(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2種類の硬貨を前記第2の搬送路において搬送する搬送手段は、1つ以上の搬送ローラを有しており、該搬送ローラのうち少なくとも1つによって、前記第2の搬送路を搬送される前記第2種類の硬貨の真偽に応じて、正当な硬貨と正当でない硬貨との搬送方向を変更することにより、前記第2収納庫に収納するか否かを振り分けることを特徴とする請求項1記載の入金機。
前記搬送手段は、前記1つ以上の搬送ローラのうち、前記搬送方向を変更する搬送ローラによって、前記正当な硬貨を、前記第2収納庫に収納するよう振り分けることを特徴とする請求項2または3に記載の入金機。
前記搬送手段は、前記1つ以上の搬送ローラのうち、前記搬送方向を変更する特定の搬送ローラの下方に配置された排出ゲートの動作に応じて、前記正当でない硬貨を、該特定の搬送ローラによって搬送されている状態から解放することにより、前記第2収納庫とは異なるリジェクト庫に収納することを特徴とする請求項4に記載の入金機。
前記第2種類の硬貨を前記第2の搬送路において搬送する搬送手段は、前記第2の搬送路を搬送される前記第2種類の硬貨の真偽を検出するセンサを含むことを特徴とする請求項2乃至請求項6の何れかに記載の入金機。
第1種類の硬貨の材質よりも柔らかい材質製の第2種類の硬貨が入金機に入金されるのに応じて、その第2種類の硬貨を第2収納庫に搬送可能な第2の搬送路を、該入金機に入金された第1種類の硬貨を第1収納庫に搬送可能な第1の搬送路よりも短い長さとし、
入金された前記第1種類の硬貨と前記第2種類の硬貨とを、それぞれ前記第1収納庫または前記第2収納庫に搬送し始める前に分別するとともに、前記第1種類の硬貨を第1の搬送路に、前記第2種類の硬貨を第2の搬送路に、それぞれ振り分ける
ことを特徴とする入金機の設計方法。
【背景技術】
【0002】
近年、POS(point of sale system)機能を搭載したレジスタ(以下、「レジ」と称する)が普及している。更に、POS機能に加えて、自動入出金機を有するレジも普及している。このようなレジにおいて、例えば日本国では、入金口に入れられた硬貨(例えば、1、5、50、100、500円)は、自動入出金機内にある硬貨搬送路を搬送され、金種に応じた硬貨収納庫へ収納される。
【0003】
アルミ素材で成形されている1円硬貨は、日本国において現在流通する各種硬貨の中で、最も柔軟な性質を有する。このため、他金種の硬貨(5、50、100、500円)と比較すると、変形し易く且つ摩耗し易い。その結果、自動入出金機の硬貨搬送路には、1円硬貨の搬送に伴う他金種の硬貨との干渉や搬送される過程に於いて摩耗することによって削り粉が発生してしまう。このため、係る自動入出金機の運用を継続するうちに、係る削り粉は、硬貨搬送路及びその周辺に蓄積されてしまい、各種の故障の原因となる場合がある。特に1円硬貨は、その素材の性質に起因して、低温環境や高温多湿環境な環境において摩耗し易い性質を有するので、正確さが求められる自動入出金機において大きな課題である。
【0004】
本願出願前に存在する背景技術として、例えば、特許文献1は、自動釣銭機内の搬送路上で硬貨詰まりを起こした場合と、金種別の硬貨収納が正常に行われなかった場合との区別を正確に行う技術が開示されている。この技術では、入金された硬貨の金種を認識してから、その硬貨が硬貨収納庫に収納されたことを認識するまでの経過時間が、予め規定されている時間よりも長い場合に、硬貨詰まりが発生したと判断する。そしてこの技術では、投入された硬貨の金種別の個数と、硬貨収納庫に収納された硬貨の金種別の個数とを比較し、これら個数が一致しない場合にはと、その旨が通知される。
【0005】
特許文献2では、セキュリティ面で安全な自動釣銭機等が開示されている。特許文献2において、この自動釣銭機は、入金口に投入された貨幣を搬送路で搬送する際に金種を鑑別してから収納庫へ収納する。そして、係る自動釣銭機は、識別結果をレジ等へ通知すると共に、釣銭の金額に関する情報に従って、収納庫からその金額に相当する貨幣を出金口から払い出す。
【0006】
また、特許文献2に開示されている自動釣銭機は、金種別に用意された収納庫に、不足した金種の貨幣を補充すると共に、金種別の収納庫に収納されている貨幣を、必要に応じて回収することができるカセットを備えている。
【0007】
特許文献3では、機体のコンパクト化と、機構の簡素化を目的とする硬貨処理機の技術について開示されている。この技術において、受入部材は、一方が下方に傾斜するように形成された底部を有しており、この底部の斜面下方側には、硬貨が底部から落下しないよう規制する対向立設された案内壁を有している。そして、この技術では、係る案内壁から離れた位置まで受入部材を移動させて当該底部の傾斜により、硬貨を繰り出すことにより、受入部材を回転させる機構を不要とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を、一例として、日本国で本願出願時において流通する各種硬貨(1円、5円、10円、100円、500円)に適用した実施形態として、図面を参照して詳細に説明する。図面を参照した説明において、1円硬貨は硬貨12と表し、5〜500円硬貨は硬貨11と表すこととする。そして、以下の説明においては、説明の便宜上から、3次元(X−Y−Z)座標を適宜用いて説明することとする。
【0019】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る入出金機1000について、
図1乃至
図5を用いて詳細に説明する。入出金機1000が取扱い可能な硬貨は、上記の通り、1円、5円、10円、100円、500円である。更に入出金機1000は、これらの硬貨に加えて、これらの硬貨に類似した形状及び重さを有する不正硬貨(金属片等)を取扱い可能である。そして、これらの硬貨のうち、1円硬貨は、他金種の硬貨と比較して柔らかい材質であることとする。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る入出金機1000の構造を示す斜視図である。但し、
図1に示す入出金機1000は、説明の便宜上から、自装置を覆う外装カバーが取り外された状態を表していることとする。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る入出金機1000の上面図である。即ち、
図2は、入出金機1000を、Z軸上方から見下ろした状態を表すと共に、説明の便宜上から、入出金機1000を駆動する制御部160とモータ(150、151、153、154)とを表す。
【0021】
入出金機1000は、上記各金種の硬貨の入金が可能な入金機としての機能と、外部装置(例えばPOSレジ)からの指示に応じた金額相当の各種硬貨を払い出し可能な出金機としての機能とを有する。即ち、入出金機1000は、入金部111に投入された硬貨を、金種別に用意された複数の収納庫(131乃至136)に収納することができる。そして、入出金機1000は、外部装置からの指示に応じた金額相当の各種硬貨を、これら収納庫から払い出すことができる。
【0022】
入出金機1000は、以下の構成を有する。
【0023】
(入金機としての構成)
入金部111は、複数の硬貨(11、12)をユーザが投入可能な投入口(受注口)を有しており、入金された硬貨を、ゲート(112、122)を用いて、硬貨11と硬貨12とに分別することができる。
【0024】
ゲート112は、硬貨12(1円硬貨及び1円硬貨に類似した形状及び重さを有する不正硬貨を含む)が通過可能なゲートである。即ち、ゲート部112は、入金部111に投入された硬貨11及び硬貨12の少なくとも何れかのうち、硬貨12の通過を許容する。ゲート112を通過した硬貨12は、硬貨搬送路124に送られる。
【0025】
ゲート部122は、入金部111に投入された硬貨11及び硬貨12の少なくとも何れかのうち、硬貨11の通過を許容する。即ち、ゲート122は、硬貨11(1円硬貨以外の各種及びそれらの硬貨に類似した形状及び重さを有する不正硬貨を含む)が通過可能なゲートである。ゲート122を通過した硬貨11は、硬貨搬送路113に送られる。
【0026】
尚、入金部111及びゲート(112、122)による硬貨の分別機能は本実施形態の特徴ではないので、遠心分離、電磁ソレノイド等の適当な技術を応用することとし、本実施形態における詳細な説明は省略する。
【0027】
・硬貨11の入金機構:
図3は、
図2に示す入出金機1000のA−A側面図であり、説明の便宜上から、入金部111部分は断面として表現している。
【0028】
入出金機1000の内部において、硬貨搬送路124は、
図1乃至
図3に示すように、X−Y平面に平行に、+X方向に沿設されている。硬貨搬送路124は、硬貨11の搬送に使用される。
硬貨搬送路124の側方には、硬貨搬送ガイド162が沿設されている。
【0029】
搬送ローラ125と、硬貨搬送路124とは、硬貨11が1枚入る程度に、Z軸方向に適当な空隙(間隙)を有する。ゲート122を通過した硬貨11は、搬送ローラ125によって+X方向に搬送される。このとき、硬貨11は、
図1及び
図2に示すように、伏せられた姿勢(即ち、硬貨11の主面がX−Y平面に平行または略平行な状態)をとる。モータ150は、制御部160の指示に応じて、搬送ローラ125を駆動することにより、硬貨11を、搬送ベルト126側に搬送する。
【0030】
図3に示すように、搬送ベルト126は、搬送ローラ127及び128の2点を中心軸として回転可能な、ゴム等の弾性体によって構成されたベルトである。搬送ベルト126は、硬貨11を、+X方向(搬送ベルト163側)に搬送することができる。即ち、モータ151は、制御部160の指示に応じて、
図3において搬送ローラ127及び128を時計回りに駆動することによって搬送ベルト126を回転させることができる。搬送ベルト126と、硬貨搬送路124とは、硬貨11が1枚入る程度にZ軸方向に空隙を有する。これにより、硬貨11は、搬送ベルト126によって硬貨搬送路124上を移動することができる。
【0031】
搬送ベルト126によって硬貨11が搬送される範囲において、硬貨搬送路124の下方には、識別部129が設けられている。識別部129は、搬送ベルト126によって搬送される硬貨11の金種を判別し、判別結果を制御部160に通知する。
【0032】
搬送ベルト126と、搬送ベルト163との間には、硬貨搬送路124を搬送される硬貨11の姿勢を変更する不図示の部材(または機構)が設けられている。硬貨11は、搬送ベルト126による搬送によって得られた慣性によって当該部材を通過することにより、立てられた姿勢(即ち、硬貨11の主面がX−Z平面に平行または略平行な状態)をとることとする。そして、搬送ベルト163によって硬貨11が搬送される範囲において、硬貨11は、係る立てられた姿勢のままで搬送されることとする。
【0033】
搬送ベルト163は、
図1に示すように、まず、硬貨搬送路124に沿って+X方向に沿設された後、+Y方向に沿設されている。そして、硬貨搬送ガイド162は、
図1に示すように、立てられた姿勢の硬貨11を、+X方向への搬送方向から、+Y方向への搬送に変更可能なように、円弧状に形成されている。これにより、搬送ベルト163は、不図示のモータによって駆動されることにより、係る立てられた姿勢の硬貨11を、排出ゲート164の上方までスムーズに搬送することができる。
【0034】
排出ゲート164は、
図1に示すように、+Y方向に沿設されている搬送ベルト163に沿って、硬貨11の金種別に設けられている。排出ゲート164の手前には、リジェクト庫130と、当該金種別に収納庫(132乃至136)とが設けられている。リジェクト庫130は、何れの金種とも識別されなかった硬貨、不正硬貨、金属片等を収納する収納庫である。即ち、本実施形態において、排出ゲート164は、不図示の機構(例えば電磁ソレノイド等)によって、当該収納庫側の一端が−Z方向に傾斜することが可能な機構を有する。或いは、排出ゲート164は、不図示の機構(例えば電磁ソレノイド等)によって、当該ゲート全体が−Z方向に落ち込むことが可能な機構を有する。
【0035】
より具体的に、本実施形態において、識別部129を通過した硬貨11が、搬送ベルト162及び163によって搬送され、金種別に用意された排出ゲート164まで到達するまでに要する時間(所要時間)は予め登録されている。そして、制御部160は、識別部129によって識別された硬貨11の金種に応じて、所要時間の計数を開始し、当該金種に応じた所要時間(所定時間)が経過するのに応じて、当該金種用の排出ゲート164を駆動する。これにより、硬貨11は、識別部129による識別結果に応じて、リジェクト庫130、或いは、当該金種用の収納庫(収納庫132乃至136の何れか)に収納される。
【0036】
尚、入出金機1000において、硬貨11が搬送ベルト163によって搬送され、金種別に用意された収納庫132乃至136の何れか、或いは、リジェクト庫130に格納されるまでの構成は本実施形態の特徴ではない。このため、係る構成については、現在では一般な技術を採用することとし、本実施形態における詳細な説明は省略する。
【0037】
・硬貨12の入金機構:
図4は、
図2に示す入出金機1000のB−B側面図であり、説明の便宜上から、入金部111部分は断面として表現している。
【0038】
入出金機1000の内部において、硬貨搬送路113は、
図1、
図2、及び
図4に示すように、X−Y平面に平行に、+X方向に沿設されている。硬貨搬送路113は、硬貨12の搬送に使用される。
【0039】
搬送ローラ115と、硬貨搬送路113とは、硬貨12が1枚入る程度に、Z軸方向に適当な空隙を有する。モータ153は、搬送ローラ115を駆動する。これにより、ゲート112を通過した硬貨12は、搬送ローラ115によって+X方向に搬送される。このとき、硬貨12は、
図1及び
図2に示すように、伏せられた姿勢(即ち、硬貨12の主面がX−Y平面に平行または略平行な状態)をとる。モータ153は、制御部160の指示に応じて、搬送ローラ115を駆動することにより、硬貨12を、搬送ローラ114側に搬送する。
【0040】
搬送ローラ115によって硬貨12が搬送される範囲において、硬貨搬送路113の下方には、識別部118が設けられている。識別部118は、搬送ローラ115によって搬送される硬貨12が正当な1円硬貨であるか否かを判別し、判別結果を制御部160に通知する。
【0041】
本実施形態において、搬送ローラ115、125、127、128の回転軸は、Y軸方向と平行または略平行である。これに対して、搬送ローラ114の回転軸は、
図1、
図2及び
図4に示すように、Y軸方向と平行ではない。即ち、搬送ローラ114の回転軸は、
図2に示すように、搬送ローラ114によって搬送された硬貨12の搬送方向が、+X方向から外れて+Y方向に斜めに設定されている。
【0042】
搬送ローラ114は、モータ154によって駆動される。搬送ローラ114の下方には、硬貨搬送路113に隣接するように、硬貨搬送路113と同一または略同一の平面をなすように沿設された排出ゲート117が設けられている。この状態において、排搬送ローラ114と、排出ゲート117とは、硬貨12が1枚入る程度に、Z軸方向に適当な空隙を有する。このため、ゲート112を通過した硬貨12は、搬送ローラ115によって+X方向に搬送可能である。但し、排出ゲート117は、不図示の機構(例えば電磁ソレノイド等)によって、排出ゲート117のリジェクト庫130(+X方向側)の一端が−Z方向に傾斜することが可能な機構を有する。或いは、排出ゲート117は、不図示の機構(例えば電磁ソレノイド等)によって、当該ゲート全体が−Z方向に落ち込むことが可能な機構を有する。即ち、本実施形態において、制御部160は、識別部118によって識別された硬貨12が正当な1円硬貨ではない場合、排出ゲート117を駆動することによって傾斜(または落下)した状態とする。これにより、正当な1円硬貨ではない硬貨12は、搬送ローラ114による搬送力(摩擦力)を失うことになるので、リジェクト庫130に収納されることになる。一方、識別部118によって識別された硬貨12が正当な1円硬貨である場合、制御部160は、排出ゲート117が硬貨搬送路113と同一または略同一の平面をなした状態を維持する。搬送ローラ114の回転軸は、上述したように、搬送ローラ115、125、127、128とは異なり斜めに配置されている。これにより、正当な1円硬貨である硬貨12は、搬送ローラ114と排出ゲート117との間において搬送力(摩擦力)を受けることにより、リジェクト庫130の+Y方向側に隣接して配置された1円用の収納庫131に収納される。
【0043】
(出金機としての構成)
入出金機1000は、外部装置(例えばPOSレジ)からの指示に応じた金額相当の各種硬貨を、上述した各収納庫(131乃至136)の手前側(−X方向側)に設けられている出勤ゲート部165を制御することによって払い出し可能である。係る入出金機1000が備える出金機としての機能については、現在では一般な技術を採用することとし、本実施形態における詳細な説明は省略する。
【0044】
(制御部160の動作)
次に、硬貨11及び硬貨12が入金部111へ投入されてから各収納庫(130乃至136)、或いは、リジェクト庫130に収納されるまでの処理手順を説明する。
図5は、入出金機1000による入金処理を示すフローチャートである。制御部160は、例えば、入出金機1000の全体の動作を司るCPU(Central Processing Unit)及びメモリ等(何れも不図示)からなるハードウェアである。そしてこの場合、制御部160は、係るフローチャートに対応するソフトウェア・プログラムを当該CPUにおいて実行することにより、以下に説明する動作を実現する。
【0045】
制御部160は、入金部111に硬貨11及び硬貨12が投入されるのに応じて、本入金処理を開始する(ステップS101)。
【0046】
制御部160は、硬貨11がゲート部(第1のゲート)122を通過したか否かを判定する(ステップS102)。
【0047】
硬貨11がゲート部122を通過すると(ステップS102にてYES)、制御部160は、モータ150及び151を駆動することにより、搬送ローラ125及び128を回転させる(ステップS103)。
【0048】
ステップS102においてゲート部122を通過した硬貨11は、硬貨搬送路124と搬送ローラ125との間を+X方向に移動し、更に搬送ベルト126によって硬貨搬送路124上を移動する。その際、識別部129は、硬貨11の金種を判別するので、制御部160は、判別結果を把握することができる(ステップS104)。
【0049】
制御部160は、金種が判別された硬貨11を、搬送ベルト163によって判別結果に応じた金種用の排出ゲート164まで搬送すると共に、当該金種に応じた排出ゲート164を上述した如く駆動する。これにより、硬貨11は、ステップS104にて判別された金種用の収納庫(131乃至136)またはリジェクト庫130に収納される(ステップS105)。
【0050】
制御部160は、ステップS105において硬貨11を適当な収納庫(131乃至136)またはリジェクト庫130に収納すると、モータ150及び151を停止する。更に、制御部160は、駆動していた排出ゲート164を初期位置に戻す(ステップS106)。
【0051】
一方、制御部160は、上述したステップS102乃至ステップS106の処理と並行して、ステップS202乃至ステップS207までの処理を行う。
【0052】
即ち、ステップS202において、ゲート部112(第2のゲート)を硬貨12が通過したことが検出された場合(ステップS202にてYES)、制御部160は、モータ153及び154を駆動する(ステップS203)。これにより、搬送ローラ114及び115が回転するので、ゲート部112を通過した硬貨12は、硬貨搬送路113と搬送ローラ115との間を+X方向に搬送される。
【0053】
識別部118は、通過する硬貨12の判別結果を出力するので、制御部160は、その硬貨12が正当な1円かどうかを判定することができる(ステップS204)。制御部160は、ステップS204において正当な1円硬貨として判定した場合、モータ154の駆動状態を維持するので、正当な1円硬貨として判定された硬貨12は、搬送ローラ114によって1円収納庫131に収納される。そして、制御部160は、例えば所定時間経過後に、モータ153及び154の駆動を停止する(ステップS207)。
【0054】
ステップS204において不正な1円硬貨として判定された硬貨12は、リジェクト庫130に収納する必要がある。このため、制御部160は、排出117ゲートを駆動することによって、排出ゲート117を傾斜した状態にする(ステップS205)。これにより、搬送ローラ114による硬貨12への駆動力が伝わらないようになるので、硬貨12は、リジェクト庫130に収納される。
【0055】
不正な1円硬貨をリジェクト庫130への搬送が終了すると、制御部160は、駆動していた排出ゲート117を初期位置へ戻すと共に、モータ153及び154の駆動を停止する(ステップS206)。
【0056】
このような構造を有する入出金機1000によれば、硬貨の材質が考慮され、且つ故障が少ない入金機(入金機能)が実現する。その理由は以下の通りである。
【0057】
即ち、入出金機1000によれば、硬貨12(1円硬貨)の搬送路113と、硬貨11(5円〜500円硬貨)の搬送路124と別々に独立して設ける。これにより、1円硬貨の摩耗によって削り粉が生じた場合であっても、その削り粉が他金種の硬貨11の搬送路を介して装置内に拡散することを防止できるので、装置の故障発生を防止できるという効果を享受できる。
【0058】
また、入出金機1000によれば、硬貨12(1円硬貨)専用の搬送路113は、他金種の硬貨(硬貨11)の搬送路124よりもはるかに短い構造である。これにより、材質が柔らかい硬貨12が搬送されることに伴う摩耗の機会を軽減することができるので、発生する削り粉の量自体を極小化できるという効果を享受できる。
【0059】
<第1の実施形態の変形例>
次に、上述した第1の実施形態に係る入出金機1000を基本とする変形例について説明する。以下の説明においては、本変形例に係る入出金機1000Aの特徴的な部分を中心に説明する。その際、上述した第1の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0060】
図6は、第1の実施形態の変形例に係る入出金機1000Aの上面図である。
図7は、
図6に示す入出金機1000AのC−C側面図であり、説明の便宜上から、入金部111部分は断面として表現している。尚、入出金機1000Aの全体を俯瞰可能な斜視図は、硬貨12を取り扱う構造を除き入出金機1000(
図1)と同様であるため、図示を省略する。
【0061】
本変形例において、硬貨11に関する入出金機1000Aの構造及び動作は、上述した入出金機1000と同様である。本変形例に係る入出金機1000Aは、硬貨12を取扱う構造に特徴を有する。
【0062】
入出金機1000Aにおいて、識別部兼ゲート部171は、硬貨12を受け入れると共に、受け入れた硬貨12が正当な1円硬貨かどうかを判定することができる。
【0063】
搬送路ローラ115Aは、モータ154Aによって駆動される。搬送路ローラ115Aの下方には、硬貨搬送路兼排出ゲート170が設けられている。この硬貨搬送路兼排出ゲート170は、入金部111によって払い出される硬貨12の移動面と、同一または略同一な面(即ち、X−Y平面に平行な面)に設けられ、この状態においては搬送路の役目をなす。即ち、搬送ローラ115と、硬貨搬送路兼排出ゲート170とは、硬貨12が1枚入る程度に、Z軸方向に適当な空隙を有するので、硬貨12は、硬貨搬送路兼排出ゲート170に沿って搬送可能である。そして、硬貨搬送路兼排出ゲート170は、上述した排出ゲート117と同様な不図示の機構により、リジェクト庫A側の一端が−Z方向に傾斜することが可能な機構を有する。或いは、硬貨搬送路兼排出ゲート170は、当該ゲート全体が−Z方向に落ち込むことが可能な機構を有する。そして、制御部160は、識別部兼ゲート部171によって硬貨12が正当な1円硬貨であるか否か判別されるのに応じて硬貨搬送路兼排出ゲート170を駆動する。これにより、入出金機1000Aによれば、硬貨12を、リジェクト庫130Aまたは1円硬貨用の収納庫131Aに的確に収納することができる。
【0064】
このような本変形例によっても、硬貨の材質が考慮され、且つ故障が少ない入金機(入金機能)が実現する。即ち、第1の実施形態と同様な効果を享受することができる。
【0065】
更に、上述した本変形例によれば、硬貨12を搬送する専用の搬送路が、第1の実施形態と比較して更に短い構造である。このため、入出金機1000Aによれば、第1の実施形態の実施形態に係る入出金機1000と比較して、更に削り粉の発生要因を極小化することができると共に、構造の簡略化及びそれによる装置の小型化も実現できる。
【0066】
即ち、上述した本実施形態及びその変形例によれば、硬貨の材質が考慮され、且つ故障が少ない入金機(入金機能)が実現する。即ち、第1の実施形態と同様な効果を享受することができる。その理由は、以下の通りである。
【0067】
当該入出金機(1000、1000A)は、入金機として、入金された第1種類の硬貨(11)と、その第1種類の硬貨の材質よりも柔らかい材質製の第2種類の硬貨(12)とを入金可能である。そして、当該入出金機は、これらの硬貨が投入されるのに応じて、当該第1種類の硬貨(11)を、第1収納庫132乃至136に搬送可能な第1の搬送路(124)と、当該第2種類の硬貨を第2収納庫に搬送可能な第2の搬送路とを独立して個別に有している。そして、当該第2の搬送路は、当該第1の搬送路よりも短い構造である。換言すると、当該入出金機は、入金機として、当該第1種類の硬貨を、当該第1収納庫に搬送可能な当該第1の搬送路を含む第1の搬送機構と、当該第2種類の硬貨を第2収納庫に搬送可能な第2の搬送路を含む第2の搬送機構とを有する。そして、当該第2の搬送機構が当該第2種類の硬貨を搬送する長さは、当該第1の搬送機構が当該第1種類の硬貨を搬送する長さよりも短い構造である。このような構造を有するので、上記の作用・効果が得られる訳である。
【0068】
尚、上述した本実施形態及びその変形例において、硬貨(11、12)の搬送には、モータによって駆動される搬送ローラ及び搬送ベルトを利用する構成とした。しかしながら、上述した本実施形態及びその変形例を一例として説明した本発明は係る構成には限定されず、係る硬貨を搬送可能な構造であれば様々な構造を採用することができる。そして、係る硬貨を収納庫に収納する構造についても、上述した構造には限定されず、様々な構造を採用することができる。