(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記生体サンプルの有核赤血球の割合を決定するように構成される第3モジュールを更に含み、前記データ処理モジュールが、前記第1赤血球濃度、前記白血球と有核赤血球とを合わせた数、前記第2赤血球数、及び前記有核赤血球の割合に基づいて、調整済みの白血球状態を判定するように構成される、請求項1に記載の自動化システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、WBC計数システム及び方法が現在存在し、それを必要とする患者に真に利益をもたらしているが、多くの発展が今なおなされ、個体のWBCの状態を評価するための改善された装置及び方法をもたらすこともあり得る。本発明の実施形態は、これらの問題に対処する解決策を提供し、そのためこれら未解決のニーズの少なくとも一部に対する答えを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、個体の白血球の状態、つまりパラメータを分析するための改善された手法を提供する。かかる手法は、体積伝導度散乱(VCS)パラメータに加え、様々な組み合わせの全血球計算(CBC)パラメータを用いて、一般集団における患者、つまり個体のWBC状態を評価する、信頼できるスクリーニング法を提供できる。例えば、診断システム及び方法は、個体のWBC数、つまりパラメータが正常か異常かどうかについて、早期かつ正確に予測することができる。このようなWBC分析法は、血液分析器の網赤血球モジュールを用いて、特定のRBC数を算出することを伴ってよい。
【0011】
医者にかかっている患者の血液サンプルは、多重光角度検出パラメータを得るために装備されている血液学的システム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH(商標)800セルラーアナリシスシステムを用いて調べることができる。本明細書に開示される手法を利用することによって、血液病理学者及び臨床医は、個々の患者それぞれの疾患予後の予測、将来的な合併症の可能性の評価、及び患者に提供される治療の素早くかつ的確な調整をより良くできる。
【0012】
DxH 800血液分析器は、白血球、赤血球、及び血小板などの血液成分の種類を示す、形態学的特徴を直接認識することができる。本明細書の別の場所に記載されるように、この技術は、細胞形態、つまり特定の細胞イベントに直接相関する様々なパラメータに関するデータを同時に収集する。細胞成分が分析されると、それらを、その位置が様々なパラメータによって定義されている、ヒストグラムにプロットできる。例えば、異なる血球の種類は異なる特徴を有し得るため、これらをヒストグラムの異なる領域にプロット、つまり区分でき、このように細胞集団を形成する。各集団におけるイベントの数を用いて、計数値を得ることができる。このような計数値に加え、様々な形態学的パラメータ(体積、伝導度、及び5つの光散乱角度)の各点における平均値及び標準偏差値を別々に算出することができる。その結果、細胞イベントと直接相関する大量のデータが得られる。この情報はVCSデータと称してよく、機器のスクリーン上に表示し、並びに、エクセルファイルとして自動的にエクスポートできる。本発明の実施形態は、任意にCBCデータと共にVCSデータが含まれる生体サンプルのプロファイルを得ることによって、個体の生体サンプルを評価する工程と、そのデータに基づき、生体サンプルにWBCパラメータ、例えばWBC数又はWBC値を割り当てる工程と、を含んでよい。また、特定の実施形態は、WBC数を出力する工程も含んでよい。これらの工程の1つ以上は、Beckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH(商標)800セルラーアナリシスシステムなどの血液分析器によって実施されてよい。
【0013】
本発明の実施形態は、素早くかつ正確なWBCスクリーニング結果をもたらす。本明細書に開示される方法を使用し、多重パラメータ細胞分析システムから得られる情報を利用して、個体のWBC状態を評価し、予測することが可能である。本明細書に開示されるように、代表的な細胞分析システムは、体積、伝導度、及び/又は複数の光散乱角度などのパラメータを、同時に測定できる。このようなシステムは、血球分析手法を実装するため、高度な分離能及び感度をもたらす。ある場合には、細胞分析システムは、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の角度範囲における光散乱を検出する。更に、細胞分析システムは、軸方向光損失として知られる光減衰パラメータに相当する、入射光から0°〜約1°の角度のシグナルを検出することもできる。非限定例として、Beckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH(商標)800セルラーアナリシスシステムは、複数の角度(例えば、AL2では0°〜0.5°、LALSでは約5.1°、LMALSでは9°〜19°、UMALSでは20°〜43°)に対する光散乱検出データをもたらす。これらの手法は、特に、より最新の検査が容易に利用されない状況において、異常WBCパラメータを有する患者の迅速で正確な診断及び治療を可能にする。
【0014】
このような血液分析機器は、8,000個を超える細胞を数秒の間に評価でき、細胞体積、細胞質の粒状度、核の複雑さ、及び内部密度の形態学的特徴が定量的に評価され得る。個体のWBC症状又は状態の予測戦略の実行のため、数値的決定基準を得て、利用してよい。例えば、WBC症状又は状態は、個体のWBC数と関連する場合がある。ある場合には、WBC症状又は状態は、個体において算出されたWBC数を指すことがある。
【0015】
したがって、本発明の実施形態は、疾病分類に対する多重パラメータモデルを利用して、WBC関連症状を診断又は監視するシステム及び方法を包含する。様々な測定パラメータからの情報を組み合わせることによって、形態学的変化のパターンを解析できる。したがって、本発明の実施形態は、白血病などの血液疾患を評価し、白血球数の増加又は抑制に関連する症状の経過及び治療を監視するため、WBCパラメータの解析で用いるのによく適している。本明細書に開示されるWBC分析システム及び方法を用いて、白血病、感染症(例えばウイルス感染)、及び骨髄障害の治療を受ける患者において、治療の進行の指標を提供することができる。
【0016】
本明細書に開示される代表的な手法は、赤血球溶解と同時通過補正を必要とせずに、正しい白血球数をもたらす方法及びシステムを包含する。一態様では、本発明の実施形態は、白血球数が高いときに、血液分析器の網赤血球モジュールを用いて白血球数を測定する方法に関する。一実施形態では、この方法は、血液分析器内で血液サンプルを光に曝す工程と、血液分析器を用いて、複数の散乱角における散乱量を測定する工程と、コンピュータを用いて、複数の散乱角のうち所定の1つにおける散乱量を計算する工程と、コンピュータによって実行されるアルゴリズムを用いて、白血球集団から分離される赤血球(成熟赤血球及び網赤血球)集団を決定する工程と、コンピュータを用いて、分離に応えて、網赤血球及び白血球の計数を決定する工程と、を含む。一実施形態では、WBCと区別した集団は有核赤血球を含んでよいが、含まなくてもよい。
【0017】
更に別の実施形態では、複数の散乱角のうち所定の1つは、ALL、LALS、及びMALSを含む。更になお別の実施形態では、複数の散乱角のうち所定の1つにおける散乱量を計算する工程は、LALSの対数を計算する工程を含む。一実施形態では、複数の散乱角のうち所定の1つにおける散乱量を計算する工程は、LALSの対数及びMALSの対数の合計を計算する工程を含む。別の実施形態では、細胞の透明度はALLによって測定される。更になお別の実施形態では、WBC量を計数する工程は、UWBC#
Retic=RBC#
CBC×((WBC&NRBC)
events Retic/RBC
events Retic)の関係を計算する工程を含む。一実施形態では、WBC量を決定する工程は、UWBC#
Retic=URBC#
CBC×(WBC&NRBC
events Retic/(RBC
events Retic+(WBC&NRBC)
events Retic))の関係を計算する工程を含む。別の実施形態では、この方法は、WBC#
Retic=UWBC#
Retic/(1+NRBC%
NRBC)の関係に従って、NRBCモジュールからNRBC%を使用することにより、WBC数を補正する工程を更に含む。WBC集団がNRBCを含まない別の実施形態では、WBC量を計数する工程は、WBC#
Retic=RBC#
CBC×(WBC
events Retic/RBC
events Retic)の関係を計算する工程を含む。
【0018】
別の態様では、本発明の実施形態は、網赤血球モジュールを用いて白血球を計数する装置に関する。一実施形態では、装置には血液分析器を含む。別の実施形態では、血液分析器は、光源であって、血液分析器内で血液サンプルに光を照射する光源と、検出器アレイであって、複数の散乱角における光散乱量を測定する検出器アレイと、検出器アレイと電気通信するプロセッサであって、血液分析器の検出器アレイと接続されるプロセッサと、を含み、コンピュータが、複数の散乱角のうち所定の1つにおける散乱量の対数を計算し、プロセッサが、クラスタ化アルゴリズムを用いて、白血球集団から分離される赤血球(成熟赤血球及び網赤血球)集団を決定し、プロセッサが、分離に応えて、網赤血球及び白血球の量を決定する。
【0019】
装置の一実施形態では、複数の散乱角のうち所定の1つは、ALL、LALS、及びMALSを含む。更に別の実施形態では、複数の散乱角のうち所定の1つにおける散乱量を計算するプロセッサは、LALSの対数を計算する。更になお別の実施形態では、プロセッサは、複数の散乱角のうち所定の1つにおける散乱量を計算し、LALSの対数及びMALSの対数の合計を計算する工程を含む。一実施形態では、体積はALLによって測定される。別の実施形態では、WBC量を計数するプロセッサは、UWBC#
Retic=RBC#
CBC×(WBC&NRBC
events Retic/RBC
events Retic)の関係を計算する。別の実施形態では、WBC量を計数するプロセッサは、UWBC#
Retic=URBC#
CBC×(WBC&NRBC
events Retic/(RBC
events Retic+WBC&NRBC
events Retic))の関係を計算する。更になお別の実施形態では、WBC量を計数するプロセッサは、WBC#
Retic=UWBC#
Retic/(1+NRBC%
NRBC)の関係に従って、NRBCモジュールからNRBC%を使用することにより、WBC数を補正する。WBC集団がNRBCを含まない別の実施形態では、WBC量を計数する工程は、WBC#
Retic=RBC#
CBC×(WBC
events Retic/RBC
events Retic)の関係を計算する工程を含む。
【0020】
一態様では、本発明の実施形態は、個体の血液から得られた生体サンプルに基づいて、個体における白血球状態を推定する自動化システム及び方法を包含する。代表的なシステムは、細胞照合ゾーンを有する光学素子と、生体サンプルの流体力学的に集中した流れを細胞照合ゾーンに向けて送達するように構成される流路と、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する生体サンプルの細胞の直流(DC)インピーダンスを測定するように構成される電極アセンブリと、ビーム軸に沿って光ビームを向け、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する生体サンプルの細胞を照射するように向けられる光源と、細胞照合ゾーンと光学的に結合し、生体サンプルの照射された細胞によって散乱され、透過した光を測定する光検出アセンブリと、を備えてよい。ある場合には、光検出アセンブリは、光ビーム軸に対して第1範囲内の照射された細胞からの第1伝播光、光ビーム軸に対して第2の角度範囲内の照射された細胞からの第2伝播光であって、第2範囲が第1範囲と異なる伝播光、及び、ビーム軸に沿って照射された細胞から伝播された軸方向光、を測定するように構成される。特定の実施形態では、このシステムは、生体サンプルの細胞からのDCインピーダンス、第1伝播光、第2伝播光、及び軸方向光測定値の部分集合を、個体における白血球状態の推定に関連付けるように構成される。いくつかの実施形態によると、個体の白血球状態の推定には、白血球数の推定が含まれる。特定の場合には、DCインピーダンス測定値は網赤血球モジュールを介して得られ、システムは、DCインピーダンス測定値を、個体の白血球状態の推定と関連付けるように構成される。任意に、部分集合である光測定値は網赤血球モジュールを介して得られてよく、システムは、網赤血球モジュールを介して得られた光測定値を、個体の白血球状態の推定と関連付けるように構成されてもよい。ある場合には、部分集合である光測定値が網赤血球モジュールを介して得られてよく、DCインピーダンス測定値も網赤血球モジュールを介して得られてよく、システムは、網赤血球モジュールを介して得られたDCインピーダンス測定値、網赤血球モジュールを介して得られた光測定値、及び全血球計算モジュールを介して得られた赤血球数を、個体の白血球状態の推定と関連付けるように構成されてもよい。ある場合には、システムは全血球計算モジュールを備える。ある場合には、網赤血球モジュールを介して得られた部分集合である光測定値として、低角度光散乱(LALS)測定値、下方中角度光散乱(LMALS)測定値、上方中角度光散乱(UMALS)測定値、又は軸方向光損失(ALL)測定値を挙げてよい。ある場合には、生体サンプルは、個体の血液サンプルである。ある場合には、部分集合である光測定値が網赤血球モジュールを介して得られ、DCインピーダンス測定値が網赤血球モジュールを介して得られ、システムが、網赤血球モジュールを介して得られたDCインピーダンス測定値、網赤血球モジュールを介して得られた光測定値、全血球計算モジュールを介して得られた赤血球数、及びNRBCモジュールを介して得られた有核赤血球(NRBC)パラメータを、個体の白血球状態の推定と関連付けるように構成される。
【0021】
別の態様では、本発明の実施形態は、個体の血液から得られた生体サンプルに基づいて、個体における白血球状態を推定するシステム及び方法を包含する。代表的な方法は、生体サンプルの流体力学的に集中した流れを光学素子の細胞照合ゾーンに向けて送達する工程と、電極アセンブリを用いて、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する生体サンプルの細胞の電流(DC)インピーダンスを測定する工程と、軸を有する電磁ビームを用いて、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する生体サンプルの細胞を照射する工程と、光検出アセンブリを用いて、ビーム軸に対して第1範囲内の照射された細胞からの第1伝播光を測定する工程と、光検出アセンブリを用いて、ビーム軸に対して第2の角度範囲内の照射された細胞からの第2伝播光であって、第2範囲が第1範囲と異なる伝播光を測定する工程と、光検出アセンブリを用いて、ビーム軸に沿って照射された細胞から伝播された軸方向光を測定する工程と、生体サンプルの細胞からのDCインピーダンス、第1伝播光、第2伝播光、及び軸方向光測定値の部分集合を、個体の推定される白血球状態に関連付ける工程と、を含んでよい。
【0022】
別の態様では、本発明の実施形態は、生体サンプルに関する電流光伝播データプロファイルを得る工程と、電流光伝播データプロファイルに基づいて生体サンプルに白血球状態の指標を割り当てる工程と、割り当てた白血球状態の指標を出力する工程と、を含む、個体の生体サンプルを評価する方法を包含する。
【0023】
別の態様では、本発明の実施形態は、個体から得られた生体サンプルに基づいて、個体の白血球状態を推定する自動化システムを包含する。代表的なシステムは、開口部を通る(thorough)生体サンプルの動きを受容し、方向付けるように構成される導管と、開口部を通って移動する際に、生体サンプルを通して発光し、光の散乱及び吸収に関するデータを収集するように構成される光散乱及び吸収測定装置と、開口部を通って移動する際に、生体サンプルに電流を通過させ、電流に関するデータを収集するように構成される電流測定装置と、を備える。ある場合には、システムは、光の散乱及び吸収に関するデータ、並びに電流に関するデータを、個体の推定される白血球状態に関連付けるように構成される。
【0024】
更に別の態様では、本発明の実施形態は、個体から得られた生体サンプルに基づいて、個体の白血球状態を推定する自動化システムを包含する。代表的なシステムは、サンプルが開口部を通過する際に、生体サンプルに対する光散乱データ、光吸収データ、及び電流データを得るトランスデューサと、プロセッサと、記憶媒体と、を備える。ある場合には、記憶媒体は、プロセッサによって実行されるとき、システムに、光散乱データ、光吸収データ、電流データ、又はこれらの組み合わせを利用し、個体の推定される白血球状態を判定させ、推定される白血球状態に関する情報をプロセッサから出力させるように構成される、コンピュータアプリケーションを有する。
【0025】
更に別の態様では、本発明の実施形態は、個体から得られた生体サンプルに基づいて個体の白血球状態を評価する自動化システムであって、サンプルが開口部を通過する際に、生体サンプルに対する電流光伝播データを得るトランスデューサと、プロセッサと、記憶媒体と、を備える、システムを包含する。記憶媒体は、プロセッサによって実行されるとき、システムに、電流光伝播データを利用し、個体の推定される白血球状態を判定させ、推定される白血球状態に関する情報をプロセッサから出力させるように構成される、コンピュータアプリケーションを備えてもよい。
【0026】
更に別の態様では、本発明の実施形態は、個体から得られた生体サンプルに基づいて、個体が異常白血球状態を有し得るかどうかを同定する自動化システムを含む。代表的なシステムは、記憶媒体と、プロセッサと、トランスデューサと、を備えてよい。トランスデューサは、サンプルが開口部を通過する際に、生体サンプルに対する光散乱データ、光吸収データ、及び電流データを得るように構成されてよい。記憶媒体は、プロセッサによって実行されるとき、システムに、光散乱データ、光吸収データ、又は電流データのうち1つ以上の測定値に基づくパラメータを利用し、個体の推定される白血球状態を判定させ、個体の推定される白血球状態に関する白血球の情報をプロセッサから出力させるように構成される、コンピュータアプリケーションを備えてよい。
【0027】
別の態様では、本発明の実施形態は、個体から得られた生体サンプルを評価するシステム及び方法を包含する。代表的な方法は、粒子分析システムの開口部を生体サンプルが通過する工程と、サンプルが開口部を通過する際に、生体サンプルに対する光散乱データ、光吸収データ、及び電流データを得る工程と、を含んでよい。代表的な方法は更に、光散乱データ、光吸収データ、電流データ、又はこれらの組み合わせに基づいて、生体サンプルに対する電流光伝播データプロファイルを判定する工程と、電流光伝播データプロファイルに基づいて生体サンプルに白血球状態の指標を割り当てる工程と、を含んでよい。代表的な方法は更に、割り当てた白血球状態の指標を出力する工程を含んでよい。
【0028】
更に別の態様では、本発明の実施形態は、個体の生体サンプルを評価する自動化法を包含する。代表的な方法は、粒子分析システムを用いて、サンプルが開口部を通過する際に、生体サンプルに対する光散乱データ、光吸収データ、及び電流データを得る工程と、粒子分析システムから得られたアッセイ結果に基づいて生体サンプルに対する電流光伝播データプロファイルを判定する工程と、を含む。代表的な方法は更に、コンピュータシステムを用いて、パラメータによって個体に対する推定される白血球状態を判定する工程であって、パラメータが、電流光伝播データプロファイルの電流光伝播データ測定値に基づくものである、工程を含んでよい。代表的な方法は更に、推定される白血球状態の指標を出力する工程を含んでよい。
【0029】
別の態様では、本発明の実施形態は、個体の白血球状態を推定する自動化システムを包含する。代表的なシステムは、記憶媒体と、プロセッサと、を備える。記憶媒体は、プロセッサによって実行されるとき、システムに、個体の生体サンプルに関する情報にアクセスさせるように構成される、コンピュータアプリケーションを備えてよい。この情報には、サンプルの軸方向光損失測定値、サンプルの光散乱測定値、サンプルの電流測定値、又はこれらの2つ以上の組み合わせに少なくとも部分的に関する情報を含んでよい。またコンピュータアプリケーションは、プロセッサによって実行されるとき、システムに、軸方向光損失測定値、複数の光散乱測定値、電流測定値、又はこれらの組み合わせに少なくとも部分的に関する情報を利用し、個体の推定される白血球状態を判定させるように構成されてもよい。またコンピュータアプリケーションは、プロセッサによって実行されるとき、システムに、推定される白血球状態に関する情報をプロセッサから出力させるように構成されてもよい。ある場合には、電流測定値として、サンプルの低周波電流測定値が挙げられる。ある場合には、光散乱測定値として、低角度光散乱測定値、下方中角度光散乱測定値、上方中角度光散乱測定値、又はこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。ある場合には、システムは、電磁ビーム源と、光センサアセンブリと、を備えてよい。光センサアセンブリを用いて、軸方向光損失測定値を得てよい。ある場合には、システムは、電磁ビーム源と、光センサアセンブリと、を備え、光センサアセンブリを用いて光散乱測定値を得てよい。ある場合には、システムは、電磁ビーム源と、電極アセンブリと、を備え、電極アセンブリを用いて電流測定値を得てよい。
【0030】
更に別の態様では、本発明の実施形態は、個体の白血球状態を推定する自動化システムを包含する。代表的なシステムは、記憶媒体と、プロセッサと、を備えてよい。記憶媒体は、プロセッサによって実行されるとき、システムに、個体の生体サンプルに関する電流光伝播データにアクセスさせ、電流光伝播データを利用し、個体の推定される白血球状態を判定させ、推定される白血球状態に関する情報をプロセッサから出力させるように構成される、コンピュータアプリケーションを備えてよい。ある場合には、プロセッサは、電流光伝播データを入力値として受け取るように構成される。ある場合には、プロセッサ、記憶媒体、又は両方は、血液学的機器内に組み込まれる。ある場合には、血液学的機器は、電流光伝播データを発生させる。ある場合には、プロセッサ、記憶媒体、又は両方は、コンピュータ内に組み込まれ、コンピュータは血液学的機器と通信する。ある場合には、血液学的機器は、電流光伝播データを発生させる。ある場合には、プロセッサ、記憶媒体、又は両方は、コンピュータ内に組み込まれ、コンピュータは血液学的機器とネットワークを介してリモート通信する。ある場合には、血液学的機器は、電流光伝播データを発生させる。ある場合には、電流光伝播データとして、サンプルの軸方向光損失測定値、サンプルの光散乱測定値、又はサンプルの電流測定値が挙げられる。
【0031】
別の態様では、本発明の実施形態は、個体の生理学的状態を評価するシステム及び方法を包含する。代表的なシステムは、記憶媒体と、プロセッサと、を備えてよい。記憶媒体は、プロセッサによって実行されるとき、システムに、個体の生体サンプルに関する電流光伝播データにアクセスさせ、電流光伝播データの測定値に基づくパラメータを利用し、個体の生理学的状態を判定させるように構成される、コンピュータアプリケーションを備えてよい。判定された生理学的状態は、個体が正常白血球状態を有するかどうかの指標を提供できる。またコンピュータアプリケーションは、プロセッサによって実行されるとき、システムに、個体の生理学的状態に関する情報をプロセッサから出力させるように構成されてもよい。
【0032】
更にまた別の態様では、本発明の実施形態は、血液学的システムデータから、個体が異常白血球状態を有し得るかどうかを同定する自動化システム及び方法を包含する。代表的なシステムは、記憶媒体と、プロセッサと、を備えてよい。記憶媒体は、プロセッサによって実行されるとき、システムに、個体の血液サンプルに関する電流光伝播データにアクセスさせ、血液学的電流光伝播データの測定値に基づくパラメータを利用し、個体の推定される白血球状態を判定させるように構成される、コンピュータアプリケーションを備えてよい。またコンピュータアプリケーションは、プロセッサによって実行されるとき、システムに、個体の推定される白血球状態に関する白血球の情報をプロセッサから出力させるように構成されてもよい。
【0033】
更なる態様では、本発明の実施形態は、個体の生体サンプルを評価する自動化システム及び方法を包含する。代表的な方法は、サンプルを分析する粒子分析システムから得られたアッセイ結果に基づいて、生体サンプルに対する電流光伝播データプロファイルを判定する工程を含んでよい。代表的な方法は更に、コンピュータシステムを用いて、算出されたパラメータによって個体に対する生理学的状態を判定する工程であって、算出されたパラメータが、電流光伝播データプロファイルの電流光伝播データ測定値の関数に基づき、生理学的状態が、個体が正常白血球状態を有するかどうかの指標を提供する、工程を含んでもよい。代表的な方法は更に、生理学的状態を出力する工程を含んでもよい。
【0034】
更になお追加の態様では、本発明の実施形態は、患者の治療レジメンを決定するシステム及び方法を包含する。代表的な方法は、患者の生体サンプルに関する電流光伝播データプロファイルにアクセスする工程と、コンピュータシステムを用いて、電流光伝播データプロファイルに基づいて患者に対する推定される白血球状態を判定する工程と、を含んでよい。代表的な方法は更に、推定される白血球状態に基づいて患者の治療レジメンを決定する工程を含んでもよい。ある場合には、推定される白血球状態として、白血球関連(elated)疾患の正の指標が挙げられる。ある場合には、推定される白血球状態として、白血球関連疾患の負の指標が挙げられる。
【0035】
別の態様では、本発明の実施形態は、個体に対する治療レジメンを決定するシステム及び方法を包含する。代表的な方法は、個体の生体サンプルに関連する電流光伝播データプロファイルにアクセスする工程と、コンピュータシステムを用いて、パラメータによって個体に対する生理学的状態を判定する工程であって、パラメータが、電流光伝播データプロファイルの電流光伝播データ測定値に基づき、生理学的状態が、個体が推定される白血球状態に相当する、工程と、を含んでよい。代表的な方法は更に、個体の生理学的状態に基づいて個体の治療レジメンを決定する工程を含んでもよい。
【0036】
更に別の態様では、本発明の実施形態は、個体の血液から得られた生体サンプルに基づいて、個体の白血球状態を推定する自動化システム及び方法を包含する。代表的なシステムは、細胞照合ゾーンを有する光学素子と、生体サンプルの流体力学的に集中した流れを細胞照合ゾーンに向けて送達するように構成される流路と、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する生体サンプルの細胞の直流(DC)インピーダンスを測定するように構成される電極アセンブリと、ビーム軸に沿って光ビームを向け、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する生体サンプルの細胞を照射するように向けられる光源と、細胞照合ゾーンと光学的に結合する光検出アセンブリと、を備える。代表的な光検出アセンブリは、第1伝播光を検出する、細胞照合ゾーンに対して第1位置に配置される第1センサ領域と、第2伝播光を検出する、細胞照合ゾーンに対して第2位置に配置される第2センサ領域と、軸方向伝播光を検出する、細胞照合ゾーンに対して第3位置に配置される第3センサ領域と、を含んでよい。いくつかの実施形態では、このシステムは、生体サンプルの細胞からのDCインピーダンス、第1伝播光、第2伝播光、及び軸方向光測定値の部分集合を、個体の推定される白血球状態に関連付けるように構成される。
【0037】
なお更なる態様では、本発明の実施形態は、個体の血液から得られた生体サンプルに基づいて、個体における白血球状態を推定するシステム及び方法を包含する。代表的なシステムは、細胞照合ゾーンを有する光学素子と、生体サンプルの流体力学的に集中した流れを細胞照合ゾーンに向けて送達するように構成される流路と、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する生体サンプルの細胞の直流(DC)インピーダンスを測定するように構成される電極アセンブリと、ビーム軸に沿って光ビームを向け、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する生体サンプルの細胞を照射するように向けられる光源と、細胞照合ゾーンと光学的に結合し、生体サンプルの照射された細胞によって散乱され、透過した光を測定する光検出アセンブリと、を備える。代表的な光検出アセンブリは、光ビーム軸に対して第1範囲内の照射された細胞からの第1伝播光、光ビーム軸に対して第2の角度範囲内の照射された細胞からの第2伝播光であって、第2範囲が第1範囲と異なる伝播光、及び、ビーム軸に沿って照射された細胞から伝播された軸方向光、を測定するように構成されてよい。特定の実施形態では、このシステムは、DCインピーダンス、第1伝播光、第2伝播光、及び軸方向光測定値の部分集合と組み合わせた、生体サンプルの細胞からの全血球計算血小板測定値の部分集合を、個体における白血球状態の推定に関連付けるように構成される。ある場合には、光検出アセンブリは、第1伝播光を測定する第1センサゾーンと、第2伝播光を測定する第2センサゾーンと、軸方向伝播光を測定する第3センサゾーンと、から構成される。ある場合には、光検出アセンブリは、第1伝播光を測定する第1センサと、第2伝播光を測定する第2センサと、軸方向伝播光を測定する第3センサと、を備える。ある場合には、このシステムは、DCインピーダンス、第1伝播光、第2伝播光、及び軸方向光測定値の部分集合と組み合わせた、生体サンプルの細胞からの全血球計算値の部分集合を、個体における白血球状態の推定に関連付けるように構成される。ある場合には、生体サンプルは、個体の血液サンプルである。
【0038】
別の態様では、本発明の実施形態は、例えば血液分析器内の網赤血球モジュールを使用して、白血球数を計数するシステム及び方法を包含する。代表的な方法は、血液分析器内で血液サンプルを光に曝す工程と、血液分析器を用いて、複数の散乱角における散乱量を測定する工程と、コンピュータを用いて、複数の散乱角のうち所定の1つにおける散乱量を計算する工程と、コンピュータによって実行されるアルゴリズムを用いて、白血球集団から分離される赤血球集団を決定する工程と、を含む。更に方法は、コンピュータを用いて、分離に応えて、赤血球及び白血球の数を決定する工程を含んでよい。ある場合には、複数の散乱角のうち所定の1つは、ALL、LALS、及びMALSを含む。ある場合には、複数の散乱角のうち所定の1つにおける散乱量を計算する工程は、LALSの対数を計算する工程を含む。ある場合には、複数の散乱角のうち所定の1つにおける散乱量を計算する工程は、LALSの対数及びMALSの対数の合計を計算する工程を含む。ある場合には、細胞の光学的透明度はALLによって測定される。いくつかの実施形態によると、WBC量を計数する工程は、UWBC#
Retic=RBC#
CBC×(WBC&NRBC
events Retic/RBC
events Retic)の関係を計算する工程を含む。いくつかの実施形態によると、WBC量を計数する工程は、UWBC#
Retic=URBC#
CBC×(WBC&NRBC
events Retic/(RBC
events Retic+WBC&NRBC
events Retic))の関係を計算する工程を含む。いくつかの実施形態によると、方法は、WBC#
Retic=UWBC#
Retic/(1+NRBC%
NRBC)の関係に従って、NRBCモジュールからNRBC%を使用することにより、WBC数を補正する工程を含む。いくつかの実施形態によると、WBC集団がNRBCを含まない場合、WBC量を計数する工程は、WBC#
Retic=RBC#
CBC×(
WBCevents Retic/RBC
events Retic)の関係を計算する工程を含む。
【0039】
なお更なる態様では、網赤血球モジュールを用いて白血球を計数する代表的な装置として、光源及び検出器アレイを有する血液分析器を挙げてよい。光源は、血液分析器内で、血液サンプルに光を照射するように構成されてよい。検出器アレイは、複数の散乱角における光散乱量を測定するように構成されてよい。更に装置は、検出器アレイと電気通信するコンピュータを備えてよい。コンピュータは、複数の散乱角のうち所定の1つにおける散乱量の対数を計算するように構成されてよい。ある場合には、コンピュータは、群を同定するアルゴリズムを有する網赤血球モジュールを用いて、白血球集団から分離される赤血球集団を決定するように構成されてよい。ある場合には、コンピュータは、分離に応えて、網赤血球及び白血球の量を決定するように構成されてよい。いくつかの実施形態によると、複数の散乱角のうち所定の1つは、ALL、LALS、及びMALSを含む。ある場合には、コンピュータは、LALSの対数を計算することによって、複数の散乱角のうち所定の1つにおける散乱量の対数を計算するように構成できる。ある場合には、コンピュータは、LALSの対数及びMALSの対数の合計を計算することによって、複数の散乱角のうち所定の1つにおける散乱量の対数を計算するように構成できる。ある場合には、コンピュータは、UWBC#
Retic=RBC#
CBC×(WBC&NRBC
events Retic/RBC
events Retic)の関係を計算することによって、WBC量を計数するように構成できる。ある場合には、コンピュータは、UWBC#
Retic=URBC#
CBC×(WBC&NRBC
events Retic/(RBC
events Retic+WBC&NRBC
events Retic))の関係を計算することによって、網赤血球量に応えて、WBC量を計数するように構成できる。ある場合には、コンピュータは、WBC#
Retic=UWBC#
Retic/(1+NRBC%
NRBC)の関係に従って、NRBCモジュールからNRBC%を使用することによってWBC数を補正することにより、WBC量を計数するように構成できる。ある場合には、コンピュータは、WBC集団がNRBCを含まない場合、WBC#
Retic=RBC#
CBC×(WBC
events Retic/RBC
events Retic)の関係を計算することによって、網赤血球量に応えて、WBC量を計数するように構成できる。
【0040】
結果的に、コンピュータ構成部品、例えば処理モジュールなどを含むコンピュータは、様々な異なる手法によってWBC数を計算するように構成できる。コンピュータ又はプロセッサは、かかるWBC数にするために使用するパラメータを受け取る入力装置又は入力モジュールと、入力パラメータに基づいてWBC数を決定するように構成される処理モジュールと、を備えてよい。例えば、コンピュータ、プロセッサ、又は自動化システムは、本明細書に記載の関数、数式、又は等式に基づいてWBC数を決定する機械読み取り可能なコードを具現化している、非一時的コンピュータ読み取り可能な媒体を有する処理モジュールを備えてよい。同様に、コンピュータ、プロセッサ、又は自動化システムを用いて、機械読み取り可能なコードを具現化している有形媒体を有する処理モジュールが、本明細書に記載の関数、数式、又は等式に基づいてWBC数を決定する方法を実行してよい。
【0041】
別の態様では、本発明の実施形態は、生体サンプル中の白血球状態を判定する自動化システム及び方法を包含する。代表的なシステムは、第1モジュールと、第2モジュールと、データ処理モジュールと、を備える。第1モジュールは、生体サンプルの第1赤血球濃度を決定するように構成できる。第2モジュールは、生体サンプルの白血球と有核赤血球とを合わせた濃度を決定するように構成できる。また第2モジュールは、生体サンプルの第2赤血球濃度を決定するようにも構成できる。データ処理モジュールは、第1因数が第1赤血球濃度を含み、第2因数が白血球と有核赤血球とを合わせた濃度の第2赤血球濃度に対する比を含むとき、第1因数と第2因数の積に基づいて白血球状態を判定するように構成できる。ある場合には、データ処理モジュールは、本明細書の別の場所で説明されるように、式:UWBC#
Retic=RBC#
CBC×(WBC&NRBC
events Retic/RBC
events Retic)に従って白血球状態を判定するように構成できる。いくつかの実施形態によると、生体サンプルは溶解されていない。ある場合には、第1赤血球濃度は全赤血球濃度である。ある場合には、全赤血球濃度は、成熟赤血球と網赤血球とを合わせた濃度が含まれる。いくつかの実施形態によると、システムは、生体サンプルの有核赤血球の割合を決定するように構成される第3モジュールを備えてよい。データ処理モジュールは、第1赤血球濃度、白血球と有核赤血球とを合わせた濃度、第2赤血球濃度、及び有核赤血球の割合に基づいて、調整済みの白血球状態を判定するように構成できる。ある場合には、調整済みの白血球状態の判定は、生体サンプルの有核赤血球の割合に対する白血球状態の比に基づいてよい。したがって、例えば、データ処理モジュールは、本明細書の別の場所で説明されるように、式:WBC#
Retic=UWBC#
Retic/(1+NRBC%
NRBC)に従って調整済みの白血球状態を判定するように構成できる。いくつかの実施形態によると、第2モジュールは、生体サンプルの推定される白血球濃度を決定するように構成でき、データ処理モジュールは、第1赤血球濃度と、推定される白血球濃度の第2赤血球濃度に対する比との積に基づいて調整済みの白血球状態を判定するように構成できる。したがって、例えば、データ処理モジュールは、本明細書の別の場所で説明されるように、式:WBC#
Retic=RBC#
CBC×(WBC
events Retic/RBC
events Retic)に従って調整済みの白血球状態を判定するように構成できる。いくつかの実施形態によると、システムは、細胞照合ゾーンを有する光学素子と、生体サンプルの流体力学的に集中した流れを細胞照合ゾーンに向けて送達するように構成される流路と、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する生体サンプルの細胞の直流(DC)インピーダンスを測定するように構成される電極アセンブリと、ビーム軸に沿って光ビームを向け、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する生体サンプルの細胞を照射するように向けられる光源と、細胞照合ゾーンと光学的に結合し、生体サンプルの照射された細胞によって散乱され、透過した光を測定する光検出アセンブリと、を更に備えてよい。光検出アセンブリは、光ビーム軸に対して第1範囲内の照射された細胞からの第1伝播光、光ビーム軸に対して第2の角度範囲内の照射された細胞からの第2伝播光であって、第2範囲が第1範囲と異なる伝播光、及び、ビーム軸に沿って照射された細胞から伝播された軸方向光、を測定するように構成できる。更にシステムは、生体サンプルの第1赤血球濃度を決定するように構成される開口槽を備えてよい。データ処理モジュールは、生体サンプルの細胞からのDCインピーダンス、第1伝播光、第2伝播光、及び軸方向光測定値の第1部分集合を関連付け、白血球と有核赤血球とを合わせた濃度を決定するように構成できる。更に、データ処理モジュールは、生体サンプルの細胞からのDCインピーダンス、第1伝播光、第2伝播光、及び軸方向光測定値の第2部分集合を関連付け、第2赤血球濃度を決定するように構成できる。ある場合には、第1部分集合は第1伝播光及び軸方向光測定値を含み、このとき、第1伝播光測定値は低角度光散乱(LALS)測定値を含み、軸方向光測定値は軸方向光損失(ALL)測定値を含む。ある場合には、第2部分集合はDCインピーダンス及び第1伝播光測定値を含む。いくつかの実施形態によると、白血球状態の判定には、白血球濃度の判定が含まれる。いくつかの実施形態によると、データ処理モジュールは、白血球濃度を血液の体積当たりの白血球数として決定するように構成できる。
【0042】
更に別の態様では、本発明の実施形態は、生体サンプル中の白血球状態を判定する自動化法を包含する。代表的な方法は、第1モジュールを用いて、生体サンプルの第1赤血球濃度を決定する工程を含む。代表的な方法は更に、第2モジュールを用いて、生体サンプルの白血球と有核赤血球とを合わせた濃度、及び生体サンプルの第2赤血球濃度を決定する工程を含んでもよい。更に代表的な方法は、データ処理モジュールを用いて、第1因数と第2因数の積に基づいて白血球状態を判定する工程を含んでよい。第1因数として、第1赤血球濃度を挙げることができる。第2因数として、白血球と有核赤血球とを合わせた濃度の第2赤血球濃度に対する比を挙げることができる。ある場合には、生体サンプルは溶解されていない。ある場合には、第1赤血球濃度は全赤血球濃度である。ある場合には、全赤血球濃度は、成熟赤血球と網赤血球とを合わせた濃度が含まれる。いくつかの実施形態によると、方法は更に、第3モジュールを用いて、生体サンプルの有核赤血球の割合を決定する工程を含んでよい。ある場合には、白血球状態を判定する工程は、第1赤血球濃度、白血球と有核赤血球とを合わせた濃度、第2赤血球濃度、及び有核赤血球の割合に基づいて、調整済みの白血球状態を判定する工程を含む。いくつかの実施形態によると、調整済みの白血球状態は、生体サンプルの有核赤血球の割合に対する白血球状態の比に基づいて判定される。ある場合には、方法は更に、第2モジュールを用いて、生体サンプルの推定される白血球濃度を判定する工程と、また更にデータ処理モジュールを用いて、第1赤血球濃度と、推定される白血球濃度の第2赤血球濃度に対する比との積に基づいて調整済みの白血球状態を判定する工程と、を含んでよい。いくつかの実施形態によると、方法は更に、生体サンプルの流体力学的に集中した流れを光学素子の細胞照合ゾーンに向けて送達する工程と、電極アセンブリを用いて、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する生体サンプルの細胞の電流(DC)インピーダンスを測定する工程と、軸を有する電磁ビームを用いて、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する生体サンプルの細胞を照射する工程と、も含んでよい。方法は更に、光検出アセンブリを用いて、ビーム軸に対して第1範囲内の照射された細胞からの第1伝播光を測定する工程も含んでよい。方法は更に、光検出アセンブリを用いて、ビーム軸に対して第2の角度範囲内の照射された細胞からの第2伝播光であって、第2範囲が第1範囲と異なる伝播光を測定する工程も含んでよい。更に方法は、光検出アセンブリを用いて、ビーム軸に沿って照射された細胞から伝播された軸方向光を測定する工程も含んでよい。いくつかの方法では、第2モジュールは、生体サンプルの細胞からのDCインピーダンス、第1伝播光、第2伝播光、及び軸方向光測定値の第1部分集合に基づいて、白血球と有核赤血球とを合わせた濃度を決定する。いくつかの方法では、第2モジュールは、生体サンプルの細胞からのDCインピーダンス、第1伝播光、第2伝播光、及び軸方向光測定値の第2部分集合に基づいて、第2赤血球濃度を決定する。ある場合には、第1部分集合は第1伝播光及び軸方向光測定値を含む。ある場合には、第1伝播光測定値は低角度光散乱(LALS)測定値を含み、軸方向光測定値は軸方向光損失(ALL)測定値を含む。ある場合には、第2部分集合はDCインピーダンス及び第1伝播光測定値を含む。いくつかの実施形態によると、白血球状態の判定工程は、白血球濃度の判定工程が含まれる。いくつかの実施形態によると、データ処理モジュールを用いる白血球状態の判定工程は、白血球濃度を血液の体積当たりの白血球数として決定する工程が含まれる。
【0043】
更に別の態様では、本発明の実施形態は、生体サンプルの白血球状態を判定する自動化システムを包含する。代表的なシステムは、生体サンプルの第1サンプルデータを得る赤血球槽モジュールを備え、このとき第1サンプルデータとして、生体サンプルの第1赤血球濃度が挙げられる。システムは更に、サンプルが開口部を通過する際に、生体サンプルの第2サンプルデータを得るトランスデューサも備え、このとき第2サンプルデータとして、軸方向光損失測定値、光散乱測定値、電流測定値、又はこれらの組み合わせが挙げられる。システムは更に、プロセッサと、プロセッサによって実行されるとき、システムに、第2サンプルデータ、生体サンプルの白血球と有核赤血球を合わせた濃度、及び更に生体サンプルの第2赤血球濃度に基づいて判定させるように構成される、コンピュータアプリケーションを有する記憶媒体と、も備えてよい。コンピュータアプリケーションはまた、プロセッサによって実行されるとき、システムに、第1因数と第2因数との積に基づいて生体サンプルの白血球状態を判定させるように構成されてもよい。第1因数として、第1赤血球濃度を挙げることができる。第2因数として、白血球と有核赤血球とを合わせた濃度の第2赤血球濃度に対する比を挙げることができる。コンピュータアプリケーションは更に、プロセッサによって実行されるとき、システムに、判定された白血球状態に関する情報をプロセッサから出力させるように構成されてよい。かかる情報として、例えば白血球濃度又は白血球数を挙げてよい。いくつかの実施形態によると、プロセッサ、記憶媒体、又は両方は、コンピュータ内に組み込まれてよい。ある場合には、コンピュータは血液学的機器とネットワークを介してリモート通信してよい。ある場合には、コンピュータは血液学的機器と直接通信してよい。ある場合には、コンピュータは血液学的機器の一部として実装されてよい。いくつかの実施形態によると、コンピュータアプリケーションは、プロセッサによって実行されるとき、生体サンプルが個体から得られる場合、生体サンプルの判定された白血球状態に基づいて、その個体が異常白血球状態を有し得ることの指標をシステムに提供させるように構成できる。いくつかの実施形態によると、コンピュータアプリケーションは、プロセッサによって実行されるとき、システムに、白血球状態を白血球濃度として判定させるように構成できる。白血球濃度として、血液の体積当たりの白血球数を挙げることができる。
【0044】
別の態様では、本発明の実施形態は、患者に対する治療レジメンを決定するシステム及び方法を包含する。代表的な方法は、患者の生体サンプルに関するサンプルデータプロファイルであって、生体サンプルの第1赤血球濃度、生体サンプルの白血球と有核赤血球とを合わせた濃度、及び生体サンプルの第2赤血球濃度を含む、サンプルデータプロファイルにアクセスする工程を含んでよい。代表的な方法は更に、第1因数が第1赤血球濃度を含み、第2因数が白血球と有核赤血球を合わせた濃度の第2赤血球濃度に対する比を含むとき、コンピュータシステムを用いて、第1因数と第2因数との積に基づいて患者の白血球状態を判定する工程も含んでよい。代表的な方法は更に、白血球状態に基づいて患者の治療レジメンを決定する工程を含んでよい。ある場合には、白血球状態として、白血球関連疾患の正の指標が挙げられる。ある場合には、白血球状態として、白血球関連疾患の負の指標が挙げられる。いくつかの実施形態によると、第1赤血球濃度は赤血球槽を用いて得ることができる。ある場合には、生体サンプルの白血球と有核赤血球とを合わせた濃度は、生体サンプルの細胞から得られたDCインピーダンス、第1伝播光、第2伝播光、及び軸方向光測定値の第1部分集合に基づいて、判定できる。ある場合には、生体サンプルの第2赤血球濃度は、生体サンプルの細胞から得られたDCインピーダンス、第1伝播光、第2伝播光、及び軸方向光測定値の第2部分集合に基づいて、判定できる。いくつかの実施形態によると、コンピュータシステムを用いて白血球状態を判定する工程は、生体サンプルの白血球濃度を決定する工程を含む。ある場合には、白血球濃度として、血液の体積当たりの白血球数が挙げられる。
【0045】
本発明の目的及び特徴は、以下に示す図面を参考により良く理解され得る。図面は必ずしも正確な縮尺ではなく、その代わりに、開示される主題の原理を説明することに重点が置かれている。本開示に付随する図面は、それらが紹介される際に、本開示内において個々に対応される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
生体サンプル中の白血球状態を判定する自動化システムであって、
前記生体サンプルの第1赤血球濃度を決定するように構成される第1モジュールと、
前記生体サンプルの白血球と有核赤血球とを合わせた濃度、及び前記生体サンプルの第2赤血球濃度を決定するように構成される第2モジュールと、
第1因数と第2因数との積に基づいて白血球状態を判定するように構成され、前記第1因数が前記第1赤血球濃度を含み、前記第2因数が前記白血球と有核赤血球とを合わせた濃度の前記第2赤血球濃度に対する比を含む、データ処理モジュールと、を備える、システム。
(項目2)
前記生体サンプルが溶解されていない、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記第1赤血球濃度が全赤血球濃度であり、該全赤血球濃度が成熟赤血球と網赤血球とを合わせた濃度を含む、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記生体サンプルの有核赤血球の割合を決定するように構成される第3モジュールを更に含み、前記データ処理モジュールが、前記第1赤血球濃度、前記白血球と有核赤血球とを合わせた濃度、前記第2赤血球濃度、及び前記有核赤血球の割合に基づいて、調整済みの白血球状態を判定するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記調整済みの白血球状態が、前記生体サンプルの前記有核赤血球の割合に対する前記白血球状態の比に基づく、項目4に記載のシステム。
(項目6)
前記第2モジュールが、前記生体サンプルの推定される白血球濃度を決定するように更に構成され、前記データ処理モジュールが、前記第1赤血球濃度と、前記推定される白血球濃度の前記第2赤血球濃度に対する比との積に基づいて調整済みの白血球状態を判定するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目7)
(a)細胞照合ゾーンを有する光学素子と、
(b)前記生体サンプルの流体力学的に集中した流れを前記細胞照合ゾーンに向けて送達するように構成される流路と、
(c)前記細胞照合ゾーンを1つずつ通過する前記生体サンプルの細胞の直流(DC)インピーダンスを測定するように構成される電極アセンブリと、
(d)ビーム軸に沿って光ビームを方向付けるように向けられ、前記細胞照合ゾーンを1つずつ通過する前記生体サンプルの細胞を照射する、光源と、
(e)前記細胞照合ゾーンと光学的に結合され、前記生体サンプルの前記照射された細胞によって散乱され、前記細胞を透過した光を測定する光検出アセンブリであって、
(i)前記ビーム軸に対して第1範囲内の前記照射された細胞からの第1伝播光と、
(ii)前記光ビーム軸に対して第2の角度範囲内の前記照射された細胞からの第2伝播光であって、前記第2範囲が前記第1範囲と異なる第2伝播光と、
(iii)前記ビーム軸に沿って照射された前記細胞から伝播された軸方向光と、を測定するように構成される、光検出アセンブリと、
(f)前記生体サンプルの前記第1赤血球濃度を決定するように構成される開口槽と、を更に備え、
前記データ処理モジュールが、前記生体サンプルの細胞からのDCインピーダンス、第1伝播光、第2伝播光、及び軸方向光測定値の第1部分集合を関連付け、白血球と有核赤血球とを合わせた濃度を決定するように構成され、
前記データ処理モジュールが、前記生体サンプルの細胞からのDCインピーダンス、第1伝播光、第2伝播光、及び軸方向光測定値の第2部分集合を関連付け、前記第2赤血球濃度を決定するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記第1部分集合が、前記第1伝播光測定値と、前記軸方向光測定値と、を含み、前記前記第1伝播光測定値が、低角度光散乱(LALS)測定値を含み、前記軸方向光測定値が、軸方向光損失(ALL)測定値を含む、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記第2部分集合が、前記DCインピーダンス測定値と、前記第1伝播光測定値と、を含む、項目7に記載のシステム。
(項目10)
前記白血球状態の判定が、白血球濃度を決定することを含む、項目1に記載のシステム。
(項目11)
前記データ処理モジュールが、前記白血球濃度を、血液の体積当たりの白血球数として決定するように構成される、項目10に記載のシステム。
(項目12)
生体サンプル中の白血球状態を判定する自動化法であって、
第1モジュールを用いて、前記生体サンプルの第1赤血球濃度を決定する工程と、
第2モジュールを用いて、前記生体サンプルの白血球と有核赤血球を合わせた濃度、及び前記生体サンプルの第2赤血球濃度を決定する工程と、
データ処理モジュールを用いて、第1因数と第2因数との積に基づく前記白血球状態を判定する工程であって、前記第1因数が前記第1赤血球濃度を含み、前記第2因数が前記白血球と有核赤血球とを合わせた濃度の前記第2赤血球濃度に対する比を含む、工程と、を含む、方法。
(項目13)
前記生体サンプルが溶解されていない、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記第1赤血球濃度が全赤血球濃度であり、該全赤血球濃度が成熟赤血球と網赤血球とを合わせた濃度を含む、項目12に記載の方法。
(項目15)
第3モジュールを用いて、前記生体サンプルの有核赤血球の割合を決定する工程を更に含み、前記白血球状態を決定する工程が、前記第1赤血球濃度、前記白血球と有核赤血球とを合わせた濃度、前記第2赤血球濃度、及び前記有核赤血球の割合に基づいて、調整済みの白血球状態を判定する工程を含む、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記調整済みの白血球状態が、前記生体サンプルの前記有核赤血球の割合に対する前記白血球状態の比に基づいて判定される、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記第2モジュールを用いて、前記生体サンプルの推定される白血球濃度を決定する工程と、前記データ処理モジュールを用いて、前記第1赤血球濃度と、前記推定される白血球濃度の前記第2赤血球濃度に対する比との積に基づいて調整済みの白血球状態を判定する工程と、を更に含む、項目12に記載の方法。
(項目18)
(a)前記生体サンプルの流体力学的に集中した流れを光学素子の細胞照合ゾーンに向けて送達する工程と、
(b)電極アセンブリを用いて、前記細胞照合ゾーンを1つずつ通過する前記生体サンプルの細胞の電流(DC)インピーダンスを測定する工程と、
(c)軸を有する電磁ビームを用いて、前記細胞照合ゾーンを1つずつ通過する前記生体サンプルの細胞を照射する工程と、
(d)光検出アセンブリを用いて、前記ビーム軸に対して第1範囲内の前記照射された細胞からの第1伝播光を測定する工程と、
(e)前記光検出アセンブリを用いて、前記ビーム軸に対して第2の角度範囲内の前記照射された細胞からの第2伝播光を測定する工程であって、前記第2範囲が前記第1範囲と異なっている、工程と、
(f)前記光検出アセンブリを用いて、前記ビーム軸に沿って前記照射された細胞から伝播された軸方向光を測定する工程と、を更に含み、
前記第2モジュールが、前記生体サンプルの細胞からの前記DCインピーダンス測定値、前記第1伝播光測定値、前記第2伝播光測定値、及び前記軸方向光測定値の第1部分集合に基づいて、前記白血球と有核赤血球とを合わせた濃度を決定し、
前記第2モジュールが、前記生体サンプルの細胞からの前記DCインピーダンス測定値、前記第1伝播光測定値、前記第2伝播光測定値、及び前記軸方向光測定値の第2部分集合に基づいて、前記第2赤血球濃度を決定する、項目12に記載の方法。
(項目19)
前記第1部分集合が、前記第1伝播光測定値と、前記軸方向光測定値と、を含み、前記前記第1伝播光測定値が、低角度光散乱(LALS)測定値を含み、前記軸方向光測定値が、軸方向光損失(ALL)測定値を含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記第2部分集合が、前記DCインピーダンス測定値と、前記第1伝播光測定値と、を含む、項目18に記載の方法。
(項目21)
前記白血球状態を判定する工程が、白血球濃度を決定する工程を含む、項目12に記載の方法。
(項目22)
前記データ処理モジュールを用いる白血球状態を判定する工程が、白血球濃度を血液の体積当たりの白血球数として決定する工程を含む、項目12に記載の方法。
(項目23)
生体サンプルの白血球状態を判定する自動化システムであって、
(a)第1サンプルデータが前記生体サンプルの第1赤血球濃度を含む、前記生体サンプルの前記第1サンプルデータを得る赤血球槽モジュールと、
(b)第2サンプルデータが、軸方向光損失測定値、光散乱測定値、電流測定値、又はこれらの組み合わせを含む、前記サンプルが開口部を通過する際に、前記生体サンプルの前記第2サンプルデータを得るトランスデューサと、
(b)プロセッサと、
(c)前記プロセッサによって実行されるとき、システムに、
(i)前記第2サンプルデータに基づいて、前記生体サンプルの白血球と有核赤血球とを合わせた濃度、及び前記生体サンプルの第2赤血球濃度を決定させる、
(ii)第1因数と第2因数との積に基づいて、前記白血球状態を判定させ、このとき、前記第1因数が前記第1赤血球濃度を含み、前記第2因数が前記白血球と有核赤血球とを合わせた濃度の前記第2赤血球濃度に対する比を含む、
(ii)前記判定された白血球状態に関する情報を前記プロセッサから出力させる、ように構成される、コンピュータアプリケーションを含む、記憶媒体と、を備える、システム。
(項目24)
前記プロセッサ、前記記憶媒体、又は両方が、コンピュータ内に組み込まれ、前記コンピュータがネットワークを介して血液学的機器とリモート通信する、項目23に記載のシステム。
(項目25)
前記プロセッサによって実行されるとき、前記コンピュータアプリケーションが、前記生体サンプルの前記判定された白血球状態に基づいて、個体が異常白血球状態を有し得ることの指標をシステムに提供させるように構成され、前記生体サンプルが前記個体から得られる、項目23に記載のシステム。
(項目26)
前記プロセッサによって実行されるとき、前記コンピュータアプリケーションが、白血球濃度として前記白血球状態をシステムに判定させるように構成され、前記白血球濃度が血液の体積当たりの白血球数を含む、項目23に記載のシステム。
(項目27)
患者の治療レジメンを決定する方法であって、
前記患者の生体サンプルに関するサンプルデータプロファイルであって、前記生体サンプルの第1赤血球濃度と、前記生体サンプルの白血球と有核赤血球とを合わせた濃度と、前記生体サンプルの第2赤血球濃度と、を含む、前記サンプルデータプロファイルにアクセスする工程と、
コンピュータシステムを用いて、第1因数と第2因数との積に基づいて前記患者の白血球状態を判定する工程であって、前記第1因数が前記第1赤血球濃度を含み、前記第2因数が前記白血球と有核赤血球とを合わせた濃度の前記第2赤血球濃度に対する比を含む、工程と、
前記白血球状態に基づいて前記患者の治療レジメンを決定する工程と、を含む、方法。
(項目28)
前記白血球状態が、白血球関連疾患の正の指標を含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記第1赤血球濃度が赤血球槽を用いて得られ、このとき、前記生体サンプルの前記白血球と有核赤血球とを合わせた濃度が、前記生体サンプルの細胞から得られたDCインピーダンス測定値、第1伝播光測定値、第2伝播光測定値、及び軸方向光測定値の第1部分集合に基づいて決定され、前記生体サンプルの第2赤血球濃度が、前記生体サンプルの細胞から得られたDCインピーダンス測定値、第1伝播光測定値、第2伝播光測定値、及び軸方向光測定値の第2部分集合に基づいて決定される、項目27に記載の方法。
(項目30)
前記コンピュータシステムを用いて白血球状態を判定する工程が、前記生体サンプルの白血球濃度を決定する工程を含み、前記白血球濃度が血液の体積当たりの白血球数を含む、項目27に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0047】
説明目的で概説すると、本発明の実施形態は、白血球数の算出のため、血液分析器において網赤血球モジュールを使用することを含むシステム及び方法を包含する。代表的な血液細胞分析器は、フローセル中のウィンドウに向けて方向付けられた細い光ビームを生じさせる、光源を備えてよい。様々な非限定実施形態では、光源はレーザー又はレーザーダイオードであり、キャリア流体は、血液サンプルの個々の細胞をフローセルを通して運ぶことによって、個々の各細胞の光ビームとの相互作用を可能にする。フローセルに隣接して位置する複数の光センサを用いて、フローセルを通過する細胞によって様々な角度で散乱する光の強度を記録できる。特定の実施形態では、1つの光センサは光ビームの経路中にじかに置かれ、3つの光センサのグループは、光ビームの経路から測定された、所定の角度範囲内の細胞によって散乱された光を集めるために位置される。信号は、これらの検出器からプロセッサに伝達され、デジタル化、解析を経て、結果を表示できる。
【0048】
本明細書の別の場所で記載されるように、血液分析器内で網赤血球モジュールを使用すると、正確な白血球数の算出を容易にできる。代表的な網赤血球モジュールは、赤血球を正確に計数するように構成でき、このときかかる計数値は、通常白血球数を千倍上回る。サンプルを適切に前処理して代表的な網赤血球モジュールを使用し、WBC数が高いときに白血球を計数できる。いくつかの実施形態によると、標準的CBCは、標準CBCモジュールを用いて実施できる。
【0049】
典型的には、血液細胞分析器は、フローセル中のウィンドウに向けて方向付けられた細い光ビームを生じさせる、光源を備えてよい。様々な非限定実施形態では、光源はレーザー又はレーザーダイオードである。キャリア流体は、血液サンプルの個々の細胞をフローセルを通して運ぶことによって、個々の各細胞の光ビームとの相互作用を可能にする。
【0050】
代表的な実施形態では、複数の光センサは、フローセルを通過する細胞によって様々な角度で散乱する光の強度を記録するために、フローセルに隣接して位置する。1つの光センサは光ビームの経路中にじかに置かれる。3つの光センサのグループは、光ビームの経路から測定された、3種類の所定の角度範囲内の細胞によって散乱された光を集めるために位置される。これらの角度は、様々な血液成分を最も区別するように選択される。
【0051】
一実施形態では、これらの所定の角度範囲は、それぞれ、10°未満(低角度光散乱(LALS)と称され、光検出器によって検出される)、約10°〜約20°(下方中角度光散乱(LMALS)と称され、光検出器46によって検出される)、及び約20°〜約42°(上方中角度光散乱(UMALS)と称され、別の光検出器によって検出される)である。UMALS及びLMALSでの検出器からの信号の合計は、総じてMALS(中角度光散乱)と称される。信号は、これらの検出器からプロセッサに伝達され、デジタル化、解析を経て、結果が表示される。
【0052】
いくつかの実施形態によると、ビーム経路中にじかにある別の光検出器センサは、細胞が光源と光センサとの間のビーム経路を通過する毎に、光ビームからの光損失量(軸方向光損失又はALL又はAL2と称される)を測定する。このALLは、フローセルを通過する細胞又は粒子の透明度、つまり吸光度の指標である。光損失が大きいほど、吸光度が大きい。
【0053】
本明細書の別の場所で記載されるように、細胞又は粒子の大きさの指標は、フローセル中の特定の電極間を流れる電流量である。粒子がフローセルのウィンドウ領域に入ると、細胞又は粒子は電流が流れるのを妨げるため、これらの電極間の電流が変化する。流れる電流量の減少は、細胞又は粒子の大きさに関係する。直流(DC)電流は、DC源によって供給される。DCモジュールは、流体中オンイオンに起因し、細胞の大きさの目安である、電流の流れの変化を測定する。
【0054】
いくつかの実施形態によると、網赤血球モジュールを用いて、個体から得られた生体サンプルの血球の分析ができる。特定の実施形態では、血液サンプルのサンプルを試薬と共にインキュベートし、特定の細胞又は細胞の特徴部を染色する。一実施形態では、染料であるニューメチレンブルー(NMB)を用いる。
【0055】
したがって、本明細書に記載されるのは、個体から得られた生体サンプルに基づいて、個体のWBC状態を評価するように構成される血液学的システム及び方法である。
図1は、代表的なWBC計数手法の態様を示す。ここに示され、本明細書の別の場所で記載されるように、全血サンプル100は、血小板、白血球(WBC)、及び有核赤血球(NRBC)を含む赤血球(RBC)などの細胞を含みことがある。CBCモジュール110又は網赤血球モジュール120などのチャネル処理機構から得られる、種々のRBC、WBC、及びNRBCパラメータを調べて、個体のWBC状態を評価できる。例えば、代表的な評価手法は、チャネル処理モジュール110、120から得られた入力パラメータ140に基づいて、白血球数130を得る工程を含んでよい。本明細書に記載の血液学的システム及び方法は、個体の生体サンプルの特定のインピーダンス、伝導度、及び角度付き光伝播測定値に関するデータに基づいて、個体が正常又は異常なWBCパラメータを示しているのかどうかを評価できる。
【0056】
多くの場合、システム及び方法は、個数又は濃度について血球データを提供する。ある場合には、用語、個数及び濃度は互換的に使用されてよい。例えば、用語、白血球数は、白血球の絶対数、又は、フローサイトメータで検出されたサンプル又は一定分量中の白血球数を、サンプル又は一定分量の体積で除した数を指すことができる。用語、白血球濃度は、白血球数、又は白血球数に関連する推定値を指すことができる。代表的な白血球数又は濃度は、3.5〜11×10
9/L(例えば血液1リットル当たり細胞数)であり得る。
【0057】
複数の角度における光散乱を検出する細胞分析システムを用いて、生体サンプル(例えば血液サンプル)を分析し、個体の予測されるWBC状態を出力できる。代表的なシステムは、3つ以上の角度範囲について光散乱データに加えて、吸光、つまり軸方向光損失測定値に関連する光透過データを得るセンサアセンブリを備えることによって、特定の染料、抗体、又は蛍光技術を必要とせずに、正確で、感度が高く、かつ分離能が高い結果をもたらす。ある場合では、DxH 800血液分析器(Beckman Coulter(Brea,California,USA))などの血液分析器は、複数の光散乱角度に基づいて生体サンプル(例えば血液サンプル)を分析し、個体の予測されるWBC状態を出力するように構成される。DxH 800は、血液内の細胞成分を示す形態学的特徴を認識するように構成される、様々なチャネル処理モジュールを備える。例えば、DxHは、特定の血球成分を分析するように構成される網赤血球チャネル処理モジュールを備える。DxH 800は、サンプルの分析に基づいて膨大な量のデータを生じるように構成され、このようなデータは、本明細書において詳述するが、CBCデータ又はVCSデータと称されることがある。
【0058】
いくつかの実施形態では、VCSデータは、分析したサンプルの各細胞に対する異なるパラメータの判定に基づいており、かかるパラメータは、各細胞の形態と相関する。具体的には、細胞の大きさに対応する体積パラメータは、インピーダンスによって直接測定することができる。更に、内部細胞密度に対応する伝導度パラメータは、細胞を横切る高周波の伝導によって直接測定することができる。その上、細胞質の粒状度及び核の複雑さに対応する5つの異なる光散乱の角度(又は角度範囲)は、例えば、様々な光検出機構を用いて測定できる。
【0059】
図2は、細胞分析システム200を模式的に示す。ここに示されるように、システム200は、前処理システム210と、トランスデューサモジュール220と、分析システム230と、を備える。システム200は、本明細書において3つのコアシステムブロック(210、220、及び230)に関して非常に詳しく説明されるが、当業者は、システム200が、中央制御プロセッサ(1つ又は複数)、ディスプレイシステム(1つ又は複数)、流体系(1つ又は複数)、温度制御システム(1つ又は複数)、ユーザー安全制御システム(1つ又は複数)などといった、多くの他のシステム構成要素を備えることを、容易に理解するであろう。操作中、全血サンプル(WBS)240は分析のためにシステム200に送られてよい。ある場合には、WBS 240はシステム200内に吸引される。代表的な吸引法は、当業者には既知である。吸引後、WBS 240は前処理システム210に送達されてよい。前処理システム210はWBS 240を受け取り、更に測定かつ分析するために、WBS 240の前処理に関する操作を実行できる。例えば、前処理システム210は、トランスデューサモジュール220に提示するため、WBS 240を所定の一定分量に分割してよい。また前処理システム210は、混合チャンバを備えてもよく、適当な試薬をその一定分量に加えることができる。例えば、ある一定分量について白血球の部分集団の分画を検査する場合、溶解試薬(例えば、赤血球溶解バッファーであるERYTHROLYSE)をその一定分量に加え、RBCを分解して除去してもよい。また、前処理システム210は温度制御要素を備えて、試薬及び/又は混合チャンバの温度を制御してもよい。適当な温度制御によって、前処理システム210の操作の一貫性を改善できる。本明細書の別の場所で記載されるように、光散乱データ、光吸収データ、及び/又は電流データなどのサンプルデータを、(例えばトランスデューサを用いて)得て、処理、つまり使用して、個々の患者の様々な血球状態の指標を決定することができる。
【0060】
ある場合には、所定の一定分量を、前処理システム210からトランスデューサモジュール220に移してよい。以下で詳述するように、トランスデューサモジュール220は、その中を1つずつ通過するWBSの細胞の、直流(DC)インピーダンス、高周波(RF)伝導度、光透過、及び/又は光散乱の測定を実行できる。測定されたDCインピーダンス、RF伝導度、及び光伝播(例えば光透過、光散乱)パラメータを、データ処理のために分析システム230に提供、つまり送ることができる。ある場合には、分析システム230は、コンピュータ処理機能、及び/又は、
図6に示し、かつ以下に詳述するシステムに関して本明細書で記載されるものなどの1つ以上のモジュール若しくは構成要素を備えてよく、これによって、測定されたパラメータを評価し、血球成分を同定して数え、WBSの要素の特徴を示すデータの部分集合を個体のWBC状態と関連付けることができる。本明細書に示されるように、細胞分析システム200は、予測されるWBC状態及び/又は個体に対して処方される治療レジメンを含む、報告250を作成、つまり出力できる。ある場合には、余剰の生体サンプルを、トランスデューサモジュール220から外部(あるいは内部)廃棄システム260に方向付けてよい。
【0061】
治療レジメンには、患者の状態に対処する目的で、1種以上の医薬品、つまり治療薬を、個体に投与することを含んでよい。本明細書に記載されるように、異常WBC数、つまり異常状態を有すると同定された個体の治療のため、任意の様々な治療法を用いることができる。
【0062】
図3は、トランスデューサモジュールをより詳細に、及び付属要素をより詳細に示す。ここに示されるように、システム300は、ビーム314を放出するレーザー310などの光源又は照射源を有する、トランスデューサモジュール310を備える。レーザー312は、例えば、635nm、5mWの固体レーザーであってよい。ある場合には、システム300は、ビーム314を調節して、得られるビーム322がフローセル330の細胞照合ゾーン332に焦点が合い、位置付けられるような、焦点調整システム320を備えてよい。ある場合には、フローセル330は、前処理システム302からサンプルの一定分量を受け取る。本明細書の別の場所で記載されるように、フローセル330内のサンプルの一定分量の流体力学的焦点調節のため、様々な流体装置及び手法を利用することができる。
【0063】
ある場合には、一定分量は、一般に細胞照合ゾーン332を通って流れ、その成分が細胞照合ゾーン332を1つずつ通過するようにする。ある場合には、システム300は、米国特許第5,125,737号、同第6,228,652号、同第7,390,662号、同第8,094,299号、及び同第8,189,187号(これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものなどの、トランスデューサモジュール又は血液分析機器の細胞照合ゾーン又はその他特徴を備えてよい。例えば、細胞照合ゾーン332は、約50×50マイクロメートルの正方形の横断面で画定され、長さ(流れの方向に測定)が約65マイクロメートルであってよい。フローセル330は、細胞照合ゾーン332を通過する細胞のDCインピーダンス及びRF伝導度測定を行うため、第1及び第2電極334、336を有する電極アセンブリを備えてよい。信号を、電極334、336から分析システム304に送ることができる。電極アセンブリは、低周波電流及び高周波電流をそれぞれ使用して、細胞の体積及び伝導度の特徴を分析できる。例えば、低周波DCインピーダンス測定値を用いて、細胞照合ゾーンを通過する個々の細胞それぞれの体積を分析できる。関連して、高周波RF電流測定値を用いて、細胞照合ゾーンを通過する細胞の伝導度を判定できる。細胞壁は、高周波電流に対して伝導体の機能を果たすため、高周波電流を用いて、電流が細胞壁及び各細胞内部を通過する際の細胞成分の絶縁特性の違いを検出できる。高周波電流を用いて、細胞内部の核性及び顆粒性成分、並びに化学組成の特徴を確認することができる。
【0064】
入射ビーム322は、ビーム軸AXに沿って進み、細胞照合ゾーン332を通過する細胞を照射して、その結果、ゾーン332から放射する角度範囲α(例えば散乱、透過)内の光伝播が得られる。代表的なシステムは、本明細書の別の場所で記載されるような吸光、つまり軸方向光損失測定値に関連する光を含む、角度範囲α内の3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の角度範囲内の光を検出できるセンサアセンブリを備える。ここに示されるように、光伝播340は、光散乱検出器ユニット350A、並びに、光散乱及び透過検出器ユニット350Bを任意に有する、光検出アセンブリ350によって検出できる。ある場合には、光散乱検出器ユニット350Aは、上方中角度光散乱(UMALS)、例えば、光ビーム軸に対して約20〜約42度の範囲内の角度で散乱、ないしは別の方法で伝播される光を検出し、測定するための光活性領域、つまりセンサゾーンを備える。ある場合には、UMALSは、照合ゾーンを通過して流れる細胞を照射する入射ビーム軸に対して、約20〜約43度の角度範囲内で伝播する光に相当する。また、光散乱検出器ユニット350Aは、下方中角度光散乱(LMALS)、例えば、光ビーム軸に対して約10〜約20度の範囲内の角度で散乱、ないしは別の方法で伝播される光を検出し、測定するための光活性領域、つまりセンサゾーンを備えてもよい。ある場合には、LMALSは、照合ゾーンを通過して流れる細胞を照射する入射ビーム軸に対して、約9〜約19度の角度範囲内で伝播する光に相当する。
【0065】
UMALS及びLMALSの組み合わせは中角度光散乱(MALS)と定義され、これは、照合ゾーンを通過して流れる細胞を照射する入射ビーム軸に対して、約9度〜約43度の角度における光散乱、つまり伝播である。
【0066】
図3に示されるように、光散乱検出器ユニット350Aは、低角度光散乱、つまり伝播340が、光散乱検出器ユニット350Aを超えて通過し、その結果光散乱及び透過検出器ユニット350Bに到達し、これによって検出されるのを可能にする、開口部351を備えてよい。いくつかの実施形態によると、光散乱及び透過検出器ユニット350Bは、低角度光散乱(LALS)、例えば、照射している光ビーム軸に対して約5.1度の角度で散乱、ないしは伝播される光を検出し、測定するための光活性領域、つまりセンサゾーンを備えてよい。ある場合には、LALSは、照合ゾーンを通過して流れる細胞を照射する入射ビーム軸に対して、約9度未満の角度で伝播する光に相当する。ある場合には、LALSは、照合ゾーンを通過して流れる細胞を照射する入射ビーム軸に対して、約10度未満の角度で伝播する光に相当する。ある場合には、LALSは、照合ゾーンを通過して流れる細胞を照射する入射ビーム軸に対して、約1.9度±0.5度の角度で伝播する光に相当する。ある場合には、LALSは、照合ゾーンを通過して流れる細胞を照射する入射ビーム軸に対して、約3.0度±0.5度の角度で伝播する光に相当する。ある場合には、LALSは、照合ゾーンを通過して流れる細胞を照射する入射ビーム軸に対して、約3.7度±0.5度の角度で伝播する光に相当する。ある場合には、LALSは、照合ゾーンを通過して流れる細胞を照射する入射ビーム軸に対して、約5.1度±0.5度の角度で伝播する光に相当する。ある場合には、LALSは、照合ゾーンを通過して流れる細胞を照射する入射ビーム軸に対して、約7.0度±0.5度の角度で伝播する光に相当する。
【0067】
いくつかの実施形態によると、光散乱及び透過検出器ユニット350Bは、細胞を軸方向に通過して透過した、つまり、入射光ビーム軸に対して0度の角度で照射された細胞から伝播される光を検出し、測定するための光活性領域、つまりセンサゾーンを備えてよい。ある場合には、光活性領域、つまりセンサゾーンは、入射光ビーム軸に対して約1度未満の角度で細胞から軸方向に伝播される光を検出し、測定できる。ある場合には、光活性領域、つまりセンサゾーンは、入射光ビーム軸に対して約0.5度未満の角度で細胞から軸方向に伝播される光を検出し、測定できる。このような軸方向に透過した、つまり伝播した光測定値は、軸方向光損失(ALL又はAL2)に相当する。米国特許第7,390,662号に組み込まれて左記に記載されるように、光が粒子と相互作用するとき、入射光の一部は散乱過程を経て方向を変え(すなわち、光散乱)、光の一部は粒子に吸収される。これらの過程は両方とも、入射ビームからエネルギーを抜き去る。ビームの入射軸に沿って見るとき、光損失は、前方吸光、つまり軸方向光損失と称することができる。軸方向光損失測定法の更なる態様は、米国特許第7,390,662号(5段58行〜6段4行)に記載されている。
【0068】
このように細胞分析システム300は、生体サンプルの、ALL及び複数の別々の光散乱角度、つまり伝播角度などの様々な任意の角度、又は様々な任意の角度範囲において照射された細胞から放射する光について、光散乱及び/又は光透過を含む光伝播測定値を得る手段を提供する。例えば、適当な回路機構及び/又は処理装置を含む光検出アセンブリ350は、UMALS、LMALS、LALS、MALS、及びALLを検出し、測定する手段を提供する。
【0069】
導線又はその他伝達、つまり接続機構は、電極アセンブリ(例えば電極334、336)、光散乱検出器ユニット350A、及び/又は光散乱及び透過検出器ユニット350Bから、分析システム304へ、処理のために信号を送信できる。例えば、測定されたDCインピーダンス、RF伝導度、及び光透過、及び/又は光散乱パラメータを、データ処理のために分析システム304に提供、つまり送ることができる。ある場合には、分析システム304は、コンピュータ処理機能、及び/又は、
図6に示すシステムに関して本明細書で記載されるものなどの1つ以上のモジュール若しくは構成要素を備えてよく、これによって、測定されたパラメータを評価し、生体サンプル成分を同定して数え、生体サンプルの要素の特徴を示すデータの部分集合を個体のWBC状態と関連付けることができる。本明細書に示されるように、細胞分析システム300は、予測されるWBC状態及び/又は個体に対して処方される治療レジメンを含む、報告306を作成、つまり出力できる。ある場合には、余剰の生体サンプルを、トランスデューサモジュール310から外部(あるいは内部)廃棄システム308に方向付けてよい。ある場合には、細胞分析システム300は、既に組み込まれている米国特許第5,125,737号、同第6,228,652号、同第8,094,299号、及び同第8,189,187号に記載されるものなどの、トランスデューサモジュール又は血液分析機器の1つ以上の特徴を備えてよい。
【0070】
図4は、本発明の実施形態による、個体のWBC状態を予測し、又は評価する自動化細胞分析システムの態様を示す。具体的には、WBC状態は、個体の血液から得られた生体サンプルに基づいて予測できる。ここに示されるように、分析システム、つまりトランスデューサ400は、細胞照合ゾーン412を有する光学素子410を備えてよい。また、トランスデューサは流路420も提供し、生体サンプルの流体力学的に集中した流れ422を、細胞照合ゾーン412に向けて送達する。例えば、サンプル流422が細胞照合ゾーン412に向けて発射されると、ある体積のシース流体424も加圧下で光学素子410に入り、サンプル流422を均一に取り巻いて、サンプル流422が細胞照合ゾーン412の中心を通過して流れるようにでき、それによって、サンプル流の流体力学的焦点調節が実現する。このように、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する生体サンプルの個々の細胞を正確に分析できる。
【0071】
トランスデューサモジュール、つまりシステム400は、細胞照合ゾーン412を1つずつ通過する生体サンプルの細胞10の直流(DC)インピーダンス及び高周波(RF)伝導度を測定する、電極アセンブリ430も備える。電極アセンブリ430は、第1電極機構432と、第2電極機構434と、を備えてよい。本明細書の別の場所で記載されるように、低周波DC測定値を用いて、細胞照合ゾーンを通過する個々の細胞それぞれの体積を分析できる。関連して、高周波RF電流測定値を用いて、細胞照合ゾーンを通過する細胞の伝導度を判定できる。かかる伝導度測定値は、細胞内部の細胞内含有量に関する情報を提供できる。例えば、高周波RF電流を用いて、核及び顆粒性成分、並びに、細胞照合ゾーンを通過する個々の細胞における細胞内部の化学組成を分析できる。
【0072】
また、システム400は、ビーム軸444に沿って光ビーム442を方向付けるよう向けられた光源440も備え、細胞照合ゾーン412を1つずつ通過する生体サンプルの細胞10を照射する。関連して、システム400は、細胞照合ゾーンと光学的に結合された光検出アセンブリ450を備え、生体サンプルの照射された細胞10によって散乱され、細胞を透過した光を測定する。光検出アセンブリ450は、細胞照合ゾーン412から伝播する光を検出し、測定する複数の光センサゾーンを備えてよい。ある場合には、光検出アセンブリは、照射しているビーム軸に対して様々な角度又は角度範囲で、細胞照合ゾーンから伝播された光を検出する。例えば、光検出アセンブリ450は、細胞によって様々な角度で散乱する光、並びにビーム軸に沿って細胞によって軸方向に透過する光を検出し、測定できる。光検出アセンブリ450は、光ビーム軸444に対して第1の角度範囲内の第1の散乱又は伝播光452sを測定する第1センサゾーン452を備えてよい。また、光検出アセンブリ450は、光ビーム軸444に対して第2の角度範囲内の第2の散乱又は伝播光454sを測定する第2センサゾーン454を備えてもよい。ここに示されるように、散乱又は伝播光454sに対する第2の角度範囲は、散乱又は伝播光452sに対する第1の角度範囲と異なる。更に、光検出アセンブリ450は、光ビーム軸444に対して第3の角度範囲内の第3の散乱又は伝播光456sを測定する第3センサゾーン456を備えてよい。ここに示されるように、散乱又は伝播光456sに対する第3の角度範囲は、散乱又は伝播光452sに対する第1の角度範囲、及び、散乱又は伝播光454sに対する第2の角度範囲の両方と異なる。また、光検出アセンブリ450は、細胞照合ゾーン412を1つずつ通過する生体サンプルの細胞を透過する、つまり、軸ビームに沿って細胞照合ゾーンから伝播する、軸方向光458tを測定する第4センサゾーン458も備える。ある場合には、センサゾーン452、454、456、及び458のそれぞれは、特定のセンサゾーンと関連する個別のセンサに配置される。ある場合には、センサゾーン452、454、456、及び458の1つ以上は、光検出アセンブリ450の共通のセンサに配置される。例えば、光検出アセンブリは、第1センサゾーン452及び第2センサゾーン454を含む第1センサ451を備えてよい。したがって、2つ以上の種類(例えば低角度、中角度、又は高角度)の光散乱又は伝播を検出し、又は測定するために単一のセンサを用いてよい。
【0073】
自動化細胞分析システムは、任意の様々な光学素子又はトランスデューサ機構を備えてよい。例えば、
図4Aに示されるように、細胞分析システムトランスデューサの光学素子410aは、4つの方形で光学的に平坦な側面450aと、対向する端部壁436aと、を備える正四角柱形状を有してよい。ある場合には、各側面450aのそれぞれの幅Wは同一であり、それぞれの測定値は例えば約4.2mmである。ある場合には、各側面450aのそれぞれの長さLは同一であり、それぞれの測定値は例えば約6.3mmである。ある場合には、光学素子410aの全部又は一部は、融解シリカ、つまり石英から作られてよい。光学素子410aの中央領域を貫いて形成される流路432aは、素子410aの中心部を通り、矢印SFで示されるサンプルが流れる方向に平行な、長手方向軸Aに対して同心円状に構成されてよい。流路432aは、細胞照合ゾーンZと、細胞照合ゾーンと流体連通する各基部の付近に開口部を有する、1対の対向するテーパ形状のボアホール454aと、を備える。ある場合には、細胞照合ゾーンZの横断面の形状は正方形であり、各側面の幅W’は公称50マイクロメートル±10マイクロメートルである。ある場合には、軸Aに沿って測定した細胞照合ゾーンZの長さL’は、照合ゾーンの幅W’の約1.2〜1.4倍である。例えば、長さL’は、約65マイクロメートル±10マイクロメートルであってよい。本明細書の別の場所に記載されるように、細胞照合ゾーンを通過する細胞において、DC及びRFを測定できる。ある場合には、端部壁436aで測定される、テーパ形状のボアホール454aの最大直径は、約1.2mmである。記載される種類の光学構造体410aは、例えば、連通ボアホール454aの画定のため機械加工された、50×50マイクロメートルの毛管開口部を含む、石英の正方形角柱から形成されてよい。レーザー又は他の照射源は、細胞照合ゾーンを通って方向付けられる、つまりそこに像を結ぶビームBを生成できる。例えば、ビームは、細胞が通過させられる場所において、照合ゾーンZ内に位置する楕円形の腰部に像を結ぶことができる。細胞分析システムは、光学素子410aから放射される光、例えば、内部を流れる、照らされた、つまり照射された細胞を含む細胞照合ゾーンZから伝播される光Pを検出するように構成される、光検出アセンブリを備えてよい。ここに記載されるように、光Pは、角度範囲α内で細胞照合ゾーンZから伝播、つまり放射でき、そのため、ビーム軸AXに対して選択した角度位置、つまり角度範囲において、測定又は検出できる。関連して、光検出アセンブリは、ビームBの軸AXに対して様々な角度範囲内の前方の面において、散乱した光、又は軸方向に透過した光を検出できる。本明細書の別の場所で記載されるように、細胞照合ゾーンを1つずつ通過する個々の細胞について、1つ以上の光伝播測定値を得ることができる。ある場合には、細胞分析システムは、米国特許第5,125,737号、同第6,228,652号、同第8,094,299号、及び同第8,189,187号(これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものなどの、トランスデューサ又は細胞照合ゾーンの1つ以上の特徴を備えてよい。
【0074】
図5は、個体のWBC状態を予測する、又は評価する代表的な方法500の態様を示す。方法500は、工程510に示されるように、血液分析システム内に血液サンプルを導入する工程を含む。工程520に示されるように、この方法は、サンプルを一定分量に分け、その一定分量のサンプルを適当な試薬と混合することによって、血液サンプルを調製する工程も含んでよい。工程530では、サンプルがトランスデューサシステム内のフローセルを通過し、サンプル成分(例えば血球)が細胞照合ゾーンを1つずつ通過できるようにする。これらの成分を、レーザーなどの光源によって照射できる。工程540では、RF伝導度541、DCインピーダンス542、第1角度付き光伝播543(例えばLALS)、第2角度付き光伝播544(例えばAL2)、第3角度付き光伝播545(例えばUMAL)、及び/又は第4角度付き光伝播546(例えばLMALS)の任意の組み合わせを測定できる。工程547に記載されるように、第3及び第4角度付き光伝播測定値を用いて、第5角度付き光伝播測定値(例えばMALS)を決定できる。あるいは、MALSを直接測定できる。本明細書の別の場所で記載されるが、工程550に示されるように、特定の測定値又は測定値の組み合わせを処理し、WBC状態の予測を提供することができる。任意に、この方法は、予測されるWBC状態に基づいて治療レジメン(treatment regime)を決定する工程を含んでもよい。
【0075】
細胞分析システムは、生体サンプルの細胞からのDCインピーダンス、RF伝導度、角度付き光測定値(例えば第1の散乱光、第2の散乱光)、及び軸方向光測定値の部分集合を、個体のWBC状態と関連付けるように構成されてよい。本明細書の別の場所で記載されるように、場合によっては、この関連付けの少なくとも一部は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のハードウェアモジュール、又はこれらの任意の組み合わせによって実行可能な1つ以上のソフトウェアモジュールを用いて実施できる。プロセッサ又はその他コンピュータ又はモジュールシステムは、様々な測定値、つまりパラメータを入力値として受信し、個体の予測されるWBC状態を自動的に出力するように構成されてよい。ある場合には、1つ以上のソフトウェアモジュール、プロセッサ、及び/又はハードウェアモジュールは、多重光角度検出パラメータを得るために装備される血液学的システム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH(商標)800セルラーアナリシスシステムの構成要素として備えられてよい。ある場合には、1つ以上のソフトウェアモジュール、プロセッサ、及び/又はハードウェアモジュールは、多重光角度検出パラメータを得るために装備される血液学的システム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH 800システムと、動作可能に通信される、つまり接続されているスタンドアロン型コンピュータの構成要素として備えられてよい。ある場合には、少なくとも一部の関連付けは、多重光角度検出パラメータを得るために装備される血液学的システム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH 800システムから、リモートでインターネット又は任意のその他有線及び/若しくは無線通信ネットワークを介してデータを受信する、1つ以上のソフトウェアモジュール、プロセッサ、及び/又はハードウェアモジュールによって実施できる。関連して、本発明の実施形態による装置又はモジュールのそれぞれは、プロセッサ若しくはハードウェアモジュール、又はこれらの任意の組み合わせによって処理される、コンピュータ読み取り可能な媒体上の1つ以上のソフトウェアモジュールを備えてよい。
【0076】
図6は、代表的なモジュールシステムの簡略ブロック図であり、モジュールシステム600の個々のシステム要素が、別々に、又はより一体的に実行され得る方法について、大まかに示している。モジュールシステム600は、本発明の実施形態による、個体のWBC状態を予測する自動化細胞分析システムの一部であってよく、又はこのシステムと接続されてよい。モジュールシステム600は、データを生成し、又はWBC分析に関する入力値を受信するのに非常に適している。ある場合には、モジュールシステム600は、1つ以上のプロセッサ604、ユーザーインターフェース入力装置などの1つ以上の入力装置606、及び/又はユーザーインターフェース出力装置などの1つ以上の出力装置608を備える、バスサブシステム602を介して電気的に接続されるハードウェア要素を含む。ある場合には、システム600は、ネットワークインターフェース610、並びに/又は、診断システム642から信号を受信し、及び/若しくはシステムへ信号を送信できる、診断システムインターフェース640を備える。ある場合には、システム600は、ソフトウェア要素、例えばここでは、メモリ614のワーキングメモリ612内に現在位置するように示されるもの、オペレーティングシステム616、及び/又はその他コード618、例えば、本明細書に開示される手法の1つ以上の態様を実行するように構成されるプログラムを備える。
【0077】
いくつかの実施形態では、モジュールシステム600は、本明細書に開示される様々な手法の機能をもたらす、基本プログラム及びデータ構造を記憶できる、記憶サブシステム620を備えてよい。例えば、本明細書に記載されるような方法の態様の機能を実行するソフトウェアモジュールは、記憶サブシステム620に記憶されてよい。これらのソフトウェアモジュールは、1つ以上のプロセッサ604によって実行されてよい。分散型環境では、ソフトウェアモジュールは、複数のコンピュータシステムに記憶され、複数のコンピュータシステムのプロセッサによって実行されてよい。記憶サブシステム620は、メモリサブシステム622と、ファイル記憶サブシステム628と、を備えてよい。メモリサブシステム622は、プログラム実行中に命令及びデータを記憶するメインランダムアクセスメモリ(RAM)626、及び固定命令を記憶する読み出し専用メモリ(ROM)624などの、多くのメモリを備えてよい。ファイル記憶サブシステム628は、プログラム及びデータファイルに対する固定(不揮発性)記憶装置をもたらすことができ、任意に、患者、治療、評価、又はその他データを組み入れることができる有形記憶媒体を備えてよい。ファイル記憶サブシステム628は、ハードディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ並びに関連リムーバブルメディア、コンパクトデジタル読み出し専用メモリ(CD−ROM)ドライブ、光学式ドライブ、DVD、CD−R、CD RW、固体リムーバブルメモリ、その他リムーバブルメディアカートリッジ又はディスク、及びその他同種のものを備えてよい。1つ以上のドライブは、モジュールシステム600に接続される、別の場所の別の接続されたコンピュータのリモート位置に位置してよい。ある場合には、システムは、1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、1つ以上のプロセッサに本明細書に開示される手法又は方法の任意の態様を実施させることができる、1つ以上の一連の命令、つまりコードを記憶する、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体又はその他有形記憶媒体を備えてよい。本明細書に開示される手法の機能を実行する1つ以上のモジュールは、ファイル記憶サブシステム628によって記憶されてよい。いくつかの実施形態では、ソフトウェア又はコードは、プロトコルを提供し、モジュールシステム600が通信ネットワーク630と通信できるようにする。任意に、このような通信には、ダイヤルアップ又はインターネット接続通信を含んでよい。
【0078】
システム600は、本発明の方法の様々な態様を実施するように構成できると理解される。例えば、プロセッサ要素、つまりモジュール604は、センサ入力装置、つまりモジュール632から、ユーザーインターフェース入力装置、つまりモジュール606から、及び/又は診断システム642から、任意に診断システムインターフェース640及び/又はネットワークインターフェース610、並びに通信ネットワーク630を介して、細胞のパラメータ信号を受信するように構成されるマイクロプロセッサ制御モジュールであってよい。ある場合には、センサ入力装置は、多重光角度検出パラメータを得るために装備されている細胞分析システム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH(商標)800セルラーアナリシスシステムに備えられても、又はその一部であってもよい。ある場合には、ユーザーインターフェース入力装置606及び/又はネットワークインターフェース610は、多重光角度検出パラメータを得るために装備される細胞分析システム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH(商標)800セルラーアナリシスシステムによって生じる細胞のパラメータ信号を受信するように構成されてよい。ある場合には、診断システム642は、多重光角度検出パラメータを得るために装備されている細胞分析システム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH(商標)800セルラーアナリシスシステムに備えられても、又はその一部であってもよい。
【0079】
また、プロセッサ要素、つまりモジュール604は、細胞のパラメータ信号を、本明細書に開示される任意の手法によって任意に処理して、センサ出力装置、つまりモジュール636に、ユーザーインターフェース出力装置、つまりモジュール608、ネットワークインターフェース装置、つまりモジュール610に、診断システムインターフェース640に、又はこれらの任意の組み合わせに送信するように構成することもできる。本発明の実施形態による装置又はモジュールのそれぞれは、プロセッサ若しくはハードウェアモジュール、又はこれらの任意の組み合わせによって処理される、コンピュータ読み取り可能な媒体上の1つ以上のソフトウェアモジュールを備えてよい。任意の様々な一般的プラットフォーム、例えば、Windows(登録商標)、MacIntosh、及びUnix(登録商標)を、任意の様々な一般的なプログラミング言語と共に用いて、本発明の実施形態を実行してよい。
【0080】
ユーザーインターフェース入力装置606は、例えば、タッチパッド、キーボード、マウスなどのポインティングデバイス、トラックボール、グラフィックスタブレット、スキャナー、ジョイスティック、ディスプレイに組み込まれるタッチスクリーン、音声認識システムなどの音声入力装置、マイクロホン、及び他の種類の入力装置を含んでよい。ユーザー入力装置606は、有形記憶媒体から、又は通信ネットワーク630からコンピュータ実行可能コードをダウンロードしてもよく、このコードは、本明細書に開示される任意の方法又は態様を具現化するものである。端末ソフトウェアは時々アップデートされ、必要に応じて端末にダウンロードできることが理解されるであろう。一般に、用語「入力装置」の使用は、様々な従来の専用装置と、モジュールシステム600への情報入力方法を含むことが意図される。
【0081】
ユーザーインターフェース出力装置606は、例えば、ディスプレイサブシステム、プリンタ、ファクス、又は音声出力装置などの非視覚的ディスプレイを含んでよい。ディスプレイサブシステムは、陰極管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)などのフラットパネル装置、投射装置などであってよい。ディスプレイサブシステムは、音声出力装置を介するものなど非視覚的表示を提供してもよい。一般に、用語「出力装置」の使用は、様々な従来の専用装置と、モジュールシステム600からユーザーへの情報出力方法を含むことが意図される。
【0082】
バスサブシステム602は、モジュールシステム600の様々な構成要素及びサブシステムが、意図した通り、つまり要求通りに互いに通信させる機構を提供する。モジュールシステム600の様々なサブシステム及び構成要素は、物理的に同じ位置にいる必要はないが、分散型ネットワーク内の様々な位置に分散されてよい。バスサブシステム602は、模式的に単一バスとして示されるが、バスサブシステムの別の実施形態では、多重バスを利用してもよい。
【0083】
ネットワークインターフェース610は、外部ネットワーク630又は他の装置へのインターフェースを提供できる。外部通信ネットワーク630は、必要に応じて、つまり要求に応じて他と通信できるように構成されてよい。したがって、モジュールシステム600から電子的パケットを受信し、必要に応じて、つまり要求に応じてモジュールシステム600に任意の情報を送り返すことができる。ここに記載されるように、通信ネットワーク630及び/又は診断システムインターフェース642は、多重光角度検出パラメータを得るために装備される診断システム642、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH(商標)800セルラーアナリシスシステムに情報を送る、又はシステムから情報を受け取ることができる。
【0084】
システム内にこのようなインフラストラクチャ通信リンクを提供することに加え、通信ネットワークシステム630は、インターネットなどの別のネットワークへの接続を提供することもでき、有線、無線、モデム、及び/又は別の種類のインターフェース通信を含んでよい。
【0085】
特定の要件に従って大幅に変更され得ることが、当業者には明らかであろう。例えば、カスタマイズされたハードウェアも使用され、及び/又は、特定の要素が、ハードウェア、ソフトウェア(アプレット等の高移植性ソフトウェアを含む)、若しくは両方で実装され得る。更に、ネットワーク入力/出力装置などの他のコンピュータデバイスへの接続が利用できる。モジュール端末システム600自体は、コンピュータ端末、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、ワークステーション、ネットワークコンピュータ、又は任意のその他データ処理システムなどの、様々な種類のものであってよい。コンピュータ及びネットワークの特性上変化が激しいため、
図6に記載するモジュールシステム600の説明は、1つ以上の本発明の実施形態を例示する目的の具体例としてのみ意図される。
図6に記載するモジュールシステムよりも、多くの又は少ない構成要素を有する、モジュールシステム600の多くの他の構成が可能である。モジュールシステム600の任意のモジュール、つまり構成要素、又はかかるモジュール、つまり構成要素の任意に組み合わせは、本明細書に開示される任意の細胞分析システムの実施形態と結合でき、又はシステムに組み込まれ、ないしは別の方法でシステムと接続するように構成されてよい。関連して、上記任意のハードウェア及びソフトウェア構成要素は、別の場所で使用される別の医学的評価、又は治療システムと一体化され、又はインターフェースで接続されるように構成されてよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、モジュールシステム600は、入力モジュールにおいて、1つ以上の患者の細胞分析パラメータを受信するように構成できる。細胞分析パラメータデータは、WBC状態が予測又は判定される評価モジュールに送ることができる。予測されるWBC状態は、出力モジュールを介して、システムのユーザーに対して出力できる。ある場合には、モジュールシステム600は、例えば治療モジュールを使用することによって、1つ以上の細胞分析パラメータ及び/又は予測されるWBC状態に基づいて、患者の初期治療、つまり導入時プロトコル、又は調整済みの治療プロトコルを決定できる。治療法は、出力モジュールを介して、システムのユーザーに対して出力できる。任意に、治療の特定の態様を出力装置によって決定し、治療システム又は治療システムの二次装置に送信してよい。年齢、体重、性別、治療歴、病歴などを含む患者に関する任意の様々なデータを、モジュールシステムに入力してよい。治療レジメン又は診断的評価のパラメータは、かかるデータに基づいて決定してよい。
【0087】
関連して、場合によっては、システムは、VCSデータを入力値として受け取るように構成されるプロセッサを備える。また、プロセッサは、CBCデータを入力値として受け取るように構成されてもよい。任意に、プロセッサ、記憶媒体、又は両方は、血液学的機器、つまり細胞分析機器内に組み込まれてよい。ある場合には、血液学的機器は、プロセッサに入力するため、VCSデータ、CBCデータ、又はその他の情報をもたらし得る。ある場合には、プロセッサ、記憶媒体、又は両方は、コンピュータ内に組み込まれてよく、コンピュータは血液学的機器と通信してよい。ある場合には、プロセッサ、記憶媒体、又は両方は、コンピュータ内に組み込まれてよく、コンピュータはネットワークを介して血液学的機器とリモート通信してよい。
【0088】
体積伝導度散乱(VCS)データ
CBCモジュールから得られ得るCBCデータに加え、VCSデータをVCSモジュールから得ることができる。代表的なVCSパラメータは以下を含む。
1.細胞伝導度(C)[高周波電流]
2.細胞体積(V)[低周波電流]
3.軸方向光損失、つまり吸収された光(AL2又はALL)
4.低角度光散乱(LALS)
5.上方中角度光散乱(UMALS)
6.下方中角度光散乱(LMALS)
7.中角度光散乱(MALS)[UMALS+LMALS]
【0089】
このように、様々なパラメータ(例えば体積、伝導度、及び光散乱、つまり伝播角度)を、白血球、赤血球、及び血小板といった血球について別々に計算できる。このデータは、個体の生体サンプルに基づいて得ることができる。その上、CBC及びVCSデータは、例えば
図7に示すスクリーンショット700に見られるように、機器のスクリーン上に見せることができ、並びにエクセルファイルとして自動的にエクスポートできる。したがって、血球(例えばRBC、血小板、及びWBC)を分析し、三次元ヒストグラム中に別々にプロットでき、各細胞のヒストグラム上の位置は、本明細書に記載される特定のパラメータによって決定されている。
【0090】
細胞の亜集団は、ヒストグラム上の異なる場所において、異なる種類に分けることができる。例えば、白血球及び有核赤血球は、ヒストグラムの特定領域に集まることができ、それによって、別の領域に集まり得る網赤血球集団などの他の細胞集団とは異なる細胞集団を形成する。このように、異なる細胞集団を区別して分析できる。
図7は、計数分析の代表的なスクリーンショット700を示す。ここに示されるように、WBC及びNRBCを含む集団は、ヒストグラム710上で線で囲まれている。通常、このようなヒストグラムは、本明細書の別の場所で記載されるように、網赤血球チャネル(又はWBC分画チャネル又はNRBCチャネル)から得ることができる。
【0091】
かかるVCS値は、ヒストグラム中の集団の位置及び顕微鏡下での血球の形態に対応させることができる。
図7A及び7Bに示されるように、特定のチャネルモジュールは、存在し得る血球又は細胞デブリなどの様々な血液成分について、測定値を提供できる。
【0092】
VCSパラメータを用いて、主観的で、更には非常に時間がかかり、高価で、かつ再現性が制限される人による解釈を用いずに、定量的、客観的、かつ自動的な方法で細胞イベントを分析できる。VCSパラメータを、WBC数が変わる様々な医学的状態の診断に用いることができる。VCSパラメータ、つまり体積伝導度散乱データプロファイルを参照するとき、この特徴は、個体のVCSデータの特徴の部分集合を含み得ると理解される。例えば、VCSパラメータデータは、体積及び伝導度の測定値の組み合わせ、体積及び散乱の測定値の組み合わせ、又は、伝導度及び散乱の測定値の組み合わせを含んでよい。同様に、VCSパラメータデータは、体積測定値のみ、伝導度測定値のみ、又は散乱測定値のみを含んでよい。ある場合には、VCSパラメータデータは、光伝播及び電流データの集合又は部分集合を含むと見なされてよい。例えば、光伝播測定値は、第1角度における第1伝播光、第1角度とは異なる第2角度における第2伝播光、軸方向伝播光、又はこれらの任意の組み合わせを含んでよい。関連して、電流測定値は、低周波電流(例えば、体積に対応するDCインピーダンス)、高周波電流(例えば、内部細胞密度に対応するRF伝導度)、又はこれらの組み合わせを含んでよい。この意味で、VCSパラメータデータ又は体積伝導度散乱データプロファイルは、電流光伝播パラメータ又はデータプロファイルと称されてよい。
【0093】
本明細書に更に説明されるように、特定のVCSパラメータ値は、個体におけるWBC状態の評価に特に有用であることがわかっている。結果的に、これらのパラメータは、WBC関連症状の診断向けのシステム及び方法において実行できる。
【0094】
図7Aは、本発明の実施形態による生体サンプル分析システム700aの態様を示す。ここに記載されるように、白血球分析法は、VCS網赤血球チャネルを用いて、WBC+NRBC数及びRBC数の両方を決定する工程を含んでよい。更に、この手法は、CBCモジュールのRBC開口槽を用いて、RBC数を決定する工程を含んでよい。その上、この手法は、WBC+NRBC数、網赤血球モジュールRBC数、CBCモジュールRBC数に基づいて、未補正白血球数(UWBC)を算出する工程を含んでよい。
【0095】
ここに示されるように、サンプル分析システム700aは、サンプル吸引モジュール710a、CBCモジュール720a(Coulter技術を組み込む)、及びVCSモジュール730a(VCS技術を組み込む)を備える。CBCモジュール720aは、吸引モジュール710aからサンプルを受け取る血液サンプリング弁721aを備える。更に、CBCモジュール720aは、BSV 721aからサンプルを受け取り(かつ、WBC数の判定に使用できる)WBC開口槽722aと、BSV 721aからサンプルを受け取り(かつ、RBC数の判定に使用できる)RBC開口槽723aと、を備える。VCSモジュール730aは、吸引モジュール710aからサンプルを受け取り、フローセルトランスデューサ740aによる処理と、網赤血球チャネル750a中での分析のため、サンプルを網赤血球チャンバ732aに移動するのに使用できる、サンプル分配弁731aを備える。また、サンプル分配弁731aを用いて、フローセルトランスデューサ740aによる処理と、WBC分画チャネル760a中での分析のため、サンプルをWBC分画チャンバ734aに移動することもできる。その上、サンプル分配弁731aを用いて、フローセルトランスデューサ740aによる処理と、NRBCチャネル770a中での分析のため、サンプルをNRBCチャンバ736aに移動することができる。
【0096】
本明細書の別の場所で記載されるように、本発明の実施形態は、生体サンプル中の白血球(WBC)状態を推定するための自動化システムを包含し、システムは、生体サンプルの赤血球数を決定するように構成される第1分析器モジュール(例えば、Coulter技術を実装する)と、生体サンプルの白血球(WBC)対赤血球(RBC)の割合を決定するように構成される第2分析器モジュール(例えば、VCS技術を実装する)と、Coulter赤血球数及びVCS比に基づいてWBC状態を判定するように構成されるデータ処理モジュールと、を備える。
【0097】
いくつかの実施形態によると、サンプルは、システム内でサンプルが処理される場所に応じて、溶解されてもされなくてもよい。例えば、多くの場合、WBC開口槽722a、WBC分画チャンバ734a、及びNRBCチャンバ736aを用いて処理されるとき、サンプルは溶解される。反対に、多くの場合、RBC開口槽723a又は網赤血球チャンバ732aを用いて処理されるとき、サンプルは溶解されない。したがって、
図7Aに示されるように、未補正白血球数(UWBC)は、溶解されないサンプルに基づいて決定されてよい。
【0098】
いくつかの実施形態によると、CBCモジュールを用いて、WBC数(WBC開口槽を介して)及びRBC数(RBC開口槽を介して)の両方を決定してよい。
図7Aで使用されるCBCモジュールからのパラメータは、RBC数[RBC#
CBC]である。換言すれば、CBCモジュールのWBC開口槽を必要としない。
【0099】
図7Bは、本発明の実施形態による生体サンプル分析システム700b(上記分析システム700aの要素も含んでよい)の態様を示す。ここに記載されるように、白血球分析法は、VCS網赤血球チャネル750bを用いて、WBC+NRBC数及びRBC数の両方を決定する工程を含んでよい。更に、この手法は、CBCモジュールのRBC開口槽723bを用いて、未補正RBC(URBC)数を決定する工程を含んでよい。その上、この手法は、WBC+NRBC数、網赤血球モジュールRBC数、及びCBCモジュールURBC数に基づいて、未補正白血球数(UWBC)を算出する工程を含んでよい。
【0100】
図8は、本発明の実施形態によるWBCパラメータ(例えば個数)を得る方法800を模式的に示す。ここに記載されるように、この方法は、工程810に示されるように、個体から血液サンプルを得る(例えば、定期健診時)工程を含む。工程820に示されるように、細胞イベントパラメータを得るために装備されている細胞分析システム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH 800システムを用いて、全血球計算(CBC)データ、体積伝導度散乱(VCS)データ、又はこれらの組み合わせをこれらの生体サンプルから得ることができる。工程830に示されように、分析サンプルのCBCパラメータ、VCSパラメータ、又はこれらの組み合わせを用いて、WBCパラメータを決定できる。また工程840に示されるように、方法は、WBC状態の情報を出力する工程を含んでもよい。
【0101】
分析システム
本発明の実施形態は、本明細書に開示される手法によって、WBC状態の予測又は同定法を実施するようにプログラムされた、細胞分析システム及びその他自動化生物学的検査装置を包含する。例えば、多重光角度検出パラメータを得る及び/又は処理するために装備されるシステム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH 800システム、又は、これらに付随する若しくはこれらに組み込まれるプロセッサ、若しくはその他コンピュータ若しくはモジュールシステムは、本明細書に記載の様々な測定値又はパラメータを入力値として受け取り、予測されるWBC状態を自動的に出力するように構成できる。予測される状態は、個体が、例えば、正常なWBC数、増加したWBC数、又は減少したWBC数を有していることの指標を提供できる。ある場合には、多重光角度検出パラメータを得る及び/又は処理するために装備されるシステム、例えば、Beckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH 800システムは、WBC数分析を自動的に実行するように構成されるプロセッサ又は記憶媒体を備えてよく、それによって、多重光角度検出パラメータを得るために装備されるシステム、例えばDxH 800システムが分析した生体サンプルから得られたデータは、多重光角度検出パラメータを得る及び/又は処理するために装備されるシステム、例えばDxH 800システムによっても処理され、分析データに基づいて、WBCの予測又は指標が、多重光角度検出パラメータを得る及び/又は処理するために装備されるシステム、例えばDxH 800システムによって提供、つまり出力される。
【0102】
図9は、本発明の実施形態による代表的なCBCモジュール900の態様を示す。かかるCBCモジュールは、Beckman CoulterのUniCel(登録商標) DxH 800システムなどのシステムの一部であってよく、WBC、RBC、及びPLT細胞計数、並びにヘモグロビン測定に対する、様々な機械的機能、並びに電子的かつ光度的測定機能を制御し、又は実行するように操作できる。代表的なCBCモジュールを用いて、CBC分析用にサンプルを調製し、開口槽アセンブリ(例えばWBC槽910及びRBC槽920)を介して、CBCパラメータ測定値を得ることができる。
【0103】
血液の細胞成分(例えば赤血球、白血球、及び血小板)は、電気インピーダンス法を用いて数えることができる。例えば、吸引された全血サンプルを2つの一定分量に分け、等張性希釈剤と混合できる。第1希釈液をRBC開口槽920に送達してよく、第2液をWBC開口槽910に送達してよい。RBCチャンバでは、RBC及び血小板の両方を数え、細胞が検出開口部を通過する際の電気インピーダンスによって区別できる。例えば、2〜20fLの粒子は血小板として計数され、36fLを超えるものはRBCとして計数することができる。WBCチャンバ処理において、RBC溶解試薬をWBC希釈一定分量に加え、RBCを溶解してヘモグロビンを遊離でき、その後、WBC槽の検出開口部のインピーダンスによってWBCを計数できる。ある場合には、槽は複数の開口部を備えてよい。したがって、例えば、血球算出法で使用される血球数は、RBC 3口開口槽を用いて得ることができる。
【0104】
代表的なCBCサンプル調製法は、サンプル収集及びサンプル送達の2つのプロセスを含んでよい。サンプル収集は、例えば
図7Aに示されるように、165μLの患者サンプルを吸引し、血液サンプリング弁(BSV)に方向付けられるときに起こり得る。BSVを操作して、2つの三口開口槽に送達するために、DxH試薬と共に患者サンプルの一定量を方向付けてよい。患者サンプル及びDxH試薬を所定の角度で開口槽の底部に運ぶことができ、円形デザインであることから、これによって気泡を混入せずにサンプル及び試薬を十分に混合できる。続いて、サンプルを測定及び分析用に調製できる。いくつかの実施形態によると、WBC槽では、6.0mL(±1.0%)のDxH希釈剤及び28μLのサンプルを、1.08mL(±1.0%)のDxH細胞溶解液と合わせ、最終希釈率を1:251としてよい。いくつかの実施形態によると、RBC槽では、10mL(±1.0%)のDxH希釈剤及び1.6μLのサンプルを合わせ、最終希釈率を1:6250としてよい。患者サンプル及びDxH試薬を混合した後、細胞数及び細胞体積の測定のため、開口部に真空及び開口部電流を印加してよい。RBC及びPLTの計数には、開口部付近の細胞の再循環を防ぐため、スイープフローの適用を含んでもよい。特定の実施形態では、RBC及びPLTのデータ収集は、最大20秒まで、WBCについては最大10秒までであってよい。特定の実施形態では、開口部アセンブリによって生成される全アナログパルスは、プリアンプカードによって増幅され、その後A−D変換とパラメータ抽出のため、CBC信号調整分析器カードに送られてよい。いくつかの実施形態によると、システム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH 800システムを用いて、各細胞イベントについて複数のパラメータを測定でき、デジタルパラメータ抽出プロセスを用いて、時間、体積(振幅及びパルス幅を含むパルス属性)、個数及び計数率、並びに待ち時間などのデジタル測定値を提供できる。任意にシステム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH 800システムによって、パルス編集、同時通過補正、計数決定、WBC、RBC及びPLTについてのヒストグラムの生成、ヒストグラム決定、パターン分析、及び干渉補正などにおいて、かかる測定値を使用できる。
【0105】
図10は、本発明の実施形態による代表的な網赤血球処理チャンバ1000の態様を示す。いくつかの実施形態によると、システム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH 800の網赤血球モジュールを用いて、ニューメチレンブルー染料などの染料を血液サンプルに加えることができ、その後、サンプルを信号収集開口部(例えば、VCSモジュールフローセルトランスデューサ)によって処理する。ニューメチレンブルー染料は、白血球のRNAを沈殿させる非蛍光染料である。沈殿したRNAは、様々な異なる角度で集められた、計測される光散乱信号を効率よく増すことができる。本発明の実施形態は、白血球を染色する任意の様々な手法の使用を包含し、及びニューメチレンブルー染料以外の、又はこれに加えた材料を使用できる。ここに示されるように、網赤血球チャンバ及びチャネル処理法は、ある量の血液(例えば27μL)を染料チャンバ1010に送達する工程[工程1]と、その量の血液を染料と(例えば、血液と染料を混合することによって)接触させる工程[工程(stem)2]と、混合液をインキュベートする工程[工程3]と、インキュベートした混合液を網赤血球チャンバ1020に移送する工程[工程4]と、網赤血球クリア試薬を導入する工程[工程5]と、ある量のサンプル(例えば4μL)を分析のためフローセル1030に移送する工程[工程6]と、結果を表示する工程[工程7]と、を含んでよい。
【0106】
図10Aは、本発明の実施形態により、網赤血球モジュールを用いてWBC数を決定する更なる態様を示す。ここに示されるように、血液サンプルの細胞を、まず第1試薬とインキュベートし、網赤血球のリボ核酸を選択的に染色する(工程10)。一実施形態では、染料のニューメチレンブルー(NMB)を用いるが、任意のRNA特異的染料を使用できる。次に、赤血球のヘモグロビンは、第2試薬(チオシアン酸カリウム及び硫酸を含むゴースト試薬)によって遊離される(工程14)。ゴースト試薬は、膜を損傷せずに赤血球を球状に膨張することによって、ヘモグロビンを赤血球から漏出させる。またゴースト試薬は、固定化性も有し、細胞が、ゴースト剤に起因する膨張によって引き起こされる球状を維持できる。結果としてヘモグロビン含量が減少すると、細網の染色を増強し、網赤血球のフローサイトメトリーによる判定を可能にする。
【0107】
ゴースト化工程では、血液サンプルを高温(41℃)でゴースト試薬と混合する。ゴースト試薬の浸透圧は、赤血球を効果的に膨張するために制御しなくてはならない。75〜110ミリオスモルの範囲の外部浸透圧は、赤血球を溶解又は損傷でき、あるいは血球はヘモグロビンを保持できて、成熟赤血球から未熟な網赤血球を区別するのを防ぐ。
【0108】
得られる染色されゴースト化したサンプル溶液を、次に血液分析器のフローセルを通過させ(工程18)、様々な角度でALL及び散乱光を測定する(工程22)。これらの測定によって、網赤血球モジュールのクラスタ化アルゴリズムを使用して、白血球から網赤血球及び成熟RBCを区別できる。これによって、本明細書の別の場所で記載されるように、WBC数を正確に決定する(工程26)。
【0109】
ゲーティング法及びクラスタ化
血液学的評価は、流体の流れ中に細胞を懸濁し、電子検出装置を通過させることによる、1秒当たり数千個の粒子の同時多重パラメータ分析を伴うことができる。得られたデータは、ヒストグラムにプロットされ、領域に分類できる。領域とは、1つ又は2つのパラメータヒストグラム上の目的とする集団の周囲に描かれる、つまり位置付けられる形状である。代表的な領域形状として、二次元多角形、円形、楕円形、不規則形状などが挙げられる。データ中に例示される個体のイベントは、特有のパラメータの組み合わせに相当し、かかる組み合わせについて複数の実例が存在する場合に蓄積される。領域を利用して、ヒストグラム上に描かれる、つまり位置付けられる細胞、つまりイベントを限定、つまり分離して、これら分離された細胞、つまりイベントを後続ヒストグラムに示せるとき、このプロセスをゲーティングと称する。ヒストグラムに蓄積されたデータは、1つ以上の領域を伴う「ゲーティング」として知られる一連の連続工程において、VCSパラメータに基づいて分離、つまりクラスタ化できる。ある場合には、ブール論理(AND、OR、NOT)を用いて、ゲートを互いに組み合わせる。一般的な手法には、ゲートを連続的に使用することが含まれる。ある場合には、ゲートは同時に実行される。
【0110】
様々な手動、自動、及びその他ゲーティング、境界決定、領域設置、又はヒストグラム分割法を、ヒストグラムデータを分割、つまりゲーティングするために使用でき、代表的な手法は米国特許出願公開第2010/0111400号(「Non−Linear Histogram Segmentation for Particle Analysis」)に記載されており、この内容は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、米国特許出願公開第2010/0111400号は、粒子分析のための非線形ヒストグラム分割を使用するクラスタ化アルゴリズムの形態について記載している。一般に、アルゴリズムによって実行される工程は、本明細書の別の場所で記載されるように、2種類の選択された粒子のパラメータ、この場合、ALL及びLALSの対数、又は、ALL並びにMALS及びLALSの対数の合計のいずれかに基づいて、初期二次元ヒストグラムを形成することを含む。別のパラメータを用いて、目的の細胞からデブリ及び血小板を分離する。次に、初期二次元ヒストグラムをフィルタリングし、フィルタ化二次元像を得る。使用するフィルタは、ノイズを除去する平滑化フィルタと、任意の細胞集団の縁部の検出を試みるエッジ検出フィルタの組み合わせである。得られるのは、任意の集団の縁部が検出された、平滑化したノイズ低減像である。このフィルタ化二次元像から、振幅極大に対応する複数のシード集団を特定する。次に、様々な集団対の質量中心の対間の中点に、アンカーポイントを定める。アルゴリズムによって、アンカーポイントを通過する、又はアンカーポイントに接する1つ以上の線形輪郭線が得られ、検出されたシード集団を分離する。次に、アルゴリズムは、輪郭点を調整し、検出されたシード集団を分離するために、少なくとも1つの線形輪郭線におけるエネルギー関数(f(距離、曲率、強度))をほぼ最小化する。シード集団の分離は、輪郭線を輪郭帯に広げることを含んでよい。次に、Watershed変換を用いて領域を結合することによって、輪郭帯を縮小又は削除できる。結果として、様々な集団を分離、同定できる。
【0112】
いくつかの実施形態によると、様々なゲーティング工程を行って、WBC数を得ることができる。これらの工程のうち1つ以上は、システム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH 800システムを用いる、網赤血球モジュール及びチャネル処理法に基づいて実施できる。
【0113】
デブリイベントの同定
本発明のいくつかの実施形態によると、
図11〜18に示すヒストグラムは、細胞分析システム、例えばBeckman CoulterのUniCel(登録商標)DxH 800システムの網赤血球モジュール及びチャネルを用いて得られたデータに基づいてよい。
図11に示すように、デブリイベントをデータ収集中に検出できる。かかるデブリイベントは、LogUMALS4対OPビューで同定できる。ここに示されるように、デブリイベントは底部及び右側に位置する。同定されたデブリイベントは、続くゲーティング工程によって除外できる。
【0114】
この2Dヒストグラムに示されるように(いくつかの実施形態では、ゲート化イベントから生じ、又は特定の実施形態では、未ゲート化イベントから生じる)、デブリと指定された領域とその対応する境界線は、ヒストグラムを2つの個別のイベントの組に分割する。デブリ領域は、ヒストグラムの境界の外側境界線と組み合わせて境界線によって画定できる(右側に最大OP値、下側に最小LogUMALS4値)。デブリ領域は、ヒストグラムを2つの独立したデータ集合に分離する。示される最初のデータは全てのイベントを含み、領域はこのイベントを2つの別個の集合に分けて、第1集合が領域の内側(デブリ)に、第2集合が領域の外側(非デブリ)になるようにする。したがって、領域は、データを2つの部分集合にわける形状である。
【0115】
領域の境界線(すなわち、領域を画定する線)の範囲内のゲート化イベント数を計数し、又は評価できる。非限定例として、いくつかの実施形態では、これは、デブリ領域を画定する境界線の範囲内のイベント数を決定することを含む。更に、分析される総イベント数を得ることができる。いくつかの実施形態では、この数は、全収集イベントの所定の部分集合を参照する。ある場合には、
図11は、ゲート化又は未ゲート化ヒストグラムの代表例であってよい。本明細書で使用されるとき、用語、未ゲート化とは、非限定例として、機器によって得られた使用可能な全てのデータを用いて構築されたヒストグラムを意味する。
【0116】
いくつかの実施形態では、第2領域(非デブリ)を利用して、
図11のヒストグラム上に描かれる、つまり位置付けられる細胞、つまりイベントを限定、つまり分離し、これらの分離された細胞、つまりイベントを
図12の後続ヒストグラムに示すようにできる。このように、第1ヒストグラム(
図11)のイベント、つまり細胞数を限定し、それを第2ヒストグラム(
図12)に示すことによって、領域(非デブリ)の利用をゲーティング工程として操作する。非限定例として、領域は、領域境界内のこれらイベントをフィルタリングして除去する、つまり分離するゲートとして働き、イベントが次のヒストグラム中に抽出され、配置されるようにする。本明細書で使用されるとき、用語、ゲート化は、非限定例として、前のヒストグラムに適用されるとき、ヒストグラム中に存在するデータがゲーティング工程を用いて導き出されることを意味する。
【0117】
したがって、ここに記載されるように、
図11は、未ゲート化又はゲート化データを表し、
図12は、ゲート化データ(すなわち、非デブリイベントについてゲート化)を表す。多くの場合には、後続ヒストグラムのパラメータは、前のヒストグラムで用いたものとは異なる。ある場合には、単一ゲーティング工程を用いて集団を分離する。ある場合には、多重ゲーティング工程を用いて集団を分離する。本明細書の別の場所で記載されるように、場合によってはブール論理をヒストグラムデータに適用する。
【0118】
WBC/NRBCイベントの同定
WBC及びNRBC細胞は核を有し、
図12に示されるALL対(LogMALS+LogLALS)ヒストグラムで同定できる。WBC/NRBCイベントは、囲んで示す右上の隅に位置する。同定されたWBC/NRBCイベントは、続くゲーティング工程によって除外できる。
【0119】
この2Dヒストグラムに示されるように、WBC/NRBCと指定された領域とその対応する境界線は、ヒストグラムを2つの個別のイベントの組に分割する。WBC/NRBC領域は、境界線によって少なくとも部分的に画定できる。WBC/NRBC領域はヒストグラムを2つの独立したデータ集合に分けて、第1集合が領域の内側(WBC/NRBC)に、第2集合が領域の外側(非WBC/NRBC)になるようにする。したがって、領域は、データを2つの部分集合にわける形状である。
【0120】
いくつかの実施形態では、第2領域(非WBC/NRBC)を利用して、
図12のヒストグラム上に描かれる、つまり位置付けられる細胞、つまりイベントを限定、つまり分離し、これらの分離された細胞、つまりイベントを
図13の後続ヒストグラムに示すようにできる。このように、第1ヒストグラム(
図12)のイベント、つまり細胞数を限定し、それを第2ヒストグラム(
図13)に示すことによって、領域(非WBC/NRBC)の利用をゲーティング工程として操作する。非限定例として、領域は、領域境界内のこれらイベントをフィルタリングして除去する、つまり分離するゲートとして働き、イベントが次のヒストグラム中に抽出され、配置されるようにする。本明細書で使用されるとき、用語、ゲート化は、非限定例として、前のヒストグラムに適用されるとき、ヒストグラム中に存在するデータがゲーティング工程を用いて導き出されることを意味する。
【0121】
したがって、ここに記載されるように、
図13は、ゲート化データ(すなわち、非WBC/NRBCイベントについてゲート化)を表す。多くの場合には、後続ヒストグラムのパラメータは、前のヒストグラムで用いたものとは異なる。ある場合には、単一ゲーティング工程を用いて集団を分離する。ある場合には、多重ゲーティング工程を用いて集団を分離する。本明細書の別の場所で記載されるように、場合によってはブール論理をヒストグラムデータに適用する。
【0122】
血小板イベントの同定
いくつかの実施形態によると、血小板イベントは、低DC、高光散乱、及び高OPを示し得る。血小板イベントを他のイベントから分離するのに使用され得る1つのビューは、
図13に示される(LogDC−LogUMALS)対(LogLALS+OP)である。血小板イベントは、囲まれる右下の隅に位置する。ここに示されるように、同定された血小板イベントを除外(例えば、
図14を得るために非血小板イベントについてゲーティングするとき)、又は選択(例えば、血小板イベントについてゲーティングするとき)できる。
【0123】
図13の2Dヒストグラムに示されるように、血小板と指定された領域とその対応する境界線は、ヒストグラムを2つの個別のイベント集合に分割する。血小板領域は、境界線によって少なくとも部分的に画定できる。血小板領域はヒストグラムを2つの独立したデータ集合に分けて、第1集合が領域の内側(血小板)に、第2集合が領域の外側(非血小板)になるようにする。したがって、領域は、データを2つの部分集合にわける形状である。
【0124】
いくつかの実施形態では、第2領域(非血小板)を利用して、
図13のヒストグラム上に描かれる、つまり位置付けられる細胞、つまりイベントを限定、つまり分離し、これらの分離された細胞、つまりイベントを
図14の後続ヒストグラムに示すようにできる。このように、第1ヒストグラム(
図13)のイベント、つまり細胞数を限定し、それを第2ヒストグラム(
図14)に示すことによって、領域(非血小板)の利用をゲーティング工程として操作する。非限定例として、領域は、領域境界内のこれらイベントをフィルタリングして除去する、つまり分離するゲートとして働き、イベントが次のヒストグラム中に抽出され、配置されるようにする。本明細書で使用されるとき、用語、ゲート化は、非限定例として、前のヒストグラムに適用されるとき、ヒストグラム中に存在するデータがゲーティング工程を用いて導き出されることを意味する。
【0125】
したがって、ここに記載されるように、
図14は、ゲート化データ(すなわち、非血小板イベントについてゲート化)を表す。多くの場合には、後続ヒストグラムのパラメータは、前のヒストグラムで用いたものとは異なる。ある場合には、単一ゲーティング工程を用いて集団を分離する。ある場合には、多重ゲーティング工程を用いて集団を分離する。本明細書の別の場所で記載されるように、場合によってはブール論理をヒストグラムデータに適用する。
【0126】
RBCイベントの同定
いくつかの実施形態によると、成熟RBC及び網赤血球の両方を含むRBCイベントは、
図14に示されるEDC対log ALLビューで同定できる。RBCイベントは、囲まれるビューの下部に位置する。一般に、RBCイベントは、EDC、ALL(log ALLを含む)、散乱パラメータ、又はこれらの組み合わせを用いて同定できる。
【0127】
結果的に、本発明の実施形態は、増加DC、ALL、LALS、LMALS、MALS、及び/又はUMALS、及びその他パラメータに基づく、血球イベントの同定及び計数に使用できる、システム及び方法を包含する。
【0128】
白血球数の算出
本発明の実施形態は、WBC+NRBC数及びRBC数に基づいて、WBC数を決定するシステム及び方法を包含する。
図15の網赤血球チャネルヒストグラムに示されるように、ALLをLog LALSに対してプロットすると、WBC & NRBC(白血球と有核赤血球とを合わせたもの)イベントは、成熟赤血球及び網赤血球数から区別される。
図16の網赤血球チャネルヒストグラムに示される特定の場合では、網赤血球集団は、依然としてWBC & NRBC集団と重なっている。
図17の網赤血球チャネルヒストグラムに示されるように、ALL対log MALS+Log LALSの場合では、分離がより向上する。したがって、x軸のLog LALSにLog MALSを加えると、一部のサンプルについてWBC−NRBCの分離を改善できる。
【0129】
本明細書の別の場所で記載されるように、網赤血球モジュールの赤血球(RBC)イベント数は、WBC算出に有用である。いくつかの実施形態によると、RBC網赤血球イベント数は、成熟赤血球及び網赤血球の両方を含む。
図15〜17に示すように、様々な手法を用いて、網赤血球集団と数を決定できる。ある場合には、成熟赤血球と区別して網赤血球を同定せずに、成熟赤血球と網赤血球を合わせた数を決定する。網赤血球モジュールを使用したRBC数(例えば、成熟赤血球と網赤血球を合わせたもの)の決定に、任意の様々な手法を利用できる。例えば、
図18に示すように、体積を光散乱パラメータ(又はlog光散乱パラメータ)に対してプロットするとき、成熟赤血球イベント1802及び網赤血球イベント1804を判定できる。光散乱パラメータ(又はその対数)は、RBC数の決定に有用な任意のパラメータであってよい。例えば、光散乱パラメータは、上方中角度光散乱(UMALS)パラメータであってよい。この散乱プロットにより、血液サンプル中に一般に存在する異なる細胞種のイベントデータ集団を評価できる。ここに示されるように、様々な手法が、例えば、線1822及び1824によって画定された領域に基づく赤血球集団全体のゲーティングを可能にして、赤血球全体(すなわち、赤血球1802及び網赤血球1804)、血小板1808、及び白血球1806の集団間が十分に分離する。代表的なゲーティング法は、マルチパラメータデータから選択した測定値をフィルタリングし、例えば、本明細書の別の場所で記載されるように、各細胞イベントについて生じた測定値を既知の閾値と比較して検証することによって、赤血球(赤血球及び網赤血球)、血小板、及び白血球を分離することを含んでよい。例えば、体積測定値が線1824より高く、かつ、光散乱値(多くの場合、光散乱の対数で使用される)が線1822より低い細胞イベントが赤血球又は網赤血球のいずれかに相当するとき、線1824は体積閾値となり得、線1822は光散乱閾値となり得る。ある場合には、例えば、線1830などの線によって、網赤血球集団もゲート化できる。線1830の右側のイベントは網赤血球であり、一方線1830の左側のイベントは成熟赤血球である。赤血球分析法の追加的かつ関連態様は、米国特許出願公開第2010/0075369号、及び同第2010/0240055号であり、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
WBC数の決定に使用される様々な計算の説明には、使用される用語を定義することが有用である。ある場合には、記号「#」は濃度を表す。ある場合には、添字「CBC」、「Retic」及び「NRBC」は、それぞれ標準CBCモジュール、網赤血球モジュール、及びNRBCモジュールの使用を示す。用語「events」は、個々の粒子数を指す。
【0131】
WBC & NRBC数の決定に加えて、WBC & NRBC対RBC数の比の算出が、及びその算出から、CBCモジュールによる(RBC#)と表されるRBC数(濃度)を用いる(UWBC#)と表される未補正WBC数(濃度)の算出が可能である。例えば、網赤血球モジュールに対応する未補正WBC数(濃度)は、次式を用いて決定できる。
UWBC#
Retic=RBC#
CBC×(WBC&NRBC
events Retic/RBC
events Retic)
【0132】
任意に、WBC & NRBC対RBC+WBC & NRBCイベント比の算出、更にはCBCモジュールによる未補正RBC数(濃度)を用いた未補正WBC数(濃度)の算出が可能である。例えば、網赤血球モジュールに対応する未補正WBC数(濃度)は、次式を用いて決定できる。
UWBC#
Retic=URBC#
CBC×(WBC&NRBC
events Retic/(RBC
events Retic+WBC&NRBC
events Retic))
【0133】
CBCモジュール中のWBC干渉がRBC#数の精度に影響するとき、この任意手法により正確な結果が得られる。
【0134】
未補正WBC数は、NRBCモジュールによるNRBCの割合(NRBC%)を用いて補正できる。ある場合には、NRBC%は、米国特許第7,008,792号、及び同第7,208,319号(これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものなどの、手法を用いて決定できる。例えば、NRBC%(NRBC濃度とも称され得る)は、米国特許第7,208,319号の実施例1に記載されるNRBCモジュールを用いて決定できる。米国特許第7,208,319号の実施例1で使用されるとき、用語、濃度は、百分率として記載されており、単位体積当たりのカウント数の単位による集団数ではないことに留意されたい。ある場合には、NRBC%は、
図7Aに示されるNRBCチャネル770aを用いて決定できる。例として、網赤血球モジュールに対応する補正WBC数(濃度)は、次式を用いて決定できる。
WBC#
Retic=UWBC#
Retic/(1+NRBC%
NRBC)
【0135】
図19は、本発明の実施形態による代表的なNRBC処理チャンバ1900の態様を示す。ここに示されるように、NRBC処理法は、血液をNRBCチャンバ1910に送達する工程[工程1]と、血液サンプルを溶解剤と接触させるために、NRBC溶解剤をチャンバ1910に導入する工程[工程2]と、を含んでよい。NRBC処理法は、更に、分析のためにサンプルをフローセル1920に移送する工程[工程3]と、結果を表示する工程[工程4]と、を含んでよい。関連して、
図20は、本発明の実施形態による代表的なNRBC処理サイクルの態様を示す。ここに示されるように、血液サンプルの一部を希釈し、溶解試薬で処理をして、予測可能な状態で存在し得るNRBC、WBC、及び任意の血小板又は細胞デブリを保持しながら、非有核赤血球を選択的に除去できる。NRBC処理サイクル2000は、総溶解サイクル2010と、空気混合サイクル2020と、溶解サイクル2030と、を含んでよい。
【0136】
様々な体積伝導度散乱(VCS)パラメータを使用して、NRBCモジュールを用いるNRBC分析が可能である。ある場合には、軸方向光損失及びDCインピーダンス測定値を用いて、NRBCを評価できる。例えば、
図21は、NRBCモジュール試薬及び本明細書の別の場所で記載される手順を使用して処理し、分析した、有核赤血球を含む臨床全血サンプルのDC対ALL散布図を示す。ここに示されるように、有核赤血球(NRBC)は、白血球と細胞デブリから分離したクラスタを形成する。サンプルのNRBC濃度は、同定されたNRBCクラスタ(
図21)中の細胞数を白血球(WBC)数で除し、その商に100を乗ずることによって算出できる。NRBC濃度は、用手的参照法の単位と同じNRBCの数/WBC 100個として報告でき、又は、全血1マイクロリットル(μL)当たりのNRBCの絶対数として報告できる。別の実施形態では、
図22に示すように、有核赤血球を他の細胞種から区別するプロセスは、軸方向光損失と低角度光散乱測定値(例えば5.1°での光散乱などのLS1)との組み合わせを使用できる。この実施形態では、軸方向光損失及び低角度光散乱信号を測定することによって、溶解した血液サンプルをフローセル内で分析する。得られる軸方向光損失及び低角度光散乱信号を用いることによって、有核赤血球を他の細胞種から区別する。ある場合には、低角度光散乱信号は10°未満で測定される。ある場合には、低角度光散乱は、約1°〜約7°の範囲内の角度、又は約4°〜約6°の範囲内の角度に相当する。
【0137】
代表的なNRBC処理法では、ある量の血液を希釈し(例えば等張性血液希釈剤を用いて)、血液分析器の混合チャンバ内である量の溶解試薬と混合してよい。混合後一定時間(例えば約9秒)において、有核赤血球の分析のため、サンプル混合液をシース流体と共にフローセルに送達してよい。代表的な溶解試薬は、赤血球の溶解及び有核赤血球の分析用の活性成分、例えば、約4のpHを有する、36g/Lの塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(50%溶液)及び3.6g/Lの臭化テトラデシルトリメチルアンモニウムを含む水溶液であってよい。
【0138】
WBC集団がNRBCを含まない別の実施形態では、WBC量を計数する工程は、次式によってその関係を単に計算する工程を含んでよい。
WBC#
Retic=RBC#
CBC×(WBC
events Retic/RBC
events Retic)
【0139】
図23は、既知の標準品に対してプロットした高WBC数における、WBCモジュールによるWBC数値の分散を示す。高い白血球数では、白血球数が実際の標準品から顕著に逸脱していることが容易にわかる。回帰直線は、1対1相関を表す点線より下にある。結果として、白血球は実際より少なく数えられる。ここに示す実線は、実際のデータポイントで計算された回帰直線であり、式y=0.883xと記載される。
【0140】
図24は、
図23と同じ測定を示し、網赤血球モジュールによって決定されたWBC数が標準品と比較されている。示されるように、回帰直線は、1対1相関を表す点線に更に一致している。この手法は、同一サンプルの光散乱パラメータ(例えば光散乱及び軸方向光損失)、並びにRBC(成熟RBC及び網赤血球)及びWBC&NRBCイベントを測定するために装備された任意の血液分析器によって使用してよい。
【0141】
本明細書の別の場所で記載されるように、WBC計数手法は、WBCを多く含むサンプルの分析に特に有用である。例えば、代表的な手法を用いて、10
3/μL当たりWBCが400個を超えるサンプルにおいて、WBC数を得ることができる。更に、代表的な手法は、大型血小板、血小板凝集塊、NRBC、又は脂質などのその他干渉物質による干渉がある場合でも、信頼できるWBC数を得ることができる。
【0142】
本発明の実施形態は、広範なWBC数値を報告できるWBC計数手法を提供する。更に、本明細書に開示されるWBC計数手法は、同時通過によるWBC数損失の補償を必要とせずに実施できる。網赤血球モジュールは、通常WBCより1000倍密度が高いRBCを処理できる。したがって、WBC数について同時通過を無視することができる。
【0143】
本明細書の別の場所で記載されるように、代表的なWBC計数手法は、RBCを化学的に破壊することによってRBCとWBCを分離する、溶解手順を使用せずに実施できる。かかる溶解手順は、多くの場合、正確な制御プロトコル及び分注プロトコル、特殊な試薬、特定のタイミング及び温度パラメータなどを必要とする。関連して、いかなる溶解されていないRBCは、WBCに対する大きな干渉を引き起こし得る。本発明の実施形態は、RBCをWBCから分離するデジタル処理法を用いることによって、これらの問題を回避する手法を包含する。更に、代表的なWBC法は、流量測定又は制御(例えば多くの場合、サンプル体積の計算に利用される)を利用することなく実施できる。更に、代表的なWBC法を機能させて、WBCを多次元空間内の血小板干渉から分離でき、したがって、大型血小板又は血小板凝集塊の干渉に伴う問題を回避できる。
【0144】
本明細書に記載される計算、つまり演算はそれぞれ、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアを有するコンピュータ又はその他プロセッサを用いて実行されてよい。様々な方法工程はモジュールによって実行されてよく、モジュールは、本明細書に記載される方法工程を実行するために配置される、任意の広範なデジタル及び/又はアナログデータ処理ハードウェア及び/又はソフトウェアを備えてよい。データ処理ハードウェアを任意に備えるモジュールは、これらに伴って適当な機械プログラミングコードを有することによって、これらの工程のうち1つ以上を実行するのに適しており、2つ以上の工程(又は2つ以上の工程の部分)に対するモジュールは、任意の広範な統合処理及び/又は分散処理アーキテクチャにおいて、単一のプロセッサボードに組み込まれている、又は、異なるプロセッサボードに分かれている。これらの方法及びシステムは、多くの場合、上記方法工程を実行するための命令を伴う、コンピュータ読み取り可能なコードを組み込む有形媒体を利用するだろう。好適な有形媒体は、メモリ(揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含む)、記憶媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、テープなどへの磁気記録、CD、CD−R/W、CD−ROM、DVDなどといった光学式メモリ、又は任意のその他デジタル若しくはアナログ記憶媒体)などを含んでよい。
【0145】
図面中に示し、上記で説明したものと異なる構成要素の配置、並びに、示されていない、すなわち説明されていない構成要素及び工程は可能である。同様に、一部の特徴及びサブコンビネーションは有用なものであり、他の特徴及びサブコンビネーションに関係なく使用できる。本発明の実施形態は、限定目的ではなく例示目的で説明しており、本発明の読者には、別の実施形態が明らかになるであろう。特定の場合では、方法工程又は操作が異なる順序で実施、つまり実行されてよく、あるいは、操作を追加、削除、又は変更してもよい。本発明の特定の態様では、ある要素若しくは構造を提供するため、又は、ある機能を実行するために、単一の構成要素を複数の構成要素と置き換えてよく、複数の構成要素を単一の構成要素と置き換えてよいことが理解され得る。かかる置換が本発明の特定の実施形態の実行に有効でない場合を除き、かかる置換は本発明の範囲内であると見なされる。
【0146】
当然のことながら、本発明の実施形態の図及び説明を簡略化して、本発明の明確な理解に関連する要素を説明している。しかしながら、当業者は、これらの及び他の要素が望ましい場合があると認識するであろう。しかしながら、かかる要素は当該技術分野において周知であり、本発明のより良い理解を助けるものではないため、本明細書にかかる要素の説明は提供されない。当然のことながら、図は、組立図としてではなく、例示目的で示されている。省略された詳細点及び変更点、又は別の実施形態は、当業者の専門範囲内である。
【0147】
本発明の特定の態様では、ある要素若しくは構造を提供するため、又は、ある機能を実行するために、単一の構成要素を複数の構成要素と置き換えてよく、複数の構成要素を単一の構成要素と置き換えてよいことが理解され得る。かかる置換が本発明の特定の実施形態の実行に有効でない場合を除き、かかる置換は本発明の範囲内であると見なされる。
【0148】
本明細書に示される実施例は、本発明の潜在的かつ特定の実施例を例示することを意図している。当業者には、実施例は、主に本発明の説明を目的としていると理解され得る。本発明の趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載されるこれらの図又は操作に対して変更があってもよい。例えば、特定の場合では、方法工程又は操作が異なる順序で実施、つまり実行されてよく、あるいは、操作を追加、削除、又は変更してもよい。
【0149】
更に、一方では、本発明の特定の実施形態は、本発明を説明する目的であり、本発明を限定する目的ではなく本明細書に記載されているが、当業者によって、本発明の原理及び範囲の内で、特許請求の範囲に記載される本発明から逸脱することなく、詳細、材料、及び要素、工程、構造の配置、並びに/又は部品において多くの変更がなされ得ることが理解されるであろう。
【0150】
本開示で論じた全ての特許、特許公開、特許出願、雑誌論文、書籍、技術文献などは、それらの全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0151】
図面中に示し、上記で説明したものと異なる構成要素の配置、並びに、示されていない、すなわち説明されていない構成要素及び工程は可能である。同様に、一部の特徴及びサブコンビネーションは有用なものであり、他の特徴及びサブコンビネーションに関係なく使用できる。本発明の実施形態は、限定目的ではなく例示目的で説明しており、本発明の読者には、別の実施形態が明らかになるであろう。したがって、本発明は、上記の、又は図に示した実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態及び変更がなされてよい。