特許第6321411号(P6321411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321411
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】電圧検出回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/10 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
   G05F1/10 301A
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-50434(P2014-50434)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-176229(P2015-176229A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】見谷 真
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 考太郎
【審査官】 小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−019200(JP,A)
【文献】 特開2004−191130(JP,A)
【文献】 特開2005−004881(JP,A)
【文献】 特開2009−239471(JP,A)
【文献】 特開2005−165792(JP,A)
【文献】 特開2010−231774(JP,A)
【文献】 特開2007−280322(JP,A)
【文献】 特開昭64−083155(JP,A)
【文献】 特開2012−113503(JP,A)
【文献】 特開2010−183724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/10
G01R 19/165
H03K 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出回路と、前記検出回路の出力信号に基づき電圧を検出し、検出信号を出力する出力回路と、を備えた電圧検出回路であって、
前記検出回路は、第一電流を流す第一NMOSトランジスタを有する第一MOSトランジスタ部と、第二電流を流す第二NMOSトランジスタを有する第二MOSトランジスタ部と、前記第一電流と前記第二電流を電圧変換し前記検出信号として前記出力回路へ出力するカレントミラー回路で構成する電流電圧変換部と、を備え、
前記第一MOSトランジスタ部と前記第二MOSトランジスタ部は、MOSトランジスタのチャネル長変調効果に起因する電流差を設け、
前記第一電流の電圧特性と前記第二電流の電圧特性が所定の電圧で交差する
ことを特徴とする電圧検出回路。
【請求項2】
検出回路と、前記検出回路の出力信号に基づき電圧を検出し、検出信号を出力する出力回路と、を備えた電圧検出回路であって、
前記検出回路は、第一電流を流す第一NMOSトランジスタを有する第一MOSトランジスタ部と、第二電流を流す第二NMOSトランジスタを有する第二MOSトランジスタ部と、前記第一電流と前記第二電流を電圧変換し前記検出信号として前記出力回路へ出力する抵抗素子で構成する電流電圧変換部と、を備え、
前記第一MOSトランジスタ部と前記第二MOSトランジスタ部は、MOSトランジスタのチャネル長変調効果に起因する電流差を設け、
前記第一電流の電圧特性と前記第二電流の電圧特性が所定の電圧で交差する
ことを特徴とする電圧検出回路。
【請求項3】
前記第一NMOSトランジスタは前記第二NMOSトランジスタよりもゲート長を長く、ゲート幅を広くし、MOSトランジスタのチャネル長変調効果に起因する電流差を設けた、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電圧検出回路。
【請求項4】
前記第一MOSトランジスタ部は、更にカスコードトランジスタを有し、
前記第一NMOSトランジスタは前記第二NMOSトランジスタよりもゲート幅を広くし、MOSトランジスタのチャネル長変調効果に起因する電流差を設けた、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電圧検出回路。
【請求項5】
前記第一NMOSトランジスタは前記第二NMOSトランジスタよりもゲート長を長く、閾値電圧を小さくし、MOSトランジスタのチャネル長変調効果に起因する電流差を設けた、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電圧検出回路。
【請求項6】
前記第一及び第二NMOSトランジスタは、ディプレッション型のトランジスタで構成した
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電圧検出回路。
【請求項7】
検出回路と、前記検出回路の出力信号に基づき電圧を検出し、検出信号を出力する出力回路と、を備えた電圧検出回路であって、
前記検出回路は、第一電流を流す第一NMOSトランジスタを有する第一MOSトランジスタ部と、第二電流を流す第二NMOSトランジスタを有する第二MOSトランジスタ部と、前記第一電流と前記第二電流を電圧変換し前記検出信号として前記出力回路へ出力するカレントミラー回路で構成する電流電圧変換部と、を備え、
前記第一電流と前記第二電流にMOSトランジスタのインパクトイオン化による基板電流に起因する電流差を設ける、
前記第一電流の電圧特性と前記第二電流の電圧特性が所定の電圧で交差する
ことを特徴とする電圧検出回路。
【請求項8】
検出回路と、前記検出回路の出力信号に基づき電圧を検出し、検出信号を出力する出力回路と、を備えた電圧検出回路であって、
前記検出回路は、第一電流を流す第一NMOSトランジスタを有する第一MOSトランジスタ部と、第二電流を流す第二NMOSトランジスタを有する第二MOSトランジスタ部と、前記第一電流と前記第二電流を電圧変換し前記検出信号として前記出力回路へ出力する抵抗素子で構成する電流電圧変換部と、を備え、
前記第一電流と前記第二電流にMOSトランジスタのインパクトイオン化による基板電流に起因する電流差を設ける、
前記第一電流の電圧特性と前記第二電流の電圧特性が所定の電圧で交差する
ことを特徴とする電圧検出回路。
【請求項9】
前記出力回路は、入力オフセットを備えたコンパレータ回路で構成される
ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電圧検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧検出回路に関し、より詳しくはその製造バラつきの影響を小さくすることに関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の電圧検出回路の一例を示す回路図である。
NMOSトランジスタQ1とQ2、NMOSトランジスタQ11とQ12、そしてPMOSトランジスタQ3とQ13は、それぞれ同じサイズとする。抵抗R1は、例えば拡散抵抗やゲートPOLY抵抗で作られ、印加電圧と発生する電流が比例関係を示す。デプレション型NMOSトランジスタR2は、ゲートとソースが接続され、印加されるドレイン・ソース間電圧が所定の電圧以上になると、電流が一定になる。
【0003】
抵抗R1に流れる電流I1は、NMOSトランジスタQ1とQ2で構成されるミラー回路により、NMOSトランジスタQ2にドレイン電流Is1として流れる。抵抗R1は、電源電圧が小さいときは発生する電流が小さくなり、電源電圧が大きいときは発生する電流が大きくなる。
【0004】
一方、デプレション型NMOSトランジスタR2に流れる電流I2は、NMOSトランジスタQ11とQ12及びPMOSトランジスタQ3とQ13とでそれぞれ構成されるミラー回路により、PMOSトランジスタQ3のドレイン電流Is2として流れる。デプレション型NMOSトランジスタR2は、飽和領域ではドレイン電圧依存性がほとんど無いため、電源電圧が変化してもPMOSトランジスタQ3のドレイン電流Is2は変化しない。
従来の電圧検出回路は、NMOSトランジスタQ2とPMOSトランジスタQ3のドレイン電流と電源電圧の関係を利用して、電源電圧を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−21787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電圧検出回路は、動作電流の低くするため、抵抗R1は数MΩ程度にすることが一般的である。しかしながら、シート抵抗値の低い拡散抵抗やゲートPOLY抵抗でそのような大きな抵抗値を作ると、チップ面積が増大してしまう。また、抵抗R1とデプレション型NMOSトランジスタR2は、製造工程上、独立に作製されるため、相関の無いこれら両製造バラつきの影響を受け、検出電圧のバラつきが大きくなってしまう。
【0007】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたものであり、チップ面積の増大を抑えながら動作電流を低くし、且つ製造バラつきの影響がほとんど発生しない電圧検出回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
検出回路の出力信号に基づき電圧を検出し検出信号を出力する電圧検出回路であって、検出回路は、第一電流を流す第一MOSトランジスタ部と、第二電流を流す第二MOSトランジスタ部と、第一電流と第二電流を電圧変換し検出信号として出力する電流電圧変換部と、を備え、第一電流の電圧特性と第二電流の電圧特性が所定の電圧で交差するように構成した。
【発明の効果】
【0009】
動作電流を低消費化しても、チップ面積の増大を抑え、製造バラつきの影響を抑えた電圧検出回路を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の電圧検出回路を示す回路図である。
図2】第1の実施形態の電圧検出回路の電圧と電流の関係を示す図である。
図3】第1の実施形態の電圧検出回路の電圧と電流の関係を示す図である。
図4】第2の実施形態の電圧検出回路を示す回路図である。
図5】第3の実施形態の電圧検出回路を示す回路図である。
図6】第4の実施形態の電圧検出回路を示す回路図である。
図7】従来の電圧検出回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の電圧検出回路は、検出回路100と出力回路200を備えている。
検出回路100は、MOSトランジスタ部110と、MOSトランジスタ部120と、電流電圧変換部130を備えている。出力回路200は、例えば一般的なコンパレータ回路で構成する。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施形態の電圧検出回路を示す回路図である。
第1の実施形態の電圧検出回路は、MOSトランジスタ部110はNMOSトランジスタMN11で構成され、MOSトランジスタ部120はNMOSトランジスタMN12で構成される。説明のために、カレントミラー回路のミラー比は1:1であるとする。そして、NMOSトランジスタMN11及びNMOSトランジスタMN12は、ゲートに適切なバイアス電圧VNBIASが与えられる。ここで、NMOSトランジスタMN11のゲート長は、NMOSトランジスタMN12のゲート長より長く、即ちNMOSトランジスタMN12の方がよりチャネル長変調効果が大きくなるように設定する。
【0013】
PMOSトランジスタMP11とPMOSトランジスタMP12は同じゲート電圧が印加されるため、Vd−Id曲線は同じである。NMOSトランジスタMN11は,ゲート長が長いため、チャネル長変調効果が小さく、ドレイン電圧に対してほぼ一定の飽和ドレイン電流を示す。NMOSトランジスタMN12は,ゲート長が短いため、チャネル長変調効果が大きく、ドレイン電圧に対して飽和ドレイン電流が直線的に増加する。
【0014】
更に、NMOSトランジスタMN11のゲート幅をNMOSトランジスタMN12のゲート幅よりも広くする。このようにすることで、飽和領域においてドレイン電圧の小さいときに、NMOSトランジスタMN11のドレイン電流はNMOSトランジスタMN12のドレイン電流よりも大きくなる。従って、NMOSトランジスタMN11のドレイン電流とNMOSトランジスタMN12のドレイン電流は、所定の電源電圧VDDにおいて大小が逆転する。即ち、その電源電圧VDDを検出電圧とすることが出来る。
【0015】
出力回路200は、一般的なコンパレータ回路で構成しているので、電圧V1、V2の大小に応じてHレベル、Lレベルを出力する。例えば、コンパレータ回路のプラス側入力端子に電圧V1、マイナス側入力端子に電圧V2が入力されていると、V1<V2の時は出力電圧VDETはLレベル、V1>V2の時は出力電圧VDETはHレベルになる。
【0016】
次に、第1の実施形態の電圧検出回路の動作を説明する。
図2は、電源電圧VDDが小さいときの各トランジスタのドレイン電圧(Vd)−ドレイン電流(Id)曲線を示す。また、図3は、電源電圧VDDが大きいときの各トランジスタのドレイン電圧(Vd)−ドレイン電流(Id)曲線を示す。
【0017】
ここで、電圧V1と電圧V2の電源電圧(VDD)依存性について説明する。NMOSトランジスタMN11とPMOSトランジスタMP11の接続ノードの電圧をV1、NMOSトランジスタMN12とPMOSトランジスタMP12の接続ノードの電圧をV2とする。
【0018】
PMOSトランジスタMP11は飽和結線されており、かつ電源電圧VDDを大きくしてもNMOSトランジスタMN11はチャネル長変調効果が小さいため、|VDD−V1|の大きさはほぼ一定の特性を示す。電源電圧VDDが小さいときは、PMOSトランジスタMP12が非飽和で動作するため、電圧V2は小さくなる。電源電圧VDDが大きいときは、PMOSトランジスタMP12が飽和領域に入り、電圧V2は電源電圧VDDが変化しても一定の電圧になる。
【0019】
図2から、電源電圧VDDが小さいとき、電圧V2は電圧V1より大きくなる。これは、NMOSトランジスタMN12のチャネル長変調効果の影響が小さいため、MN12のドレイン電流は小さくなり、従って、V2は大きくなり、PMOSトランジスタMP12は非飽和領域で動作するためである。このとき、電圧検出回路はLレベル(電源電圧非検出状態)の出力信号VDETを出力する。
【0020】
図3から、電源電圧VDDが大きいとき、電圧V2は電圧V1より小さくなる。これは、電源電圧VDDが大きいほど、NMOSトランジスタMN12のチャネル長変調効果の影響が大きくなり、従ってNMOSトランジスタMN12のドレイン電流が大きくなることで、電圧V2が小さくなるからである。このとき、電圧検出回路はHレベル(電源電圧検出状態)の出力信号VDETを出力する。
以上説明したように、本実施形態の電圧検出回路は、MOSトランジスタのチャネル長変調効果を利用して電源電圧を検出することができる。
【0021】
本実施形態の電圧検出回路によれば、バイアス電圧VNBIASの電圧を調整することで消費電流を調整できるので、チップ面積が増大することなく消費電流を低くすることが出来る。また、特に問題となる閾値電圧の製造バラつきについては、比較電流を発生させる素子が同じ構造であるため、検出電圧にその影響が現れない、という効果がある。例えば、NMOSトランジスタMN11の閾値電圧が大きくなれば、同じ素子構造のNMOSトランジスタMN12の閾値電圧も同じく大きくなる。従って、NMOSトランジスタMN11とNMOSトランジスタMN12のドレイン電流の相対的な大小関係は変わらないため、検出電圧は閾値電圧のバラつきの影響を受けない。
【0022】
なお、本実施形態の電圧検出回路では、2つのNMOSトランジスタのドレイン電流が所定の電源電圧VDDにおいて大小が逆転するために、ゲート幅に差を設けたが、NMOSトランジスタの閾値電圧に差を設けても良い。即ち、NMOSトランジスタMN12の閾値電圧をNMOSトランジスタMN11の閾値電圧よりも大きく設定しても良い。
【0023】
[第2の実施の形態]
図4は、第2の実施形態の電圧検出回路を示す回路図である。
図1と同じ構成要素については同じ符号で図示している。図1との違いはMOSトランジスタ部110としてデプレション型NMOSトランジスタMN1で、MOSトランジスタ部120としてデプレション型NMOSトランジスタMN1で構成した点である。
【0024】
ここで、各トランジスタのゲート長とゲート幅の関係は、第1の実施形態の電圧検出回路と同様である。このように設定することで、図2及び図3と同様のVd−Id曲線を得ることができ、検出動作についても第1の実施形態の電圧検出回路と同様である。
【0025】
第2の実施形態の電圧検出回路は、MOSトランジスタ部110、120をデプレション型NMOSトランジスタで構成したので、バイアス回路が不要となり、更にチップ面積を縮小することができる。
【0026】
[第3の実施の形態]
図5は、第3の実施形態の電圧検出回路を示す回路図である。
図1と同じ構成要素については同じ符号で図示している。図1との違いはMOSトランジスタ部110としてNMOSトランジスタMN15、MN16のカスコード接続構成とした点である。カスコードトランジスタであるNMOSトランジスタMN16は、ゲート電圧に適切なバイアス電圧VNCSが与えられる。
【0027】
第1及び第2の実施形態の電圧検出回路では、MOSトランジスタ部110、120のMOSトランジスタのチャネル長変調効果の大小を、ゲート長に差を設けることで実現した。本実施形態では、MOSトランジスタ部110側をNMOSトランジスタMN15及びMN16のカスコード接続とすることで、チャネル長変調効果の大小を実現した。より詳しく説明すると、カスコード接続により、電源電圧VDDが大きくなっても、NMOSトランジスタMN15のドレイン電圧はほとんど変化しないため、チャネル長変調効果の影響がドレイン電流に現れない。NMOSトランジスタMN18は、カスコード接続でないため、電源電圧VDDが大きくなると、チャネル長変調効果の影響でドレイン電流が大きくなる。さらに、NMOSトランジスタMN15のゲート幅をNMOSトランジスタMN18のゲート幅よりも大きくすることで、2つのNMOSトランジスタのドレイン電流が所定の電源電圧VDDにおいて大小が逆転するように設定される。このように構成することで、図2及び図3と同様のVd−Id曲線を得ることができる。
【0028】
なお、本実施形態の電圧検出回路では、2つのNMOSトランジスタのドレイン電流が所定の電源電圧VDDにおいて大小が逆転するために、ゲート幅に差を設けたが、NMOSトランジスタの閾値電圧に差を設けても良い。即ち、NMOSトランジスタMN12の閾値電圧をNMOSトランジスタMN15の閾値電圧よりも大きく設定しても良い。
【0029】
また、カスコード接続の構成は本実施形態の構成に限るものではなく、電源電圧VDDに対してNMOSトランジスタMN15のドレイン電圧が変化しにくい効果が得られればよい。例えば、MN16をデプレション型NMOSトランジスタで構成し、そのゲート電圧をVNBIASに接続することでも実現可能で、この場合、バイアス電圧VNCSを生成するバイアス回路が不要になる。
【0030】
[第4の実施の形態]
図6は、第4の実施形態の電圧検出回路を示す回路図である。
図1と同じ構成要素については同じ符号で図示している。図1との違いは電流電圧変換部130を抵抗R11、R12で構成した点である。ここでは抵抗R11、R12は同じ抵抗値に設定された場合で説明をする。
【0031】
NMOSトランジスタMN11とNMOSトランジスタMN12のドレイン電圧(Vd)−ドレイン電流(Id)曲線は、図2図3に示したのと同様である。従って、抵抗R11に流れる電流をI_R11、抵抗R12に流れる電流をI_R12、電流I_MN11と電流I_R11の交点の電圧をV1、電流I_MN12と電流I_R12の交点の電圧をV2とすると、第1の実施形態の電圧検出回路と同様に、電圧V1と電圧V2によって電源電圧VDDを検出することが出来る。
【0032】
第4の実施形態の電圧検出回路によれば、抵抗R11と抵抗R12を同じ素子で構成することで半導体製造バラつきの影響が検出電圧に現れないようにすることが可能である。また、電流電圧変換部130を抵抗R11、R12で構成しているが、NMOSトランジスタMN11とNMOSトランジスタMN12のバイアス電圧VNBIASを適切に設定することによって、消費電流を少なくすることが可能である。
【0033】
なお、本実施形態では、NMOSトランジスタMN11及びNMOSトランジスタMN12は第1の実施形態と同様の設定として説明したが、第2〜3の実施形態で示した方法の組合せでも実現可能である。また、本実施形態では電流電圧変換部130の別の構成として抵抗R11、R12を用いて説明したが、電流が流れて電圧を発生させる素子であれば実現可能であり、例えば定電流源を用いてもよい。
【0034】
以上説明したように、本発明の電圧検出回路は、MOSトランジスタ部110とMOSトランジスタ部120と電流電圧変換部130を備えた検出回路100と、出力回路200とを有する。そして、MOSトランジスタ部110とMOSトランジスタ部120のドレイン電圧(Vd)−ドレイン電流(Id)曲線を交差するように設定することで、電源電圧を検出するように構成する。このように構成することで、動作電流を低消費化しても、チップ面積の増大を抑え、製造バラつきの影響を抑えた電圧検出回路を提供することが出来る。
【0035】
なお、本発明の電圧検出回路は、MOSトランジスタ部110とMOSトランジスタ部120を構成するMOSトランジスタのチャネル長変調効果を使用していたが、電源電圧VDDが高くなるにつれドレイン電流が大きくなる素子特性であれば、これに限定されるものではない。例えば、MOSトランジスタのインパクトイオン化による基板電流を用いても良い。一例を挙げれば、NMOSトランジスタMN12はNMOSトランジスタMN11に比べインパクトイオン化が起こりやすい素子、すなわち、NMOSトランジスタMN11のドレインには低濃度領域を設け、NMOSトランジスタMN12のドレインには低濃度領域を設けないトランジスタを用いる。NMOSトランジスタMN11は、インパクトイオン化が起こらないため、ドレイン電圧が大きくなっても飽和ドレイン電流は一定である。NMOSトランジスタMN12はインパクトイオン化が起こるため、ドレイン電圧がある一定の電圧値を超えると飽和ドレイン電流が増加する。そして、第1の本実施形態と同様にゲート幅を調整することで、電源電圧VDDを検出することが出来る。
【0036】
また、本発明の電圧検出回路は、出力回路200を構成するコンパレータ回路に入力オフセットを備えるように構成しても良い。例えば電源投入時等、電源電圧VDDが小さいとき、NMOSトランジスタMN11及びNMOSトランジスタMN12が非飽和動作すると、電圧V1と電圧V2がほぼ等しくなることがあり、コンパレータ回路が誤判定する可能性がある。このようなときには、コンパレータ回路に入力オフセットを設けることで、電圧V1と電圧V2が等しいときは非検出側になるように設定するなどすれば、誤判定を防止することが可能である。更に、入力オフセットを調整することで、検出電圧の調整も可能であり、例えば、入力オフセットにトリミング回路を設けることで、より検出電圧バラつきを抑えることができる。
【符号の説明】
【0037】
100 検出回路
110、120 MOSトランジスタ部
130 電流電圧変換部
200 出力回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7