(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記アシストモータの動作を停止させる、または、前記アシストモータの出力を制限する前よりも前記アシストモータの出力を低下させることにより、前記アシストモータの出力を制限する
請求項2または3に記載の自転車用アシスト装置の制御装置。
前記制御部は、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの出力の比率を、前記アシストモータの出力が制限される前と実質的に同じ大きさに戻す、または、前記比率を、前記アシストモータの出力が制限された後よりも増加させることにより、前記アシストモータの出力の制限を解除する
請求項2〜4のいずれか一項に記載の自転車用アシスト装置の制御装置。
前記制御部は、前記アシストモータの出力を制限する前の前記アシストモータの出力に基づいて、前記アシストモータの出力を制限するときの前記アシストモータの出力の大きさを決定する
請求項2〜5のいずれか一項に記載の自転車用アシスト装置の制御装置。
前記第1センサは、前記変速領域の回転位置を直接的に検出する、または、前記スプロケットに連結されるクランクシャフトの回転位置を検出することにより、前記変速領域の回転位置を間接的に検出する
請求項8に記載の自転車用アシスト装置の制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の制御装置は、変速動作時のアシストモータの出力の制御に関して、自転車の運転状態を考慮していないため、アシストモータの出力の制御についてなお改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、アシストモータの出力を適切に制御できる自転車用アシスト装置の制御装置、および、この制御装置を備える自転車用アシスト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕本発明に従う自転車用アシスト装置の制御装置の一形態は、人力駆動力をアシストするアシストモータを制御する制御部を備え、変速機が複数のスプロケットの間でチェーンを掛け替えるための変速動作を行うときに、前記制御部は、前記スプロケットの回転位置に基づいて、前記アシストモータの出力を制御する。
【0007】
〔2〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記制御部は、前記スプロケットの回転位置に基づいて、前記アシストモータの出力を制限する。
〔3〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記制御部は、前記スプロケットの回転位置に基づいて、前記アシストモータの出力を制限した後に、前記アシストモータの出力の制限を解除する。
【0008】
〔4〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記制御部は、前記アシストモータの動作を停止させる、または、前記アシストモータの出力を制限する前よりも前記アシストモータの出力を低下させることにより、前記アシストモータの出力を制限する。
【0009】
〔5〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記制御部は、前記人力駆動力に対する前記アシストモータの出力の比率を、前記アシストモータの出力が制限される前と実質的に同じ大きさに戻す、または、前記比率を前記アシストモータの出力が制限された後よりも増加させることにより、前記アシストモータの出力の制限を解除する。
【0010】
〔6〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記制御部は、前記アシストモータの出力を制限する前の前記アシストモータの出力に基づいて、前記アシストモータの出力を制限するときの前記アシストモータの出力の大きさを決定する。
【0011】
〔7〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記制御部は、前記複数のスプロケットのそれぞれに応じて、前記アシストモータの出力を制限するときの前記アシストモータの出力の大きさを決定する。
【0012】
〔8〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記スプロケットに形成される変速領域の回転位置を検出するための第1センサをさらに備え、前記制御部は、前記第1センサの検出結果に基づいて前記アシストモータの出力を制御する。
【0013】
〔9〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記第1センサは、前記変速領域の回転位置を直接的に検出する、または、前記スプロケットに連結されるクランクシャフトの回転位置を検出することにより、前記変速領域の回転位置を間接的に検出する。
【0014】
〔10〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記制御部は、前記変速領域の回転位置が所定の範囲外から前記所定の範囲内に変化したことに基づいて、前記アシストモータの出力を制限する。
【0015】
〔11〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記制御部は、前記変速機の変速動作が完了したことに基づいて前記アシストモータの出力の制限を解除する。
〔12〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記制御部は、前記変速領域の回転位置が所定の範囲内から前記所定の範囲外に変化したことに基づいて、前記アシストモータの出力の制限を解除する。
【0016】
〔13〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記所定の範囲は、前記変速機が変速動作時に前記チェーンを押し出す位置と関連付けて決められている。
〔14〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記制御部は、前記変速機が変速動作を開始する前に前記アシストモータの出力を制御する。
【0017】
〔15〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記制御部は、前記スプロケットの回転位置に基づく前記変速機の動作に応じて、前記アシストモータの出力を制限する。
【0018】
〔16〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記制御部は、前記変速機を操作する変速操作装置の動作を検出する第2センサの検出結果に基づいて、前記アシストモータの出力を制御する。
【0019】
〔17〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記スプロケットは、フロントスプロケットであり、前記変速機は、フロント変速機である。
〔18〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記フロントスプロケットは、クランクシャフトと同期して回転する。
【0020】
〔19〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記フロントスプロケットは、クランクシャフトと非同期で回転する。
〔20〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記スプロケットは、リアスプロケットであり、前記変速機は、リア変速機である。
〔2
1〕前記自転車用アシスト装置の制御装置の一例によれば、前記アシストモータは、前記スプロケットに駆動力を与える。
【0021】
〔2
2〕本発明に従う自転車用アシスト装置の一形態は、〔1〕〜〔2
1〕のいずれかに記載の自転車用アシスト装置の制御装置と、前記アシストモータとを備える。
【発明の効果】
【0022】
自転車用アシスト装置の制御装置、および、自転車用アシスト装置によれば、アシストモータの出力を適切に制御できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照して自転車10の構成について説明する。
自転車10は、フレーム12、ハンドルバー14、前輪16、後輪18、駆動機構20、バッテリユニット22、フロント変速機24、リア変速機26、操作装置28、サスペンション調節装置30F,30R、シート調節装置32、および、アシスト装置34を備えている。
【0025】
駆動機構20は、クランクアーム36、クランクシャフト38、ペダル40、フロントスプロケット42、リアスプロケット44、および、チェーン46を含む。
クランクアーム36は1つのクランクシャフト38を介して回転可能にフレーム12に取り付けられている。クランクシャフト38は、アシスト装置34に回転可能に支持されている。アシスト装置34は、フレーム12に支持されている。アシスト装置34は、クランクシャフト38と連結される出力部を有する。クランクシャフト38と出力部との間の動力伝達経路には、人力駆動力を検出するトルクセンサ83(
図4参照)が設けられている。アシスト装置34の出力部は、筒状に形成されており、クランクシャフト38と出力部とは同軸に設けられている。クランクシャフト38と出力部とは、回転不能に連結されていてもよく、クランクシャフト38が前転するときには、フロントスプロケット42も前転するようにその間にワンウェイクラッチを介して連結されていてもよい。ペダル40は、ペダル軸まわりに回転可能にクランクアーム36に取り付けられている。
【0026】
フロントスプロケット42は、アシスト装置34の出力部に連結されている。フロントスプロケット42は、クランクシャフト38と同軸に設けられている。フロントスプロケット42は、クランクシャフト38と相対回転しないように連結されている。フロントスプロケット42は、複数のスプロケットを含む。本実施形態では、フロントスプロケット42は、例えば第1フロントスプロケット42A、および、第2フロントスプロケット42Bを含む。
【0027】
リアスプロケット44は、後輪18の車軸18Aまわりに回転可能に取り付けられている。リアスプロケット44は、ワンウェイクラッチ(図示略)を介して後輪18に連結されている。リアスプロケット44は、複数のスプロケットを含む。本実施形態では、例えば10枚のフロントスプロケットを含む。
【0028】
チェーン46は、フロントスプロケット42とリアスプロケット44とに巻き掛けられている。ペダル40に加えられる人力駆動力によりクランクアーム36が回転するとき、フロントスプロケット42、チェーン46、および、リアスプロケット44により後輪18が回転する。
【0029】
バッテリユニット22は、バッテリ48、および、バッテリ48をフレーム12に着脱可能に取り付けるためのホルダ50を備える。バッテリ48は、1または複数のバッテリセル(図示略)を含む。バッテリ48は、充電式電池である。バッテリ48は、サスペンション調節装置30F,30R、シート調節装置32、変速制御装置56(
図4参照)、および、アシスト制御装置80(
図4参照)に電力を供給する。
【0030】
フロント変速機24およびリア変速機26は、外装型変速機である。
操作装置28は、ハンドルバー14に取り付けられている。
サスペンション調節装置30Fは、自転車10の前サスペンションのダンピング、リバウンド、硬さ、および、高さの少なくとも一つを無段階に、または、段階的に調節する。サスペンション調節装置30Rは、自転車10の後サスペンションのダンピング、リバウンド、硬さ、および、高さの少なくとも一つを無段階に、または、段階的に調節する。サスペンション調節装置30F,30Rには、バッテリ48から電力が供給される。操作装置28は、サスペンション調節装置30F,30Rを動作させるための操作部を含む。サスペンション調節装置30F,30Rは、操作装置28の操作に応じて動作する。操作部は、例えばスイッチにより実現される。
【0031】
シート調節装置32は、自転車10のサドルSの高さを段階的に、または、無段階に調節する。シート調節装置32には、バッテリ48から電力が供給される。シート調節装置32は、シートポストを伸縮させる伸縮機構を含む。伸縮機構は、モータによりシートポストを伸縮させてもよく、油圧または空気圧によりシートポストを伸縮させる構成であってもよい。なお、油圧または空気圧によりシートポストを伸縮させる構成を採用する場合、シート調節装置32は、バルブのみを制御し、サドルSの高さはユーザにより調節される。操作装置28は、シート調節装置32を動作させるための操作部を含む。シート調節装置32は、操作装置28の操作に応じて動作する。操作部は、例えばスイッチにより実現される。
【0032】
図2および
図3を参照してフロントスプロケット42の構成について説明する。
第1フロントスプロケット42A、および、第2フロントスプロケット42Bには、周方向に複数の歯が形成されている。第1フロントスプロケット42Aは、第2フロントスプロケット42Bよりも大径に構成されている。第1フロントスプロケット42Aと第2フロントスプロケット42Bとは、互いに歯数が異なる。第1フロントスプロケット42Aには、複数の変速領域が形成されている。複数の変速領域は、第1変速領域43A、および、第2変速領域43Bを含む。一例として、第1フロントスプロケット42Aには、4か所の第1変速領域43A、および、2ヶ所の第2変速領域43Bが形成されている。
【0033】
第1変速領域43Aは、フロント変速機24のチェーンガイド52(
図1参照)が第2フロントスプロケット42Bから第1フロントスプロケット42Aにチェーン46(
図1参照)を掛け替える変速動作(シフトアップ動作)に利用される。第1変速領域43Aには、チェーン46を第1フロントスプロケット42Aの歯に導くための凹所および突起の少なくとも一方が形成されている。
【0034】
第2変速領域43Bは、フロント変速機24のチェーンガイド52(
図1参照)が第1フロントスプロケット42Aから第2フロントスプロケット42Bにチェーン46(
図1参照)を掛け替える変速動作(シフトダウン動作)に利用される。
【0035】
シフトアップ動作では、4か所の変速領域43Aのうちのいずれかの変速領域43Aが、フロントスプロケット42の変速範囲RA(
図1参照)を通過するときにチェーン46が掛け替えられる。変速範囲RAは、チェーンガイド52がチェーン46(
図1参照)を押し出す位置を含む範囲であり、「所定の範囲」に相当する。変速範囲RAは、フロント変速機24(
図1参照)が変速動作時にチェーン46を押し出す位置と関連付けて決められている。
【0036】
一方、シフトダウン動作では、2ヶ所の変速領域43Bのうちのいずれかの変速領域43Bが、変速範囲RAを通過するときにチェーン46が掛け替えられる。
図4を参照して、自転車10の電気的構成について説明する。
【0037】
フロント変速機24は、チェーンガイド52(
図1参照)を駆動する変速モータ54、および、変速モータ54の出力を制御する変速制御装置56を備える。
変速制御装置56は、変速モータ54と接続される駆動回路58、および、駆動回路58に供給する電力を制御する制御部60、および、チェーンガイド52の位置を検出するガイド位置センサ61を備える。
【0038】
操作装置28は、変速操作装置62およびアシスト操作装置64を含む。
変速操作装置62は、変速スイッチ66、および、変速スイッチ66が操作されたことに基づいて、変速要求信号を変速制御装置56、および、アシスト装置34のアシスト制御装置80に出力する変速センサ68を備える。変速スイッチ66は、シフトアップ用の第1変速スイッチ、および、シフトダウン用の第2変速スイッチ(共に図示略)を含む。変速スイッチ66は、押しボタン式のスイッチであってもよく、レバー式のスイッチであってもよい。
【0039】
アシスト操作装置64は、アシストスイッチ70を備える。アシストスイッチ70は、操作されることによりアシスト要求信号をアシスト制御装置80に出力するオンスイッチ70A、および、操作されることによりアシスト停止信号をアシスト制御装置80に出力するオフスイッチ70Bを備える。アシストスイッチ70は、1つのスイッチを操作すると、アシスト要求信号とアシスト停止信号とを選択的に出力させる構成としてもよい。
【0040】
アシスト装置34は、変速操作装置62およびアシスト操作装置64と電気的に接続されている。アシスト装置34は、フロントスプロケット42(
図1参照)を回転させる人力駆動力をアシストするアシストモータ74、および、アシストモータ74の出力を制御するアシスト制御装置80を備える。アシストモータ74は、ワンウェイクラッチおよび減速機を介してクランクシャフト38とフロントスプロケット42(
図1参照)との間の動力伝達経路に連結されている。
【0041】
アシスト制御装置80は、アシストモータ74と接続される駆動回路82、人力駆動力を検出するトルクセンサ83、および、駆動回路82に供給する電力を制御する制御部84を備える。アシスト制御装置80は、フロント変速機24に対するフロントスプロケット42の変速領域43A,43B(
図3参照)の回転位置を検出する回転位置センサ86を備える。
【0042】
制御部84は、アシスト操作装置64からアシスト要求信号が入力されると、トルクセンサ83の検出結果に基づいて、アシストモータ74を駆動させる。制御部84は、アシスト操作装置64からアシスト停止信号が入力されたことに基づいて、アシストモータ74を停止させる。
【0043】
回転位置センサ86は、クランクシャフト38とフロントスプロケット42との間の動力伝達経路にワンウェイクラッチがある場合、フロントスプロケット42の回転位置を検出することにより、変速領域43A,43B(
図3参照)の回転位置を検出する。回転位置センサ86は、クランクシャフト38とフロントスプロケット42との間の動力伝達経路にワンウェイクラッチがない場合、クランクシャフト38およびフロントスプロケット42の少なくともいずれか一方の回転位置を検出することにより、変速領域43A,43Bの回転位置を検出する。回転位置センサ86は、フロントスプロケット42の基準位置を検出する基準位置センサ、および、基準位置からの回転位置を検出する相対回転位置センサを含む。基準位置センサは、例えばリードスイッチによって構成され、フロントスプロケット42の基準位置に設けられる磁石を検出する。相対回転位置センサは、フロントスプロケット42またはクランクシャフト38に取り付けられ、周方向に交互に極性の異なる部分を有する多極リング磁石の磁場を検出する。
【0044】
制御部84は、フロント変速機24がシフトアップ動作、または、シフトダウン動作を行うときに、フロントスプロケット42の回転位置に基づいて、アシストモータ74の出力を制御するモータ出力制御を実行する。
【0045】
図5を参照して、モータ出力制御の処理手順の一例について説明する。本実施形態においては、フロント変速機24が、シフトアップ動作を行う場合について説明する。なお、本制御は、フロント変速機24が、シフトダウン動作を行う場合についても同様の思想に基づいて実行される。
【0046】
制御部84は、アシスト操作装置64からアシスト要求信号が入力されたことに基づいて本制御を開始する。制御部84は、アシスト操作装置64からアシスト停止信号が入力されたことに基づいて本制御を終了する。
【0047】
ステップS11において、制御部84は、変速センサ68から変速要求信号が入力され、かつ、変速可能か否かを判定する。制御部84は、変速センサ68から変速要求信号が入力され、かつ、変速可能である旨判定したとき、ステップS12に処理を進める。制御部84は、ガイド位置センサ61の検出結果に基づいて、第1フロントスプロケット42Aにチェーン46が掛っている旨判定したときには、変速要求信号が入力されても次のステップに処理を進めず、再びステップS11の処理を実行する。なお、制御部84は、シフトダウン動作の場合、ステップS11において、ガイド位置センサ61の検出結果に基づいて、第2フロントスプロケット42Bにチェーン46が掛っている旨判定したときには、変速要求信号が入力されても次のステップに処理を進めず、再びステップS11の処理を実行する。
【0048】
ステップS12において、制御部84は、回転位置センサ86の検出結果に基づいて、第1フロントスプロケット42Aのいずれかの第1変速領域43Aの回転位置が、変速範囲RA内に存在するか否かを判定する。制御部84は、第1フロントスプロケット42Aのいずれかの第1変速領域43Aの回転位置が、変速範囲RA内に存在する旨判定したとき、ステップS13に処理を進める。なお、制御部84は、シフトダウン動作の場合、ステップS12において、第1フロントスプロケット42Aのいずれかの第2変速領域43B(
図3参照)の回転位置が、変速範囲RA内に存在するか否かを判定する。
【0049】
ステップS13において、制御部84は、アシストモータ74の出力を低下させることによりアシスト力を制限する。制御部84は、アシストモータ74の出力を制限する前のアシストモータ74の出力に基づいて、アシストモータ74の出力を制限するときのアシストモータ74の出力の大きさを決定する。制御部84は、例えば、アシストモータ74の出力を制限する前のアシストモータ74の出力が大きいほど、アシストモータ74の出力の低下量を大きくする。
【0050】
一方、ステップS12において、制御部84は、第1フロントスプロケット42Aのいずれかの第1変速領域43Aの回転位置が変速範囲RA内に存在しない旨判定したとき、ステップS14に処理を進める。なお、制御部84は、シフトダウン動作の場合、ステップS12において、第1フロントスプロケット42Aのいずれかの第2変速領域43Bの回転位置が変速範囲RA内に存在しない旨判定したとき、ステップS14に処理を進める。
【0051】
ステップS14において、制御部84は、回転位置センサ86の検出結果に基づいて、第1フロントスプロケット42Aのいずれかの第1変速領域43Aの回転位置が、変速範囲RA外から変速範囲RA内に変化したか否かを判定する。制御部84は、第1フロントスプロケット42Aのいずれかの第1変速領域43Aの回転位置が変速範囲RA外から変速範囲RA内に変化した旨判定したとき、ステップS13に処理を進める。なお、制御部84は、シフトダウン動作の場合、第1フロントスプロケット42Aのいずれかの第2変速領域43Bの回転位置が、変速範囲RA外から変速範囲RA内に変化したか否かを判定する。
【0052】
ステップS15において、制御部84は、回転位置センサ86の検出結果に基づいて、第1フロントスプロケット42Aのいずれかの第1変速領域43Aの回転位置が変速範囲RA内から変速範囲RA外に変化したか否かを判定する。制御部84は、第1フロントスプロケット42Aのいずれかの第1変速領域43Aの回転位置が変速範囲RA内から変速範囲RA外に変化した旨判定したとき、ステップS16に処理を進める。なお、制御部84は、シフトダウン動作の場合、第1フロントスプロケット42Aのいずれかの第2変速領域43Bの回転位置が変速範囲RA内から変速範囲RA外に変化したか否かを判定する。
【0053】
ステップS16において、制御部84は、アシストモータ74の出力の制限を解除する。制御部84は、例えば、人力駆動力に対するアシストモータ74の出力の比率を、アシストモータ74の出力が制限される前と実質的に同じ大きさに戻すことにより、アシストモータ74の出力の制限を解除し、ステップS11に移行する。
【0054】
アシスト制御装置80の作用および効果について説明する。
アシスト制御装置80の制御部84は、変速要求信号が入力されたとき、換言すれば、フロント変速機24が変速動作を行うときに、フロントスプロケット42の回転位置に基づいて、アシストモータ74の出力を制限する。また、制御部84は、アシストモータ74の出力を制限した後、フロントスプロケット42の回転位置に基づいて、アシストモータ74の出力の制限を解除する。このように、制御部84は、自転車10の運転状態の一例であるフロントスプロケット42の回転位置に基づいて、アシストモータ74の出力を制御するため、より適切にアシストモータ74の出力を制御できる。
【0055】
アシスト制御装置80は、さらに以下の効果を奏する。
(1)制御部84は、フロント変速機24が変速動作を行うときに、フロントスプロケット42の回転位置に基づいて、アシストモータ74の出力を制限するため、アシストモータ74の出力の制限を開始するタイミングをより適切に設定できる。
【0056】
(2)制御部84は、フロント変速機24が変速動作を行うときに、フロントスプロケット42の回転位置に基づいて、アシストモータ74の出力の制限を解除するため、アシストモータ74の出力の制限を解除するタイミングをより適切に設定できる。このため、変速動作が完了した後にアシストをすぐに再開できる。
【0057】
(3)制御部84は、フロント変速機24が変速動作を行うときに、アシストモータ74の出力を制限する前よりもアシストモータ74の出力を低下させることにより、アシストモータ74の出力を制限する。これにより、フロント変速機24のチェーンガイド52がチェーン46を掛け替えるときにチェーン46に作用する張力が低下する。このため、2つのフロントスプロケット42の間でチェーン46が適切に掛け替えられやすい。
【0058】
(4)制御部84は、人力駆動力に対するアシストモータ74の出力の比率を、アシストモータ74の出力が制限される前と実質的に同じ大きさに戻すことにより、アシストモータ74の出力の制限を解除する。このため、変速動作の前後でアシスト力が大きく変わりにくいため、安定した走行を行える。
【0059】
(5)制御部84は、アシストモータ74の出力を制限する前のアシストモータ74の出力に基づいて、アシストモータ74の出力を制限するときのアシストモータ74の出力の大きさを決定する。このため、フロント変速機24が変速動作を行うときに、アシストモータ74の出力を常に一定の大きさで低下させる場合と比較して、より適切にアシストモータ74の出力を低下させることができる。
【0060】
(6)回転位置センサ86は、第1変速領域43Aおよび第2変速領域43Bの回転位置を直接的に検出するため、フロントスプロケット42の回転位置の検出の精度が高められる。このため、より適切にアシストモータ74の出力を制御できる。
【0061】
(7)制御部84は、いずれかの第1変速領域43Aの回転位置が変速範囲RA外から変速範囲RA内に変化したことに基づいて、アシストモータ74の出力を制限する。このため、例えば、変速センサ68から変速要求信号が入力されたことに基づいてアシストモータ74の出力を制限する場合と比較して、アシストモータ74の出力の制限が開始されるタイミングを遅らせることができる。
【0062】
(8)例えば、変速要求信号が入力されたことに基づいて、所定の時間、アシストモータ74の出力を制限する場合、所定の時間としては、フロント変速機24がシフトアップ動作、または、シフトダウン動作を完了できる十分な時間が設定される。このため、設定される所定の時間、すなわち、アシストモータ74の出力が制限されている時間が長くなりやすい。一方、制御部84は、いずれかの第1変速領域43Aの回転位置が変速範囲RA内から変速範囲RA外に変化したことに基づいて、アシストモータ74の出力の制限を解除する。このように、制御部84は、第1フロントスプロケット42Aの回転位置に基づいて、アシストモータ74の出力の制限を解除するため、アシストモータ74の出力が制限されている時間が長くなりにくい。
【0063】
上記実施形態に関する説明は、本発明に従うアシスト装置、および、その制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従うアシスト装置、および、その制御装置は、実施形態以外に例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0064】
・変形例の制御部84は、モータ出力制御のステップS13において、アシストモータ74の動作を停止させる。
・変形例の制御部84は、モータ出力制御のステップS16において、人力駆動力に対するアシストモータ74の出力の比率を、アシストモータ74の出力が制限された後よりも増加させることにより、アシストモータ74の出力の制限を解除する。
【0065】
・変形例の駆動機構20は、互いに歯数の異なる3つ以上のフロントスプロケット42を備える。この変形例の駆動機構20を備える自転車10に搭載された制御部84は、モータ出力制御のステップS13において、複数の変速ステージ、つまり複数のフロントスプロケットのそれぞれに応じて、アシストモータ74の出力を制限するときのアシストモータ74の出力の大きさを決定する。すなわち、この変形例の各フロントスプロケットに応じて、アシストモータ74の出力を制限するときのアシストモータ74の出力の大きさを異ならせる。この変形例の制御部84は、例えば、変速動作の前のフロントスプロケットの歯数が多いほど、アシストモータ74の出力を制限するときのアシストモータ74の出力の低下量を大きくする。
【0066】
・変形例の回転位置センサ86は、フロントスプロケット42がクランクシャフト38と同期して回転する構成の自転車10に搭載される。この変形例の回転位置センサ86は、フロントスプロケット42に連結されるクランクシャフト38の回転位置を検出することにより、第1変速領域43Aおよび第2変速領域43Bの回転位置を間接的に検出する。
【0067】
・変形例のフロント変速機24を備える自転車10に搭載される制御部84は、モータ出力制御のステップS15において、ガイド位置センサ61の検出結果に基づいてフロント変速機24の変速動作が完了したか否かを判定する。この変形例の制御部84は、フロント変速機24の変速動作が完了したことに基づいて、ステップS16に処理を進める。
【0068】
・変形例の制御部84は、モータ出力制御のステップS15において、アシストモータ74の出力を低下させてから所定の時間が経過したか否かを判定する。この変形例の制御部84は、アシストモータ74の出力を低下させてから所定の時間が経過した旨判定したとき、ステップS16に処理を進める。なお、所定の時間は、変速動作が完了する十分な時間として試験により予め設定されている。
【0069】
・変形例の第1フロントスプロケット42Aは、周方向の任意の位置に1か所〜3か所、または、5ヶ所以上の第1変速領域43Aを備える。
・変形例の第1フロントスプロケット42Aは、周方向の任意の位置に1か所または複数か所の第1変速領域43Aのみを備える。
【0070】
・変形例の第1フロントスプロケット42Aは、周方向の任意の位置に1か所、または、3ヶ所以上の第2変速領域43Bを備える。
・変形例の第1フロントスプロケット42Aは、周方向の任意の位置に1か所または複数か所の第2変速領域43Bのみを備える。
【0071】
・変形例のリアスプロケット44は、最も歯数の少ないリアスプロケットを除く各スプロケットに第1変速領域および第2変速領域の少なくともいずれか一方が形成されている。この変形例のリアスプロケット44を備える自転車10に搭載される制御部84は、リア変速機26の変速動作においても、フロント変速機24の変速動作の場合と同様の考え方に基づいてモータ出力制御を実行する。
【0072】
・変形例の制御部84は、ステップS15において、複数の第1変速領域43Aが変速範囲RAを通過したことを判定し、複数の第1変速領域43Aが変速範囲RAを通過したと判定した場合、ステップS16に処理を進める。制御部84は、ステップS15において、例えば2つの第1変速領域43Aが変速範囲RAを通過したことを判定する。例えば、周方向に隣接する第1変速領域43Aが、チェーン46の位相に応じて異なる形状に形成される場合がある。この場合、ステップS15において、少なくとも2つの第1変速領域43Aが変速範囲RAを通過したことを判定することにより、変速動作の精度を向上させることができる。
【0073】
・変形例の制御部84は、ステップS12の処理を省略し、ステップS11でYESと判定した場合、ステップS14に処理を進める。これにより第1変速領域43Aが変速範囲RAを通過するときに、第1変速領域43Aのほぼ全域でアシストモータ74の出力を低下させることができる。また所定の範囲を、変速範囲RAよりも大きな範囲に設定してもよい。所定の範囲は、変速範囲RAと、変速範囲RAからフロントスプロケット42が逆転する方向に予め定める第1角度範囲を含む。第1角度範囲は、例えば10°〜30°の範囲から選ばれる。これにより、第1変速領域43Aが変速範囲RAを通過するときに、第1変速領域43Aの全域でアシストモータ74の出力を低下させることができる。
【0074】
・変形例の自転車10は、機械式の変速機、シフター、および、シフター検出センサを備える。
機械式の変速機は、フロント変速機であり、シフトケーブルの巻き取り量に応じてパンタグラフが動作し、複数のフロントスプロケット42A,42Bの間でチェーン46を掛け替える。シフターは、例えばハンドルバー14に取り付けられ、運転者に操作されることによりシフトケーブルを巻き取る。シフター検出センサは、運転者によりシフターが操作されたことを検出する。シフター検出センサは、運転者によりシフターが操作されたことを検出したことに基づいて、シフター操作信号を制御部84に出力する。
【0075】
この変形例の自転車10に搭載される制御部84は、シフター操作信号が入力されたことに基づいて、アシストモータ74の出力を制御する。例えば、この変形例の制御部84は、シフター操作信号が入力されたことに基づいて、フロント変速機が変速動作を開始する前にアシストモータ74の出力を制限して、ステップS15以降の処理を実行する。