について説明する(図1乃至図5参照)。
【0050】
アクチュエーター30はランプユニット9の下側に配置されている(図1参照)。アクチュエーター30はケース体31とケース体31に取り付けられた回路基板32とケース体31に配置された後述する各部品とを有している(図3及び図4参照)。
【0051】
ケース体31は上方に開口された箱状の配置ケース33と配置ケース33を上方から閉塞するカバーケース34と配置ケース33に下方から取り付けられるベースケース35とから成る。
【0052】
配置ケース33の内部空間は配置空間36として形成されている。配置ケース33には配置空間36を前後に仕切る隔壁37が一体に設けられ、隔壁37の右端部には上方に開口された挿入凹部37aが形成されている。隔壁37には挿入凹部37aが形成された部分に上方に開口された取付溝37bが形成されている。
【0053】
配置空間36は隔壁37によって前後に仕切られ、隔壁37の前側の部分が動作用配置部36aとして形成され、隔壁37の後側の部分が駆動用配置部36bとして形成されている。
【0054】
配置ケース33の左端部における後端部には突状配置部38、39が前後に離隔して設けられている。突状配置部38、39は少なくとも下方に開口された箱状に形成されている。配置ケース33には突状配置部38、39間に上下に貫通された配置用開口33aが形成されている。
【0055】
配置ケース33の外周面には周方向に離隔して複数の係止突部33b、33b、・・・が設けられている。配置ケース33の上端部にはそれぞれ左右に突出された被取付突部33c、33cが設けられている。配置ケース33の前端部における右端部には前後に貫通された軸支持部33dが設けられている。
【0056】
配置ケース33の左側面部における内面には、前後に延びるラック部40が設けられている。ラック部40は動作用配置部36aに設けられている。配置ケース33には駆動用配置部36bの左右方向における中央部にモーター取付突部41が設けられている。モーター取付突部41は上方に突出されている。
【0057】
配置ケース33の底面部における上面側にはそれぞれ前後に延びるガイド部42、42が左右に離隔して一体に設けられている。
【0058】
配置ケース33の底面部における上面側には前後に延びる摺動突部43が一体に設けられている。摺動突部43は底面部の右端部に設けられている。配置ケース33には摺動突部43の前後両端に連続してそれぞれストッパー部44、45が設けられている。ストッパー部44、45は摺動突部43より高さが高くされている。
【0059】
配置ケース33の下面側には下方に開口された図示しない浅い配置用凹部が形成されている。
【0060】
カバーケース34は下方に開口された浅い箱状に形成され、外周面に下方に突出された複数の係止片34a、34a、・・・が設けられている。係止片34a、34a、・・・にはそれぞれ係止孔が形成されている。
【0061】
カバーケース34にはそれぞれ左右に突出された被取付突部34b、34bが設けられている。カバーケース34の前端寄りの位置には上下に貫通された挿入孔34cが形成されている。挿入孔34cは前後に長い形状に形成されている。
【0062】
ベースケース35は上下方向を向く板状に形成された閉塞面部35aと閉塞面部35aの外周寄りの部分から上方に突出された嵌合突状部35bとを有している。
【0063】
回路基板32はベースケース35の閉塞面部35aにおける嵌合突状部35bの内側に配置されて取り付けられ、配置ケース33の下面側に形成された配置用凹部に配置される。回路基板32は図示しない所定の回路パターンが形成され上下方向を向く基板32aを有し、基板32a上には電子部品46、46、・・・及びコネクター47が搭載されている。一部の電子部品46、46、・・・は前側の突状配置部39に配置され、他の一部の電子部品46、46、・・・は配置用開口33aに配置され、コネクター47は後側の突状配置部39に配置される。
【0064】
このように配置ケース33に一部の電子部品46、46、・・・が配置される配置用開口33aが形成されることにより、配置ケース33と電子部品46、46、・・・の干渉を回避してアクチュエーター30の薄型化を図ることができる。
【0065】
配置ケース33には配置空間36の動作用配置部36aにおいて被駆動体48が前後方向へ移動自在に支持されている。被駆動体48は略円板状の基面部49と基面部49の中央部から上方に突出された出力軸部50と基面部49から左方に突出された第1の突出部51と基面部49から右方に突出された第2の突出部52とが一体に形成されて成る。
【0066】
基面部49の外周部には被ガイド凹部49a、49aが前後に離隔して形成されている(図5参照)。
【0067】
出力軸部50は球面状に形成された周面50aと上方を向く天面50bとを有している(図3乃至図5参照)。
【0068】
第1の突出部51の左側面部には周方向に延びる従動ギヤ部51aが設けられている。
【0069】
第2の突出部52の右側面部には周方向に延びるギヤ部52aが設けられている。ギヤ部52aは駆動力伝達部として機能する。第2の突出部52には右方に突出された被ストッパー部52bが設けられている。
【0070】
従動ギヤ部51aとギヤ部52aは基面部49の中心を基準とした同心円上に位置されている。
【0071】
被駆動体48は被ガイド凹部49a、49aに配置ケース33のガイド部42、42が挿入され、ガイド部42、42に案内されて配置ケース33に前後方向へ移動自在に支持される。被駆動体48が配置ケース33に支持された状態においては、従動ギヤ部51aが配置ケース33に設けられたラック部40に噛合され、被ストッパー部52bが摺動突部43上において摺動可能にされる。
【0072】
配置ケース33には配置空間36の右端部において前後方向に延びるウォーム53が回転自在に支持されている。ウォーム53には動力ギヤ部53aと作動ギヤ部53bが前後に離隔して設けられ、動力ギヤ部53aと作動ギヤ部53bの間には周方向に延びる被挿入溝53cが形成されている。ウォーム53の前端部には前方に開口された軸取付穴53dが形成されている。
【0073】
ウォーム53はワッシャー54と被支持軸55を介して配置ケース33に回転自在に支持される。ワッシャー54は略コ字状に形成され、配置ケース33の隔壁37に形成された取付溝37bに上方から挿入されて取り付けられる。被支持軸55は配置ケース33の軸支持部33dに圧入されている。従って、ウォーム53は被支持軸55に対して回転される。
【0074】
ウォーム53は、被挿入溝53cにワッシャー54が外嵌状に組み付けられ、軸取付穴53dに被支持軸55が取り付けられ、配置ケース33に回転自在に支持される。ウォーム53が配置ケース33に支持された状態において、動力ギヤ部53aが被駆動体48のギヤ部52aに噛合される。
【0075】
尚、アクチュエーター30にあっては、ウォーム53の配置ケース33からの浮き上がりを防止するために、ワッシャー54に代え、例えば、カバーケース34の下面側にウォーム53を上方から押さえる押さえ部を設ける構成にすることも可能である。しかしながら、カバーケース34に押さえ部を設けた場合には、配置空間36に配置される各部、例えば、伝達ギヤ57と押さえ部の干渉を回避するために伝達ギヤ57の位置を変更する必要が生じ、伝達ギヤ57の位置の変更によりアクチュエーター30の大型化を来たすおそれがある。
【0076】
従って、上記のように、ワッシャー54を用いてウォーム53が配置ケース33に回転自在に支持されるように構成することにより、カバーケース34に押さえ部を設ける必要がなく、アクチュエーター30の小型化を図ることができる。
【0077】
配置ケース33のモーター取付突部41には駆動モーター56が取り付けられている。
【0078】
駆動モーター56は本体56aと本体56aから上方に突出されたモーター軸に固定された駆動ギヤ部56bとから成る。
【0079】
配置ケース33には駆動用配置部36bの右端部において伝達ギヤ57が回転自在に支持されている。伝達ギヤ57は上側に位置された平ギヤ部57aと下側に位置されたウォーム部57bとを有し、ウォーム部57bに取り付けられた支持軸57cを介して配置ケース33に回転自在に支持されている。伝達ギヤ57は、平ギヤ部57aが駆動モーター56の駆動ギヤ部56bに噛合され、ウォーム部57bがウォーム53の作動ギヤ部53bに噛合されている。
【0080】
従って、駆動モーター56が回転されると、その駆動力が駆動ギヤ部56b、伝達ギヤ57、ウォーム53に順に伝達され、ウォーム53が回転されて駆動モーター56の回転方向に応じた方向へ被駆動体48のギヤ部52aが送られる。ギヤ部52aが送られることにより、被駆動体48の従動ギヤ部51aのラック部40に対する噛合位置が変化され、被駆動体48が回転しながらガイド部42、42に案内されて前後方向へ移動される。このとき被駆動体48の被ストッパー部52bは摺動突部43上を摺動される。
【0081】
カバーケース34が配置ケース33に結合された状態においては、カバーケース34の挿入孔34cから被駆動体48の出力軸部50が上方に突出される(図1及び図2参照)。
【0082】
上記のように構成されたアクチュエーター30はカバーケース34の被取付突部34b、34bにそれぞれブラケット5の取付部6に設けられた結合用突部6a、6aが結合され、ネジ止め等によってブラケット5に取り付けられる。
【0083】
ブラケット5にアクチュエーター30が取り付けられた状態においては、出力軸部50がランプユニット9のジョイント16に形成された連結凹部18aに挿入されてランプユニット9に連結される。
【0084】
出力軸部50がランプユニット9に連結された状態において、ランプユニット9は出力軸部50の前後方向への移動に伴って出力軸部50に対して被支持軸部20を支点として上下方向へ回動される。
【0085】
[レベリング動作]
以下に、車輌用前照灯1におけるレベリング動作について説明する(図6乃至図9参照)。尚、図6乃至図9には、ランプユニット9及びカバーケース34を示さずアクチュエーター30の動作を上方から見た状態で示す。
【0086】
レベリング動作は、車載物の重量によって変化する光軸のズレを調整するためにランプユニット9を垂直面内において上下方向へ回動させる動作であり、レベリング動作においてランプユニット9は被支持軸部20を支点として上下方向へ回動される。
【0087】
レベリング動作が行われる前の状態において、被駆動体48が、例えば、前後方向の移動範囲における中央に位置されている(図6参照)。
【0088】
図示しない電源回路からコネクター47を介して通電されて駆動モーター56が回転されると、駆動モーター56の駆動力がウォーム53に伝達される。駆動モーター56の駆動力がウォーム53に伝達されると、ウォーム53の回転方向に応じた方向へギヤ部52aが送られる。ギヤ部52aが送られると、被駆動体48の従動ギヤ部51aのラック部40に対する噛合位置が変化され、被駆動体48が回転しながら前後方向へ移動される(図7参照)。
【0089】
被駆動体48が前後方向へ移動されることにより、被駆動体48の移動に伴ってランプユニット9が上下方向へ回動されてレベリング動作が行われる。
【0090】
レベリング動作が行われるときには被駆動体48の被ストッパー部52bが摺動突部43上を摺動される。このとき被駆動体48が前方へ大きく移動されたときには被ストッパー部52bが前側のストッパー部44に接して被駆動体48の過度の移動が規制され(図8参照)、被駆動体48が後方へ大きく移動されたときには被ストッパー部52bが後側のストッパー部45に接して被駆動体48の過度の移動が規制される(図9参照)。従って、レベリング動作時におけるランプユニット9の過度の回動を防止することができる。尚、ストッパー部44、45はそれぞれ被駆動体48の前後の初期位置を定める位置決め部として用いることが可能である。
【0091】
[まとめ]
以上に記載した通り、アクチュエーター30にあっては、駆動モーター56の駆動力が伝達される駆動力伝達部として機能するギヤ部52aとランプユニット9に連結された出力軸部50と基面部49とが一体に形成されると共に、基面部49がケース体31に直接載置されているため、ギヤ部52aと出力軸部50と基面部49がそれぞれ被駆動体48の一部として設けられ、部品点数の削減による構造の簡素化を図ることができる。
【0092】
また、ケース体31に被駆動体48を前後方向へ案内するガイド部42、42が一体に設けられているため、被駆動体48がケース体31に一体に設けられたガイド部42、42に案内されて前後方向へ移動され、一層の部品点数削減の削減による構造の簡素化を図ることができる。
【0093】
さらに、上下方向を向く基板32aと基板32a上に搭載された電子部品46、46、・・・とを有する回路基板32が設けられ、電子部品46、46、・・・が左右方向において駆動モーター56及びウォーム53の側方に位置されている。
【0094】
従って、電子部品46、46、・・・の配置領域と駆動モーター56及びウォーム53の配置領域とが左右方向において各別に形成され、アクチュエーター30の薄型化を図ることができる。
【0095】
さらにまた、伝達ギヤ57と駆動モーター56とコネクター47が左右方向において並んで位置されているため、伝達ギヤ57と駆動モーター56とコネクター47が前後方向に並ばず、アクチュエーター30の前後方向における小型化を図ることができる。
【0096】
加えて、被駆動体48の前後方向への移動時に回転される出力軸部50の周面50aが球面状に形成されているため、出力軸部50に側方に突出された部分が存在せず、被駆動体48の小型化を図ることができると共にランプユニット9が出力軸部50の回転に伴って水平方向において回転されることがなく光源11から出射される光の照射方向に関する左右方向への変位を防止することができる。
【符号の説明】
【0097】
1…車輌用前照灯、2…ランプハウジング、3…カバー、4…灯具外筐、9…ランプユニット、11…光源、30…アクチュエーター、31…ケース体、32…回路基板、32a…基板、36…配置空間、42…ガイド部、46…電子部品、47…コネクター、48…被駆動体、49…基面部、50…出力軸部、50a…周面、52a…ギヤ部(駆動力伝達部)、53…ウォーム、56…駆動モーター、57…伝達ギヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9