(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置検出手段が検出を行う検出位置は、前記搬送ベルトの移動方向において、前記停止位置における前記載置領域の先端から前記搬送ベルトにシートが供給される位置までの間に設定されることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
前記制御手段は、前記搬送ベルトが移動を開始した後に前記位置検出手段が検出した検出結果に基づいて、前記シート供給手段によるシートの供給を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート搬送装置。
前記制御手段は、シートの供給方向においてシートが前記搬送ベルトに供給される位置よりも上流側でシートの供給を一旦停止し、シートが前記載置領域に載置されるようシートの供給を再開することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
前記記録手段はシートに液体を吐出して記録を行うインクジェット記録方式であり、前記記録手段が記録前に行う動作が、前記記録手段の初期位置から記録位置への移動、前記記録手段の回復動作、前記記録手段の予備吐出、前記記録手段の温度調整、のうち少なくともひとつを含むことを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る画像記録装置の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態における画像記録装置(以下、単に記録装置という)1の要部と、ホストコンピュータ(ホスト装置)101と、を接続した記録システムの説明図である。記録装置1は、プリンタケーブル13によって、情報処理装置としてのホストコンピュータ101に接続される。ホストコンピュータ101は、プリンタケーブル13を介して、記録データや記録媒体に関する情報などを制御コマンドとして記録装置1に出力する。
【0012】
本実施形態における記録装置1には、記録媒体(カット紙)S上にインクを吐出して画像を記録する記録ヘッド22(
図2参照)と、この記録ヘッド22の記録性能を維持するための回復ユニットと、が設けられている。この記録ヘッド22と回復ユニットはモジュール化され、記録部150として構成されている。回復ユニットは、前述のように記録ヘッド22の吐出口を覆うキャップと、このキャップと記録ヘッドの吐出口面とで形成された空間内に負圧を発生させて吸引回復動作を行なうためのポンプと、このポンプを駆動するポンプモータなどを組み込んだ構成を有する。
【0013】
また、記録装置1は、不図示の操作パネルと、給送トレイ200aから1枚ずつ記録媒体を給送する給送ユニット(給送部)200と、を備える。また記録装置1は、記録媒体Sを搬送する搬送手段としての搬送ユニット300および排紙された記録媒体Sを積載するスタッカーユニット(排出部)400を備える。さらに図示は省略するが、記録装置1は、記録ヘッド22にインクを供給するインク供給ユニットや、記録ヘッドのクリーニング時に発生した廃インクを蓄積するメンテナンスタンクユニットなども備えている。
【0014】
給送ユニット200には、給送ローラ107と、給送クラッチ108が設けられている。搬送ユニット300には、部分的に吸気孔310が設けられた搬送ベルト303、搬送モータ109、および吸気ファン323が設けられている。本実施形態では、給送ローラ107の回転と搬送ベルト303の巡回移動とを共通駆動源である単一の搬送モータ109を用いて行う。搬送モータ109の駆動力は搬送ベルトに直接的に伝達されるが、給送ローラ107にはクラッチを介して伝達される。従って、搬送モータ109が駆動されると搬送ベルト303は常にA1方向へと巡回移動するが、給送ローラ107はクラッチ108が接続状態にあるときにのみA2方向へと回転する。また、クラッチ108が遮断状態にあるときには搬送モータ109の駆動力は給送ローラ107には伝達されず、給送ローラ107は回転しない。
【0015】
給送ローラ107がA2方向へと回転することにより、給送トレイ200aの最上位の記録媒体Sがピックアップされて搬送ベルト303へ給送される。また搬送ベルト303に給送された記録媒体は、搬送ベルト303に形成した後述の吸気孔310の吸気動作によって搬送ベルト303の上面に吸着・保持され、搬送ベルト303と共に矢印A1方向へと移動する。なお、吸気孔310における吸引力は吸気ファン323の回転によって発生する。
【0016】
本実施形態における記録装置1には、搬送ベルト303によって搬送されて来た記録媒体Sに対して記録を行う記録部150が設けられている。この記録部150には、記録手段としてインクジェット方式の記録ヘッドが搭載されている。本実施形態では、記録ヘッドとして、
図2に示すように4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yが記録媒体Sの搬送方向(矢印A1方向)に並んで配置されている。4つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yからはブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクがそれぞれ吐出される。これらの記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、所謂ラインヘッドであり、
図1の紙面に直交する方向(矢印A方向に直交する方向)に延在している。また、各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yには、インクを吐出可能とする複数の吐出口が形成されており、その複数の吐出口によって構成される吐出口列の長さは、使用する記録媒体の最大幅よりもやや長く設定されている。なお、以下の説明において、各記録ヘッドを区別する必要がない場合には、記録ヘッドに付す符号を22と記すこととする。
【0017】
記録ヘッド22は
図2に示すヘッド移動モータ118によってキャップ位置と記録可能位置とに移動可能になっている。記録ヘッド22は、非記録時にはキャップによって吐出口を覆い得るキャップ位置に保持され、記録時にはキャッピング部材から離間して記録媒体への記録を可能とする記録可能位置へと移動する。なお、キャップもキャップモータ122(
図2参照)によって、記録ヘッドから離間した記録可能位置と記録ヘッドの吐出口を覆うキャップ位置とに移動可能になっている。
【0018】
図2は、本実施形態における記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。ホスト装置101から送信された記録データやコマンドはインターフェイスコントローラ102を介してCPU100に受信される。CPU100は、記録装置1における記録データの受信、記録動作、並びに記録媒体Sの給送および搬送など、記録装置1の全体的な制御を司る制御手段として機能する演算処理装置である。CPU100の動作はプログラムROM104に記憶された処理プログラムおよびテーブルなどに基づいて実行される。また、作業用のメモリとしてワークRAM108を使用する。
【0019】
CPU100では、ホスト装置12から送信されたコマンドを解析した後、そのコマンドに応じた処理動作を行う。例えば、ホスト装置12から記録指令および記録データが送信された場合には、記録データの各色成分のイメージデータをイメージメモリ106にビットマップ展開する。また、記録前の準備動作として、CPU100は出力ポート114、モータ駆動部116を介してキャップモータ122とヘッド移動モータ118を駆動して記録ヘッド22およびキャップ部材の移動を行う。
【0020】
CPU100は、出力ポート114、モータ駆動部116を介して、後述の搬送ベルト303の移動および給送ローラ107の回転を行うための共通駆動源となる搬送モータ109の駆動を制御する。さらにCPU100は、搬送モータ109から給送ローラ201への駆動力の伝達、遮断の切換えを行うクラッチ(切換手段)108の動作を、クラッチ駆動部117を介して制御する。また、吸気ファン323を回転させるファンモータ324の駆動もモータ駆動部116を介してCPU10が行う。
【0021】
また、CPU100には、記録装置1における記録媒体の搬送位置や搬送状態などを検出するための各種センサを含むセンサ群130が接続されている。このセンサ群130の中には、記録媒体の後述の給送部200から排紙部400に至る経路の中のどの部分に記録媒体が存在するかを検出するためのセンサが含まれる。このセンサとしては、
図6に示すように、給送された記録媒体Sの先端を検出し、搬送ベルト303上の所定の位置に記録媒体Sを給送するための給送センサ(第2の検出手段)110がある。また、記録ヘッド22による記録開始位置P4と合流位置P3との間には端部センサ111を設け、記録ヘッド22による記録前に、記録媒体Sの先端を検出する。さらに、搬送ベルト303に形成されている後述の検出孔321(
図4参照)の位置を検出する検出孔センサ105、記録媒体が排紙されたことを検出する排紙センサ113、搬送ベルトの移動量を検出するためのエンコーダ115(
図2参照)などがある。なお、エンコーダ115は、搬送ベルト303が掛け渡された一対のプーリと一体に回転する回動軸に固定されたコードホイールと投受光器とにより構成されている。
【0022】
これらのセンサから出力された検出信号は、CPU100に入力され、それらの検出信号を受けてCPU100は、各部の動作制御およびデータ処理などを行う。例えば、記録媒体の先端検出信号がCPU100に入力されると、記録媒体Sの搬送動作に同期して、イメージメモリ106から各色の記録データを順次読み出し、読み出したデータを記録ヘッド制御回路112を介して各記録ヘッド22に転送する。また記録ヘッド22の吐出性能を回復させる場合には、CPU100がモータ駆動部116を介してキャップ部材に連通するポンプモータ124を駆動し、キャップ部材を介して記録ヘッド22の吐出口からインクを吸引する吸引回復動作を実行させる。
【0023】
図3は、ホスト装置12から記録装置1に送信される記録コマンドを示す図である。記録コマンドとしては、記録媒体の種類、サイズ等を通知するための記録媒体設定コマンド301、記録領域等を指定するフォーマットコマンド302などがある。また、記録画像の記録データを通知するデータコマンド303、速度指定コマンド304、およびジョブ開始コマンド305なども記録コマンドに含まれ、この記録コマンドに基づいて記録が行われる。
【0024】
図4は、本実施形態において用いられる搬送ベルトに形成された吸気孔310の配置を示す図である。搬送ベルト303の予め決められた領域R内には、複数個の吸気孔310が群をなすように形成されている。以下、この領域R内に形成されている一群の吸気孔310を吸気孔群310Gという。また、領域Rは、記録媒体Sが設置される範囲内に設けられており、使用する最小の記録媒体によって完全に被覆され得る寸法・形状を有する領域となっている。本実施形態では、吸気孔群310Gを形成する領域Rを、環状をなす無端ベルトの中の2箇所に所定の間隔を介して配置されている。また、検出孔321から距離aだけ上流に離間した位置322は、記録媒体Sの先端S1を位置させるべき搬送ベルト上に定めた位置であり、この位置を以下の説明においてはベルト上媒体先端位置と称す。本実施形態では、このベルト上媒体先端位置322に記録媒体Sの先端S1を位置させることにより、記録媒体Sによって吸気孔群310Gを完全に覆い得るようになっている。
【0025】
上記のように、本実施形態における搬送ベルト103は、吸気孔群310G以外で空気の吸引が行われないように構成されている。つまり、搬送ベルト303を、記録媒体Sを設置する範囲と、記録媒体Sを載置しない範囲とに分け、記録媒体を載置する範囲内の領域Rにのみ吸気孔群310Gが形成されている。搬送ベルト303に給送された吸気孔群310Gが、給送された記録媒体によって完全に覆われた場合には、記録媒体の外側から空気が吸引されることはなくなる。このため、記録媒体Sの裏側への微小なインク滴の回り込みや、インク主滴の着弾ズレなどによる画像品質の低下は軽減される。なお、搬送ベルト303にはベルトの巡回位置を監視するために、検出孔321が形成されているが、ここに発生する気流は僅かであるため、記録媒体に形成される画像に影響を及ぼすことはない。
【0026】
従って、本実施形態では、吸気孔群G310Gを記録媒体Sで完全に覆い得るよう給送ローラ107による給送を、以下の制御によって適正かつ効率的に行うようになっている。
図5は、本実施形態における制御動作を示すフローチャートであり、このフローチャートと
図6および
図7に示す動作説明図に従って本実施形態における一連の記録動作を説明する。
【0027】
図6(a)に示す初期状態において、ホスト装置12から記録装置1へと記録開始指令が入力されると、CPU100は、ファンモータ324を駆動して吸気ファン323を回転させる(S501)。これにより、搬送ベルト303の吸気孔群310Gから空気の吸引が開始される。ここで、
図6(a)では、予め搬送ベルト303上に定めたベルト上媒体先端位置322が後述する搬送開始位置P5に位置しているものとする。
【0028】
ここで、図中のP0〜P5で示す位置は、記録装置1内に定めた位置であり、P1は記録媒体の給送経路中に定めた位置、P2〜P5は、搬送ベルト303が移動する環状のベルト移動経路上に定めた位置である。
【0029】
吸気ファン323の駆動を開始した後、CPU100は搬送モータ109を駆動する(S502)。搬送モータ109の駆動中は、検出孔センサ105によって搬送ベルト303上の検出孔321の検出を行い、検出孔321が検出されたタイミングに基づいて、エンコーダ115で搬送ベルト303の移動位置(ベルト上媒体先端位置322)を検出する。この搬送ベルト303の移動位置の検出は、最初の記録開始前に1回だけ行なえばよく、その後は、記録前に毎回検出を行ってもよいが、行なわなくとも適正な制御を行うことは可能である。すなわち、記録動作開始前に検出孔321の検出を行わない場合は、前回の搬送モータ109の停止時に、搬送ベルト303の移動位置をROM202またはRAM203に保存しておき、その保存したベルト位置に基づいて記録動作を行えばよい。
【0030】
次にCPU100は、クラッチ108を接続状態(ON)とし(S503)、給送ローラ107で初期位置P0に位置している記録媒体Sをピックアップし、搬送ベルト303へ向けて移動させる。ここで、CPU100は、給送センサ110によって記録媒体Sの先端S1が検出されたか否かを判断する(S504)。記録媒体Sの先端S1が検出されると、CPU100は記録媒体Sの先端S1が、所定位置P1に到達したか否かを判断する(S505)。これは、記録媒体Sの先端S1が給送センサ110に到達した後、
図2のエンコーダ115から出力されるパルス数が、予め定めたパルス数に達したか否かを判断することによって行う。そして、記録媒体Sの先端S1が所定位置P1に達したと判断すると、CPU100は、クラッチ108を遮断状態(OFF)とし(S506)、給送ローラ107の回転を停止させる(
図6(b)参照)。ここで、搬送ベルト303のベルト上媒体先端位置322に、前記記録媒体Sの先端S1が初めて到達する搬送経路上の位置を合流位置P3とすると、所定位置P1は、合流位置P3より上流の任意の位置に設定されている。
【0031】
この後、CPU100は、搬送ベルト303上に設定したベルト上媒体先端位置322がベルト給送位置P2に到達したか否かを判断する(S507)。ここで、ベルト給送位置P2とは、記録媒体Sの先端S1を所定位置P1から合流位置P3まで給送するためにかかる時間内に搬送ベルト303が移動する距離を、合流位置P3からA1に示す方向とは逆方向に遡った位置である。
【0032】
ベルト上媒体先端位置322がベルト給送位置P2に到達した時点で、CPU100はクラッチ108を接続状態とし(S508)、記録媒体Sの給送を再開させる(
図6(c))。また、CPU100は、給送している記録媒体Sに対して記録を行うべきページが最終ページであるか否かを判断する(S509)。ここで、記録を行うべきページが最終ページであると判断した場合には、現在給送している記録媒体Sが搬送ベルト303の吸着孔310によって吸着される位置(吸着位置)に到達したか否かを判断する(S510)。記録媒体が吸着位置に到達したと判断すると、CPU100はクラッチ108を遮断状態(OFF)とし(S511)、S512へと移行する。S511においてクラッチ108がOFFされた際、給送ローラ107は最終ページを記録するための記録媒体Sに接した状態にあり、搬送ベルト303によって搬送される記録媒体Sが給送ローラ107から抜け出すまで、記録媒体の移動に伴って従動回転する。なお、S509において、記録を行うべきページが最終ページではないと判断された場合にはS512へと移行する。
【0033】
次にCPU100は、端部センサ111が記録媒体Sの先端S1を検出したか否かを判断する(S512)。ここで、
図6(d)に示すように記録媒体Sの先端S1が端部センサ111に検出されたと判断すると、CPU100は、エンコーダ115からのパルス数が所定数に達した時点で記録媒体Sの先端S1が記録開始位置P4に到達したと判断する。そして、CPU100は、記録開始位置P4に達した記録媒体Sに対して記録動作を開始する(S513(
図7(a)))と共に、その記録ページが最終ページであるか否かを判断する(S514)。記録ページが最終ページでないと判断した場合、CPU100は前述のS504へと戻り、S504〜S514の動作を行なう。
【0034】
一方、S514において記録ページが最終ページであると判断した場合、CPU100はS515へと進み、排紙センサ113が記録媒体Sの終端を検出したか否かの判断を行う。ここで、終端が検出された場合には、画像が記録された記録媒体を排紙部400へと排出する(
図7(b))。さらに、CPU100は、搬送ベルト303のベルト上媒体先端位置322を搬送開始位置P5まで搬送させる(S516(
図7(c)))。なお、搬送開始位置P5とは、記録媒体Sの先端S1を初期位置P0から所定位置P1まで給送するためにかかる時間内に搬送ベルト303が搬送される距離を、ベルト給送位置P2からA1に示す方向と逆方向に遡った位置を指す。
【0035】
上記のようにしてベルト上媒体先端位置322を搬送開始位置P5まで移動させた後、CPU100は搬送モータ109を停止し(S517)、吸気ファン323を停止させる(S518)。
【0036】
このように本実施形態では、記録動作が終了しても搬送ベルト303の移動をすぐには停止させず、搬送ベルト303のベルト上媒体先端位置322を搬送開始位置P5まで移動させてから、搬送ベルト303の移動を停止させるようになっている。このため、次の記録動作開始指令を受けてから、給送動作や搬送ベルトの巡回移動を途中で停止させることなく迅速に記録動作へと移行することが可能になり、ファーストプリントに要する時間を大幅に短縮することができる。また、搬送ベルトの吸気孔群310Gを記録媒体Sによって完全に覆うことができるため、微小インク滴の記録媒体裏面への回り込みや、インク滴の着弾ズレなどを抑えることも可能になり、良好な画像品質を得ることができる。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を
図8ないし
図10を参照しつつ説明する。なお、この第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、
図1ないし
図4に示す構成を有するものとなっており、
図8ないし
図10において、第1の実施形態に示した部分と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、その説明の詳細は省く。
【0038】
以下、この第2の実施形態と第1の実施形態との相違点を中心に説明を行う。上記第1の実施形態では、搬送開始位置P5を、給送ローラ107による給送動作のみを考慮して設定する場合を示した。しかし、この第2の実施形態では給送ローラ107による給送動作時間だけでなく、記録ヘッド22とキャップ部材24それぞれのキャップ位置から記録可能位置への移動などの準備動作に要する時間も考慮して搬送開始位置P5が設定されている。
【0039】
図8は、第2の実施形態における制御動作を示すフローチャートであり、このフローチャートと
図9および
図10に示す動作説明図に従って本実施形態における一連の記録動作を説明する。
【0040】
図9(a)に示す初期状態において、ホスト装置12から記録装置1へと記録開始指令が入力されると、CPU100は、記録動作開始前の準備動作として、記録ヘッド22およびキャップ部材24をキャップ位置から記録可能位置へと移動させる。この記録可能位置への移動では、まず、キャップ部材24がキャップ位置(
図9(a))から記録位置(
図9(b))に移動し、その後、記録ヘッド22がキャップ位置(
図9(a))から記録位置(
図9(d))に移動する。ここで、
図9(a)では、予め搬送ベルト303のベルト上先端位置403が後述する搬送開始位置P5に位置しているものする。また、記録可能位置への移動が完了するまでに、記録媒体Sの先端S1が記録開始位置P4に到達するよう、搬送開始位置P5を算出する。算出方法は後述する。
【0041】
上記のようにして準備動作が終了すると、CPU100は、ファンモータ324を駆動して吸気ファン323を回転させる(S802)。これにより、搬送ベルト303の吸気孔群310Gから空気の吸引が開始される。ここで、
図9(a)では、予め搬送ベルト303上に定めたベルト上媒体先端位置322が後述する搬送開始位置P5に位置しているものとする。ここで、図中のP0〜P5で示す位置は、記録装置1内に定めた位置であり、P1は記録媒体の給送経路中に定めた位置、P2〜P5は、搬送ベルト303が移動する環状のベルト移動経路上に定めた位置である。
【0042】
吸気ファン323の駆動を開始した後、CPU100は搬送モータ109を駆動する(S803)。搬送モータ109の駆動中は、検出孔センサ105によって搬送ベルト303上の検出孔321の検出を行い、検出孔321が検出されたタイミングに基づいて、エンコーダ115で搬送ベルト303の移動位置(ベルト上媒体先端位置322)を検出する。この搬送ベルト303の移動位置の検出は、最初の記録開始前に1回だけ行なえばよく、その後は、記録前に毎回検出を行ってもよいが、行なわなくとも適正な制御を行うことは可能である。すなわち、記録動作開始前に検出孔321の検出を行わない場合は、前回の搬送モータ109の停止時に、搬送ベルト303の移動位置をROM202またはRAM203に保存しておき、その保存したベルト位置に基づいて記録動作を行えばよい。
【0043】
次にCPU100は、クラッチ108を接続状態(ON)とし(S804)、給送ローラ107で初期位置P0に位置している記録媒体Sをピックアップし、搬送ベルト303へ向けて移動させる。ここで、CPU100は、給送センサ110によって記録媒体Sの先端S1が検出されたか否かを判断する(S805)。記録媒体Sの先端S1が検出されると、CPU100は記録媒体Sの先端S1が、所定位置P1に到達したか否かを判断する(S806)。これは、記録媒体Sの先端S1が給送センサ110に到達した後、エンコーダ115から出力されるパルス数が、予め定めたパルス数に達したか否かを判断することによって行う。そして、記録媒体Sの先端S1が所定位置P1に達したと判断すると、CPU100は、クラッチ108を遮断状態(OFF)とし(S807)、給送ローラ107の回転を停止させる(
図9(b)参照)。ここで、搬送ベルト303のベルト上媒体先端位置322に、記録媒体Sの先端S1が初めて到達する搬送経路上の位置を合流位置P3とすると、所定位置P1は、合流位置P3より上流の任意の位置に設定されている。
【0044】
この後、CPU100は、搬送ベルト303上に設定したベルト上媒体先端位置322がベルト給送位置P2に到達したか否かを判断する(S808)。ここで、ベルト給送位置P2とは、記録媒体Sの先端S1を所定位置P1から合流位置P3まで給送するためにかかる時間内に搬送ベルト303が移動する距離を、合流位置P3からA1に示す方向とは逆方向に遡った位置である。
【0045】
ベルト上媒体先端位置322がベルト給送位置P2に到達した時点で、CPU100はクラッチ108を接続状態(ON)とし(S809)、記録媒体Sの給送を再開させる(
図9(c))。また、CPU100は、給送している記録媒体Sに対して記録を行うべきページが最終ページであるか否かを判断する(S810)。ここで、記録を行うべきページが最終ページであると判断した場合には、現在給送している記録媒体Sが搬送ベルト303の吸着孔310によって吸着される位置(吸着位置)に到達したか否かを判断する(S811)。記録媒体が吸着位置に到達したと判断すると、CPU100はクラッチ108を遮断状態(OFF)とし(S812)、S813へと移行する。S812においてクラッチ108がOFFされた際、給送ローラ107は最終ページを記録するための記録媒体Sに接した状態にあり、搬送ベルト303によって搬送される記録媒体Sが給送ローラ107から抜け出すまで、記録媒体の移動に伴って従動回転する。なお、S810において、記録を行うべきページが最終ページではないと判断された場合にはS813へと移行する。
【0046】
次にCPU100は、端部センサ111が記録媒体Sの先端S1を検出したか否かを判断する(S813)。ここで、
図9(d)に示すように記録媒体Sの先端S1が端部センサ111に検出されたと判断すると、CPU100は、エンコーダ115からのパルス数が所定数に達した時点で記録媒体Sの端S1が記録開始位置P4に到達したと判断する。そして、S811において記録媒体Sへの記録動作を開始する(S814(
図10(a))と共に、その記録ページが最終ページであるか否かを判断する(S815)。記録ページが最終ページでないと判断した場合、CPU100は前述のS805へと戻り、S805〜S815の動作を行なう。
【0047】
一方、S815において記録ページが最終ページであると判断した場合、CPU100はS816へと進み、排紙センサ113が記録媒体Sの終端を検出したか否かの判断を行う。ここで終端が検出された場合には、画像が記録された記録媒体を排紙部400へと排出すると共に(
図10(b))、記録ヘッド22とキャップ部材24のキャップ位置への移動を開始させる(S817)。さらに、CPU100は、S814において搬送ベルト303のベルト上媒体先端位置322を搬送開始位置P5まで搬送させる(
図10(c))。なお、搬送開始位置P5とは、記録媒体Sの先端S1を初期位置P0から所定位置P1まで給送するためにかかる時間内に搬送ベルト303が搬送される距離を、ベルト給送位置P2からA1に示す方向と逆方向に遡った位置である。
【0048】
ここで、搬送開始位置P5の算出方法について説明する。まず、記録媒体Sを初期位置P0から所定位置P1まで給送する時間をT1(給送時間T1)とし、所定位置P1から記録開始位置P4まで記録媒体Sを移動する時間をT2(時間T2)とする。また、記録ヘッド22とキャップ部材24を、キャップ位置から記録可能位置へと移動させる時間をT3(記録前動作時間T3)とする。ここで、T3と(T1+T2)とを比較し、(T1+T2)がT3未満であれば、記録準備時間は(T3−T2)とし、(T1+T2)がT3以上であれば、記録準備時間はT1とする。
【0049】
本実施形態の場合、記録媒体Sを、初期位置P0から所定位置P1まで給送する時間T1と、所定位置P1から記録開始位置P4まで記録媒体を移動する時間をT2とを合わせた時間(T1+T2)よりも、記録ヘッド22と、キャップ部材24を、キャップ位置から記録位置に移動する時間T3の方が大きいため、記録準備時間は(T3−T2)となる。
【0050】
上記のようにしてベルト上媒体先端位置322を搬送開始位置P5まで移動させた後、CPU100は搬送モータ109を停止し(S819)、吸気ファン323を停止させる(S820)。さらに、CPU100は、記録ヘッド22およびキャップ部材24を、記録ヘッド22の吐出口を覆うキャップ位置へと移動させた後、記録ヘッド22およびキャップ部材24の移動を停止させる(S821)。
【0051】
このように、この第2の実施形態においては、記録ヘッド22およびキャップ部材24の移動に要する時間を記録録準備時間とし、この記録準備時間を考慮して搬送開始位置P5を設定している。このため、記録準備時間を利用して効率的に搬送ベルトの位置設定を行なうことができ、ファーストプリントに要する時間の短縮化をより確実に実現することができる。また、搬送ベルトの吸気孔群310Gを記録媒体Sによって完全に覆うことができるため、記録媒体の裏面への微小インク滴の回り込みや、インク滴の着弾ズレなども抑えることができ、良好な画像品質を得ることができる。
【0052】
(他の実施形態)
上記のように第2の実施形態では、記録ヘッド22とキャップ部材24のキャップ位置から記録可能位置への移動時間を勘案して記録準備時間を算出している。しかし、キャップ位置から記録準備位置への移動に限らず、回復、予備吐、温調等の記録前に行うべき他の動作に要する時間に基づいて、記録準備時間を算出するようにしてもよい。このとき、複数種の記録準備動作を想定することも可能である。
【0053】
さらに、上記各実施形態においては、記録動作終了時に、搬送ベルト303のベルト上媒体先端位置322を搬送開始位置P5に位置させる制御を行うようにしたが、記録開始前の初期化時に、搬送ベルトのベルト上媒体先端位置の設定位置を調整してもよい。
【0054】
また、搬送開始位置は、記録動作毎に変更されるようにすることも可能である。例えば、次回の記録開始時に前回と異なる記録準備動作を行う場合、次回の記録開始時の記録前動作時間を予め算出しておく。そして、前回の記録動作終了時もしくは次回の記録動作開始前に、搬送ベルトのベルト上媒体先端位置を変更された搬送開始位置に位置させるようにすることも可能である。これによれば、記録動作の状況に応じて適正な搬送開始位置を設定することが可能になり、より精密にファーストプリントの短縮化を図ることができる。
【0055】
また、第1、第2の実施形態では、搬送ベルト303と給送ローラ107を共通の駆動源(単一の搬送モータ)109で駆動し、給送ローラ107にクラッチ108を備える例を示した。しかし、搬送ベルト303と給送ローラ107に対してそれぞれ個別の駆動源を用い、それらの駆動源を独立して制御するように構成してもよい。この場合、搬送開始位置は、ベルト給送位置とすることが可能であり、前回の記録終了時または初期化時に、搬送ベルト303のベルト上媒体先端位置323をベルト給送位置P2に位置させる。
【0056】
また、記録準備時間T3が(T1+T2)以下である場合は、給送ローラにより記録媒体を所定位置P1まで移動させた後に、搬送モータを駆動する。このとき、T3>0である場合には、給送ローラ駆動開始から((T1+T2)−T3)後に、記録準備動作を開始する。
【0057】
さらに、記録準備時間T3が(T1+T2)より長い場合には、記録準備動作を開始後、(T3−(T1+T2))経過後に、給送ローラによる給送を開始し、記録媒体を所定位置P1まで搬送後に、搬送モータを駆動する。
【0058】
また、速度指定コマンド304で、前回の記録速度と異なる記録速度が指定された場合は、搬送モータ109の速度を駆動前または駆動中に変更することで、給送動作や記録ヘッドの記録準備動作と、搬送ベルト303のタイミングとのずれを防止する。例えば、前回の記録速度より遅い記録速度が指定された場合、ベルト給送位置までは、前回より大きい速度で搬送モータ109を駆動し、その後、ベルト給送位置前に減速し、ベルト給送位置からは指定速度で搬送モータ109を駆動するようにしてもよい。
【0059】
また、前回の記録速度より高い記録速度が指定された場合は、ベルト給送位置までは、前回より低い速度で搬送モータを駆動し、ベルト給送位置前に加速し、ベルト給送位置からは指定速度で搬送モータを駆動する。このようにして、記録媒体の給送動作や記録ヘッドの記録準備動作と、搬送ベルト303のタイミングとのずれを防止することで、ファーストプリントに要する時間の増大を防ぐこともできる。