【実施例】
【0033】
実施例1: 骨髄接着ストロマ細胞 (MASC) の調製
ヒトドナーから得られた骨髄吸引物を50 mlチューブに12.5 mlのアリコートに分け、12.5 mlの成長培地 (ペニシリン/ストレプトマイシン及び2 mM L-グルタミンを救援したαMEM中の10% FBSを含む) を各チューブに加えた。該チューブの内容を引っくり返して混合し、8分間、200 x gで遠心した。上の透明な相を捨て、下相の体積を新鮮な成長培地で25 mlに調整し、チューブを再度混合し遠心した。上層を再度除いた。各チューブにおける下相の体積を、再度25 mlに調整し、チューブの内容を250 mlチューブにプールした。トリパンブルー排除法による細胞濃度の測定及び核のある細胞数の測定後に、100 x 10
6総有核細胞/フラスコの密度で、フラスコ当たり40 ml成長培地中で、細胞をT225フラスコに播いた。フラスコをCO
2インキュベータ中で3日間37℃でインキュベートした。その間、MASCはフラスコに付着した。
【0034】
3日後、フラスコを振動させ、培養培地を捨てることによって非付着細胞を除いた。各フラスコを40 mlのペニシリン/ストレプトマイシンを救援したαMEMで3回洗浄し; 次いで、40 mlの予備加温した (37℃) 成長培地を各フラスコに加え、細胞をCO
2インキュベータ中でインキュベートした。この間、培地を3〜4日毎に40 mlの新鮮成長培地と交換し、細胞をコロニーの成長及び細胞密度についてモニターした。
【0035】
培養が25〜30%のコンフルエンスに達した時(通常、10,000〜20,000細胞/コロニー、10〜14日間)、MASC(継代M0)は、一度に、最大10 T-225フラスコから採取した。フラスコから培地を除き、接着細胞を20 mlのDPBS w/o Ca/Mg (DPBS -/-, HyClone) で2回濯いだ。10 mlの0.25%トリプシン/EDTA (Invitrogen, Carlsbad, CA) を各フラスコに加え、フラスコを室温で約5分間インキュベートした。細胞を剥離し、コロニーを単一細胞に分散させた時に、トリプシンは、10 mlの成長培地の添加、次いで緩やかに混合することによってインキュベートした。細胞懸濁液は、該フラスコから除き、250 mlチューブにプールした。該チューブを200 x gで8分間遠心に供した。上清を注意して除き、湿った細胞ペレットは、約1x10
6細胞/mlの推定細胞濃度に成長培地中に再懸濁した。生細胞数を測定し、細胞は、成長培地で2 x 10
6細胞/フラスコの濃度でT225フラスコに播いた (継代M1)。2〜3日毎に培地を交換しながら、細胞を3〜5日間あるいは85〜90%コンフルエントになるまで成長させた。85〜90%コンフルエンスで、継代M1細胞をトリプシン処理によって採取し、上記の2 x 10
6細胞/T225フラスコで再度播いて、継代M2培養物を作製した。必要ならば、M2培養物に3日間毎に新鮮培地を供給した。継代M2培養物が85〜90%コンフルエンスに近づいた時に(通常、3〜5日間以内)、トランスフェクションのために採取してNRCを作製するか(以下実施例2)、あるいは将来の使用のために凍結した(以下実施例3)。
【0036】
実施例2: 神経再生細胞 (NRC) の調製
NRCは、継代M2培養物から採取されたMASCから直接作製するか、あるいは実施例3に記載のように凍結し、実施例4に記載のように解凍及び回復させた、継代M2 MASCから作製した。
【0037】
A. トランスフェクション混合物の調製
神経再生細胞が、ノッチ細胞内ドメインをコードするプラスミドを用いる継代M2 MASCのトランスフェクションによって作製した。プラスミド (pCI-ノッチ) は、pCI-neo骨格 (Promega, Madison, WI) であって、細胞内ドメインをコードするヒトノッチ-1タンパク質のアミノ酸1703〜2504をコードする配列が複数のクローニング部位に挿入されている骨格を含んだ。MASCの各フラスコについては、40μgのプラスミド及び0.2 mlのFugene 6(登録商標)溶液を含む5 mlのトランスフェクション混合物を使用した。トランスフェクション混合物を作製するために、好適な量のFugene 6(登録商標)溶液(トランスフェクトされる細胞のフラスコ数による)を、ガラスピペットを用いて、殺菌した250 mlチューブ中のαMEMに加えた。該溶液を緩やかに混合し、室温で5分間インキュベートした。次いで、プラスミドDNAの好適な量をFugene 6(登録商標)/αMEM混合物に少しずつ加え、ゆっくりと加え、室温で30分間インキュベートした。
【0038】
Fugene 6(登録商標)/αMEM混合物へのpCI-ノッチDNAの添加の前に、5 mlをとり、15 mlチューブに入れ、40μgのpEGFPプラスミドを加えた。トランスフェクション効率の対照として、この溶液は1つのフラスコの細胞をトランスフェクトするために使用した。
【0039】
B. トランスフェクション
トランスフェクションのために、継代M2 MASCを(実施例1に記載のようにして)トリプシン処理によって採取し、T225フラスコ当たり40 mlの成長倍地中で2.5 x 10
6細胞の密度で播種した。細胞が50〜70%コンフルエンスに達した時に(通常、18〜24時間内)、その成長倍地を35 ml/トランスフェクション倍地のフラスコ (αMEM + ペニシリン/ストレプトマイシン無しの10% FBS) と交換することによってトランスフェクションのために調製した。トランスフェクション倍地の導入後3時間、5 mlのトランスフェクション混合物(上記のセクションA)を、成長表面に接触しないように該倍地に直接ピペットし、次いで緩やかに混合することによって、各T-225フラスコに加えた。トランスフェクション効率の決定のために、対照T-225フラスコを40μgのpEGFPプラスミドでトランスフェクトした。トランスフェクション倍地で24時間37℃で倍地をインキュベートした後、トランスフェクション倍地をαMEM + 10% FBS + ペニシリン/ストレプトマイシンと交換した。
【0040】
C. 移植された細胞の分泌
上記倍地を40 ml/選択倍地(100μg/ml G-418を含む成長倍地)のフラスコと交換することによってトランスフェクション後48時間にプラスミドDNAを組み込んだ細胞を選択した。新鮮な選択倍地を3日間、再度、選択開始の5日後に提供した。7日後、選択倍地を除き、細胞を40 mlの成長倍地で培養した。培養物を約3週間(18〜21日間)成長させ、2〜3日毎に新鮮な成長倍地で再培養した。選択開始後約3週間に、生存細胞がコロニーを形成し始めた時に細胞を採取した。吸引ピペットを用いて倍地をフラスコから除き、20 mlのCa
2+/Mg
2+無しのDPBSを各フラスコに室温で加えた。培養表面を緩やかに濯ぎ、洗浄溶液を吸引によって除き、濯ぎステップを繰り返した。次いで、10 mlの予備加温した (37℃) 0.25% トリプシン/EDTAを各フラスコに加え、成長表面を濯ぎ、フラスコを5〜10分間室温でインキュベートした。培養物を顕微鏡でモニターし、細胞の完全な剥離を確認した。剥離は完全であった時に、トリプシンは10 mlの成長倍地/フラスコの添加によって不活性化した。混合物を培養表面で濯ぎ。10 mlピペットで4〜5回ピペッティングすることによって混合し、懸濁液を50 mlのコニカル遠心チューブに移した。いくつかのフラスコから採取した細胞を単一チューブに集めた。塊がある場合には、該細胞を静置させ、懸濁液を別のチューブに取り出した。細胞懸濁液を室温で8分間、200 x gで遠心した。上清を吸引によって除いた。該チューブを軽く叩くことによって細胞ペレットをほぐし、約10 mlのCa
2+/Mg
2+無しのDPBSを各チューブに加え、細胞を10 mlピペットで4〜5回ピペッティングして再懸濁して、均一な懸濁液を得た。
【0041】
D. トランスフェクトされた細胞の増大
トランスフェクトされ、選択された細胞の懸濁液について細胞数を測定し、細胞を2 x 10
6細胞/フラスコでT-225フラスコに播いた(約30%の生細胞の播種を与える)。この培養物をM2P1 (継代番号1) と言う。M2P1培養物を新鮮倍地で2〜3日間培養した。細胞が90〜95%コンフルエンス(通常継代の後4〜7日間)に達した時、それを採取し、2 x 10
6細胞/フラスコで再播種して、継代M2P2を作製した。M2P2培養が90〜95%コンフルエンスに達した時に、低温保存(実施例3)又は更なるアッセイのためにそれを採取した。
【0042】
実施例3: 低温保存
MASC及びNRCを以下の手法に従って保存のために冷凍した。MASCは、典型的に継代M2の後に冷凍し、NRCは、典型的に継代M2P2の後に冷凍した。同時に4〜5個のフラスコを処理して、培地を培養フラスコから吸引し、10 mlの0.25% トリプシン/EDTA (室温) を各フラスコに加え、30秒間以下、培養表面を穏やかに濯ぎ、吸引して除いた。次いで、10 mlの加温した(37℃)0.25% トリプシン/EDTAを各フラスコに加え、成長表面を濯ぎ、フラスコを室温で5〜10分間インキュベートした。顕微鏡検査によって培養物をモニターして、細胞の完全な剥離を確認した。
【0043】
剥離が完全である時に、10 mlのαMEM成長培地を各フラスコに加え、培養表面を濯ぎ、10 mlピペットで4〜5回ピペッティングすることによって剥離した細胞を混合した。細胞懸濁液を殺菌した250 mlコニカル遠心チューブに移し、細胞の大きな塊を除いた。15〜20個のフラスコから採取した細胞を1つの250 mlチューブに集めた。
【0044】
該チューブを室温での8分間の200 x g遠心に供した。上清を吸引によって除いた。チューブを軽く叩くことによってペレットをゆるめて、約25 mlのDPBS (-/-) を各チューブに加えた。細胞を10 mlピペットで4〜5回緩やかにピペッティングすることによって再懸濁して、均一な懸濁液を得た。50 mlチューブの口に供えられた殺菌70μmシーブにより、各試料をピペッティングすることによって懸濁液中の塊を除いた。
【0045】
250 ml遠心チューブに細胞懸濁液を集め、残りの塊を除いた。最終体積をDPBS (-/-) で200 mlに調整し、試料を室温での8分間の200 x g遠心に供した。上清を吸引によって除いた。細胞ペレットを軽く叩くことによってゆるめ、20 mlの DPBS (-/-)を該チューブに加え、よく混合し及び10 mlピペットでピペッティングすることによって、細胞を再懸濁した。最終体積をDPBS (-/-) で調整し、約0.5〜1.0 x 10
6 細胞/mlの推定濃度、通常、約4〜5 ml/採取T225フラスコ、又は40-フラスコ採取について約200 mlにした。
【0046】
生細胞数を上記懸濁液についてカウントし、次いで200 x gで8分間遠心に供した。上清を吸引し、細胞ペレットを冷 Cryo Stor溶液 (BioLife Solutions, Bothell, WA) に再懸濁して、12 x 10
6 細胞/mlの濃度にした。1 mlのアリコートをバイアルに分散し、密封して、Cryo Cooler中で4℃に置いた。バイアルをCryoMed (Thermo Forma) フリーザーラックに移し、冷凍した。
【0047】
実施例4: 解凍及び回収
冷凍細胞 (MASC又はNRC) を液体窒素中に保存した。実験に必要な時に、それらを急速に解凍し、以下のように培養した。冷凍細胞のチューブを解けるまで37℃に置いた。解けた細胞懸濁液 (1 ml) を直ちに10 mlの成長培地に置き、緩やかに再懸濁した。該懸濁液を200 x gで遠心し、上清を除き、細胞を成長培地に再懸濁して、10
6 細胞/mlの推定濃度にした。トリパンブルー色素排除試験法によって生細胞をカウントし、細胞を2 x 10
6細胞/T225フラスコの密度に播いた。細胞を、37℃で、細胞成長が再開するまで3〜4日間、CO
2インキュベータ中で培養した。
【0048】
実施例5: 移植された骨髄神経再生細胞のラット脳への生存
本質的に実施例2に記載のようにして得た38,000個の骨髄由来神経再生細胞を有する脳神経基盤中に、成人雄性胸腺欠損ラットを定位固定して埋め込んだ。ラットを移植後2時間、48時間及び14日目に屠殺した。潅流断片に移植されたヒト細胞を局在化させることによって、ヒト細胞核 (HuNu) 抗体のための免疫細胞化学を用いて細胞生存を測定した。断片をNisel又はヘマトキシリン-エコジンによって対比染色して、移植から得られた潜在的な毒性を評価した。移植された細胞の生存は、移植後、5時間で14%、48時間で12%、14日で9%であった。このことは、胎生期の細胞及び神経前駆細胞移植の多くの試験に比べて、高いレベルの細胞生存を示し、移植された細胞の生存は、<5%の範囲にある。
【0049】
実施例6: パーキンソン病のラットモデルにおける骨髄由来神経再生細胞の移植後のドーパミン作動性ニューロンの誘導
本実施例は、パーキンソン病のラットモデルにおいて、骨髄由来神経再生細胞の移植が、ドーパミン作動性ニューロンの成長及び再生を誘導する、ことを示す。ニューロン成長(例えば、神経突起成長)、発達、再生及び加齢を支配する生理学的原則は、該ラットにおいて広く研究されており、ヒトで支配するもの類似することが分かっている。特に、ヒトでのパーキンソン病の原因に近づく黒質線状体突起の部分的損傷は、線条体への6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA)の注入によってラットで行える。
【0050】
2つの独立した実験では、ラット脳を6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA)により処理し;続いて、骨髄由来神経再生細胞を特定の6-OHDA-損傷脳の損傷部位に移植した。移植した細胞は生存し、チロシンヒドロキシラーゼ(TH)-陰性のままであり、同時に移植部位へのTH-陽性(すなわち、ドーパミン作動性)神経繊維を誘導した。c-fosタンパク質のアンフェタミン-誘導細胞核転位はまた、ドーパミン放出の指標であり、いくつかの場合に観察された。その結果は、ラットパーキンソン病モデルでのドーパミン作動性ニューロンの回復、再生及び救援における、骨髄由来神経再生細胞の関連を示す。
【0051】
A. 移植用の骨髄由来神経再生細胞の処理
上記の実施例2に記載のようにして調製された骨髄由来神経再生細胞は、使用するまで液体窒素中で冷凍した。解凍するために、該細胞を含む冷凍バイアルを37℃の水浴に直ちに入れ、内容が完全に解凍するまでそこに入れておいた。バイアルを即座に取り出し、10 mlの冷成長培地 (α-MEM + 10% FBS) を含む15 mlのコニカル遠心チューブに細胞を移した。揺れるバケットローター中で、200xgで室温で8分間、該調製物を遠心して、細胞のペレットを形成させた。上清を注意深く除き、DPBS w/o Ca
2+-Mg
2+を加えて、約0.5 x 1O
6細胞/mlの採最終細胞濃度を得た。正確な細胞数を得、そして生存率をチェックするために、この段階で細胞計数を行った。次いで、室温で200xgで8分間細胞を遠心した。1.4 mlの of DPBS w/o Ca
2+-Mg
2+を加えて、ペレットを再懸濁し、細胞を1.5 mlチューブに移した。次いで、200xgで8分間、試料を遠心した。バッファのほとんどを除き、次いで直ちに200xgで1分間細胞を再度遠心し、P-200ピペッタを用いて残りのバッファを除いた。
【0052】
次いで、ペレット体積を推定し、最終標的体積を以下の式を用いて計算した。
【0053】
【数1】
【0054】
移植前に最終濃度及び生存率をチェックするために細胞計数を行った。移植方法の質を確実にするために、細胞移植後、細胞数及び生存率について残りの細胞もチェックした。
【0055】
B. 6-OHDA損傷の作製
2つの独立した実験では、38の成熟雄性フィッシャーラット344ラットを右線条体への6-OHDAの注入によって片側に損傷を与えた。ラットは、イソフルランを用いて麻酔し、次いで、連続的なイソフルラン麻酔用円錐頭を供えた定位固定装置に頭を固体した。呼吸及び痛み反射を連続的にモニターした。頭蓋の中央を切断し、皮膚を取り除き、注入ニードルを十字縫合でゼロにセットした。座標の各々のセットについて注入部位をマークし、ギザギザの穴をつくった。注入座標は、A/P: +0.2、M/L: -3.0、D/V: -5.5であった。
【0056】
注入ニードル(10μl Hamiltonシリンジ, 26Gニードル) を1 mm/分の速度で位置を下げた。注入箇所に近づいた後、注入開始前に4分間ニードルを所定の場所に維持した。次いで、注入を開始した(注入溶液:0.2 mg/mlアスコルビン酸、及び16μg 6-OHDA、注入体積: 2.8μl、速度: 0.5μl/分)。注入後、ニードルを更に4分間、所定の場所で維持し、注入部位から注入された溶液を拡散させた。次いで、ニードルをゆっくりと除いた(1 mm/分)。皮膚を不連続な縫い目で縫い合わせ(少なくとも5つ)、傷をFougera社の2つの抗菌剤軟膏及びLMX4局所麻酔で処置し、動物の感染及び不快感を避けた。
【0057】
C. シクロスポリン処置
10 mg/kgシクロスポリンAの毎日の皮下投与は、移植細胞に対して免疫反応を抑制するために行った。注入前に、Sandimmune (50 mg/ml) を殺菌生理食塩水で1:5に希釈した(終濃度10 mg/mlを与えるように)。細胞移植前24時間に注入を開始し、実験の残りの間、毎日行った。
【0058】
D. 移植
6-OHDAでの処置後7日目に、骨髄由来神経再生細胞を損傷部位に移植した。移植は、PBS中の様々な細胞用量 (6,000〜21,000細胞/μl) の、0.5μlの骨髄由来神経再生細胞の懸濁液の、19匹のラットの損傷線条体への、定位固定注入によって行った。9匹の対照ラットには更なる処置を行わなかった(損傷のみの群)。10匹の対照ラットには、同じ座標でPBSを与えた。10つの沈着物が損傷部位の周囲に、2つの沈着物がニードル軌跡ごとに生じた (座標: 1-2.: A/P: +0.5、M/L: -2.5、D/V: -4.4/-5.8; 3-4.: A/P:+0.5、M/L: -3.5、D/V: -4.8/-0.2; 5-6.: A/P: 0.0、M/L: -3.0、D/V: -4.8/-6.2; 7-8.: A/P: -0.3、M/L: -2.7、D/V: -4.2/5.4; 9-10.: A/P: -0.3, M/L: -3.8、D/V: -5.0/-6.2)。注入は、10μlの、26Gニードル (真直ぐで、先端が30の角度) を有するHamiltonシリンジで行った。細胞注入に対応するために、注入プロトコルを変更した。注入前後に1分間、ニードルを所定の場所で維持した。注入パラメータは、以下:0.5 μl/沈着物、1μl/分の速度であった。余分の注入部位のための新しいギザギザ穴は、外科手術の初めに生じた。移植細胞数は6,000細胞/移植 (n=3)、8,000細胞/移植 (n=3)、12,000細胞/移植 (n=4)、及び21,000細胞/移植 (n=3) であった。
【0059】
E. 安楽死
移植後3週間、ラットを屠殺し、ドーパミン作動性(すなわち、TH-陽性)ニューロの存在についてその脳を試験した。ドーパミン作動性軸索からの突起を受ける線条体標的ニューロンでのc-fos発現を誘導するために、屠殺の2時間前、DL-アンフェタミン (5 mg/kg) のIP注入を該ラットに行った。次いで、ラットをペントバルビタールで過剰投与した。生理食塩水 (400 ml)、次いで4% パラホルムアルデヒド (400 ml) による心臓内灌流に向かう前に麻酔が十分であることを確認するために、角膜及び指趾への圧刺激(toe pinch)反射をチェックした。
【0060】
F. 組織処理
パラホルムアルデヒドによる心臓内灌流後に、脳を取り除き、ブロックし、終夜、後固定(postfixed)し、次いで、組織が各溶液に沈んだ後に連続して、10%、20%及び30%スクロース溶液に移した。各脳から40μm厚の冷凍した冠状断片を集め、染色するまで-20℃で冷凍防止溶液中で維持した。
【0061】
G. 免疫組織化学/染色
ドーパミン合成における律速段階を触媒する酵素であるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)についての免疫反応は、ドーパミン作動性ニューロンの存在についての試験として使用した。2つの方法を使用した。第1に、冷凍断片をPBSで3回洗浄し、次いで0.3% Triton X1OO及び3%標準ヤギ血清を含むPBS (ブロッキング溶液) 中で、室温で1時間ブロックした。次いで、該ブロッキング溶液に一次抗体 (ウサギ抗-TH, Chemicon, 1:1000) を加え、振盪機上でインキュベーションを室温で終夜継続した。次いで、断片をPBSで簡単に洗浄し、二次抗体 (ビオチン化ヤギ抗-ウサギ, 1:500) で室温で2時間インキュベートした。製造者のプロトコルに従って、Vectastain ABCキット及びDAB基質キット (Vector Laboratories) を用いて、DAB染色を行った。
【0062】
第2の方法では、線条体から得られた冷凍断片をTris-緩衝生理食塩水 (TBS) で3回洗浄し、0.3% H
2O
2のTBSで15分間インキュベートし、室温で20分間、10%標準ヤギ血清 (NGS)、0.5% Triton x-100 (TX-100) のTBS中でブロックし、TBS/0.1% TX-100で簡単に洗浄した。次いで、振盪機上で室温(RT)で終夜、断片を1:2000 ポリクローナルウサギ抗-TH抗体 (Chemicon) の1% NGS及び0.3% TX-100のTBSでインキュベートした。次いで、断片をTBS/0.1% TX-100で簡単に洗浄し、1% NGS及び0.1% TX-100のTBSで1:500に希釈したビオチン化ヤギ抗-ウサギ抗体 (Vector Laboratories) で、室温で2.5時間インキュベートした後、アビジン-ペルオキシダーゼコンジュゲート (Vectastain ABC Elite, Vector Laboratories) のTBS中で、2時間インキュベーションした。DAB (20 mg/ml)、0.8%硫酸ニッケル、0.005% H
2O
2の50 mM 酢酸ナトリウム、10 mMイミダゾールバッファ (pH 7.0) で、視覚化した。各ステップの間に、0.1% TX-100のTBSで、数回の洗浄を行った。
【0063】
組織断片における骨髄由来神経再生細胞の生存は、ヒト細胞核分裂装置タンパク質又は細胞核マトリクスタンパク質 (hNuMA) を染色することによって検出した。80℃30分間の10 mMの酢酸ナトリウムバッファ(pH 8.5)中でのインキュベーションによる抗原検索に次いで、線条体断片をPBSで3回洗浄し、5% NGS、5% BSAの1% TX-100のPBS溶液中で室温で1間ブロックした。ブロッキング溶液で1:50に希釈されたマウスモノクローナル抗-hNuMA抗体 (Calbiochem) 中で、4℃で48時間、断片をインキュベートした。0.02% TX-100のPBSで断片を7回洗浄し、そして、TX-100無しのブロッキング溶液で1:250に希釈したCy3 (Jackson ImmunoResearch) に複合化した二次抗体で、室温で90分間インキュベーションすることによってシグナルを検出した。Hoechst 33,342色素 (5μg/mlのPBS溶液; Invitrogen) で15分間、断片を処理することによって、へキスト核染色を行った。
【0064】
hNuMA及びTHの二重染色のために、上記と同一のプロトコルを使用した。ブロッキング溶液で1:50及び1:500に希釈した、マウスモノクローナル抗-hNuMA抗体 (Calbiochem) 及びポリクローナルウサギ抗-TH抗体 (Chemicon) を同時に適用した。TX-100無しのブロッキング溶液で1:250に希釈したCy3及びCy2 (Jackson ImmunoResearch) に複合化した二次抗体で、室温で90分間、断片をインキュベートすることによって視覚化した。二次抗体でのインキュベーションの後に、上記のようにしてヘキスト核染色を行った。
【0065】
H. c-fosの細胞核転位
c-fos発現の誘導及びc-fosタンパク質の核転位によって、アンフェタミンに反応してドーパミンを放出する細胞の能力を測定した。c-fos発現及び転位の分析のために、屠殺前2時間に、ラットにdl-アンフェタミンを注射した。dl-アンフェタミンは、完全なDA繊維から増加したDAの細胞外レベルを引き起こす。DAは、ごく初期の反応遺伝子産物c-fosの、これらのニューロンの核への転位を起こす、標的線条体ニューロンを刺激する。移植の3週間後、ラットを固定して経心腔的灌流によって屠殺し、脳断片をc-fos免疫反応性のために染色した。
【0066】
線条体の核でのc-fosのアンフェタミン誘導-発現を免疫細胞化学によって測定した。凍結断片をPBSで3回洗浄し、0.3% H
2O
2のPBSで15分間インキュベートし、3% NGS、2%ウシ胎児血清 (BSA)、0.05% TX-100のPBSで、室温で1時間ブロックした。次いで、1% NGS、1% BSA及び0.05% TX-100のPBSで希釈したポリクローナル抗c-fos抗体 (Santa Cruz) 中で、室温で終夜、断片をインキュベートした。断片を0.05% TX-100 in PBSで数回洗浄し、次いで1% NGS及び1% BSAで1:500に希釈したビオチン化ヤギ抗ウサギ二次抗体 (Vector Laboratories) で、2.5時間インキュベートした。この後に、アビジン-ペルオキシダーゼコンジュゲート (Vectastain ABC Elite, Vector Laboratories) のPBSで2時間、インキュベートした。DAB (20 mg/ml)、0.8%硫酸ニッケル、0.005% H
2O
2の50 mM 酢酸ナトリウム、10 mMイミダゾールバッファ (pH 7.0) で、視覚化した。各ステップの間に、0.1% TX-100のTBSで、数回の洗浄を行った。
【0067】
上記のc-fos-免疫反応のための細胞を染色した後、Neurolucidaソフトウェア (version 7.50.4, MicroBrightField Bioscience, Williston, VT) を用いて陽性細胞核をカウントした。サンプリング方法は、試験したレベルによって僅かに異なった。移植組織 (bregma製、0.48 mm) のレベルでは、2X拡大率で移植組織中心に対応する中心にグリッドを設定した。「輪郭」機能を用いて、3つの輪郭プロットを描いた;グリッドのいずれかの側に1つ、下に1つ。いずれかの側における輪郭によって結合された面積は、0.25 mm
2 (面積は、250μm x 1000μm) であった。下の輪郭によって結合された面積は、その半分、すなわち、0.125 mm
2 であった。次に、拡大率を20Xに上げ、NeuroLucida「meander scan」機能を作動した。次いで、細胞が観察されるように細胞をマークするためのコンピュータカーソルを用いて、c-fosに陽性な細胞について、180 x 180μm区切りで、輪郭を測定した。参照として脳断片の中線の中心を用いて、移植組織の対側の側にミラーポイントを置いた。再度、このミラーポイントに対応するその中心にグリッドを置いた。2X拡大率で3つの輪郭プロットを描き、c-fosに陽性な細胞を20X拡大率でマークした。
【0068】
I. ドーパミン作動性ニューロンの機能のための追加試験(DA-依存性行動)
ドーパミン作動性ニューロンの回復及び/又は再生のための更なる試験は、アンフェタミン-誘導回転及び前肢位置を含む。
【0069】
ドーパミン作動性ニューロンは、損傷/移植部位でのフルオロゴールド (逆行性トレーサー) の注入によって標識し、移植後にフルオロゴールド-陽性ニューロンの数をアッセイした。
【0070】
移植細胞及び周囲の宿主細胞の表現型は、以下の様々なマーカーについて染色することによって試験した。ニューロンマーカー: MAP2、βIIIチューブリン。グリア細胞マーカー: グリア線維性酸性タンパク質 (GFAP)。骨髄接着ストロマ細胞マーカー: CD105。
【0071】
J. 結果
骨髄由来神経再生細胞を移植したすべてのラットでは、密度の高いチロシンヒドロキシラーゼ(TH)免疫反応繊維(ドーパミン作動性ニューロンの特徴)を移植された部位の周囲に観察したが、PBSを注入した対照ラットでは、損傷部位に、チロシンヒドロキシラーゼ免疫反応繊維が僅かに観察されたか又はまったく観察されなかった。
【0072】
ヒト特異的核マトリクスタンパク質の発現によって検出される、移植骨髄由来神経再生細胞の少数が注入部位で生存したが、チロシンヒドロキシラーゼ免疫反応は、生存している移植細胞のいくつかでは観察されなかった。このことは、骨髄由来神経再生細胞がドーパミン作動性ニューロンに分化しなかったこと、そして移植周囲で観察されたチロシンヒドロキシラーゼ免疫反応繊維が宿主脳起源のものであることを示唆している。
【0073】
TH及びヒト核マトリクスタンパク質を共染色した断片において、移植組織の周囲のTH-陽性繊維の宿主起源について証拠を与える、hNuMAとTH染色との明確な重複はなかった。加えて、生存細胞数と移植組織の近くのTH-免疫反応繊維の密度との正相関が観察された。この効果は、より高い用量の細胞移植を受けたラットにおいて最も顕著であった。第1の実験では、21,000細胞/μlを与えた3匹のラットのすべては、低用量の細胞を与えたラットよりも、より生存細胞を有し、より高い密度のTH-IR繊維を有した。第2の実験では、20,000細胞/μlを与えた6匹のラットの内の5匹はより生存細胞を有し、6匹の内の6匹は移植部位の近くに増加したTH-IR繊維を有した。
【0074】
c-fosの発現及び核転位をアッセイした時に、6匹のラットの内の2匹は、移植部位の周囲に非常に高レベルのc-fos陽性核を示した。他のラットにおいて、移植神経再生細胞の周囲のc-fos陽性核の多発領域も観察された。これらの観察は、TH-免疫反応繊維の増加が、あるラットのNRC移植組織(線条体全体ではなく、すべての移植組織においてではない)の近くのアンフェタミン-誘導DAの増加と関連している、ことを示唆している。
【0075】
総合すれば、これら結果は、骨髄由来神経再生細胞の、神経再生部位への移植が、おそらく1以上の栄養因子の分泌によって、移植組織への、宿主ドーパミン作動性ニューロンの成長、生存及び/又は再生を誘導する、ことを示している。従って、骨髄由来神経再生細胞の移植は、パーキンソン病及び他の神経変性症状におけるドーパミン作動性ニューロンの回復の方法を提供する。
【0076】
実施例7: MASC及びNRCによる共培養は、一次ニューロンの生存及び該ニューロンからの神経突起成長を亢進する
本実施例は、一次皮質ニューロンが完全なニューロ培地でよく成長するが、血清無しのαMEM中では成長が乏しく、より少ないかつ短い神経突起を形成する、ことを示している。しかしながら、一次皮質ニューロンが神経突起生成を支持しない培地(すなわち、血清無しのαMEM)で培養され、そしてMASC又はNRCのいずれかから半透膜によって分離される時に、神経突起成長が亢進される。このことは、MASC及びNRCが、ニューロン成長及び神経突起生成を支持する溶解性因子を産生することを示唆している。救援効果の程度は、MASC又はNRCの所定の量について類似しているようである。
【0077】
A. 培養プレートの調製
実験の1日前に、Millicell 96-ウェル細胞培養インサートプレート (Millipore MACAC02S5, 0.4μm孔サイズ) をポリ-D-リジン (Sigma- Aldrich, St. Louis, MO) の10μg/ml水溶液で被覆した。リジン溶液を吸引し、プレートを10分間乾燥し、PBSで洗浄し、完全ニューロン倍地 (2% B-27及び0.5 mM GlutaMAX (登録商標) で補充したNeurobasa l(登録商標) 倍地) を満たした後に、プレートを室温で1時間インキュベートした。ニューロン倍地で満たした処理プレートを使用するまで4℃で保管した。
【0078】
B. ドナー細胞の調製
ドナー細胞 (MASC及びNRC) を実施例1〜3で記載したようにして調製及び凍結した。試験する細胞 (ドナーD31及びD39由来のMASC及びNRC) 並びにドナーD42由来のMASC(内部標準として本実施例で使用)を解凍し、T225フラスコ中で、αMEM+ペニシリン及びストレプトマイシン(成長倍地)で補充した10% FBSに2 x 10
6細胞/フラスコで、5〜7日間、37℃/5%CO
2で播いた。MASCについては、該倍地も2 mM L-グルタミンで補充した。少量の0.25% (w/v) トリプシン、1 mM EDTAで該倍地を交換することによって細胞を取り除き、50 mlチューブに集め、トリプシンを不活性化するために成長倍地を加えた (5〜10 ml)。該チューブを200xgで5分間遠心し、細胞ペレットを5〜10 mlの完全倍地で再懸濁した。血球計 (Hausser Scientific) で細胞溶液の一部をカウントした。D42スタンダートドナー細胞について4 x lO
5/mlに細胞濃度を調整し、試験細胞(D31及びD39 MASC及びNRC)について2xlO
5/mlに細胞濃度を調整した。
【0079】
Millicell 96-ウェル細胞培養インサートプレート (Millipore MACAC02S5, 0.4μm孔サイズ) を、25μl/ウェルの成長倍地で該インサートを満たすことによって、細胞播種のために調製した。ドナー細胞の所望の数を提供するために十分である、前のパラグラフに記載の細胞懸濁液の1部を、各ウェルに加えた;例えば、20、6.7、2.2及び0.75 x l0
3細胞/インサートを播くために、4 x lO
5/mlの細胞懸濁液の50、17、5.5及び2μl、及び0.33、44.5及び48μlの成長倍地をそれぞれウェルに加えた。次いで、インサート部分を、同一の成長倍地の250μ/ウェルを含む96-ウェルフィーデングコンパートメントに下げた。細胞を37℃、5% CO
2で終夜培養し、翌日、共培養実験に使用した。
【0080】
C. ラット皮質ニューロンの調製
供給者によって提供された倍地中でラット皮質 (E 17) をBrainBits (Springfield, IL) から得た。皮質ニューロンの分離及び調製のために、該倍地を除き、2 mlの0.25% (w/v) トリプシン、1 mM EDTA (Gibco/Invitrogen, Carlsbad, CA) で置換した。混合物を5〜7分間37℃水浴中でインキュベートした。トリプシン溶液を除き、10%ウシ胎児血清 (FBS) で補充した2 mlのαMEMで組織を濯いだ。2 mlの0.25 mg/ml DNase Iのダルベッコ改変PBSをトリプシン処理した組織に加え、30秒間ボルテックスすることによって懸濁液を混合した。1 mlのマイクロピペットチップに出し入れすることによって更に懸濁液を混合した。残っている任意の大組織片を廃棄した。次いで、細胞懸濁液を15 ml遠心チューブに入れ、200xgで1分間遠心に供した。上清を除き、細胞を2〜3 mlの完全ニューロン倍地 (2% B-27及び0.5 mM GlutaMAX (登録商標) で補充したNeurobasal(登録商標) に再懸濁した。このニューロン細胞懸濁液の一部を40,000細胞/チューブのマイクロ遠心チューブに分配し、細胞をペレット化し、倍地を吸引し、細胞ペレットを-20℃で凍結した。LDHアッセイにおいてスタンダートとしてこれらの細胞を使用した(以下のセクションF参照)。
【0081】
D. MASC又はNRCによるラット主要皮質ニューロンの共培養
実験日に、上のセクションAで調製したポリリジン-被覆した下方コンパートメントを約30分間、37℃インキュベータで温めた。陽性対照として使用するために、該下方コンパートメントからニューロン倍地を除き、ニューロン倍地が保持された数個のウェルを除いて、αMEMで交換した。上のセクションCで調製したラット皮質ニューロンを、5,000細胞/ウェルの密度(96-ウェルプレート)で該下方コンパートメントのウェルに播き、37℃で1時間、該プレートに接着させた。
【0082】
一方で、上のセクションBで記載したドナー細胞は、倍地を膜上のウェルから除き、75μlの血清無しのαMEMでそれを置換し、次いで上方コンパートメントを血清無しのαMEMも含む下方コンパートメントに挿入し、そして37℃で約30分間インキュベートすることによって、血清無しのαMEMに移した。次いで、血清無しのαMEM中にドナー細胞(MASC及びNRC)を含む上方コンパートメントは、血清無しのαMEM中に一次皮質ニューロンを含む下方コンパートメントに挿入した。共培養を37℃、5% CO
2で5〜6日間行った。陽性対照のために、下方コンパートメントのウェルは、血清無しのαMEMよりもむしろニューロン倍地を含み、対応するインサートコンパートメント中にはドナー細胞は存在しなかった。
【0083】
E. 免疫組織化学
共培養後、MAP-2の発現をアッセイすることによって、ある培養物を神経突起成長について試験した(ニューロンマーカー)。このアッセイのために、低ウェルの細胞を4%パラホルムアルデヒド (Electron Microscopy Sciences, Fort Washington, PA) で20分間固定し、次いで0.3%トリトン X-100、5%標準ロバ血清 (Jackson Immunoresearch Laboratories, West Grove, PA) で室温で1時間ブロックした。MAP-2 (マウスモノクローナル, Sigma-Aldrich, St Louis, MO) に対する抗体を、このブロッキング溶液に加え、インキュベーションを室温で1時間継続した。1時間のインキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、1:1000に希釈した、ロバ抗-マウスIgGのCy3-コンジュゲートAffiPure F(ab')
2フラグメント (最少交差反応, Jackson Immunoresearch Laboratories, West Grove, PA) で、室温で1時間インキュベートした。細胞をPBSで洗浄し、次いでウェルをPBSで満たし、Axiovert 40CFL (Zeiss, Germany) で染色をアッセイし;AxioCam MRmで写真を撮った。
【0084】
図1は、先のパラグラフに記載したMAP-2用免疫細胞化学によってアッセイした、一次ラット皮質ニューロンにおける神経突起成長に対するMASCによる共培養の効果を示す。MAP-2標識は、ニューロンが完全ニューロン倍地で培養した時に幅広い神経突起成長を示し(
図1の上左パネル)、及びニューロンが血清無しのαMEMで培養した時にわずかな短い神経突起成長を示した(
図1の上中央パネル)ニューロンがαMEM中でMASCで共培養した時に、処理数が、該ニューロンで共培養したMASC数と明確に相関した(
図1の上右及び下パネル)。一次皮質ニューロン由来の神経突起成長に対する類似の支持効果は、NRCでの共培養において観察された。
【0085】
F. 細胞生存のためのLDHアッセイ
血清無しのαMEM中でMASC及びNRCによる共培養されたニュ-ロンのある試料の生存は、細胞内乳酸脱水素酵素(LDH)のレベルを測定することによって評価した。これらの試料について、ドナー細胞を含むインサートを除き、倍地を下方コンパートメントから吸引し、そのコン-パートメントは後でPBSで洗浄した。次いで、0.15 mlの2% (v/v) Triton X-1OOを各ウェルに加えて、プレートに接着した細胞を溶解した。0.1 mlのTriton溶解物を各ウェルから除き、Roche LDHアッセイキットを用いるLDHアッセイのために、新たなウェルに移した。500μlの2% Triton X-100に溶解した、上のセクションCに記載したようにして得た凍結細胞の段階的希釈を用いて、標準曲線を作成した。
【0086】
LDHアッセイのために、製造者のプロトコルに従って調製したLDHキットからの100μlの試薬A及びBの混合物を各ウェルに加えた。約20〜30分後、490 nmの波長及び650 nmの参照波長で、SpectraMax Plus (Molecular Devices) で、色を測定した。典型的には、最高細胞濃度を含むスタンダートが約1 OD単位の読みを与えるまで、色を発色させた。測定は、Soft Max Pro Softwareを用いて分析し、標準曲線を二次フィット(quadratic fit)を用いて作成した。
【0087】
図2及び3は、細胞内LDHのアッセイを、2つの異なったドナー由来のMASC及びNRCによる血清無しのαMEM中での共培養後に、生存ニューロンの相対数を測定するために使用した、2つの独立した実験の結果を示す。2つの実験では、D42 MASCはまた、内部標準として使用した。D42 MASC細胞は、ニューロン生存のレベルの差を検出するアッセイの能力を確認するための各実験において滴定した。
【0088】
図2に示す実験において、ドナー31 (5 x lO
3/ウェル) 由来のMASC及びNRCの等しい数は、ニューロン生存に対して同様の効果を生じた(
図2、最も右側の2つのバー)。該効果は、
図2の最も左側の5つのバーで示されるD42 MASCの滴定曲線から明らかように、同数のD42 MASCから得たものよりも低かった。
【0089】
図3に示される実験では、ドナー39 (D39) 由来のMASC及びNRCを2つの異なった濃度(10 x 10
3/ウェル及び5 x 10
3/ウェル)で試験した。再度、MASC及びNRCは、救援活性の同様のレベルを示した (
図3、最も右側の4つのバー)。しかし、この実験では、D39 MASC及びNRCは、D42 MASCの滴定曲線から明らかなように、スタンダートとして用いたD42 MASCよりも活性であった(
図3、最も左側の5つのバー)。
【0090】
実施例8: 骨髄ストロマ細胞又は神経再生細胞による共培養後の損傷神経細胞の救援
神経損傷のインビトロモデルを提供するために、一次皮質ニューロンを、24時間内に顕著な細胞損傷をもたらす酸素/グルコース欠乏 (OGD) に供した。OGD後直ちに、ニューロンをヒト骨髄接着ストロマ細胞又はヒト神経再生細胞(いずれも実施例1及び2に記載されているようにして調製した)のいずれかで共培養した。分子を通過させるが細胞-細胞の接触を除く0.4μmの孔サイズ膜によって、酸素/グルコース欠乏ニューロンからこれらのドナー細胞を分離した。いずれの場合においても、ドナー細胞の存在は、以下に記載のOGDに従って神経細胞を救援した。
【0091】
E17スプラーグドーリーラットからの皮質ニューロンを6,000細胞/cm
2でポリ-d-リジン被覆の12-ウェルプレートに播き、2% B-27及び0.5 mM GlutaMAX(登録商標)(Neuronal medium) で補充したNeurobasal(登録商標)中で、37℃/5% CO
2で培養した。インビトロで14日間成熟させた後、60分間、OGD(%酸素、グルコース無しのダルベッコ改変イーグル培地)にニューロンを供した。同一時間、ニューロン培地中で空気酸素(酸素正常状態)で、対照培養を維持した。直後に、培地をニューロン培地に再度交換し、そして、神経再生細胞、骨髄接着ストロマ細胞又は培地のみを含むインサートをウェルに置いた。すべての群についてニューロン培地を使用した(n=6の適合したドナー/細胞種; すなわち、MASCは、6つの異なったドナーから得、NRC産生のために各ドナー培養物の一部を使用した)。実験には2〜4個の細胞ウェル/群を使用した。
【0092】
インサートの基材は、0.4μmの孔サイズを有するポリエチレンテレフタレート(PET)膜であり、細胞-細胞接触を避ける分子交換を可能にする。骨髄接着ストロマ細胞又は神経再生細胞は、ニューロンを含むウェルに置く前に濯ぎ、ニューロン倍地と交換した、好適な成長倍地中のインサート上に播いた。ドナー細胞は、ニューロンを含むウェルに加える時に、インサート上で80〜100%コンフルエンスであった (0.9 cm
2)。OGD24時間経過後、培養されたニューロン(すなわち、細胞外LDH)からの乳酸脱水素酵素(LDH)放出を定量し、好適な対照条件を標準化することによって、細胞損傷/死を評価した。対照条件のニューロン(非-OGD)もまた、LDHが該ニューロンからのドナー細胞を分離する膜を通過することができるので、神経再生細胞、骨髄接着ストロマ細胞を含むインサート、又はドナー細胞からのLDH放出を説明するためのみの倍地を受けた。よって、結果は、OGDを受け、次いでドナー細胞種又は倍地のみのいずれかのインサートで共培養してニューロンの、同一のドナー細胞種又は倍地を含むインサートで共培養した対照(非-OGD)条件下のニューロンのLDH放出と比べた、倍増加として示した。Roche Applied Science (Indianapolis, IN) 製の「細胞毒性検出キット(LDH)」を用いてLDHを評価した。LDHアッセイの詳細については実施例7参照。本実施例では、細胞死の指標として細胞外LDHを評価し、一方、実施例7では、細胞は倍地から分離し、細胞倍LDHの測定のために溶解した、ことに留意。
【0093】
結果を
図4に示す、これは、骨髄接着ストロマ細胞又は神経再生細胞への損傷ニューロンの曝露が、倍地のみに対するニューロンの曝露と比べて、OGD後の細胞損傷/死を顕著に減少させることを示している(細胞外LDHとして測定)(p<0.05)。更に、ドナー細胞は損傷ニューロンと直接接触しなかったので、観察された細胞死の減少は、ドナー細胞による1以上の栄養因子の分泌と一致する。
【0094】
実施例9: 骨髄ストロマ細胞又は神経再生細胞由来の調整培地による共培養後の損傷神経細胞の救援
骨髄接着ストロマ細胞又は神経再生細胞によって分泌された栄養因子が虚血発作に供されたニューロンを救援するという更なる証拠を提供するために、OGDによって損傷されたニューロンは、骨髄接着ストロマ細胞又は神経再生細胞からの調整倍地で培養した。調整倍地を調製するために、24時間、以下の倍地の1つ中でドナー細胞 (n=5の適合したドナー/細胞種、2〜4ウェル/群) を培養した:1) 新鮮なニューロン倍地(上記組成)、2) OGD損傷ニューロンが24時間培養されているニューロン倍地、又は3) 対照ニューロンが24時間培養されているニューロン倍地。次いで、調整倍地をドナー細胞培養物から回収し、OGDを受けた培養ニューロンに添加し、又はOGDを受けていない対照ニューロンに添加した。LDH放出は24時間後に評価した。
【0095】
結果を
図5に示す。すべての場合において、調整倍地に曝露された損傷ニューロンは、OGD後の24時間に、顕著に減少した細胞損傷を示した(OGDを受けなかった対照細胞と比べたLDH放出によって測定した)(p<0.05)。ドナー細胞-調整倍地の3つの間には差は観察されなかった。このことは、ドナー細胞での共培養の24時間に渡って損傷ニューロンによって放出された任意の物質が、ドナー細胞-調整倍地の、損傷ニューロンを救援する能力に顕著に影響を与えなかったことを示している。加えて、骨髄接着ストロマ細胞又は神経再生細胞のいずれかによって調整された倍地の救援効果には有意差はなかった。
【0096】
この救援効果が用量反応を有するか否かを決定するために、ニューロン倍地中で24時間、ドナー細胞を培養することによって調整倍地を得た(n=5の適合したドナー/細胞種、2〜4ウェル/群)。OGDに供されたニューロン、あるいは1:1、1:10、1:25、1:50、1:100又は1:200の希釈の対照ニューロンのいずれかにこの調整倍地を加え、調整倍地中で24時間、ニューロンを培養した。結果を
図6に示す、これは、(骨髄接着ストロマ細胞及び神経再生細胞由来の)調整倍地による損傷ニューロンの救援が用量依存的であることを示している。
【0097】
実施例10: 損傷神経細胞で予備培養された神経再生細胞による共培養後の損傷神経細胞の救援
損傷された神経環境が損傷されたニューロンを救援するドナー細胞の能力に影響を与えるかを決定するために、骨髄接着ストロマ細胞又は神経再生細胞(n=3のドナー)をPETインサート(実施例7参照)に播き、依然にOGDによって24時間損傷されたニューロン、又は対照損傷ニューロンのいずれかで24時間予備培養した。この予備培養の後に、骨髄接着ストロマ細胞-含有又は神経再生細胞-含有インサートを、該インサートの添加直前にOGDを受けたニューロン、又は対照の非損傷ニューロンを含むウェルに播いた。更なる24時間後に、LDH放出をアッセイした(2〜4ウェル/群)。
【0098】
この実験の結果は、損傷又は非損傷ニューロンのいずれかで予備培養された、骨髄接着ストロマ細胞及び神経再生細胞が、OGD-損傷ニューロンを救援することができることを示している。MASC及びNRCは、ほど同等の救援活性を有し、対照又はOGD-損傷ニューロンのいずれかによる予備培養は、MASC又はNRCのいずれかの救援活性に影響を与えなかった。(このことは、調整倍地がこの実験で希釈されずに使用され、救援効果がアッセイの識別範囲を超えた、という事実に因るかもしれない)。これらの結果は、ドナー細胞が、1以上の拡散性栄養因子の産生及び/又は分泌に影響を与える損傷神経細胞からの合図に答えることがある、ことを示している。
【0099】
実施例11: 一次海馬スライスの調製
9日齢のスプラーグドーリー子ラットの脳から、以下の手法に従ってラット器官型海馬スライス(OHS)を得た。
1) 雌性子ラット(P9)は、チャールズリバー研究室 (Wilmington, MA) から配達された。屠殺の時期まで、チャールズリバーから提供された十分な飼料及び水を含む密閉した段ボール箱中で動物を飼育した。動物を処置前に5時間未満そのままにした。
2) 子ラットを一度に切断した。(CO
2発生用)ドライアイスを含む気密箱中に1匹のラットを入れた。
3) 麻酔した子ラットを該箱から出し、ガラスビーカー中の70%エタノール中に即座に沈め、次いで即座にはさみで首をはねた。すべての皮膚を頭から除いた。
4) 死体を生物安全保管庫に移した。脳を頭から取り出し、氷冷バッファ(例えばPBS)に入れた。
5) 海馬形成部を湾曲した鉗子で脳から切り裂き、400μmスライスにカットする、組織チョッパー段階 (Mcllwain) に置いた。
6) スライスを単一ウェル膜インサート上に置いた(Millipore、実施例7及び8参照)。それは、順々に、50%ハンク改変イーグル培地、24%ハンク平衡塩溶液、25%ウマ血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含む細胞培養プレート内に配置され;8.5 mM HEPES, 5.5 mMグルコース及び0.5 mM GlutaMAX (登録商標)で救援されている。
7) 次いで、OHSを含むプレートをCO
2インキュベータ中に35℃で保管した。
8) 培養中では、4〜6日後に実験のためにOHSを使用した。
【0100】
実施例12: 骨髄ストロマ細胞又は神経再生細胞による共培養後の損傷海馬スライスの救援
インビボモデルを用いて、骨髄接着ストロマ細胞及び神経再生細胞による損傷されたニューロンの栄養担体を試験するために、海馬脳スライスを使用した。この構造内に含まれる明確なニューロン経路、及び器官型海馬スライスの培養についての十分な文献が存在するという事実のために、海馬を選択した。
【0101】
海馬スライス(P9ラット、切開400μm)を、インサート (Millipore) 上で培養した。該インサートは、その基材が0.4μmの孔サイズを有するポリエチレンテレフタレート(PET)膜であり、分子交換を許容するが細胞-細胞接触を抑制する。該インサートを50%ハンク改変イーグル培地、25%ハンク平衡塩類溶液、25%ウマ血清、及び8.5 mM HEPES、5.5 mMグルコース及び0.5 mM GlutaMAX (登録商標) で補充した1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むウェルに入れた。1日後、該培地を、2% B-27及び1.0 mM GlutaMAX(登録商標)で補充したNeurobasal(登録商標)培地(「スライス培地」)とゆっくり交換した。培養4〜6日後に、スライスをOGD(0%酸素及びグルコース無しのDMEM)に90分間供した。対照培養物にスライス培地を加え、空気酸素(酸素正常状態)で同一時間、維持した。OGD直後に、(1) スライス培地中の骨髄接着ストロマ細胞 (70〜100%コンフルエンス)、(2) スライス培地中の神経再生細胞 (70〜100%コンフルエンス)、又は (3) スライス培地のみを含むウェルに、インサート(n=6の適合したドナー/細胞種、4〜6インサート/群)を移動した。24及び48時間後にLDH放出を定量した。
【0102】
図7に示す結果は、OGD後にドナー細胞(すなわち、骨髄接着ストロマ細胞又は神経再生細胞)の存在下で24時間及び48時間培養されたスライスが、スライス培地単独で培養されたものよりも細胞損傷が顕著に少ない、ことを示している (p<0.05)。
【0103】
スライス内の細胞はまた、ヨウ化プロピジウム取り込みによって分析し、該スライス内の細胞が損傷されることを評価する。
【0104】
実施例13: 骨髄ストロマ細胞又は神経再生細胞の移植後の損傷海馬スライスの救援
直接的な細胞-細胞接触が生じる時に、どのようにしてドナー細胞が宿主組織に影響を与えるかを試験し、及びドナー細胞に対する、損傷環境の効果を試験するために、ドナー細胞(すなわち、骨髄接着ストロマ細胞又は神経再生細胞)を海馬スライスに直接に注入する。
【0105】
ドナー細胞の視覚化を助けるために、CMVプロモーターの転写制御の下で、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする配列を含むレンチウイルスで、ドナー細胞を感染させた。3つのウイルス性粒子/細胞の感染多重度(MOI)での感染後に、約50〜60%のドナー細胞(神経再生又は骨髄接着ストロマ細胞;n=lの適合されたドナー/細胞種)は蛍光を発し、安定蛍光が培養の少なくとも1ケ月観察された。
【0106】
GFP-陽性ドナー細胞は、0.5μlの細胞 (約1,000細胞/μlの濃度) を海馬スライス表面にピペッティングすることによって該スライスに送達した。厚さ(200〜400μm)スライス内のGFP-陽性ドナー細胞の挙動は、生存、増殖、転移、及び正常又は損傷された(例えば虚血)脳スライスへの移植後に組織への一体化に関して比較し、共焦点顕微鏡を用いてモニターした。例えば、ドナー細胞数、(解剖組織の、及びz-次元上の)位置、並びに形態を決定するために、ドナー細胞の送達後に様々な時間(例えば2時間)に共焦点顕微鏡によってスライスをモニターした。この分析を例えば注入後2日及び5日に繰返し、生存/増殖、転移及び一体化を評価するためにベースラインレベルと比べた。宿主及びドナー細胞の生存を評価するためにヨウ化プロピジウム注入も使用した。次の分析は、組織スライスの固定、並びに増殖、細胞死及び表現型のマーカーを染色することを含む。
【0107】
移植された細胞の位置と、宿主神経細胞を再生又は回収する位置との比較は、移植された細胞によって介在される栄養効果の程度についての情報を提供する。移植された細胞の数及び位置はまた、細胞分割及び移植された細胞の転位の程度を決定するために分析される。移植された細胞及び周囲の宿主細胞の形態は評価され、移植された細胞及び周囲の宿主細胞の識別された状態は、細胞化学的及び免疫学的方法によって分析される。
【0108】
実施例14: 骨髄ストロマ細胞又は神経再生細胞由来の調整培地による共培養後の損傷海馬スライスの救援
ドナー細胞-調整培地が損傷された海馬組織スライスに影響を与える程度も試験した。本試験のために、新鮮なスライス培地を播かれたドナー細胞 (n=5 適合したドナー/細胞種、5〜6ウェル/群) に加えることによって調整培地を調製した。培養24時間後、ドナー細胞-調整培地を集め、OGDを受けた海馬スライスを有するインサートを含むウェル、又はOGDを受けなかった対照スライスを含むウェルのいずれかに加えた。LDH放出を24時間後にアッセイした。
図8は、ドナー細胞-調整培地が損傷されたスライスの生存率を顕著に改善し (p<0.05)、骨髄接着ストロマ細胞又は神経再生細胞によって調整された培地の救援効果において有意な差はなかった、ことを示している。
【0109】
実施例15: 損傷海馬スライスで予備培養された神経再生細胞由来の調整培地による共培養後の損傷ニューロンの救援
損傷神経環境が損傷されたニューロンを救援するドナー細胞の能力に影響を与えるかについて決定するために、神経再生細胞 (n=3ドナー) を6-ウェルプレートに播き、OGDによって損傷された海馬スライス又は対照の非損傷スライスのいずれかで48時間共培養した(実施例12)。この予備培養後に、倍地を除き、2種の神経再生細胞-調整倍地をニューロン倍地で1:25に希釈し、該調整倍地の添加直前にOGDを受けたニューロンを含むウェルに入れた(実施例8参照)。更に24時間後、LDH放出をアッセイした(4ウェル/群)。
【0110】
図9は、この実験の結果を示す。損傷脳スライスで共培養した神経再生細胞からの調整倍地で培養した損傷ニューロンは、対照非損傷スライスで共培養した神経再生細胞からの調整倍地で培養したものと比べて、細胞損傷が顕著に低かった(p<0.05)。この結果は、ドナー細胞が、ドナー細胞由来の1以上の拡散性栄養因子の産生及び/又は分泌に影響を与える損傷神経細胞からの合図に答える、という更なる証拠を与える。
【0111】
実施例16: 骨髄ストロマ細胞及び神経再生細胞による栄養因子分泌
上で示したデータは、骨髄ストロマ細胞及びストロマ細胞-由来神経再生細胞が、1以上の栄養因子の提供によって損傷された神経細胞を救援することができる、という証拠を提供する。重要な関連栄養因子を特定し始めるために、ドナー細胞-調整倍地中の特定の候補栄養因子のタンパク質レベルを定量した。骨髄ストロマ細胞及び神経再生細胞 (n=5の適合したドナー/細胞種) は、10%ウシ胎児血清及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンで補充したαMEM中で、約15,000細胞/cm
2の密度になるまで培養した。次いで、該倍地はOpti-MEM(登録商標)倍地 (約200,000細胞/ml) で交換し、調整倍地は72時間後に回収した。Quantibody (登録商標) Custom Array (RayBiotech, Inc.) を用いて、以下の10つのサイトカインの量を定量した:骨形成タンパク質-7 (BMP-7)、脳由来神経栄養因子 (BDNF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子 (bFGF)、グリア細胞株-由来神経栄養因子 (GDNF)、肝細胞増殖因子 (HGF)、ヘパリン-結合上皮増殖因子-様増殖因子 (HB-EGF)、神経増殖因子 (b-NGF)、血小板由来増殖因子 (PDGF-BB)、インシュリン様増殖因子-I (IGF-I)、及び血管内皮増殖因子 (VEG-F)。結果を表1に示す。肝細胞増殖因子及び血管内皮増殖因子は、顕著な量で見られ(すなわち、試験したスタンダートの範囲内)、骨髄幹細胞-又は神経再生細胞-調整倍地中に存在する濃度間の有意差はなかった。
【0112】
【表1】
【0113】
実施例17: 骨髄ストロマ細胞及び神経再生細胞による栄養因子分泌の更なる分析
骨髄ストロマ細胞及び神経再生細胞(n=5に適合したドナー/細胞種)を10%ウシ胎児血清及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンで補充したαMEM中で、約15,000細胞/cm
2の密度になるまで培養した。次いで、該倍地はOpti-MEM(登録商標)減少された血清倍地 (約200,000細胞/ml) で交換し、調整倍地は72時間後に回収した。30つの選択されたサイトカインのいずれがドナー細胞-調整培地で検出可能であるかを決定し、及び異なった試料中でサイトカインレベルの相対量を比較するために、半定量カスタムアレイ((Quantibody(商標)Array, RayBiotech, Inc., Norcross, GA)を使用した。このパラグラフで先に記載したようにして得たMASC及びNRC由来の調整培地にアレイを曝露した。
【0114】
結果を表2に纏める。第1カラムは、その存在をアッセイする因子を特定する。第2カラムは、Opti-MEM(登録商標)の因子のレベルよりも1.5倍高かった特定の因子のレベルを示した、(全部で5つのうちの)MASC調整培地調製物の数を示す。第3及び第4カラムは、5つの試料中の所定の因子の平均レベルを示し、これは、Opti-MEM(登録商標)のみ (第3カラム) に曝露されたアレイの標準化されたシグナル強度と比べた、標準化されたシグナル強度の倍変化と標準偏差 (第4カラム) として表す。Opti-MEM(登録商標)のみと比較して1.5倍以上の倍変化は、該調整培地で検出されたサイトカインがドナー細胞の存在に因るものであったことを示す。
【0115】
第5カラムは、(全部で5つのうちの)NRC調整培地調製物の数を示し、これは、Opti-MEM(登録商標)の因子のレベルよりも1.5倍超であった特定の因子のレベルを示す。第6及び7カラムは、5つの試料中の所定の因子の平均レベルを示し。これは、Opti-MEM(登録商標)のみ (第6カラム) に曝露されたアレイと比べた、標準化されたシグナル強度の倍変化と標準偏差 (第7カラム) として表す。Opti-MEM(登録商標)のみと比較して1.5倍以上の倍変化は、該調整培地で検出されたサイトカインがドナー細胞の存在に因るものであったことを示す。
【0116】
8番目のカラムは、ドナー数(全部で5つのうちの)を示し、そこでは、特定の因子の量は、MASC-調整倍地中よりもNRC-調整倍地において高かった。9番目及び10番目のカラムは、それぞれ、試験した各因子について、NRC-調整倍地中のレベルの、MASC-調整倍地中のレベルに対する比、及び標準偏差を示す。
【0117】
その結果は、以下の10つのサイトカインがMASC又はNRCのいずれかのドナー細胞調整倍地中で見られたことを示す:骨形成タンパク質-4 (BMP-4)、Dickkopf-1 ()、線維芽細胞増殖因子-7 (FGF-7)、ヘパリン結合-表皮増殖因子様増殖因子 (HB-EGF)、インターロイキン-6 (IL-6)、インターロイキン-8 (IL-8)、単球化学走化性タンパク質-1 (MCP-1)、マトリクスメタロプロテイナーゼ-1 (MMP-1)、血小板由来成長因子 (PDGF-AA)、及び血管内皮増殖因子 (VEGF)。これらの4つは、骨髄ストロマ細胞-調整倍地:DKK-1、IL-6、IL-8及びMCP-1と比べて、神経再生細胞-調整倍地中の増加したレベルで一貫して見られた。
【0118】
【表2】
【0119】
実施例18: ヘパリン存在下での栄養因子の分泌
ある成長因子はヘパリン結合ドメインを含むことが知られている。そのため、それらはドナー細胞によって分泌されるが、代わりに該細胞上の内因性ヘパリンに結合するので、培地に溶解性とはならないことがある。MASC及び/又はNRCによってかかる因子の産生を試験するために、該細胞をOpti-MEM(登録商標)に移した後にヘパリン (50μg/ml) を加え、それ以後、調整培地を回収するまで毎日1回加えた(合計で3日間)。かかるヘパリン-結合成長因子が、ドナー細胞によって産生され及び分泌される場合には、培地中の内因性ヘパリンは、その結合を完全にし、調整培地中に回収される機会を増すだろう。調整培地は、実施例17に記載のようにアッセイした。
【0120】
結果を表3に示す。第1カラムは、その存在をアッセイした因子を特定する。第2カラムは、MASCの単一試料由来の調整培地中の所定の因子のレベルを示す。第3カラムは、調整培地の作製中にヘパリンが存在する、同一ドナー(D46)由来のMASC試料中の因子のレベルを示す。第4カラムは、カラム2及び3で特徴付けられたMASCと同一のドナーから得られたNRCの単一試料由来の調整培地中の所定の因子のレベルを示す。第5カラムは、ヘパリンが調整培地の作製中に存在する、同一ドナー(D46)由来のNRC試料中の因子のレベルを示す。第6カラムは、異なったドナー(D47)から得られた、NRCの単一試料由来の調整培地中の所定の因子のレベルを示す。第7カラムは、調整培地の作製中にヘパリンが存在する、ドナーD4)由来のNRC試料中の因子のレベルを示す。第8カラムは、3つの試料(D46 MASC、D46 NRC、及びD47 NRC)すべてを平均した、ヘパリン含有培養物中の因子のレベルの倍増加を示す。
【0121】
結果は、培養培地へのヘパリンの添加が、ヘパリンの非存在下で分泌された3つの因子(DKK-I、IL-6及びVEGF)の、調整培地中のレベルを増加したことを示している。加えて、肝細胞成長因子(HGF)の増加したレベルは、へパリンの非存在下で検出されなかったが(実施例16)、ドナー細胞-調整培地中では観察された。最後に、1つのドナーでは、形質転換成長因子α(TGF-α、ヘパリンの非存在下で検出されない)の増加したレベルも、観察された。これらの結果は、ドナーMASC及びNRCによって分泌されたヘパリン-結合因子の存在を指摘するものである。
【0122】
【表3】
【0123】
実施例19: MASC及びNRCによって分泌された栄養因子の定量
調整培地は、実施例16及び17に記載のようにしてMASC及びNRCから回収し(n=8 適合したドナー/細胞種)、実施例16〜18で特定された因子の内の10個の、Quantibody(登録商標)カスタムアレイ (Ray Biotech, Inc.) を用いて調整培地中の濃度を測定した。表4に示される結果は、以前の発見を確認するものである。BMP-4及びHB-EGFの例外はあるが、試験されたすべてのサイトカインが、骨髄接着ストロマ細胞及び/又は神経再生細胞によって調整培地中(アッセイで使用したスタンダートの範囲内)に存在する。また、実施例17で得た結果を確認すると、これらのタンパク質の内の4つ(KK-I、IL-6、IL-8及びMCP-I)は、骨髄接着ストロマ細胞-調整培地と比べて、一貫して、神経再生細胞-調整培地中の増加したレベルにあることが分かった。2つの細胞種におけるBMP-4の検出不能、及びNRCにおけるHB-EGFの検出能は、この特定のアレイについてのスタンダートの範囲外にあるそのレベルに因ることがある。
【0124】
【表4】