(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
飲料調製システムの遠心淹出装置においてカプセルの遠心作用によって飲料を調製する方法であって、前記飲料調製システムは飲料調製プロセス中に使用される前記遠心淹出装置のパラメータを制御するように構成された制御手段(25)をさらに含む方法において、前記方法は、
第1のステップ(110)において、前記遠心淹出装置内にユーザにより挿入された前記カプセルのタイプ、及び/又は前記カプセル内に封入された原材料に関する認識情報を決定するステップと、
第2のステップ(120)において、前記認識情報に従ってレシピを選択するステップであり、前記レシピは、前記遠心淹出装置のパラメータについての目標値(S1、S2、S3、S4、S5、S6)の少なくとも2つのセットを含み、各セットが特定条件(C1、C2、C3、C4、C5、C6)に関連付けられる、選択するステップと、
第3のステップ(130)において、前記制御手段は、現在満たされている前記特定条件に関連付けられた前記セットの前記目標値に達するように、前記遠心淹出装置の前記パラメータを制御するステップと、を含み、
前記レシピは、それぞれ目標値の第1のセット(S3)及び第2のセット(S4)によって定められる少なくとも第1の淹出段階(203)及び第2の淹出段階(204)を含み、
目標値の前記第1及び第2のセット(S3、S4)は、各々が、少なくとも、ヒータ(19)の目標温度(TT1、TT2)、ポンプ(20)の目標流量(TFC1、TFC2)、及び目標回転速度(TRSC1、TRSC2)を含むことを特徴とする方法。
前記セット内に含まれる前記遠心淹出装置のパラメータについての前記目標値の少なくとも1つは、以下のパラメータ:すなわち、前記飲料調製プロセスの特定段階中に前記カプセル内に導入される液体の液量と、液体の流量と、前記飲料調製プロセスの特定段階後の待ち時間と、淹出プロセスの特定段階中又は特定段階の間の移行中における淹出ユニットの回転速度の加速/減速関数と、前記淹出プロセスの特定段階中又は特定段階の間の移行中における前記カプセル内に導入される液体の初期流量と、前記淹出プロセスの特定段階中又は特定段階の間の移行中における前記カプセル内に導入される液体の前記流量の加速/減速と、前記淹出プロセスの特定段階中における液体の温度と、前記淹出プロセスの特定段階中又は事前湿潤プロセス中における前記遠心淹出装置の収集器の目標温度と、前記淹出プロセスの特定段階中における前記遠心淹出装置の最小回転速度と、のうちの少なくとも1つ又はそれらの組み合わせに関するものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
前記第1のステップ(110)中、前記遠心淹出装置内に挿入された前記カプセル上に設けられた識別手段が読み取られ、前記識別手段は、前記制御手段が前記カプセルの前記タイプ、及び/又は前記カプセル内に封入された前記原材料、及び/又は前記カプセルにより調製する飲料の前記タイプを取得又は決定するのに適した情報を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
前記識別手段は、前記カプセルと共に使用されるレシピに関する前記情報の少なくとも一部分を含み、前記制御手段は、前記レシピを取得することができない場合に、及び/又は前記レシピの対応するパラメータの代わりに、前記情報を使用するように構成される、請求項8又は9に記載の方法。
前記第1の淹出段階の目標値の前記第1のセット(S3)は、前記第1の淹出段階が、事前湿潤段階又は事前湿潤待ち段階の終了後、調製済みのコーヒー飲料の液量が前記カプセル内に導入された液体の第1段階液量閾値(VT1)を上回るか又はこれに等しくなるまで、前記第1のセット(S3)のもとで実行されると指定する条件(C3)に関連付けられる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
前記第2の淹出段階の目標値の前記第2のセット(S4)は、前記第2の淹出段階が、前記第1の淹出段階(203)の終了後、調製済みの前記飲料の液量が前記カプセル内に導入された液体の第2段階液量閾値(VT2)を上回るか又はこれと等しくなるまで、前記第2のセット(S4)のもとで実行されると指定する条件(C4)に関連付けられる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
前記レシピは、目標値の第3のセット(S5)によって定められ、かつ、前記第2の淹出段階(204)の終了後、調製済みの前記飲料の液量が調製する飲料の液量に少なくとも等しくなるまで実行されると指定する条件(C5)に関連付けられる、少なくとも第3の淹出段階(205)を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
目標値の前記第3のセットは、少なくとも、ヒータ(19)の目標温度(TT3)、ポンプ(20)の目標流量(TFC3)、及びモータの目標回転速度(TRSC3)、並びにオプションとして、収集器(11)の目標温度(TTC3)を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、簡単で汎用性のあるシステムにおいて、濃さ、風味、香り、泡/クレマの様々な特性を有する飲料(例えば、コーヒー)を提供できることに対する必要性が存在する。供給されるコーヒーの品質を向上させ、様々な液量(例えば、25、40、230ml)の広範囲のコーヒー飲料を供給する機会を与えるために、淹出パラメータが、より良好に、より正確に、かつより独立して制御される新しいシステムを提案する必要性がさらに存在する。淹出プロセス中、使用されるカプセル及び生成されるコーヒー飲料のタイプに応じて、全てのこれらのパラメータ及びその変形を管理するための信頼性が高く正確な解決策を実装する解決策を提案する必要性が依然として存在する。
【0011】
本発明は、前述の問題に対する解決策を提供すると共に、付加的な利益を既存の技術に与える。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、飲料調製システムの遠心淹出装置内においてカプセルの遠心作用によって飲料を調製する方法に関する。この飲料調製システムは、飲料調製プロセス中に使用される遠心淹出装置のパラメータを制御するように構成された制御手段を含む。本方法は、
(a)第1のステップにおいて、遠心淹出装置内にユーザにより挿入されたカプセルのタイプ、及び/又はそのカプセル内に封入された原材料に関する認識情報を決定するステップと、
(b)第2のステップにおいて、認識情報に従ってレシピを選択するステップであって、レシピは、各々が特定の条件に関連付けられた、遠心淹出装置のパラメータについての目標値のうちの少なくとも2つのセットを含む、選択するステップと、
(c)第3のステップにおいて、制御手段は、現在満たされている特定の条件に関連付けられたセットの目標値に達するように、遠心淹出装置のパラメータを制御するステップと、を含む。
【0013】
用語レシピは、飲料を調製するために飲料調製装置を制御するための情報を指す。より具体的には、レシピは、飲料調製パラメータ、とりわけ、回転する淹出ユニットを駆動するモータの回転速度、液体の温度、カプセルから排出される液体を収集する収集器の温度、飲料生成プロセス中にカプセルに供給される液体の圧力及び/又は液量、ポンプの流量等などの、制御ユニットにより制御されるパラメータに関する情報を含むことができる。本方法は、カプセルの各タイプ及び/又はカプセル内に収容される各原材料についての特定のレシピを用いて、様々なタイプのカプセルによりコーヒー飲料を調製することを可能にする。
【0014】
特に、パラメータを時間経過と共に動的に変化させ、正確に定めることが可能である。本発明により、様々なタイプのカプセルに関する、時間経過に伴う又は調製プロセスの他の特性に従ったパラメータの変動を含む抽出の正確なプロファイルを、信頼性が高くユーザにトランスペアレントな方法で定めることが可能になる。第2のステップ中、レシピは、第1のステップ中に収集及び/又は決定された調製する飲料に関する情報に従って、決定及び/又は取得することができる。レシピは、マシンのカプセルホルダ内に挿入されたカプセルのタイプ、カプセルホルダに挿入されたカプセル内に収容される原材料、及び/又はユーザによって与えられた及び/又はそのカプセル内に埋め込まれた情報に従って、決定及び/又は取得することができる。レシピは、例えばレシピの識別子及び/又はカプセルのタイプの識別子及び/又はカプセル内に収容される原材料の識別子、及び/又はユーザによって与えられる情報を用いて、マシン内に格納された及び/又はマシンによりアクセス可能なリストから読み出すことができる。第3のステップ中、レシピ内に含まれる対応するパラメータの目標値を適用するように、飲料調製マシンの様々な部分が調整される。例えば、液体の流量及び量は流量計によって制御され、この流量計は、液体供給ポンプの計算及び制御のために流量情報を制御ユニットに提供し、例えば所定の時間又は調製される飲料の液量に関して、関連する特定の条件が満たされると、レシピ内に記載される目標レベルに達するようにする。
【0015】
特に、2つのセットのうちの少なくとも1つについての特定の条件は、調製済みのコーヒーの液量に関する。例えば、条件は、一例を挙げると「調製済みコーヒーの液量は、調製するコーヒーの全液量の0%から50%までの間にある」とすることができる。
【0016】
目標値の少なくとも2つのセットが、少なくとも2つの連続した淹出段階に関連することが好ましい。従って、種々のコーヒーの液量のための広範囲のコーヒーレシピを管理することが可能になる。具体的には、生成されるコーヒーのタイプ(例えば、リステロット、エスプレッソ、ロングコーヒー、ミルクコーヒー及びスペシャルティコーヒー)に応じた淹出特性を最適化することが可能になる。また、考えられる各液量に対して、様々なコーヒー品質/感覚特性(ボディ、風味、香り、クレマなど)を達成することも可能になる。
【0017】
2つのセットのうちの少なくとも1つに関する特定の条件は、飲料の調製開始後の経過時間に関連させることもできる。例えば、条件は、例えば「調製プロセス開始後の経過時間が、5sから10sまでの間にある」とすることができる。
【0018】
2つのセットのうちの少なくとも1つに関する特定の条件は、飲料の調製に関するユーザ入力又は好みに関連させることができる。例えば、条件は、例えば「ユーザが調製する飲料の液量を120mlより多くなるように選択した」とすることができる。従って、ユーザの様々な選択に従って、レシピを最適化することが可能である。
【0019】
より具体的には、遠心淹出装置のセット内に含まれるパラメータの目標値の少なくとも1つは、以下のパラメータ:すなわち、調製プロセスの特定の段階中のカプセル内に導入する液体の液量、液体の流量、調製プロセスの特定の段階の後の待ち時間、淹出の特定の段階中又は特定の段階の間の移行中の淹出ユニットの回転速度の加速/減速機能、淹出の特定の段階中又は特定の段階の間の移行中のカプセルに導入される液体の初期流量、淹出の特定の段階中又は特定の段階の間の移行中にカプセルに導入される液体の流量の加速/減速、淹出プロセスの特定の段階中の液体の温度、淹出プロセスの特定の段階中又は事前湿潤(pre−wetting)プロセス中の淹出装置の収集器の目標温度、淹出プロセスの特定の段階中の淹出ユニットの最小回転速度、のうちの少なくとも1つ又はこれらの組み合わせに関する。
【0020】
1つの実施形態においては、第1のステップ中に、遠心淹出装置内に挿入されたカプセル上に設けられた識別手段が読み取られ、この識別手段は、制御ユニットが、カプセルのタイプ及び/又はカプセル内に封入された原材料及び/又はカプセルにより調製する飲料のタイプを取得又は特定するのに適した情報を含む。例えば、そのような適切なカプセル及び該カプセルを識別するための関連したシステムが、国際公開第2011/141532号に開示されている。コードは、レシピの識別子、例えばレシピに対応する一意の番号を含むことができる。コードは、カプセルのタイプ及び/又はカプセル内に含まれる原材料のタイプに関する識別子、例えばカプセルのタイプ及び/又はカプセル内に含まれる原材料のタイプに対応する一意の番号を含むことができる。
【0021】
識別手段は、レシピにアクセスすることができる位置に関する情報を含むことができ、制御ユニットは、第2のステップ中に、位置に関連する情報を用いてレシピを取得するように構成される。
【0022】
カプセル上のコードは、そのアドレスを含むことができる。アドレスは、レシピが格納されているマシン内のメモリ空間を指し示すことができる。代替的に、アドレスは、レシピが格納されている外部メモリ位置を指し示すことができ、マシンは、その位置にあるレシピに関する情報を取得するように構成される。その結果、マシンが、まだローカルに利用可能でないレシピにアクセスすることが可能になる。代替的に、アドレスは外部装置を指し示すことができ、外部装置は、要求を受信するとレシピを送るように構成される。その結果、マシンが、まだローカルに利用可能でないレシピにアクセスすることが可能になる。
【0023】
1つの実施形態において、識別手段は、カプセルと共に用いるレシピに関連する情報の少なくとも一部分を含むことができ、制御ユニットは、レシピを取得できない場合に及び/又はレシピの対応するパラメータの代わりに、その情報を用いるように構成される。これにより、マシンは、レシピがローカルに十分に利用可能でない場合にも又はレシピがローカルに格納されたレシピに比較して更新又は修正されている場合にも、レシピに関連する情報を取得して、レシピのリスト内の対応するエントリ及び/又はレシピ自体を更新することが可能になる。
【0024】
以下の態様において、本発明の方法による、コーヒーの液量及びコーヒー製品特性に応じた種々様々なコーヒーレシピを生成する多用性がさらに例示される。これらの好ましい様式によると、広範囲の(好ましくはブラックの)コーヒー飲料(例えば、リステロット、エスプレッソ、ルンゴ、ロングコーヒー)を設計すると同時に、それらの製品の品質特性(すなわち、濃さ、香り、「クレマ」)を最適化し、個別化することが可能になる。
【0025】
具体的には、本方法は、目標値の第1及び第2のセットによってそれぞれ定められる少なくとも第1及び第2の淹出段階を含む。目標値の第1及び第2のセットはそれぞれ、少なくとも、ヒータの目標温度、ポンプの目標流量、及び目標回転速度、並びにオプションとして収集器の目標温度を含むことが好ましい。
【0026】
第1の淹出段階の目標値の第1のセットは、事前湿潤段階又は湿潤待ち段階の終了後、調製済みのコーヒー飲料の液量がカプセル内に導入された液体の第1段階液量閾値を超えるか又はこれと等しくなるまで、第1の淹出段階が第1のセットのもとで実行されることを指定する条件に関連付けられることが好ましい。第2の淹出段階の目標値の第2のセットは、第1の淹出段階の終了後、調製済みのコーヒー飲料の液量がカプセル内に導入された液体の第2段階液量閾値(記述中、「移行液量(transition volume)」又は「段階液量閾値」とも呼ばれる)を超えるか又はこれと等しくなるまで、第2の淹出段階が第2のセットのもとで実行されることを指定する条件に関連付けられることがさらに好ましい。
【0027】
そのように独立に制御される淹出段階を有することにより、多種多様な製品特性(香り、風味、クレマなど)で様々な液量のコーヒー飲料を供給することが可能になる。そのような制御は、例えば、コーヒーブレンド、コーヒー原産地、コーヒー粒度分析(例えば、平均粒径、分布、細粒含有量)、多数の様々な焙煎し、挽いたコーヒー特性、焙煎度、コーヒー重量などといったコーヒーの処理などといった、多数の様々な焙煎して挽いたコーヒーの特性と関連付けることができ、その結果、無限に可能な数の符号化されたレシピから、膨大な数の様々なコーヒー抽出物を再現可能な方法で設計し、生成することができる。
【0028】
レシピが目標値の第3のセットによって定められ、第2の淹出段階の終了後に、調製済みの飲料の液量が少なくとも調製する飲料の液量に等しくなるまで実行される条件に関連付けられる、少なくとも第3の淹出段階を含むことが最も好ましい。第3の淹出段階は、少なくとも、ヒータの目標温度、ポンプの目標流量、及び目標回転速度、並びにオプションとして収集器の目標温度を含む目標値の第3のセットを含む。
【0029】
所定の時点においてこれらの淹出段階を実行/終了するための調整可能な条件に関連付けられた3つの淹出段階を有することにより、非常に少ないコーヒー抽出量(25ml)から大きいコーヒー液量(例えば、230ml、250ml、400ml)までの広範囲の液量にわたるコーヒーレシピをより良好に管理することが可能になり、さらに、各液量内で供給される多様な液体コーヒー抽出物を適切に習熟することが可能になる。それにより、パラメータ(2つの可能な方向変化を有する)の様々なプロファイルを実行して、コーヒー抽出を温度、回転速度、流量などに関して微調整することが可能になる。
【0030】
例えば、2つ又は3つの淹出段階にわたるレシピの管理により、目標とするコーヒーのタイプに応じたコーヒー抽出の特異性を考慮に入れることが可能になる。例えば、これにより、温度及び/又は流量のプロファイリングによってロングコーヒーの過剰抽出を減らすことが可能になる。例えば、1つの淹出段階から次の淹出段階へ、流量を増大させること及び/又はヒータ温度を下げることが可能である。また、様々な淹出段階にわたってヒータ及び/又は収集器の温度をプロファイリングすること(例えば、下げること)によって、特に大きいコーヒー液量に対する「コーヒークレマ」の品質を高く維持すること(すなわち、「クレマ」が崩壊する又は泡になって塊になるのを回避すること)も可能になる。例えば、収集器の温度を1つの淹出段階から次の淹出段階へ下げることができる。
【0031】
1つの態様において、レシピはさらに、最終乾燥段階を含む。具体的には、レシピは、最後の淹出段階(例えば、第3の淹出段階)の後、乾燥が完了するまで又は一定時間が経過するまで乾燥段階がそのセットのもとで開始することを指定する条件に関連付けられる乾燥段階を定めるセットを含む。そのセットは、好ましくは、モータの目標回転速度、並びにヒータのスイッチを切るためのOFFコマンド及び/又はモータの切り換えるためのOFFコマンドを含むことができる。
【0032】
レシピは、液体をカプセル内に導入する前に、カプセル内の原材料、例えば焙煎して挽いたコーヒー粉末を遠心力の効果により圧密化するための初期圧密化ステップをさらに含むことができる。このような場合、圧密化段階は、レシピモードの起動後に、モータの高回転速度を設定すること、及び、所定の時間が経過した(例えば、2〜3秒)後に回転速度を停止することにより、自動的に実行される。このステップは、遠心淹出装置内にユーザにより挿入されたカプセルのタイプ及び/又はそのカプセル内部に封入された原材料のタイプに関する認識情報を決定する第1のステップであることが好ましい。設定された目標は、装置の固定式コード読取装置によるカプセル上のコード(例えば、回転読み取り可能なバーコード)の読み取りを可能にする回転速度とすることもできる。
【0033】
本方法はさらに、カプセル上に設けられた識別手段(固定式読取装置により読み取り可能な回転コードなど)によってカプセルのタイプが識別される、初期圧密化ステップの終了条件を含むことが好ましい。
【0034】
第2の態様によれば、本発明は、カプセルの遠心作用によって飲料を調製するための遠心淹出装置であって、
カプセルを保持するための、淹出装置の回転カプセルホルダと、
回転遠心作用でカプセルを駆動するための回転駆動手段と、
カプセル内に液体を注入するための、ポンプに接続された注入手段と、
を含み、この装置は、
飲料の流量及び/又は飲料の液量を変えるように設計された、少なくとも回転駆動手段及びポンプに接続された制御手段と、
装置内に挿入されたカプセルのタイプに関する認識情報を決定するための認識情報手段と、
をさらに含み、
制御手段は、第1の態様による方法のステップを実行するように構成される、
遠心淹出装置に関する。
【0035】
本発明の淹出装置は、カプセル内に導入される液体を加熱するための加熱手段(すなわち、液体加熱手段)と、カプセルから注出される飲料の収集器を加熱するための加熱手段(すなわち、収集器加熱手段)と、液体加熱手段及び収集器加熱手段の温度を制御するための温度制御手段と、をさらに含むことが好ましい。
【0036】
第3の態様によれば、本発明は、様々なタイプのカプセルのキット(又はシリーズ)に関し、ここで、キットの各カプセルは、第2の態様による遠心淹出装置によって使用され、カプセルのタイプに応じた及び/又はそのカプセル内に収容される原材料に応じた特定のレシピを用いてコーヒー飲料を調製するように構成される。具体的には、キットの各カプセルに、認識手段を設けることができる。キットの様々なカプセルと関連した認識手段は、以下のリスト:すなわち、バーコード、RFIDタグ、イメージ及び/又は色認識手段、強磁性要素、電気的要素、機械的要素のうちの1つ又はそれらの組み合わせとすることができる。この認識手段は、遠心淹出装置内に埋め込まれ、カプセルの認識手段を読み取るのに適した読取装置によって読み取ることができるように構成される。読取装置は、検出されたカプセルに応じて装置の様々な手段を制御するための装置の制御ユニットに接続することができる。
【0037】
具体的には、第3の態様によるキットのカプセルは、特定の品質特性(濃さ、香り、風味、クレマなど)、及び、例えば25、40、110、250、400mLなどの様々な液量を有するコーヒー飲料(例えば、リステロット、エスプレッソ、ルンゴ、ドッピオ、アメリカーノ、ロングブラックコーヒーなど)を生成するための、様々な種類のコーヒー粉末を含む。
【0038】
より好ましくは、キットの各カプセルは、レシピ番号などのレシピ関連情報を含み、そのような情報は、装置の認識情報手段によって識別され、それにより、カプセルのタイプに関する認識情報に応じた対応するレシピの選択が可能になり、かつ、本発明の方法による、制御手段によるレシピの処理が可能になる。
【0039】
飲料物質又はコーヒーの「様々なタイプ」とは、原材料(コーヒー、茶、ココア、添加物など)のカプセル内の重量、挽きサイズ、タップ密度、焙煎レベル、原産地、ブレンド、性質及びそれらの組み合わせに関するあらゆる違いを意味する。
【0040】
用語「淹出段階」は、一般に、液体(水)がポンプによってカプセルに供給され、カプセルがある回転速度で回転されてこうしたコーヒーの抽出が行われ、コーヒー抽出物の注出を可能にする間、コーヒー飲料が生成され、カプセルから注出される期間を指す。用語「事前湿潤段階」は、一般に、液体がポンプによってカプセルに供給されるが、コーヒーがまだ供給されていない期間を指す。用語「事前湿潤待ち段階」は、飲料原材料を濡らすための液体がカプセル内に存在し、カプセルがまだコーヒーの抽出を行い得る回転速度で回転されない、事前湿潤段階の後及び第1の淹出段階の前の期間を指す。用語「乾燥段階」は一般に、もはや液体がポンプによってカプセルに供給されず、液体をカプセルから除去するためにカプセルが高回転速度で回転される期間を指す。「調製済みのコーヒーの液量」又は「段階液量閾値」又は「移行液量」について言及するとき、目標の全コーヒー液量(例えば、25、40、230ml)に対して、最終的に乾燥後の液体の残留液量を考慮に入れた百分率(例えば、20、40、90%)で表した、ポンプによってカプセル内に導入される液体の液量を意味する。
【0041】
本発明のさらなる特徴、利点及び目的は、本発明の実施形態の以下の詳細な説明を添付図面の図と併せて読むときに、当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1a、1b及び1cは、容器、より具体的には使い捨てカプセル1A、1B、1Cのセットの1つの実施形態に関する。カプセルは、カップ状の本体2と、リム3と、上壁部材又は穿孔可能な膜4とを含むことが好ましい。これにより、膜4及び本体2は、コーヒー粉末を収容する区画室6を取り囲む。図示のように、膜4は、好ましくは1mmから5mmまでの間であるリム3の内側環状部分Rに接続されることが好ましい。膜4は、封止部分(例えば、溶接接合部)によって本体のリム3に接続される。
【0044】
カプセルのリム3は、カプセル1の回転軸Zに対して(図示のように)略垂直な方向又は僅かに傾けられた方向で外側に延びることが好ましい。この場合、回転軸Zは、淹出装置内のカプセル遠心作用を及ぼす際の回転軸を表す。
【0045】
図示されていない他の実施形態において、カプセル1、特に、カプセル本体2は様々な形状をとることができる。
【0046】
それぞれのカプセルの本体2は、可変の深さd1、d2、d3の単一の3次元凸部分5a、5b、5cをそれぞれ有する。そのため、カプセル1A、1B、1Cは、様々な容積を有するが、飲料生成装置内への挿入を容易にするために同じ挿入直径「D」からなることが好ましい。
図1aのカプセルは小容積のカプセル1Aを示し、一方、
図1bのカプセルは、より大きい容積のカプセル1B、すなわち中間容積のカプセルを示し、
図1cのカプセルは、さらに大きい容積のカプセル1C、すなわち大容積カプセルを示す。この実施形態において、挿入直径「D」は、これにより、リム3の下面と本体2の上部分との間の交線で定められる。
【0047】
カプセルの本体2は、剛性又は半剛性であることが好ましい。本体は、EVOH等のガスバリア層、又はアルミニウム合金、又はプラスチックとアルミニウム合金との積層体を有する食品グレードプラスチック、例えばポリプロピレン、又は、植物繊維、デンプン若しくはセルロースなどの生分解性材料、及びこれらの組み合わせから形成することができる。膜4は、バリア層(EVOH、SiOx等)、又はアルミニウム合金、又はプラスチックとアルミニウム合金との組み合わせも含むプラスチックフィルムなどのより薄い材料から作製することができる。膜4は、通常、例えば10ミクロンから250ミクロンまでの厚さを有する。本説明で後述するように、水の入口を形成するために、膜が穿孔される。また、膜は、穿孔可能な外周出口領域又は部分もさらに含む。
【0048】
上膜4の代わりに、カプセル1A、1B、1Cは、フィルタ壁又は剛性若しくは半剛性の蓋部材を含むこともでき、この蓋部材は、好ましくは、水注入部材の導入を可能にするための入口ポートを有する中央部分と、周方向に配置された出口開口を有する外周出口部分とを含む、プラスチックのディスクの形態を有する。中央の入口ポートと外周の出口開口との間では、膜又は蓋は液体不透過性の中間部分から形成されることが好ましく、これにより、液体がカプセルの外周に達する前にカプセルから漏出しないことが保証される。
【0049】
小型カプセルと大型カプセルとの間の容積差は、とりわけ、セット内のカプセルの本体2の深さ(d1、d2、d3)を変えることによって得ることができる。具体的には、より小さいカプセル1Aの本体の深さは、より大きいカプセル1B、1Cの本体の深さよりも浅い。各カプセルの格納容積(又はサイズ)の差は、供給されるコーヒー飲料に応じて、カプセル内に様々な量のコーヒー粉末を充填することで対処する。一般に、カプセルが大きくなるほど、カプセルが収容するコーヒー粉末の量が多くなる。また一般に、量が多くなるほど、供給されるコーヒー抽出物が多くなる。このため、コーヒー粉末の量が多くなるほど、カプセル内に供給される液体の量も多くなる。もちろん、同じ容積のカプセルでコーヒーの量を変えることもできるが、その場合、供給される飲料の全てのサイズにおいて、より大きいカプセルが選択されることが好ましい。
【0050】
小容積カプセル1Aは、より大きい容積のカプセル1B、1Cよりも少ない量のコーヒー粉末を収容することが好ましい。また、中間容積カプセル1Bは、大容積カプセル1Cの量よりも少量のコーヒー粉末を収容する。言い換えれば、粉末の量は、カプセルの容積と共に増大することが好ましい。
【0051】
そのため、小型カプセル1Aは、10mlから60mlまでの間、好ましくはリステロットに対する25(±3)ml及びエスプレッソに対する40(±3)mlのショートコーヒーの供給を意図しており、4グラムから15グラムまでの間、より好ましくは5グラムから8.5グラムまでの間、最も好ましくは7グラム及び8グラムを含む量の挽いたコーヒーを含むことが好ましい。中間サイズのカプセル1Bは、例えば60mlから120mlまでの間、より好ましくは、ルンゴコーヒーに対する120(±10)mlの中間サイズのコーヒーの供給を意図することが好ましい。最も大型のカプセル1Cは、例えば、120mlから500mlまでの(好ましくは、ラージコーヒーに対する230(±10)mlの)ロングサイズのコーヒーの供給を意図することが好ましい。さらに、中間サイズのコーヒーカプセル1Bは、7グラムから15グラムまで、より好ましくは8グラムから12グラムまでの間の量の挽いたコーヒーの量を含むことができ、ロングサイズのコーヒーカプセル1Cは、10グラムから30グラムまで、より好ましくは12グラムから15グラムまでの量の挽いたコーヒーを含むことができる。
【0052】
さらに、セット中のカプセルは、様々なブレンド、及び/又は、様々な原産地及び/又は様々な焙煎特性及び/又は挽き特性を有する(すなわち、平均粒径D
4,3として測定できる)焙煎して挽いたコーヒーを収容することができる。コーヒー粉末は容器内で締まっていない(loose)ことが好ましい。小分けコーヒーの分野において通常のように、コーヒー粉末は、カプセルを蓋で閉じる前に僅か押圧することができる。
【0053】
挽きサイズは、各カプセルにおいて、抽出を確実に向上させるように選択される。特に、小型カプセル1Aには、50ミクロンから500ミクロンまで、より好ましくは160ミクロンから400ミクロンまでの範囲内の平均粒径D
4,3を有する挽いたコーヒーが充填されることが好ましい。通常は220ミクロンが下限である従来の抽出方法と比べてショートカップにおける粒径をうまく小さくし、カプセル内のコーヒー抽出物の目詰まりを回避できるのは驚くべきことである。従って、カプセル1Aには、160ミクロンから255ミクロンまで、最も好ましくは160ミクロンから220ミクロンまでの平均粒径D
4,3を有する挽いたコーヒーが充填される。
【0054】
ルンゴなどの中間サイズ(120ml)の場合には、驚いたことに、200ミクロンを超える、具体的には300ミクロンから700ミクロンまでの間のコーヒー粉末の平均挽きサイズを選択すると、官能試飲時により良好な結果が得られることが分かった。もちろん、これらの結果もブレンド及び焙煎に依存するが、平均すると、これらの好ましい選択範囲において良好な結果が見出された。
【0055】
図1a〜
図1cに示されるように、リム3の幾何学的形状は、例えば、膜4が配置される平面に対して垂直な方向に形成された環状外側突出部8を有するL形状断面を含むように構成することができる。この場合、リム3の厚さh1、h2、h3は、カプセルが飲料生成装置の専用の囲繞部材15によって取り囲まれるときにカプセルに対して及ぼされる背圧の調整を可能にするために、図示のカプセル1A、1B、1Cに収容される飲料物質の量及び/又は特性に適合されることが好ましい。
【0056】
具体的には、少量のコーヒー粉末を収容するカプセル(例えば、カプセル1A)において、例えばリステロット又はエスプレッソコーヒー飲料を調製するために、より高濃度(すなわち、大量の総コーヒー固形物がコーヒー抽出物中に移動される)を伴うコーヒーを供給するために低速の抽出が望ましい場合がある。これらの特性は、大量のコーヒー粉末を収容するカプセル1B又は1Cから流出する飲料に対して望ましい場合がある高速の抽出と対比させることできる。本明細書において、抽出は、抽出中の液体抽出物のより低速の流量を制御することによって「より低速」であるとして定められる。そのような低速の流量は、カプセルを低速で回転させることにより、及び/又は液体抽出物がカプセルから出るのを制限することにより高い背圧を与えることによって制御することができる。言い換えれば、カプセル内のコーヒー粉末の量が少ないほど、流量が小さくなることが好ましい。
【0057】
例えば、
図1aに示される小さいサイズのカプセルにおいては、厚さh1が0.5mmから2.5mmまでの間となるように選択されることが好ましい。
図1b及び1cに示されるより大きいサイズのカプセルにおいては、厚さh2又はh3がそれぞれ、0.8mmから1.8mmまで及び0.5mmから1.5mmまでとなるように選択されることが好ましい。もちろん、そのような値は、特に装置側の弁手段の構成に応じて大きく異なり得る。
【0058】
特定のカプセルのリム3又は環状突出部8の厚さ(h1、h2、h3)は、カプセル容積(すなわち、格納容積)だけでなく、カプセル内に収容される飲料物質の性質(例えば、量、密度、組成など)に対しても、カプセルのリム3が専用の装置の弁の一部と係合するときに生じる背圧が所望の値に調整されるように、適合させることができる。厚さは、装置内へのカプセルの挿入により、飲料抽出プロセス中に背圧を調整するように構成される有効距離である。
【0059】
可能な代替案において、厚さ(h1、h2、h3)は、カプセルのタイプ全体にわたって同一である。その結果、リムへの装置の弁の一部の係合によって生じる初期閉鎖圧力が同じになる。そして、例えば、液体流量、回転速度、事前淹出段階(圧密化、事前湿潤、回転速度の加速ランプなど)についてのパラメータのセット、及び/又はカプセル内の焙煎して挽いたコーヒー粉末の特性(重量、粒度分布など)といった種々の操作パラメータ及び/又は製品パラメータを調整することによって、背圧を、カプセル及び/又は供給されるコーヒーのタイプに応じて制御することができる。
【0060】
図2は、本発明のシステムによる飲料生成装置の、その閉じられた状態の側断面図を示す。この場合、装置は、回転カプセルホルダ10と、回転軸Zの軸によってカプセルホルダ10に接続される回転モータ27とを含む回転駆動手段を含む。装置はまた、遠心力を受けた液体が衝突して飲料出口12を通じて排出される収集器11も含む。
【0061】
さらに、装置は、カプセル1の膜4の中心部分で穿孔して液体(好ましくは、熱水)をカプセル内に供給するように配置された液体注入器13を有する液体供給手段18を含む。注入手段18は、国際公開第2008/148604号に記載されるような一連の出口穿孔器24も含むことが好ましい。従って、膜4の環状部分に出口が形成され、それにより、カプセル1の回転運動中に、抽出された飲料がカプセル1から出ることが可能になる。液体供給手段18は、飲料調製プロセス中に所定量の加熱された加圧液をカプセル1に供給するために、液体供給源21、ポンプ20及びヒータ19を含む液体回路22に接続される。
【0062】
装置は、液体供給手段18の周囲に配置され、下側環状押圧面15aを有する弁部分15をさらに含む。
【0063】
弁部分15及び注入ユニット18は、飲料調製プロセスの前又はその後に、カプセルホルダ10に対するカプセル1の挿入及び排出を可能にするために、カプセルホルダ10に対して移動可能であることが好ましい。また、液体供給手段18、弁部分15、及びカプセルホルダ10は、軸Zを中心に回転することもできる。また、弁部分15は、カプセルの様々な可能な厚さを考慮に入れるように、カプセルに対して係合されるときの注入部分の相対位置に影響を及ぼすことなく、液体供給手段18から独立して移動可能にされる。このため、部分15を液体供給手段18の周囲に摺動可能に取り付けることができる。
【0064】
カプセル1は、本体2が半径方向に実質的に変形することなく、そのリム3がカプセルホルダ10の上側フランジ10a上にしっかりと横たわる。この構成では、液体供給手段18及び弁部分15が、それぞれ膜4及びリムに対して係合される。これにより、システムは、装置の弁部分15とカプセルの弁部分8との係合により制限弁23を形成する。弁23の開構成では、遠心力を受けた液体の流れを装置の衝突面11に放出される液体の少なくとも1つの狭い噴流にすることができる流れ制限部が生み出される。制限部は、1.0mm
2から50mm
2まで、好ましくは1.0mm
2から10mm
2までの表面積を有する環状開口を形成する。流れ制限部の表面積は、カプセルによる弁内で設定された背圧値、弁部分の形状、及びカプセルの回転速度に応じて変化することができ、一般に、速度が高いほど、表面積が大きくなる。流れ制限部は、連続する周方向スリットとして、又は別個の複数の周方向制限開口として形成することができる。
【0065】
制限弁23は、好ましくはばね付勢要素16を含む荷重生成システム16、17によって得られる弾性閉鎖荷重の力のもとで、流路を閉鎖する又は少なくとも制限するように設計される。ばね付勢要素16は、所定の弾性荷重を囲繞部材15に適用する。荷重自体は、主として、リム3の弁部分の環状面に押し当たって閉じるように作用する弁部分15の押圧面15aに沿って分布する。そのような表面は、単純な環状接触線であってもよい。従って、弁23は、通常は、穿孔要素24によって生成されるオリフィスを通って出ていく遠心力を受けた液体により十分な圧力が弁の上流側領域に及ぼされるまで、遠心力を受けた液体のための流路を閉鎖する。液体によるカプセルの事前湿潤(図示せず)中にカプセル内に含まれるガス又は空気の放出に役立つ弁手段23を通じた液体又はガスの少量の漏れが必要になり得ることに留意されたい。ガスの漏れは、少なくともカプセルの外周で特定の圧力に達するまで液密となるように又は少なくとも液体の流れを僅かな流れにまで減らすように、十分に少なくなるように制御されることが好ましい。
【0066】
従って、抽出中、液体は、膜4と弁部分15との間を流れ、ばね付勢要素16の力に抗して囲繞部材15全体を上方に押し上げることによって、弁23を開放させる。従って、遠心力を受けた液体は、部分15の表面15aとリム3又は突出部分18の上面若しくは線との間に生成される制限部を横切ることができる。そのため、液体は、
図2の矢印Aにより示されるように、高速で排出されて収集器11に当たるか、又は収集器と弁23との間に配置された、装置の別の垂直に配向された環状壁(図示せず)に当たる。
【0067】
遠心力を受ける最も外側の接触面(例えば、流れ制限部又は別の表面)と収集器11の衝突壁(例えば、
図2の円筒型垂直壁)との間における、本明細書では「飛行距離(flying distance)」と呼ばれる距離を制御することにより、「クレマ」をカップ内で著しく改善できることが分かった。特に、多量のクレマを供給するためには、この距離をさらに短くすべきであることが分かった。好ましい飛行距離は0.3mmから10mmまで、より好ましくは0.3mmから3mmまで、最も好ましくは0.5mmから1mmまでの範囲であることが分かった。従って、供給されるコーヒー抽出物の量が増大する場合には、それに応じてクレマの量を調整するように飛行距離を増大しなければならないことも分かった。驚いたことに、最も多いクレマは、常に、1mm未満の飛行距離において得られた。もちろん、クレマの形成は、後述するように適切に調整され得る弁の背圧などの他の考え得るパラメータにも依存する(一般に、背圧が高いほど、クレマが多くなる)。
【0068】
従って、カプセル1からの飲料の抽出は、液体をカプセルに供給しながら、液体供給手段18、弁部分15、及びカプセルホルダ10をカプセルと共に軸Zの周りで回転(Y)駆動させることによって得られる。回転は、少なくともカプセルホルダ10又は注入ユニット18に接続される回転モータ27によって駆動される。そのため、本発明によるシステム内に配置されたカプセル1の動作中、カプセル1がその軸Zの周りに回転される。これにより、カプセル1内に中心に注入される液体は、コーヒー粉末を通り抜けて、本体2の側壁の内面に沿って膜4の内側まで案内され、その後、穿孔部材24によって膜4内に形成される穿孔出口開口を通じて案内される。カプセル1内の液体に与えられる遠心力に起因して、液体及びコーヒー粉末は、弁23を通って出ていく前に、液体食品(例えば、液体抽出物)を形成するように相互作用させられる。
【0069】
押圧面15aによりカプセル1のリム3に作用する力を、例えばリム3の厚さh(又は
図1a〜
図1cにおける外側突出部8の厚さh1、h2及びh3)などのリム3の幾何学的形状によって調整できることを理解されたい。従って、特に、リム3に作用して及ぼされる背圧は、リム3の厚さhをその所定の値に適合させることにより調整することができる。この場合、より高い背圧は、より大きい厚さ「h」によって得ることができるが、これは、それによってばね付勢要素16のより大きい圧縮がもたらされ、この圧縮がより大きい力を押圧面15aに及ぼすからである。これに対応して、厚さ「h」の値がより小さくなり、ばね付勢要素16の圧縮がより小さくなると、押圧面15aには相対的にさらに小さい力が作用し、そのため、背圧がより低くなる。従って、結果として高い背圧を得るためには、厚さhが増大するように設計されることが好ましい。
図2に示されるように、係合されたカプセルのリム3に作用する現在の背圧に関する情報、すなわち、圧力又は力の値を与えるために、検知手段26を装置の制御ユニット25に接続することができる。
【0070】
制御ユニット25は、少なくとも、回転モータ27、液体ポンプ20、ヒータ19、及びセンサに接続されることが好ましい。従って、モータ27の回転速度、飲料生成プロセス中にカプセルへ供給される液体の温度、圧力、及び/又は液量などの飲料調製パラメータが、装置の検知手段26又は他のセンサの情報を最終的に使用して調整されてもよい。速度の選択は制御ユニット25で行われ、制御ユニット25は、選択された速度に応じてカプセル内への液体の十分な供給を確保するために、回転モータ27を制御し、必要に応じてポンプ20の流量を制御する。ポンプの調整が入口圧力(カプセル内に注入される水の圧力)を制限するために有益な場合もあり、そのような圧力制御は、カプセルの装置との封止係合によって、例えば注入器13の周囲の封止ガスケットによって与えられる。
【0071】
1つの実施形態において、カプセル1は、淹出パラメータを制御するため及び/又は飲料生成装置と相互作用させるための識別情報を含む。例えば、そのような適切なカプセル及び該カプセルを識別するための関連システムが、国際公開第2011/141532号に開示されている。これにより、識別手段は、飲料生成装置内に係合されたカプセルのタイプに関する情報を提供できるようになることが好ましい。
【0072】
図3は、本発明の1つの実施形態による、装置を動作させるための方法の1つの実施形態のステップを示す。より具体的には、この方法は、カプセルの各タイプ及び/又はそのカプセル内に収容される各原材料についての特定のレシピを用いて、
図1a〜
図1cのカプセルのいずれかによりコーヒー飲料を調製することを可能にする。レシピは、飲料の調製のために飲料調製装置を制御するための情報を含む。より具体的には、レシピは、飲料調製パラメータ、とりわけ、モータ27の回転速度、液体の温度、収集器11の温度、飲料生成プロセス中にカプセルに供給される液体の圧力及び/又は液量、ポンプ20の流量等といった、制御ユニット25により制御されるパラメータに関する情報を含むことができる。より具体的には、レシピは、以下の情報:すなわち、淹出プロセスの特定の段階又は事前湿潤段階中にカプセル内に導入される液体の液量、事前湿潤段階中の液体の流量、事前湿潤段階後の待ち時間、調製する飲料の最大液量、調製する飲料の推奨液量、調製する飲料の最小液量、乾燥段階後に残っている水の液量、淹出の特定の段階中又は特定の段階の間の移行中の淹出ユニットの回転速度の加速ランプ、淹出の特定の段階中又は特定の段階の間の移行中にカプセル内に導入される液体の初期流量、淹出の特定の段階中又は特定の段階の間の移行中にカプセル内に導入される液体の流量の加速ランプ、淹出プロセスの特定の段階又は事前湿潤プロセス中の液体の目標温度、淹出プロセスの様々な段階又は事前湿潤プロセスの収集器の目標温度、淹出プロセスの様々な段階又は事前湿潤プロセスの開始及び/又は終了を識別する移行点、乾燥段階中の淹出ユニットの最小回転速度、乾燥段階への移行中の淹出ユニットの回転速度の加速ランプ、乾燥段階の継続時間等のうちの少なくとも1つ又は組み合わせに関する情報を含むことができる。
【0073】
第1のステップ110において、調製する飲料に関する情報を収集し及び/又は決定する。例えば、調製する飲料のタイプは、カプセルホルダ10に挿入されるカプセルのタイプ、及び/又は、調製する飲料の液量などの、ユーザによって与えられる情報を認識することによって決定することができる。1つの実施形態において、カプセル1は、淹出パラメータを制御するため及び/又は飲料生成装置と相互作用させるための識別手段を含む。例えば、そのような適切なカプセル及びそのカプセルを識別するための関連システムが、国際公開第2011/141532号に開示されている。前述のようにカプセル1a、1b又は1cが装置に挿入されると、その識別手段を用いてこのカプセルが認識され、及び/又は、その識別手段を用いて調製する飲料に関する情報が読み取られ又は用いて決定される。
【0074】
第1のステップの1つの実施形態において、調製する飲料に関する情報は、国際公開第2011/141532号に記載されるように、カプセルホルダ内へのカプセルの導入後に、カプセルの外周リム内に印刷されたコードを回転しながら読み取ることによって、決定される。コードは、例えばレシピに対応する一意の番号など、レシピの識別子を含むことができる。コードは、例えば、カプセルのタイプ及び/又はカプセル内に含まれる原材料のタイプに対応する一意の番号など、カプセルのタイプ及び/又はカプセル内に含まれる原材料のタイプに関する識別子を含むことができる。
【0075】
調製する飲料に関する情報は、特定のアドレスに対するデータを読み取ること、又は特定のアドレスからデータを受け取ることによって取得することができる。カプセル上のコードは、そのアドレスを含むことができる。アドレスは、レシピが格納されているマシン内のメモリ空間を指し示すことができる。代替的に、アドレスは、レシピが格納されている外部メモリ位置を指し示すことができ、マシンは、その位置におけるレシピに関する情報を取得するように構成される。代替的に、アドレスは外部装置を指し示すこともでき、外部装置は、要求の受信時にレシピを送るように構成される。
【0076】
コードは、カプセルと共に用いられるレシピに関する情報の少なくとも一部分を含むことができる。カプセルに直接埋め込まれたレシピに関する情報は、そのレシピに関する他の情報が利用可能でないか又は部分的に利用可能である場合に、マシンにより用いることができる。例えば、コードは、淹出プロセスの特定の段階中又は事前湿潤段階中にカプセル内に導入される液体の液量、事前湿潤段階中の液体の流量、事前湿潤段階後の待ち時間、調製する飲料の最大液量、調製する飲料の推奨液量、調製する飲料の最小液量、乾燥段階後に残っている水の液量、淹出の特定の段階中又は特定の段階の間の移行中の淹出ユニットの回転速度の加速ランプ、淹出の特定の段階中又は特定の段階の間の移行中にカプセル内に導入される液体の初期流量、淹出の特定の段階中又は特定の段階の間の移行中にカプセル内に導入される液体の流量の加速ランプ、淹出プロセスの特定の段階又は事前湿潤プロセス中の液体の目標温度、淹出プロセスの特定の段階中又は事前湿潤プロセス中の収集器の目標温度、淹出プロセスの様々な段階又は事前湿潤プロセスの開始及び/又は終了を識別する移行点、乾燥段階中の淹出ユニットの最小回転速度、乾燥段階への移行中の淹出ユニットの回転速度の加速ランプ、乾燥段階の継続時間などに関する情報の任意の組み合わせを含むことができる。
【0077】
第2のステップ120において、第1のステップ110中に収集及び/又は決定された、調製する飲料に関する情報に従って、レシピが決定及び/又は取得される。レシピは、カプセルホルダ10に挿入されるカプセルのタイプ、カプセルホルダ10に挿入されるカプセル内に収容される原材料のタイプ、及び/又はユーザによって与えられた及び/又はそのカプセル内に埋め込まれた情報に従って、決定及び/又は取得することができる。レシピは、例えば、レシピの識別子、及び/又はカプセルのタイプの識別子、及び/又はカプセル内に収容される原材料の識別子、及び/又はユーザによって与えられた情報を用いて、マシン内に格納された及び/又はマシンによりアクセス可能なリストから、読み出すことができる。
【0078】
第3のステップ130において、飲料調製マシンは、第2のステップ120中に選択されたレシピを適用して、飲料を調製する。より具体的には、制御ユニットは、飲料調製マシンの様々な部分を、レシピ内に含まれる対応するパラメータの目標値を適用するように調整するように構成される。例えば、液体の流量及び量は、流量計(図示せず)によって制御され、この流量計が、液体供給ポンプの計算及び制御のために流量情報を制御ユニットに提供し、所定の時間又は調製される飲料の液量に関して、レシピ内に記載された目標レベルに達するようにする。
【0079】
1つの実施形態において、第2のステップ中に選択されるレシピは、パラメータの少なくとも2つのセットS1、S2を含む。パラメータの各セットは、対応するセットのパラメータを適用するために満たされるべき条件を含む。例えば、セットS1、S2は、それぞれ、調製済みのコーヒーの液量に関連する条件C1、C2を含むことができる。条件C1は、例えば、「調製済みのコーヒーの液量は、調製するコーヒーの全液量の0%から50%までの間である」とすることができる。条件C2は、「調製済みのコーヒーの液量は、調製するコーヒーの全液量の51%から100%までの間である」とすることができる。制御ユニット25は、第3のステップ130中に、対応する条件が確認されるまでパラメータの各セットのパラメータを適用することによって、調製を制御するように構成される。例えば、制御ユニット25は、条件C2が確認されるまで、すなわち、調製済みのコーヒーの液量が調製するコーヒーの全液量の51%から100%までの間となるまで、セットS2内に含まれるパラメータを適用することによって、調製を制御するように構成される。
【0080】
ここで、
図4を参照して、飲料調製プロセスの一例を説明する。ダイアグラムのX軸は、秒単位で表した時間スケールに対応する。ダイアグラムの左Y軸は、毎分回転数(rpm)でのモータ27の回転速度に対応し、ダイアグラムの右Y軸は、ポンプ20の流量に対応する。曲線TRは、選択されたレシピに記載されるモータ27の目標回転速度に対応する。曲線TFは、選択されたレシピに記載されるポンプの目標流量に対応する。
【0081】
コードを含むカプセル1a、1b又は1cを装置に挿入した後、ユーザは、通常、調製プロセスを開始するためのスイッチ(図示せず)を作動させるか、又は、装置にカプセルを挿入した後、プロセスが自動的に開始することができる。
【0082】
乾燥遠心作用又は圧密化段階201において、制御ユニット25は、回転駆動手段(
図2のモータ27)に、乾燥コーヒー粉末の最適な遠心作用301、302、303、304を開始するように命令する。液体ポンプ20は、まだ作動されない。回転速度303は、カプセルの外周に対する、主に側壁及び上壁の外周領域に対するコーヒーの圧密化を確実にするために、比較的高く、約2000rpmから5000rpmまで、典型的には3000rpmであり、且つ、その継続時間は短く、2秒から6秒までである。コードは、この段階の間、回転しながら読み取られる。
【0083】
第1のステップ110中にコードを読み取った後、コントローラは、このコードを用いてレシピRを選択又は決定する。例えば、制御ユニットは、コードに含まれる識別子を用いて、対応するレシピRが格納されている内部メモリにアクセスすることにより、第2のステップ中に、レシピRのデータを取得することができる。この例では、レシピRは、それぞれ6つの条件C1、C2、C3、C4、C5、C6を含む6つのパラメータのセットS1、S2、S3、S4、S5、S6を含む。
【0084】
セットS1は、事前湿潤段階202を定める。条件C1は、乾燥遠心作用段階201の終了後、カプセルが事前湿潤液量PWVの液体で満たされるまで、S1を用いるべきであると指定する。セットS1は、ヒータ19の目標温度PWT、収集器11の目標温度PWTC、ポンプ20の目標流量401、モータ27についてのOFFコマンド(すなわち、モータ27の目標回転速度が0rpmに等しい)を含む。
【0085】
セットS2は、事前湿潤待ち段階(
図4のダイアグラムには表されていない)を定める。条件C2は、事前湿潤段階202の終了後、事前湿潤待ち時間PWTMが満了するまで、セットS2を用いるべきであると指定する。セットS2は、ポンプ20のOFFコマンド(すなわち、ポンプの目標流量が0ml/分に等しい)を含む。
【0086】
セットS3は、第1の淹出段階203を定める。条件C3は、事前湿潤待ち段階の終了後、調製済みの飲料の液量が、液体の第1段階液量閾値VT1を上回るか又はこれに等しくなるまで、セット3を用いるべきであると指定する。セットS3は、ヒータ19の目標温度TT1、収集器11の目標温度TTC1、ポンプ20の目標流量コマンドTFC1、モータ27の目標回転速度コマンドTRSC1を含む。ポンプ20の目標流量コマンドTFC1は、初期流量目標402、流量加速目標403、及び流量目標404を含む。目標回転速度コマンドTRSC1は、初期回転速度目標301、回転速度加速目標、及び回転速度目標305を含む。初期回転速度目標301は、第1の淹出段階203の開始時の無駄時間を回避し、モータの反応時間を減らすことを可能にする。
【0087】
セットS4は、第2の淹出段階204を定める。条件C4は、第1の淹出段階203の終了後、調製済みの飲料の液量が液体の第2段階液量閾値VT2を上回るか又はこれに等しくなるまで、セットS4を用いるべきであると指定する。セットS4は、ヒータ19の目標温度TT2、収集器11の目標温度TTC2、ポンプ20の目標流量コマンドTFC2、モータ27の目標回転速度コマンドTRSC2を含む。ポンプ20の目標流量コマンドTFC2は、流量目標405を含む。目標回転速度コマンドTRSC2は、移行回転速度目標306、及び回転速度目標307を含む。
【0088】
セットS5は、第3の淹出段階205を定める。条件C5は、第2の淹出段階204の終了後、調製済みの飲料の液量が、少なくとも、調製する飲料の液量に等しくなるまで、セットS5を用いるべきであると指定する。セットS5は、ヒータ19の目標温度TT3、収集器11の目標温度TTC3、ポンプ20の目標流量コマンドTFC3、モータ27の目標回転速度コマンドTRSC3を含む。ポンプ20の目標流量コマンドTFC3は、流量目標406を含む。目標回転速度コマンドTRSC3は、移行回転速度目標306、及び回転速度目標308を含む。
【0089】
セットS6は、乾燥段階206を定める。条件C6は、第3の淹出段階205の終了後、乾燥が完了するまで又はある時間が経過するまで、セットS6を用いるべきと指定する。セットS6は、ヒータのスイッチを切るためのOFFコマンド、ポンプのスイッチを切るためのOFFコマンド、モータ27の目標回転速度コマンドTRSC4を含む。目標回転速度コマンドTRSC4は、回転速度目標310、及び移行回転速度目標311を含む。
【0090】
一般に、移行液量又は「段階液量閾値」(全液量の%)は、装置により、目標カップ容積(例えば、220ml)及び乾燥後にカプセル内に残る液体の液量(例えば、12ml)を求めることによって、決定されることが好ましく、そのような液量が30%に設定された場合、次の淹出段階は、液体の集積液量が69.6mlに達するとすぐに開始する。装置はまた、カプセル内に残る液体の液量の変化も、カプセルの容積の関数として考慮に入れる。所与の淹出段階(例えば、第3の淹出段階)において、移行液量が100%に設定された場合、この淹出段階は、装置により単に無視される。
【0091】
識別手段及び認識情報の実施例
図6を参照すると、コード支持体が平面図で示される。本発明によるカプセルは、少なくとも1つの光学的に読み取り可能なコード支持体を含む。コード支持体は、遠心ユニットによってカプセルの軸Zの周りをカプセルが回転する際に回転駆動されるように、カプセルと関連付けられる又はカプセルの一部分であるように構成される。カプセルの受け部分は、カプセルのリム3の下面である。コード支持体は、記号の少なくとも1つのシーケンスが表示された外周部を有するリングであってもよく、これにより、ユーザは、飲料マシンの淹出ユニット内にカプセルを導入する前にカプセルの外周部上にリングを位置決めすることができる。
【0092】
記号は、光学的コード支持体上に表される。記号は少なくとも1つのシーケンスの形で配置され、シーケンスは、カプセルに関する情報のセットをコード化する。典型的には、各記号は特定の二進値に対応し、第1の記号は二進値の「0」を表すことができ、一方、第2の記号は二進値の「1」を表すことができる。
【0093】
図6に示される実施形態において、支持体は、内半径24.7mm及び外半径27.5mmの環形を有する。支持体60bの平均半径Rは26.1mmに等しい。記号は、26.1mmに等しい半径R
sを有する円に沿って配置される。そして、各記号の幅Hsの最大値は、2.8mmに等しい。コード支持体60bは、各々が1ビットの情報をコード化する160個の記号を含む。記号は連続的であり、各記号は、2.25°の弧線長さ(arc−linear length)θ
Sを有する。
【0094】
各記号は、カプセルがカプセルホルダ内に配置され、上記記号が点Fで光源光線105aと位置合わせされたときに、
図5a及び
図5bの読取機構100によって測定されるように構成される。より具体的には、各々の様々な記号は、上記記号の値と共に変わる光源光線105aの反射率のレベルを示す。各記号は、光源光線105aの様々な反射特性及び/又は吸収特性を有する。
【0095】
読取機構は、コード支持体の照射セクションの特性のみを測定するように構成されているため、光源光線がコードに含まれる全ての記号を照射するまで、カプセルが駆動手段によって回転される必要がある。一般的には、コードを読み取るための速度は、0.1rpmから2000rpmまでにされ得る。
【0096】
図5a及び5bにおいて、読取機構100は、光源光線105aを発するための発光器103と、反射光線105bを受け取るための受光器102とを含む。
【0097】
典型的には、発光器103は発光ダイオード又はレーザダイオードであり、赤外光、より具体的には、波長850nmの光を発する。一般的に、受光器102は、受け取った光線を電流信号又は電圧信号に変換するように構成された光ダイオードである。
【0098】
読取機構100は、プロセッサを組み込んだプリント基板、センサ信号増幅器、信号フィルタ、並びに、処理手段106を発光器103、受光器102、及びマシンの制御ユニット9に結合するための回路を含む、処理手段106も含む。
【0099】
発光器103、受光器102、及び処理手段106は、支持体101によって固定位置に保持され、マシン・フレームに対して相対的に堅固に固定される。読取機構100は、抽出プロセス中にその位置に留まり、カプセルホルダ32とは対照的に、回転駆動されない。
【0100】
特に、発光器103は、光源光線105aがほぼ直線Lに沿って方向付けられるように配置され、直線Lは、カプセルホルダ32の受け部分34を含む平面Pと固定点Fで交差し、この平面Pは、点Fを通過する法線Nを有する。固定点Fは、光源光線105aが反射面に当たるようにされる空間における絶対位置を決定するものであり、固定点Fの位置は、カプセルホルダが回転するときに不変のままである。読取機構は、集束手段104を含むことができ、集束手段は、例えば、穴、レンズ、及び/又はプリズムを使用して、光源光線105aが、カプセルホルダ32内に配置されたカプセルの蓋の下面の固定点Fにより効率的に集束するようにできる。特に、光源光線105は、固定点Fを実質的に中心として円盤を照射するように集束され得る。
【0101】
読取機構100は、
図5aに示されるように、線Lと法線Nとの間の角度θ
Eが2°から10°までの間、特に4°から5°までの間となるように構成される。その結果、反射面が点Fに配置されたとき、反射光線105bは、固定点Fと交差する線L’にほぼ沿って方向付けられ、
図5aに示されるように、線L’と法線Nとの間の角度θ
Rは、2°から10°までの間、特に4°から5°までの間である。受光器102は、線L’にほぼ沿って方向付けられた反射光線105bを少なくとも部分的に集めるように支持体101上に配置される。集束手段104はまた、反射光線105bが受光器102により効率的に集中するように構成することもできる。
図5a、
図5bに示される実施形態においては、点F、線L及び線L’は同一平面上にある。別の実施形態においては、点F、線L及び線L’は同一平面上ではなく、例えば、点F及び線Lを通る平面と、点F及び線L’を通る平面とは、実質的に90°の角度で配置され、直接反射を除外し、よりロバストでノイズが少ない読取システムを可能にする。
【0102】
カプセルホルダ32は、線Lに沿って点Fまでの光源光線105aの部分的な透過を可能にするように構成される。例えば、カプセルホルダの円筒型又は円錐形の大きく開いた形状の空洞を形成する側壁が、赤外光に対して不透明でないように構成することができる。この側壁は、赤外光が入ることを許容する入射面を有する、赤外線に対して透光性があるプラスチックベースの材料から作成されてもよい。
【0103】
その結果、カプセルがカプセルホルダ32内に配置されたとき、光線105aは、反射光線105bを形成する前に、点Fで該カプセルのリムの底部に当たる。この実施形態においては、反射光線105bは、カプセルホルダの壁を通して受光器102まで通過する。
【0104】
カプセルホルダ32内に配置され、光源光線105によって点Fで照射される、カプセルのリム23の下面の部分は、カプセルホルダ32が回転駆動された場合のみ、時間経過と共に変化する。従って、光源光線105がリムの下面の環状部分全体を照射するためには、カプセルホルダ32の完全な回転が必要とされる。
【0105】
出力信号は、反射光線の強度を時間経過と共に測定することにより、場合によっては、光源光線の強度に対して反射光線の強度を比較することにより、計算又は生成することができる。出力信号は、時間経過に伴う反射光線の強度の変動を求めることによって、計算又は生成することができる。
【0106】
カプセルに関する情報は、例えば、レシピがマシン内に格納されている位置を定めるレシピアドレスについての番号コード化、調製の際に装置によってカプセルに適用されるレシピのタイプに関するレシピ番号コード化、並びにオプションとして、特定のパラメータ又は情報(例えば、製品番号、製品名など)を含むことができる。カプセル上のコードは、カプセル内のコーヒーの圧密化段階中に装置によって識別されることが好ましい。
【0107】
事前飲料調製ステップの実施例
カプセル上のコードの読み取り及びコーヒーの圧密化段階を可能にするためにモータの回転を開始するためには、「準備完了モード」に対する条件が予め満たされている必要がある。例えば、ヒータ及び収集器の温度が温度目標値に達し、ポンプ及び回転モータは「オフ」である必要がある。予備的「準備完了モード」の終了条件は、ユーザが開始ボタンを押すこととすることができる。従って、次の段階は、「コード読み取り及び圧密化」段階であり、それに対する終了条件は、好ましくは準備完了モード段階の条件が依然として満たされていることに加えて、カプセルのタイプが適切に識別されていることとすることができる。「コード読み取り及び圧密化」段階において、好ましくは、目標回転速度及び加速/減速に関連するパラメータが制御される。
【0108】
以下の例は、本発明による、認識情報に従って選択することができる、目標値のセット及び条件(C)を含むレシピを提示する。
【0109】
選択可能なショートコーヒーレシピの実施例
【表1】
【0110】
選択可能なロングコーヒーレシピの実施例
【表2】