(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記蒸気発生装置の運転を停止させた後、前記吐出蒸気の圧力が前記復帰設定圧力P2を下回った場合に前記蒸気発生装置を起動させ、該蒸気発生装置の所定の条件が満たされた後前記蒸気昇圧装置を起動させる請求項2に記載の蒸気システム。
前記制御装置は、前記蒸気昇圧装置の運転を停止させた後、前記吐出蒸気の圧力が前記1復帰設定圧力を下回った場合に前記蒸気昇圧装置を起動させ、前記低圧蒸気圧測定部により測定される低圧蒸気の圧力に基づく前記流量調整弁の制御を終了する請求項4に記載の蒸気システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の蒸気システム1の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の蒸気システム1は、
図1に示すように、蒸気を生成する蒸気発生装置10と、この蒸気発生装置10において生成された蒸気を昇圧する蒸気昇圧装置20と、蒸気発生装置10と蒸気昇圧装置20とを接続する低圧蒸気供給ライン30と、この低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力(低圧蒸気圧)を測定する低圧蒸気圧測定部としての低圧蒸気圧力センサ31と、蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気が流通する蒸気吐出ライン40と、この蒸気吐出ライン40を流通する吐出蒸気の圧力を測定する吐出蒸気圧測定部としての吐出蒸気圧力センサ41と、蒸気システム1の動作を制御する制御装置50と、を備える。
【0015】
蒸気発生装置10は、
図1に示すように、ガスエンジン200のジャケット冷却水の排熱等の比較的低温の熱源流体を利用して蒸気を発生させる。この蒸気発生装置10は、タンク部11と、タンク部11の内部に配置されるチューブ12及び噴霧ノズル13と、熱源流体供給ラインとしての温水供給ライン14と、熱源流体排出ラインとしての温水排出ライン15と、噴霧水供給ライン16と、補給水ライン17と、バイパスライン18と、流量調整弁としての三方弁19と、を備える。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0016】
タンク部11は、蒸気発生装置10における本体部分を構成する。タンク部11の内部は負圧もしくは低圧(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG程度)に維持され、このタンク部11の内部において蒸気が生成される。このタンク部11の上部には、後述の低圧蒸気供給ライン30の基端部が接続される。
また、タンク部11には、安全弁32が設けられる。安全弁32は、タンク部11の内部の圧力が所定の圧力(設定圧力)を超えた場合に、蒸気を外部に放出してタンク部11(蒸気発生装置10)の内部の圧力を低下させる。
【0017】
チューブ12は、タンク部11の内部に水平方向に延びて配置される。より具体的には、チューブ12は、タンク部11の内部において、水平方向に所定間隔をあけて複数本配置されると共に、高さ方向にも所定間隔をあけて複数本配置される。このチューブ12の内部には、熱源流体としての温水が流通する。
【0018】
噴霧ノズル13は、タンク部11の内部におけるチューブ12よりも上方に配置される。この噴霧ノズル13は、チューブ12に向けて水を噴霧する。
温水供給ライン14は、チューブ12に熱源となる温水を供給する。温水供給ライン14の上流側は、熱源となる温水を供給するガスエンジン200等に接続される。温水供給ライン14の下流側は、チューブ12の一端部に接続される。
【0019】
温水排出ライン15は、チューブ12の内部を流通し、熱源として利用された温水を外部に排出する。温水排出ライン15の上流側は、チューブ12の他端部に接続される。温水排出ライン15の下流側は、ガスエンジン200等に接続される。
噴霧水供給ライン16は、タンク部11の下部と噴霧ノズル13とを接続し、タンク部11の下部に貯留された水を、噴霧水として噴霧ノズル13に供給する。噴霧水供給ライン16には、噴霧水ポンプ161が配置されている。
噴霧水ポンプ161は、タンク部11に貯留された水を噴霧ノズル13まで汲み上げる。
【0020】
補給水ライン17は、タンク部11と水を貯留している貯留槽等(図示せず)とを接続する。補給水ライン17は、タンク部11に補給水を供給する。この補給水ライン17には、補給水ポンプ171が配置される。
補給水ポンプ171は、貯留槽等から供給された水を昇圧してタンク部11の内部に供給する。
【0021】
バイパスライン18は、温水供給ライン14と温水排出ライン15とを接続する。
三方弁19は、温水供給ライン14とチューブ12との接続部分の近傍に配置され、温水供給ライン14、チューブ12(蒸気発生装置10)及びバイパスライン18を接続する。三方弁19は、温水供給ライン14からチューブ12側に流れる温水の量及びバイパスライン側に流れる温水の流量を調整する。即ち、三方弁19により温水供給ライン14からバイパスライン18への流路を閉止した状態(全開状態)では、温水供給ライン14を流通する温水は、全量チューブ12側に流れる。この状態からバイパスライン18への流路を開くように三方弁19の開度を調整すると、温水供給ライン14を流通する温水の一部は、バイパスライン18側に流れる。また、三方弁19により温水供給ライン14からチューブ12への流路を閉止した状態(全閉状態)では、温水供給ライン14を流通する温水は、全量バイパスライン18側に流れる。このように、三方弁19の開度を調整することで、チューブ12側に流れる温水の流量を調整できる。
【0022】
以上の蒸気発生装置10によれば、三方弁19により温水供給ライン14からバイパスライン18への流路を閉止した状態では、まず、ガスエンジン200等から熱源となる温水(例えば、約90℃)が、温水供給ライン14を通じてチューブ12に供給される。チューブ12に供給された温水は、タンク部11の内部に配置されたチューブ12に導入される。
一方、タンク部11の内部においては、噴霧ノズル13からチューブ12に向けて、噴霧水が噴霧される。また、タンク部11の内部は、負圧もしくは低圧(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG程度)に維持されている。これにより、チューブ12を流通する温水は、噴霧水によって熱を奪われて85℃程度まで降温し、温水排出ライン15を通じて排出される。
【0023】
また、温水が流通するチューブ12には、噴霧ノズル13から80℃程度の水が噴霧されることで、表面に薄い液膜が形成される。このように、タンク部11の内部が負圧に維持された状態において、チューブ12の表面に薄い液膜が形成されることによって、チューブ12の内部を流通する温水と、噴霧ノズル13によって噴霧される水との温度差が比較的小さい場合(例えば、約10℃)であっても効率的に蒸気を生成することが可能になる。
【0024】
タンク部11の内部で発生した蒸気は、低圧蒸気供給ライン30を通って導出される。
タンク部11の内部で蒸気にならなかった水は、タンク部11の下部に貯留される。タンク部11の下部に貯留された水は、噴霧水供給ライン16を通じて、噴霧水ポンプ161によって噴霧ノズル13まで汲み上げられ、再びチューブ12に噴霧される。
タンク部11に貯留される水が少なくなった場合には、補給水ライン17からタンク部11に補給水が補給される。
【0025】
また、三方弁19の開度を調整してチューブ12に供給される温水の流量を調整することで、タンク部11の内部で発生する蒸気の量を調整できる。
【0026】
低圧蒸気供給ライン30は、蒸気発生装置10において生成された低圧蒸気を蒸気昇圧装置20に供給する。
低圧蒸気圧力センサ31は、低圧蒸気供給ライン30の内部における蒸気圧(低圧蒸気の圧力)を測定する。
【0027】
蒸気吐出ライン40は、基端側が蒸気昇圧装置20に接続される。この蒸気吐出ライン40は、蒸気昇圧装置20において昇圧された後吐出される吐出蒸気を流通させる。蒸気吐出ライン40の先端側は、蒸気使用機器210に接続される。
吐出蒸気圧力センサ41は、蒸気吐出ライン40の内部における蒸気圧(吐出蒸気の圧力)を測定する。
【0028】
蒸気昇圧装置20は、蒸気発生装置10において生成された低圧蒸気(例えば、−0.05MPaG〜0.1MPaG)を吸引して圧縮し、昇圧する。この蒸気昇圧装置20は、低圧の蒸気を圧縮する圧縮部21と、この圧縮部21の動作を制御する圧縮制御部22と、を備える。
【0029】
圧縮部21は、例えば、スクリュー式の蒸気圧縮機により構成され、低圧の蒸気を0.4MpaG〜0.8MPaG程度に昇圧する。
圧縮制御部22は、低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力(圧縮部21に導入される低圧蒸気の圧力)に基いて、圧縮部21の動作(負荷率)を制御する。より具体的には、圧縮制御部22は、圧縮部21に導入される低圧蒸気の圧力が設定された目標圧力(例えば、0.04MPa〜0.05MPa)となるように、蒸気昇圧装置20の負荷率を制御する。
【0030】
また、圧縮制御部22は、蒸気昇圧装置20を安全に動作させるための構成として、自動停止部221と、自動復帰部222と、を備える。
自動停止部221は、蒸気吐出ライン40の内部における蒸気圧(蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気の圧力)が予め設定された第1停止設定圧力P1(例えば、1000kPa)以上になった場合に、圧縮部21の動作を自動停止させる。また、自動停止部221は、低圧蒸気供給ライン30の内部における蒸気圧(圧縮部21に導入される低圧蒸気の圧力)が予め設定された第1下限設定圧力(例えば、0kPa)以下になった場合にも、圧縮部21の動作を自動停止させる。
【0031】
自動復帰部222は、自動停止部221により圧縮部21の動作が自動停止された後に、吐出蒸気の圧力が予め設定された復帰設定圧力P2(例えば、600kPa)を下回った場合に圧縮部21を再び起動させる。また、自動復帰部222は、自動停止部221により圧縮部21の動作が自動停止された後に低圧蒸気の圧力が第1下限設定圧力を上回った場合にも、圧縮部21を再び起動させる。
【0032】
ここで、復帰設定圧力P2は、自動停止及び自動復帰が短時間で繰り返されるのを防ぐ観点から、第1停止設定圧力P1よりも低く設定されることが好ましい。
尚、圧縮制御部22は、蒸気昇圧装置20に設けられた圧力センサ(図示せず)により圧縮部21に導入される低圧蒸気の圧力、及び蒸気昇圧装置20から吐出される吐出蒸気の圧力を検出する。
【0033】
制御装置50は、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20が連携して動作するように、これら蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20を制御する。
即ち、蒸気システム1において、吐出蒸気の圧力が第1停止設定圧力P1以上となり、圧縮制御部22(自動停止部221)により圧縮部21が自動停止された場合、その後吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2を下回るまで低下すると、圧縮制御部22(自動復帰部222)により圧縮部21が再起動する。この場合、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20の連携がとれていないと、以下のような問題が生じる。
【0034】
例えば、自動停止部221により圧縮部21が自動停止されても蒸気発生装置10の運転は停止されないため、低圧蒸気供給ライン30における低圧蒸気の圧力が大きく上昇してしまい、蒸気発生装置10を安全に運転できなくなるおそれがある。また、低圧蒸気の圧力が所定の閾値を超えることで、蒸気発生装置10の安全装置(図示せず)により蒸気発生装置10の運転も停止された場合には、その後、低圧蒸気の圧力は低下していく。
この場合、吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2を下回ると、自動復帰部222により圧縮部21は再起動されるが、このときに、低圧蒸気の圧力が第1下限設定圧力を下回っていると、圧縮部21の動作は自動停止部221により再び自動停止されてしまう。
【0035】
このように、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20の連携がとれていないと、蒸気システム1を安定的に運転させられない。
そこで、本実施形態(第1実施形態)では、制御装置50は、吐出蒸気圧力センサ41で測定される吐出蒸気の圧力が第1停止設定圧力P1以下の圧力である第2停止設定圧力P3以上になった場合、又は自動停止部221により圧縮部21の起動が停止された場合に、蒸気昇圧装置20の運転を停止させる。
【0036】
これにより、自動停止部221により圧縮部21が自動停止した場合、又は圧縮部21が自動停止する前に、制御装置50により蒸気昇圧装置20の運転を停止させられる。このように、制御装置50により蒸気昇圧装置20の運転を停止させることで、その後、吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2を下回った場合にも、自動復帰部222により圧縮部21が自動復帰することを防げる。その結果、制御装置50により、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20を連携させて再度起動させられ、蒸気システム1をより安定して運転させられる。
【0037】
尚、第2停止設定圧力P3として、第1停止設定圧力P1未満の圧力を設定した場合には、圧縮制御部22による自動停止を行わせることなく蒸気昇圧装置20を停止させられる。
【0038】
また、制御装置50は、自動停止部221により圧縮部21の自動停止を、制御装置50から蒸気昇圧装置20に送信する運転確認信号に対する運転応答信号、及び圧縮制御部22から圧縮部21に送信される運転状態信号(圧縮部21を運転させる負荷率に関する信号)に基いて判定する。
即ち、自動停止部221により圧縮部21が自動停止した場合、蒸気昇圧装置20(圧縮制御部22)の運転は停止されていないので、蒸気昇圧装置20は、制御装置50から送信される運転確認信号に対して運転応答信号を送信する。一方、この状態では、圧縮部21は動作していないので、圧縮制御部22から圧縮部21には運転状態信号は送信されない。そこで、制御装置50は、圧縮制御部22から圧縮部21に送信される運転状態信号を取得することで、運転応答信号は受信しているが、運転状態信号を取得できていない場合に、圧縮部21が自動停止していると判定する。
【0039】
また、制御装置50は、蒸気昇圧装置20の運転を停止させた場合、蒸気発生装置10に温水が供給されないように三方弁19を制御すると共に、蒸気発生装置10の運転を停止させる。具体的には、制御装置50は、噴霧水ポンプ161の運転を停止させて噴霧ノズル13からチューブ12に向けての水の噴霧を停止させる。
【0040】
これにより、蒸気昇圧装置20が停止された場合に蒸気発生装置10も停止させられるので、蒸気発生装置10による過剰な蒸気生成を低減させられ、蒸気システム1による余分なエネルギの消費を防げる。
【0041】
また、制御装置50は、蒸気発生装置10の運転を停止させた後、吐出蒸気圧力センサ41で測定される吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2を下回った場合には、まず、蒸気発生装置10を起動させる。具体的には、この場合、制御装置50は、蒸気発生装置10に温水が供給されるように三方弁19を制御し、また、噴霧水ポンプ161を運転させて噴霧ノズル13からチューブ12に向けての水の噴霧を再開させる。そして、その後、制御装置50は、蒸気発生装置10の所定の条件が満たされると蒸気昇圧装置20を起動させる。蒸気発生装置10の所定の条件としては、低圧蒸気圧力センサ31で測定される低圧蒸気の圧力が第1下限設定圧力以上となった場合、又はチューブ12に向けて噴霧される水の温度が所定温度以上となった場合等が挙げられる。
【0042】
これにより、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20の運転を停止させた後、吐出蒸気の圧力が好適な範囲まで低下した場合(復帰設定圧力P2未満となった場合)に、まず蒸気発生装置10を運転させ、その後、条件が整ってから蒸気昇圧装置20を運転させられる。よって、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20の連携をとりながら、蒸気システム1を好適に再起動させられる。
【0043】
次に、第1実施形態の蒸気システム1の具体的な制御の流れにつき、
図2を参照しながら説明する。
図2は、第1実施形態の蒸気システム1の制御の流れを示すフローチャートである。
尚、
図2においては、第1停止設定圧力P1及び第2停止設定圧力P3が同じ圧力に設定された場合について説明する。
【0044】
ステップST1において、制御装置50は、圧縮制御部22(自動停止部221)により蒸気昇圧装置20の圧縮部21の起動が自動停止されたかを判定する。この判定がYESの場合(圧縮部21の起動が自動停止された場合)、処理はステップST3に移る。判定がNOの場合(圧縮部21の起動が自動停止されていない場合)、処理はステップST2に移る。
【0045】
ステップST2において、制御装置50は、吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力が第2停止設定圧力P3以上となったかを判定する。この判定がYESの場合(吐出蒸気の圧力が第2停止設定圧力P3以上の場合)、処理はステップST3に移る。判定がNOの場合(吐出蒸気の圧力が第2停止設定圧力P3未満の場合)、処理はステップST1に戻る。
【0046】
ステップST3において、制御装置50は、蒸気昇圧装置20の運転を停止させる。これにより、蒸気昇圧装置20は、制御装置50により起動が停止され、自動停止部221による圧縮部21の自動停止がなされていた場合であっても、この自動停止はリセットされる。
【0047】
ステップST4において、制御装置50は、蒸気発生装置10の運転を停止させる。より具体的には、制御装置50は、三方弁19を全閉状態にして温水供給ライン14からチューブ12への流路を閉止し、温水供給ライン14を流通する温水を全量バイパスライン18側に流通させる。また、制御装置50は、噴霧水ポンプ161の運転を停止させて噴霧ノズル13からチューブ12に向けての水の噴霧を停止させる。
【0048】
ステップST5において、制御装置50は、吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2を下回ったかを判定する。この判定がYESの場合(吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2を下回った場合)、処理はステップST6に移る。判定がNOの場合(吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2以上の場合)、処理はステップST5に戻る。
【0049】
ステップST6において、制御装置50は、蒸気発生装置10を起動させる。具体的には、制御装置50は、三方弁19を全開状態にして温水供給ライン14からバイパスライン18への流路を閉止し、温水供給ライン14を流通する温水を全量チューブ12側に流通させる。また、制御装置50は、噴霧水ポンプ161を運転させて噴霧ノズル13からチューブ12に向けての水の噴霧を再開させる。
【0050】
ステップST7において、制御装置50は、蒸気発生装置10が所定の条件を満たしたか(例えば、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力が第1下限設定圧力以上になったか)を判定する。この判定がYESの場合(蒸気発生装置10が所定の条件を満たした場合)、処理はステップST8に移る。判定がNOの場合(蒸気発生装置10が所定の条件を満たしていない場合)、処理はステップST7に戻る。
【0051】
ステップST8において、制御装置50は、蒸気昇圧装置20を起動させ、処理を終える。
【0052】
以上説明した第1実施形態の蒸気システム1によれば、以下のような効果を奏する。
【0053】
(1)蒸気システム1を、蒸気発生装置10と、圧縮部21、自動停止部221及び自動復帰部222を有する蒸気昇圧装置20と、蒸気昇圧装置20からの吐出蒸気の圧力が自動停止部221の動作圧力以下の第2停止設定圧力P3以上になった場合又は圧縮部21の起動が自動停止された場合に蒸気昇圧装置20の運転を停止させる制御装置50と、を含んで構成した。これにより、自動停止部221により圧縮部21が自動停止した場合、又は圧縮部21が自動停止する前に、制御装置50により蒸気昇圧装置20の運転を停止させられる。このように、制御装置50により蒸気昇圧装置20の運転を停止させることで、その後、吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2を下回った場合にも、自動復帰部222により圧縮部21が自動復帰することを防げる。その結果、制御装置50により、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20を連携させて再度起動させられ、蒸気システム1をより安定して運転させられる。
【0054】
(2)蒸気システム1を、蒸気発生装置10に供給される温水の流量を調整する流量調整弁19を含んで構成し、制御装置50に、蒸気昇圧装置20の運転を停止させた場合に蒸気発生装置10に温水が供給されないように流量調整弁19を制御すると共に、蒸気発生装置10の運転を停止させた。これにより、蒸気昇圧装置20が停止された場合に蒸気発生装置10も停止させられるので、蒸気発生装置10による過剰な蒸気生成を低減させられ、蒸気システム1による余分なエネルギの消費を防げる。
【0055】
(3)制御装置50に、蒸気発生装置10の運転を停止させた後、吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2を下回った場合に蒸気発生装置10を起動させ、蒸気発生装置10の所定の条件が満たされた後、蒸気昇圧装置20を起動させた。これにより、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20の運転を停止させた後、吐出蒸気の圧力が好適な範囲まで低下した場合(復帰設定圧力P2未満となった場合)に、まず蒸気発生装置10を運転させ、その後、条件が整ってから蒸気昇圧装置20を運転させられる。よって、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20の連携をとりながら、蒸気システム1を好適に再起動させられる。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態に係る制御装置50の制御について説明する。第2実施形態では、制御装置50は、蒸気昇圧装置20の運転を停止させた後、蒸気発生装置10の運転を停止させずに、蒸気発生装置10を、蒸気の生成量を抑えた状態で運転させる点で第1実施形態と異なる。
【0057】
より具体的には、第2実施形態では、制御装置50は、蒸気昇圧装置20の運転を停止させた場合、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力が予め設定された設定保持圧力P4(例えば、50kPa)となるように三方弁19を制御する。即ち、この場合、制御装置50は、三方弁19の開度を調整して蒸気発生装置10(チューブ12)側に流れる温水の流量を調整し、蒸気発生装置10において生成される蒸気の量を制御する。
【0058】
これにより、蒸気昇圧装置20が停止された場合に、蒸気発生装置10を停止させることなく、所定の圧力の蒸気の生成を維持させた状態で運転させられる。よって、蒸気昇圧装置20を再起動させる環境が整った場合に、蒸気発生装置10から蒸気昇圧装置20に速やかに蒸気を供給できるので、蒸気システム1を再起動させるまでの時間を短縮できる。
【0059】
また、この場合、制御装置50は、蒸気昇圧装置20の運転を停止させた後、吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2を下回った場合に蒸気昇圧装置20を起動させ、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力に基づく三方弁19の制御を終了させる。即ち、この場合、制御装置50は、三方弁19を全開状態として温水供給ライン14からバイパスライン18への流路を閉止し、温水供給ライン14を流通する温水を全量チューブ12側に流す。
【0060】
これにより、蒸気昇圧装置20の運転を停止させた後、吐出蒸気の圧力が好適な範囲まで低下した場合(復帰設定圧力P2未満となった場合)に、蒸気昇圧装置20を再度運転させると共に、蒸気発生装置10の蒸気の生成量を抑えた状態での運転を終了させられるので、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20の連携をとりながら、蒸気システム1を好適に再起動させられる。
【0061】
次に、第2実施形態の蒸気システム1の具体的な制御の流れにつき、
図3を参照しながら説明する。
図3は、第2実施形態の蒸気システム1の制御の流れを示すフローチャートである。尚、第2実施形態の蒸気システム1の制御において、ステップST11〜ステップST13までは、第1実施形態のステップST1〜ステップST3と同様の処理を行っている。
【0062】
ステップST11において、制御装置50は、圧縮制御部22(自動停止部221)により蒸気昇圧装置20の圧縮部21の起動が自動停止されたかを判定する。この判定がYESの場合(圧縮部21の起動が自動停止された場合)、処理はステップST13に移る。判定がNOの場合(圧縮部21の起動が自動停止されていない場合)、処理はステップST12に移る。
【0063】
ステップST12において、制御装置50は、吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力が第2停止設定圧力P3以上となったかを判定する。この判定がYESの場合(吐出蒸気の圧力が第2停止設定圧力P3以上の場合)、処理はステップST13に移る。判定がNOの場合(吐出蒸気の圧力が第2停止設定圧力P3未満の場合)、処理はステップST11に戻る。
【0064】
ステップST13において、制御装置50は、蒸気昇圧装置20の運転を停止させる。これにより、蒸気昇圧装置20は、制御装置50により起動が停止され、自動停止部221による圧縮部21の自動停止がなされていた場合であっても、この自動停止はリセットされる。
【0065】
ステップST14において、制御装置50は、蒸気発生装置10を蒸気の生成量を抑えた状態で運転させる(低圧蒸気圧保持運転)。具体的には、制御装置50は、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力が予め設定された設定保持圧力P4となるように三方弁19を制御する。
【0066】
ステップST15において、制御装置50は、吐出蒸気圧力センサ41により測定される吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2を下回ったかを判定する。この判定がYESの場合(吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2を下回った場合)、処理はステップST16に移る。判定がNOの場合(吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2以上の場合)、処理はステップST15に戻る。
【0067】
ステップST16において、制御装置50は、蒸気昇圧装置20を起動させる。
【0068】
ステップST17において、制御装置50は、蒸気発生装置10の低圧蒸気圧保持運転を終了させる。具体的には、制御装置50は、三方弁19を全開状態として温水供給ライン14からバイパスライン18への流路を閉止し、温水供給ライン14を流通する温水を全量チューブ12側に流通させる。そして、処理を終了する。
【0069】
以上説明した第2実施形態の蒸気システム1によれば、上述した(1)の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0070】
(4)蒸気システム1を、蒸気発生装置10に供給される温水の流量を調整する三方弁19を含んで構成し、制御装置50に、蒸気昇圧装置20の運転を停止させた場合に、低圧蒸気圧力センサ31により測定される低圧蒸気の圧力が設定保持圧力P4となるように三方弁19を制御させた。これにより、蒸気昇圧装置20が停止された場合に、蒸気発生装置10を停止させることなく、所定の圧力の蒸気の生成を維持させた状態で運転させられる。よって、蒸気昇圧装置20を再起動させる環境が整った場合に、蒸気発生装置10から蒸気昇圧装置20に速やかに蒸気を供給できるので、蒸気システム1を再起動させるまでの時間を短縮できる。
【0071】
(5)制御装置50に、蒸気昇圧装置20の運転を停止させた後、吐出蒸気の圧力が復帰設定圧力P2を下回った場合に蒸気昇圧装置20を起動させ、低圧蒸気圧測定部31により測定される低圧蒸気の圧力に基づく三方弁19の制御を終了させた。これにより、蒸気昇圧装置20の運転を停止させた後、吐出蒸気の圧力が好適な範囲まで低下した場合(復帰設定圧力P2未満となった場合)に、蒸気昇圧装置20を再度運転させると共に、蒸気発生装置10の蒸気の生成量を抑えた状態での運転を終了させられるので、蒸気発生装置10及び蒸気昇圧装置20の連携をとりながら、蒸気システム1を好適に再起動させられる。
【0072】
以上、本発明の蒸気システム1の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、熱源流体として温水を用いたが、これに限らない。即ち、熱源流体として、排ガスや空気等の他の流体を用いてもよい。
【0073】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、低圧蒸気圧力センサ31を低圧蒸気供給ライン30に配置して低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力を測定したが、これに限らない。即ち、低圧蒸気供給ライン30を流通する蒸気の圧力は、蒸気発生装置10(タンク部11)における蒸気の圧力と等しいため、低圧蒸気圧力センサを蒸気発生装置(タンク部)に配置してもよい。
【0074】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、流量調整弁を三方弁19により構成したが、これに限らない。即ち、流量調整弁を、複数の弁を組み合わせて構成してもよい。