(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321641
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】熱伝達装置、照明器具及び照明器具を組み立てる方法
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20180423BHJP
F21V 29/71 20150101ALI20180423BHJP
F21V 29/73 20150101ALI20180423BHJP
F21S 8/08 20060101ALI20180423BHJP
F21V 17/16 20060101ALI20180423BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20180423BHJP
【FI】
F28D15/02 L
F21V29/71
F21V29/73
F21S8/08 100
F21V17/16 100
F28D15/02 Z
F21Y115:10
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-523650(P2015-523650)
(86)(22)【出願日】2013年7月24日
(65)【公表番号】特表2015-527558(P2015-527558A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】IB2013056051
(87)【国際公開番号】WO2014016775
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2016年7月20日
(31)【優先権主張番号】61/676,397
(32)【優先日】2012年7月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/676,447
(32)【優先日】2012年7月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヘールス マレイン
(72)【発明者】
【氏名】フェルフーフェン マルク
【審査官】
小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0103667(US,A1)
【文献】
特開平05−066095(JP,A)
【文献】
特開2003−075081(JP,A)
【文献】
特開2007−035513(JP,A)
【文献】
特開平02−125457(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3141766(JP,U)
【文献】
特開2011−171332(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0107547(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
H05K 7/20
F21K 9/00 − 9/90
F21S 2/00 − 19/00
F21V 17/00 − 17/20
F21V 23/00 − 99/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具ハウジングと、光源と、前記光源から前記照明器具ハウジングへ熱を伝達するための熱伝達装置とを有する照明器具であって、前記熱伝達装置が、
ヒートスプレッダと、
照明器具ハウジングの様々な形状に適応し得るように、前記照明器具ハウジングと接触する場合に前記ヒートスプレッダに向かって弾性的に圧縮可能であるように、前記ヒートスプレッダに機械的に接続される少なくとも1つの熱伝達プレートと、
前記光源が、前記ヒートスプレッダに接続され、前記熱伝達プレートが、前記照明器具ハウジングと熱的に接触するように弾性的に押圧される場合に、熱が前記光源から前記照明器具ハウジングに伝達されるように、各熱伝達プレートに及び前記ヒートスプレッダに熱的に接続されている少なくとも1つのヒートパイプと、
を有する照明器具。
【請求項2】
前記熱伝達装置は、それぞれ、各熱伝達プレートと前記ヒートスプレッダとの間に配されている少なくとも1つの弾性要素を更に有する、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記少なくとも1つの熱伝達プレートは可撓性である、請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記熱伝達装置は、内部にヒートパイプが摺動可能に配されている熱伝導管の端部に取り付けられる前記熱伝達プレートを含んでいる、少なくとも1つの熱伝導サブアセンブリを更に有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記熱伝導サブアセンブリは、前記熱伝導管を少なくとも部分的に囲んでいる外管であって、前記ヒートスプレッダに取り付けられている外管を更に有する、請求項4に記載の照明器具。
【請求項6】
前記熱伝導サブアセンブリは、更に、各熱伝導管と前記ヒートスプレッダとの間に配置される弾性要素を更に有する、請求項4又は5に記載の照明器具。
【請求項7】
前記ヒートパイプが銅でできている、請求項1乃至6の何れか一項に記載の照明器具。
【請求項8】
前記ヒートパイプが可撓性である、請求項1乃至7の何れか一項に記載の照明器具。
【請求項9】
前記ヒートパイプは、湾曲されたヒートパイプ、平坦なマイクロ熱トランスミッタ及び螺旋ヒートパイプからなる群から選択される、請求項1乃至8の何れか一項に記載の照明器具。
【請求項10】
前記ヒートスプレッダは、前記少なくとも1つのヒートパイプを収容する少なくとも1つの溝を有する、請求項1乃至9の何れか一項に記載の照明器具。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の照明器具を組み立てる方法であって、
照明器具ハウジングを設けるステップと、
熱伝達装置を設けるステップと、
前記照明器具ハウジングを開けるステップと、
光源を前記熱伝達装置の前記ヒートスプレッダに接続するステップと、
自身に前記光源が取り付けられている前記熱伝達装置を、前記熱伝達プレートが、前記照明器具ハウジングの内面に熱的に接触すると共に、前記照明器具ハウジングの前記内面に適応するように、前記照明器具ハウジング内に挿入するステップと、
前記照明器具ハウジングを閉じるステップであって、前記熱伝達装置は前記照明器具ハウジングの内面に押し付けられるステップと、
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝達装置、熱伝達装置を有する照明器具、及び照明器具を組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
街灯及び自動車照明のような、LED照明の新しいアプリケーションにおいて、典型的には、強力な光源が使用されている。現在のLEDによれば、このことは、数百ワットのオーダーにおける、著しい熱の発生量に至る。この熱は、光源から離れて輸送されなければならず、又は、さもなければ、光源が劣化する。当該熱は、いわゆるヒートスプレッダの大きい表面にわたって広げられ、ここから、当該熱は周囲の空気へと拡散することができる。ヒートスプレッダは、しばしば、金属でできており、ヒートシンクと称されても良い。
【0003】
前記光源から離れて熱を輸送する問題に対する1つの可能性は、ベンチレータの使用である。しかしながら、ベンチレータは、壊れ得る可動部を有する。更に、ベンチレータの使用は、製造、及び使用中のエネルギに関して、増大された費用につながる。
【0004】
他の解決策は、ヒートパイプの使用である。これらは、典型的には、内側に冷却流体を有する比較的固い金属管から成る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの解決案のうち何れが使用されるかに拘らず、問題は残る。照明器具のライトエンジンが交換される場合、熱インターフェースシステムも交換される。一般に、照明器具自体を変更することはできない。例えば、照明器具のキャノピーをそのままにしておくことが、望ましい。従って、ライトエンジンが交換される場合、新しい熱インターフェースシステムは既存の照明器具に適合していなければならない。このことは、異なる照明器具において、ライトエンジンを使用することができるように、各ライトエンジンに対して異なる種類の熱インターフェースシステムを提供するために増大された費用をもたらす。
【0006】
従って、多数の異なる照明器具において使用されることができる改善された熱インターフェースシステムに対する必要性が残っている。
【0007】
本発明の目的は、照明器具を適適応化する必要なしに、かつ、異なる照明器具に対する異なる熱伝達装置を保持する必要なしに、使用されるライトエンジンの種類に拘らず、この問題を解決する及び多種多様な照明器具において使用されることができる熱伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の見地によれば、このこと及び他の目的は、熱をハウジングへ伝達するための熱伝達装置であって、ヒートスプレッダと、ハウジングと接触される場合に前記ヒートスプレッダに向かって弾力的に圧縮可能であるように前記ヒートスプレッダに機械的に接続される少なくとも1つの熱伝達プレートと、各熱伝達プレート及び前記ヒートスプレッダに熱的に接続される少なくとも1つのヒートパイプであって、この結果、前記熱伝達プレートが前記ハウジングと接触される場合に、熱は、前記ヒートスプレッダから前記ハウジングへ伝達される、ヒートパイプとを有する熱伝達装置によって達成される。
【0009】
既知の熱インターフェースとは対照的に、本発明の熱伝達装置の熱インターフェースは、機械的に、当該熱伝達装置が内部で使用されるハウジングに機械的に接続されていないが、ヒートスプレッダに接続されており、その代わりに機械的な固定なしにハウジングと接触するように押圧されることができる。前記熱伝達プレートの弾力的な圧縮性は熱伝達装置を可撓性にし、この結果、前記熱伝達装置はハウジングの異なる形状に適応することができる。
【0010】
ライトエンジン(例えば、LEDモジュール)は、前記ヒートスプレッダに取り付けられることができる。前記ライトエンジン及び前記熱伝達装置が照明器具内に取り付けられる場合、前記熱伝達装置の前記熱伝達プレートは、前記ライトエンジンから前記ハウジングへ熱を伝達するために照明器具のハウジングと接触して配されることができ、ここから、熱は周囲空気に拡散することができる。照明器具のライトエンジンを交換する場合、新しいライトエンジンは単に前記ヒートスプレッダに接続されることができる。
【0011】
前記装置は、それぞれ、各熱伝達プレートとヒートスプレッダとの間に配される少なくとも1つの弾力要素(resilient element)を有することができる。弾力要素は、例えば、バネであっても良い。このような弾力要素は、熱伝達プレートが、熱伝達装置が照明器具内に取り付けられる場合に前記ヒートスプレッダに関してずらされることができることを可能にする。
【0012】
前記熱伝達プレートは(例えば、可撓性材料でできていることによって、)可撓性であっても良く、これによりハウジングの異なる形状により適応可能になる。
【0013】
各熱伝達プレートは、前記ヒートパイプのうちの1つが摺動可能に配される熱伝導管の端部に取り付けられることが可能である。前記熱伝導管のヒートパイプの摺動可能な配置は、前記熱伝達装置が取り付けられる前記照明器具内部の空間の異なるサイズに適応するために、サブアセンブリを伝導するこの熱が長さ方向において伸縮することを可能にする。この場合、前記弾力要素は、各熱伝導管とヒートスプレッダとの間に配されることができる。
【0014】
一実施例によれば、この熱伝導アセンブリは、ヒートパイプ及び熱伝導管を少なくとも部分的に囲んでいる外管を更に有する。この外側のパイプは、ヒートパイプ及び熱伝導管に対して硬化(stiffening)を提供するために選択された材料でできており、これにより熱伝達装置をより堅牢なものにする。
【0015】
前記ヒートパイプは、可撓性のものであっても良い。ここで使用されているように、「可撓性のヒートパイプ」なる語は、ヒートパイプの端部間の距離が変化されることができるような可撓性を有する何らかのヒートパイプを意味する。従って、「可撓性のヒートパイプ」は、湾曲されることができるように延性のもの若しくは柔軟なもの、又は長さ方向において変化されることができるように弾性のもの若しくは伸張可能なものであっても良い。前記ヒートパイプは、湾曲されたヒートパイプ、平坦なマイクロ熱トランスミッタ及び螺旋ヒートパイプからなる群から選択されることができる。
【0016】
一実施例において、前記ヒートスプレッダは、少なくとも1つのヒートパイプを収容するのに適している少なくとも1つの溝を有する。これは、前記ヒートパイプを前記ヒートスプレッダに取り付けるための機械的に単純な方法である。
【0017】
本発明の第2の見地によれば、このこと及び他の目的は、ハウジングと、光源と、本発明の第1の見地による熱伝達装置とを有する照明器具により達成される。前記光源はヒートスプレッダに接続されており、前記少なくとも1つの熱伝達プレートは、前記ハウジングに対して熱的に接触にするように弾力的に押圧される。
【0018】
このような照明器具において、前記光源は、前記光源と前記ハウジングとの間で熱インターフェースを交換する必要性なしに、容易に交換されることができる。前記ヒートスプレッダ装置の柔軟な特性は、前記ヒートスプレッダが前記ハウジングの内面に適応することを可能にする。従って、前記熱伝達プレートは、前記ハウジングの内面のプロファイルに一致する形状を与えられる必要はない。代わりに、必要に応じて、幾つかの熱伝達装置が使用されることができ、各々、前記ハウジングの内面の形状に適応するために必要な程度まで撓む。このことにより、熱伝達装置の同じ設計が、異なる照明器具に対して使用されることができる。更に、1つ以上の熱伝達装置が、ライトエンジンが取り付けられているヒートスプレッダに前もって取り付けられる場合でさえも、組み合わされたライトエンジン及び熱伝達装置は、幾つかの異なる照明器具に対して使用されることができる。
【0019】
本発明の第3の見地によれば、このこと及び他の目的は、照明器具を組み立てる方法であって、前記照明器具ハウジングを開けるステップと、光源を本発明の第1の見地による熱伝達装置の前記ヒートスプレッダに接続するステップと、前記熱伝達装置を前記ハウジング内に挿入するステップであって、この結果、前記熱伝達プレートが前記ハウジングの内面に熱的に接触する、ステップと、前記ハウジングを閉じるステップであって、前記熱伝達装置は前記ハウジングの内面に対して押圧されるステップとを有する方法により達成される。
【0020】
この方法は、光源が熱インターフェースの交換を伴うことなく交換されることができるので、照明器具の光源の交換を単純化する。この方法によって、既知の熱インターフェースとは対照的に、本発明の熱伝達装置の熱インターフェースは、前記熱伝達装置が使用される照明器具に機械的に接続されないが、ヒートスプレッダに接続されており、代わりに機械的な固定なしに、照明器具と接触するように押圧される。
【0021】
本発明は、添付の請求項において詳述されるフィーチャの全てのあり得る組合せに関することに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施例による熱伝達装置の上方からの斜視図である。
【
図3】
図1の熱伝達装置の下方からの斜視図である。
【
図4】
図1に示される種類の熱伝達装置を有する照明器具の実施例の斜視図である。
【
図6】本発明の他の実施例による熱伝達装置の側面斜視図である。
【
図7】本発明の他の実施例による熱伝達装置の断面図である。
【
図8】圧縮状態における
図7の熱伝達装置を示している断面図である。
【
図9】4つのヒートパイプを備える、
図1に示される種類の熱伝達装置により提供される照明器具の断面図である。
【
図10】本発明の更に他の実施例による熱伝達装置を備えている照明器具の断面図である。
【
図11】
図10の照明器具を組み立てる方法におけるステップを示している断面図である。
【
図12】
図10の照明器具を組み立てる方法における後のステップを示している断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のこれら及び他の見地は、本発明の実施例を示している添付図面を参照して、以下で更に詳細に記載される。
【0024】
本発明は、添付図面を参照して、以下において、十分に詳細に記載され、本発明の現在好ましい実施例が示される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態において実施されることができ、本願明細書に記載される実施例に限定されるものであると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施例は、徹底及び完全さのため、及び本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。
【0025】
図1―3は、符号1によって全体的に示されている熱伝達装置を示している。熱伝達装置1は、ヒートスプレッダ2を含んでおり、ヒートスプレッダ2は、所謂レベル2コンタクトブロック(a so-called level two contact block)であり、この実施例においては、アルミニウムからできている。熱伝達装置1は、更に、熱伝達プレート3を含んでおり、この熱伝達プレートは、所謂レベル1コンタクトブロックであり、ここでは、アルミニウムからできている。ヒートスプレッダ2は、ここではバネ4の形態における4つの強い弾力要素によって、熱伝達プレート3に機械的に接続されている。更に、ヒートスプレッダ2は、少なくとも1つ(ここでは8つ)のヒートパイプ5によって前記熱伝達プレートに熱的に接続されている。各バネ4は、第1端部においてヒートスプレッダ2に取り付けられ、第2端部において前記熱伝達プレートに取り付けられる。このことにより、機械的接続が、ヒートスプレッダ2と熱伝達プレート3との間に形成されている。ヒートパイプ5は、ヒートスプレッダ2内に形成されている溝6内への挿入により、第1端部において前記ヒートスプレッダに取り付けられ、熱伝達プレート3内の孔7への挿入によって第2端部において熱伝達プレート3に取り付けられている。このことにより、熱的接続が、ヒートスプレッダ2と熱伝達プレート3との間に形成されている。
【0026】
ヒートパイプ5は可撓性であっても良く、この結果、これらは湾曲され、ヒートスプレッダ2と熱伝達プレート3との間の距離が変化されることを可能にしている。
【0027】
図4及び5は、照明器具内に取り付けられる熱伝達装置であって、当該照明器具は、この実施例において、この照明器具のハウジングの部分であるキャノピー9を有する街灯8である。照明器具8の既存のライトエンジンを交換する場合、新しいライトエンジン(例えば、LEDモジュール(図示略))はヒートスプレッダ2の下側に取り付けられる。LEDモジュールが取り付けられた熱伝達装置1は、次いで、キャノピー9内に押し込まれ、この結果、熱伝達プレート3の上部11はキャノピー9の内側12と緊密に接触するようになる。このようにして、熱インターフェースがLEDモジュールとキャノピー9との間に確立され、この結果、LEDモジュールにより生成される熱は、ヒートスプレッダ2全体にわたって広がり、前記ヒートスプレッダからヒートパイプ5を介して伝達され、バネ4を介してより少ない程度において、熱伝達プレート3に伝達され、更にキャノピー9に伝達される。当該熱は、キャノピー9の全体にわたって広がり、周囲空気に放散されることができる。
【0028】
弾力要素4及び湾曲されたヒートパイプ5は、熱伝達装置1がライトエンジンの異なる大きさに適応することを可能にする。より大きいライトエンジンが使用され、ヒートスプレッダ2に取り付けられる場合、バネ4及びヒートパイプ5は、熱伝達装置1が更に照明器具8内に適合するように、より圧縮される、より小さいライトエンジンが使用される場合、バネ4及びヒートパイプ5はそんなに圧縮されず、この結果、前記熱伝達装置は照明器具内部のより多くの空間を占める。
【0029】
例えば、
図5から分かるように、熱伝達プレート3は、キャノピー9の内側12の形状に一致する形状を有する。このことは、熱伝達プレートとキャノピーとの間の良好な熱的接触に至る。不利な面として、このことは、熱伝達プレート3は、内部で熱伝達プレート3が使用されるべき様々な照明器具のキャノピーの各形状に対して多かれ少なかれ異なる形により製造されなければならないことを意味する。しかしながら、アルミニウムのような、やや可撓性の材料が熱伝達プレート3に使用される場合、当該キャノピー9の様々な形状にある程度まで適応することができる。この適応性は、可撓性の、熱伝導性のパッド13が熱伝達プレート3の上側11に取り付けられる場合、更に増大されることができる。前記パッドは、熱伝導材料でできていても良い。これによって、照明器具の光源から周囲空気への熱伝達が、照明器具のハウジングを介して向上されることができる。
【0030】
熱伝達装置1が照明器具に挿入されるとき、熱伝達プレート3は、このような場合において、パッド13を経て前記キャノピーと熱的に接触する。このようなパッド13は、熱インターフェース材料(TIM)でできていても良く、熱伝達プレート3の上側11がキャノピー9の内側12に一致する場合でさえも、有利に使用されることができる。当該パッドは、熱伝達プレート3の上部11全てを覆う必要はないが、上側11の一部のみにわたって延在することができる。
【0031】
熱伝達装置1の他の構成要素、即ちヒートスプレッダ2、バネ4及びヒートパイプ5は、キャノピーの形状に拘らず同じであっても良く、この結果、サブアセンブリが全ての熱伝達装置において同一であることができ、熱伝達金属プレート3のみが、異なる照明器具に対して異なって成形されることを必要とする。当然、必要に応じて、ヒートスプレッダ2の異なるサイズは、異なる照明器具のために選択されることができる。同様に、バネ4及びヒートパイプ5の長さは、異なる照明器具に対して異なって選択されることができる。
【0032】
熱伝達装置1は、照明器具8に機械的に取り付けられていない(さもなければ通常は照明器具8に機械的に取り付けられている)独立の部分であることに留意されたい。
【0033】
図6は、本発明の熱伝達装置1'の他の実施例を示している。この実施例は、
図1―5に示されているものと類似しており、類似の部分は類似の符号を付されている。唯一の違いは、ここで述べられる。この実施例において使用されるバネ4'の形態における弾力要素は、ここでは、ガイドピン又は管14と協動し、これにより熱伝達装置1'を横向きの変形に対してより耐性のあるものにする。熱伝達装置1'のこの実施例において、使用されているヒートパイプ5'は、螺旋状のヒートパイプ5'である。これらのヒートパイプは、バネ作用を提供することもできる。
【0034】
図7は、断面において、本発明の別の実施例による圧縮可能な熱伝達装置1の、圧縮可能な、熱伝導サブアセンブリ101を示している。ここのサブアセンブリ101は、ヒートスプレッダ(図示略)に固定して取り付けられる銅又はアルミニウムでできているブッシングの形態におけるアタッチメント手段16を備えている。材料の選択は、良好な熱伝導特性、軽い質量及び/又は良好な機械加工特性を提供するようになされることができる。
【0035】
ブッシング16内に、ヒートパイプ5は、嵌入される。ヒートパイプ5は、例えば、ステンレス鋼でできている熱伝導管15内に摺動可能に配される。外管14(これも、例えば、ステンレス鋼でできており)は、同心円状に熱伝導管15の外側に配される。外管14は、ヒートパイプ5及び熱伝導管15を安定させる又は補強するのに十分固く、この結果、外管14は、照明器具内に熱伝達装置1を取り付ける際に伴う力により湾曲されない。一方の端部において、外管14は取付け手段16に固定して取り付けられ、他方の端部において、外管14は半径方向外向きに延在しているフランジ14aを備えている。螺旋状バネ4の形態における弾力要素は、熱伝導管15の外側に配され、熱伝導管15を囲んでいる。一方の端部において、バネ4は、外管14のフランジ14aに当接している。他方の端部において、バネ4は、熱伝導管15の前記端部に取り付けられている熱伝達プレート3に当接している。熱伝達プレート3は、銅又はステンレス鋼でできていても良く、かなり可撓性を有するのに十分薄いものでああっても良い。熱インターフェース材料でできているパッド13は、熱伝導パイプ15から見て外方を向いている表面において、熱伝達プレート3に取り付けられることが可能である。
【0036】
図7は、自身の全長(即ちバネ4が圧縮されていない状態)における圧縮可能なサブアセンブリ101を示している。
図8を参照すると、これは、圧縮された状態(即ち熱伝達プレート3が取付け手段16のより近くに押下されており、これによりバネ4を圧縮している状態)における圧縮可能なサブアセンブリ101を示している。これらの2つの図は、サブアセンブリ101の2つの極端な状態を示している。当然、サブアセンブリ101は、必要に応じて、これらの間の如何なる中間状態にも圧縮されることができる。
【0037】
図9は、
図4―5におけるものと類似しており、4つの圧縮可能なサブアセンブリ101を備えている熱伝達装置1を備える、照明器具8の一部の断面図を示している。
【0038】
図10は、異なる実施例による4つの圧縮可能なサブ組立体101'を有する熱伝達装置1を備えている照明器具8の一部の断面図を示している。この実施例は、
図9に示されているものと類似しており、類似の部分は類似の符号で示されている。唯一の違いは、ここで述べられる。ヒートパイプ3の取付けのための取付け手段16'は、ここで、ヒートスプレッダ2と一体的に形成されている。従って、前述の実施例と異なり、取付け手段16'は、ここでは別個の構成要素ではなく、ヒートスプレッダ2の一部である。ヒートパイプ5は、ハンダ付け、クランピング又は接着によって、取付け手段16'に固定して取り付けられることが可能である。別の取付け手段16が使用される場合、
図9におけるように、取付け手段16は、同じ仕方によって、ヒートスプレッダ2に固定して取り付けられることが可能である。
【0039】
この実施例のサブアセンブリ101は、如何なる外管も有さない。その代わり、弾力要素4がヒートスプレッダ2と熱伝導管15'の下側の端部との間に配される。熱伝達プレート3'は、この実施例においては別個の部分ではなく、熱伝導15'の一体化された部分である。ここで、熱伝導管15'はバネ4の接触部材のためのフランジを有さずに示されているが、熱伝導管15'は
図7の外管14上の一方と類似のフランジを備えることができる。
図7の熱伝達装置1と同じ仕方において、
図10のサブアセンブリ101は、熱伝導管15'内部において摺動するヒートパイプによって、及びバネ4を圧縮することによって、圧縮されることができる。全体として、この実施例は、
図9に示されている実施例よりも少ない別個の構成要素を含んでいる。しかしながら、固い外管の欠如は、照明器具を組み立てる際に伴う力に耐えるように、より高い要件をヒートパイプ5及び熱伝導管15'に課し、この結果、ヒートパイプ5及び熱伝導管15'は湾曲されない。
【0040】
図11及び12は、
図10の照明器具8がどのように組み立てられるかについて示している。
図4、5及び9の照明器具8は、同じ仕方において組み立てられることが可能であることに留意されたい。第1に、LEDモジュール10は、熱伝達装置1のヒートスプレッダ2に取り付けられ、ヒートスプレッダ2は、少なくとも1つ、ここでは4つの、圧縮可能な、熱伝導サブアセンブリ101'を備えている。前記LEDモジュール10を備える熱伝達装置は、熱伝達プレート3がキャノピー9の内面12と接触するまで、照明器具8のハウジング内に挿入される。ヒートスプレッダ2がキャノピー9に向かって更に押圧される場合、ヒートパイプ5は熱伝導管15'内へ深く滑り込み、バネ4は、ヒートスプレッダ2がキャノピー9内の適所に固定されることができる位置に到達するまで、圧縮される。熱伝達プレート3の可撓性によって、前記熱伝達プレートが変形することができ、この結果、前記熱伝達プレートはキャノピー9の内側表面12のプロファイルに適応する。
【0041】
熱伝達プレート3は、キャノピー11の不規則な内面12に容易に適合するのを可能にするために、小さい大きさを与えられることが可能である。照明器具8の異なる位置における弾力要素4は、異なる程度まで圧縮されることができ、これによりキャノピー11の内面12のプロファイルに適合する。弾力的に配される熱伝達プレート3の数は、当該照明器具における熱伝達の要件に依存して選択されることができる。特定の照明器具が、ヒートスプレッダ2上に配される全ての熱伝達プレート3のための空間を可能にしないハウジングの内面12のプロファイルを有する場合、1つ又は幾つかの熱伝達プレート3が取り除かれることができ、ヒートスプレッダ2上により少ない数の熱伝達プレート3が残る。
【0042】
要約すると、本発明は、異なる照明器具に容易に適応することができる熱伝達装置であって、どのライトエンジンが照明器具において使用されるかに関係なく使用されることができる熱伝達装置を提供する。このことは、特に、既存の照明器具のライトエンジンを他のライトエンジンと交換するのに役立つ。熱伝達装置1は、受動的な熱伝達のみに頼っており、如何なる可動部も必要としない。熱伝達装置は、ハウジングの不規則な内面を有する照明器具に、容易に適応可能である。
【0043】
当業者であれば、本発明が上述の好ましい実施例に決して限定されるものではないと理解するであろう。逆に、多くの変形及び変化は、添付の請求項の範囲内で可能である。例えば、前記ヒートパイプは、必要な可撓性を提供する他の種類のものであっても良い。例えば、湾曲された標準的なヒートパイプ又は螺旋状のヒートパイプの代わりに、これらは、平坦なマイクロ・ヒート・トランスミッタであっても良い。更に、ここでは、街灯について言及されたが、本発明は、他の種類の照明器具、特に、自動車照明のような、屋外の用途にも適用可能である。
【0044】
示された実施例において、バネの特定の種類の形態の弾力要素が、前記熱伝達装置に弾性を提供するために使用された。しかしながら、他の種類のバネ、又はエラストマ・スリーブのような、他の弾力要素が、代わりに使用されることもできる。示された実施例において、熱伝導管を囲んでいる螺旋形のバネは、前記熱伝達装置に弾性を提供するのに使用される。
【0045】
本発明の熱伝達装置は、有利には、照明器具内のHIDライト・モジュールをLEDライト・モジュールに置き換える際に使用されることができる。当該熱伝達装置は、或る型のLEDライト・モジュールを他の型のLEDモジュールと置き換えるような、他の種類のライト・モジュールを置き換える場合にも使用されることもできる。
【0046】
前記ヒートスプレッダ及び前記熱伝達プレートは、必ずしも、アルミニウムでできている必要はない。当業者であれば、材料の適切な選択をし、熱伝導特性の必要性を、望ましい可撓性及び場合によっては軽い質量と比較考量することができる。
【0047】
前記ヒートパイプは、例えば、接着、ハンダ付け又は螺合のような、他の仕方において、ヒートスプレッダに接続されることができる。同様に、前記ヒートパイプは、例えば、溝によって、又は、接着、ハンダ付け若しくは螺合によって、熱伝達プレートに接続されることができる。
【0048】
更に、示されている様々な実施例のフィーチャは、非常に良好に組み合わされることもでき、例えば、
図10におけるようなヒートスプレッダ内に一体化されている取付け手段を使用する一方で、他の全ての点において、
図9に示された実施例によるサブアセンブリを構成する、即ち外管を使用することができる。
【0049】
バネ及びヒートパイプの数及び長さは、異なって選択されることもできる。螺旋状のヒートパイプが使用されるとき、場合によっては、ヒートパイプは弾力要素の機能を満たすこともできる。
【0050】
更に、開示された実施例に対する変更は、添付の図面、開示及び添付の請求項の研究から、前記請求項に係る本発明を実施する当業者により理解され達成されることができる。前記請求項において、「有する」なる語は他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数形を排除するものではない。特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように使用されることができないと示すものではない。