特許第6321693号(P6321693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321693
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】スペクトル測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20180423BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   G01N21/27 Z
   G02B5/20
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-4981(P2016-4981)
(22)【出願日】2016年1月14日
(65)【公開番号】特開2017-32537(P2017-32537A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2016年1月14日
(31)【優先権主張番号】14/816,543
(32)【優先日】2015年8月3日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】王 唯科
【審査官】 立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−127917(JP,A)
【文献】 特開2008−191097(JP,A)
【文献】 特開2013−002951(JP,A)
【文献】 2005年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会講演論文集1,(社)電子情報通信学会,2005年 9月 7日,p.224
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長帯、第2の波長帯、第3の波長帯、第4の波長帯、第5の波長帯、および第6の波長帯の光ビームを通過させるマルチバンドパスフィルターであって、前記光ビームは前記マルチバンドパスフィルターに通過してマルチバンドビームを形成するマルチバンドパスフィルターと、
第1の波長より長い波長のマルチバンドビームを通過させる第1のフィルター、第2の波長より長い波長のマルチバンドビームを通過させる第2のフィルター、第3の波長より長い波長のマルチバンドビームを通過させる第3のフィルター、第4の波長より長い波長のマルチバンドビームを通過させる第4のフィルター、第5の波長より長い波長のマルチバンドビームを通過させる第5のフィルター、及び第6の波長より長い波長のマルチバンドビームを通過させる第6のフィルターを有し前記マルチバンドパスフィルターの下方に配置されたフィルターアレイと、
前記フィルターアレイの下方に配置された検出層とを含み、
前記第2の波長帯は、前記第1の波長と前記第2の波長との間にあり、前記第3の波長帯は、前記第2の波長と前記第3の波長との間にあり、前記第4の波長帯は、前記第3の波長と前記第4の波長との間にあり、前記第5の波長帯は、前記第4の波長と前記第5の波長との間にあり、前記第6の波長帯は、前記第5の波長と前記第6の波長との間にあり、
前記第1の波長は前記第2の波長より長く、前記第2の波長は前記第3の波長より長く、前記第3の波長は前記第4の波長より長く、前記第の波長は前記第の波長より長く、前記第の波長は前記第の波長より長く、
前記第1のフィルター、前記第2のフィルター、前記第3のフィルター、前記第4のフィルター、前記第5のフィルター、及び前記第6のフィルターは、線状経路、U字型経路、波型状経路、及び鋸波状経路のいずれか一つの経路上に沿って配列されている
スペクトル測定装置。
【請求項2】
前記第1の波長帯の第1のピーク波長は前記第2の波長帯の第2のピーク波長より長く、前記第2の波長帯の前記第2のピーク波長は前記第3の波長帯の第3のピーク波長より長く、前記第1のピーク波長は前記第1の波長より長い請求項1に記載のスペクトル測定装置。
【請求項3】
前記第1のフィルターは前記第2のフィルターに隣接し、前記第2のフィルターは前記第3のフィルターに隣接する請求項1に記載のスペクトル測定装置。
【請求項4】
前記マルチバンドビームが前記第1のフィルター、前記第2のフィルター及び前記第2のフィルターを通過することで、第1のビーム、第2のビーム及び第3のビームがそれぞれ形成され、
前記検出層は、
前記第1のフィルターの下方に配置された第1の検出ユニット、前記第2のフィルターの下方に配置された第2の検出ユニット、及び前記第3のフィルターの下方に配置された第3の検出ユニットを有し、
前記第1の検出ユニットは、前記第1の検出ユニットの上を照射する前記第1のビームの強度に応じて第1の強度信号を生成し、
前記第2の検出ユニットは、前記第2の検出ユニットの上を照射する前記第2のビームの強度に応じて第2の強度信号を生成し、
前記第3の検出ユニットは、前記第3の検出ユニットの上を照射する前記第3のビームの強度に応じて第3の強度信号を生成する
請求項1に記載のスペクトル測定装置。
【請求項5】
第1の強度値は、前記第1の強度信号に応じて生成され、第2の強度値は、前記第2の強度信号に応じて生成され、第3の強度値は、前記第3の強度信号に応じて生成され、
前記第1の波長帯に対応する第1のスペクトル値は、前記第1の強度値に応じた値であり、
前記第2の波長帯に対応する第2のスペクトル値は、前記第2の強度値から前記第1の強度値を引いた値であり、
前記第3の波長帯に対応する第3のスペクトル値は、前記第3の強度値から前記第2の強度値を引いた値である
請求項4に記載のスペクトル測定装置。
【請求項6】
テレセントリックレンズモジュールであるレンズモジュールを含み、
前記レンズモジュールは、
前記マルチバンドパスフィルターと前記フィルターアレイとの間、またはその上方に配置される請求項1に記載のスペクトル測定装置。
【請求項7】
光ビームの第1の波長帯、第2の波長帯、第3の波長帯、第4の波長帯、第5の波長帯、および第6の波長帯を通過させるマルチバンドパスフィルターであって、前記光ビームは前記マルチバンドパスフィルターを通過してマルチバンドビームを形成するマルチバンドパスフィルターと、
第1の波長より短い波長のマルチバンドビームを通過させる第1のフィルター、第2の波長より短い波長のマルチバンドビームを通過させる第2のフィルター、第3の波長より短い波長のマルチバンドビームを通過させる第3のフィルター、第4の波長より短い波長のマルチバンドビームを通過させる第4のフィルター、第5の波長より短い波長のマルチバンドビームを通過させる第5のフィルター、第6の波長より短い波長のマルチバンドビームを通過させる第6のフィルターを含み前記マルチバンドパスフィルターの下方に配置されたフィルターアレイと、
前記フィルターアレイの下方に配置された検出層とを含み、
前記第2の波長帯は、前記第1の波長と前記第2の波長との間にあり、前記第3の波長帯は、前記第2の波長と前記第3の波長との間にあり、前記第4の波長帯は、前記第3の波長と前記第4の波長との間にあり、前記第5の波長帯は、前記第4の波長と前記第5の波長との間にあり、前記第6の波長帯は、前記第5の波長と前記第6の波長との間にあり、
前記第1の波長は前記第2の波長より短く、前記第2の波長は前記第3の波長より短く、前記第3の波長は前記第4の波長より短く、前記第4の波長は前記第5の波長より短く、前記第5の波長は前記第6の波長より短く、
前記第1のフィルター、前記第2のフィルター、前記第3のフィルター、前記第4のフィルター、前記第5のフィルター、及び前記第6のフィルターは、線状経路、U字型経路、波型状経路、及び鋸波状経路のいずれか一つの経路上に沿って配列されている
スペクトル測定装置。
【請求項8】
前記第1の波長帯の第1のピーク波長は、前記第2の波長帯の第2のピーク波長より短く、
前記第2の波長帯の前記第2のピーク波長は、前記第3の波長帯の第3のピーク波長より短く、
前記第1のピーク波長は前記第1の波長より短い
請求項7に記載のスペクトル測定装置。
【請求項9】
前記マルチバンドビームが前記第1のフィルター、前記第2のフィルター、及び前記第3のフィルターを通過することで、第1のビーム、第2のビーム、及び第3のビームがそれぞれ形成され、
前記検出層は、
前記第1のフィルターの下方に配置された第1の検出ユニット、前記第2のフィルターの下方に配置された第2の検出ユニット、及び前記第3のフィルターの下方に配置された第3の検出ユニットを有し、
前記第1の検出ユニットは、前記第1の検出ユニットの上を照射する前記第1のビームの強度に応じた第1の強度信号を生成し、
前記第2の検出ユニットは、前記第2の検出ユニットの上を照射する前記第2のビームの強度に応じた第2の強度信号を生成し、
前記第3の検出ユニットは、前記第3の検出ユニットの上を照射する前記第3のビームの強度に応じた第3の強度信号を生成する
請求項7に記載のスペクトル測定装置。
【請求項10】
第1の強度値は前記第1の強度信号に応じて生成され、第2の強度値は前記第2の強度信号に応じて生成され、第3の強度値は前記第3の強度信号に応じて生成され、
前記第1の波長帯に対応する第1のスペクトル値は、前記第1の強度値に応じた値であり、
前記第2の波長帯に対応する第2のスペクトル値は、前記第2の強度値から前記第1の強度値を引いた値であり、
前記第3の波長帯に対応する第3のスペクトル値は、前記第3の強度値から前記第2の強度値を引いた値である請求項9に記載のスペクトル測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル測定装置に関し、特に、フィルターアレイを有するスペクトル測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の分光計は、例えば、ビームスプリッタ、コリメータ、集光ミラー、およびリニアセンサーなどの多数の光学素子を有する光学システムである。ビームスプリッタは、プリズムまたはグレーティングとすることができる。コリメータおよび集光ミラーは、光学システムの光路を短縮するように構成されている。従って、従来の分光計の体積や重量は大きく、従来の分光計の製造コストは高くなる。
【0003】
また、従来の分光計のリニアセンサーは、線状である。従来の分光計は、サンプルの線状のスペクトルだけを測定するのに用いられ、従来の分光計ではアプリケーションが制限される。
【0004】
従来の分光計は、一般にその意図された目的に適しているが、全ての点において十分というわけではない。従って、分光計を改良する手段を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、サンプルの二次元(2D)スペクトルを測定することができる、小型且つ軽量のスペクトル測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、マルチバンドパスフィルター、フィルターアレイ、および検出層を含むスペクトル測定装置を提供する。マルチバンドパスフィルターは、光ビームの第1の波長帯、第2の波長帯、および第3の波長帯を通過させる。光ビームは、マルチバンドパスフィルターを通過することで、マルチバンドビームが形成する。フィルターアレイは、マルチバンドパスフィルターの下方に配置される。
【0007】
フィルターアレイは、第1の波長より長いマルチバンドビームの波長を通過させる第1のフィルター、第2の波長より長いマルチバンドビームの波長を通過させる第2のフィルター、および第3の波長より長いマルチバンドビームの波長を通過させる第3のフィルターを含む。
【0008】
検出層は、フィルターアレイの下方に配置される。第2の波長帯は、第1の波長と第2の波長との間にあり、第3の波長帯は、第2の波長と第3の波長との間にある。
【0009】
本発明は、マルチバンドパスフィルター、フィルターアレイ、および検出層を含むスペクトル測定装置を提供する。マルチバンドパスフィルターは、光ビームの第1の波長帯、第2の波長帯、および第3の波長帯を通過させる。光ビームは、マルチバンドパスフィルターを通過することで、マルチバンドビームが形成する。フィルターアレイは、マルチバンドパスフィルターの下方に配置される。
【0010】
フィルターアレイは、第1の波長より短いマルチバンドビームの波長を通過させる第1のフィルター、第2の波長より短いマルチバンドビームの波長を通過させる第2のフィルター、および第3の波長より短いマルチバンドビームの波長を通過させる第3のフィルターを含む。
【0011】
検出層は、フィルターアレイの下方に配置される。第2の波長帯は、第1の波長と第2の波長との間にあり、第3の波長帯は、第2の波長と第3の波長との間にある。
【0012】
このように、フィルターアレイと検出層は、半導体製造プロセスによって形成されるため、複数の光学素子が不要となり、スペクトル測定装置の体積と重量は減少される。また、フィルターアレイによって、スペクトル測定装置はサンプルの2Dスペクトルを測定することができるために、サンプルのスペクトル画像の解像度を、向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る、スペクトル測定装置の概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る、マルチバンドビームの透過率に対する波長の特性を示すグラフである。
図3】本発明の実施形態に係る、フィルターアレイの透過率に対する波長の特性を示すグラフである。
図4】本発明の実施形態に係る、フィルターアレイの概略図である。
図5A】本発明の実施形態に係る、画素グループの概略図である。
図5B】本発明の実施形態に係る、画素グループの概略図である。
図5C】本発明の実施形態に係る、画素グループの概略図である。
図5D】本発明の実施形態に係る、画素グループの概略図である。
図5E】本発明の実施形態に係る、画素グループの概略図である。
図5F】本発明の実施形態に係る、画素グループの概略図である。
図6A】本発明の実施形態に係る、フィルターアレイの透過率に対する波長の特性を示すグラフである。
図6B】本発明の実施形態に係る、フィルターアレイの透過率に対する波長の特性を示すグラフである。
図7】本発明の実施形態に係る、スペクトル測定装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次の開示は、その開示の異なる特徴を実施するための、多くの異なる実施の形態を提供している。本開示を簡素化するために、複数の要素および複数の配列の特定の実施形態が以下に述べられる。例えば、本実施形態における第1の特徴又は第2の特徴は、これら第1の特徴及び第2の特徴とを直接的に関連づけた実施形態に含めることもでき、第1の特徴と第2の特徴が直接的に関連せずに、第1、第2の特徴に対してさらなる特徴を加えた実施形態に含めることもできる。
【0015】
また、本開示は、種々の実施形態において、参照番号および/または文字を繰り返し用いている。この反復は、簡素化と明確さの目的のためであって、種々の実施形態および/または議論された構成との間の関係を規定するものではない。また、図の形状、大きさ、または厚さは、説明を明確にするために縮尺通りに描かれない、または簡易化される可能性もある。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る、スペクトル測定装置1の概略図である。スペクトル測定装置1は、サンプルによって反射された、またはサンプルから放射された光ビームB1の可視波長帯および不可視波長帯を検出するように構成されている。
【0017】
スペクトル測定装置1は、マルチバンドパスフィルター10、レンズモジュール20、フィルターアレイ30、および検出層40を含む。マルチバンドパスフィルター10、レンズモジュール20、フィルターアレイ30、および検出層40は、順次に重ね合せられている。
【0018】
マルチバンドパスフィルター10は、平面に対して平行な平板構造で形成されている。マルチバンドパスフィルター10は、光ビームB1の複数の波長帯を通過させ、残りの光ビームB1の波長帯をブロックする。そのため、残りの光ビームB1は、通過できない。
【0019】
マルチバンドパスフィルター10は、入射面11と出射面12を有する。入射面11は、出射面12と平行である。光ビームB1は、入射面11を介してマルチバンドパスフィルター10に入射され、出射面12を介してマルチバンドパスフィルター10に出射される。光ビームB1は、マルチバンドパスフィルター10を通過してマルチバンドビームB2が形成される。
【0020】
図2は、本発明の実施形態に係る、マルチバンドビームB2の透過率に対する波長の特性を示すグラフである。いくつかの実施形態では、マルチバンドパスフィルター10への波長帯A1の光ビームB1の透過率は、20%、30%、または40%より大きい。いくつかの実施形態では、マルチバンドパスフィルター10における波長帯A1の光ビームB1の透過率は、約20%〜約99.9%、または30%〜99.9%の範囲にある。いくつかの実施形態では、マルチバンドパスフィルター10において、波長帯A1ではない光ビームB1の透過率は、20%、30%、または40%より小さい。
【0021】
波長帯A1のそれぞれには、ピーク波長P1を含む。いくつかの実施形態では、マルチバンドパスフィルター10におけるピーク波長P1の光ビームB1の透過率は、70%、80%、または90%より大きい。いくつかの実施形態では、マルチバンドパスフィルター10におけるピーク波長P1の光ビームB1の透過率は、約70%〜約99.9%、約80%〜約99.9%、または90%〜99.9%の範囲にある。
【0022】
波長帯A1の数は、2つ、3つ、4つ、または5つより多い。本実施形態では、波長帯A1の数は、4つである。各波長帯A1(波長帯A11〜A14を含む)は、可視スペクトルに対応する可視波長帯、または不可視スペクトルに対応する不可視波長帯とすることができる。いくつかの実施形態では、いくつかの波長帯A1は、可視波長帯であり、その他は、不可視波長帯である。なお、波長帯A1の全ては不可視波長としてもよい。
【0023】
本実施形態では、波長帯A11は、例えば、赤外スペクトルまたは遠赤外スペクトルなど、不可視スペクトルに対応する不可視波長帯である。例えば、波長帯A11は、約830nmから約870nmまでの範囲にある。波長帯A11のピーク波長P11は、約850nmである。いくつかの実施形態では、ピーク波長P11は、700nm以上である。
【0024】
波長帯A12は、例えば赤色スペクトルの可視スペクトルに対応する可視波長帯である。例えば、波長帯A12は、約630nmから約670nmまでの範囲にある。波長帯A12のピーク波長P12は、約650nmである。
【0025】
波長帯A13は、例えば黄色スペクトルの可視スペクトルに対応する可視波長帯である。例えば、波長帯A13は、約530nmから約570nmまでの範囲にある。波長帯A13のピーク波長P13は、約550nmである。
【0026】
波長帯A14は、例えば青色スペクトルの可視スペクトルに対応する可視波長帯である。例えば、波長帯A14は、約430nmから約470nmまでの範囲にある。波長帯A14のピーク波長P14は、約450nmである。いくつかの実施形態では、波長帯A14は、例えば紫外線スペクトルの不可視スペクトルに対応する不可視波長帯である。
【0027】
また、全ての波長帯A1は、互いに重なり合わない。波長帯A11の波長またはピーク波長P11は、波長帯A12の波長またはピーク波長P12より長い。波長帯A12の波長またはピーク波長P12は、波長帯A13の波長またはピーク波長P13より長い。波長帯A14の波長またはピーク波長P13は、波長帯A14の波長またはピーク波長P14より長い。
【0028】
図1に示されるように、レンズモジュール20は、マルチバンドパスフィルター10とフィルターアレイ30との間に配置される。レンズモジュール20は、マルチバンドビームB2をフィルターアレイ30または検出層40に集光させるように構成されている。本実施形態では、レンズモジュール20は、テレセントリックレンズモジュールである。レンズモジュール20は、マルチバンドパスフィルター10をフィルターアレイ30に均一に照射させるように構成されている。本実施形態では、レンズモジュール20は、1つ以上のレンズ21を含む。
【0029】
フィルターアレイ30は、マルチバンドパスフィルター10と検出層40との間に配置される。図1に示されるように、フィルターアレイ30は、マルチバンドパスフィルター10の下方に配置され、検出層40に接続されている。本実施形態ではフィルターアレイ30は、マルチバンドパスフィルター10と検出層40に平行する平面に配置されている。
【0030】
フィルターアレイ30は、画素アレイに配置された画素グループ31を含む。各画素グループ31は、さまざまな種類のフィルター32を含む。各フィルター32は、特定の波長より長いマルチバンドビームB2または特定の範囲の波長を通過させる。本実施形態では、各画素グループ31は、4つの種類のフィルター32a、32b、32c、および32dを含む。
【0031】
図3は、本発明の実施形態に係る、フィルターアレイ30の透過率に対する波長の特性を示すグラフである。本実施形態では、フィルター32aは、第1の波長より長いマルチバンドビームB2の波長を通過させる。例えば、第1の波長は約800nmである。従って、波長帯A11のマルチバンドビームB2が、フィルター32aを通過し、第1のビームB31が形成される。波長帯A12、A13、およびA14のマルチバンドビームB2は、フィルター32aによってブロックされる。
【0032】
本実施形態では、フィルター32bは、第2の波長より長いマルチバンドビームB2の波長を通過させる。例えば、第2の波長は約600nmである。従って、波長帯A11とA12のマルチバンドビームB2は、フィルター32bを通過し、第2のビームB32が形成される。波長帯A13とA14のマルチバンドビームB2は、フィルター32bによってブロックされる。
【0033】
本実施形態では、フィルター32cは、第3の波長より長いマルチバンドビームB2の波長を通過させる。例えば、第3の波長は約500nmである。従って、波長帯A11、A12、およびA13のマルチバンドビームB2は、フィルター32cを通過し、第3のビームB33が形成される。波長帯A14のマルチバンドビームB2は、フィルター32cによってブロックされる。
【0034】
本実施形態では、フィルター32dは、第4の波長より長いマルチバンドビームB2の波長を通過させる。例えば、第4の波長は約400nmである。従って、波長帯A11、A12、A13、およびA14のマルチバンドビームB2は、フィルター32cを通過し、第3のビームB33を形成する。本実施形態では、フィルター32dは、特定の範囲にある、第1の波長より長いマルチバンドビームB2の波長を通過させる。例えば、特定の範囲は、約410nmから約490nmまでの範囲にある。従って、波長帯A11とA14のマルチバンドビームB2は、フィルター32dを通過し、第4のビームB34が形成される。波長帯A12とA13のマルチバンドビームB2は、フィルター32dによってブロックされる。
【0035】
本実施形態では、第1の波長は、第2の波長より長い。第2の波長は、第3の波長より長い。第3の波長は、第4の波長より長い。また、ピーク波長P11は、第1の波長より長い。波長帯A12は、第1の波長と第2の波長との間にあり、ピーク波長P12は、第2の波長より長い。
【0036】
また、波長帯A13は、第2の波長と第3の波長との間にあり、ピーク波長P13は、第3の波長より長い。波長帯A14は、第3の波長と第4の波長との間にあり、ピーク波長P14は、第4の波長より長い。ピーク波長P14および/または波長帯A14は、フィルター32dに対して、約410nmから約490nmまでの特定の範囲内にある。
【0037】
図1に示されるように、検出層40は、フィルターアレイ30下方に配置される。本実施形態では、検出層40は、マルチバンドパスフィルター10に対して平行に配置され、フィルターアレイ30と直接接触する。検出層40は、検出アレイに配置された複数の検出ユニット41を含む。検出ユニット41は、マルチバンドパスフィルター10に平行な平面に配置される。
【0038】
フィルターアレイ30と検出層40は、半導体製造プロセスによって形成されることができる。フィルターアレイ30と検出層40は、画像センサ、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ、前面照射(FSI)または裏面照射(BSI)CMOSセンサ、または他の好適なセンサにより形成される。従って、フィルターアレイ30と検出層40の体積と重量は、減少し、軽減する。
【0039】
本実施形態では、検出ユニット41は、検出ユニット41a、41b、41c、および41dを含む。各検出ユニット41aは、複数のフィルター32aのうち1つのフィルタの下方にそれぞれ配置される。各検出ユニット41aは、その上を照射する第1のビームB31の強度に従って第1の強度信号を生成するように構成されている。
【0040】
各検出ユニット41bは、複数のフィルター32bのうち1つのフィルタの下方にそれぞれ配置される。各検出ユニット41bは、その上を照射する第2のビームB32の強度に従って第2の強度信号を生成するように構成されている。
【0041】
各検出ユニット41cは、複数のフィルター32cのうち1つのフィルタの下方にそれぞれ配置される。各検出ユニット41cは、その上を照射する第3のビームB33の強度に従って第3の強度信号を生成するように構成されている。
【0042】
各検出ユニット41dは、複数のフィルター32dのうち1つのフィルタの下方にそれぞれ配置される。各検出ユニット41dは、その上を照射する第4のビームB34の強度に従って第4の強度信号を生成するように構成されている。
【0043】
スペクトル測定装置1は、各検出ユニット41に電気的に接続されたプロセスモジュール50を更に含む。プロセスモジュール50は、強度信号を受信し、強度信号に従って強度値を生成する。
【0044】
本実施形態では、プロセスモジュール50は、第1の強度信号を受信し、第1の強度信号に応じた第1の強度値を生成する。プロセスモジュール50は、第2の強度信号を受信し、第2の強度信号に応じた第2の強度値を生成する。
【0045】
プロセスモジュール50は、第3の強度信号を受信し、第3の強度信号に応じた第3の強度値を生成する。プロセスモジュール50は、第4の強度信号を受信し、第4の強度信号に応じた第4の強度値を生成する。
【0046】
次いで、第1のスペクトル値は、プロセスモジュール50で第1の強度値に応じて得られる。第2のスペクトル値は、プロセスモジュール50で第2の強度値から第1の強度値を引いて得られる。第3のスペクトル値は、プロセスモジュール50で第3の強度値から第2の強度値を引いて得られる。言い換えれば、第N値のスペクトル値は、第N値の強度値から第(N−1)値の強度値を引いて得られる。Nは、整数である。
【0047】
第1のスペクトル値は、光ビームB1の波長帯A11のスペクトルの強度に対応する。第2のスペクトル値は、光ビームB1の波長帯A11とA12のスペクトルの強度に対応する。第3のスペクトル値は、光ビームB1の波長帯A11、A12、およびA13のスペクトルの強度に対応する。第4のスペクトル値は、光ビームB1の波長帯A11とA14のスペクトルの強度に対応する。
【0048】
第1のスペクトル値は、プロセスモジュール50で第1の強度値に応じて得られる。第2のスペクトル値は、プロセスモジュール50で第2の強度値から第1の強度値を引いて得られる。第3のスペクトル値は、プロセスモジュール50で第3の強度値から第2の強度値を引いて得られる。第4のスペクトル値は、プロセスモジュール50で第4の強度値から第1の強度値を引いて得られる。
【0049】
従って、スペクトル値は、画素グループ31の中の1つのフィルター32a、32b、32c、および32dに対応し、サンプルのスペクトル画像の画素が形成される。画素グループ31は、画素アレイに配置されるため、サンプルの2Dスペクトル画像は、スペクトル値に従ってプロセスモジュール50によって生成されることができる。
【0050】
フィルターアレイ30と検出層40は、半導体製造プロセスによって形成されるため、フィルター32と検出ユニット41の密度が大きく、サンプルのスペクトル画像の解像度を向上できる。
【0051】
また、マルチバンドパスフィルター10、フィルター32、および検出ユニット41の構造により、いくつかの光学素子、例えばビームスプリッタ、コリメータ、および集光ミラーは、必要がなくなる。このため、スペクトル測定装置の体積と重量は減少される。
【0052】
図4は、本発明の実施形態に係る、フィルターアレイ30の概略図である。画素グループ31は、画素アレイに配置される。各画素グループ31は、4つの種類のフィルター32a、32b、32c、および32dを含む。フィルター32a、32b、32c、および32dは、2×2マトリクスに配列される。
【0053】
図5A図5Fは、本発明の実施形態に係る画素グループ31の概略図である。図5A図5Bは、異なる種類のサンプルに対応するように図4のフィルター32a、32b、32c、および32dの異なる配置を示している。
【0054】
図1、および図5C〜5Fに示すように、画素グループ31は、6つのフィルター32を含む。フィルター32aは、フィルター32bに隣接、または接続し、フィルター32bは、フィルター32cに隣接、または接続し、且つフィルター32cは、フィルター32dに隣接または接続する。フィルター32dは、第5のフィルター32eに隣接するか、または接続され、第5のフィルター32eは、第6のフィルター32fに隣接、または接続する。
【0055】
第5のフィルター32eは、第5の波長より長いマルチバンドビームB2の波長を通過させる。第6のフィルター32fは、第6の波長より長いマルチバンドビームB2の波長を通過させる。第4の波長は第5の波長より長い。第5の波長は第6の波長より長い。
【0056】
本実施形態では、第1の波長は、約900nmであり、第2の波長は、約800nmであり、第3の波長は、約700nmであり、第4の波長は、約600nmであり、第5の波長は、約500nmであり、且つ第6の波長は、約400nmである。言い換えれば、第1〜第6の波長の波長は徐々に増加している。
【0057】
図5Cに示されるように、第1のフィルター32a〜第6のフィルター32fは、線状経路T1に沿って順次に配列される。図5Dに示されるように、第1のフィルター32a〜第6のフィルター32fは、U字型経路T2に沿って順次に配列される。図5Eに示されるように、第1のフィルター32a〜第6のフィルター32fは、波形状経路T3に沿って順次に配列される。図5Fに示されるように、第1のフィルター32a〜第6のフィルター32fは、鋸歯状経路T4に沿って順次に配列される。
【0058】
図6Aは、本発明の実施形態に係る、フィルターアレイ30の透過率に対する波長の特性を示すグラフである。本実施形態では、フィルター32aは、第1の波長より長い波長のマルチバンドビームB2を通過させる。例えば、第1の波長は約800nmである。
【0059】
フィルター32bは、第2の波長より長い波長のマルチバンドビームB2を通過させる。例えば、第2の波長は約600nmである。フィルター32cは、第3の波長より長い波長のマルチバンドビームB2を通過させる。例えば、第3の波長は約500nmである。
【0060】
フィルター32dは、第4の波長より長い波長のマルチバンドビームB2を通過させる。例えば、第4の波長は約400nmまたは410nmである。従って、第1の波長は、第2の波長より長く、第2の波長は、第3の波長より長く、第3の波長は、第4の波長より長い。
【0061】
波長帯A11の波長および/またはピーク波長P11は、第1の波長より長い。波長帯A12は、第1の波長と第2の波長との間にある。波長帯A13は、第2の波長と第3の波長との間にある。波長帯A14は、第3の波長と第4の波長との間にある。
【0062】
図6Bは、本発明の実施形態に係る、フィルターアレイ30の透過率に対する波長の特性を示すグラフである。本実施形態では、フィルター32aは、第1の波長より短い波長のマルチバンドビームB2を通過させる。例えば、第1の波長は約500nmである。
【0063】
フィルター32bは、第2の波長より短い波長のマルチバンドビームB2を通過させる。例えば、第2の波長は約600nmである。フィルター32cは、第3の波長より短い波長のマルチバンドビームB2を通過させる。例えば、第3の波長は約800nmである。
【0064】
フィルター32dは、第4の波長より短いマルチバンドビームB2の波長を通過させる。例えば、第4の波長は約900nmである。従って、第1の波長は、第2の波長より短く、第2の波長は、第3の波長より短く、第3の波長は、第4の波長より短い。
【0065】
波長帯A11は、第3の波長と第4の波長との間にある。波長帯A12は、第2の波長と第3の波長との間にある。波長帯A13は、第1の波長と第2の波長との間にある。波長帯A14の波長および/またはピーク波長P14は、第1の波長より短い。
【0066】
図7は、本発明の実施形態に係る、スペクトル測定装置1の概略図である。レンズモジュール20は、マルチバンドパスフィルター10とフィルターアレイ30上に配置される。スペクトル測定装置1は、フィルターアレイ30に配置されたマイクロレンズ60を更に含む。マイクロレンズ60は、マルチバンドビームB2をフィルター32または検出ユニット41に集光させるように構成されている。
【0067】
このように、フィルターアレイと検出層は、半導体製造プロセスによって形成されるため、複数の光学素子が不要となり、スペクトル測定装置の体積と重量は減少される。また、フィルターアレイによって、スペクトル測定装置はサンプルの2Dスペクトルを測定することができ、サンプルのスペクトル画像の解像度を向上させることができる。
【0068】
本発明は、実施形態の方法及び望ましい実施の形態によって記述されているが、本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。逆に、当業者には自明の種々の変更及び同様の配置をカバーするものである。よって、添付の請求の範囲は、最も広義な解釈が与えられ、全てのこのような変更及び同様の配置を含むべきである。
【符号の説明】
【0069】
1…スペクトル測定装置
10…マルチバンドパスフィルター
11…入射面
12…出射面
20…レンズモジュール
21…レンズ
30…フィルターアレイ
31…画素グループ
32、32a、32b、32c、32d、32e、32f、32g…フィルター
40…検出層
41、41a、41b、41c、41d…検出ユニット
50…プロセスモジュール
60…マイクロレンズ
A1…波長帯
A11、A12、A13、A14…波長帯
B1…光ビーム
B2…マルチバンドビーム
B31…第1のビーム
B32…第2のビーム
B33…第3のビーム
B34…第4のビーム
P1、P11、P12、P13、P14…ピーク波長
T1…線状経路
T2…U字型経路
T3…波形状経路
T4…鋸歯状経路
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図7