特許第6321526号(P6321526)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321526
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/00 20060101AFI20180423BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20180423BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   F24C1/00 320C
   F24C1/00 360A
   F24C15/00 D
   C02F1/28 R
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-231026(P2014-231026)
(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公開番号】特開2016-95078(P2016-95078A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一
(72)【発明者】
【氏名】米倉 祐志
(72)【発明者】
【氏名】矢野 寛
(72)【発明者】
【氏名】平川 俊成
(72)【発明者】
【氏名】森 悟
【審査官】 黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−078224(JP,A)
【文献】 特開平08−294449(JP,A)
【文献】 特開平06−335672(JP,A)
【文献】 特開2012−229836(JP,A)
【文献】 特開2010−271017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00− 1/16
F24C 7/00−7/10
F24C 15/00
A47J 27/14−27/18
F22B 1/00− 3/08
F22D 1/00−11/06
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を収容する調理庫と、
前記調理庫内を加熱するヒータと、
前記調理庫内の空気を対流させるファン装置と、
前記調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置と
前記ヒータと前記ファン装置と前記蒸気発生装置の作動を制御する制御装置とを備え、
外部の給水源から導出した給水管路を浄水器を介して少なくとも前記蒸気発生装置に接続し、前記制御装置は前記給水管路に介装した1つ以上の給水弁の開放時間と前記給水管路を通過する水の流量から前記給水管路を通過した水量を水量算出プログラムにより算出し、算出した水量に基づいて前記浄水器のメンテナンス時期を報知するようにした加熱調理器であって、
前記制御装置は、前記蒸気発生装置に所定量の水を供給する給水時間から前記給水管路を通過する水の流量を算出する流量算出プログラムを備え、
前記水量算出プログラムは前記流量算出手段により算出した水の流量と前記給水弁の開放時間とに基づいて前記給水管路を通過した水量を算出するようにしたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項に記載の加熱調理器において、
前記流量算出プログラムを算出するときに計測される給水時間の範囲毎に前記給水源の給水圧に応じた前記水の流量を設定しておき、
前記水量算出プログラムは前記給水時間の範囲で設定された前記水の流量と前記給水弁の開放時間とに基づいて前記給水管路を通過した水量を算出するようにしたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理器おいて、
前記給水管路の一部を構成する蒸気量算出用給水管路を前記調理庫の排気経路に接続するとともに、前記蒸気量算出用給水管路には前記1つ以上の給水弁の1つを構成する蒸気量算出用給水弁を介装し、前記蒸気量算出用給水弁を秒単位の短い時間よりなる複数の開放時間で開放したときの前記排気経路の温度変化に基づいて前記調理庫内の蒸気量を検出するものであり、
前記水量算出プログラムは前記蒸気量算出用給水管路を通過する水の流量を前記蒸気量算出用給水弁を秒単位の短い時間よりなる複数の開放時間で開放したときの開放時間に対応した水の流量に変更して前記蒸気量算出用給水管路を通過した水量を算出するようにしたことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理庫内の食材を蒸気を含んだ空気によって加熱調理することができる蒸気発生装置を備えた加熱調理器に関し、特に、給水源からの水を浄水器を介して加熱調理器に供給するときに、浄水器のメンテナンス時期を報知するようにした加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蒸気発生装置を備えた加熱調理器が開示されている。この加熱調理器は、食材を収容する調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させるファン装置と、調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置とを備えている。この加熱調理器は、ヒータによる加熱とファン装置による空気の対流によって調理庫内の食材を熱風にって加熱調理する熱風調理モードと、蒸気発生装置によって供給される蒸気によって加熱調理する蒸気調理モードと、ヒータによる加熱とファン装置による空気の対流によって生じる熱風と蒸気発生装置によって供給される蒸気とによって加熱調理するコンビ調理モードとからなる調理プログラムを有し、調理庫内に収容した食材の調理方法に応じて各モードの調理プログラムを選択して調理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−271017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加熱調理器は、蒸気発生装置等に給水するために水道等の給水源から導出した給水管に接続されており、給水源の水は給水管に介装した浄水器によりミネラル成分等の不純物を取り除かれた状態で加熱調理器に供給されている。一般的に、浄水器は濾過した水の量に応じたフィルタ等の濾材の交換時期があり、浄水器を濾材の交換時期を過ぎて使用すると、加熱調理器の蒸気発生装置等にミネラル成分等の不純物がスケールとして堆積するおそれがある。これに対応するために、本願出願人は、加熱調理器において、給水管に介装した給水弁の開放時間と給水弁を開放したときに給水管を通過する予め設定した水の流量とから給水管を通過した水量、すなわち浄水器を通過した水量を算出し、算出した水量に基づいて浄水器のメンテナンス時期を表示するようにしている。
【0005】
水道等の給水源の給水圧は加熱調理器を設置した施設により変わることが多く、給水管を通過する水の流量は給水源の給水圧によって変わることになっていた。このため、上記のように、給水管を通過する予め設定した水の流量を用いて給水管を通過した水量を算出したのでは、給水管を通過した水量を正確に算出できず、浄水器の正確なメンテナンス時期を表示することができなかった。これに対して、給水管の浄水器より下流側に減圧弁を介装して、加熱調理器に給水される水の圧力を一定圧力以下に低下させるようにすれば、加熱調理器に給水される水の圧力を標準的な水圧に低下させることができ、高い水圧に起因して給水管を通過する正確な水量を算出できないことを防ぐことができる。
【0006】
しかし、加熱調理器を設置した施設によっては、水道等の給水源の給水圧が減圧弁の設定圧力より低いときや、浄水器の濾材の目詰まりに起因した圧力損失によって、減圧弁を通過する水の水圧が減圧弁の設定圧力より低下することがあった。このように減圧弁の設定圧力より低い水圧で加熱調理器に水を供給したときには、給水管を通過する水の流量が予め設定した水の流量より低くなり、上述したように給水管に介装した給水弁の開放時間と給水弁を開放したときに給水管を通過する予め設定した水の流量とから給水管を通過した水量を算出しても、算出した水量が実際に給水管を通過した水量より多くなり、浄水器の正確なメンテナンス時期を表示することができなかった。本発明は、給水源からの水を浄水器を介して加熱調理器に供給するときに、浄水器のメンテナンス時期を正確に報知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、食材を収容する調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させるファン装置と、調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置と、ヒータとファン装置と蒸気発生装置の作動を制御する制御装置とを備え、外部の給水源から導出した給水管路を浄水器を介して少なくとも蒸気発生装置に接続し、制御装置は給水管路に介装した1つ以上の給水弁の開放時間と給水管路を通過する水の流量から給水管路を通過した水量を水量算出プログラムにより算出し、算出した水量に基づいて浄水器のメンテナンス時期を報知するようにした加熱調理器であって、制御装置は、蒸気発生装置に所定量の水を供給する給水時間から給水管路を通過する水の流量を算出する流量算出プログラムを備え、水量算出プログラムは流量算出手段により算出した水の流量と給水弁の開放時間とに基づいて給水管路を通過した水量を算出するようにしたことを特徴とする加熱調理器を提供するものである。
【0009】
上記のように構成した加熱調理器においては、制御装置は、蒸気発生装置に所定量の水を供給する給水時間から給水管路を通過する水の流量を算出する流量算出プログラムを備え、水量算出手段は流量算出手段により算出した水の流量と給水弁の開放時間とに基づいて給水管路を通過した水量を算出したので、加熱調理器を設置した施設の給水源の給水圧に関わらず、また、浄水器の使用状態によって給水管路の給水圧が低下することがあっても、流量算出手段によって算出された給水管路を通過する正確な水の流量を用いて、水量算出手段によって給水管路を通過した水量を正確に算出できるようになり、浄水器の正確なメンテナンス時期を報知するようになった。
【0010】
上記のように構成した加熱調理器においては、流量算出プログラムを算出するときに計測される給水時間の範囲毎に給水管路の給水圧に応じた水の流量を設定しておき、水量算出プログラムは給水時間の範囲で設定された水の流量と給水弁の開放時間とに基づいて給水管路を通過した水量を算出するのが好ましく、このようにしたときには、流量算出プログラムにより水の流量を算出するときの演算の負荷を減らすことができた。
【0011】
上記のように構成した加熱調理器においては、給水管路の一部を構成する蒸気量算出用給水管路を調理庫の排気経路に接続するとともに、蒸気量算出用給水管路には1つ以上の給水弁の1つを構成する蒸気量算出用給水弁を介装し、蒸気量算出用給水弁を秒単位の短い時間よりなる複数の開放時間で開放したときの排気経路の温度変化に基づいて調理庫内の蒸気量を検出するようにしてもよい。このようにしたときには、蒸気量算出用給水弁を開放した直後は止水された状態から一気に水が放出されるために流量が多く、その後は解放した直後より流量が少なくなり、例えば1秒間開放したときの流量と、5秒間開放したときの流量とが互いに異なることとなっていた。これに対応するために、水量算出プログラムは蒸気量算出用給水管路を通過する水の流量を蒸気量算出用給水弁を秒単位の短い時間よりなる複数の開放時間で開放したときの開放時間に対応した水の流量に変更して蒸気量算出用給水管路を通過した水量を算出するようにしたので、蒸気量算出用給水弁を秒単位の短い時間よりなる複数の開放時間で開放したときにも、蒸気量算出用給水弁の秒単位の各開放時間に応じた蒸気量算出用給水管路を通過する水の流量に基づいて蒸気量算出用給水管路を通過した正確な水量を算出することができた。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の加熱調理器の概略図である。
図2】制御装置を示すブロック図である。
図3】給水圧と第1分岐管の水の流量との関係を示すグラフである。
図4】蒸気発生装置に所定量の水を供給するときの給水時間と第1分岐管の水の流量との関係を示すグラフである。
図5】給水圧と第2分岐管の水の流量との関係を第2給水弁を開放した時間毎(1秒、2秒及び5秒)に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による加熱調理器の一実施形態を図面を用いて説明する。図1に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内に食材を収容する調理庫12を備えている。調理庫12内には調理庫12内を加熱するヒータ13と、調理庫12内の空気を対流させるファン装置14と、調理庫12内の温度を検出する庫内温度センサ15が設けられている。調理庫12の底面には排気口12aが形成されており、排気口12aには排気管16が接続されている。排気管16はハウジング11内にて後述する蒸気発生装置20の排水に用いるタンク17に接続されており、タンク17には調理庫12内の蒸気量を算出するための蒸気量算出用温度センサ18が設けられている。
【0014】
ハウジング11内には調理庫12内に蒸気を供給する蒸気発生装置20が設けられており、蒸気発生装置20は上述したタンク17の上側に立設している。蒸気発生装置20は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器21に導電性部材よりなる金属製の複数の加熱棒(図示省略)を収容しており、蒸気発生容器21の外周には誘導加熱コイル22が巻回されいる。蒸気発生装置20は、誘導加熱コイル22に高周波電流を供給することで加熱棒の周囲に磁界を発生させ、この磁界により加熱棒に渦電流が流れるときの電気抵抗によって発生するジュール熱で蒸気発生容器21内の水を加熱し、蒸気発生容器21内の水から蒸気を発生させるものである。また、蒸気発生容器21の側部には水位を検知するための水位検知容器23を備えており、水位検知容器23の下部が蒸気発生容器21に連通接続されている。水位検知容器23内にはフロートスイッチ24が収容されており、蒸気発生容器21内の水位はこのフロートスイッチ24の検出水位に基づいて所定の水位(所定量の水)となるように制御されている。
【0015】
加熱調理器10は水道等の外部の給水源から導出した給水管(給水管路)30に接続されている。給水管30には加熱調理器10のハウジング11の外部にて浄水器Fが介装されており、浄水器Fは水道等の給水源の水に含まれるミネラル成分等の不純物を内蔵するフィルタ等の濾材により取り除く機能を有している。浄水器Fの濾材は通過した水の量に応じた交換時期を有している。また、給水管30の浄水器Fより下流側には減圧弁Rが設けられており、減圧弁Rは給水源から加熱調理器10に供給される水の給水圧(水圧)を所定圧力として0.16Mpaより低くなるように調整している。
【0016】
給水管30は加熱調理器10のハウジング11内部にて分岐ソケット31に接続され、分岐ソケット31から導出した第1分岐管(給水管路)32は蒸気発生装置20の水位検知容器23に接続され、分岐ソケット31から導出した第2分岐管(給水管路を構成して、本願請求項に記載の蒸気量算出用給水管路である)33はタンク17に接続されている。第1分岐管32には第1給水弁34が介装されており、給水源の水は第1給水弁34を開放する事によって給水管30と第1分岐管32とを通って蒸気発生装置20に供給される。第2分岐管33には第2給水弁35が介装されており、給水源の水は第2給水弁35を開放する事によって給水管30と第2分岐管33とを通ってタンク17に供給される。第2分岐管33からタンク17に供給された水はタンク17内にて蒸気量算出用温度センサ18に噴射される位置に設けられている。
【0017】
加熱調理器10は、図2に示したように、ヒータ13、ファン装置14(のファンモータ)、庫内温度センサ15、蒸気量算出用温度センサ18、誘導加熱コイル22、フロートスイッチ24、第1及び第2給水弁34,35に接続された制御装置40を備えている。制御装置40は、マイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
【0018】
制御装置40は、RAMに調理庫内の食材を加熱調理する各種調理プログラムを有している。調理プログラムはヒータ13による加熱とファン装置14による空気の対流によって調理庫12内の食材を加熱調理する熱風調理モードと、蒸気発生装置20によって供給される蒸気によって加熱調理する蒸気調理モードと、ヒータ13による加熱とファン装置14による空気の対流によって生じる熱風と蒸気発生装置20によって供給される蒸気とによって加熱調理するコンビ調理モードとからなる。制御装置40は、例えばコンビ調理プログラムを実行したときに、庫内温度センサ15の検出温度に基づいて調理庫12内の温度が所定温度となるようにヒータ13の作動を制御するとともに、ファン装置14と蒸気発生装置20とを作動(特に誘導加熱コイル22に高周波電流を供給させる)させることによって蒸気を含んだ熱風を対流させている。
【0019】
制御装置40はハウジング11の前面に設けた操作パネル41に接続されており、操作パネル41には操作スイッチと表示パネル部が設けられている。操作パネル41の各種操作スイッチを操作することで調理プログラムを選択可能となっており、操作スイッチにより選択した調理プログラムを表示パネル部に表示するようになっている。
【0020】
また、制御装置40はRAMに給水管(給水管路)30を通過した水量(浄水器Fを通過した水量でもある)を算出する水量算出プログラム(水量算出手段)を有しており、水量算出プログラムにより算出した水量に基づいて操作パネル41の表示パネル部に浄水器Fのメンテナンス時期を表示(報知)させるようになっている。水量算出プログラムは第1及び第2給水弁34,35の解放時間と第1及び第2分岐管(給水管路)32,33とを通過する水の流量から給水管30(給水管路)を通過した水量を算出している。
【0021】
加熱調理器10を設置した施設によっては、水道等の給水源の給水圧(水圧)が減圧弁Rの設定圧力より低い場合がある。図3に示したように、水道等の給水源の給水圧が低くなると、第1分岐管32(給水管30及び第2分岐管33も同様である)を通過する水の流量も低くなる。このため、水量算出プログラムは第1及び第2分岐管(給水管路)32,33を通過する流量を給水管30の給水圧に応じて変更可能としている。加熱調理器10を施設に設置する際に、水道等の給水源の給水圧を計測し、図3に示した給水圧と流量との関係に基づいて水量算出プログラムの第1分岐管32(第2分岐管33も同様であり、給水圧と第2分岐管33の流量との関係を図5に示している)を通過する水の流量を設定可能としている。ここで、第1分岐管32を通過する水の流量は水道等の給水源の給水圧の範囲に応じて3段階に設定するようにしている。すなわち、水道等の給水源の給水圧が0.1Mpa以上(この実施形態では給水管30に介装した減圧弁Rによって加熱調理器10に入るときに水圧は0.16以下となるように調整されているので、給水源の給水圧が0.16Mpa以上であっても給水管30の減圧弁Rより下流側が0.16Mpaに調整されている)の範囲(図中の標準の給水圧)にあるときには、第1分岐管32を通過する水の流量を平均的な2.25L/mlとし、水道等の給水源の給水圧が0.06〜0.1Mpaの範囲(図中の中圧の給水圧)にあるときには、第1分岐管32とを通過する水の流量を平均的な1.75L/mlとし、水道等の給水源の給水圧が0.025〜0.06MPaの範囲(図中の低圧の給水圧)にあるときには第1分岐管32を通過する水の流量を平均的な1.1L/mlとしている。なお、図5に示したように、第2分岐管33の流量も水道等の給水源の給水圧の範囲に応じて3段階に設定するようにしている。なお、給水源の給水圧の範囲によって第1及び第2分岐管32,33の流量を設定するものに限られず、給水源の給水圧に基づいて第1及び第2分岐管32,33の流量を設定するものであってもよい。
【0022】
上記のように構成した加熱調理器10の作動を、コンビ調理モードの調理プログラムを実行したときの作動により説明する。操作パネル41よってコンビ調理モードの調理プログラムを選択して実行させると、制御装置40は、ヒータ13、ファン装置14及び蒸気発生装置20の作動を制御して、調理庫12内を蒸気を含んだ熱風を対流させて収容した食材を加熱調理する。具体的には、制御装置40は、庫内温度センサ15の検出温度に基づいて調理庫12内の温度が設定温度となるようにヒータ13の作動を制御するとともに、庫内温度センサ15と蒸気量算出用温度センサ18との各検出温度の相関関係に基づいて調理庫12内の蒸気量を検知して、調理庫12内を設定蒸気量となるように蒸気発生装置20の作動を制御している。調理庫12内の蒸気量を検知するときには、第2給水弁35を秒単位の短い時間として例えば1秒、2秒または5秒間開放して、第2分岐管33から蒸気量算出用温度センサ18に水を噴射し、庫内温度センサ15と噴射後の蒸気量算出用温度センサ18との各検出温度の相関関係に基づいて調理庫12内の蒸気量を検知している。
【0023】
加熱調理器10のコンビ調理モードによる調理プログラムを実行しているときに、制御装置40は、水量算出プログラムを実行して給水管30を通過した水量を算出し、操作パネル41の表示パネル部に浄水器Fのメンテナンス時期を表示(報知)可能としている。水量算出プログラムは、第1給水弁34の開放時間と第1分岐管32の水の流量とから第1分岐管32を通過した水量と、第2給水弁35の開放時間と第2分岐管33の水の流量とから第2分岐管33とを通過した水量とを算出して、これら第1及び第2分岐管32,33を通過した水の量の総和である給水管30を通過した水の量(浄水器Fを通過した水の量でもある)をRAMに記憶している。また、制御装置40は、水量算出プログラムにより算出した給水管30を通過した水量に基づいて操作パネル41の表示パネル部に浄水器Fの濾材の交換時期等のメンテナンス時期を表示(報知)可能としている。操作パネル41の操作スイッチを押動操作したときに、水量算出プログラムにより算出して積算した総水量を浄水器Fの濾材を通過させることができる通水可能な水量により除した値を操作パネル41の表示パネル部にパーセント表示で表示させている。なお、加熱調理器10のコンビ調理モードの調理プログラムを実行しているときに、制御装置40が水量算出プログラムを実行している実施形態について説明したが、蒸気調理モードによる調理プログラムを実行しているときにも、制御装置40に水量算出プログラムを実行させるようにもしていうる。
【0024】
上記のように構成した加熱調理器10は、水道等の外部の給水源から導出した給水管(給水管路)30に接続され、給水管30には水に含まれるミネラル成分等の不純物をフィルタ等の濾材により取り除く浄水器Fが介装されている。給水管30は加熱調理器10のハウジング11内にて分岐ソケット31によって第1及び第2分岐管32,33に接続され、給水管30は第1及び第2分岐管32,33を介して蒸気発生装置20とタンク17とに接続されている。
【0025】
この加熱調理器10においては、制御装置40は給水管路を構成する第1及び第2分岐管32,33に介装した第1及び第2給水弁34,35の各開放時間と第1及び第2分岐管32,33を通過する水の各流量とから第1及び第2分岐管32,33を通過した水量、すなわち、給水管30を通過した水量を算出する算出プログラムを有している。算出プログラムは第1及び第2分岐管32,33を通過する水の流量を水道等の給水源の給水圧(水圧)に応じて変更可能としている。これにより、加熱調理器10を設置した施設の水道等の給水源の給水圧に関わらず、水量算出プログラムによって給水管30を通過した水量を正確に算出できるようになり、浄水器Fの正確なメンテナンス時期を報知するようになった。
【0026】
特に、加熱調理器10を設置した施設の水道等の給水源の給水圧が高いときには、水道等の給水源の給水圧を減圧弁Rによって所定圧力として例えば0.16Mpaとなるように調整できるが、水道等の給水源の給水圧が減圧弁Rの設定圧力より低いときには、給水管30、第1及び第2分岐管32,33を通過する水の流量が給水圧によって変わることとなっていた。このように、水道等の給水源の給水圧が標準の給水圧(減圧弁Rによる設定圧力である0.16MPa)より低いときであっても、水道等の給水源の給水圧に応じた第1及び第2分岐管32,33の流量を用いて、給水管30を通過した正確な水の量を算出することができるようになり、浄水器Fの正確なメンテナンス時期を報知することができるようになった。また、給水源の給水圧を標準的な給水圧と、中圧の給水圧及び低圧の給水圧の範囲における平均的な流量を用いるようにしているので、水量算出プログラムにより給水管30を通過した水量を算出するときに、演算の負荷を減らすことが可能となった。
【0027】
上記の加熱調理器10においては、水道等の給水源の給水圧を計器により計測し、制御装置40には操作パネル41から計測した給水圧を入力することにより、制御装置40は入力された給水圧に対応した第1及び第2分岐管32,33の水の各流量を図3及び図5のグラフから導きだすようにしている。本発明はこのようなものに限られるものでなく、図4に示した蒸気発生装置20に所定量の水を供給する給水時間と第1分岐管32を通過する水の流量との相関関係に示されているように、流量算出プログラムにより蒸気発生装置20に所定量の水を供給する給水時間から第1分岐管32を通過する水の流量を算出するようにしたものであってもよい。
【0028】
具体的には、加熱調理器10によりコンビ調理モード(蒸気調理モードでもよい)を実行しているときに、制御装置40は第1給水弁34を開放してからフロートスイッチ24により蒸気発生容器21(水位検知容器23を含む)内に所定量の水が供給されたことを検出するまでの時間を計測し、蒸気発生容器21(水位検知容器23を含む)に供給された所定量の水の量をフロートスイッチ24により所定量の水が供給された時間で除することにより、第1分岐管32を通過する水の流量を算出する。なお、第2分岐管33を通過する水の流量は第1分岐管32を通過する水の流量と相関関係を有しているので、第2分岐管33を通過する水の流量を第1分岐管32を通過する水の流量に基づいて算出すればよい。
【0029】
このような加熱調理器10を継続的に使用したときには、浄水器Fの濾材には水道等の給水源に含まれる不純物が徐々に詰まり、給水源の給水圧は給水管30の浄水器Fより下流側で浄水器Fの濾材の詰まりに起因した圧力損失によって徐々に低下することがある。上記のように流量算出プログラムにより蒸気発生装置20に所定量の水を供給する給水時間から第1分岐管32を通過する水の流量を算出し、水量算出手段は流量算出手段により算出した第1分岐管32(第2分岐管33)の水の流量と第1給水弁34(第2給水弁35)の開放時間とに基づいて給水管30を通過した水量を算出するようにしたものであれば、給水管30の浄水器Fの下流側で浄水器Fの濾材の詰まりに起因して(浄水器Fの使用状態によって)給水圧が変わることがあっても、流量算出手段によって第1分岐管32(第2分岐管33)を通過する正確な水の流量を算出し、算出した第1分岐管32(第2分岐管33)を通過する正確な水の流量を用いて水量算出手段によって給水管30を通過した水量を正確に算出できるようになり、浄水器Fの正確なメンテナンス時期を報知するようになった。また、図4に示したように、蒸気発生容器21(水位検知容器23を含む)に所定量の水を供給する給水時間の範囲毎に、標準の給水圧に基づいた流量(この実施形態では給水時間が4分〜8分であるときに流量を2.25L/minとする)、中圧の給水圧に基づいた流量(この実施形態では給水時間が8分〜11分であるときに流量を1.75L/minとする)、低圧の給水圧に基づいた流量(この実施形態では給水時間が11分以上であるときに流量を1.1L/minとする)と設定してもよく、このようにしたときには、流量算出手段により第1分岐管32(第2分岐管33)を通過する水の流量を算出するときの演算の負荷を減らすことができた。
【0030】
また、蒸気量算出用の第2給水弁35を開放するときには、第2給水弁35を1秒、2秒または5秒の秒単位の短い時間の開放時間で開放するようにしている。このように、第2給水弁35を1秒、2秒または5秒の秒単位の短い時間の開放時間で開放したときには、第2給水弁35を開放した直後は止水された状態から一気に水が放出されるために流量が多く、その後は解放した直後より流量が少なくなり、図5に示したように、1秒間開放したときの流量と、2秒間開放したときの流量と、5秒間開放したときの流量とが互いに異なることとなっていた。
【0031】
これに対応するために、水量算出手段は第2分岐管(蒸気量算出用給水管路)33を通過する水の流量を第2給水弁(蒸気量算出用給水弁)35を秒単位の短い時間よりなる3つ(複数)の開放時間で開放したときの開放時間に対応した水の流量に変更して第2分岐管33を通過した水量を算出するようにした。これにより、第2給水弁35を1秒、2秒または5秒よりなる秒単位の短い時間よりなる3つの開放時間で開放したときにも、第2給水弁35の秒単位の各開放時間に応じた第2分岐管33を通過する水の流量に基づいて第2分岐管33を通過した正確な水量を算出することができるようになる。このように、第1分岐管32だけでなく第2分岐管33を通過した正確な水量を算出できるので、第1及び第2分岐管32,33の各水量の総和である給水管30の水量も正確に算出でき、この算出した給水管30の水量に基づいて浄水器Fの濾材の交換時期を正確に表示することができるようになった。
【0032】
上記の実施形態においては、給水管路は給水管30と第1及び第2分岐管32,33からなるが、本発明はこれに限られるものでなく、第2分岐管33を廃して、給水管30だけ、または、給水管30と第1分岐管32とを蒸気発生装置20に接続したものであってもよい。また、給水管路はさらに調理庫12内を洗浄するための洗浄管を備えたものであってもよい。この場合には、洗浄管に洗浄用給水弁を介装し、洗浄用給水弁の開放時間と洗浄管の水の流量とから洗浄管を通過した水量を算出して、算出した洗浄管を通過した水量を他の給水管路を通過した水量に加算して全ての給水管路を通過した水量を算出するようにしてもよい。この場合にも、洗浄管の流量を上記の第1及び第2分岐管32,33の流量と同様に給水源の給水圧に応じて変更可能とすればよい。
【0033】
上記の実施形態においては、水量算出プログラムにより算出して積算した総水量を浄水器Fの濾材を通過させることができる通水可能な水量により除した値を操作パネル41の表示パネル部にパーセント表示で浄水器Fのメンテナンス時期(フィルタ等の濾材の交換時期)として表示させたが、本発明はこれに限られるものでなく、浄水器Fのメンテナンス時期を操作パネル41に設けたランプの点灯、点滅等により表示するようにしてもよいし、警告音等の音により報知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10…加熱調理器、12…調理庫、13…ヒータ、14…ファン装置、16…排気管(排気経路)、20…蒸気発生装置、30…給水管路(給水管)、32…給水管路(第1分岐管)、33…給水管路、蒸気量算出用給水管路(第2分岐管)、34…給水弁(第1給水弁)、35…給水弁、蒸気量算出用給水弁(第2給水弁)、F…浄水器。
図1
図2
図3
図4
図5