【実施例】
【0115】
本発明は、以下の実施例を参照することによってよりよく理解され、それらは、限定ではなく例示として提供される。
【0116】
(実施例1)
インスタンスの生成
個々の実験(バッチと称される)は概して、Affymetrix GeneChip(登録商標)技術プラットフォームを使用して解析される、30〜96のサンプルを含み、溶媒対照(例えば、DSMO)の6の複製、使用される細胞型において強い再現可能な効果をもたらす、陽性対照の2の複製サンプル(例えば、線維芽細胞に対するオールトランス型レチノイン酸)、及び試験物質/摂動因子のサンプルを含有する。試験物質の複製は、バッチ効果の理由から別々のバッチで行われる。GeneChip(登録商標)解析に十分なRNA(2〜4μgの合計RNA収量/ウェル)を提供するために、インビトロ試験を6ウェルプレートで実施した。
【0117】
University of Texas,Southwestern Medical Center,Dallas,TXからヒトテロメル化ケラチノサイト(tKC)を得た。コラーゲンIコーティング細胞培養フラスコ及びプレート(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)上で、1Xヒトケラチノサイト成長サプリメント(Invitrogen,Carlsbad,CA)を有する、EpiLife(登録商標)培地で、tKC細胞を増殖させた。化学曝露の24時間前、ケラチノサイトを20,000細胞/cm
2で6ウェルプレートに播種した。ヒト皮膚線維芽細胞(ATCC,Manassas,VAからのBJ細胞株)を、通常の細胞培養フラスコ及びプレート(Corning,Lowell,MA)中で10%ウシ胎児血清(HyClone,Logan,UT)が追加された、イーグル最小必須培地(ATCC)で増殖させた。化学曝露の24時間前、BJ線維芽細胞を12,000細胞/cm
2で6ウェルプレートに播種した。
【0118】
全細胞を、5% CO
2の加湿インキュベータで、37℃でインキュベートした。t=−24時間でT−75フラスコから細胞をトリプシン処理し、基本増殖培地で6ウェルプレートに蒔いた。t=0で培地を取り除き、実験計画法に従って適切な投与溶液と置換した。投与溶液を、前日、殺菌済み4mLのFalconスナップキャップチューブで調製した。純粋試験物質を、1〜200μMの濃度で調製してもよく、植物抽出物を、投与溶液の重量で0.001〜1%の濃度で調製してもよい。化学曝露の6〜24時間後、細胞を観察及び撮像した。細胞溶解及びRNA単離の前に、ウェルを顕微鏡で検査し、毒性の形態学的証拠を評価した。形態的変化が細胞毒性を示唆するのに十分であった場合、より低い濃度の摂動因子を試験した。次いで、β−メルカプトエタノール(Qiagen,Valencia,CA)を含有する350μL/ウェルのRLT緩衝液で、細胞を溶解し、96ウェルプレートに移し、−20℃で保管した。
【0119】
製造業者の説明書に従って、Agencourt(登録商標)RNAdvance Tissue−Bind磁気ビーズ(Beckman Coulter)を使用して、細胞培養バッチからのRNAを、RLT緩衝剤から単離した。製造業者の説明書に従って、Ambion Message Amp(商標)II Biotin Enhancedキット(Applied Biosystems Incorporated)を使用して、1サンプルあたり1μgの全RNAを標識した。得られるビオチン標識及び断片化されたcRNAを、Affymetrix HG−U133A 2.0 GeneChip(登録商標)にハイブリッド形成し、次いで、Affymetrixによって提供されるプロトコルを使用して、それを洗浄、染色、及びスキャンした。
【0120】
一実施形態では、例示の試験摂動因子は、Ichimaru Pharcos,JPから得られるチョウセンアザミ(アーティチョーク)葉抽出物であった。概して上記の手順に従って、線維芽細胞に適用されるアーティチョーク葉の摂動因子に対する、22,214のプローブセットID(例えば、インスタンス)の得られるランク付きリストを生成し、表Eに記載する。概して上記の手順に従って、ケラチノサイト細胞に適用されるアーティチョーク葉抽出物の摂動因子に対する、22,214のプローブセットID(例えば、インスタンス)の得られるランク付きリストを生成し、例示部分を表Fに記載する。別の態様では、例示の試験摂動因子は、加水分解されたセラトニアシリクア(イナゴマメ)種子抽出物であった。概して上記の手順に従って、線維芽細胞に適用されるイナゴマメ種子抽出物の摂動因子に対する、22,214のプローブセットID(例えば、インスタンス)の得られるランク付きリストを生成し、例示部分を表Gに記載する。概して上記の手順に従って、ケラチノサイト細胞に適用されるイナゴマメ種子抽出物の摂動因子に対する、22,214のプローブセットID(例えば、インスタンス)の得られるランク付きリストを生成し、例示部分を表Hに記載する。
【0121】
(実施例2)
紫外線老化遺伝子発現シグネチャーを得る
日光によってもたらされる皮膚老化(紫外線老化)と関連する遺伝子発現パターンの調査で使用するための生検標本を得るための臨床的調査研究を実施した。紫外線老化と関連する遺伝子発現プロファイルを検査するために、若年及び高齢の女性からの、日光から保護された皮膚、及び日光に曝露された皮膚において、基準遺伝子発現パターンを検査した。10人の若年女性(18歳〜20歳)、及び10人の高齢女性(60歳〜67歳)のそれぞれからの、日光から保護された(臀部)、及び日光に曝露された(前腕)身体部位から、合計で3つの全層皮膚生検(〜4mm)を採取した。中程度から重度の前腕の紫外線による損傷を有するように、高齢女性を選択した。生検を液体窒素中で急速冷凍し、RNA単離まで−80℃で保管した。
【0122】
冷凍皮膚生検をTrizol(Invitrogen)中で均質化し、Invitrogenによって提供されるプロトコルを使用して、RNAを抽出した。組織サンプルが全層生検からであったため、ケラチノサイト、線維芽細胞、メラニン細胞、内皮細胞、周皮細胞、神経、平滑筋、脂肪細胞、含脂肪細胞、及び免疫細胞を含む、全層皮膚サンプル内の種々の細胞型から、RNAを抽出した。RNEasyスピンカラム(Qiagen)を使用して、RNAを更に精製した。NanoDrop分光光度計(Thermo Scientific,Waltham,MA)を使用して、全RNAを定量化し、Agilent(Santa Clara,CA)2100 BioAnalyzerを使用して、質を確認した。Enzo BioArray標識化手順(Enzo Life Sciences,Farmingdale,NY)及び提供されるプロトコルを使用して、全RNA(5μg)をGeneChip標的に変換した。全てのビオチン標識されたGeneChip標識を、Affymetrix Human Genome HG−U133 Plus 2.0 GeneChipに一晩ハイブリッド形成し、次いで、Affymetrixによって提供されるプロトコルを使用して、それを洗浄、染色、及びスキャンした。同一の製造ロットのGeneChipを使用して、同日中に、前腕及び臀部サンプルを処理した。
【0123】
20,000を超える遺伝子の転写物に相補的な54,613のプローブセットを含有する、Affymetrix HG−U133 Plus 2.0 GeneChip上で、サンプルを解析した。しかしながら、Plus 2.0 GeneChip上に存在するもののサブセットである、22,214のプローブセットを含有する、Affymetrix HG−U133A 2.0 GeneChipを使用して、使用される提供されたデータベース中のインスタンスを、遺伝子発現プロファイリング実験から得た。したがって、臨床データからの遺伝子発現シグネチャーの展開において、HG−U133A 2.0遺伝子チップに含まれるものに対して、プローブセットをフィルタリングした。
【0124】
約200〜約600の上方制御及び下方制御された遺伝子を含む、複数の紫外線老化遺伝子発現シグネチャーを得るために、概して以下の選択プロセスを使用して、マイクロアレイデータの統計解析を実施した。
a.非存在/限界/存在コールに基づくフィルタリング。このフィルタは、遺伝子発現シグネチャー中に含むための潜在的遺伝子のリストを作成する。例えば、好適なフィルタは、1つの処置群中のサンプルの少なくとも50%が、各プローブセットに対して存在コールを有しなければならないようなものであってもよい。存在コールは、生のGeneChipデータの処理から得られ、プローブセットに相補的な遺伝子転写物が生体サンプル中で実際に発現するという証拠を提供する。全サンプルからの非存在であるプローブは、単にノイズの測定値である可能性が高い。この工程は、シグネチャーにとって重要なデータに寄与しないプローブセットをフィルタリングして除去するために重要である。紫外線老化及び内因性老化遺伝子発現シグネチャーの両方に対して、Affymetrix MAS 5ソフトウェアによって提供される、少なくとも10%の存在コールを有する、プローブセットに対して、データをフィルタリングした。
b.統計的尺度によるフィルタリング。例えば、好適な統計的尺度は、t検定、ANOVA、相関係数、又は他のモデルベース解析からのp値であってもよい。一例として、p値は、統計的尺度として選択されてもよく、p=0.05のカットオフ値が選択されてもよい。シグネチャーリストを、適切な対照と比較して、統計的有意性に対して何らかの妥当なカットオフに適合する遺伝子に限定することが、対象となる生物学的状態の特徴である遺伝子の選択を可能にするために重要である。これは、倍数変化値の使用より好ましく、それは、測定値周囲のノイズを考慮しない。シグネチャー中のプローブセットを選択するために、t統計量を使用し、それは、符号付けられ、遺伝子発現変化の指向性(すなわち、上方又は下方制御される)、並びに統計的有意性の表示を提供する。
c.プローブセットのソーティング。全てのプローブセットは、統計的尺度を使用して、上方制御及び下方制御されたセットのセットにソートされる。例えば、p値を計算するために、t検定を使用した場合、p値は常に正であるため、リストをソートするために、t統計量の値(正及び負)が使用される。ソートされたt統計量により、最も有意なp値を有するセットがリストの最上部及び最下部に、有意ではないものを有するセットが中間付近に配置される。
d.遺伝子発現シグネチャーの作成。フィルタリング及びソートされた、作成されるリストを使用して、好ましくは、最下部から選択されるものとほぼ同数の、最上部から選択されるセットを有する、遺伝子発現シグネチャーを作成するために、最上部から最下部までの好適な数のプローブセットが選択される。例えば、作成される遺伝子発現シグネチャーは、チップ上のプローブセットに対応する、少なくとも約10、50、100、200、若しくは300及び/又は約800、600、若しくは約400未満の遺伝子を有してもよい。プローブセットの数は、遺伝子の数に近似的に対応するが、単一の遺伝子は、2つ以上のプローブセットによって表されてもよい。本明細書で使用するとき、フレーズ「遺伝子の数」は、概して、フレーズ「プローブセットの数」と一致することを理解されたい。シグネチャー中に含まれる遺伝子の数は、提供されたデータベースにクエリを行うためにシグネチャーを使用する時に、上方及び下方制御された遺伝子間で均等に分割される、200〜800のプローブセットを有する、示されたシグネチャーが、トップスコア化学物質インスタンスに関して安定した結果を提供するという予備研究における観察に基づいた。
【0125】
紫外線老化に対して、3つの遺伝子発現シグネチャーを以下にように選択した。
(i)表C及びDのそれぞれに記載される、高齢の腕を若年の腕と比較する、100の最も有意な上方制御された、及び100の最も有意な下方制御されたプローブセットを含む、「紫外線老化200」シグネチャー(P200)、
(ii)表C及びDのそれぞれに記載される、高齢の腕を若年の腕と比較する、200の最も有意な上方制御された、及び200の最も有意な下方制御されたプローブセットを含む、「紫外線老化400」シグネチャー(P400)、及び
(iii)表C及びDのそれぞれに記載される、高齢の腕を若年の腕と比較する、300の最も有意な上方制御された、及び300の最も有意な下方制御されたプローブセットを含む、「紫外線老化600」シグネチャー(P600)。
【0126】
(実施例3)
内因性老化遺伝子発現シグネチャーを得る
経時的(内因性)皮膚老化と関連する遺伝子発現パターンの調査で使用するための生検標本を得るための臨床的調査研究を実施した。内因性老化と関連する遺伝子発現プロファイルを検査するために、若年及び高齢の女性からの、日光から保護された皮膚において、基準遺伝子発現パターンを検査した。10人の若年女性(18歳〜20歳)、及び10人の高齢女性(60歳〜67歳)のそれぞれからの、日光から保護された(臀部)身体部位から、合計で3つの全層皮膚生検(〜4mm)を採取した。生検を液体窒素中で急速冷凍し、RNA単離まで−80℃で保管した。
【0127】
冷凍皮膚生検をTrizol(Invitrogen)中で均質化し、Invitrogenによって提供されるプロトコルを使用して、RNAを抽出した。組織サンプルが全層生検からであったため、ケラチノサイト、線維芽細胞、メラニン細胞、内皮細胞、周皮細胞、神経、平滑筋、脂肪細胞、含脂肪細胞、及び免疫細胞を含む、全層皮膚サンプル内の種々の細胞型から、RNAを抽出した。RNEasyスピンカラム(Qiagen)を使用して、RNAを更に精製した。NanoDrop分光光度計(Thermo Scientific,Waltham,MA)を使用して、全RNAを定量化し、Agilent(Santa Clara,CA)2100 BioAnalyzerを使用して、質を確認した。Enzo BioArray標識化手順(Enzo Life Sciences,Farmingdale,NY)及び提供されるプロトコルを使用して、全RNA(5μg)をGeneChip標的に変換した。全てのビオチン標識されたGeneChip標識を、Affymetrix Human Genome HG−U133 Plus 2.0遺伝子チップに一晩ハイブリッド形成し、次いで、Affymetrixによって提供されるプロトコルを使用して、それを洗浄、染色、及びスキャンした。同一の製造ロットの遺伝子チップを使用して、同日中にサンプルを処理した。
【0128】
約200〜約600の遺伝子を含む、内因性老化遺伝子発現シグネチャーを得るために、概して実施例2に記載されるような同一のソーティングプロセスを使用して、マイクロアレイデータの統計解析を実施した。
(i)表A及びBのそれぞれに記載される、高齢の臀部を若年の臀部と比較する、100の最も有意な上方制御された、及び100の最も有意な下方制御されたプローブセットを含む、「内因性老化200」シグネチャー(I200)。
(ii)表A及びBのそれぞれに記載される、高齢の臀部を若年の臀部と比較する、200の最も有意な上方制御された、及び200の最も有意な下方制御されたプローブセットを含む、「内因性老化400」シグネチャー(I400)。
(iii)表A及びBのそれぞれに記載される、高齢の臀部を若年の臀部と比較する、300の最も有意な上方制御された、及び300の最も有意な下方制御されたプローブセットを含む、「内因性老化600」シグネチャー(I600)。
【0129】
紫外線老化遺伝子発現シグネチャー及び内因性老化遺伝子発現シグネチャーは、全部若しくは一部として使用されてもよく、又はそれらは、本発明におけるクエリとして組み合わせて使用されてもよい。いくつかの実施形態では、遺伝子発現シグネチャーは、最も上方制御された、又は最も下方制御された遺伝子のセットを含む。いくつかの実施形態では、紫外線老化遺伝子発現シグネチャー及び内因性老化遺伝子発現シグネチャーは、共通して、約10%〜50%のそれらのプローブセットIDを有してもよい。他の実施形態では、紫外線老化遺伝子発現シグネチャー及び内因性老化遺伝子発現シグネチャーは、共通して、約20%〜30%のそれらのプローブセットIDを有してもよい。Cマップで試験されるいくつかの物質は、これらの薬剤が異なる生態に影響を及ぼし得るため、皮膚老化の種類のうちの1つに対して展開される、遺伝子発現シグネチャーにのみ結合する。例えば、本発明者らは、紫外線老化遺伝子発現シグネチャーが、線維芽細胞中で試験される摂動因子インスタンスへの強い選択的関連を示し、遺伝子発現変化が、真皮結合組織における変化をより反映していることを発見した。対照的に、内因性老化遺伝子発現シグネチャーは、老化で生じる表皮及び真皮の両方における変化を反映する。したがって、内因性老化及び紫外線老化の両方に対して得られる別々のシグネチャーで、関連性マップにクエリを行うことが有用である。また、異なる数の遺伝子を有するシグネチャーを使用することが望ましい。複数のシグネチャーに基づく生物活性の予測は、正しい可能性が高い。
【0130】
(実施例4)
線維芽細胞及びケラチノサイトインスタンスに対する紫外線老化遺伝子発現シグネチャー及び内因性老化遺伝子発現シグネチャーの比較
本発明者らは、紫外線老化遺伝子シグネチャー(例えば、実施例2)が、BJ線維芽細胞において試験される摂動因子インスタンスに対して強い選択的関連性を有することを観察した。換言すれば、紫外線老化シグネチャーでのクエリから得られる、トップランクインスタンス(すなわち、高い関連性スコア)間で、BJ線維芽細胞インスタンスは、強度に過剰表現された。この効果は、紫外線によって老化した皮膚において上方制御された遺伝子を、クエリシグネチャーとして使用した時に、最も劇的であった。同様の結果であるが、それほど強くないものが、内因性老化シグネチャー(例えば、実施例3)で得られた。複数のインスタンスの紫外線老化600シグネチャーとの比較の結果の要約を表1に示す。これらの結果は、i)皮膚老化表現型に寄与することが予測される種々の細胞型を含む、全層生検から得られる、遺伝子シグネチャー、及びii)皮膚老化が、皮膚の組織及び構造のほとんどにおける変化を伴う複雑な多因子状態であることを考慮すると、完全に予想外であり、驚くべきものである。
【0131】
【表1】
1このシグネチャーは、上記の実施例2に記載される、高齢の腕と若年の腕との比較において、300の最も統計的に有意な上方制御された、及び300の最も有意な下方制御されたAffymetrixプローブセットを含む。
2インスタンスを、最も負のスコアから最も正のスコアまでランク付けした(すなわち、1が最も負のスコアインスタンスである)。負のスコアの化学物質は、紫外線老化に対して有益な効果を有すると予測される。
3上方リスト結果は、遺伝子発現シグネチャー中の上方制御されたプローブセットのみでの、インスタンスのデータベースのクエリによる。同様に、下方リスト結果は、下方制御されたプローブセットのみを含む、遺伝子発現シグネチャーでのクエリによる。
【0132】
完全紫外線老化シグネチャーと関連する、トップ300にランク付けられるインスタンスの中で、196(65.3%)がBJ線維芽細胞に関し、34.7%のみがケラチノサイトに関した。これは、線維芽細胞の2倍を超える過剰表現であり、理由は、それらが、データベース中のインスタンスの31%のみを含んだためであった。線維芽細胞の紫外線老化シグネチャーへの選択的関連性は、上方リストのみをクエリのために使用した時に、はるかに劇的であった。驚くべきことに、その場合、トップ300のインスタンスの全てが線維芽細胞にあった。上方シグネチャーの寄与は、線維芽細胞の完全紫外線老化シグネチャーへの選択的関連性の原因となり、それは、下方シグネチャーのみでのクエリが、データベース中の2つの細胞株インスタンスの割合により強く比例する、トップスコアインスタンスの分布をもたらしたためである。実施例2に記載される紫外線老化P200及びP400シグネチャーで、同様の結果が得られた。全体的に見て、線維芽細胞インスタンスの紫外線老化シグネチャーへの強い選択的関連性は、驚くべきことであり、それは、ケラチノサイトが、紫外線老化表現型に寄与することが予測され、かつBJ線維芽細胞において試験する物質の全てを、ケラチノサイトにおいても試験したためである(すなわち、効果は、任意の化学的特異性によるものではない)。
【0133】
提供されたデータベースに、内因性老化遺伝子発現シグネチャーでクエリを行った時に、同様であるが微妙に異なるパターンが観察された。表2は、内因性老化600シグネチャー(実施例3)で得られる結果を示す。この場合もやはり、完全シグネチャーを有するトップランクインスタンスの中で、線維芽細胞の過剰表現があり、この効果は、シグネチャー中の上方制御されたプローブセットによるものであったが、その効果は、紫外線老化シグネチャーの場合ほど強くはなかった。更に、下方リストに関連するトップランクインスタンスは、それらの試験されるサンプルの割合に対して、ケラチノサイトの何らかの過剰表現を示した(表2)。
【0134】
【表2】
1 このシグネチャーは、実施例3に記載する臨床研究における、高齢の臀部と若年の臀部との比較において、300の最も統計的に有意な上方制御された、及び300の最も有意な下方制御されたAffymetrixプローブセットを含む。
2 インスタンスを表1にあるようにランク付けした。
3 上方リスト結果は、シグネチャー中の上方制御されたプローブセットのみでの、Cマップデータベースのクエリによる。同様に、下方リスト結果は、下方リストのみでのクエリによる。
【0135】
予想外に、紫外線老化皮膚の臨床サンプルから生成される遺伝子発現シグネチャーは、表皮ケラチノサイトと比較して、真皮線維芽細胞において試験される化学物質インスタンスに対して、非常に強い選択的関連性を示す。更に、この選択的関連性は、皮膚の全層生検から抽出されるRNAに行われる遺伝子発現プロファイリングから生成される、シグネチャーで観察され、それは、皮膚の複雑構造内の細胞型の全ての複合サンプルを含む。紫外線老化皮膚において差次的に発現した遺伝子と関連する、生物学的プロセスの解析は、プロセスの多くが、創傷治癒を含む、真皮及び線維芽細胞に関連したことを示した(テーマ解析、実施例5を参照)。これらの結果は、紫外線老化皮膚における主要な遺伝子発現の変化が、真皮線維芽細胞において生じるという仮説を裏付ける。更に、臨床試験において、線維芽細胞インスタンスのCマップクエリに基づき、皮膚抗老化活性を有すると予測される2つの植物抽出物で、統計的に有意な抗皺結果が得られた(例えば、実施例6及び7)。対照的に、これらの物質のケラチノサイトインスタンスは、それらの抗老化活性を予測しなかった。
【0136】
紫外線老化と内因性老化シグネチャーとの間のこれらの差は、それらが、老化皮膚における重複するが異なる生物学的変化を表すという事実によって説明され得る(テーマ解析、実施例5を参照)。紫外線老化は、紫外線曝露の効果及び内因性要因の組み合わせによるものであり、一方で、内因性老化は、太陽/UV構成成分を欠く。紫外線老化及び内因性老化シグネチャーにおける遺伝子の20%未満が、共通していることが観察された。これらの結果は、シグネチャーが、複雑な老化プロセスの異なる態様に影響を及ぼす物質の検出を可能にするため、老化皮膚を改善するための化粧剤を同定するためにCマップを適用する時に、紫外線老化及び内因性老化シグネチャーの両方を使用する価値を指摘する。
【0137】
完全紫外線老化及び内因性老化遺伝子発現シグネチャーを使用するクエリでの、トップランクCマップインスタンスにおけるテロメル化ケラチノサイトの過少表現は、試験条件下での細胞の反応性の欠如によるものではなかった。表3は、同一の原液を使用して、BJ線維芽細胞及びテロメル化ケラチノサイトの両方で試験した、493の化学物質に対する、遺伝子発現の異常値数を記載する。異常値数が、各シングルトンCマップインスタンスに対して計算され、処理によって制御されるプローブセットの数の尺度である。このプローブセット毎の解析において、各プローブセットに対して予測区間を形成するために、Cマップバッチ中の6の溶媒対照サンプルが使用され、次いで、バッチ中の各化学物質インスタンスに対して、区間の範囲外であるプローブセットが集計される。化学的複製が通常、スコアへのバッチ効果によって、異なるCマップバッチにおいて行われるため、この統計量が使用される。
【0138】
【表3】
1同一原料チューブからの物質を、両方の種類の細胞で試験した。異常値数が、各シングルトンCマップインスタンスに対して計算され、処理によって制御されるプローブセットの数の尺度である。このプローブセット毎の解析において、各プローブセットに対して予測区間を形成するために、Cマップバッチ中の6の溶媒対照サンプルが使用され、次いで、バッチ中の各化学物質インスタンスに対して、区間の範囲外であるプローブセットが集計される。化学的複製が通常、スコアへのバッチ効果によって、異なるCマップバッチにおいて行われるため、この統計量が使用される。
【0139】
異常値数に基づき、ケラチノサイトは、線維芽細胞よりも処理に反応する傾向があり、線維芽細胞のものと比較して、高い異常値数(≧2,000)を有する、約2倍のケラチノサイトインスタンスが存在した。処理への細胞反応性の更なる兆候は、形態学的変化である。種々の化学物質で処理されるテロメル化ケラチノサイトにおける変性形態が観察された。対照的に、BJ線維芽細胞における形態学的変化は、同一条件下でほとんど観察されていない。非常に劇的な比較例が
図9に示され、それは、10μMのオールトランス型レチノイン酸(tRA)で処理される細胞の形態を記録する。この処理は、ケラチノサイトにおける著しい形態学的変化を引き起こしたが、線維芽細胞の形態に対して明確な効果は有さなかった。したがって、より反応性のあるケラチノサイトが、紫外線老化に対して、線維芽細胞ほど予測的ではなかったことは驚きである。
【0140】
(実施例5)
加齢に関係した遺伝子発現シグネチャーのテーマ解析
BJ線維芽細胞インスタンスを使用して得られる結果をよりよく理解するためのツールとして、テーマ解析を使用した。テーマ解析は、遺伝子発現プロファイリングデータ中の生物学的パターンを検出するための、統計解析ベースの方法である。本方法は、遺伝子製品と関連する生物学的プロセス、分子機能、及び細胞成分を記載するGene Ontology(GO)Consortium[Ashburner,M.et al.(2000)Gene ontology:tool for the unification of biology.The Gene Ontology Consortium.Nat Genet,25,25〜29]によって開発された統制用語のオントロジーを使用する。解析は、特定のGO用語に注釈付けられる遺伝子が、制御されたリスト中で有意に強化されているかを決定するために、遺伝子の制御されたリストと、全ての発現した遺伝子のより大きい参照リストとの統計的比較を伴う。この解析は、所与のGO用語と関連する複数の遺伝子が、偶然で予測されるよりも大きい頻度で、制御されたリスト上で生じる時の、生物学的パターンを明らかにする。各オントロジー用語に対するp値を計算する、テーマ抽出装置の独占的ソフトウェア及びアルゴリズムを使用して、かかる解析を実施した。フィッシャーの直接確率検定によって、統計的有意性に対してデータを解析した。ここで使用される方法及び統計的方法は、文献[Subramanian,A.et al.(2005)Gene set enrichment analysis:a knowledge−based approach for interpreting genome−wide expression profiles.Proc.Natl.Acad Sci U.S.A,102,15545〜15550]に記載されている、遺伝子セット強化解析と非常に似ている。
【0141】
表4は、実施例3に記載される臨床的遺伝子発現研究からの、高齢の腕の若年の腕との比較(紫外線老化)において有意に強化される、GO生物学的プロセス用語を示す。これは、約12,500の発現した遺伝子の解析を伴った。最も高度に有意なテーマのみが示され(p≦1×10
-4)、上方及び下方制御された遺伝子に対して、別々にテーマ解析を行った。用語列における同定レベルは、概して、GO階層におけるレベル、及び用語間の親/子関係を示す。換言すれば、字下がりの用語は、しばしば、それらの上の用語に関連し、より具体的なプロセスを記載する。アスタリスクの数は、各用語に対するp値の範囲を示す。
【0142】
【表4-1】
【0143】
【表4-2】
【0144】
【表4-3】
1 統計的有意性は、以下の通りである。
【0145】
【表5】
【0146】
この解析は、紫外線老化における上方及び下方制御された遺伝子が、非常に異なる生物学的プロセスと関連したことを明らかにした。線維芽細胞及び結合組織と密接に関連する多くの生物学的プロセスは、紫外線老化において上方制御された。遺伝子オントロジー用語「創傷への反応」及び「創傷治癒」が、上方制御された遺伝子リストに対して、最も統計的に有意な用語(p≦1×10
-7)の中にあったことは、注目に値する。線維芽細胞又は間葉細胞と明確に関連する他の用語は、表4中で印がつけられ、これらの全ては、上方リストに対して有意であった。上方制御されたリストと関連するこれらの他の用語のほとんどは、間葉細胞が重要な役割を果たす発生プロセスに関する。紫外線老化において下方制御された遺伝子は、遺伝子転写、並びに種々の細胞型に関連する代謝及び信号伝達の種々の態様等、より一般的なプロセスと関連した。
【0147】
紫外線老化600シグネチャー遺伝子リスト(実施例2を参照)もまた、テーマ解析(図示せず)を受け、それにより、紫外線老化データセット全体で得られたものとかなり同様の、有意な用語のパターンが明らかになった。上方制御された遺伝子リストは、線維芽細胞又は間葉細胞と密接に関連する生物学的プロセスに関与する、遺伝子を含有する。この場合もやはり、上方リストに対する最も有意な用語の中に、「創傷への反応」及び「創傷治癒」(P≦1×10
-5)が含まれた。これらのテーマ解析の結果は、線維芽細胞の、紫外線老化の上方制御された遺伝子発現シグネチャーへの特異的な関連、及び紫外線老化のシグネチャー全体への強い関連に対する、明かな論理的根拠を提供する。紫外線老化において上方制御される主要なプロセスが、真皮及び線維芽細胞を伴うと思われる。全体的に見れば、紫外線老化遺伝子シグネチャーは、紫外線老化皮膚状態の遺伝子発現プロファイリングにおいて観察される、この主要な生態を反映する。
【0148】
テーマ解析はまた、内因性老化において制御される遺伝子に対しても実施し、それは、約12,500の発現した遺伝子を伴った。表5は、実施例3に記載される臨床的遺伝子発現研究からの、高齢の臀部の若年の臀部との比較(内因性老化)において有意に強化される、GO生物学的プロセス用語を示す。表4に関してと同様に、この表のサイズを管理しやすい状態に保つために、最も高度に有意なテーマのみが示される(p≦1×10
-4)。
【0149】
【表6-1】
【0150】
【表6-2】
1 統計的有意性は、表4に記載される通りである。
【0151】
内因性老化において制御される遺伝子のテーマ解析によりに対するものと同様に、上方及び下方制御された遺伝子が、非常に異なるプロセスと関連したことが明らかになった。内因性皮膚老化において下方制御された遺伝子は、表皮及びケラチノサイトに関連する多くのプロセスと関連した。最も主要なものは、表皮バリア機能において重要な脂質の合成に関与する、脂質生合成経路に関連する用語であった。上皮生態に関するより具体的な用語「外胚葉発生」は、下方制御された遺伝子と関連した。関連用語「表皮発生」(p<0.001)は、それがp値カットオフを作らなかったため、表に含まれなかったが、それもまた、下方制御された遺伝子と関連した。表皮機能である、色素沈着(メラニン形成)の制御に関する用語もまた、下方リスト解析に対して有意であった。紫外線老化の解析において見られるように、上方制御されたテーマは、間葉細胞に関する種々の発生プロセスを含んだ。皮膚には無関係と思われ得る、「骨化」等の用語の出現は、種々の制御経路及び関連遺伝子が、細胞系統と関連する多くのプロセスに関与するという事実によるものであった。骨基質細胞は、間葉由来である。用語「間葉細胞増殖の制御」(紫外線老化解析において高度に有意)は、それがp値カットオフを作らなかったため、表に含まれなかったが、内因性老化における上方リストに対して、p<0.001で有意であった。
【0152】
内因性老化600シグネチャー遺伝子リスト(実施例3に記載され、表A及びBに記載されるトップ300の上方及び下方制御された遺伝子として定義される)もまた、テーマ解析(図示せず)を受け、それにより、内因性老化データセット全体で得られるものと同様の、有意な用語パターンが明らかになった。上方制御された遺伝子リストは、線維芽細胞又は間葉細胞と関連する生物学的プロセスに関与する遺伝子を含有し、下方制御されたリストは、表皮プロセス及びケラチノサイトとより密接に関連する遺伝子を含有した。これらのテーマ解析の結果は、線維芽細胞の、内因性老化の上方制御された遺伝子発現シグネチャーへの強い関連性、及びそれらのシグネチャー全体への選択的関連、並びにケラチノサイトインスタンスの、下方制御された遺伝子発現シグネチャーへの選択的関連性に対する、論理的根拠を示唆する。全体的に見れば、内因性老化シグネチャーは、内因性老化における生態を反映する。
【0153】
紫外線老化及び内因性老化において制御される遺伝子に対して実施される、生物学的テーマ解析は、皮膚老化のこれらの2つの態様における主要な生態の差を実証する。主要な差は、内因性老化におけるケラチノサイト分化と関連するプロセスの、明らかにより大きい下方制御に関連した。これらの解析は更に、老化皮膚を治療する化粧品材料を同定するために、Cマップデータベースにクエリを行う際に、紫外線老化及び内因性老化の両方に対するシグネチャーを使用する価値を裏付ける。また、これらの解析は更に、紫外線老化皮膚を改善するための化粧剤を同定するために、線維芽細胞株が、ケラチノサイト細胞株よりも有用であるという非直感的結果を裏付ける。本明細書に記載される研究はまた、Cマップ方法及びシステムを使用して、細胞型特異的信号が全層生検から検出され得ることを実証する。
【0154】
(実施例6)
アーティチョーク葉抽出物及びイナゴマメ種子抽出物に対する関連性マップ結果
本実施例では、抗老化顔面効果研究に対する候補であった20の物質を、線維芽細胞及びケラチノサイトにおいて試験した。各サンプル化合物に対してマイクロアレイ解析を実施し、プローブセットIDの順序付きリストを、データベース中にインスタンスとして記憶した。インスタンスに対して紫外線老化及び内因性老化遺伝子発現シグネチャーを比較し、関連性スコアを得た。
【0155】
スクリーニングした20の候補のうち、2つは、BJ線維芽細胞において試験した時に、紫外線老化遺伝子発現シグネチャーへの一貫した関連性を示した。これらの物質、アーティチョーク葉抽出物及びイナゴマメ種子抽出物に対する詳細な結果を表6に示す。内因性老化及び紫外線老化の両方が、有害な状態と見なされるため、遺伝子発現シグネチャーのうちの一方又は両方を逆にする傾向がある物質を見つけることが好ましい。かかる物質は、負の関連性スコアを有し、スコアが負であればあるほど、負の関連性はより強くなる。アーティチョーク葉抽出物の全ての線維芽細胞インスタンスが、3つの紫外線老化遺伝子発現シグネチャーと一貫して負に関連したことが、表6でわかる。アーティチョーク葉抽出物はまた、線維芽細胞において試験した時に、内因性老化シグネチャーで一貫して負のスコアであったが、スコアは、より弱く、いくつかのヌル又はゼロスコアが存在した。ヌルスコアは、同一の指向性を示す全ての他のスコアとの一貫性がないとは見なされない。ケラチノサイトにおいて試験した時に、アーティチョーク葉抽出物は、紫外線老化及び内因性老化遺伝子発現シグネチャーの両方への概して弱い正の関連性を示した。したがって、線維芽細胞及びケラチノサイトにおける試験は、一貫性のない結果をもたらした。同様に、イナゴマメ種子抽出物の線維芽細胞インスタンスは、紫外線老化遺伝子発現シグネチャーへの負の関連性のパターンを示し、遺伝子シグネチャーの両方のセットを有するケラチノサイトインスタンスで、一貫性のない結果が得られた。
【0156】
【表7】
1 0.01%の濃度の、アーティチョーク葉抽出物又はイナゴマメ種子抽出物のうちの1つを使用して、試験組成物を調製した。
2 アーティチョーク葉抽出物の一例は、商標名Biobenifity(商標)で、Ichimaru Pharcos,Japanから入手可能である。
3 イナゴマメ種子抽出物一例は、商標名Glyco−Repair(商標)で、Silab,Franceから入手可能である。
【0157】
皮膚老化遺伝子発現シグネチャーの、線維芽細胞から得られるインスタンスへの強い選択的関連があるという発見を考慮して、線維芽細胞の関連に対して最適化される更なる遺伝子発現シグネチャーもまた、化粧品材料をスクリーニングするために生成した。線維芽細胞の紫外線老化遺伝子発現シグネチャーへの関連が、内因性老化遺伝子発現シグネチャーへの関連よりも強かったため、実施例2における老化皮膚ゲノミクス研究からの紫外線老化データのみを使用した。≧10%の存在コールを有したBJ線維芽細胞のマイクロアレイ解析から選択される遺伝子に対しても、マイクロアレイプローブセットをフィルタリングしたことを除いて、実施例3の紫外線老化シグネチャーと同様に、修飾された遺伝子発現シグネチャーを生成し、ここで、30の対照及び化学的に処理された培養からのデータから、BJ線維芽細胞のマイクロアレイ解析を得た。修飾された遺伝子発現シグネチャーが、線維芽細胞において実際に発現する遺伝子に相補的なプローブのみを含有するように、このフィルタを追加した。加えて、修飾された遺伝子発現シグネチャーにおいて使用されるプローブを、以下のフィルタを使用して同定した。
(i)「シグネチャー1」ログt検定ランク上でフィルタリング;高齢及び若年の腕の比較における、最高ランクの100の上方制御された、及び100の下方制御されたプローブセット。
(ii)「シグネチャー2」ログt検定ランク上でフィルタリング;高齢及び若年の腕の比較における、最高ランクの150の上方制御された、及び150の下方制御されたプローブセット。
(iii)「シグネチャー3」(表Iに記載される識別子)ログt検定ランク上でフィルタリング;高齢及び若年の腕の比較における、最高ランクの200の上方制御された、及び200の下方制御されたプローブセット。
【0158】
【表8】
1 Cマップインスタンスは、表6にあるものと同一である。線維芽細胞での結果のみを示す。
【0159】
表7に記載する結果は、スコアがより強いことを除いて、表6に示す紫外線老化シグネチャーに対する結果と同様である。
【0160】
試験される物質が遺伝子発現シグネチャーに対してヒットと見なされたかどうかを決定するために、Cマップスコアの全体的な重み付けを使用した。カテゴリー(例えば、紫外線老化又は内因性老化)中の各シグネチャーに対して、ヒットを同定し、表8の基準を使用して重みを与えた。スコアの所望の指向性は、解析が、紫外線老化のような状態を改善する(負のスコア)、又は既知の有益剤と同様である(正のスコア)、物質を同定することを目的としているかどうかによって決まる。限られた数の複製がCマップデータベースにおける物質に対して利用可能であるため、この発見的方法を適用した。
【0161】
【表9】
1 これらの解析を行った時に、Cマップデータベース中に、4000を超える化学物質インスタンスが存在した。
【0162】
シグネチャーの各セットに対して平均の重みを計算した(例えば、実施例2に記載され、表C及びDから得られる、3つの紫外線老化シグネチャー)。物質は、シグネチャーに対するそれらの平均の重みが、表9に記載されるようなものであった場合、ヒットと見なされた。
【0163】
【表10】
【0164】
アーティチョーク葉抽出物及びイナゴマメ種子抽出物に対する重みを付けられた解析の結果を、表10に示す。平均ヒット重みに基づき、アーティチョーク葉抽出物は、線維芽細胞において試験される時に、紫外線老化シグネチャーに対する全体的な負のヒット、及び内因性老化シグネチャーに対する弱い負のヒットと見なされた。イナゴマメ種子抽出物は、線維芽細胞に対して最適化される紫外線老化シグネチャーに対して、弱い負のヒットであった。紫外線老化シグネチャーの、線維芽細胞から得られるインスタンスへの強い選択的関連を考慮すると(上述)、ケラチノサイトデータを除外し、線維芽細胞データのみを、アーティチョーク葉抽出物及びイナゴマメ種子抽出物がインビボ試験に進められるべきかどうか決定するための証拠の重みの一部として使用した。
【0165】
【表11】
【0166】
(実施例7)
アーティチョーク葉抽出物及びイナゴマメ種子抽出物に対するインビトロ及びインビボ結果
Cマップは、老化皮膚を改善することができる薬剤の同定に対するその予測性が、臨床試験によって実証されるべきである、仮説を生むツールである。アーティチョーク葉抽出物及びイナゴマメ種子抽出物を臨床試験に供する前に、証拠の重みを構築するためにインビトロ試験に供した。皮膚同等培養物を以下に記載する物質で処理し、プロコラーゲン、ヒアルロン酸、フィブロネクチン、及びマトリックスメタロプロテアーゼ1(MMP1)活性の阻害を含む、化粧品の効果に関する終点に対してアッセイした。
【0167】
インビトロ試験手順:
ヒト皮膚同等培養物(EFT−400全層皮膚モデル、MatTek Corporation,Ashland MA)を、37℃、及び5% CO
2で、一晩平衡化した。培養物を24時間、40μLの試験物質で局所的に処理した。評価した試験物質は、3.0%の加水分解されたイナゴマメ種子抽出物の市販調製物、又は3.5%のアーティチョーク葉抽出物の市販調製物の水溶液であった。対照培養物を水溶媒のみで処理した。試験物質での処理後、培養物をPBSで洗い流した。プロコラーゲン及びヒアルロン酸測定のために、5mmのパンチ生検サンプルを採取し、各培養物の残量を、細胞生存(MTT)解析のために使用した。
【0168】
細胞生存のために試験される培養物を、各ウェル中に2mLのMTT溶液(MTTキット、MatTek Corporation)を含有する、新しい6ウェルプレートに移し、3時間インキュベートした。次いで、培養物をウェルから取り出し、ブロット乾燥し、各ウェル中に3mLの抽出溶液を含有する、新しい6ウェルプレートに移した。1mLの抽出溶液を各培養物に局所的に添加し、プレートを室温で2時間、振とう器上に配置した。抽出溶液のアリコート(200μL)を各培養ウェルから取り出し、96ウェル平底プレートに移し、A
570で読み出した。
【0169】
プロコラーゲン及びヒアルロン酸解析のための培養サンプルを、1mLの弱いタンパク質抽出物試薬(T−per,Pierce Protein Research Products,Thermo Fisher Scientific Inc.,Rockford,IL)でインキュベートし、次いで、ミキサーミル(Model MM 300,Qiagen Inc.,Valencia,CA)で6分間均質化した。次いで、サンプルを、4℃で15分間、10,000rpmで遠心分離し、可溶性分画を採取した。タンパク質濃度を定量化するために、上清を、Micro BCA Protein Assay Kit(Pierce Protein Research Products,Thermo Fisher Scientific Inc.,Rockford,IL)で解析した。プロコラーゲン1の解析に対して、上清サンプルをアッセイ緩衝液中で1:5に希釈し、市販のELISAキット(Takara Bio Inc.,Shiga,Japan)で解析した。ヒアルロン酸解析に対して、上清サンプルをアッセイ緩衝液中で1:300に希釈し、市販のELISAキット(Corgenix,Broomfield CO)で解析した。プロコラーゲン及びヒアルロン酸を、各培養に対するタンパク質レベルに正規化し、溶媒対照のa %として表現した。スチューデントのt検定を使用して、溶媒対照に対する統計的比較を行った。
【0170】
インビトロ試験結果:
【0171】
【表12】
* は、p<0.05を示す;nc=対照に対して変化なし
【0172】
これらの結果は、3.0%の加水分解されたイナゴマメ種子抽出物の市販調製物で処理されるヒト皮膚培養物が、プロコラーゲン(真皮マトリックスコラーゲンの前駆体)及びヒアルロン酸(水に結合し、皮膚に水分を補給するマトリックス成分)の発現を有意に(p<0.05)増加させたことを示す。3.5%のアーティチョーク葉抽出物の市販調製物で処理される培養物は、プロコラーゲン及びヒアルロン酸の有意に増加した発現をもたらし、また、MMP−1発現(真皮マトリックスを損傷する皮膚老化及び炎症において増加する酵素)を有意に減少させた。
【0173】
インビボ試験手順
研究設計は、中程度から重度(moderate to moderately-severe)の紫外線老化した顔面皮膚を有する、40〜65歳の女性の小皺及び皺、フィッツパトリック皮膚型I〜IIIを評価するための13週間、ランダム化、二重盲検、溶媒制御、分割面研究であった。研究の持続期間は、溶媒生成物による1週間の前提条件調整、続いて、12週間の顔面皮膚への毎日2回の試験生成物の適用を含んだ。対象の顔面皮膚の高密度デジタル画像を、60mmのNikonレンズを有するFuji S2 ProデジタルSLRカメラで撮った。基準画像、4、8、及び12週目の画像を撮った。各被験者に対する一致基準画像と比較して、4、8、及び12週目の目の周りの小皺及び皺における変化の程度を決定するために、熟練した評価者による0〜8の評価尺度で、符号化画像を評価した。
【0174】
パネリストによって使用される試験生成物は、3.0%の加水分解されたイナゴマメ種子抽出物又は3.5%のアーティチョーク葉抽出物の市販調製物を含有し、それぞれは、水中油型製剤中で調製した。対照は、水中油型製剤のみであった。
【0175】
インビボ試験結果:
【0176】
【表13】
【0177】
これらの結果は、3.0%のイナゴマメ種子抽出物の市販調製物を含有する試験生成物が、4、8、及び12週目に、同時の溶媒対照生成物と比較して、目の周りの小皺及び皺における有意な(p<0.05)改善をもたらしたことを示す。3.5%のアーティチョーク葉抽出物の市販調製物を含有する試験生成物は、12週目に、同時の溶媒対照生成物と比較して、目の周りの小皺及び皺における有意な改善をもたらした。全体的に見ると、インビボ試験結果は、皮膚抗老化薬剤を同定するための本明細書に記載する方法の予測性を実証する。
【0178】
本願に引用される全ての文書は、特に除外すること又は限定することを明言しない限りにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0179】
本明細書に開示される値は、列挙される正確な数値に厳しく限定されると理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした値はそれぞれ、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。
【0180】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施例に限定されると見なされるべきではなく、むしろ、本発明の全ての態様を含めると理解されるべきである。種々の修正、同等のプロセス、並びに本発明が適用可能であり得る多くの構造及びデバイスは、当業者に容易に明らかとなるであろう。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われてもよく、それが、本明細書に記載されるものに限定されると見なされるものではないことを理解するであろう。本発明のいくつかの実施例は、以下の節に記載される。
1.1つ以上の皮膚の老化状態と関連する、摂動因子と遺伝子との間の関連性の同定に使用するための、データアーキテクチャを構築するための方法であって、
(a)対照ヒト真皮線維芽細胞に対する遺伝子発現プロファイルを提供する工程と、 (b)少なくとも1つの摂動因子に曝露されるヒト真皮線維芽細胞に対する、遺伝子発現プロファイルを生成する工程と、
(c)(a)及び(b)の遺伝子発現プロファイルと比較することによって、少なくとも1つの摂動因子に反応して差次的に発現した遺伝子を同定する工程と、
(d)差次的に発現した遺伝子を表す識別子を含む、順序付きリストを作成する工程であって、識別子が、遺伝子の差次的発現に従って順序付けられる、工程と、
(e)少なくとも1つのコンピュータ可読媒体上に、線維芽細胞インスタンスとして、順序付きリストを記憶する工程と、
(f)(a)〜(e)を繰り返すことによって、記憶された線維芽細胞インスタンスのデータアーキテクチャを構築する工程であって、工程(a)の少なくとも1つの摂動因子が、各線維芽細胞インスタンスに対して異なる、工程と、を含む、方法。
2.工程(c)、(d)、(e)、及び(f)のうちの1つ以上を実施するために、プログラム可能コンピュータを使用する工程を含む、第1節に記載の方法。
3.順序付きリストが、順序付きリスト中のそのランクに対応する識別子に対する数値的ランクと関連して、識別子の順序付きリストを含む、第1節に記載の方法。
4.生成する工程が、処理細胞から生体サンプルを抽出し、生体サンプルをマイクロアレイ解析に供することによって実施される、第1節に記載の方法。
5.生体サンプルが、mRNAを含む、第1節に記載の方法。
6.マイクロアレイが、大域的マイクロアレイ又は特異的マイクロアレイであり、特異的マイクロアレイが、細胞表現型に対する遺伝子発現シグネチャーに対応する遺伝子にハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドを含む、第1節に記載の方法。
7.工程(a)〜(e)を繰り返すことによって、記憶されたインスタンスのデータアーキテクチャを構築する工程が、約50〜約50,000のインスタンスに対して、工程(a)〜(e)を繰り返す工程を含む、第1節に記載の方法。
8.記憶されたインスタンスの遺伝子発現データベースを構築する工程が、約1000〜約20,000のインスタンスに対して、工程(a)〜(e)を繰り返す工程を含む、第7節に記載の方法。
9.少なくとも1つの摂動因子が、化粧剤である、第1節に記載の方法。
10.異なる摂動因子のそれぞれが、化粧剤である、第1節に記載の方法。
11.識別子が、遺伝子名、遺伝子記号、マイクロアレイプローブセットID値、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、第1節に記載の方法。
12.順序付きリストが、最も上方制御された遺伝子と関連する識別子が、順序付きリストの最上部に位置付けられ、最も下方制御された遺伝子と関連する識別子が、順序付きリストの最下部に位置付けられるように配列される、第1節に記載の方法。
13.各インスタンスの順序付きリストが、差次的に発現しない各遺伝子と関連する識別子が、最も上方制御された遺伝子と関連する識別子と、最も下方制御された遺伝子と関連する識別子との間に位置付けられるように配列される、第12節に記載の方法。
14.各インスタンスが、約1,000〜約50,000の識別子を含む、第1節に記載の方法。
15.各インスタンスが、インスタンスと関連する少なくとも1つの摂動因子に対するメタデータを含む、第1節に記載の方法。
16.
(a)対照ヒトケラチノサイト細胞に対する遺伝子発現プロファイルを提供する工程と、
(b)少なくとも1つの摂動因子に曝露されるヒトケラチノサイト細胞に対する、遺伝子発現プロファイルを生成する工程と、
(c)(g)及び(h)の遺伝子発現プロファイルと比較することによって、少なくとも1つの摂動因子に反応して差次的に発現した遺伝子を同定する工程と、
(d)差次的に発現した遺伝子を表す識別子を含む、順序付きリストを作成する工程であって、識別子が、(i)において同定される遺伝子の差次的発現に従って順序付けられる、工程と、
(e)少なくとも1つのコンピュータ可読媒体上に、ケラチノサイトインスタンスとして、工程(j)において作成される順序付きリストを記憶する工程と、
(f)(g)〜(k)を繰り返すことによって、記憶されたケラチノサイトインスタンスのデータベースを構築する工程であって、工程(h)の少なくとも1つの摂動因子が、各ケラチノサイトインスタンスに対して異なる、工程と、を更に含む、第1節に記載の方法。
17.工程(a)の少なくとも1つの摂動因子は、工程(g)の少なくとも1つの摂動因子と同一である、第16節に記載の方法。
18.少なくとも1つの摂動因子が、植物である、第1節に記載の方法。
19.植物が、植物の根、茎、樹皮、葉、種、又は果実のうちの1つ以上に由来する、第18節に記載の方法。
20.少なくとも1つの摂動因子が、ビタミン化合物、糖アミン、植物ステロール、ヘキサミジン、ヒドロキシ酸、セラミド、アミノ酸、及びポリオールからなる群から選択される、第1節に記載の方法。
21.ビタミン化合物が、ビタミンB3化合物、ビタミンB5化合物、ビタミンB6化合物、ビタミンB9化合物、ビタミンA化合物、ビタミンC化合物、ビタミンE化合物、並びにそれらの誘導体及び組み合わせからなる群から選択される、第20節に記載の方法。
22.ビタミン化合物が、レチノール、レチニルエステル、ナイアシンアミド、葉酸、パンテノール、アスコルビン酸、トコフェロール、及び酢酸トコフェロールからなる群から選択される、第20節に記載の方法。
23.老化した皮膚を治療するために有効な化粧剤を同定するのに役立つ関連性を生成するために、第1節に記載のデータアーキテクチャを実行するための方法であって、少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーでデータアーキテクチャにクエリを行う工程を含み、クエリを行う工程が、少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーを、各記憶された線維芽細胞インスタンスと比較する工程を含み、皮膚老化遺伝子発現シグネチャーが、少なくとも1つの皮膚の老化状態と関連して差次的に発現した遺伝子を表す、方法。
24.少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーの、各記憶された線維芽細胞インスタンスとの比較が、プログラム可能コンピュータによって実施される、第23節に記載の方法。
25.少なくとも1つの皮膚の老化状態が、内因性皮膚老化状態、紫外線老化皮膚状態、及びそれらの組み合わせから選択される、第23節に記載の方法。
26.少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーが、(i)対照と比較して、少なくとも1つの皮膚の老化状態において上方制御された発現を有する遺伝子を同定する工程と、(ii)対照と比較して、少なくとも1つの皮膚の老化状態において下方制御された発現を有する遺伝子を同定する工程と、(iii)(i)及び(ii)において同定される複数の遺伝子に対応する識別子を含む、少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーと関連する、1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを作成する工程と、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体上に、1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを記憶する工程と、を含む方法によって構築される、第23節に記載の方法。
27.少なくとも1つの皮膚の老化状態において上方制御された発現を有する遺伝子の数が、約10〜約400であり、少なくとも1つの皮膚の老化状態において下方制御された発現を有する遺伝子の数が、約10〜約400である、第26節に記載の方法。
28.上方制御された遺伝子の約80%〜約100%に対する識別子が、表Cにあるように記載され、下方制御された遺伝子の約80%〜約100%に対する識別子が、表Dにあるように記載される、第27節に記載の方法。
29.(i)及び(ii)において同定される遺伝子を表す識別子が、遺伝子名、遺伝子記号、及びマイクロアレイプローブセットID値からなる群から選択される、第23節に記載の方法。
30.1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストが、(i)において同定される複数の上方制御された遺伝子を表す、第1のリストと、(ii)において同定される複数の下方制御された遺伝子を表す、第2のリストとを含む、第26節に記載の方法。
31.少なくとも1つの皮膚サンプルが、少なくとも1つの皮膚状態を示す被験者から採取され、生体サンプルが、皮膚サンプルから抽出され、少なくとも1つの皮膚サンプルの遺伝子発現プロファイルが、工程(i)及び(ii)のうちの少なくとも1つの前に生成される、第26節に記載の方法。
32.少なくとも1人の被験者が、約18歳〜約80歳である、第31節に記載の方法。
33.皮膚サンプルが、被験者の表皮及び真皮層からの細胞を含む、第31節に記載の方法。
34.比較する工程が、複数のインスタンスのそれぞれに関連性スコアを割り当てる工程を更に含む、第23節に記載の方法。
35.複数の関連性スコアが、正相関を表し、複数の関連性スコアが、負相関を表す、第34節に記載の方法。
36.関連性スコアが、+2〜−2の値を有する、第34節に記載の方法。
37.1つ以上の皮膚の老化状態と関連する、摂動因子と遺伝子との間の関連性を同定することによって、スキンケア組成物を配合するための方法であって、
(a)少なくとも1つのコンピュータ可読媒体上に記憶される、複数のインスタンスにアクセスする工程であって、各インスタンスが、摂動因子及び皮膚細胞型と関連し、各インスタンスが、複数の上方制御された、及び複数の下方制御された遺伝子を表す、複数の識別子を含む、順序付きリストを含む、工程と、
(b)少なくとも1つのコンピュータ可読媒体上に記憶される、少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーにアクセスする工程であって、少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーが、皮膚の老化状態と関連する、複数の上方制御された遺伝子及び複数の下方制御された遺伝子を表す、複数の識別子を含む、1つ以上のリストを含む、工程と、
(c)少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーを、複数のインスタンスと比較する工程であって、この比較が、1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリスト中の各識別子を、複数のインスタンスのそれぞれに対する順序付きリスト中の同一の識別子の位置と比較する、工程と、
(d)複数のインスタンスのそれぞれに、関連性スコアを割り当てる工程と、
(e)皮膚科学的に許容可能な担体と少なくとも1つの摂動因子とを含む、スキンケア組成物を配合する工程であって、少なくとも1つの摂動因子と関連するインスタンスの関連性スコアが、負相関を有する、工程と、を含む、方法。
38.スキンケア組成物を、皮膚の老化状態を有する複数の被験者に適用する工程を更に含む、第37節に記載の方法。
39.スキンケア組成物が、複数の被験者のうちの1人以上の顔の小皺又は皺の外見を改善する、第38節に記載の方法。
40.識別子が、遺伝子名、遺伝子記号、及びマイクロアレイプローブセットID値からなる群から選択される、第37節に記載の方法。
41.各インスタンスが、約50〜約400の識別子を含む、第37節に記載の方法。
42.複数のインスタンスが、約50〜約50,000のインスタンスを含む、第37節に記載の方法。
43.複数のインスタンスが、約1000〜約20,000のインスタンスを含む、第37節に記載の方法。
44.少なくとも1つの摂動因子が、化粧剤である、第37節に記載の方法。
45.少なくとも1つの摂動因子が、植物である、第37節に記載の方法。
46.植物が、植物の根、茎、樹皮、葉、種、又は果実のうちの1つ以上に由来する、第45節に記載の方法。
47.工程(a)、(b)、(c)、及び(d)のうちの1つ以上が、プログラム可能コンピュータによって実施される、第37節に記載の方法。
48.少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーが、複数の皮膚老化遺伝子発現シグネチャーを含み、複数のインスタンスのそれぞれが、複数の皮膚老化遺伝子発現シグネチャーのそれぞれに対して、それに割り当てられる関連性スコアを有する、第37節に記載の方法。
49.複数のインスタンスのそれぞれに対する関連性スコアが、複数の皮膚老化遺伝子発現シグネチャーのそれぞれに対する、各インスタンスに割り当てられる関連性スコアの組み合わせである、第48節に記載の方法。
50.複数の皮膚老化遺伝子発現シグネチャーが、複数の紫外線老化遺伝子発現シグネチャーを含む、第49節に記載の方法。
51.複数の皮膚老化遺伝子発現シグネチャーが、複数の内因性老化遺伝子発現シグネチャーを含む、第49節に記載の方法。
52.複数の皮膚老化遺伝子発現シグネチャーが、複数の紫外線老化遺伝子発現シグネチャー及び複数の内因性老化遺伝子発現シグネチャーを含む、第49節に記載の方法。
53.複数の内因性老化遺伝子発現シグネチャーのそれぞれが、複数の上方制御された遺伝子及び複数の下方制御された遺伝子を表す、複数の識別子を含む、1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを含み、上方制御された遺伝子の約80%〜約100%に対する識別子が、表Aに記載され、下方制御された遺伝子の約80%〜約100%に対する識別子が、表Bに記載される、第52節に記載の方法。
54.スキンケア組成物の少なくとも1つの摂動因子と関連するインスタンスに割り当てられる各関連性スコアが、負相関を有する、第49節に記載の方法。
55.複数のインスタンスが、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体上のデータベース中に記憶される、第37節に記載の方法。
56.複数のインスタンスが、第1の皮膚細胞型と関連する複数のインスタンスと、第2の皮膚細胞型と関連する複数のインスタンスとを含む、第55節に記載の方法。
57.第1の皮膚細胞型が、ヒト真皮線維芽細胞であり、第2の皮膚細胞型が、ヒトケラチノサイトである、第56節に記載の方法。
58.複数のインスタンスのそれぞれが更に、皮膚細胞型、及びそれと関連する摂動因子と関連する、メタデータを更に含む、第55節に記載の方法。
59.メタデータが、皮膚細胞型に対する名前と、摂動因子に対する名前とを含む、第58節に記載の方法。
60.複数のインスタンスが、第1のデジタルファイル中に記憶され、少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーが、第2のデジタルファイル中に記憶される、第37節に記載の方法。
61.第37節に記載の方法に従って配合される、スキンケア組成物。
62.1つ以上の皮膚の老化状態と関連する、摂動因子と遺伝子との間の関連性の同定で使用するための、遺伝子発現シグネチャーを生成するための方法であって、
(a)ヒト皮膚細胞の参照サンプルに対する遺伝子発現プロファイルを提供する工程と、
(b)少なくとも1つの皮膚の老化状態を示す被験者からのヒト皮膚細胞の少なくとも1つのサンプルに対する遺伝子発現プロファイルを生成する工程と、
(c)(a)及び(b)において差次的に発現した遺伝子セットを含む、遺伝子発現シグネチャーを決定するために、(a)と(b)の発現プロファイルを比較する工程と、 (d)1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを作成するために、識別子を、遺伝子発現シグネチャーを構成する各遺伝子に割り当て、差次的発現の方向に従って、識別子を順序付ける工程と、
(e)1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体上に記憶する工程と、を含む、方法。
63.ヒト皮膚細胞が、皮膚の表皮又は真皮層のいずれかに由来し、被験者が、約18歳〜約80歳である、第62節に記載の方法。
64.少なくとも1つの皮膚の老化状態において差次的に上方制御された、約50〜約400の遺伝子、及び少なくとも1つの皮膚の老化状態において差次的に下方制御された、約50〜約400の遺伝子を有する、第62節に記載の方法に従って決定される、遺伝子発現シグネチャー。
65.識別子が、遺伝子名、遺伝子記号、及びマイクロアレイプローブセットIDからなる群から選択される、第62節に記載の方法。
66.ヒト皮膚細胞の少なくとも1つのサンプルが、複数のサンプルを含み、複数の皮膚サンプルのうちの1つが、日光に曝露された部位から採取され、複数の皮膚サンプルのうちの1つが、日光から保護された部位から採取される、第62節に記載の方法。
67.日光に曝露された部位が、前腕上にあり、日光から保護された部位が、臀部上にある、第66節に記載の方法。
68.1つ以上の皮膚の老化状態と関連する、摂動因子と遺伝子との間の関連性を同定するためのシステムであって、
(a)複数のインスタンスと、少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーとを記憶した、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体であって、インスタンス及び遺伝子発現シグネチャーが、ヒト真皮線維芽細胞から得られ、各インスタンスが、差次的に発現した遺伝子のランク付けられた識別子のインスタンスリストを含み、少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーが、皮膚の老化状態と関連する差次的に発現した遺伝子を表す、識別子の1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを含む、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体と、
(b)プログラム可能コンピュータに以下:
(i)コンピュータ可読媒体上に記憶される、複数のインスタンス及び少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーにアクセスする工程、
(ii)少なくとも1つの皮膚老化遺伝子発現シグネチャーを、複数のインスタンスと比較する工程であって、この比較が、遺伝子発現シグネチャーリスト中の各識別子を、複数のインスタンスのそれぞれに対するインスタンスリスト中の同一の識別子の位置と比較する、工程、
(iii)複数のインスタンスのそれぞれに、関連性スコアを割り当てる工程、のうちの1つ以上を実行させる、コンピュータ可読命令を含む、プログラム可能コンピュータと、を備える、システム。
69.ヒトケラチノサイト細胞から得られる、複数のインスタンス及び少なくとも1つの遺伝子発現シグネチャーを更に含む、第68節に記載のシステム。
70.ヒト真皮線維芽細胞及び/又はヒトケラチノサイト細胞を含むサンプルを受容するための、マイクロアレイスキャナーと、スキャナーから第1のプログラム可能コンピュータに、遺伝子発現データを伝送するための、第2のプログラム可能コンピュータと、を更に備える、第68節に記載のシステム。
71.真皮線維芽細胞及びケラチノサイト細胞に適用するための、摂動因子のアレイを更に含む、第70節に記載のシステム。
72.複数のインスタンスが、約50〜約50,000のインスタンスを含む、第68節に記載のシステム。
73.複数のインスタンスが、約1,000〜約20,000のインスタンスを含む、第68節に記載のシステム。
74.表A及びBに記載される遺伝子から選択される遺伝子からなる、本質的に老化した皮膚に対する、遺伝子発現シグネチャー。
75.第74節に記載の遺伝子発現シグネチャーに対して選択される遺伝子にハイブリッド形成する、オリゴヌクレオチドの固定化アレイ。
76.プログラム可能コンピュータによってアクセス可能なメモリデバイス上に記憶される、第74節に記載の遺伝子発現シグネチャー。
77.表A中に、上方制御されることが同定される50〜300の遺伝子を含む、第74節に記載の遺伝子発現シグネチャー。
78.表B中に、下方制御されることが同定される50〜300の遺伝子を含む、第74節に記載の遺伝子発現シグネチャー。
79.上方制御されることが同定される遺伝子セット、及び下方制御されることが同定される遺伝子セットを含む、第74節に記載の遺伝子発現シグネチャー。
80.表C及びDに記載される遺伝子から選択される遺伝子からなる、紫外線老化皮膚に対する、遺伝子発現シグネチャー。
81.第80節に記載の遺伝子発現シグネチャーに対して選択される遺伝子にハイブリッド形成する、オリゴヌクレオチドの固定化アレイ。
82.プログラム可能コンピュータによってアクセス可能なメモリデバイス上に記憶される、第80節に記載の遺伝子発現シグネチャー。
83.表C中に、上方制御されることが同定される50〜300の遺伝子を含む、第80節に記載の遺伝子発現シグネチャー。
84.表D中に、下方制御されることが同定される50〜300の遺伝子を含む、第80節に記載の遺伝子発現シグネチャー。
85.上方制御されることが同定される遺伝子セット、及び下方制御されることが同定される遺伝子セットを含む、第80節に記載の遺伝子発現シグネチャー。
86.コンピュータ可読媒体であって、
それぞれのスプレッドシート、ワープロ、又はデータベースコンピュータプログラムによって読まれることが好適な、スプレッドシートファイル形式、ワープロファイル形式、又はデータベースファイル形式で記憶される、デジタルファイルを含む、データアーキテクチャを備え、第1のデジタルファイルが、それぞれのスプレッドシート、ワープロ、又はデータベースコンピュータプログラムによって読まれる時に、複数の識別子を含む、1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを提供するように配列されるデータを含み、
各識別子が、表A〜Dのいずれかに記載される遺伝子を表す、マイクロアレイプローブセットID、ヒト遺伝子名、ヒト遺伝子記号、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストのそれぞれが、約50〜約600の識別子を含む、コンピュータ可読媒体。
87.デジタルファイルを読むためのコンピュータ可読命令を更に備える、第86節に記載のコンピュータ可読媒体。
【0181】
【表14-1】
【0182】
【表14-2】
【0183】
【表14-3】
【0184】
【表14-4】
【0185】
【表14-5】
【0186】
【表14-6】
【0187】
【表14-7】
【0188】
【表14-8】
【0189】
【表15-1】
【0190】
【表15-2】
【0191】
【表15-3】
【0192】
【表15-4】
【0193】
【表15-5】
【0194】
【表15-6】
【0195】
【表15-7】
【0196】
【表15-8】
【0197】
【表16-1】
【0198】
【表16-2】
【0199】
【表16-3】
【0200】
【表16-4】
【0201】
【表16-5】
【0202】
【表16-6】
【0203】
【表16-7】
【0204】
【表16-8】
【0205】
【表17-1】
【0206】
【表17-2】
【0207】
【表17-3】
【0208】
【表17-4】
【0209】
【表17-5】
【0210】
【表17-6】
【0211】
【表17-7】
【0212】
【表18】
【0213】
【表19】
【0214】
【表20】
【0215】
【表21】
【0216】
【表22-1】
【0217】
【表22-2】
【0218】
【表22-3】
【0219】
【表22-4】
【0220】
【表22-5】
【0221】
【表23-1】
【0222】
【表23-2】
【0223】
【表23-3】
【0224】
【表23-4】
【0225】
【表23-5】