(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜
図3を参照して、本発明の一実施形態によるトンネル掘進機1の全体構成について説明する。
【0017】
トンネル掘進機1は、泥土圧シールド掘進機であり、密閉式のシールド工法に対応している。具体的には、トンネル掘進機1は、
図1に示すように、円筒状のシールドフレーム11と、シールドフレーム11の掘進方向(X方向)の前端(X1側の端)に配置された面盤型のカッタヘッド12と、カッタヘッド12の後面12a(X2側の面)と隔壁13との間(カッタヘッド12の後方)に設けられ、内部で掘削土が混練されるチャンバ14と、チャンバ14内の掘削土を連続的に外部に排出するスクリューコンベア15とを備えている。なお、理解容易のために、チャンバ14内に蓄積される掘削土については図示を省略している。
【0018】
カッタヘッド12は、掘進方向から見て、円形状に形成されており、図示しないモータにより、チャンバ14内に配置された回転軸部12bとともに回転されて、掘削が行われるように構成されている。また、カッタヘッド12は、回転軸線A(
図3参照)周りに所定の回転速度で回転するように構成されている。一方、シールドフレーム11や隔壁13は回転しない静止体である。
【0019】
カッタヘッド12は、放射状に延びるとともに45度の等角度間隔で配置された8本のカッタスポーク12cを有している。8本のカッタスポーク12cには、それぞれ、半径方向に略等間隔に配置された複数のディスクカッタ(カッタビット)12dが取り付けられている。ディスクカッタ12dにより掘削された掘削土は、カッタヘッド12に設けられた貫通孔12eを介して、チャンバ14内に供給されるように構成されている。そして、チャンバ14内に掘削土が充満されることによって、切羽(カッタヘッド12が掘削している部分の地肌)が安定的に保持されるように構成されている。この際、チャンバ14内の掘削土の状態によっては、作泥材供給部16(
図9参照)から、掘削土に作泥材が所定の量供給されるように構成されている。この作泥材は、ベントナイトなどを含んでおり、掘削土を流動しやすい泥土状にする(塑性流動化する)機能を有している。
【0020】
カッタヘッド12の後面12aには、
図2および
図3に示すように、カッタヘッド12の外周部近傍に配置され、チャンバ14内に向かって掘進方向の後方(X2方向)に延びる4つの攪拌翼12fが形成されている。また、カッタヘッド12の後面12aのうち、カッタヘッド12の外周部近傍で、かつ、攪拌翼12fよりも内側(回転軸線A側)には、一対の土砂性状確認部20が取り付けられている。攪拌翼12fおよび一対の土砂性状確認部20は、共に、カッタヘッド12の回転に伴いカッタヘッド12の周方向に移動するように構成されている。
【0021】
一対の土砂性状確認部20は、チャンバ14内の掘削土の性状を確認する機能を有している。また、一対の土砂性状確認部20は、
図3に示すように、カッタヘッド12の後面12aに形成された一対の孔部12gを後方から覆うように配置されている。また、
図2に示すように、一対の土砂性状確認部20は、回転軸線Aを中心とする半径rの同心円上に180度ずれた位置にそれぞれ配置されている。なお、土砂性状確認部20の詳細な構造については、後述する。
【0022】
また、
図3に示すように、カッタヘッド12は、中空状に形成されており、内部に作業者が入ることが可能なように構成されている。そして、中空状のカッタヘッド12の内部で、かつ、カッタヘッド12の外周部近傍には、1つのレコーダ17が固定されている。
【0023】
隔壁13には、チャンバ14内に向かって掘削方向の前方(X1方向)に延びる固定翼13aが設けられている。なお、隔壁13に固定された固定翼13aと、カッタヘッド12と共に回転する攪拌翼12fとによって、チャンバ14内の掘削土が混練されるように構成されている。
【0024】
次に、
図4〜
図8を参照して、土砂性状確認部20の詳細な構成について説明する。
【0025】
土砂性状確認部20は、
図4に示すように、固定部30と、回動部40と、ベアリング50と、シール部材60および61と、トルク計70とを含んでいる。なお、ベアリング50は、固定部30の回動面R1と回動部40の回動面R2との間(固定部30と回動部40との境界)に配置されている。シール部材60および61は、それぞれ、固定部30と回動部40との境界に、ベアリング50を挟むように配置されている。なお、トルク計70は、本発明の「トルク検出部」の一例である。
【0026】
トルク計70は、固定部30と回動部40との間に配置されている。より具体的には、トルク計70は、固定部30と回動部40とによって形成される、土砂性状確認部20の内部空間Sに配置されている。また、トルク計70は、円柱部71と、円柱部71のX方向の両端部にそれぞれ形成されたフランジ部72および73とを有している。円柱部71には、検出したトルクをレコーダ17(
図3参照)にアナログ信号として出力するための通信ケーブル2aが接続されるコネクタ71aが形成されている。また、X1側のフランジ部72は、固定部30に固定され、X2側のフランジ部73は、回動部40に固定されている。これにより、トルク計70は、固定部30に対する回動部40の回転(回動)をトルクとして検出するように構成されている。なお、トルク計70は、固定部30に対する回動部40の回動が所定の角度θよりも大きくなった場合には、トルクの検出精度が低下するなど不都合が生じる虞がある。
【0027】
固定部30は、カッタヘッド12の後面12aに固定されている。具体的には、固定部30は、円筒状に形成されている。また、円筒状の固定部30では、カッタヘッド12側(X1側)の開口30aがカッタヘッド12の後面12aの孔部12gにつながるように配置されている。また、固定部30のカッタヘッド12側の端部外周部は、溶接によりカッタヘッド12の後面12aに固定されている。このように、固定部30は、カッタヘッド12の孔部12gを覆うようにカッタヘッド12の後面12aに固定されている。この結果、固定部30は、カッタヘッド12の回動に伴いカッタヘッド12の周方向に移動するように構成されている。
【0028】
また、固定部30は、土砂性状確認部20の外側部のX1側を構成する円筒部材31と、外側部のX2側を構成する円筒部材32と、円筒部材32に溶接により固定され、円筒部材31の内部に配置される円筒部材33と、円筒部材33およびトルク計70に固定される円板部材34とを有している。
【0029】
円筒部材31と円筒部材32とは複数のボルト80a(
図5参照)によって互いに固定されている。また、円筒部材31と円筒部材32との境界には、土砂性状確認部20の外部(チャンバ14)から内部空間Sに掘削土が流入するのを抑制するためのOリング81が配置されている。このOリング81は、円筒部材32に形成された周状の溝32a(
図8参照)に嵌め込まれている。
【0030】
円筒部材33には、円板部材34が複数のボルト80bによって固定されている。円板部材34には、トルク計70のX1側のフランジ部72が複数のボルト80cによって固定されている。
【0031】
円筒部材32のカッタヘッド12側の端部近傍には、外周側の一部が切り欠かれることによって、溝状の切欠部32bが形成されている。なお、
図6に示すように、切欠部32bは、回動軸線Bを中心として180度ずれた位置にそれぞれ形成されている。また、一対の切欠部32bには、各々、円筒部材32を貫通する孔部32cが形成されている。この孔部32cは外側から内側(回動部40の回動軸線B側)に向かって径が若干小さくなくように、内周面132cが傾斜するように形成されている。
【0032】
回動部40は、
図4に示すように、フランジ部40aを有する断面T字形状の円柱状に形成されており、固定部30のチャンバ14側(X2側)の開口30bの内部に回動可能に配置されている。つまり、回動部40は、カッタヘッド12の回転に伴い固定部30と共にカッタヘッド12の周方向に移動するとともに、固定部30に対して回動するように構成されている。ここで、回動部40は、土砂性状確認部20の延びる方向(X方向)に沿って延びる回動軸線B周りに、固定部30に対して回動するように構成されている。また、回動部40は、固定部30の円筒部材32の内周面の略全体を占める回動面R1に、回動部40のフランジ部40aの外周、および、円柱状の回動部40の中央近傍の外周の回動面R2が沿って回動するように構成されている。
【0033】
ここで、本実施形態では、回動部40のチャンバ14側の端面部40bには、X2方向に向かって延びる円柱状の測定棒41が一対のボルト80dにより取り付けられている。測定棒41は、チャンバ14内に配置された状態でチャンバ14内の掘削土を混練する際の掘削土に作用する力を受けるように構成されている。この力に応じて、測定棒41と測定棒41が固定される回動部40とが共に固定部30に対して回動するように構成されている。なお、測定棒41にはカッタヘッド12(固定部30)の回転軸線A(
図2参照)周りの回転方向と同一の方向に向かう力が作用することによって、回動部40はカッタヘッド12の回転方向と同一の方向に回動するように構成されている。なお、測定棒41は、本発明の「測定部」の一例である。
【0034】
なお、回動部40のチャンバ14側の端面部40bにおける測定棒41の取付位置(回動軸線Bから測定棒41の中心までの距離L)、測定棒41の直径D、および、測定棒41の掘進方向(X方向)の高さhについては、カッタヘッド12の回転速度や掘削される地点の土砂の一般的な性状(砂と粘土との割合や含水比、作用する力の大きさ)などから適宜決定される。なお、本実施形態では、測定棒41の高さhは、約40mm以上約80mm以下であるのが、土砂(掘削土)の性状を確認可能な程度に十分なトルクを検出でき、かつ、過度なトルクが加えられるのを抑制することができるので好ましい。
【0035】
また、回動部40と一体的に形成されている場合と異なり、測定棒41は、ボルト80dを取り外すことによって取り替えることが可能なように構成されている。これにより、掘削される地点の土砂の性状に合わせて、適した測定棒41を用いることが可能である。なお、測定棒41は、硬度(剛性)の高い炭素工具鋼鋼材(SK材)から構成されている。
【0036】
また、
図4に示すように、回動部40のカッタヘッド12側(X1側)の端面部40cには、トルク計70のX2側のフランジ部73が複数のボルト80eによって固定されている。
【0037】
図6に示すように、固定部30の切欠部32bおよび孔部32cに対応する位置には、各々、内側に向かって延びるねじ穴40dと、ねじ穴40dの周囲に形成され、ストッパ部材82が嵌め込まれる凹部40eとが設けられている。
【0038】
ストッパ部材82は、円筒状に形成されている。また、ストッパ部材82の内部には、ねじ挿入孔82aが形成されており、ねじ挿入孔82aに挿入された状態でボルト80fがねじ穴40dに螺合されることによって、ストッパ部材82は回動部40に固定されている。また、
図8に示すように、ストッパ部材82の外側面82bは、掘進方向(X方向)の両側において固定部30の孔部32cの内周面132cに接触するように構成されている。これにより、ストッパ部材82はX方向の移動が抑制されている。
【0039】
また、本実施形態では、ストッパ部材82は、
図6および
図7に示すように、回動部40が通常の状態(回動部40が固定部30に対して回動していない状態)から所定の回動角度θよりも大きく回動することを規制するように構成されている。具体的には、ストッパ部材82は、
図6に示すように、通常の状態において、固定部30の孔部32cの略中央に位置するように構成されている。そして、回動部40が固定部30に対して回動した際に、回動部40に固定されたストッパ部材82も合わせて回動される。この際、回動部40が通常の状態から所定の角度θだけ回動軸線B周りに回動した状態(θ回動状態)では、
図7に示すように、ストッパ部材82の外側面82bが固定部30の孔部32cの傾斜した内周面132cに面接触するように構成されている。これにより、回動部40が所定の回動角度θよりも大きく回動することが規制されることによって、トルク計70におけるトルクの検出精度が低下するなど不都合が生じるのが抑制されている。
【0040】
ベアリング50は、
図4に示すように、固定部30の円筒部材32と回動部40とによって形成される円環状の空間に配置されている。また、ベアリング50は、
図8に示すように、外側(回動軸線B(
図4参照)とは反対側)に配置され、固定部30に複数のボルト80gにより固定されるリング部材51と、内側(回動軸線B側)に配置され、回動部40に複数のボルト80hにより固定されるリング部材52と、リング部材51とリング部材52との間に周状に配置される円柱状の複数のコロ53とを含んでいる。なお、ベアリング50は、円柱状の複数のコロ53が互い違いに配置された、いわゆるクロスローラベアリングから構成されている。これにより、ベアリング50は、回動軸線Bに対するラジアル方向(径方向)とスラスト方向(回動軸線Bの延びるX方向)との両方の荷重に対して剛性を確保しつつ、回動部40を回動軸線B周りに回動可能に支持することが可能である。
【0041】
シール部材60および61は、共に円環状のロータリーシールから構成されており、固定部30と回動部40との両方に接触することによって、固定部30の回動面R1と回動部40の回動面R2との間を介して土砂性状確認部20の外部から内部空間Sに掘削土が流入するのを抑制する機能を有している。
【0042】
シール部材60は、固定部30の回動面R1と回動部40の回動面R2との間のうち、ベアリング50よりも外側(X2側)の開口30b近傍に配置されている。シール部材60は、回動部40のX2側の端部近傍に形成された周状の溝部40fに嵌め込まれている。また、シール部材61は、固定部30の回動面R1と回動部40の回動面R2との間のうち、ベアリング50よりも内側(X1側)に配置されている。このシール部材61は、固定部30の円筒部材32に形成された周状の溝部32dに嵌め込まれている。
【0043】
ここで、シール部材60および61により、固定部30の回動面R1と回動部40の回動面R2との間からの掘削土の流入が抑制され、Oリング81により、固定部30の円筒部材31と円筒部材32との境界からの掘削土の流入が抑制されている。これにより、土砂性状確認部20の固定部30の内側(回動軸線B側)で、かつ、回動部40よりもカッタヘッド12側(X1側)の内部空間Sには、チャンバ14内の掘削土が流入するのが抑制されている。この結果、トルク計70に掘削土が接触するのを抑制することができるので、掘削土に起因してトルク計70のトルク検出の精度が低下するのを抑制することが可能である。
【0044】
また、固定部30の円筒部材32には、グリス供給路32eが設けられている。土砂性状確認部20では、土砂性状確認部20の外部の図示しないグリス供給部からグリス供給管83を介してグリスがグリス供給路32eに供給されるとともに、グリス供給路32eを介してベアリング50や固定部30の回動面R1と回動部40の回動面R2との間、シール部材60および61にグリスが定期的に供給されるように構成されている。これにより、回動部40を固定部30に対して円滑に回動させることが可能である。
【0045】
また、トルク計70は、中空状のカッタヘッド12の内部から孔部12gを介して交換可能に構成されている。具体的には、作業者は、カッタヘッド12の内部から孔部12gを介して、複数のボルト80cを取り外すことによりトルク計70のX1側のフランジ部72と固定部40の円板部材34との固定を解除するとともに、複数のボルト80eを取り外すことによりトルク計70のX2側のフランジ部73と回動部40の端面部40cとの固定を解除することによって、古いトルク計70を土砂性状確認部20から取り外すことが可能なように構成されている。そして、新たなトルク計70のフランジ部72と円板部材34とを固定するとともに、フランジ部73と回動部40の端面部40cとを固定することによって、新たなトルク計70を土砂性状確認部20に取り付けることが可能なように構成されている。
【0046】
次に、
図9を参照して、土砂性状確認部20によって計測されたトルクに関する信号の送受信について説明する。
【0047】
一対の土砂性状確認部20は通信ケーブル2aを介してカッタヘッド12の中空状の内部に配置された1つのレコーダ17と接続されており、トルクに関するアナログ信号が土砂性状確認部20からレコーダ17に送信されるように構成されている。
【0048】
レコーダ17は、一対の土砂性状確認部20から受信したトルクに関するアナログ信号をデジタル信号に変換して記録する記録部17aと、カッタヘッド12の回転により変化するレコーダ17の取り付け位置を計測するための変位計17bとを含んでいる。また、レコーダ17は、LAN通信可能な通信ケーブル2b、回転体から静止体にデータを送信するためのスリップリング2c、および、LAN通信可能な通信ケーブル2dを介して、隔壁13よりも後方の回転しない部分(機内の作業領域)に設けられた制御室18内のPC18aと接続されている。そして、レコーダ17の記録部17aに記録されたトルクに関するデジタル信号は、LAN通信によって、PC18aに送信されるように構成されている。
【0049】
このようにレコーダ17を介して一対の土砂性状確認部20をPC18aに接続することによって、一対の土砂性状確認部20をそれぞれPC18aに直接接続する場合と異なり、一対の土砂性状確認部20から送信されるアナログ信号がノイズの影響を受けて劣化するのを抑制することが可能であるとともに、土砂性状確認部20の数だけスリップリング2cを設ける必要がないので、スリップリング2cの点数を減少させることが可能である。
【0050】
また、PC18aは、インターネット通信などにより、トンネル掘進機1の外部のオフィス19のPC19aに接続されており、PC18aを介して、レコーダ17の記録部17aに記録されたトルクに関するデジタル信号がPC19aに送信されるように構成されている。なお、オフィス19は、トンネル掘進現場のオフィスでもよいし、遠方のオフィス(たとえば、シールド掘進機1の製造元のオフィス)でもよい。
【0051】
PC18aおよび19aは、レコーダ17から送信されたデジタル信号を受信して、トルク値やトルク値の波形の変動の大きさなどから、土砂(掘削土)の性状(硬いか、または、柔らかいかなど)を随時確認(判断)するように構成されている。そして、PC18aおよび19aは、土砂の性状が硬いと判断した場合には、作泥材供給部16から掘削土に供給される作泥材の量を増加させる制御を行い、土砂の性状が柔らかいと判断した場合には、作泥材供給部16から掘削土に供給される作泥材の量を減少させる制御を行うように構成されている。これにより、土砂の性状を正常な範囲に自動的に保つことができるので、切羽の不安定化や、スクリューコンベア15(
図1参照)による掘削土の排出が困難になるのを自動的に抑制することが可能である。また、PC18aおよび19aは、トルク値の波形の変動が所定の範囲を超えている場合には、カッタヘッド12などに異常が生じていると判断して、PC18aまたは19aを操作するオペレータへ異常の通知を行ったり、カッタヘッド12を緊急停止させるなどの制御を行うように構成されている。
【0052】
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0053】
本実施形態では、上記のように、土砂性状確認部20に、チャンバ14内に配置された状態でチャンバ14内の掘削土を混練する際の掘削土に作用する力を受ける測定棒41を有し、測定棒41が受ける力に応じて回動される回動部40と、回動部40の回動をトルクとして検出するトルク計70とを設ける。これにより、モータなどの駆動源を用いなくとも、測定棒41が受ける力に応じて回動部40を回動させることができるとともに、回動部40の回動に基づくトルクの検出により土砂の性状を確認することができる。この結果、駆動源を設けない分、駆動源を駆動させるのに要する電力を供給する必要がないので、土砂の性状を確認するために要する電力が大きくなるのを抑制することができる。また、回動部40の回動に基づくトルクから土砂の性状を確認することによって、測定棒41自体の撓みや変形などから土砂の性状を確認する場合と比べて、測定棒41に撓みや変形などを生じさせる必要がないので、測定棒41を剛性の高い材料から構成することができる。これにより、撓みや変形などに起因する測定棒41の破損を抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、土砂性状確認部20に、回動部40が所定の回動角度θよりも大きく回動することを規制するストッパ部材82を設けることによって、掘削土の中に硬い物体があることなどに起因して回動部40に過度のトルクが加えられた際に、ストッパ部材82により回動部40が過度に(所定の回動角度θよりも大きく)回動するのを抑制することができるので、回動部40の過度の回動に起因してトルク計70が破損するのを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、トルク計70を、固定部30と回動部40との間に配置して、固定部30に対する回動部40の回動をトルクとして検出するように構成する。これにより、カッタヘッド12と共に回転する固定部30に対する回動部40の回動を検出することによって、固定部30が回転しない場合と比べて、固定部30の回転軌道(円周)上の複数の箇所において測定棒41が受ける力を検出することができる。これにより、土砂性状確認部20の数が増加するのを抑制しつつ、チャンバ14内の土砂の性状を複数個所において確認することができる。
【0056】
また、本実施形態では、トルク計70を、中空状のカッタヘッド12の内部から孔部12gを介して交換可能に配置することによって、トルク計70に不具合が生じた場合であっても、カッタヘッド12の内部からトルク計70を容易に交換することができる。
【0057】
また、本実施形態では、固定部30の回動面R1と回動部40の回動面R2との間にシール部材60および61を配置することによって、シール部材60および61により固定部30と回動部40との間に掘削土が流入するのを抑制することができるので、回動部40の回動が固定部30と回動部40との間に流入した掘削土に起因して回動部40が回動しにくくなるのを抑制することができる。これにより、回動部40の回動をトルクとしてより正確に検出することができる。
【0058】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0059】
たとえば、上記実施形態では、本発明のトンネル掘進機を、泥土圧シールド掘進機に適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明のトンネル掘進機を、泥水式のシールド掘進機などに適用してもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、本発明のトルク検出部の一例として、フランジ部72および73を有するトルク計70を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、トルク検出部として、フランジ部を有さないトルク計を用いてもよいし、変位を検出するロードセルなどを用いてトルクを検出してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、PC18aおよび19aが、レコーダ17から送信されたデジタル信号を受信して、トルク値やトルク値の波形の変動の大きさなどから、土砂(掘削土)の性状(硬いか、または、柔らかいかなど)を随時確認(判断)する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、PCを、土砂の性状を判断せずに、PCの表示部にトルクの検出結果を表示する制御を行うように構成してもよい。この際、PCを操作するオペレータにより、表示されたトルクの検出結果から土砂の性状が確認(判断)される。同様に、作泥材供給部から掘削土に供給される作泥材の量の調整や、カッタヘッドの緊急停止なども、PCではなくオペレータが行ってもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、一対の土砂性状確認部20を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、土砂性状確認部を1つだけ設けてもよいし、3つ以上設けてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、土砂性状確認部20の固定部30をカッタヘッド12の後面12aに固定した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、土砂性状確認部の固定部をカッタヘッドよりも後方に位置する隔壁に固定するとともに、チャンバ内で力を受けることが可能なように、測定棒をカッタヘッド側(掘進方向の前側)に向かって延ばしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、一対の土砂性状確認部20を、カッタヘッド12の外周部近傍で、かつ、攪拌翼12fよりも内側(回転軸線A側)に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、土砂性状確認部は、カッタヘッドのいずれの位置に配置してもよい。ここで、土砂性状確認部をカッタヘッドの回転軸側(内側)に配置した場合には、検出されるトルクの値が小さくなり、カッタヘッドの外周部側に配置した場合には、検出されるトルクの値が大きくなる。したがって、検出されるトルクが小さいと想定される場合には、カッタヘッドのより外周側に、検出されるトルクが大きいと想定される場合には、カッタヘッドのより内側に、土砂性状確認部を配置するのが好ましい。
【0065】
また、上記実施形態では、円柱状の測定棒(測定部)を用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、測定部の形状は特に限定されず、たとえば、平板状や楕円柱状などでもよい。なお、測定部は円柱状である方が、剛性が高くなるので好ましい。