特許第6321647号(P6321647)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6321647ファイバ回折格子の刻印中のビーム障害物の回避
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321647
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】ファイバ回折格子の刻印中のビーム障害物の回避
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
   G02B6/02 416
   G02B6/02 461
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-526622(P2015-526622)
(86)(22)【出願日】2013年8月6日
(65)【公表番号】特表2015-528582(P2015-528582A)
(43)【公表日】2015年9月28日
(86)【国際出願番号】US2013053720
(87)【国際公開番号】WO2014025732
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2015年6月9日
(31)【優先権主張番号】61/680,855
(32)【優先日】2012年8月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509094034
【氏名又は名称】オーエフエス ファイテル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120363
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 智樹
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ウェストブルック,ポール,エス.
【審査官】 里村 利光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−123247(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0201793(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00−6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバのコアの第1の位置を入来する化学線で露光することであって、前記入来する化学線が、回折格子を第1の位置に刻印し、刻印される前記回折格子が有限の長さを有すること、
前記光ファイバを増分距離だけ軸移動することであって、前記増分距離が前記有限の長さ未満であること、
前記入来する化学線の化学線源に対して事前定義された回転角だけ前記光ファイバの軸に沿った回転角を変更することであって、前記事前定義された回転角が障害物長、障害物の数、および障害物の規則性の関数であること、および
前記コアの第2の位置を前記入来する化学線で露光すること
を含む、障害物長、障害物の数、および障害物の規則性が知られている障害物を有する光ファイバにおける方法。
【請求項2】
前記軸に沿った回転角を変更するステップが、前記光ファイバを回転するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記軸に沿った回転角を変更するステップが、前記入来する化学線源を移動するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記軸に沿った回転角を変更するステップが、前記光ファイバを撚るステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
リール・ツー・リール・システム上に前記光ファイバを保持することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記光ファイバをクランプで保持することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
障害物の位置を求めること、
化学線源に対して前記光ファイバの軸に沿った回転角を変更し、前記障害物を減らすことであって、前記回転角が障害物長、障害物の数、および障害物の規則性の関数であること、および
前記光ファイバを入来する化学線で露光して前記光ファイバのコアに回折格子を刻印すること
を含む、障害物長、障害物の数、および障害物の規則性が知られている障害物を有する光ファイバにおける方法。
【請求項8】
前記軸に沿った回転角を変更するステップが、前記光ファイバを回転するステップを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記軸に沿った回転角を変更するステップが、前記化学線源を移動するステップを含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記軸に沿った回転角を変更するステップが、前記光ファイバを撚るステップを含む請求項7に記載の方法。
【請求項11】
リール・ツー・リール・システム上に前記光ファイバを保持することをさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記光ファイバをクランプで保持することをさらに含む請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる「Mitigation of Writing Beam Obstruction Through Fiber Twist」という名称の2012年8月8日出願の米国仮特許出願第61/680,855号の特典を主張する。
【0002】
本開示は、一般には光ファイバに関し、より詳細にはファイバ回折格子に関する。
【背景技術】
【0003】
通常、光ファイバに対する回折格子の適切な刻印は、ファイバ・コアの化学線への露光を必要とする。しかし、化学線源と標的との間に障害物があるときに問題が生じる可能性がある。したがって、ファイバ刻印プロセスを改善する努力が継続されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、ファイバ回折格子の刻印中にビーム障害物を回避するシステムおよび方法を提供する。いくつかの実施形態では、化学ビームの障害物を回避するために、ファイバ刻印中に光ファイバが再配向される。以下の図面および詳細な説明を検討するときに、他のシステム、装置、方法、特徴、および利点が当業者には明らかとなるであろう。すべてのそのような追加のシステム、方法、特徴、および利点が、この説明の中に含まれ、本開示の範囲内に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護されるものとする。
【0005】
以下の図面を参照すると本開示の多くの態様をより良く理解することができる。図面中の構成要素は必ずしも原寸に比例せず、むしろ本開示の原理を明確に示す際に強調が置かれる。さらに、図面では、同様の参照番号は、いくつかの図全体にわたって、対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】多心光ファイバの断面の一実施形態を示す図である。
図2】複数のコアを有する光ファイバの一実施形態での回折格子強度を長さの関数として示すグラフである。
図3】回折格子を書き込むシステムの一実施形態を示す図である。
図4】複数のコアを有する光ファイバの一実施形態についての光後方散乱リフレクトメトリ(optical back−scattering reflectometry)によって得られる回折格子スペクトルを示すグラフである。
図5図5Aおよび図5Bは、本発明の一実施形態による、2つのコアについての位置の関数としての回折格子強度の一例を示すグラフである。
図6A】回折格子全体の一実施形態のスペクトルの一例を示すグラフである。
図6B】回折格子全体の一実施形態のスペクトルの一例を示すグラフである。
図7A】単一の1mmの長さのファイバの一実施形態からのスペクトルを示すグラフである。
図7B】単一の1mmの長さのファイバの一実施形態からのスペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
光ファイバ内の回折格子は通常、化学線(例えば、紫外線など)を使用して刻印され、化学線は、特定の地点に集束し、またはインターフェログラムを通過して、刻印のための所望の干渉縞を生成する。化学線は、ファイバの外側から、1つまたは複数のコアが位置するファイバの内側に透過する。コアに到達する化学線が、コアに回折格子パターンを刻印する。
【0008】
時には、障害物(例えば、ファイバ被覆内の欠陥、ファイバ・プリフォーム内の気泡の結果として生じるファイバ・クラッディング内の空気線、空気微細構造、応力ロッド、多心ファイバ内の他のコアなど)が化学線の経路内に存在し、それが化学線の散乱、ひずみ、吸収、または遮断を引き起こす。したがって、障害物が回折格子の刻印を妨げ、その結果、刻印された光ファイバの性能が不十分なものとなる可能性がある。
【0009】
光ファイバをその縦軸を中心に回転させて、光ファイバの一定の部分を照射することができるが、その向きは通常、露光中に固定される。これらのタイプの固定向き露光は、ファイバの長さに沿って回転方向に変動しない固定の障害物(例えば、偏光を維持するファイバ(polarization−maintaining fiber)内の応力ロッド)を回避することができるが、固定向き露光は、ファイバの長さに沿って回転方向に変動する障害物に適切に対処することができない。例えば、コアがファイバの長さに沿って渦巻き経路をたどるようにファイバが撚られる多心ファイバでは、一方のコアが他方のコアにとって障害物となることがある。具体的には、回折格子長が撚り周期の長さよりも長いとき、ファイバの長さの中のある地点で、一方のコアが必然的に他方のコアの照射を妨げる。従来の刻印方法は、これらの障害物に十分に対処しない。
【0010】
開示されるシステムおよび方法は、刻印中にファイバの回転向きを変更することによって障害物を軽減し、それによって、化学線源に関してファイバ上の照射位置を変更する手法を提供する。したがって、光ファイバの長さに沿った各照射地点が、障害物なしに少なくとも1回露光される。この結果、障害物によって引き起こされる欠陥による問題が生じない、適切に刻印された回折格子が得られる。
【0011】
ビーム障害物を回避するシステムおよび方法の概要を与えたので、次に、図面に示される実施形態の説明を詳細に参照する。これらの図面と共にいくつかの実施形態を説明するが、その実施形態または本明細書で開示される実施形態に限定する意図はない。それどころか、すべての代替実施形態、修正形態、および均等物を包含するものとする。
【0012】
図1は、ファイバ直径dfiberを有する多心光ファイバ102の断面の一実施形態を示す図である。図1の特定の実施形態では、光ファイバ102は、中心コア104aと、中心コア104aからオフセット距離doffsetに位置する6つの外部コア104bとを有する。コア104a、104b(104と総称する)はそれぞれコア直径dcoreを有する。ファイバ102が撚り多心ファイバである場合、外部コア104bは、多心ファイバ102の長さに沿って渦巻き挙動を示す。したがって、外部コア104bの断面位置は、ファイバ102の長さを横切るときに(矢印で示されるように)回転的に変化する。したがって、ファイバ102が照射されるとき(106)、外部コア104bのうちの1つが、ファイバ102の長さに沿ったある地点で必然的に化学線106の経路に進入する。便宜上、この領域を障害物ゾーン108aと呼ぶ。これが生じる、ファイバ102の長さに沿った位置は、障害物に対応する欠陥108bを示す。
【0013】
問題をより明確に示すために、以下の特定の光ファイバ特性が使用される。すなわち、(a)多心ファイバ、(b)合計7つのコアを有する、(c)撚り率(twist rate)約50撚り毎メートル、その結果、撚り周期約20mm、(d)ファイバ直径125μm、(e)外部コア・オフセットが36.4μm、(f)コア直径6.58μmが使用される。これらの特性を有するファイバ102の回転軸が刻印中に固定されるとき、中心コア104a内の回折格子は、外部コア104bによる化学線の障害の結果として生じる一連の欠陥を示す。これらの欠陥が図2に示されており、図2は、多心光ファイバ102の特定の実施形態での回折格子強度を長さの関数として示すグラフである。
【0014】
図2からわかるように、回折格子境界204は、約1206.8cmから約1209.6cmに及ぶ(約28mmのインターフェログラム)。1つの全撚り周期を表す約20mmの長さ(約1207cmから1209cmまで)の間、図2は欠陥202の6つのエリアを示す。これらの欠陥エリア202のそれぞれは、6つの外部コア104b(図1)のうちの1つによる障害物を表し、約3.33mmの間隔で生じる。さらに、コア・オフセット36.4μmおよび直径6.58μmは、障害物長約1.1mmとなる。言い換えれば、6つの障害物(外部コア104bのそれぞれについて1つ)があり、3.33mm間隔で障害物が生じるので、それぞれの3.33mm間隔は60度の回転となる。さらに、障害物長は約1.1mmであるので、これは、障害物が約20度のファイバ回転について存在することになる。
【0015】
撚り周期、障害物長、障害物の数、および障害物の規則性(または頻度)が知られている場合、適切な数の露光および適切な露光の分離を計算することが可能となる。したがって、上記の例を思い起こすと、障害物が60度ごとに生じ、各障害物は20度について生じる。したがって、少なくとも1つの遮断されない露光が望まれる場合、露光は20度と40度の間で分離されなければならない。説明として、外部コア104bは、任意の障害物ゾーン108aを越えて完全に移動するために少なくとも20度の回転を必要とするので、20度未満の回転は、外部コア104bによる部分的障害で始まるどんな露光にとっても不十分となる(図1)。同様に、40度を越える回転は常に、外部コア104bを障害物ゾーン108a内に移動する(図1)。
【0016】
さらに、より大きい回転が望まれる場合、Nを整数として、回転角を30+60N±10度に調節することができる。より大きい回転を使用することの利点は、少なくとも2つの露光が180度分離される場合に外部コア104bの露光を保証することである。図1に示されるように、表面欠陥または他の非コア関連の障害物がない場合、化学線が進入するファイバ102の側部に位置する外部コア104bが、障害物なしに露光される。したがって、外部コア104bの半分が、第1の露光中に障害物なしに露光され、外部コア104bの別の半分が、第1の露光から180度の露光中に障害物なしに露光される。したがって、このファイバでは、ファイバが0度、30度、および180度回転して、ファイバのあらゆる部分が少なくとも3回露光される場合、すべてのコアは、別のコアによって遮られないファイバに沿ったあらゆる地点で少なくとも1回露光される。多くの他の角度のセットも可能である。
【0017】
これらの数は、6つの外部コア104bが中心コア104aの周りに等間隔に配置されるとき、ファイバ102の中心コア104aを照射するのに適切であることを当業者は理解されたい。別の構成では、適切な露光角度を容易に計算することができる。
【0018】
上記の構成は、開示されるシステムおよびプロセスの有効性を判定するために製作され、テストされた。図3は、回折格子を書き込むシステムの一実施形態を示す図である。図3に示されるように、システムのこの特定の実施形態は、7つのコア(1つの中心コア、6つの外部コア)を有し、50撚り毎メートルである光ファイバ414上に回折格子を書き込むために4mmごとにトリガされるレーザ402を備える。ビーム404が反射され、書込みレーザ・ビーム408が形成される。書込みレーザ・ビーム408は、28mmの開口410を通過し、チャープ位相マスク(chirped phase mask)412を通過し、チャープ位相マスク412は28mmのインターフェログラムを形成する。この特定の実施形態では、ファイバ414が露光間に約10度/cm撚られ、露光間に約4mm並進し、7回露光される。ファイバ414の構成を考えると、ファイバは、各並進中に約1度/mm撚られる。
【0019】
このタイプのセットアップでは、すべての7回の露光にわたるファイバ414の全回転は、約24度であると推定され、これは、中心コアの各地点で少なくとも1つの遮られていない露光を生み出すのに十分である。図4の実験セットアップは、光後方散乱リフレクトメトリ(OBR、LUNA技術)を使用して検証され、回折格子の1mm区間から回折格子スペクトルが得られる。
【0020】
図4は、ファイバ414(図3)の上述の実施形態についてOBRによって得られる回折格子スペクトルを示すグラフである。図4に示されるように、7つのスペクトル・ピークがあり、それぞれが7回の露光のうちの1つに対応する。ピークのすべてが同一の高さを有するわけではなく、それによってある露光での障害物が実証されるが、各1mmセグメントで少なくとも1つの遮られていないピークが存在し、それによって、各セグメントについて少なくとも1つの遮られていない露光が実証される。このプロセスの結果を示す様々なグラフが、図5Aから7Bに示されている。これらのプロットは88nmスキャン範囲を使用して得られ、それによって、生スペクトル情報および統合幅1mmが得られ、図4に示される局所的スペクトルが得られることに留意されたい。したがって、各スペクトルが、コアに沿って測定された1mmの長さから抽出される。次いで、この1mmの長さが、説明している位置でのファイバの特性を定義する。異なる統合幅も可能であることを理解されたい。したがって、本開示が、1mm統合幅を参照しながら説明する特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0021】
具体的には、図5Aおよび5Bは、本発明の一実施形態による、2つのコアについての位置の関数としての回折格子強度の一例を示すグラフである。図5Aのグラフは、中心コア502および外部コア504に関する回折格子強度の振幅スペクトルを示す。図5Bは、図5Aの小区間の拡大であり、単一露光と二重露光との間の回折格子強度の違いを示す。図5Bに示されるように、二重露光区間は、4mmの単一露光区間と比べて強い回折格子を示す。図6Aおよび6Bは、回折格子全体の一実施形態のスペクトルの一例を示すグラフであり、図7Aおよび7Bは、単一の1mmの長さのファイバの一実施形態からのスペクトルを示すグラフである。図7Aおよび7Bに示されるように、7つの波長によるピークが、ファイバの1mm区間内で観測される。
【0022】
これらの結果は、露光中にファイバを効果が得られるように回転し、または撚ることによってビーム障害物が軽減されることを示す。したがって、ファイバがインターフェログラムを横切って並進するときのファイバの計算される回転の結果、少なくとも1つの遮られていない露光が得られ、それによって、刻印される回折格子の完全性が改善する。
【0023】
例示的実施形態を図示し、説明したが、説明した本開示に対するいくつかの変更、修正、または代替を行えることが当業者には明らかとなるであろう。例えば、ファイバの特定の構成、可能性がある障害物の位置、および回折格子の所望の長さに応じて、任意の数の方式でファイバを回転し、または撚ることができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、恐らくはファイバの撚りまたは回転を可能にするリール・ツー・リール装置を使用して、ファイバをエンド・ツー・エンドで取り付けることができる。別の実施形態では、ファイバの撚りまたは回転を可能にする1対のクランプでファイバを固定することができる。書込みビームをファイバに対して回転して、コアに対する書込みビームの方位角を変更することもできる。
【0024】
さらに別の実施形態は、少なくとも1つの障害物を有するファイバ上に回折格子を書き込む方法であって、化学線での複数の連続する露光中、または複数の連続する露光間にファイバが撚られ、または回転する方法を含む。いくつかの実施形態では、ファイバが多心ファイバであり、障害物はコアのうちの1つである可能性がある。別の実施形態では、障害物は、何らかの別のタイプの物理的摂動または欠陥である可能性がある。例として、プロセスの一実施形態は、(恐らくはリール・ツー・リール装置または1対のクランプを使用して)多心ファイバをエンド・ツー・エンドで取り付けること、化学線への連続する露光を使用してファイバの少なくとも1つのコア上に回折格子を刻印すること、および露光中または露光間にファイバを撚り、コアのそれぞれを障害物なしに少なくとも1回照射することを含む。別の態様は、コアのすべてを障害物なしに化学線へ少なくとも1回露光することを含む。
【0025】
さらに別の実施形態では、ファイバの各部分がN回露光されるように、いくつかの連続する露光を使用して多心ファイバが連続的回折格子で刻印される。露光間に、ファイバが規定の量だけ並進し、その軸を中心に回転する。好ましくは、回転は、各コアが他のコアによる障害なしに、またはファイバもしくはその被覆内の他のどんな障害物もなしに、少なくとも1回露光されるのに十分な大きさである。例として、一実施形態は、光ファイバ・コアの第1の位置が化学線で露光され、固定長の回折格子をその位置に刻印されるプロセスを含む。その後で、光ファイバが、回折格子の長さ未満の増分距離だけ軸移動し、事前定義された角度だけ回転する。次いで光ファイバ・コアが再び露光される。同等に、書込みビームを回転し、ファイバを固定状態で保持できることに留意されたい。そのような書込みプロセスは、ファイバに沿った任意の地点で任意の他のコアによるどんなコアの障害も示さない図1のファイバ内に回折格子を刻印することができる。
【0026】
別の実施形態は、カメラを使用して、化学ビームによって照射される光路の像を形成する。障害物が観測される場合、障害物が除去されるまでファイバがその軸を中心に撚られ、または回転され、その後にファイバが障害物なしに照射される。一般には、ビーム経路から任意の障害物を移動するのにプラス90度またはマイナス90度の回転で十分である。ファイバ内の過剰な撚りを防止するために、ファイバが露光された後にファイバを解撚することができる。ファイバの並進前、並進中、または並進後に任意の撚りまたは回転を実施できることを理解されたい。リール・ツー・リール・システムでは、システムを通じてファイバを誘導するのに使用されるプーリを回転または変位し、次いで変位または回転されたファイバ・プーリを通じてファイバを並進することにより、ファイバ軸を中心にファイバを回転させることができる。
【0027】
これらの実施形態は、複数の露光によって各コア内の各地点で回折格子が形成され、露光のうちの少なくとも1つが障害物なしに行われる連続的撚り多心ファイバ回折格子を示す。コアの撚り周期が知られている範囲で、ファイバを解撚して障害物を除去することもでき、あるいはファイバを非一様に撚って、ビーム経路から障害物を除去することができる。次いで、解撚されたファイバの露光および適切な向きにより、任意の他のコアからの障害を示さないすべてのコア内の回折格子が生み出される。
【0028】
別の実施形態では、露光前または露光中にファイバが撚られ、配向される。例えば、(例えば、回転マウントに取り付けられた1対のファイバ・クランプを使用して)ある地点でファイバをその軸を中心に1度だけ回転し、別の地点で別の角度だけ回転することができる。上記の実施形態のいずれでも、ファイバ向きの変化は、ファイバ軸を中心にした回転、ファイバ軸を中心にした撚り、またはファイバ軸を中心にした撚りおよび回転に対応することができる。例として、プロセスの一実施形態は、光ファイバ上の障害物の位置を求めるステップと、障害物を軽減するために光ファイバを回転するステップと、化学線で光ファイバを露光するステップとを含む。
【0029】
別の実施形態は、回折格子が化学ビームの障害物によって引き起こされる欠陥を示さない、回折格子が刻印された撚り多心ファイバを含む。
【0030】
別の実施形態は、あらゆるコア内のあらゆる地点で、少なくとも1つの遮られていない露光がある、回折格子が刻印された撚り多心ファイバ(gratings−inscribed, twisted, multicore fiber)を含む。この実施形態では、光ファイバは、中心コアと、中心コアの周りに配設された螺旋外部コア(各螺旋外部コアはピッチを有する)と、有限の長さの中心コアに沿って刻印された回折格子とを備え、有限の長さがピッチよりも大きく、回折格子が障害物なしに少なくとも1回露光される。
【0031】
本開示全体を通じて、障害物は、回折格子の刻印を妨げる任意のものであると理解されたい。言い換えれば、障害物は、化学線を散乱し、ひずませ、減衰し、遮断し、吸収することなどを行う任意のものを意味することを理解されたい。
【0032】
したがって、すべてのそのような変更、修正、および改変は、本開示の範囲内にあると理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B