(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軸方向で可動の構成要素は、ハウジングの外部にある、ハウジングに対して回転方向で固定された、ハウジングに対して軸方向で可動である把持スリーブである、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
デバイスのモードがダイヤル設定モードから用量送達モードに変わると、複数の電気接点がエンコーダパターンから傾斜面を下に動くように構成される、請求項8に記載の薬物送達デバイス。
ばねは、デバイスをダイヤル設定モードから送達モードに動かすと圧縮され、圧力が用量送達ボタンから解放された後、複数の電気接点が傾斜面を上に滑るようにさせるように構成される、請求項9または10に記載の薬物送達デバイス。
接点支持構成要素は、傾斜面を備える分割された接点スリーブを含み、デバイスは、接点スリーブの傾斜面に接触する中間スリーブ上の傾斜形状を含む、請求項12に記載の薬物送達デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0018】
最初に
図1を参照すると、本発明の様々な実施形態による薬物送達デバイス100の外観図が示される。
図1に示されるデバイス100は、インスリンなどの薬剤を設定し送達するための、細長い円筒形状を有するペン型注射デバイスである。デバイス100は、第1のハウジング部材104および第2のハウジング部材106を有するハウジング102を含む。回転可能なダイヤル108は、第1のハウジング部材104の第1の端部(または近位端)に位置する。回転可能なダイヤル108は、第1のハウジング部材104とほぼ同じ外径を有する。第2のハウジング部材106は、第1のハウジング部材104の第2の端部に取外し可能に連結されてもよい。第2のハウジング部材106は、針(図示なし)または類似の薬物送達装置が取り付けられるように構成される。これを達成するため、第2のハウジング部材106の第2の端部(または遠位端)は、ねじ付き部分110を有してもよい。ねじ付き部分110は、第2のハウジング部材106の残りの部分よりも小さい直径を有してもよい。
【0019】
ディスプレイ取付具112は第1のハウジング部材104上に位置する。ディスプレイはディスプレイ取付具112上で支持されてもよい。ディスプレイは、LCDディスプレイ、セグメント化ディスプレイ、または他の任意の適切なタイプのディスプレイであってもよい。ディスプレイ取付具112は、第1のハウジング部分104の陥凹部(図示なし)を覆ってもよい。
図2を参照してさらに詳細に記載する、多数の電子構成要素が、ディスプレイ取付具112の下に配設されてもよい。
【0020】
第1のハウジング部材104は薬物用量設定および送達機構を収容する。第2のハウジング部材106は薬物カートリッジ(図示なし)を収容する。薬物カートリッジに収容された薬物は、任意の種類の薬剤であってもよく、好ましくは液状であってもよい。第1のハウジング部材104の薬物送達機構は、第2のハウジング部材106の薬物カートリッジと係合して、薬物の放出を容易にするように構成されてもよい。第2のハウジング部材106は、薬物カートリッジを挿入するかまたは使用済みカートリッジを除去するために、第1のハウジング部材104から取り外されてもよい。第1および第2ハウジング部材104、106は、任意の適切な方法で、例えばねじまたはバヨネット式接続を用いて、共に連結されてもよい。第1および第2のハウジング部材104、106は、薬物カートリッジが薬物送達デバイス100内に恒久的に収容されるような形で、共に不可逆的に連結されてもよい。さらに、第1および第2のハウジング部材104、106は、単一のハウジング部材の一部を形成してもよい。
【0021】
回転可能なダイヤル108は、送達予定の薬物用量を設定するために、薬物送達デバイス100のユーザが手で回転させるように構成される。ダイヤル108は、内部スレッディングシステムに連結されてもよく、それによってダイヤル108が、第1の方向で回転させるにつれてハウジング102から軸方向で変位される。ダイヤル108は、両方向で、または第1の方向のみで回転可能であってもよい。デバイス100は、薬物用量が回転可能なダイヤル108の回転によって設定された後で、ユーザがデバイスの近位端に軸方向力を及ぼしたときに、設定された薬物用量を送達するように構成される。回転可能なダイヤル108は、設定された薬物用量を送達するために、押し下げなければならない用量送達ボタン(
図3の416)を支持してもよい。あるいは、回転可能なダイヤル108は、(後述する第1〜第6の実施形態のような)用量送達ボタンを兼ねてもよい。ディスプレイ112は、設定および/または送達された薬物用量に関する情報を表示するように構成されてもよい。ディスプレイ112は、実時間、最後の使用/注射の時間、残りの電池容量、ダイヤル設定された用量が完全に投薬されていないことを示す1つもしくはそれ以上の警告表示、および/またはその他の追加情報をさらに示してもよい。
【0022】
次に
図2を参照すると、薬物送達デバイス100の一部を形成する電気回路構成200の概略図が示される。回路構成200は、プロセッサ202、ROM 204などの不揮発性メモリ、フラッシュメモリ205などの書込み可能な不揮発性メモリ、RAM 206などの揮発性メモリ、ディスプレイ210、接点212(接点212a〜212iとして後述する)、およびこれらの構成要素それぞれを連結するバス208を含む。回路構成200はまた、さらに詳細に後述するように、電池214、または構成要素それぞれに電力を供給する他の何らかの適切な電力源と、スイッチ216とを含む。
【0023】
回路構成200はデバイス100と一体であってもよい。あるいは、回路構成200は、デバイス100に付着させることができる電子モジュール内に収容されてもよい。それに加えて、回路構成200は、光または音響センサなどの追加のセンサを含んでもよい。回路構成200は、可聴警報(図示なし)を含んでもよく、それをプロセッサ202が、ダイヤル設定された用量が完全に投薬されていないときに警告音を鳴らすように制御してもよい。
【0024】
ROM 204は、ソフトウェアおよび/またはファームウェアを記憶するように構成されてもよい。このソフトウェア/ファームウェアは、プロセッサ202の動作を制御してもよい。プロセッサ202は、ROMに記憶されたソフトウェア/ファームウェアを実行して、ディスプレイ210の動作を制御するため、RAM 206を利用する。そのため、プロセッサ202はディスプレイドライバも含んでもよい。プロセッサ202は、さらに詳細に後述するように、フラッシュメモリ205を利用して、ダイヤル設定された決定用量および/または投薬された決定用量を記憶する。
【0025】
電池214は、接点212を含む構成要素それぞれに電力を供給してもよい。接点212に対する電気の供給はプロセッサ202によって制御されてもよい。プロセッサ202は、接点212から信号を受けてもよく、それによって接点がいつ通電されたかを判断することができ、これらの信号を解釈するように構成される。情報は、ソフトウェア/ファームウェアおよびプロセッサ202の動作によって、適切な時にディスプレイ210上に提供されてもよい。この情報は、プロセッサ202が接点212から受けた信号によって決定される測定値を含んでもよい。
【0026】
後述するように、多数の接点212がデバイス100に存在してもよい。
【0027】
以下に、第1のハウジング部材104内で支持された用量設定および送達機構の動作について、
図3〜6を参照してさらに十分に説明する。
図3は、薬物送達デバイス100の用量設定機構400の断面図である。
図4は、用量設定機構400の一部分の詳細図である。
図5は、
図3に「A」で示される領域の拡大図を示す。
【0028】
用量設定機構400は、外側ハウジング404、内側ハウジング408、および回転可能なスリーブ406を含む。回転可能なスリーブ406はスリーブの一例である。内側ハウジング408は本体構成要素の一例である。これらの構成要素は同心で配置された中空の円筒である。回転可能なスリーブ406は、外側および内側ハウジング404、408の間に配設される。
【0029】
内側ハウジング408は、内側ハウジング408の外表面434に沿って設けられた溝432を含む。回転可能なスリーブ406の内表面438上に設けられた溝ガイド436は、この溝432と回転方向で係合される。
【0030】
用量ダイヤル把持部402は、外側ハウジング404の近位端に位置する。用量ダイヤル把持部402は、回転可能なスリーブ406の近位端の外表面の周りに配設される。用量ダイヤル把持部402の外径は、好ましくは外側ハウジング404の外径に相当する。用量ダイヤル把持部402は回転可能なスリーブ406に固定されて、これら2つの構成要素の相対運動が防止される。用量ダイヤル把持部402は、回転可能なダイヤル108によって
図1の外観図に表される。用量ダイヤル把持部402は、近位方向でばね付勢を有し、デバイス100のユーザによって用量ダイヤル把持部402に押し込まれるように構成された、用量送達ボタン416を支持する。
【0031】
スピンドル414は機構400内で中心に配設される。スピンドル414は、少なくとも1つの螺旋溝を備える。図示される実施形態では、スピンドル414は、スピンドルの長さの少なくとも大部分にわたって好ましくは延びる、2つの反対回りの重なり合う溝形状を有する。各溝形状は、多数の巻回全体にわたって事実上連続的である。スピンドルの各溝は、本体部分上またはドライバ上どちらかで非連続的な螺旋溝形状を係合してもよい。本体およびドライバに形成されたどちらかまたは両方の非連続的なねじ山は、一回転未満のねじ山から成ってもよい。スピンドル414の第1のねじ山は、内側ハウジング408の一部分と連結するように構成される。
【0032】
用量設定機構400はまた、ばね401と、クラッチ405と、第1のドライバ部分407および第2のドライバ部分412を有するドライバ409とを含む。これらのドライバ部分407、412は、スピンドル414の周りを延びる。第1および第2のドライバ部分407、412は共に、概して円筒状である。クラッチ405はドライバ409の周りに配設される。第1のドライバ部分407は、第1の構成部材410および第2の構成部材411を含んでもよい。あるいは、第1のドライバ部分407は一体構成部材であってもよい。
【0033】
用量設定機構400では、ユーザが用量ダイヤル把持部402を用いて用量をダイヤル設定するので、金属ばね401は、クラッチ405と回転可能なスリーブ406との間のしっかりした結合、および第1のドライバ部分407と第2のドライバ部分412との間のしっかりした結合の両方の、しっかりした結合の係合を維持するのに十分な強度であるように選択される。回転可能なスリーブ406は、ユーザが用量ダイヤル把持部402を回転させると、回転可能なスリーブ406も回転するようにして、用量ダイヤル把持部402に連結される。回転可能なスリーブ406を第1の回転方向で回転させると、内側ハウジング408にねじ込み接続されていることにより、近位方向に軸方向で動く。
【0034】
このねじ込み接続は、回転可能なスリーブ406上のねじ山形状436、および内側ハウジング408上のねじ山形状432を含む。これらは
図4で最も良く見られる。
図4では、回転可能なスリーブ406上のねじ山形状436が雄(溝ガイド)であり、内側ハウジング408上のねじ山形状432が雌(溝)であるが、別の方法として、両方のねじ山形状432、436が雄であってもよく、またはねじ山形状436が雌であってもよく、ねじ山形状432が雄であってもよい。
【0035】
薬物送達デバイスが投薬を行っているとき、ユーザは、機構400の近位端に位置する用量送達ボタン416に軸方向負荷を加える。用量送達ボタン416は、クラッチ405に軸方向で結合され、これによって相対的な軸方向運動を防ぐ。したがって、クラッチ405は、カートリッジ端部、または用量設定機構400の遠位端に向かって、軸方向で動く。この動きによってクラッチ405が回転可能なスリーブ406から係脱して、ギャップ「a」を塞ぎながら相対的に回転させることが可能になる。クラッチ405は、クリッカ420に対して、即ち内側ハウジング408に対して回転しないようにされる。しかしながら、このシナリオでは、第1のドライバ部分407と第2のドライバ部分412との間の結合もまた、係脱しないようにされる。したがって、用量送達ボタン416が軸方向荷重を受けていないとき、スピンドル414に対する任意の軸方向荷重のみによって、第1および第2のドライバ部分407、412が係脱される。したがって、これは投薬中には起こらない。
【0036】
用量制限器418(
図4に示される)が第1のドライバ部分407上に設けられ、図示される配置ではナットを含む。用量制限器418は、第1のドライバ部分407の螺旋溝と一致する内部螺旋溝を有する。1つの好ましい配置では、用量制限器418の外表面および内側ハウジング408の内表面は、スプラインによって共にキー止めされる。これにより、用量制限器418とハウジング408との間の相対的回転を防止しながら、これら2つの構成要素間の相対的な長手方向運動が可能になる。
【0037】
図6は、
図3〜5に示される第1のドライバ部分407および第2のドライバ部分412の第1の配置を詳細に示す。
図6に示されるように、第2のドライバ部分412は概して管状であり、第2のドライバ部分412の遠位端にある少なくとも1つの駆動ドッグ450を含む。第1のドライバ部分407も概して管状であり、第2のドライバ部分412上の駆動ドッグ450と係合するようにサイズ決めされた複数の陥凹部452を含む。駆動ドッグおよび陥凹部の構造によって、第1および第2のドライバ部分が軸方向で共に押されたとき、駆動ドッグ450との係脱が可能になる。この構造はまた、これらの構成要素がばねによって離れたときに回転方向の結合を作り出す。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1のドライバ部分407は、第2の部分(第2の構成部材)411に恒久的にクリップ留めされた第1の部分(第1の構成部材)410を含む。この配置では、第2の構成部材411は複数の陥凹部452を含み、第1の構成部材410は、用量制限器418のナットに対する外部溝、ならびに内部溝454を含む。この内部溝454は、スピンドル414に連結するのに使用され、用量投与中はスピンドル414を駆動する。図示される実施形態では、内部溝454は、完全な螺旋溝よりも簡単に製造できる、一部螺旋溝を含む。
【0039】
内側ハウジング408を利用するこの用量設定機構400の1つの利点は、内側ハウジング408を、回転可能なスリーブ406の溝ガイド436および溝432に対する摩擦を最小限に抑えるエンジニアリングプラスチックから作ることができる点である。例えば、1つのかかるエンジニアリングプラスチックはアセタールを含むことができる。しかしながら、当業者であれば、低い摩擦係数を有する他の同等のエンジニアリングプラスチックも使用できることを認識するであろう。かかるエンジニアリングプラスチックを使用することによって、外側ハウジング404は正常な動作中に動く構成要素を何ら係合しないので、外側ハウジング404の材料を、摩擦に関連する要件なしに美観的または触感的な理由で選ぶことができる。
【0040】
回転可能なスリーブ406と内側ハウジング408との間の溝付きの境界面における有効駆動直径(「D」で表される)は、同じ外側本体の直径に対して特定の既知の薬物送達デバイスに比べて低減される。これにより、効率が改善されると共に、この溝および溝ガイドの連結に関して、薬物送達デバイスがより低いピッチ(「P」で表される)で機能することが可能になる。換言すれば、ねじ山のねじれ角によって、軸方向で押されたときコード化された部材が回転するか、それとも内側本体にロックするかが決定し、このねじれ角はP/Dの比に比例する。
【0041】
薬物送達デバイス100の外側ハウジング404にある陥凹部442を、
図3で見ることができる。この陥凹部442は、上述したプロセッサ202、ROM 204、フラッシュメモリ205、RAM 206、ディスプレイ電子部品、接点212、および電池214を含む、インサートまたは電子モジュール(図示なし)を受けるように構成されてもよい。あるいは、接点212は、外側ハウジング404の内表面上の別の位置で支持され、導電路またはワイヤによってプロセッサ202および電池214にリンクされてもよい。
図1に示されるディスプレイ取付具112は、インサートの頂部に配設されてもよく、またはインサートと一体であってもよい。ディスプレイ取付具112はディスプレイ210を支持するように構成される。ディスプレイ210は、陥凹部442より大きくてもよく、したがって外側ハウジング404から突出してもよい。あるいは、ディスプレイ取付具112およびディスプレイ210は共に、ディスプレイ210が外側ハウジング404の外表面と面一であるようにして、陥凹部442に受け入れられるように構成されてもよい。接点212は、さらに詳細に後述するように、回転可能なスリーブ406の回転位置を判断するのを容易にするように、回転可能なスリーブ406に接触するように構成される。
【0042】
図3〜6に示される用量設定機構400は、付着した薬物カートリッジ内の薬剤が放出された後、初期位置に再設定されるように構成される。これにより、新しいカートリッジを挿入し、薬物送達デバイス100を再使用することが可能になる。この再設定は、スピンドル414の遠位端、即ち薬物カートリッジと通常係合し、カートリッジホルダの除去と関連付けられた任意の機構を要しない端部上において、軸方向で押すことによって達成されてもよい。
図3および4に示されるように、第1のドライバ部分407が第2のドライバ部分412に向かって軸方向で押される(即ち、近位方向で押される)と、ドライバ409は、用量設定機構400の残りから切り離される。
【0043】
スピンドル414に対する軸方向力により、スピンドル414は、内側ハウジング408に対してねじ込み接続されていることによって回転する。スピンドル414のこの回転および軸方向運動により、次いで、第1のドライバ部分407が第2のドライバ部分412に向かって軸方向で動く。これにより、第1のドライバ部分407および第2のドライバ部分412が最終的に切り離される。
【0044】
第1のドライバ部分407がこのように第2のドライバ部分412に向かって軸方向運動することで、特定の利点がもたらされる。例えば、1つの利点は、金属ばね401が縮み、したがって
図3〜5に示されるギャップ「a」を閉じることである。これは次いで、クラッチ405がクリッカ420から、または回転可能なスリーブ406から係脱するのを防ぐ。第2のドライバ部分412は、クラッチ405にスプライン接続されるので、回転しないようにされる。クリッカ420は内側ハウジング408にスプライン接続される。したがって、ギャップ「a」が低減されるかまたは塞がれると、第2のドライバ部分412は、内側ハウジング408または回転可能なスリーブ406のどちらに対しても回転することができない。結果として、回転可能なスリーブ406は内側ハウジング404に対して回転することができない。回転可能なスリーブ406が回転しないようにされた場合、スピンドル414を用量設定機構400内に後退させ、それによって再設定する際に、力がスピンドル414に加わった結果として、回転可能なスリーブ406が用量設定機構400の近位側から押し出されるリスクがなくなる。
【0045】
内側ハウジング408を含む用量設定機構400の別の利点は、今度は再設定可能および再設定不能の両方の薬物送達デバイスに対応することができる薬物送達デバイスプラットフォームとして、わずかに修正を加えて用量設定機構400を設計できるという点である。単なる一例として、
図3〜
図6に示される再設定可能な用量設定機構400の変形例を再設定不能な薬物送達デバイスに修正するには、第1のドライバ部分407および第2のドライバ部分412の第1の構成部材410および第2の構成部材411を1つの単一部材として成形することができる。これにより、薬物送達デバイスの構成要素の合計数が2つ低減される。別の方法として、
図3〜6に示される薬物送達デバイスは変更されないままであることができる。かかる使い捨てデバイスでは、第2のハウジング部材106は、第1のハウジング部材104に固定されるか、あるいは単一個片のボディおよびカートリッジホルダとして作られる。
【0046】
上述の用量設定機構は、回転可能なスリーブ406に対応するのに、また本発明を実施するのに適した、機構の単なる一例である。他の機構も適切であり得ることが当業者には明白となるであろう。
【0047】
上述のことを考慮して、薬物カートリッジから投薬される用量を選択するため、ユーザは回転可能なダイヤル108を捻ることが認識されるであろう。これにより、回転可能なスリーブ406が螺旋運動の形で、ハウジング102に対して軸方向(長手方向)で回転し並進運動する。回転可能なスリーブ406の回転に関する情報を分析することによって、ダイヤル108の回転の程度を、したがってダイヤル設定される用量を決定することができる。さらに、ユーザは、用量送達ボタン416を押して、用量を薬物カートリッジ内から投薬する。用量送達ボタン416を押すことによって、回転可能なスリーブ406が軸方向で反対側に回転し動く(螺旋方向で動く)。したがって、回転可能なスリーブ406の回転に関する情報を分析することによって、投薬される用量も決定することができる。
【0048】
螺旋状トラック300は、エンコーダスリーブ406の円筒状の外表面上に形成された導電パターンを提供する。本発明の一実施形態ではない、ダイヤル設定された用量を判断する1つの可能な方法は、次の通りである。主ハウジング102に対して取り付けられた電気接点212は、用量がダイヤル設定される際に、また用量が送達される際に、エンコーダスリーブ406が主ハウジング内で螺旋方向で動くにつれて、パターンの異なる部分に接触するようにされる。螺旋状トラック300上のパターンと連結すること(または連結しないこと)によって、接点において提供される信号を検査することによって、主ハウジング内におけるエンコーダスリーブ406の位置が決定されるか、または少なくとも推定されてもよい。
【0049】
本発明の実施形態は異なる方式を提案する。要するに、電気接点212は、用量がダイヤル設定される際にエンコーダスリーブ406が主ハウジング内で螺旋状に動くにつれて、螺旋状トラック300上のパターンの異なる部分に接触するようにされる。しかしながら、デバイスが用量ダイヤル設定モードから用量送達モードに動くにつれて、接点212は螺旋状トラック300から離れる方向で動くようにされる。接点212は、用量送達の間は螺旋状トラック300から分離されて保たれ、デバイスが再び用量ダイヤル設定モードに入ると、螺旋状トラック300に再び接触するように戻される。螺旋状トラック300上のパターンと連結すること(または連結しないこと)によって、接点において提供される信号を検査することによって、主ハウジング内におけるエンコーダスリーブ406の位置が決定されるか、または少なくとも推定されてもよいが、ただしダイヤル設定モードの間のみであって、用量送達モードの間ではない。送達モードの間に送達された用量は、用量送達モードの前後におけるエンコーダスリーブ406の位置から計算することができる。そのように構築された装置により、接点および螺旋状トラック300が用量送達中の軸方向運動に対する抵抗を提供することなく、エンコーダスリーブ406の位置の決定を可能にすることができる。ダイヤルおよび送達の間、スリーブ上に形成された導電パターンに接点が電気的に接触する方式では、反対に、スリーブが内側本体上で回転するにつれて接点が導電パターンの上を滑ることによってもたらされる摩擦力は、用量送達中のスリーブに対する本体構成要素の軸方向/螺旋方向運動に対する著しい追加の抵抗を提供することができる。
【0050】
次に、第1から第6の実施形態について記載する。本明細書全体を通して同様の参照番号は同様の要素を指す。それに加えて、一実施形態に関して存在するものとして記載される特性または達成されるものとして記載される効果は、特段の明示がない限り、または省略される/達成されないものと見ることができない限り、他の実施形態すべての一部をも形成するものと理解すべきである。
【0051】
次に、第1の実施形態について
図7〜
図15を参照して記載する。
【0052】
図7に示される第1の実施形態による注射デバイス100は、第1のハウジング部材104としての把持スリーブ104を含む。把持スリーブ104は、内側ハウジング408に対して軸方向で動くことができ、ただし回転はロックされるように構成され、即ち、内側ハウジング408に対して回転方向で動くことはできない。同じことが、
図8に示される、外側ハウジング部材102に対して当てはまる。センサスリーブ310が
図9に示される。
【0053】
外側本体102は概して円筒状の形態を有する。多数の特徴が、外側本体102の円筒状の形態上に形成される。これらは保持クリップ320を含む。保持クリップ320はばね付きであり、傾斜部分および止め具を含む。センサスリーブ310が
図8に示される外側本体102の最上端部の上に設けられ、センサスリーブ310に対して下向きの方向で力が加えられると、センサスリーブ310の最下部が保持クリップ320の傾斜に接触するので、保持クリップ320は外側本体102の長手方向軸に向かって弾性的に付勢される。
図9に示されるように、保持クリップ320の段差部がセンサスリーブ310の最上部と一列になるようにして、センサスリーブ310が保持クリップ320の上をずっと動いた後、保持クリップ320はそれらの元の位置にはね返って、センサスリーブ310を適所で保持する。この位置では、センサスリーブ310は、外側本体102上において軸方向で動くことはできないが、第1および第2の止め具の間で回転することはできる。第1および第2の止め具は、外側本体102の最下部にある突出部322と、センサスリーブの最下部に形成された切欠き312とによって提供される。
【0054】
外側本体102内には多数の窓324が形成される。これらはそれぞれアパーチャの形態をとり、そこを通して、センサスリーブ310上に設けられた接点212は外側本体102を通って延びることができる。
【0055】
各窓324の隣りには傾斜面326がある。傾斜面326は、窓324との交点において最小であり、その対向面において最大である厚さを有する。後述するように、使用の際、接点212は、窓324と位置合わせされた位置から動き、傾斜部分326を上に滑って、窓324とは一致しなくなる。
【0056】
センサスリーブ310が外側本体102上で適所に適合されると、センサスリーブ310の最下面は外側本体102上に形成されたフランジ328に接触する。
【0057】
把持スリーブ104の軸方向運動は、外側本体102上に形成された第2のフランジ330によって下向きの方向に制限され、また、数字スリーブ310上の切欠き312内における突出部322の作用によって、かつ把持スリーブ104上のスプライン180に対する傾斜316の作用によって、間接的に最上方向に制限される。当然ながら、任意の適切な代替配置も代わりに使用されてもよい。
【0058】
次に
図10を参照すると、外側本体102上に適合されたセンサスリーブ310が示される。コイルばね314は、把持スリーブ104を付勢し戻す。
【0059】
把持スリーブ104は、センサスリーブ310および外側本体102が見えるようにして、
図10にワイヤフレームで示される。センサスリーブ310の外表面上にある角度で設けられる傾斜316は、
図9および
図10の両方で目に見える。
【0060】
把持スリーブ104の内表面上に形成された内側に面するスプライン180は、傾斜316と係合する。ねじりばねまたはコイルばね314などの付勢手段(図示なし)は、
図10に示されるような傾斜316の最下面が把持スリーブ104上のスプライン180と常に接触しているようにして、センサスリーブ310を回転方向で付勢する。
【0061】
図10bは、傾斜316およびスプライン180の両方を横断し、
図10に示される視野の場合のページに対して垂直な位置における、デバイス100を通る断面図を示す。
図10bでは、傾斜316はスプライン180と接触していると見ることができる。また、接点212は、センサスリーブ310から外側本体102の窓324を通って延びて、エンコーダスリーブ406の外表面上に設けられた螺旋状トラック300に接触していると見ることができる。接点212は、エンコーダスリーブ406に向かって弾性的に付勢される。
【0062】
把持スリーブ104は、付勢手段(図示なし)、例えばばねによって、
図10に示される位置に付勢される。把持スリーブ104は、適切な力が加えられると上向きに動くことができるが、力が除去されると、
図10に示される位置まで下向きに戻る。
【0063】
使用の際、2つの主な動作モードがある。第1のものはダイヤル設定モードである。ダイヤル設定モードでは、ユーザは、回転可能なダイヤルを回して、送達予定の用量にダイヤルしてもよい。用量送達モードでは、ユーザは、デバイス100を片手で把持し、注射針(図示なし)を適切な本体部材に入れた後に、回転可能なダイヤルをデバイス100の反対側の端部に向かって押してもよい。回転可能なダイヤル108が、
図10における下方である方向で動くと、用量が針を通して送達される。ダイヤル設定モードでは、軸方向力は把持スリーブ104に対して提供されない。そのため、ダイヤル設定モードでは、把持スリーブ104は、最下位置である
図10に示される位置に残る。
【0064】
用量送達モード、または注射モードの間、回転可能なダイヤル108および把持スリーブ104には、ユーザによって提供されるような、互いに向かう力が掛かる。この力によって、把持スリーブ104が、
図10に示されるような上向きの位置で動く。把持スリーブ104が上向きに動くと、スプライン180は接点スリーブ310上の傾斜316に対抗する力を提供する。接点スリーブ310が軸方向で拘束されるので、傾斜316に対抗してスプライン180によって提供される力により、接点スリーブ310が外側本体102の周りで回転する。回転は反時計方向であり、それによって、
図10に示されるような傾斜316が同図に示される右側に動く。これにより、接点212がエンコーダスリーブ406上の螺旋状トラック300に接触しなくなるなど、接点212が窓312と一致する位置から動く。
【0065】
図10cは、ダイヤル設定モードのときの接点212の位置を示す。ここで、接点212が外側本体102の窓324を通して螺旋状トラック300に接触することが分かる。数字スリーブ310は、傾斜316上のスプライン180の作用によって回転するにつれて、
図11cに示される位置に動く。ここで、接点212は、接点スリーブ310と固定関係にあるので、接点スリーブ310と共に動く。そのため、接点212が窓324から動き、少なくとも部分的に傾斜326を上に滑る。把持スリーブ104がその行程範囲の最上限度に位置するのに対応する位置である、
図11cに示される位置にあるとき、接点212は傾斜326上に設けられ、窓324を通して螺旋状トラック300に接触しない。
【0066】
把持スリーブ104がその行程範囲の最上限度まで動いた後、ユーザがそれらの構成要素に力を加え続けることで、回転可能なダイヤル108が把持スリーブに対してさらに動くことによって、回転可能なダイヤル108がデバイス100に沿って軸方向で動き、それによって薬剤が送達される。ユーザが把持スリーブ104および回転可能なダイヤル108に加えられる力を低減するか、またはその力を完全に除去した後で、把持スリーブ104は(付勢配置によって)、把持スリーブ104の行程範囲の最下限度にある、
図10に示される位置に戻る。この位置では、接点スリーブ310は戻ることができ、付勢力によって、
図10に示される位置に回転方向で戻る。そのため、この位置では、接点212は外側本体102の窓324とやはり一致し、その結果、窓324の背後にある螺旋状トラック300の一部に接触する。
【0067】
第1の実施形態では、接点212は、ダイヤル設定モードの間、螺旋状トラック300と接触している。そのため、プロセッサ202は、回転可能なダイヤル108を通してユーザがダイヤル設定してデバイス100に入れている用量を判断することができる。これが可能であるのは、接点212と一致する螺旋状トラック300の部分が、回転可能なダイヤル108によってユーザがデバイス100にダイヤル設定した用量にしたがって変動するためである。
【0068】
デバイスがダイヤル設定モードから投薬モードに動くと、デバイス100の構成は、接点212が螺旋状トラック300に接触しなくなるようなものである。投薬モードの間、接点212は、それらが螺旋状トラック300に接触しないままである。投薬モードが終了すると、接点212は螺旋状トラック300上に再び動かされる。この段階では、プロセッサ202は再び螺旋状トラック300を検出することができる。デバイス100が投薬モードの後にダイヤル設定モードに入った後、ユーザは、例えば残っている用量(即ち、送達されていない用量)があればそれをダイヤルダウンするため、回転可能なダイヤル108を再び操作してもよい。
【0069】
第1の実施形態の配置は、プロセッサ202が、デバイスがダイヤル設定モードのときは螺旋状トラック300を検出することができ、デバイスが投薬モードのときは螺旋状トラック300を検出できないような配置である。投薬モード中、現在ダイヤル設定されてデバイスに入れられている用量をプロセッサ202が監視できないことは、送達前にデバイスにどの用量がダイヤルされるか、また送達モードの間にどの程度の用量が送達されたかが、ユーザにとってはるかに関心があることであるという点に基づいて、顕著な問題であるとは見られない。
【0070】
螺旋状トラック300は、漸増的なコード化を提供などするようにして構成されてもよい。漸増的なコード化を用いて、プロセッサ202は、螺旋状トラック300の動きを検出することができ、また使用されるコード化に応じて、螺旋状トラック300の動きの方向を検出することができてもよいが、現在即時に進行しているデバイスにダイヤル設定される用量を知ることなしに、螺旋状トラックの位置を明確に判断することはできない。漸増的なコード化を用いて、プロセッサ202は、デバイスが用量送達モードから用量ダイヤル設定モードに動いた後、螺旋状トラック300の位置を判断することができなくてもよい。しかしながら、用量送達モードが終了するのと、ゼロ単位がデバイスにダイヤル設定されるのとの間で、ダイヤル設定される単位数を決定することによって、プロセッサ202は、用量送達モードの間に送達された単位数を(減算を使用して)計算することができる。これはほとんどの実施において満足がいくものであってもよい。
【0071】
あるいは、螺旋状トラック300は絶対的符号化を可能にしてもよい。絶対的符号化では、プロセッサ202は、履歴的な文脈情報なしに、螺旋状トラック300の位置を、したがってデバイス100にダイヤル設定される用量数を決定することができる。これにより、デバイスが用量ダイヤル設定モードである間の任意の時に、プロセッサ202がデバイス100にダイヤル設定される用量数を決定するのを可能にすることができる。これらの実施形態では、プロセッサ202は、単にデバイスにダイヤル設定されて用量送達モード後に残っている用量を、送達モードに入る前にデバイスにダイヤル設定された用量数から引くことによって、残りの用量があればそれをユーザがダイヤルダウンする前であっても、用量送達モードの間に送達された用量数を判断することができてもよい。
【0072】
さらに別の方法として、螺旋状トラックは、比較的短いシーケンスの、例えば16または32単位の絶対的符号化を可能にしてもよく、次に、短いシーケンスが多数回繰り返されて、可能な用量の全範囲を網羅する。
【0073】
漸増的符号化、絶対的符号化、および混合した漸増的/絶対的符号化は、本明細書に記載する本発明の第1〜第6の実施形態すべてに当てはまる。
【0074】
デバイス100が用量送達モードのときの、把持スリーブ104および接点スリーブ310の位置が、
図11aおよび
図11bに示される。
図11aは
図10aに相当し、把持スリーブ104をワイヤフレームで示した側面図である。
図11bは、
図10bの断面図と同じ位置を通る断面図である。
図11bにおいて、接点212は、傾斜326を上っているものと明白に見ることができるので、エンコーダスリーブ406上のトラック300に接触しない。
【0075】
次に、第2の実施形態について
図12〜
図15を参照して記載する。
【0076】
第2の実施形態は、第1の実施形態と共通する多くの特徴を共有し、同様の要素に対して参照番号を再使用する。第2の実施形態は、以下に明示される場合を除いて、または以下に記載する特徴が第1の実施形態の特徴と一致しない場合を除いて、上述した第1の実施形態と同じである。
【0077】
図12は、把持スリーブ104のワイヤフレーム斜視図である。
図13は、接点スリーブ310の斜視図である。
【0078】
図12の把持スリーブ104には、第1の実施形態で提供されるスプライン180が存在しない。その代わりに、把持スリーブ104は第1の傾斜182および第2の傾斜184を含む。第1および第2の傾斜182、184は山形パターンを形成する。傾斜は、把持スリーブ104に対してある角度で形成される。第1の傾斜182は、
図12に示されるように左から右に上向きに延びる。第2の傾斜184は反対の構成を有し、
図12に示されるように左から右に下向きに延びる。第1および第2の傾斜182、184は、把持スリーブ104の内表面上の固定位置に形成される。
【0079】
接点スリーブ310は完全なスリーブを形成せず、その代わりに、1つの回転方向位置にギャップ325を有する。ギャップ325の反対側には一体丁番320がある。ギャップ325および一体丁番320は、接点スリーブ310を第1の半分321および第2の半分322に分割するのに役立つ。一体丁番320およびギャップ325は、第1および第2の半分321、322がある程度まで互いに向かって、また互いから離れる方向で動くことを可能にする。
【0080】
接点212は、第1の実施形態と同様に、弾性的な形で形成されて、接点スリーブ310に対して内側に付勢される。一体丁番320は、接点スリーブ310の第1および第2の半分321、322を共に付勢するなどするように配置される。
【0081】
外側ハウジング102上および把持部104内に含まれた後、デバイス100は
図14aに示される通りである。ここで、把持スリーブ104はワイヤフレームで示される。
【0082】
設置されると、第1および第2の傾斜182、184は、接点スリーブ310の第1および第2の半分321、322それぞれに設けられた第1および第2の溝323、324と係合するように配置される。第1および第2の溝323、324は、
図13に最も良く示されるが、
図14aでも見えている。
【0083】
デバイスがダイヤル設定モードのときは、
図14aに示される通りである。ここで、第1および第2の傾斜182および184は、第1および第2の溝323、324内でそれぞれ係合される。第1の溝323内にある傾斜182の一部は、傾斜の長さに沿ったほぼ中間にある第1の傾斜182の一部である。同様に、第2の溝323内にあるのは、傾斜の長さに沿ったほぼ中間にある第2の傾斜184の一部である。この位置では、接点スリーブ310の第1および第2の半分321、322は、傾斜182、184の作用によって共に押しやられる。この位置では、
図15aに最も良く見られるように、接点212は、エンコーダスリーブ406の外表面上に形成された螺旋状トラック300と電気的に連結される。用量ダイヤル設定モードでは、接点スリーブ310の第1および第2の半分321、322の間にあるギャップ325はその最も狭い程度のものである。
【0084】
ユーザが用量送達を始めるような力を加えると、
図14bに最も良く示されるように、把持スリーブ104は上向きに動く。この運動は、第1の実施形態を参照して上述したのと同じである。しかしながら、第2の実施形態では、把持スリーブ104の上向きの方向への運動は、接点スリーブ310の実際の制約と組み合わせて、接点スリーブ310の第1および第2の半分321、322を押しやって離す。その結果は、
図14bに示される位置であり、
図15bにも示される。接点スリーブ310の第1および第2の半分321、322は、傾斜182、184を第1および第2の溝323、324内でそれぞれ滑らせるなど、第1および第2の傾斜部分182、184が接点スリーブ310に対抗して作用することによって、押しやって離される。特に、傾斜182、184は、それらの長さの特定の部分がそれらのそれぞれの溝323、324内にある位置から、それらの長さの一部が他方の溝内の他方の傾斜の対応する部分からより遠い距離にある位置まで動く。距離がより大きいので、ギャップ325がより大きくなり、したがって第1および第2の半分321、322はさらに離れる。
【0085】
したがって、接点212は、
図15bに見ることができるように、エンコーダスリーブ406の外表面上に設けられた螺旋状トラック300に接点212が接触しなくなる程度まで、エンコーダスリーブ406から離れる方向で動かされる。
【0086】
次に、第3の実施形態について
図16〜
図20を参照して記載する。第3の実施形態は、第1および第2の実施形態と共通する特徴を共有し、同様の要素に対して参照番号を再使用する。第3の実施形態は、以下に明示される場合を除いて、または以下に記載する特徴が上述のものの特徴と一致しない場合を除いて、上述の第1および第2の実施形態と同じである。
【0087】
図16は、ボタンスリーブ160の斜視図である。ボタンスリーブ160は、ダイヤル設定モードおよび投薬モードそれぞれにおいて、2つの異なる軸方向で分離した螺旋上を移動する。ボタンスリーブ160の上部および下部は概して特徴がなく、中央部材の上にはいくつかの特徴が形成される。これらは、螺旋状トラック300と、螺旋状トラックの連続する巻回の間に挟まれた陥凹部341とを含む。この例では、螺旋状トラック300は二条ねじ山形状なので、実際には2つの螺旋状トラック300が平行して存在する。しかしながら、一条、三条、または他の条数のトラックであってもよい。
【0088】
螺旋状トラック300は、ボタンスリーブ160の中間区画に形成されたねじ山の頂部上に形成される。螺旋状トラック300は、デバイス100の中心軸を軸として有する円筒の表面上に概して形成される、ボタンスリーブ160の一部の上に形成される。
【0089】
螺旋状トラック300は、
図16に示されるように垂直に延びる幅寸法を有する。陥凹部341は、(二条)螺旋状トラック300の連続する巻回の間に分離を提供する。陥凹部341のプロファイルは、後述する
図18および
図19にさらに明白に示される。
【0090】
図17は、回転可能なダイヤル108の斜視図である。回転可能なダイヤルのクリップ形状350は、回転可能なダイヤル108の底部から垂下する。これらは、回転可能なダイヤル108がボタンスリーブ160上に設置されると、
図16に示される、エンコーダスリーブのクリップ形状340と嵌合する。これは、デバイス100の垂直長さを通る断面である、
図18aおよび
図18bに明白に示される。
図18aから分かるように、デバイス100が組み立てられた後で、回転可能なダイヤルのクリップ形状350とエンコーダスリーブのクリップ形状340との間にある程度の噛み合いが存在する。形状340、350の噛み合った態様は、ボタンスリーブ160に対する回転可能なダイヤル108の軸方向運動を最小限にするか、またはそれをなくす。回転可能なダイヤル108は、数字スリーブに対してのみ回転方向で拘束されている、ボタンスリーブ160に対して回転することができる。これは、
図3〜
図6を参照して例示され記載されるのとはわずかに異なる、コア機構の一実施形態である。
【0091】
図18aおよび18bに最も良く見られるように、陥凹部341は、螺旋状トラック300が形成される頂部、および陥凹部341の底部から延びる、傾斜面342を含む。使用の際、以下に記載するように、デバイス100のモードがダイヤル設定モードから用量送達モードに変わると、接点212は螺旋状トラック300から傾斜面342を下に動く。
【0092】
図18aはダイヤル設定モードのデバイスを示す。ここで、回転可能なダイヤル108は、ばね(図示なし)によって、
図18aに示される位置に付勢される。接点スリーブ310は、内側ハウジング408およびハウジング102に対して固定位置にある。この実施形態では、把持スリーブは存在しない。ダイヤル設定モードでは、接点スリーブ310で支持されている接点212は、ボタンスリーブ160上の螺旋状トラック300と一致して位置する。これは
図19aでも見ることができる。ダイヤル設定モードにおいて用量がダイヤル設定されると、回転可能なダイヤル108が、したがってボタンスリーブ160が、螺旋状経路上で上向きに延びる。螺旋状経路のピッチは螺旋状トラック300のピッチと同じである。そのため、回転可能なダイヤル108をユーザが回転させるにつれて、螺旋状経路300は接点212の下に動く。螺旋状トラック300が絶対的エンコーダトラックである場合、所与の時間に接点212に接触する螺旋状トラック300の特定部分は、ダイヤル設定されてデバイス100に入れられる用量を示す。
【0093】
用量を投薬するため、ユーザは回転可能なダイヤル108を遠位側に、即ち
図18aおよび
図18bの下方に押す。これによってばねが圧縮されて、ダイヤル設定モードでは回転可能なダイヤル108を上方に付勢する。またこれにより、ボタンスリーブ160が遠位側に、
図18aおよび18bの下方に変位する。回転可能なダイヤル108およびボタンスリーブ160が動きばねを圧縮する行程量は、任意の適切な形で限定される。ばねが圧縮され、ばねを圧縮する行程が停止した後、ボタンスリーブ160が螺旋方向でさらに動き、回転可能なダイヤル108が
図18aおよび18bに示される方向で(ただし回転は伴わずに)下方に延びるにつれて、ボタンスリーブ160を回転させる。
【0094】
デバイス100をダイヤル設定モードから送達モードに動かすにつれて、螺旋状トラック300および陥凹部341は、接点212に対して垂直位置で動く。これにより、接点212が傾斜部分342を下に滑って陥凹部341に入る。これは、
図18bおよび
図19bで明白に見られる。そのため、デバイスが用量送達モードのとき、接点212は陥凹部341内にあり、螺旋状トラック300とは接触していない。用量が送達され、
図18aおよび18bに示されるように、ボタンスリーブ160が螺旋方向で下方へ回転すると、接点212は螺旋状トラック300と接触しない。そのため、用量が送達される際、螺旋状トラック300と接点212との間に摩擦抵抗はない。
【0095】
ユーザが用量の送達を終えると、圧力が回転可能なダイヤル108から解放される。用量送達運動の始めに圧縮されたばねにより、回転可能なダイヤル108およびボタンスリーブ160が、
図18aおよび
図18bに示される方向で上方に動く。これにより、接点212が傾斜部分342を上に滑って、螺旋状トラック300に再び接触する。そのため、用量送達後にユーザが回転可能なダイヤル108を解放した後、プロセッサ202は、接点スリーブ310に対するボタンスリーブ160の位置を再び決定することができる。
【0096】
用量送達モードでは、接点212は陥凹部341の一部に接触してもよい。しかしながら、接点212が陥凹部341に接触する力は、仮にあったとしても、デバイス100がダイヤル設定モードのときに、接点212が螺旋状トラック300に接触する力よりも著しく小さい。そのため、用量送達モードの間に接点212によって提供される摩擦抵抗が存在することがあるが、抵抗は、接点212が螺旋状トラック300に接触している場合にあるであろう抵抗よりも小さい。コード化されたスリーブは、スプライン形状440によって数字スリーブに回転方向でロックされる。
【0097】
次に、第4の実施形態について
図21〜
図26を参照して記載する。
【0098】
第4の実施形態は上述した第2の実施形態に類似しており、第2の実施形態の特徴はすべて、特段の記述がない限り、または第4の実施形態の特徴が第2の実施形態と一致している限り、第4の実施形態に存在している。
【0099】
第4の実施形態のデバイス100には把持スリーブが存在しない。代わりに、ボタンスリーブ360を含む。ボタンスリーブ360は、その上端部にボタンスリーブのクリップ形状362を有する。これらのクリップ形状362は、
図17に示すと共に上述した、回転可能なダイヤル108における回転可能なダイヤルのクリップ形状350と連結する。デバイス100が組み立てられるとき、回転可能なダイヤル108はボタンスリーブ360に軸方向で固定される。ボタンスリーブ360はまた、数字スリーブに回転方向でロックされる。
【0100】
螺旋状のねじ山形状364は、ボタンスリーブ360の外表面上に設けられる。これは、
図21に最も良く見られる。
【0101】
図22に最も良く見られる、中間スリーブ370が設けられる。使用の際、
図23および
図24から最も良く見られるように、中間スリーブはボタンスリーブ360の外部に適合する。中間スリーブのねじ山形状372は中間スリーブの内表面上に形成される。中間スリーブのねじ山形状372は、使用の際にボタンスリーブ360のねじ山形状364と係合する。中間スリーブ370は、ハウジング102および内側ハウジング408に対して回転方向で固定される。
【0102】
中間スリーブ370の内表面には、傾斜形状373もある。これは、第1の傾斜面374および第2の傾斜面376を有する。
【0103】
センサスリーブ310は、実質的に、第2の実施形態を参照して上述したようなものである。しかしながら、第2の実施形態の第1および第2の溝323および324の代わりに、接点スリーブ310は、第1および第2の傾斜面366、368を備える。接点スリーブの第1および第2の傾斜面366、368は、
図24bに最も良く見られる。
【0104】
図面で分かるように、中間スリーブの傾斜面374、376は、接点スリーブの傾斜面366、368に相当し、それらに接触する。
【0105】
ダイヤル設定モードでは、回転可能なダイヤル108は、ばねによって、その最近位位置に、即ち
図23に示される位置に付勢される。ダイヤル設定モードでは、
図23にやはり示されるように、中間スリーブ370およびボタンスリーブ360もそれらの最近位位置で保たれる。
【0106】
用量送達を始めるために、
図23における下方である方向でユーザが回転可能なダイヤル108を押すと、回転可能なダイヤル108は遠位側に、即ち下方に変位される。これにより、ばねが圧縮され、ボタンスリーブ360が動き、したがって中間スリーブ370が、
図23における下方である遠位方向で動く。ボタンスリーブ360および中間スリーブ370が下方に動くと、中間スリーブ370上の傾斜形状373の傾斜面374および376は、接点スリーブの傾斜面366、368に対抗して作用し、接点スリーブ310の第1および第2の半分321、322を押しやって離す。その結果が
図24bおよび
図25bに示される。第2の実施形態の場合、デバイス100が用量送達モードのときの方が、デバイスがダイヤル設定モードのときよりもギャップ325が大きい。
【0107】
第2の実施形態の場合、接点スリーブ310の第1および第2の半分321、322が押しやられて離されると、接点212は、ボタンスリーブ160の外表面上に設けられた螺旋状トラック300から持ち上げられる。そのため、デバイス100が用量送達モードのとき、ボタンスリーブ160が外側本体102内において螺旋方向で動く際に、接点212が螺旋状トラック300に対して動くことによる摩擦はほとんど、またはまったくない。
【0108】
用量の送達を中止するために、ユーザが回転可能なダイヤル108から圧力を解放すると、ばねは回転可能なダイヤル108を、したがってボタンスリーブ360および中間スリーブ370も上方に押しやる。その後、デバイスは再び、
図24aおよび
図25aに示される位置を有する。接点スリーブ310の第1および第2の半分321、322は、一体丁番320によって共に付勢されてもよく、または他の何らかの形で共に付勢されてもよい。
【0109】
第4の実施形態の変形例(図示なし)では、デバイスを用量ダイヤル設定モードから用量送達モードに変更している間に接点212を螺旋状トラック300から分離するために、ボタンスリーブ360を使用して、センサスリーブを第1の実施形態に示されるように変位させる。
【0110】
次に、第5の実施形態について
図26〜
図34を参照して記載する。
【0111】
第5の実施形態は、接点212が90°回転されており、今度は数字スリーブと位置合わせされている点を除いて、第1の実施形態に類似している。第5の実施形態と第1の実施形態との主な違いは、第5の実施形態では、ダイヤル設定モードと投薬モードとの間の位置の変化が、回転方向ではなく軸方向である点である。特段の指定がない限り、または本実施形態の特徴が第1の実施形態と一致している限り、第1の実施形態の特徴はすべて本実施形態に存在する。
【0112】
図26に最も良く示されるボタンスリーブ360は、回転可能なダイヤル108に軸方向でロックされ、数字スリーブに回転方向でロックされる。
【0113】
図27で最も良く見られるボタンスリーブ380は、センサスリーブ380の外表面上に設けられたねじ山形状382を備える。センサスリーブのねじ山形状382は、ボタンスリーブ360の内表面上に形成されたねじ山形状390と相互作用する。
【0114】
接点212はセンサスリーブ380上に取り付けられる。センサスリーブ380は、外側本体102に回転方向で固定されるが、止め具の間を軸方向で動くことができる。外側本体408のカットアウトによって、デバイス100が用量ダイヤル設定モードのとき、接点212が数字スリーブと係合することができる。
【0115】
用量がダイヤル設定されると、回転ダイヤル108はばねによってその最近位位置で保たれる。したがって、
図28に示されるように、ボタンスリーブ360およびセンサスリーブ380も最近位位置で保たれる。この位置では、接点212は外側本体102の窓324と位置合わせされて、接点212が螺旋状コード300と連結することができ、したがってプロセッサ202が数字スリーブの位置を判断することができる。
【0116】
ユーザが用量を投薬したいとき、ユーザは、図面の下方に回転可能なダイヤル108を押す。これによってばねが圧縮される。
図29bから分かるように、これによってボタンスリーブ360も変位する。ボタンスリーブ360およびセンサスリーブ380は、回転可能なダイヤル108と共に軸方向で動く。この運動が起こると、接点212は、外側本体408上に設けられた傾斜面326を上に押しやられ、それによって窓324と位置合わせされなくなり、螺旋状トラック300に接触しなくなる。
【0117】
次に、第6の実施形態について
図31〜
図34を参照して記載する。第6の実施形態は第5の実施形態に類似している。しかしながら、ボタンスリーブを使用して、ダイヤル設定モードと用量送達モードとの間でセンサスリーブを動かす代わりに、回転可能なダイヤル108が拡張される。これは
図32に最も良く見られる。ここで、回転可能なダイヤル108が、使用の際にユーザが回すであろうダイヤル部材から垂下するスリーブ部分を有することが分かる。
【0118】
ダイヤル設定モードでは、回転可能なダイヤル108は、ばねによってその最近位位置で保たれる。したがって、
図31に最も良く見られるセンサスリーブ380も、最近位位置で保たれる。この位置では、接点212は外側本体408の窓324と位置合わせされる。これにより、接点212が螺旋状パターン300と連結することができる。これにより、プロセッサ202が数字スリーブの位置を判断することができる。数字スリーブおよびエンコーダスリーブは互いに対して回転方向で固定される。用量がダイヤル設定されると、回転可能なダイヤル108は、内側本体のねじ山境界面によって画成される螺旋状経路に沿って外側に動く。センサスリーブ380上のねじ山は、内側本体上のねじ山と等しいピッチを有し、そのため、センサスリーブ380はダイヤル動作中は動かない。
【0119】
ユーザは、用量を投薬したいとき、回転可能なダイヤル108を下方へ押す。そのため、回転可能なダイヤル108は、図面における下方であるカートリッジに向かって変位される。回転可能なダイヤル上のねじ山形状がセンサスリーブ380上の傾斜における下側のねじ山面に接触すると、センサスリーブが軸方向で変位される。軸方向の変位は、
図33に最も良く示されるように、センサスリーブが末端止め具に達するまで行われる。この運動の間、接点212は外側本体102上の傾斜326を上に押しやられ、それによって、外側本体の窓324と位置合わせされなくなり、したがって、数字スリーブ上の螺旋状トラック300と接触しなくなる。回転可能なダイヤル108は、投薬動作の間、軸方向で動き続ける。
【0120】
上述の実施形態のすべてにおいて、プロセッサ202は、どの接点212a〜212gが導電性セグメント302を係合し、どの接点が非導電性セグメント304を係合するかを分析することによって、回転可能なスリーブ406の回転の程度(したがって、軸方向でどこまで移動したか)を判断することができる。
【0121】
上述の実施形態のすべてにおいて、螺旋状トラック300は、金属ストリップをエンコーダスリーブ406の周りに、または場合によっては螺旋状トラック300が上に設けられる他の構成要素の周りに巻き付けることによって形成されてもよい。かかる金属ストリップは、金属層を支持する非導電性の裏打ちを有してもよい。非導電性の裏打ちは、ストリップを回転可能なスリーブ406などにしっかり固定するため、裏面上に接着剤を有してもよい。あるいは、螺旋状トラック300は、非導電性基材上に印刷された導電性インクを含んでもよい。この非導電性基材は、エンコーダスリーブ406であるか、または場合によっては螺旋状トラック300が上に設けられる他の構成要素であってもよい。
【0122】
実施形態のすべてにおいて、投薬された薬物用量を判断して、プロセッサ202はその結果をフラッシュメモリ205に記憶してもよい。ディスプレイ210は、投薬された用量の判断結果を表示するように制御されてもよい。ディスプレイ210は、所定時間、例えば60秒の間、投薬された用量の判断結果を表示してもよい。別の方法として、またはそれに加えて、投薬された用量の履歴は、デバイス100のユーザによって、または医療従事者によって、フラッシュメモリ205から電子的に検索されてもよい。デバイスのダイヤル中、ダイヤル設定された用量は、例えばコード化された部材上に印刷された数字を使用することによって、任意の従来のやり方でユーザに示されてもよい。他のいくつかの実施形態では、ダイヤル設定された用量は判断されず、またはユーザに対して示されない。
【0123】
トラックが存在するかしないかの感知は、接点およびプロセッサを使用して行われる。一般的なレベルでは、これには、接点によって提供される電圧信号を閾値と比較し、電圧が閾値をそれぞれ超えたか超えなかったかを示す出力を通して、トラックが存在するかしないかを示す、ハードウェアが関与してもよい。プロセッサ実装において、例えばインバータゲートまたは他のバッファを使用して、接点によって提供される信号をバッファし、バッファされた信号をサンプリングし、サンプリングされた信号を基準と比較することを伴ってもよい。トラックが存在するかしないかを感知する他のやり方が、当業者には明白となるであろう。
【0124】
最後に、上述の実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるであろう。他の変形および修正は、本出願を読むことによって当業者には明白となるであろう。さらに、本出願の開示は、本明細書に明示的もしくは暗示的に開示される、任意の新規な特徴もしくは任意の新規な特徴の組み合わせ、またはそれらの任意の概括を含むものと理解すべきであり、本出願またはそこから派生する任意の出願を遂行する間に、かかる任意の特徴および/またはかかる特徴の組み合わせを包含する新しい請求項が考案されてもよい。