特許第6321434号(P6321434)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321434
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】ディスク装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/12 20120101AFI20180423BHJP
   G11B 7/085 20060101ALI20180423BHJP
   G11B 7/22 20060101ALI20180423BHJP
   G11B 21/02 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   G11B7/12
   G11B7/085 D
   G11B7/22
   G11B21/02 610C
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-80405(P2014-80405)
(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公開番号】特開2015-201240(P2015-201240A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 安信
(72)【発明者】
【氏名】岩井 正人
【審査官】 斎藤 眞
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−182338(JP,A)
【文献】 特開2001−273732(JP,A)
【文献】 特開2012−155812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/08−7/085
G11B 7/12−7/22
G11B 21/00−21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシに主ガイドレールと副ガイドレールが平行に対向配置されており、これら主ガイドレールと副ガイドレールに沿って光ピックアップがディスク状記録媒体の半径方向へ往復移動されるディスク装置において、
前記光ピックアップに、一側面を開放して相対向する一方の内壁面を基準面としたガイド溝と、前記基準面に段差を介して段落ち状に連続する逃げ部とが設けられていると共に、先端側に摺動部を有する板ばねが片持ち梁状に支持されており、
平板状に形成された前記副ガイドレールの一面に前記板ばねの前記摺動部を弾接させることにより、前記副ガイドレールの他面が前記ガイド溝の前記基準面に圧接されるようになっており、
前記副ガイドレールが前記ガイド溝に挿入されていないときに前記摺動部を前記逃げ部内に退避可能としたことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記光ピックアップに前記板ばねとは別に補助ばねが設けられており、前記ガイド溝に前記副ガイドレールよりも厚みの大きな丸棒シャフトが挿入されたとき、この丸棒シャフトが前記補助ばねの弾発力を受けて前記基準面に圧接されるようになっていることを特徴とするディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップを主ガイドレールと副ガイドレールに沿って往復移動させるディスク装置に係り、特に、金属板や樹脂板等からなる平板状の副ガイドレールを用いた光ピックアップのガイド機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CDやDVD等のディスク状記録媒体に情報を記録/再生するディスク装置において、光ピックアップをCDやDVD等のディスク状記録媒体の半径方向へ往復移動させる際に、ディスク状記録媒体のディスク面に対して光ピックアップの光軸が適正な直角度になっていないと、ディスク状記録媒体に対して正確に情報を記録/再生することができなくなる。そのため、光ピックアップをガイドする主ガイドレールと副ガイドレールのうち、副ガイドレールの両端部の高さを別々の調整ねじによって調整することで、光ピックアップの傾きを調整可能としたガイド機構が広く採用されている。
【0003】
この種のガイド機構の一例として、断面円形の金属棒を副ガイドレールとして使用し、この副ガイドレールの両端部をそれぞれ保持部材を介してシャーシに取り付けた構造が知られている。これら保持部材には、副ガイドレールを上方へ付勢するばねと、ばねの付勢力を上から受ける調整ねじが備えられており、調整ねじの締め加減によって副ガイドレールの両端部の高さを別々に調整可能としている。
【0004】
このように概略構成された光ピックアップのガイド機構によれば、副ガイドレールの高さを調整する際に、光ピックアップは主ガイドレールを中心軸として僅かに回動すると共に、副ガイドレールに対しても相対的に回動することになるが、副ガイドレールが断面円形であるため、光ピックアップを副ガイドレールに対して円滑に回動させることができる。しかし、副ガイドレールとして高価な金属棒を使用する必要があり、また、ばねと調整ねじを備えた保持部材を2組必要とするため、コストアップになったり調整作業が煩雑になるといった問題がある。
【0005】
そこで従来より、滑性に優れた樹脂シートの長手方向両端部をシャーシに貼着して副ガイドレールとなし、このような平板状の副ガイドレールを光ピックアップに設けた断面コ字状のガイド溝に挿入することにより、副ガイドレールにガイド溝の内壁面を摺接支持させて光ピックアップを移動するようにしたガイド機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に開示された従来技術では、高価な金属棒の代わりに安価な平板状部材を用いて副ガイドレールを構成し、この副ガイドレールをシャーシの撓み等を利用してガイド溝の内壁面に圧接させることにより、光ピックアップをガタつきなく移動させることができるため、安価で単純構造のガイド機構が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−185405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この種のディスク装置においては、シャーシに組み込む前の光ピックアップに対してレンズの光軸合わせ等の調整作業を行うようになっているが、通常、この調整作業には丸棒シャフトからなる一対のガイドレールを備えた治具が使用されている。これは治具のガイドレールに高い精度と耐久性が要求されるからであり、ディスク装置に備えられる主ガイドレールと副ガイドレールが治具のガイドレールと同じ断面円形の金属棒であれば、調整作業後の光ピックアップをそのままディスク装置に組み込むことができる。しかしながら、平板状の副ガイドレールを用いたディスク装置である場合、治具側のガイドレールとディスク装置側の平板状の副ガイドレールとの間に大きな寸法上の差異が発生するため、例えば、両者の差分に相当する厚みのスペーサを副ガイドレールに貼着する等の補正手段を講ずる必要があり、それに伴ってコストアップになり構造も複雑化してしまうことになる。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、安価で構成が単純な副ガイドレールを用いて光ピックアップを移送ガイドできるディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、シャーシに主ガイドレールと副ガイドレールが平行に対向配置されており、これら主ガイドレールと副ガイドレールに沿って光ピックアップがディスク状記録媒体の半径方向へ往復移動されるディスク装置において、前記光ピックアップに、一側面を開放して相対向する一方の内壁面を基準面としたガイド溝と、前記基準面に段差を介して段落ち状に連続する逃げ部とが設けられていると共に、先端側に摺動部を有する板ばねが片持ち梁状に支持されており、平板状に形成された前記副ガイドレールの一面に前記板ばねの前記摺動部を弾接させることにより、前記副ガイドレールの他面が前記ガイド溝の前記基準面に圧接されるようになっており、前記副ガイドレールが前記ガイド溝に挿入されていないときに前記摺動部を前記逃げ部内に退避可能とした。
【0011】
このように構成されたディスク装置では、光ピックアップに片持ち梁状に設けた板ばねの摺動部を平板状に形成された副ガイドレールの一面に弾接させることにより、副ガイドレールの他面が板ばねの弾発力を受けてガイド溝の基準面に圧接されるようになっているため、光ピックアップを主ガイドレールと副ガイドレールに沿って円滑に移送することができる。ここで、光ピックアップにはガイド溝の基準面に連続する段落ち状の逃げ部が形成されており、ディスク装置に組み込む前の光ピックアップに対してレンズの光軸合わせ等の調整作業を行う際に、板ばねの摺動部を逃げ部内に退避させた状態で、治具のガイドシャフト(丸棒シャフト)をガイド溝の基準面に圧接させることができるため、板ばねに邪魔されることなくレンズの光軸合わせ等を行うことができる。
【0012】
上記の構成において、光ピックアップに板ばねとは別に補助ばねが設けられており、ガイド溝に副ガイドレールよりも厚みの大きな丸棒シャフトが挿入されたとき、この丸棒シャフトが補助ばねの弾発力を受けて基準面に圧接されるようになっていると、ディスク装置に組み込む前の光ピックアップに対してレンズの光軸合わせ等の調整作業を行う際に、治具の丸棒シャフトが補助ばねの弾発力を受けてガイド溝の基準面に自動的に圧接されるため、調整作業を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のディスク装置では、光ピックアップに片持ち梁状に設けた板ばねの摺動部を平板状の副ガイドレールの一面に弾接させることにより、副ガイドレールの他面が板ばねの弾発力を受けてガイド溝の基準面に圧接されるようになっているため、光ピックアップを主ガイドレールと副ガイドレールに沿って円滑に移送することができる。そして、この光ピックアップにはガイド溝の基準面に連続する段落ち状の逃げ部が形成されており、ディスク装置に組み込む前の光ピックアップに対してレンズの光軸合わせ等の調整作業を行う際に、板ばねの摺動部を逃げ部内に退避させた状態で、治具のガイドシャフトをガイド溝の基準面に圧接させることができるため、板ばねに邪魔されることなくレンズの光軸合わせ等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態例に係るディスク装置を表面側から見た斜視図である。
図2】該ディスク装置を裏面側から見た斜視図である。
図3】該ディスク装置に備えられる光ピックアップの斜視図である。
図4】該光ピックアップを反対側から見た斜視図である。
図5】該光ピックアップの正面図である。
図6】該光ピックアップのガイド機構を示す正面図である。
図7】該ガイド機構の側面図である。
図8】該ガイド機構に用いられる副ガイドレールの斜視図である。
図9】該光ピックアップを調整用治具に組み付けた状態を示す説明図である。
図10】変形例に係る光ピックアップの斜視図である。
図11】該光ピックアップを別方向から見た斜視図である。
図12】該光ピックアップの正面図である。
図13】該光ピックアップのガイド機構を示す正面図である。
図14】該ガイド機構の側面図である。
図15】該光ピックアップを調整用治具に組み付けた状態を示す説明図である。
図16図15のA方向矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1図2に示すように、本発明の実施形態例に係るディスク装置は、金属板製または合成樹脂製のシャーシ1と、シャーシ1の裏面側に固定された主ガイドレール2および副ガイドレール3と、これら主ガイドレール2と副ガイドレール3によって往復動自在に支持された光ピックアップ4等を備えている。
【0016】
シャーシ1の裏面側にはスピンドルモータ5が取り付けられており、このスピンドルモータ5の回転軸にターンテーブル6が取着されている。ターンテーブル6はシャーシ1に設けられた開口部7を通して表面側に露出しており、ターンテーブル6上に載置された図示せぬディスクに対して光ピックアップ4が情報の記録/再生を行うようになっている。また、シャーシ1の裏面側にはスレッドモータ8が取り付けられており、このスレッドモータ8の回転がウォームやギア列等からなる減速歯車機構9を介して光ピックアップ4に伝達されることにより、光ピックアップ4は主ガイドレール2と副ガイドレール3に沿って開口部7内を往復移動する。
【0017】
図3図5に示すように、光ピックアップ4は、合成樹脂製のシャーシ本体10と、シャーシ本体10に担持された受発光ユニット11やレンズアクチュエータ12や反射ミラー(図示せず)等と、シャーシ本体10から導出されて外部回路に接続されるFPC(フレキシブル配線基板)13とによって主に構成されている。受発光ユニット11には光源(半導体レーザ)と光検出器が一体的に設けられており、レンズアクチュエータ12には、マグネットを含む磁気回路が設けられたベース部材14と、対物レンズ15を保持するレンズホルダ16と、一端部がレンズホルダ16を弾性的に支持している4本の導電性ワイヤ17と、各導電性ワイヤ17の他端部が半田付けされた背面基板18とが具備されている。この背面基板18はベース部材14に保持されており、導電性ワイヤ17には対物レンズ15を駆動するための制御信号がFPC13を介して供給されるようになっている。
【0018】
シャーシ本体10はレンズアクチュエータ12等を挟んで対向する両側面に第1ガイド部19と第2ガイド部20を有しており、第1ガイド部19が突設されている一方側の端部に背面基板18が設置され、第2ガイド部20が突設されている他方側の端部に受発光ユニット11が設置されている。また、シャーシ本体10の他方側の端部には金属カバー21と押え板22が取着されており、押え板22に形成した弾性片22aを金属カバー21に弾接させることにより、金属カバー21を受発光ユニット11に圧接させて受発光ユニット11に対する放熱効果が高められている。
【0019】
第1ガイド部19には断面円形のガイド孔23が設けられており、このガイド孔23に主ガイドレール2が挿通されるようになっている。第2ガイド部20には、一側面を開放した断面U字状のガイド溝24と、ガイド溝24に連続する段落ち状の逃げ部20aとが設けられており、このガイド溝24に副ガイドレール3が挿入されるようになっている。ガイド溝24の相対向する内壁面T1,T2の間隔は副ガイドレール3の板厚に比べて十分に大きく設定されており、逃げ部20aは一方の内壁面T1の端部に連続してガイド溝24の奥行方向へ延びている。また、第2ガイド部20近傍のシャーシ本体10には板ばね25がねじ止め等の固定手段を用いて取り付けられており、この板ばね25はガイド溝24に向かって片持ち梁状に延びている。板ばね25の先端(自由端)側には凸状の摺動部25aが形成されており、図5に示すように,光ピックアップ4のガイド溝24に副ガイドレール3が挿入されていないとき、この摺動部25aはガイド溝24を超えて逃げ部20a内に退避可能となっている。
【0020】
主ガイドレール2は断面円形の金属棒からなり、この主ガイドレール2の両端部はシャーシ1の裏面側に固定されている。一方、副ガイドレール3は所定形状にフォーミングされた金属板からなり、この副ガイドレール3は一対の調整ねじ31を用いてシャーシ1の裏面側に固定されている(図2参照)。そして、図6図7に示すように、主ガイドレール2を第1ガイド部19のガイド孔23に挿通すると共に、副ガイドレール3を第2ガイド部20のガイド溝24に挿入することにより、光ピックアップ4は主ガイドレール2と副ガイドレール3に沿って開口部7内を移動可能となっている。
【0021】
図8に示すように、副ガイドレール3は、光ピックアップ4の移動方向(X1−X2方向)へ延びるガイド板部26と、ガイド板部26の長手方向両端部からY1方向へ突出する一対の調整部27,28と、各調整部27,28から屈曲してガイド板部26の長手方向と平行に延びる一対のばね板部29,30とを有しており、これらはSUS等のばね性に富む金属板をプレス加工することで一体形成されている。
【0022】
ガイド板部26は平板部26aの一側縁から起立部26bが直角に折れ曲がる断面L字形に形成されており、ガイド板部26の剛性を高めるために、平板部26aの幅方向中央には断面半円状のリブ26cが長手方向全域に亘って形成されている。一対の調整部27,28は起立部26bの両端部から直角に折れ曲がって平板部26aから離れる方向へ突出しており、このように平板部26aと調整部27,28が起立部26bを介して段違いに連結されているため、平板部26aが延在する平面と調整部27,28が延在する平面は互いに平行となる。調整部27,28にはそれぞれ貫通孔27a,28aが穿設されており、これら貫通孔27a,28aに挿入した調整ねじ31をシャーシ1に螺合することにより、前述したように、副ガイドレール3はシャーシ1に固定されるようになっている(図2参照)。
【0023】
一方のばね板部29は調整部27から図8のX1方向へ延びるくの字状の弾性アームとなっており、このばね板部29には、シャーシ1の仮止孔に挿入される掛止部29aと、シャーシ1の規制突起に凹凸嵌合される位置決め孔29bとが形成されている。また、他方のばね板部30は調整部28から図8のX1方向へ延びるくの字状の弾性アームとなっており、このばね板部30にはシャーシ1の規制突起に凹凸嵌合される位置決め孔30aが形成されている。
【0024】
このように構成された副ガイドレール3は、一対の調整ねじ31によってシャーシ1に固定されるが、調整ねじ31の締め加減によってガイド板部26がシャーシ1の板面に対して平行な姿勢を保ったまま昇降動作するため、副ガイドレール3の高さ調整を単純な構成で高精度に行うことができるようになっている。
【0025】
図6図7に戻り、副ガイドレール3のガイド板部26は光ピックアップ4のガイド溝24に挿入されており、この状態でガイド板部26の平板部26aに板ばね25の摺動部25aを弾接させることにより、ガイド板部26のリブ26cがガイド溝24の一方の内壁面(図5の上側の内壁面T1)に圧接されている。これにより光ピックアップ4は、第2ガイド部20のガイド溝24をガイド板部26に圧接させながら、副ガイドレール3の延出方向に沿ってガタつきなく円滑に移動することができる。
【0026】
ここで、ディスク装置(製品)に組み込む前の光ピックアップ4に対しては、対物レンズ15の光軸合わせ等の調整作業を行う必要があり、この調整作業には一対のガイドレールを備えた治具が使用される。図9に示すように、治具の一方のガイドレールはガイド孔23とほぼ同径の丸棒シャフト32であり、他方のガイドレールはガイド溝24の溝幅よりも幾分小径の丸棒シャフト33であり、これら丸棒シャフト32,33にガイド孔23とガイド溝24を挿入した状態で光ピックアップ4の調整作業が行われる。
【0027】
その際、板ばね25は摺動部25aを逃げ部20a内に退避させることができるように光ピックアップ4に保持されているため(図5参照)、図9に示すように、丸棒シャフト33を板ばね25に邪魔されることなくガイド溝24内にスムーズに挿入することができる。そして、このように丸棒シャフト33をガイド溝24に挿入した後、治具から図9の矢印P方向の外部荷重を印加することでガイド溝24の一方の内壁面T1を丸棒シャフト33に押し当て、この内壁面T1を基準面として光ピックアップ4を丸棒シャフト32,33の軸線方向へ移動させて光軸合わせ等の調整作業が行われる。
【0028】
なお、かかる調整作業が終了した光ピックアップ4をディスク装置に組み込む場合、ガイド溝24の一方の内壁面T1と板ばね25の先端との間に副ガイドレール3のガイド板部26を挿入すると、ガイド板部26が板ばね25を押し下げるようにしてガイド溝24の内部に入り込んでいく。その結果、板ばね25の摺動部25aがガイド板部26の平板部26aに弾接するため、図6図7に示すように、ガイド板部26のリブ26cがガイド溝24の一方の内壁面(図5の基準面T1)に圧接されることとなり、ディスク装置に組み込まれた光ピックアップ4は主ガイドレール2と副ガイドレール3に沿ってガタつきなく円滑に移動可能となる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態例に係るディスク装置では、光ピックアップ4に片持ち梁状に設けた板ばね25の摺動部25aを平板状に形成された副ガイドレール3の一面に弾接させることにより、副ガイドレール3の他面が板ばね25の弾発力を受けてガイド溝24の一方の内壁面(基準面T1)に圧接されるようになっているため、光ピックアップ4を主ガイドレール2と副ガイドレール3に沿って円滑に移動することができる。そして、光ピックアップ4にはガイド溝24の基準面T1の端部に連続する段落ち状の逃げ部20aが形成されており、ディスク装置に組み込む前の光ピックアップ4に対してレンズの光軸合わせ等の調整作業を行う際に、板ばね25の摺動部25aを逃げ部20a内に退避させた状態で、治具のガイドシャフト(丸棒シャフト)50をガイド溝24の基準面T1に圧接させることができるため、板ばね25に邪魔されることなくレンズの光軸合わせ等を行うことができる。
【0030】
図10図16は光ピックアップ40の変形例を説明するものであり、この変形例に係る光ピックアップ40が前述した光ピックアップ4と相違する点は、光ピックアップ40に板ばね25に加えて補助ばね41を設けたことにあり、それ以外の構成は基本的に同じである。なお、これら図10図16において、図2図9と対応する部分には同一符号を付すことによって重複説明を適宜省略する。
【0031】
図10図12に示すように、光ピックアップ40のシャーシ本体10には第1ガイド部19と第2ガイド部20が設けられており、この第2ガイド部20の近傍には板ばね25と補助ばね41がねじ止め等の固定手段を用いて取り付けられている。板ばね25はガイド溝24の一方の内壁面T1に向かって片持ち梁状に延びており、その先端(自由端)側には凸状の摺動部25aが形成されている。図12に示すように,光ピックアップ4のガイド溝24に副ガイドレール3が挿入されていないとき、この摺動部25aはガイド溝24の内壁面T1を超えて逃げ部20a内に退避可能となっている。補助ばね41はガイド溝24の他方の内壁面T2に向かって片持ち梁状に延びており、その先端(自由端)は内壁面T2からガイド溝24の内方へ幾分突出している。なお、これら板ばね25と補助ばね41は個々に形成した別体であっても良いが、1枚の弾性板を所定形状にフォーミングした一体品とすることも可能である。
【0032】
図13図14に示すように、主ガイドレール2を第1ガイド部19のガイド孔23に挿通すると共に、副ガイドレール3を第2ガイド部20のガイド溝24に挿入することにより、光ピックアップ40は主ガイドレール2と副ガイドレール3に沿って移動するようになっている。その際、板ばね25の摺動部25aが副ガイドレール3のガイド板部26(平板部26a)に弾接しているため、副ガイドレール3のリブ26cはガイド溝24の一方の内壁面(図12の上側の内壁面T1)に圧接されているが、補助ばね41は副ガイドレール3から十分に離れた位置にあって非接触状態を維持している。
【0033】
また、ディスク装置に組み込む前の光ピックアップ40に対して調整作業を行う場合は、図15図16に示すように、治具に備えられる一対の丸棒シャフト32,33に光ピックアップ40のガイド孔23とガイド溝24を挿入した状態で対物レンズ15の光軸合わせ等を行えば良い。
【0034】
その際、板ばね25の摺動部25aは逃げ部20a内に退避可能であるため、丸棒シャフト33を板ばね25と補助ばね41の間からガイド溝24内にスムーズに挿入することができ、しかも、この丸棒シャフト33は補助ばね41の弾発力を受けてガイド溝24の一方の内壁面(基準面T1)に押し当てられるため、わざわざ治具により外部荷重を印加しなくてもガイド溝24の基準面T1は丸棒シャフト33に自動的に圧接されることになり、光ピックアップ4の調整作業をより簡単に行うことができる。
【0035】
なお、光ピックアップ4,40のガイド機構に用いられる副ガイドレール3として、上記実施形態例で説明した構造以外のものを採用することも可能であり、要は、光ピックアップ4,40のガイド溝24に平板状に形成された副ガイドレール3が挿入され、この副ガイドレール3が板ばね25の弾発力を受けてガイド溝24の基準面T1に圧接されるようになっていれば良い。
【0036】
また、上記実施形態例では、ガイド溝24の基準面T1に連続する段落ち状(段差形状)の逃げ部20aを、該基準面T1の端部(光ピックアップ4,40の移動方向の一端部)に形成した例について説明したが、板ばね25の摺動部25aと対向する位置であれば、基準面T1における光ピックアップ4,40の移動方向の中間位置に形成しても良い。
【符号の説明】
【0037】
1 シャーシ
2 主ガイドレール
3 副ガイドレール
4,40 光ピックアップ
10 シャーシ本体
15 対物レンズ
19 第1ガイド部
20 第2ガイド部
20a 逃げ部
23 ガイド孔
24 ガイド溝
25 板ばね
25a 摺動部
26 ガイド板部
26a 平板部
26b 起立部
26c リブ
27,28 調整部
29,30 ばね板部
31 調整ねじ
32,33 丸棒シャフト(ガイドレール)
41 補助ばね
T1 ガイド溝の一方の内壁面(基準面)
T2 ガイド溝の他方の内壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16