(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記単量体混合物は、前記(a1)上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体90質量%以上99.9質量%以下および前記(a2)分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の水酸基とを有する単量体0.1質量%以上10質量%以下を含む、請求項1に記載の光学フィルム用粘着剤組成物。
前記単量体混合物は、前記(a1)上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体として、(a1−1)ホモポリマーを形成したと仮定した場合のガラス転移温度(Tg)が0℃以上である、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体5質量%以上55質量%以下と、(a1−2)ホモポリマーを形成したと仮定した場合のガラス転移温度(Tg)が0℃未満である、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体44.5質量%以上94.5質量%以下と、を含む(ここで、前記(a1)と前記(a2)との合計量は90.1質量%以上100質量%以下である)、請求項2に記載の光学フィルム用粘着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、格別に断らない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
【0025】
1.光学フィルム用粘着剤組成物
本発明の一実施形態に係る光学フィルム用粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」と記載する場合もある。)は、アクリル系ポリマー(A)(以下、単に「(A)成分」と記載する場合もある。)と、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される架橋剤(B)(以下、単に「(B)成分」と記載する場合もある。)と、を含む。
【0026】
【化6】
・・・・(2)
(式中、R
1A,R
1B,R
1Cは独立して、下記一般式(4)で表される基および/または下記一般式(5)で表される基を含む基であり、R
2A,R
2B,R
2Cは独立して、炭素原子数2以上10以下のアルキレン基を含む基である。)
【0027】
【化7】
・・・・(3)
(式中、R
1A,R
1B,R
1Cは独立して、下記一般式(4)で表される基および/または下記一般式(5)で表される基を含む基であり、R
2A,R
2B,R
2Cは独立して、炭素原子数2以上10以下のアルキレン基を含む基であり、R
3A,R
3B,R
3C,R
3D,R
3E,R
3Fは独立して、炭素原子数2以上10以下のアルキレン基を含む基である。)
【0028】
【化8】
・・・・(4)
(式中、xは2以上10以下の整数であり、mは1以上10以下の整数である。)
【0029】
【化9】
・・・・(5)
(式中、Xは単結合または−O−を表し、yは2以上10以下の整数であり、nは1以上10以下の整数である。)
【0030】
1.1.(A)成分
(A)成分は、(a1)下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体および(a2)分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の水酸基とを有する単量体を含む単量体混合物より得られるアクリル系ポリマーである。
【0031】
【化10】
・・・・(1)
(式中、R
1は水素原子またはメチル基を表し、R
2は炭素数1以上14以下のアルキル基またはアラルキル基を表す。)
【0032】
本発明において、「アクリル系ポリマー」とは、アクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、メタアクリル酸、メタクリル酸塩、およびメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種を構成単位中に50質量%以上含むポリマーをいう。また、本発明において、「オレフィン性二重結合」とは、炭素−炭素二重結合(C=C)をいう。このため、「分子内に1個のオレフィン性二重結合を有する単量体」は、炭素−炭素二重結合部位を有する単量体を意味する。
【0033】
上記一般式(1)においてR
2で表される炭素数1以上14以下のアルキル基としては、炭素数1以上14以下の直鎖状または分岐状のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基(ミリスチル基)などが挙げられる。このうち、R
2として炭素数1以上10以下のアルキル基を有することが好ましく、炭素数1以上10以下の直鎖状アルキル基を有することがより好ましい。
【0034】
また、本発明において、「アラルキル基(aralkyl group)」とは、アルキル基の水素原子の1つがアリール基で置換されているアルキル基をいう。上記一般式(1)においてR
2で表される炭素数1以上14以下のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基(フェニルメチル基)、フェネチル基(フェニルエチル基)が挙げられる。
【0035】
本実施形態に係る粘着剤組成物における(A)成分の含有量は、本実施形態に係る粘着剤組成物100質量部に対して90質量部以上99.4質量部以下であることができ、95質量部以上99.4質量部以下であることが好ましい。
【0036】
本実施形態に係る粘着剤組成物において、より良好な粘着力およびより優れた耐久性を発揮し、かつ、液晶セル等の被着体と偏光フィルム等の光学フィルムとの接着に使用された場合、光漏れをより効果的に低減できる観点から、(A)成分は、(a1)上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体(以下、単に「(a1)成分」と記載する場合もある。)90質量%以上99.9質量%以下(好ましくは92質量%以上98.9質量%以下)および(a2)分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の水酸基とを有する単量体(以下、単に「(a2)成分」と記載する場合もある。)0.1質量%以上10質量%以下(好ましくは0.6質量%以上7質量%以下、より好ましくは0.6質量%以上6質量%以下)を含む単量体混合物の重合体であることが好ましい。この場合、(a1)成分と(a2)成分との合計量は90.1質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
【0037】
1.1.1.(a1)成分
(a1)成分は、本実施形態に係る粘着剤組成物の粘着力および耐久性に寄与することができる。(a1)上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体として、例えば、(a1−1)ホモポリマーを形成したと仮定した場合のガラス転移温度(Tg)が0℃以上である、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体(以下、単に「(a1−1)成分」と記載する場合もある。)を使用することができる。
【0038】
(a1−1)成分である、ホモポリマーを形成したと仮定した場合のTgが0℃以上である、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキサデシルアクリレート、n−ヘキサデシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート等の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;tert−ブチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート等の分岐状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体;シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等のエステル部位に脂環基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体;ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、2−ナフチルアクリレート等の芳香環基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が挙げられ、このうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。このうち、本実施形態に係る粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層が画像表示装置の光漏れをより低減できる点で、(a1−1)成分は、上記一般式(1)で表される、ホモポリマーを形成したと仮定した場合のTgが0℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体であって、該(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を構成するアルキル鎖が直鎖状または分岐状のアルキル鎖であることが好ましく、分岐状のアルキル鎖を有することがより好ましい。この場合、本実施形態に係る粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層が画像表示装置の光漏れをさらに低減できる点で、前記アルキル鎖の炭素原子数は1以上10以下であることがさらに好ましく、1以上6以下であることが特に好ましい。
【0039】
(A)成分である重合体を得るための前記単量体混合物中における(a1−1)成分の含有量が5質量%未満であると、光漏れを十分に抑えることができない場合があり、一方、55質量%を超えると、粘着剤層が硬くなりすぎ、貼付作業性が悪くなったり、耐久性に悪影響を及ぼしたりする場合がある。光漏れを十分に抑え、かつ、耐久性に優れた粘着剤層を得るためには、(A)成分である重合体を得るための前記単量体混合物中における(a1−1)成分の含有量は、5質量%以上55質量%以下であることが好ましく、5質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
【0040】
また、(a1)上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体として、例えば、(a1−2)ホモポリマーを形成したと仮定した場合のガラス転移温度(Tg)が0℃未満である、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体(以下、単に「(a1−2)成分」と記載する場合もある。)を使用することができる。
【0041】
(a1−2)成分である、ホモポリマーを形成したと仮定した場合のTgが0℃未満である、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、等の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体;イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等の分岐状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体;フェノキシエチルアクリレート等の芳香環基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が挙げられ、このうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。このうち、本実施形態に係る粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層が光漏れをより低減できる点で、(a1−2)成分は、ホモポリマーを形成したと仮定した場合のTgが0℃未満である、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体であって、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルを構成するアルキル鎖が直鎖状または分岐状のアルキル鎖であることが好ましく、直鎖状のアルキル鎖を有することがより好ましい。この場合、本実施形態に係る粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層が画像表示装置の光漏れをさらに低減できる点で、前記アルキル鎖の炭素原子数は1以上10以下であることがさらに好ましい。
【0042】
(A)成分である重合体を得るための前記単量体混合物中における(a1−2)成分の含有量が44.5質量%未満であると、粘着物性のバランスが崩れ、被着体への密着力が不足する場合があり、一方、94.5質量%を超えると、光漏れを十分に抑えることができない場合がある。光漏れを十分に抑え、かつ、耐久性に優れた粘着剤層を得るためには、(A)成分である重合体を得るための前記単量体混合物中における(a1−2)成分の含有量は、44.5質量%以上94.5質量%以下であることが好ましく、59.5質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、69.5質量%以上90質量%以下であることが更に好ましい。
【0043】
(a1)成分における(a1−1)成分と(a1−2)成分との合計量は、49.5質量%以上100質量%以下であることが好ましく、64.5質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
【0044】
1.1.2.(a2)成分
(a2)成分に含まれる水酸基が(B)成分中のイソシアナート基と反応することにより、架橋構造を形成することができる。(a2)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体などが挙げられ、このうち、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、炭素数1ないし6の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体であることが好ましい。
【0045】
1.1.3.(a3)成分
(A)成分である重合体を得るための前記単量体混合物は、(a3)分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の水酸基以外の反応性官能基とを有する単量体(以下、単に「(a3)成分」と記載する場合もある。)をさらに含むことができる。本発明において、「反応性官能基」とは、(B)成分と反応し得る官能基をいい、(a3)成分に含まれる反応性官能基としては、例えば、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、および酸無水物基から選ばれる少なくとも1種の基をいう。
【0046】
(a3)成分に含まれる反応性官能基は(B)成分中のイソシアナート基と(a2)成分中の水酸基に作用することにより、架橋構造を効率よく形成することができる。(a3)成分としては、例えば、カルボキシエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸が挙げられ、このうち、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。このうち、(a3)成分は、架橋構造形成への効率に優れる点で、アクリル酸、およびアルキルアミドから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、アクリル酸であることがさらに好ましい。
【0047】
光漏れを十分に抑え、かつ、耐久性に優れた粘着剤層を得るためには、(A)成分である重合体を得るための前記単量体混合物中における(a3)成分の含有量は、0質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることが更に好ましい。
【0048】
本実施形態に係る粘着剤組成物では、良好な接着性および耐久性ならびに光漏れの低減をより確実に達成できる観点から、(A)成分である重合体を得るための前記単量体混合物中における前記(a1)成分、(a2)成分および(a3)の合計量が90.1質量%以上100質量%以下であることができ、95質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
【0049】
1.1.4.(a4)成分
また、(A)成分である重合体を得るための前記単量体混合物は、(a4)(a1)〜(a3)成分以外の単量体であって、分子内に1個のオレフィン性二重結合を有する単量体(以下、単に「(a4)成分」と記載する場合もある。)をさらに含むことができる。(a4)成分としては、例えば、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等が挙げられる。(A)成分である重合体を得るための前記単量体混合物中における(a4)成分の含有量は、0質量%以上2質量%以下であることが好ましい。
【0050】
1.1.5.(a1)成分、(a2)および(a3)および(a4)の合計量
本実施形態に係る粘着剤組成物では、良好な接着性および耐久性ならびに光漏れの低減をより確実に達成できる観点から、(A)成分である重合体を得るための前記単量体混合物中における前記(a1)成分、(a2)および(a3)および(a4)の合計量が90.1質量%以上100質量%以下であることができ、95質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは100質量%以下である。
【0051】
さらに、本実施形態に係る粘着剤組成物は、本実施形態に係る粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層が光漏れをより低減できる点で、アルキレンオキサイド基を有するモノマーの含有量が5質量%以下であることが好ましく、アルキレンオキサイド基を有するモノマーを含まないことがより好ましい。アルキレンオキサイド基を有するモノマーとしては、例えば、側鎖にアルキレンオキサイド基を有する(メタ)アクリルモノマー、アルキレンオキサイド基を有する反応性乳化剤が挙げられる。なお、本発明において「粘着剤組成物がアルキレンオキサイド基を有するモノマーを含まない」とは、粘着剤組成物中のアルキレンオキサイド基を有するモノマーの含有量が2質量%以下であることをいう。特に、粘着剤組成物中のアルキレンオキサイド基を有するモノマーの含有量が0質量%以上2質量%以下であることが好ましい。
【0052】
1.1.6.Tg
本実施形態に係る粘着剤組成物では、良好な接着性および耐久性ならびに光漏れの低減をより確実に達成できる観点から、(A)成分のTgは−70℃以上0℃以下であることが好ましく、−60℃以上−10℃以下であることがより好ましい。なお、本発明において、(A)成分のTgは、下記式(6)(FOXの式)により算出された値である。
【0053】
1/Tg
A=W
a1/Tg
a1+W
a2/Tg
a2+W
a3/Tg
a3+W
a4/Tg
a4 ・・・・(6)
(式中、Tg
Aは、(A)成分のガラス転移温度(K)を示し、Tg
a1,Tg
a2,Tg
a3,Tg
a4はそれぞれ、構成モノマー(a1),(a2),(a3),(a4)から調製されたホモポリマーのガラス転移温度(Tg(K))を示し、W
a1,W
a2,W
a3,W
a4はそれぞれ、(A)成分中に含まれる、構成モノマー(a1),(a2),(a3),(a4)の重量分率を示す。)
【0054】
なお、上記式(6)により、Tg
Aは、絶対温度(K)として算出されるので、必要に応じて摂氏温度(℃)に換算される。
【0055】
また、代表的なモノマーから調製されたホモポリマーのガラス転移温度は、下記表1に示されるが、より具体的には、たとえば、ポリマーハンドブック4版(Polymer Handbook Third Edition, Wiley-Interscience,1999)などに記載されている。
【0057】
1.1.7.重量平均分子量(Mw)
また、本実施形態に係る粘着剤組成物において、良好な接着性および耐久性ならびに光漏れの低減をより確実に達成できる観点から、(A)成分は、重量平均分子量(Mw)が50万以上200万以下であることが好ましく、80万以上180万以下であることがより好ましい。ここで、(A)成分の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、下記の条件で標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)を求めたものである。
<GPC測定条件>
測定装置:HLC−8120GPC(東ソー社製)
GPCカラム構成:以下の5連カラム(すべて東ソー社製)
(1)TSK−GEL HXL−H (ガードカラム)
(2)TSK−GEL G7000HXL
(3)TSK−GEL GMHXL
(4)TSK−GEL GMHXL
(5)TSK−GEL G2500HXL
サンプル濃度:1.0mg/cm
3となるように、テトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0cm
3/分
カラム温度:40℃
【0058】
また、本実施形態にかかる(A)成分は、上記GPCにより求められる分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が4以上7以下の範囲にあることが好ましい。(A)成分において、前記分子量分布が7以下であることは、高分子量成分の割合が高く、低分子量成分の割合がより少ないことを意味するから、耐久試験条件下において、(A)成分を用いて得られる粘着剤層の凝集力を維持することができるため、該粘着剤層の耐久性をより高めることができる点で好ましい。また、(A)成分において、前記分子量分布が4以上であることにより、(A)成分が、分子量がある程度の分布を有するポリマーとなるため、(A)成分を含む粘着剤組成物に適度な応力緩和性を与えることができる。
【0059】
1.2.(B)成分
上述したように、本実施形態に係る粘着剤組成物において、(B)成分である架橋剤は、上記一般式(2)または上記一般式(3)で表される架橋剤と、を含む。
【0060】
本実施形態に係る粘着剤組成物において、より優れた接着力および耐久性を付与し、かつ、光漏れをより確実に防止できる観点から、上記一般式(2)または上記一般式(3)に含まれるR
1A,R
1B,R
1Cである上記一般式(4)で表される基において、xは2以上10以下の整数であることがより好ましく(さらに好ましくは4以上8以下の整数)、mは1以上10以下の整数であることがより好ましい(さらに好ましくは1以上6以下の整数)。また、上記一般式(2)または上記一般式(3)に含まれるR
1A,R
1B,R
1Cである上記一般式(5)で表される基において、yは2以上10以下の整数であることがより好ましく、4〜8の整数であることがさらに好ましく、nは1以上10以下の整数であることがより好ましく、1以下6以下の整数であることがさらに好ましい。なお、R
1A,R
1B,R
1Cは同一であってもよく、または異なっていても、複数の組合せであってもよい。
【0061】
上記一般式(2)または上記一般式(3)においてR
2A,R
2B,R
2C,R
3A,R
3B,R
3C,R
3D,R
3E,R
3Fに含まれるアルキレン基としては、例えば、直鎖状、分岐状、または環状であってもよく、直鎖状であることが好ましい。該アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、ドデシレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。該アルキレン基の炭素原子数は、2以上10以下であることが好ましく、4以下8以下であることがより好ましい。また、R
2A,R
2B,R
2C,R
3A,R
3B,R
3C,R
3D,R
3E,R
3F自体がそれぞれ、アルキレン基であってもよい。なお、R
2A,R
2B,R
2Cは同一であってもよく、または異なっていてもよい。また、R
3A,R
3B,R
3C,R
3D,R
3E,R
3Fは同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0062】
(B)成分はイソシアネート系架橋剤であり、より具体的には、(B)成分は上記一般式(2)または上記一般式(3)で示されるように、トリメチロールプロパンに由来する骨格(−(O−CH
2−)
3−C−CH
2CH
3)と、イソシアネート(−N=C=O)基とを有する。
【0063】
本実施形態に係る粘着剤組成物に適度な弾性を付与できる観点から、(B)成分は例えば、架橋度(1分子の(B)成分中に含まれるイソシアネート基の数)が1以上9以下であることができ、架橋度が3以上6以下であることが好ましい。(B)成分は、例えば、トリメチロールプロパンと、イソシアネート基を有する酸ハロイド(またはエステル、あるいはカルボン酸)とを縮合させることにより、得ることができる。
【0064】
本実施形態に係る粘着剤組成物において、凝集力と弾性との両立をより確実に達成できる観点で、(B)成分の分子量は500以上10,000以下であることが好ましく、2,000以上7,000以下であることがより好ましい。
【0065】
本実施形態に係る粘着剤組成物が(B)成分を含むことにより、(B)成分に含まれる上記一般式(4)で表される基および/または上記一般式(5)で表される基を含む基に起因して、該粘着剤組成物に適度な凝集力および弾性が付与される。これにより、該粘着剤組成物は、元来はトレードオフの関係になることが多い、凝集力と弾性との双方を具備することができる。したがって、該粘着剤組成物は該粘着剤組成物を用いて画像表示装置の粘着剤層を形成した場合、光漏れを防止し、かつ接着力および耐久性(湿熱耐久性)を高めることができる。
【0066】
一般に、粘着剤組成物が硬すぎる場合(粘着剤組成物の凝集力が高く、かつ弾性が低い場合)、該粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層のひび割れが生じることがあり、一方、粘着剤組成物が柔らかすぎる場合(粘着剤組成物の凝集力が低く、かつ弾性が高い場合)、該粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層に気泡が入りこみ、外観上好ましくないことがある。これに対して、本実施形態に係る粘着剤組成物が(B)成分を含むことにより、該粘着剤組成が適度な凝集力および弾性を有するため、粘着剤層のひび割れを防止し、かつ、粘着剤層に気泡が入り込むのを防止することができる。
【0067】
本実施形態に係る粘着剤組成物における(B)成分の含有量は、光漏れを防止し、かつ接着力および耐久性を高めることができる観点から、本実施形態に係る(A)成分100質量部に対して0.05質量部以上5質量部以下であることができ、0.1質量部以上4質量部以下であることが好ましい。
【0068】
(B)成分としては、市販の架橋剤を使用することができる。例えば、(B)成分として、D−94(販売元:綜研化学株式会社)、E405−70B(販売元:旭化成株式会社)、MFA−75B(販売元:旭化成株式会社)等を使用することができる。
【0069】
本実施形態に係る光学フィルム用粘着剤組成物によれば、上記一般式(2)または上記一般式(3)で表される(B)架橋剤を含むことにより、上記一般式(2)または上記一般式(3)で表される構造を有さない架橋剤(例えば、市販のイソシアネート系架橋剤であるNY730A(販売元:三菱化学株式会社)、L−45(販売元:綜研化学株式会社)、コロネートHL(販売元:日本ポリウレタン株式会社)等)と比較して、光漏れをより確実に低減でき、かつ、耐久性(湿熱耐久性)に優れている。
【0070】
1.3.他の成分
本実施形態に係る光学フィルム用粘着剤組成物は、必要に応じて、(A)成分および(B)成分以外の成分をさらに含むことができる。例えば、本実施形態に係る粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、(C)シランカップリング剤(以下、単に「(C)成分」と記載することもある。)、(D)イオン性化合物(以下、単に「(D)成分」と記載する場合もある。)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、可塑剤等が配合されていても良い。
【0071】
1.3.1.(C)シランカップリング剤
本実施形態に係る光学フィルム用粘着剤組成物が(C)成分を含むことにより、本実施形態に係る光学フィルム用粘着剤組成物を用いて被着体の表面に粘着剤層を形成した場合、被着体との接着を良好に保つことができる。(C)成分は例えば、ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン及びメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物;3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物;並びに3−クロロプロピルトリメトキシシラン;オリゴマー型シランカップリング剤等であってもよく、中でも、(メタ)アクリル系コポリマー(A)中に含まれる官能基と反応する官能基を有しているシランカップリング剤が湿熱環境下でハガレを生じさせにくいという点で好ましい。
【0072】
本実施形態に係る光学フィルム用粘着剤組成物における(C)成分の含有量は、被着体との接着を良好に保つことができる観点から、(A)成分100質量部に対して0.01質量部以上0.5質量部以下であることができ、0.05質量部以上0.3質量部以下であることが好ましい。
【0073】
1.3.2.(D)イオン性化合物
また、本実施形態に係る粘着剤組成物は、イオン性化合物(D)を含んでいてもよい。本実施形態に係る粘着剤組成物が(D)成分を含むことにより、本実施形態に係る粘着剤組成物を用いて被着体の表面に粘着剤層を形成した場合、被着体の帯電を効果的に防止することができる。(D)成分としては、例えば、アニオンとカチオンとからなる、25℃で液体状、または固体状のイオン性化合物が挙げられ、具体的には、アルカリ金属塩、イオン性液体(25℃で液体状)、界面活性剤等が挙げられる。
【0074】
上記アルカリ金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属カチオンと、アニオンとからなる化合物が挙げられ、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、過塩素酸リチウム、塩素酸カリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、LiBr、LiI、LiBF
4、LiPF
6、LiSCN、酢酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、LiCF
3SO
3、Li(CF
3SO
2)
2N、Li(CF
3SO
2)IN、Li(C
2F
5SO
2)
2N、Li(C
2F
5SO
2)IN、Li(CF
3SO
2)
3C等が挙げられる。
【0075】
上記イオン性液体を構成するカチオンとしては、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオン等が挙げられ、上記イオン性液体を構成するアニオンとしては、Cl
−、Br
−、I
−、AlCl
4−、Al
2Cl
7−、BF
4−、PF
6−、ClO
4−、NO
3−、CH
3COO
−、CF
3COO
−、CH
3SO
3−、CF
3SO
3−、(CF
3SO
2)
2N
−、(CF
3SO
2)
3C
−、AsF
6−、SbF
6−、NbF
6−、TaF
6−、F(HF)n
−(n=2〜3)、(CN)
2N
−、C
4F
9SO
3−、(C
2F
5SO
2)
2N
−、C
3F
7COO
−、(CF
3SO
2)(CF
3CO)N
−等があげられる。
【0076】
そして、上記イオン性化合物としては、これらのカチオンとアニオンとから構成され、25℃で液状のイオン性化合物が挙げられる。このようなイオン性化合物としては、具体的には、2−メチル−1−ピロリンテトラフルオロボレート、1−エチル−2−フェニルインドールテトラフルオロボレート、1,2−ジメチルインドールテトラフルオロボレート、1−エチルカルバゾールテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、3−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、ジアリルジメチルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、グリシジルトリメチルアンモニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
【0077】
上記界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤および両性界面活性剤の何れも使用することができる。
【0078】
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニエルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート等のポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;例えば、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン等のポリオキシアルキレン類及びそれらのブロックコポリマーが挙げられる。
【0079】
上記カチオン系界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム塩、アルキルジメチルアンモニウムエトサルフェート等が挙げられる。
【0080】
上記アニオン系界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、N−アシル−N−メチルグリシンナトリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム等のカルボン酸塩、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム等のスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリル燐酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸ナトリウム等の燐酸エステル塩等が挙げられる。
【0081】
上記両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型界面活性剤、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムペタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドが挙げられる。また、その他に、伝導性ポリマー、伝導性カーボン、塩化アンモニウム、塩化アルミニウム、塩化銅、塩化鉄、硫酸アンモニウム等を使用することができる。
【0082】
このなかでも、25℃で液体の有機塩が好ましく用いられる。
【0083】
本実施形態に係る光学フィルム用粘着剤組成物における(D)成分の含有量は、本実施形態に係る(A)成分100質量部に対して0.01質量部以上3質量部以下であることができ、0.05質量部以上2.5質量部以下であることが好ましい。
【0084】
1.4.(A)成分の重合方法
(A)成分の重合方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できるが、重合により得られた共重合体の混合物を用いて、本発明の粘着剤組成物を製造するにあたり、処理工程が比較的簡単でかつ短時間で行える観点から、溶液重合により重合することが好ましい。
【0085】
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、各単量体、重合開始剤、および必要に応じて用いられる連鎖移動剤等を仕込み、窒素気流または有機溶媒の還流温度の下で、撹拌しながら数時間加熱反応させることにより行われる。
【0086】
なお、この場合において、有機溶媒、単量体及び/または重合開始剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサなどの芳香族炭化水素類;例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、テレピン油などの脂肪系もしくは脂環族系炭化水素類;例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、安息香酸メチルなどのエステル類;例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどのケトン類;例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどのアルコール類;などを挙げることができる。これらの有機溶媒はそれぞれ単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0087】
これら重合用有機溶媒のうち、(A)成分の重合に際しては、重合反応中に連鎖移動を生じにくい有機溶媒、例えば、エステル類、ケトン類を使用することが好ましく、特に、(A)成分の溶解性、重合反応の容易さなどの点から、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトンなどの使用が好ましい。
【0088】
前記重合開始剤としては、通常の溶液重合で使用できる有機過酸化物、アゾ化合物などを使用することが可能である。このような有機過酸化物としては、例えば、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、カプロイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシビバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−オクチルパーオキシシクロヘキシル)ブタンなどが挙げられ、アゾ化合物としては、例えば、2,2´−アゾビス−イソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2´−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどを挙げることができる。
【0089】
これら重合開始剤のうち、(A)成分の重合反応中に、グラフト反応を起こさない重合開始剤が好ましく、特にアゾ系重合開始剤が好ましい。その使用量は、通常、単量体合計100重量部に対して0.01質量部以上2重量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上1.0重量部以下である。
【0090】
また、本発明の粘着剤組成物に含まれる(A)成分の製造に際しては、連鎖移動剤を使用しないのが普通であるが、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、必要に応じて使用することは可能である。
【0091】
このような連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1以上8以下のアルキルエステル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1以上8以下のアルキルエステル類;アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、p−ニトロトルエンなどの芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン誘導体類;トリブチルボランなどのボラン誘導体;四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペンなどのハロゲン化炭化水素類;クロラール、フラルデヒドなどのアルデヒド類:炭素数1以上18以下のアルキルメルカプタン類;チオフェノール、トルエンメルカプタンなどの芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1以上10以下のアルキルエステル類;炭素数1以上12以下のヒドロキシアルキルメルカプタン類;ピネン、ターピノレンなどのテルペン類;などを挙げることができる。
【0092】
(A)成分の重合温度としては、一般に約30℃以上180℃以下であり、好ましくは40℃以上150℃以下であり、より好ましくは50℃以上90℃以下の範囲である。なお、溶液重合法などで得られた重合物中に未反応の単量体が含まれる場合は、該単量体を除くために、メタノールなどによる再沈澱法で精製することも可能である。
【0093】
1.5.微小クリープ値
さらに、本実施形態に係る粘着剤組成物において、光漏れをより確実に防止し、かつ接着力および耐久性をさらに高めることができる観点から、本実施形態に係る粘着剤組成物の60℃における微小クリープ値は、800g荷重を1000秒付加した際に0.50mm以下であることが好ましく、0.35mm以下であることがより好ましい。本発明において、微小クリープ値は、実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
【0094】
本実施形態に係る粘着剤組成物は、該粘着剤組成物から形成される粘着剤層の収縮が抑制される結果、該粘着剤層が設けられた光学フィルムの収縮が抑制されることによって、光漏れをより確実に防止できる観点で、60℃における微小クリープ値と23℃における微小クリープ値との差が小さいほうが好ましく、例えば、60℃における微小クリープ値と23℃における微小クリープ値との差が0.30mm以内であることが好ましい。
【0095】
1.6.粘着剤組成物の製造
本実施形態に係る粘着剤組成物は、通常、前記(A)および(B)成分および必要に応じて任意成分を、同時にあるいは任意の順番で混合して調製される。また、(A)成分と(B)成分とを混合するにあたり、(A)成分を溶液重合により調製した場合は、重合完了後の(A)成分を含む溶液に(B)成分を添加してもよく、(A)成分を塊状重合により調製する場合は、重合完了後では均一混合が困難になるため、この重合の途中で(B)成分を添加して混合することが好ましい。
【0096】
1.7.用途および作用効果
本実施形態に係る粘着剤組成物は、光学フィルム(詳しくは後述する)の接着剤として好適に用いることができる。本実施形態に係る粘着剤組成物によれば、高温および多湿条件下で優れた耐久性を発揮し、かつ、液晶セル等の被着体と偏光フィルム等の光学フィルムとの接着に使用された場合、光漏れを低減することができる。なお、画像表示装置が位相差フィルムを含む場合、液晶セルと偏光フィルムとの間に位相差フィルムが設けられるため、位相差フィルムと偏光フィルムとの間に、本実施形態に係る粘着剤組成物を用いた接着剤層を設けることができる。
【0097】
例えば、本実施形態に係る粘着剤組成物を、液晶セル等の被着体と偏光フィルム等の光学フィルムとの接着に使用された場合、良好な光漏れ防止特性および高耐久性を実現することができるため、画像表示装置の高画質化を達成することができる。この場合、本実施形態に係る粘着剤組成物は、VAモード用偏光フィルム、TNモード用偏光フィルムまたはIPSモード用偏光フィルムを被着体とする接着剤として使用することができるが、高画質化を達成することができる点で、VAモード用偏光フィルムまたはTNモード用偏光フィルムを被着体とする接着剤として好適に使用することができる。
【0098】
本実施形態に係る粘着剤組成物の一作用効果である光漏れ防止特性は、以下の作用機序によるものであると推測される。
【0099】
すなわち、本実施形態に係る粘着剤組成物を用いて光学フィルム(偏光フィルム)の表面に粘着剤層が設けられる場合、該粘着剤組成物が(B)成分を有することにより、(B)成分に含まれる上記一般式(4)で表される基および/または上記一般式(5)で表される基を含む基に起因して、該粘着剤組成物がある程度の硬さを有したまま、該粘着剤組成物に適度な凝集力および弾性が付与される。これにより、該粘着剤組成物は、元来はトレードオフの関係になることが多い、凝集力と弾性との双方を具備することができる。したがって、該粘着剤組成物を用いて画像表示装置の粘着剤層を形成した場合、光漏れを防止し、かつ接着力および耐久性(湿熱耐久性)を高めることができる。
【0100】
2.粘着型光学フィルム
本発明の別の一実施形態に係る粘着型光学フィルムは、上記実施形態に係る光学フィルム用粘着剤組成物を含む粘着剤層を、光学フィルムの片面または両面に設える。本実施形態に係る粘着型光学フィルムを作製するにあたり、上記粘着剤層は、光学フィルム上に、上記粘着剤組成物をグラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーター等により塗布し、光学フィルム上に塗布された粘着剤組成物を常温または加熱により乾燥および架橋して形成されてもよく、または、粘着剤層を剥離フィルム上に設け、これを上記光学フィルムに転写して形成されてもよい。また、粘着剤層の厚みは、通常は1μm以上50μm以下、好ましくは5μm以上30μm以下程度である。なお、粘着型光学フィルムの使用前に、粘着剤層を保護するために、該粘着剤層の表面に剥離フィルムを積層させてもよい。
【0101】
また、本実施形態に係る粘着型光学フィルムは、FPDなどの画像表示装置等で使用されるものが挙げられ、例えば、偏光フィルム、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルムおよび光拡散フィルムからなる群から選択される光学フィルムであることができる。光学フィルムの厚さは、使用目的に応じて適宜選択することができるが、通常、10μm以上500μm以下であり、好ましくは15μm以上300μm以下程度である。
【0102】
3.実施例
以下、本発明を下記実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されない。
【0103】
3.1.(A)成分の調製
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、下記表2に示す配合比率を有する単量体混合物を仕込み、次に、酢酸エチルをモノマー濃度が50質量%になる配合量にて仕込んだ。次に、アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を加え、反応容器内の空気を窒素ガスで置換しながら撹拌を行い60℃に昇温した後、8時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルで希釈して、(A)成分(アクリル系ポリマーA〜G)を得た。
【0104】
3.2.評価用粘着加工偏光板の作製
上記3.1.で得られた(A)成分を用いて、下記表3および表4の配合(固形分配合)にて各成分を添加して、実施例1ないし15および比較例1ないし11の粘着剤組成物の溶液を得た。この粘着剤組成物の溶液を剥離処理したポリエステルフィルムの表面に塗布して乾燥させることにより、厚さ20μmの粘着剤層を有する粘着シートを得た。この粘着シートをVAモード用偏光フィルムの片面に貼り付けた後、23℃/50%RHの条件で暗所にて7日間熟成させて、評価用粘着加工偏光板を得た。なお、(B)成分として、下記表3および表4に示されるように、架橋剤1ないし6を使用した。架橋剤1ないし6はそれぞれ、下記の構造式(7)ないし(12)で示される構造を有する。なお、架橋剤1の重量平均分子量(MW)は約3,700であり、架橋剤2の重量平均分子量(MW)は約4,000であり、架橋剤3の重量平均分子量(MW)は約4,000である。
【0105】
[架橋剤1]
【化11】
・・・(7)
(式中、lは1以上10以下であり、mは1以上10以下であり、nは1以上10以下であり、aは1以上10以下であり、bは1以上10以下であり、cは1以上10以下である。)
【0106】
[架橋剤2]
【化12】
・・・(8)
(式中、lは1以上10以下であり、mは1以上10以下であり、nは1以上10以下である。)
【0107】
[架橋剤3]
【化13】
・・・(9)
(式中、lは1以上10以下であり、mは1以上10以下であり、nは1以上10以下である。)
【0108】
[架橋剤4]
【化14】
・・・(10)
【0109】
[架橋剤5]
【化15】
・・・(11)
【0110】
[架橋剤6]
【化16】
・・・(12)
【0111】
各評価用粘着加工偏光板について、下記表3および表4に示す最大変形率、歪み復元率、光漏れ(光源にLEDを用いたもの:LED方式)、光漏れ(光源にLEDを用いないもの:非LED方式)、湿熱耐久性(発泡および断裂)について以下の方法にて評価した。
【0112】
3.3.評価方法
3.3.1.光漏れ
19インチサイズのVA型液晶パネル(I・Oデータ社製、型式:LCD−A191EWから取り外したもの)に、剥離処理されたポリエステルフィルムをはがした評価用粘着加工偏光板を、粘着剤層が前記液晶パネルに接するように、かつ、前記評価用粘着加工偏光板がクロスニコルになるように貼り合わせて、80℃の雰囲気下で240時間放置した後、23℃/50%RH雰囲気下で2時間放置した。その後、前記偏光板を貼り合わせた液晶パネルを暗室でパソコンに接続し全画面黒表示にした。本試験では、液晶パネルとして、VA方式の液晶パネルおよびTN方式の液晶パネルの2種を用いて評価を行った。この全画面黒表示のディスプレイモニターについて、
図1に示されるように、各コーナー付近の直径1cmの領域における輝度(La,Lb,Lc,Ld)およびモニタ中央部分の直径1cmの領域における輝度(Lcenter)を輝度計(ハイランド社製、型名:RISA−COLOR/CD8)を用いて測定し、下記式(13)に基づいて光漏れ性(ΔL)を算出した。ΔLが小さいほど、(バックライトからの)光漏れが少ないことを意味し、通常、ΔLが2.0未満であれば液晶表示用パネルとしての使用が可能である。
ΔL=(La+Lb+Lc+Ld)/4−Lcenter ・・・(13)
【0113】
また、VA方式の液晶パネルについては、
図1にて点線で示すように、ディスプレイモニターのコーナー付近において光漏れが発生した範囲(R)を目視で測定し、また、TN方式の液晶パネルについては、
図2にて点線で示すように、ディスプレイモニターの外周付近において光漏れが発生した範囲(R)を目視で測定した。光漏れが発生した範囲は、小さいほど光漏れが少ないことを意味し、通常、Rが20mm未満であれば、液晶表示用パネルとしての使用が可能である。さらに好ましくは、16.5未満である。
【0114】
3.3.2.微小クリープ値
各評価用粘着加工偏光板を幅10mm×長さ100mmにカットし、剥離処理されたポリエステルフィルムを剥がした各評価用粘着加工偏光板を、粘着剤層がガラスに接し、かつ100mm
2(10mm×10mm)の貼り合わせ面積になるように貼り合わせ、オートクレーブ処理(50℃、5atm)を行った後に23℃/50%RH雰囲気下で24時間静置した。これを微小クリープ試験用試料とした。微小クリープ測定機(英弘精機(株)社製、機種名:TA.TX.PLUS)のチャンバーBOX内の固定用チャック部分の長さ15mmにて試験用試料のセットを行った。試験用資料の上下を固定し、800g荷重を垂直方向に1000秒付加した際に、試料と被着体の貼り合わせ端部が初期よりずれた距離を測定した。
【0115】
3.3.3.湿熱耐久性
剥離処理されたポリエステルフィルムをはがした評価用粘着加工偏光板を15インチサイズ(233mm×309mm)に裁断し、厚さ0.5mmの無アルカリガラス板の片面に、粘着剤層が前記ガラス板に接するようにして、ラミネータロールを用いて貼り付けた。貼付後、オートクレーブ(栗原製作所製)にて0.5MPa、50℃、20分の条件で加圧処理して試験用プレートを得た。こうして得られた試験用プレートを60℃/90%RHの条件下に500時間放置した。試験終了後、試験用プレートを試験環境より取り出し、23℃/50%RH雰囲気下で2時間静置した後、粘着剤層における発泡(凝集力不足)、断裂(過架橋)を目視にて観察して、湿熱耐久性を下記評価基準にて評価した。
【0116】
(発泡−サイズ)
○:発泡が全く見られない
△:発泡の直径が1mm以下
×:発泡の直径が1mmより大きい
【0117】
(発泡−発生量)
○:発泡が全く見られない
△:発泡の個数が10個以下
×:発泡の個数が10個より多い
【0118】
(断裂−サイズ)
○:断裂が全く見られない
△:断裂が生じた面積が試験用プレートにおける貼り合わせ部分全体(100%)に対して5%未満
×:断裂が生じた面積が試験用プレートにおける貼り合わせ部分全体(100%)に対して5%以上
【0119】
(断裂−位置)
○:断裂が全くない
△:試験用プレートの各端部付近の1cm幅領域のみに欠点がある
×:試験用プレートの各端部付近の1cm領域と領域外に欠点がある
【0123】
なお、表2における略語は以下の意味である。
AA:アクリル酸
BA:n−ブチルアクリレート
t−BA:tert−(ターシャリー)ブチルアクリレート
4−HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
L−45:TDI系イソシアネート化合物(綜研化学社製 L−45)
MA:メチルアクリレート
KBM−403:3−グリシドキプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)
イオン性化合物((D)成分:帯電防止剤):1−オクチル−4−メチルピリジニウム・ビス(フルオロスルホニル)イミド
【0124】
表3および表4の結果から、上記実施例1ないし15の組成物は、(B)成分として上記一般式(2)または上記一般式(3)で表される架橋剤1ないし3を含むことにより、高い粘着力および優れた耐久性を実現し、かつ、光漏れを低減することができる。これに対して、上記比較例1ないし11の組成物は、(B)成分として上記一般式(2)または上記一般式(3)で表される架橋剤を含んでいないか(使用した架橋剤4〜6が上記一般式(2)または上記一般式(3)で表される構造を有さない)(比較例1ないし11)、光漏れの低減を十分に達成することができなかったことが理解できる。
【0125】
[符号の説明]
100 画像表示装置(液晶パネル)
La,Lb,Lc,Ld 画像表示装置のコーナー近傍の輝度
Lcenter 画像表示装置の中央部における輝度