(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321668
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】効率的変調撮像
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
G01N21/17 610
【請求項の数】26
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-540914(P2015-540914)
(86)(22)【出願日】2013年11月7日
(65)【公表番号】特表2015-533429(P2015-533429A)
(43)【公表日】2015年11月24日
(86)【国際出願番号】US2013068956
(87)【国際公開番号】WO2014074720
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年11月2日
(31)【優先権主張番号】61/723,721
(32)【優先日】2012年11月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/793,331
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515119929
【氏名又は名称】モデュレイテッド イメージング, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202577
【弁理士】
【氏名又は名称】林 浩
(72)【発明者】
【氏名】クッチャ, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】マズハル, アマーン
【審査官】
横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0124988(US,A1)
【文献】
特表2011−523057(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0277559(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0210931(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0109736(US,A1)
【文献】
国際公開第2009/149178(WO,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02300983(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/61
A61B 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混濁サンプルの測定のための装置であって、
空間構造を有していない光を用いて、混濁サンプルの標的面積を照射するように構成される複数の光源を有する、照射装置と、
空間構造を有する光を用いて、混濁サンプルの前記標的面積を照射するように構成される、投射システムと、
前記混濁サンプルの標的面積から光を収集するように構成される、センサと、
前記センサによって捕捉されたデータを分析し、前記混濁サンプルの散乱および吸収係数を求めるように構成される、プロセッサと
を備え、
空間構造を伴わない前記光の波長は、空間構造を有する前記光の波長と異なる、装置。
【請求項2】
前記光源は、前記照射装置の周縁上に配置される空間構造を有していない光を用いて、前記サンプルを照射するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記照射装置は、光リングアセンブリを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記光リングアセンブリは、リング体とともに、前記リング体の周縁を中心として形成されるソケットを含み、前記光源は、前記ソケット内に可撤性に搭載される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記光源は、LEDモジュールを備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記センサは、カメラである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記センサは、前記照射装置および前記投射システムに対して軸外に位置付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記光源は、ビームホモジナイザを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
ビームホモジナイザは、集光ロッドである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記投射システムは、いくつかの切替可能光源を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記切替可能光源は、異なる波長を有するLEDを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
混濁サンプルの測定のための装置であって、
平面光源と、
空間構造化光源と、
前記平面光源および前記空間構造化光源によって別個に照射される、混濁サンプルの標的面積から光を収集するように構成される、センサと、
前記センサによって捕捉されたデータを分析し、前記混濁サンプルの散乱および吸収係数を求めるように構成される、プロセッサと
を備え、
前記平面光源によって放出される光の波長は、前記空間構造化光源から放出される光の波長と異なる、装置。
【請求項13】
前記平面光源は、空間構造を有していない光を用いて、前記サンプルを照射するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記平面光源は、光リングアセンブリを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記光リングアセンブリは、リング体とともに、前記リング体の周縁を中心として形成される複数のソケットと、前記ソケット内に可撤性に搭載された複数の非空間構造化光源とを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記複数の非空間構造化光源の個々の1つは、LEDモジュールを備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記センサは、カメラである、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記センサは、前記平面光源および前記空間構造化光源に対して軸外に位置付けられる、請求項12に記載の装置。
【請求項19】
前記複数の非空間構造化光源の個々の1つは、ビームホモジナイザを備える、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記ビームホモジナイザは、集光ロッドである、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記空間構造化光源は、投射システムを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項22】
前記空間構造化光源は、いくつかの切替可能光源を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項23】
前記切替可能光源は、異なる波長を有するLEDを含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
混濁サンプルの測定のための方法であって、
空間構造を有する光を用いて、混濁サンプルを照射するステップと、
前記混濁サンプルから反射された光を収集し、いくつかの波長λjにおける前記サンプルの再放出された光を得るステップと、
空間構造を有していない光を用いて、前記混濁サンプルを照射するステップと、
前記サンプルから反射された光を収集し、いくつかの波長λkにおける前記サンプルの再放出された光を得るステップと、
空間構造を有する光および空間構造を有していない光から得られた測定を組み合わせ、適合パラメータを得るステップであって、前記適合パラメータは、いくつかの波長λjにおける前記混濁サンプルの光学特性および吸収または蛍光分子の濃度のうちの1つ以上を含む、ステップと
を含み、
空間構造を伴わない前記光の波長λkは、空間構造を有する前記光の波長λjと異なる、方法。
【請求項25】
混濁サンプルの測定のための方法であって、
空間構造を有する光を用いて、混濁サンプルを照射するステップと、
前記混濁サンプルから反射された光を収集し、いくつかの波長λjにおける前記サンプルの再放出された光を得るステップと、
空間構造を有していない光を用いて、前記混濁サンプルを照射するステップと、
前記サンプルから反射された光を収集し、いくつかの波長λkにおける前記サンプルの再放出された光を得るステップと、
空間構造を有する光および空間構造を有していない光から得られた測定を組み合わせ、適合パラメータを得るステップであって、前記適合パラメータは、いくつかの波長λjにおける前記混濁サンプルの光学特性および吸収または蛍光分子の濃度のうちの1つ以上を含む、ステップと
を含み、
前記得られた測定を組み合わせるステップは、空間構造を有していない光を使用して得られた波長λkにおける散乱に関する推定値を得るために、波長への散乱の依存性を記述する散乱関数を使用して、空間構造を有する光を使用して得られた離散波長λjにおける測定を内挿または外挿することによって行われる、方法。
【請求項26】
前記波長の散乱関数は、
【化1】
として記述される冪関数である、請求項
25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に説明される実施形態は、概して、組織構造および機能の定量的特性評価のための変調撮像に関し、より具体的には、効率的変調撮像を促進する、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組織構造および機能の定量的特性評価は、医療撮像における最も困難な問題のうちの1つである。拡散性光学方法が、基本的光組織相互作用によって限定される、数ミクロンから数センチメートルの長さスケールの分解能および深度感度を用いて、生物学的組織または他の混濁(すなわち、光散乱)サンプルを測定するために使用されることができる。酸化ヘモグロビン、脱酸素ヘモグロビン、および水分等の重要な組織成分(発色団と称される)が、光学的に検出され、局所組織の健康または生理学的ステータスの種々のインジケータまたは指標を査定するために相関するように作用することができる。そのような指標の実施例として、組織酸素飽和(stO
2、または酸素化血液の分画)、全血量(ctTHb)、組織水分画(ctH
2O)、および組織潅流または代謝が挙げられる。これらの指標は、医師が、診断を行う、および/または療法を導き出すための有力な手段を提供することができる。これらの発色団は、吸収スペクトルを有するため、可視および/または近赤外線領域内で検出可能特徴を用いて、検出されることができる。本質的に、光源が、組織サンプルを照射するために使用されることができ、再放出された光は、組織中の吸収特徴を測定し、着目発色団を定量化するために使用されることができる。実践上、これは、組織中の散乱の存在のため、困難な測定である。ある種のプローブベースの技術が、学会において説明されており、また、いくつかの企業(Somanetics、Hutchinson、ViOptix)によって市販化されている。これらの技術はそれぞれ、いくつかの異なるアルゴリズムおよびハードウェア構成要素(照射源、スペクトル検出)を使用して、ヘモグロビンおよび組織酸素化に関する有意義な情報を導出するために、組織散乱を考慮、補正、または制御する問題に対処する。これらのプローブは、多くの単一点検出器の選択肢を活用し、スペクトル柔軟性および高感度を可能にする。しかしながら、接触プローブは、いくつかの主要な限界に悩まされる。本質的に、接触プローブは、撮像技術ではなく、したがって、大面積の組織を査定するために理想的ではない。これは、組織の健康が、多くの場合、空間的に異なるため、重要であって、例えば、組織創傷(熱傷、潰瘍、皮膚弁等)では、空間コントラストは、正常組織と創傷との間と、創傷自体内(例えば、創傷境界対創傷中心)の両方に存在し得る。接触プローブでは、低分解能画像を合成するために、複数の接触プローブが、いくつかの組織場所に設置されなければならず、またはプローブは、表面にわたって走査されなければならない。典型的創傷は、サイズが数mmから数cmまで変動し、プローブ技術が、このような大範囲を設計する、それに対処する、および/またはそれに適応するには課題を呈し得る。
【0003】
カメラベースの光学スペクトル撮像方法もまた、学会において、かつ商業的にも開発されている。可視光を使用する多スペクトル撮像技術(HyperMed)が、広視野(約10cm×10cm)にわたって組織酸素化を測定するために適用されており、糖尿病性創傷の監視に適用されている。多スペクトル撮像方法は、典型的には、組織の最上表(<1mm深度)層のみをサンプリングする波長を採用する。近赤外線(650〜1000nm)は、はるかに深くまで透過するが、反射または伝送された光信号内の発色団コントラストは、強力な組織散乱係数(すなわち、吸収と比較して)の存在のため、隔離および定量化がより困難である。表層(約100um深度)層ならびに表面下層(1〜10mm)の両方において、本限界を克服し、非接触様式において、広視野にわたって組織の健康を査定することができる技術は、より価値があり、したがって、望ましい。
【0004】
直接接触を要求せずに、組織の広視野および深度において、疾患の進行度および療法の応答の定量的分析を可能にする、変調撮像(MI)と呼ばれる新規光学撮像方法が、最近、導入された。MIは、Bevilacqua et alと称され、参照することによって本明細書に組み込まれる、特許文献1に説明されている。本技法は、1つ以上の光学波長における空間変調光(または、「構造化光」)パターンを用いて生物学的組織または他の混濁媒体(散乱および吸収の両方のサンプル)を照射するステップと、結果として生じる収集された組織からの後方反射および散乱された光を分析するステップとを含む。MIの好ましい実施形態は、空間周波数ドメイン撮像(SFDI)と呼ばれ、空間光パターン、すなわち、構造が、正弦波であって、少ない回数(典型的には、波長あたり3〜15回)の構造化光測定から構造化光コントラストを検出するアルゴリズム的に単純な方法を提供する。多スペクトル撮像と組み合わせられると、2つ以上の波長における光学特性が、使用され、組織の健康に関連する発色団、例えば、酸化ヘモグロビン(ctO
2Hb)、脱酸素ヘモグロビン(ctHHb)、および水分(ctH
2O)のインビボ濃度を定量的に判定することができる。
【0005】
吸収発色団の分光(波長依存)測定を行うために、MI技法は、種々の波長における組織からの再放出された空間構造化光の収集を要求する。これは、現在まで、所望の波長毎に、Bevilacqua et alの開示される技法を繰り返すことによって達成されている。したがって、総撮像時間は、測定される波長の数に正比例する。これは、特に、CCD限界のため、照射源があまり明るくなく、光学処理量が低く、検出器量子効率が低い、近赤外線におけるいくつかの波長の場合、困難であり得る。低処理量波長の場合、長い集積時間(数10〜数100ms)が、適正な信号対雑音比を得るために要求される。光強度は、集積時間を短縮するために、それらの波長において増加されなければならない。しかしながら、これは、エタンデュ、すなわち、光処理量と、光源(例えば、LED、レーザ、白熱電球)、光学リレーシステム(例えば、レンズ、導波管、ミラー)の両方のものを含む、構造化光投射ハードウェアの限界と、パターン生成技術(例えば、反射デジタルマイクロミラーアレイまたは反射型液晶パネル、パターン化透過材料またはLCDアレイ、またはホログラフィック要素)とによって制限される。弱または非効率的波長帯域の強度の「総当たり」的増加は、電力消費の増加、熱応力の増加(さらなる源非効率および不安定性につながり得る)、および冷却要件の増加を含む、他の影響を及ぼし得る。また、撮像時間が長いほど、研究対象の測定サンプル(例えば、組織)のわずかな移動のため、最終画像におけるアーチファクトにつながるため、医療(または、他の動作感知)用途において、実践的問題をもたす。したがって、正確度を維持するが、システム効率を改善し、撮像時間を短縮しながら、現在の変調撮像方法の能力を改善する、装置および方法を提供することが望ましい。
【0006】
上記に簡単に説明されたように、MIは、組織(または、他の混濁)サンプルの大(数cm
2)面積にわたって、1つ以上の空間構造化強度パターンを用いて、サンプルを照射するステップと、サンプルから返された結果として生じる光を収集および分析するステップとを含む。多くの場合、変調伝達関数(MTF)と称される、空間周波数または周期性の関数として、サンプルから返された空間構造化光の振幅および/または位相の分析は、任意の離散波長におけるサンプルの光学特性情報を判定するために使用されることができる。組織光学特性の実施例として、光吸収、光散乱(大きさおよび/または角度依存)、および光の蛍光発光が挙げられる。本光依存データ(モデルベースまたは実験的に導出される)の分析は、定量的吸収(μ
a)および等価散乱(μ
s´)光学特性の2Dまたは3Dマップを生成するために使用されることができる。領域毎の(多画素)査定もまた、複数の空間光学特性または導出された結果を平均化または別様に累積することによって生成されることができる。種々の波長における空間周波数または周期性情報を使用することによって、MIは、それぞれ、散乱(μ
s)効果から、物理的に特有のコントラスト機構から生じる、吸収(μ
a)および蛍光発光(μ
a)を分離することができる。
【0007】
MIによる複数の波長における吸収係数(μ
a)をマッピングすることは、ひいては、限定ではないが、酸素および脱酸素ヘモグロビンならびに水分(ctO
2Hb、ctHHb、およびctH
2O)を含む、組織発色団と、組織酸素飽和および血液量(stO
2およびctTHb)等の導出された生理学パラメータの定量的分光測定を可能にする。組織から収集された光の空間可変位相もまた、同時に、測定されることができ、形態的表面情報をもたらす。本測定の組み合わせは、分析において、3D組織プロファイルの可視化ならびに湾曲表面に対応するための較正データを可能にする。典型的データフローが、
図1に示される。
【0008】
MIの測定および分析における現在の課題は、撮像時間である。撮像時間が長いほど、動作および周囲照明に対する感度を増加させ、特に、臨床用途において、測定された生物学的計測値の2次元マップにアーチファクトをもたらし得る。ハードウェア限界は、長い撮像時間の主要原因である。発光ダイオード(LED)等の高出力光源は、この課題を改善し得るが、測定時間は、近赤外線においては、課題のままである。これは、LED電力およびカメラ感度が、波長に大きく依存し得、LED電力が、冷却要件および装置のサイズによって限定されるためである。
【0009】
図2は、動作アーチファクトを呈する、先行技術の変調撮像装置を用いて収集された幼児の熱傷創傷の例示的データセットを示す。
図2(b)は、反射率データ対波長および空間周波数を示す。復調された970nmデータにおけるアーチファクトの高空間周波数のストライプ状パターンに留意されたい(右下)。ここでは、用語「復調データ」は、各空間周波数における光照射の振幅に対して正規化された、組織から受信された光の抽出された振幅を意味する。言い換えると、復調されたデータは、照射された組織の変調伝達関数である。これらのアーチファクトは、本波長のために要求される長い集積時間の間の動作によるものである。
図2(c)が強調するように、他のより短い波長(すなわち、わずか0.5秒)と比較して、10倍長い集積時間(すなわち、5秒)が、970nmにおいてデータセットを取得するために要求される。全波長情報を使用して、発色団または散乱振幅/傾き測定を生成することは、
図2(d)における平均散乱振幅画像に示されるように、導出されたデータに正弦波アーチファクトをもたらす。
【0010】
970nm波長測定(したがって、水分濃度(ctH2O)の分析)が除去される場合、ctO
2HbおよびctHHbは、依然として、典型的組織水分分画を仮定することによって正確に計算されることができることが示されている。
図2(e)は、黒色矢印によって示される、幼児の腕の左上角における高散乱領域を正しく識別する、970nmデータが除去されるときの結果として生じる分析を示す。本領域は、熱傷の最も深刻な場所に対応し、識別することが有用である。しかしながら、感受性は、多くの研究において非常に望ましく、したがって、970nmデータを除外することは、望ましくない。
【0011】
したがって、一般に、種々の波長における標的発色団のスペクトルコントラスト測定を捕捉する柔軟性を有する一方、同時に、該当する場合、核となる変調撮像技法の構造化光要件における複雑性を最小限に増加させることが望ましい。したがって、ctH
2O、ctO
2Hb、ctHHb、およびその他(例えば、ビリルビン、メトヘモグロビン、脂質、外因物質)を含む、全関連成分の濃度および/または分布に関する完全情報を提供するために、性能/感度不良の波長におけるアーチファクトの影響を除去するための装置および方法を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許公報第6,958,815号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書に提供される実施形態は、組織構造および機能の定量的特性評価のための効率的変調撮像を促進する、システムおよび方法を対象とする。一実施形態では、混濁サンプルの測定のための装置は、空間構造を有していない光を用いて、混濁サンプルの標的面積を照射するように構成される複数の光源を有する、照射装置と、空間構造を有する光を用いて、混濁サンプルの標的面積を照射するように構成される、投射システムと、混濁サンプルの標的面積から光を収集するように構成される、センサと、センサによって捕捉されたデータを分析し、混濁サンプルの散乱および吸収係数を求めるように構成される、プロセッサとを備える。空間構造を有していない光を用いて、サンプルを照射するように構成される光源は、照射装置の周縁上に配列される。投射システムは、いくつかの切替可能光源を備える。空間構造を伴わない光の波長源は、好ましくは、空間構造を有する光の波長と異なる。
【0014】
別の実施形態では、混濁サンプルの測定のための方法は、空間構造を有する光を用いて、サンプルを照射するステップと、サンプルから反射された光を収集し、いくつかの波長λ
jにおけるサンプルの再放出された光を得るステップと、空間構造を有していない光を用いて、サンプルを照射するステップと、サンプルから反射された光を収集し、いくつかの波長λ
kにおけるサンプルの再放出された光を得るステップと、空間構造を有する光および空間構造を有していない光から得られた測定を組み合わせ、波長λ
jにおけるサンプルの光学特性、および/または、吸収または蛍光分子の濃度を含む、適合パラメータを得るステップとを含む。
【0015】
空間構造を有していない光の波長、λ
kは、好ましくは、空間構造を有する光の波長λ
jと異なり、すなわち、λ
k≠λ
jである。
【0016】
得られた測定の組み合わせは、空間構造を有していない光を使用して得られた波長λ
kにおける散乱に関する推定値を得るために、波長への散乱の依存性を記述する散乱関数を使用して、空間構造を有する光を使用して得られた離散波長λ
jにおける測定を内挿または外挿することによって行われる。
【0017】
波長の散乱関数は、
【数1】
として記述される冪関数である。
【0018】
本発明のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図および発明を実施するための形態の精査に応じて、当業者に明白である、または明白となるであろう。全てのそのような付加的方法、特徴、および利点は、本説明内に含まれ、本発明の範囲内であって、付随の請求項によって保護されることが意図される。また、本発明は、例示的実施形態の詳細を要求することに限定されないことが意図される。
【0019】
本明細書の一部として含まれる、付随の図面は、現在好ましい実施形態を図示し、上記に与えられた概要および以下に与えられる発明を実施するための形態とともに、本発明の原理を説明および教示する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、変調撮像(MI)データ処理および典型的MIデータプロダクトのフロー図を示す。a)は、表面上に投射された変調強度パターンを示す。b)は、各周波数において復調および較正されたパターン振幅を示す(周波数あたり3つの位相画像)。c)は、光学特性を判定するための多周波数モデルへのパターン適合を示す。d)は、位相復調が、曲率較正および可視化の両方のために使用され得る、組織高に関する情報を別個に提供することを示す。データは、画素毎に処理され、光学特性の空間マップを生成する。e)は、ラットの有茎皮弁に関する典型的MIデータプロダクトを示し、遠位端は、潅流低下(stO2)、血液滞留(ctHHbおよびctTHb)、浮腫(ctH2O)、およびマトリクス超微細構造の劣化/壊死(μs´)に対するMI感度を実証する。
【
図2】
図2は、小児科熱傷患者における長い測定時間が、未加工かつ回収されたMIデータに可視アーチファクトを生じさせることを示す画像である。(a)は、研究対象の熱傷組織の写真であって、(b)は、左から右へ658nm、730nm、850nm、および970nmの4つの波長に関する、空間周波数=0.1mm
―1(下)および空間周波数=0mm
―1(上)における復調された拡散反射率データを示す、未加工データ画像であって、(d)は、データアーチファクトを含有する、970nmデータを含む分析から回収された組織酸素化(StO2)データを示す、画像であって、(e)は、復調された970nmデータを除く分析から回収された組織酸素化(StO2)データを示す、画像である。黒色矢印は、周囲組織と比較して、創傷熱傷領域内の酸素化増加の空間面積を示す。本結果は、970nm測定と関連付けられた動作アーチファクトから、(d)では不明瞭である。
【
図3】
図3は、変調撮像のための効率が増加した装置の実施形態を示す。(a)は、平面外部光照射のための光リングと、構造化光照射のための投射システムと、偏心カメラとを示す。(b)は、光リングパターンと、カメラとを示しており、平面光照射によって重畳される長方形構造化光場を中心に示しており、これらは両方ともカメラによって検出される。
【
図4】
図4は、異なる波長のLEDが組み込まれた9つの位置を伴う、平面光源を示す。
【
図5】
図5は、可撤性LEDモジュールを伴う、平面照射光リングを示す。
【
図6】
図6は、構造化光および非構造化光を使用した効率的MI分析のワークフロー図である。
【
図7】
図7は、先行技術と本効率的変調撮像装置および方法とに説明される変調撮像装置から得られた散乱係数と吸収係数との間の比較を示す、例示的データを示す。(a)は、先行技術装置を用いて撮像された「ポートワイン母斑(PWS)」の画像である。頬上のPWS領域は、血管新生増加のため、周囲面積と比較して、より高いstO2濃度を有することに留意されたい。(b)は、先行技術(完全適合線)と本発明の効率的装置および方法(減少データ線)を比較した、波長の関数としての散乱係数のグラフである。(c)は、先行技術(完全適合線)と本発明の効率的装置および方法(減少データ線)とを比較した、波長の関数としての吸収係数のグラフである。
【
図8】
図8は、効率的変調撮像装置(y軸)対先行技術変調撮像装置(x軸)を使用した、ポートワイン母斑(a)および熱傷組織(b)から抽出された散乱および吸収データの比較を示す、グラフである。
【
図9a】
図9aは、空間構造を含有しない光および空間構造を含有する光を用いてサンプルを照射するように構成される光源を伴う装置を示す、概略図である。
【
図9b】
図9bは、空間構造を有する光を使用する照射条件を伴う、
図9aにおける装置を示す、概略図である。
【
図9c】
図9cは、空間構造を有していない光を使用する照射条件を伴う、
図9aにおける装置を示す、概略図である。
【
図10】
図10は、構造化光源および非構造化光源と、軸外カメラとを伴う、変調撮像器具の実施形態の図である。
【
図11】
図11は、典型的LEDの相対的効率の実施例を示す、グラフである。
【
図12】
図12は、(上)が、吸収光学特性の回収のための完全および効率的方法の比較を示すグラフであって、(下)が、「至適基準」完全分析からの%逸脱における比較であって、概して、アプローチ間の正確度における1%未満の差異を示し、したがって、効率的方法が有効であると証明する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図は、必ずしも、正確な縮尺で描かれておらず、類似構造または機能の要素は、概して、図全体を通して、例証目的のために、類似参照番号によって表されることに留意されたい。また、図は、本明細書に説明される種々の実施形態の説明を促進するためだけに意図されていることに留意されたい。図は、必ずしも、本明細書に開示される教示のあらゆる側面を説明するものではなく、請求項の範囲を限定するものでもない。
【0022】
本明細書に提供される実施形態は、組織構造および機能の定量的特性評価のための効率的変調撮像を促進する、システムおよび方法を対象とする。従来のシステムでは、同一の空間構造化光パターン(または、パターン)が、全関連波長において照射されていた。一実施形態では、効率が増加した変調撮像システムのための装置は、光源を空間構造化照射および空間非変調光(平面)照射に分離する。ここでは、平面光は、実質的に、空間強度パターンまたは構造を伴わない光として定義され、構造化光は、空間強度パターンまたは構造を伴う光照射として定義される。平面および構造化光照射の波長は、以下に説明されるように、感度を最適化するように選定される。効率的変調撮像のためのシステムおよび方法は、米国仮出願第61/793,331号および第61/723,721号に説明されており、本出願は、参照することによって組み込まれる。
【0023】
図3(a)は、効率が増加した変調撮像装置10の好ましい実施形態を示す。装置10は、その周縁上にいくつかの外部非構造化(平面)光源14を有し、組織サンプルの面積を照射するように構成される、照射源12と、パターン化(構造化)光を提供し、組織サンプルの面積を照射する、投射システム16と、投射システム16および外部平面光源12の両方から偏心されて位置付けられ、投射システム16および外部平面光源12によって照射される組織サンプルの面積からの光を収集するように構成される、検出器またはカメラ18とを備える。平面光源12、投射システム16、およびカメラ18は、プロセッサと、電源と、ドライバと、メモリと、プロセッサ上で実行可能であって、メモリ内に記憶される、ソフトウェアとを含む、印刷回路基板(PCB)22に連結される。カメラ18によって収集された光データは、記憶されたソフトウェアおよびプロセッサを使用して処理される、あるいは処理のためのコンピュータまたは他のプロセッサにポートされることができる。投射システム16、カメラ18、およびPCB22は、放熱板21を有する撮像ベース20に搭載される。2つの位置フィルタ23が、カメラ18および投射システム16に連結される。
【0024】
外部平面光源12は、リング光アセンブリとして
図3(a)に示されるが、投射システム16を通過しない非空間構造化照射を提供する、LEDまたはレーザを含む、他の外部に搭載された光源でもあり得る。リング光アセンブリは、リングベース13の周縁を中心として位置付けられる、複数の平面光源14を含む。ベース13は、カバー11とともに、変調撮像装置10のカバー15に外部から搭載される。
【0025】
波長の選択は、投射システム16および平面非構造化源12、14の両方において柔軟である。DLP投射器、LOCOS投射器、および同等物を含み得る、投射システム16は、例えば、平面光源12に関して
図4に示されるLED17および17’等、種々の波長の発光ダイオード(LED)等のいくつかの切替可能光源を備えてもよく、種々の空間周波数または他の構造化光パターンの変調光を提供可能である。外部平面照明器12上の光源14もまた、1つ以上の波長を伴うLEDであるが、具体的には、空間構造を伴わない均一照射を提供し得る。構造化投射16および外部平面光源12は、組織サンプル上の略同一の面積に指向される。カメラ18は、平面光および構造化光ビーム経路のビーム軸の両方から偏心され、照射された組織サンプル上の略同一の面積から光を収集する。外部平面照射源12の構成の主要利点は、光がパターン化され、サンプル上に光学的に中継されることを要求しない寛大な「非撮像」制約による、サンプルへの非構造化光の伝達の増加である。本構成は、システム効率を改善し、所望の信号対雑音比(SNR)を得るための撮像時間を短縮し、測定時間が、有用性および移植性等の実践的考慮によって制約されるときの用途に対して、実行可能性を増加させる。
【0026】
好ましい実施形態では、カメラ18は、外部平面源12から偏心されて背後に設置され、直接、源12からカメラ18まで、光散乱からの最小限のクロストークを可能にする。好ましい実施形態では、カメラ18は、12ビット単色CCDカメラであるが、任意の市販のCMOSカメラを含んでもよい。
【0027】
図3(b)では、実施例は、光がリング内に配向された源の集合の中央を通して撮像される構成を示す。他の実施形態も可能性として考えられるが、全て、構造化光源および平面光源16および12が、組織サンプル上の略同一の面積を照射し、カメラ18が、構造化光源および平面光源16および12によって照射された略同一の面積を撮像するように構成される、特徴を有する。
【0028】
別の実施形態では、
図4に示されるように、平面源12上の各光源14は、任意の波長が組み込まれ得る、9つの位置を有し、これは、他の波長に敏感な生物学的計測値に対して変調撮像分析の柔軟な拡張を可能にし、例えば、核となる変調撮像(構造化光)測定を行うために使用される波長を補完し得る、複数のカラーLEDモジュール17および単色LEDモジュール17’を参照されたい。9つの位置に示されるが、平面光源12上の各光源14は、9つの位置、12の位置等を有することができる。
【0029】
別の実施形態では、
図5に示されるように、外部平面照明器12のベース13は、その中にLEDモジュール17等の外部光源14が、差し込まれる、またはそこから取り外され、再構成可能波長選択を可能にする、ソケット24を提供する。
【0030】
別の実施形態では、
図4に示されるように、各光源14、例えば、LEDモジュール17は、集光ロッドまたは拡散器等のビームホモジナイザ26を組み込み、同一の源上の複数の個々にアドレス可能なLEDチップからの出力を空間的に平坦化し、組み合わせる。
【0031】
操作および分析方法:変調撮像のための装置10は、以下のように操作される。変調撮像は、典型的には、それぞれ、カメラまたは検出器において異なる処理量または信号対雑音比(SNR)を有する、いくつかの離散波長λ
1、λ
2、・・・、λ
nにおいてデータを収集する。本明細書に提供される効率的装置10は、これらのn波長を2つのカテゴリ、すなわち、1)空間構造化波長λ
1S、λ
2S、・・・、λ
jSおよび非構造化平面波長λ
1P、λ
2P、・・・、λ
kPに分離する。前述のように、動作アーチファクトは、処理量または信号対雑音比(SNR)が低い波長に対して現れる傾向がある。低SNRは、低源電力、投射器−源の連結不良、投射器処理量の減少、低受信信号、またはその波長に対する検出器感度不良から生じ得る。低SNR波長は、対応して、より高い集積度(すなわち、カメラ露光時間)を要求し、動作を受けやすくする。本明細書に提供される方法の実証実施例では、空間構造化照射は、高SNR波長を用いて行われ、非構造化平面照射は、低SNR波長を用いて行われた。本明細書に提供される効率的装置10は、
図6に示され、
図9bおよび9cに示されるような以下のステップに説明されるように、分析において、空間構造化光および空間非構造化光を異なるように取り扱う。
図9aに図式的に示されるように、効率的装置10は、組織または混濁サンプル30の上方に位置付けられる、平面光源12と、構造化光源16と、カメラ18とを含むように示される。
1)
図9bに示されるように、構造化光源16は、オンにされ、米国特許第6958815号に簡単に説明されるように、1つまたは少数の高SNR波長(例えば、λ
jS=λ
1S,λ
2S,λ
3S)において、組織サンプル30上に走査される。構造化光は、いくつかの空間周波数を伴うこれらの波長において、サンプル30を照射し、サンプル30から反射および散乱された光は、カメラ18によって収集される。本データは、次いで、生物学的組織中の光の散乱に関する物理的モデル、あるいは一連の測定またはシミュレーションに基づく実験的データルックアップのいずれかを使用して、サンプルの変調伝達関数および/または光学特性情報、例えば、空間分解吸収および等価散乱(μ
a(λ
jS)およびμ
s´(λ
jS)マップを得るために分析されることができる。サンプル混濁性を考慮する、物理的モデルの実施例は、光伝達の標準拡散方程式および放射伝達モデルである。
2) 次に、空間構造化波長λ
jSにおける測定は、着目サンプル中の光学特性の波長依存特徴に基づいて、非構造化波長λ
kPに内挿または外挿されることができる。例えば、近赤外線領域では、導出された散乱係数μ
s´(λ
jS)は、μ
s´(λ)=A*λ
―b、またはより一般的には、
【数2】
等の波長の冪関数に適合され、カメラ18によって検出された画像内の各画素に内挿または外挿され、非構造化波長μ
s´(λ
kP)に関する散乱係数の推定値を提供することができる。記載の方程式に関して、Aおよびbのパラメータは、自由な非負の変数であって、nは、少なくとも1である。構造化(高SNR)波長データから非構造化(すなわち、低SNR)波長に関する散乱係数等の特性を導出することによって、撮像時間は、構造化光画像を取得する必要性を排除し、直接、μ
s´(λ
kP)を測定することにより短縮されることができることに留意されたい。これは、単一非構造化光パターンを使用して、残りのパラメータμ
a(λ
kP)を判定することを可能にし、故に、全体的取得時間を短縮し、動作アーチファクトを回避する。
3)
図9cに示されるように、高SNR波長における構造化光源16は、次いで、オフにされ、低SNR波長である、平面光源12が、次いで、オンにされ、サンプル30を照射するために使用される。サンプル30から反射された光は、カメラシステム18によって検出され、拡散反射率係数、Rdλ
kP等の所望の波長において再放出された光を提供する。例証的実施例のように、拡散反射率は、970nmにおいて測定され、ctH
2O感度を判定する。本ステップは、代替として、ステップ1の前に行われる、またはステップ1内の測定に差し挟むことができることに留意されたい。
4) 分析の最後のステップでは、低SNR波長λ
kPにおける光学特性が、平面および外挿または内挿された構造化光源測定の組み合わせを使用することによって計算される。例えば、λ
kP、すなわち、μ
s´(λ
kP)=A*(λ
kP)
―b)において評価された拡散反射率値(R
d(λ
kP))および適合散乱係数μ
s´(λ)=A*λ
―b)が、1パラメータ適合または生物学的組織に関する物理的散乱/反射モデルを使用するルックアップテーブル計算と組み合わせられ、故に、μ
a(λ
kP)をもたらすことができる。
5) 本段階において、光学特性(例えば、散乱および吸収)係数は、構造化照射波長(すなわち、高SNR)から導出されたデータおよび非構造化平面照射波長(すなわち、低SNR)から導出された光データに関して、直接、変調伝達関数から測定された全波長に対して、完全に判定される。
6) 発色団濃度および生理学指標は、ここで、完全波長依存散乱および吸収係数から導出されることができる。
【0032】
ステップ2、4、および/または6は、下層データ測定後の任意の段階において行われることができることに留意されたい。さらに、連続して行われる代わりに、ステップ2、4、および/または6は、直接「大域」適合または全入力データの同時分析においてともに行われ、吸収または蛍光分子の濃度を得るため等、所望の出力を提供することができる。
【0033】
図7は、1)先行技術(完全適合線)によって規定されたシステムによって得られるような完全変調撮像分析と、2)減少数の波長(減少データ線)を用いた本効率的装置および方法との間の例示的比較を示す。2つの装置および方法間には、優れた一致が存在する。しかしながら、本効率的装置の利点は、全波長において、光学特性(例えば、散乱および吸収)係数における良好な忠実性を提供しながら、動作アーチファクトを除去することであることに留意されたい。
【0034】
本精緻化された方法を用いて対処され得る、測定および患者集団の範囲を査定するために、10例のポートワイン母斑および10例の熱傷患者測定が、先行技術装置および方法ならびに本明細書に提示される効率的変調撮像装置10および方法を用いて収集および分析された。
図8は、本効率的装置(y軸)対先行技術装置(x軸)によって得られた種々の波長に関する散乱(
図8a)および吸収係数(
図8b)のプロットを示す。これらのデータは、その吸収係数の観点から多様である。すなわち、PWS例における血液貯留および熱傷例における表皮メラミンの組織白化/損失は、それぞれ、高および低吸収を呈する。なお、
図8は、傾き=1を伴う直線によって示されるように、2つの1対1対応を示す。
【0035】
本説明では、用語「カメラ」は、ピクセル式検出器のアレイ上の組織サンプルの面積を撮像する光学検出システムを指し、撮像されるサンプルの面積は、構造化光照射の最小空間特徴よりはるかに大きい。別の実施形態では、サンプルから反射された光は、光が、投射システムからそれを照射する、構造化光の最小空間特徴より小さいサンプルの面積から取集されるように、単一検出器によって収集される。
【0036】
最近、MIシステム実施形態は、器具の正面のLED投光(非構造化)照射ならびにデジタルマイクロミラーデバイスからの標準的MI LEDベースの構造化投射の両方を実装している。
【0037】
図10は、構造化光源116および非構造化光源112を伴う、MIデバイス110の実施形態を示す。カメラ118は、器具の正面から約1フィート(1’)に位置付けられる標的から反射された構造化光および非構造化光の両方を視認するように構成される。
【0038】
図11は、典型的LEDの相対的効率の実施例を示す。弱波長(低ピーク値)は、投射器を通して放出することが要求されるとき、不良撮像速度をもたらす。これらは、低光処理量(低エタンデュ)投射器を使用する必要性を回避する、投光(非構造化)照射のための最適候補である。
【0039】
図12(上)は、吸収光学特性の回収のための完全方法および効率的方法の比較を示す。既知の光学特性を伴う標準化された組織模擬ファントムの測定が、撮像標的として使用された。完全分析の場合、標準的空間周波数ドメイン測定が、行われた。効率的分析の場合、完全分析のサブセットが、3つの波長(620、690、810nm)に対して行われ、次いで、光学散乱値が、他の所望の波長(660、730、850、970nm)に外挿または内挿され、非構造化(平面)データのみを伴う吸収係数を得た。これは、構造化(660、730、850nm)波長および非構造化(620、690、810nm)波長を用いて、「逆に」繰り返された。下は、「至適基準」完全分析からの%逸脱における比較であって、概して、アプローチ間の正確度における1%未満の差異を示し、したがって、効率的方法が有効であると証明する。
【0040】
本発明は、種々の修正および代替形態を受け得るが、その具体的実施例が、図面に示され、本明細書に詳細に説明される。しかしながら、本発明は、開示される特定の形態または方法に限定されず、対照的に、本発明は、添付の請求項の精神および範囲内にある、あらゆる修正、均等物、および代替を網羅することを理解されたい。
【0041】
前述の説明では、説明の目的のためだけに、具体的専門用語が、本開示の完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、これらの具体的詳細が、本開示の教示を実践するために要求されないことは、当業者に明白となるであろう。
【0042】
代表的実施例および従属請求項の種々の特徴は、本教示の付加的有用実施形態を提供するために、具体的かつ明示的に列挙されていない方法で組み合わせられてもよい。また、全ての値範囲または実体の群の指示は、本来の開示の目的のために、ならびに請求される主題を制限する目的のために、あらゆる可能性のある中間値または中間実体を開示することにも、明示的に留意されたい。
【0043】
本明細書に説明される実施形態は、解説の目的のためのものであって、本開示の主題の限定と見なされるべきではないことを理解されたい。本発明の範囲または精神から逸脱することなく、種々の修正、使用、代用、組み合わせ、改良、生産方法が、当業者に明白となるであろう。例えば、読者は、別様に記載されない限り、本明細書に説明されるプロセス作用の具体的順序および組み合わせが、単に、例証であって、本発明が、異なるまたは付加的プロセス作用、あるいはプロセス作用の異なる組み合わせまたは順序を使用して、行われることができることを理解されたい。別の実施例として、一実施形態の各特徴は、他の実施形態に示される他の特徴と混合および整合することができる。同様に、当業者に周知の特徴およびプロセスは、所望に応じて、組み込まれてもよい。加えて、明らかに、特徴は、所望に応じて、追加または削除されてもよい。故に、本発明は、添付の請求項およびその均等物に照らしてのみ、制限されるべきである。