(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321698
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】自動車における休止状態を監視する方法およびその為のコントローラ、プログラムそして記憶媒体
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20180423BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20180423BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
B60R16/02 645A
B60R16/02 660N
B60R16/03 V
B60L11/18 C
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-29950(P2016-29950)
(22)【出願日】2016年2月19日
(65)【公開番号】特開2016-150745(P2016-150745A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2016年2月22日
(31)【優先権主張番号】10 2015 102 352.0
(32)【優先日】2015年2月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル スペッサー
【審査官】
佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−060865(JP,A)
【文献】
特開2012−120421(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/054387(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60L 11/18
B60R 16/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置を使用して、自動車における休止状態を監視する方法(20)であって、
以下のステップ、すなわち、
前記制御装置のウェイクアップコントローラ(10)は、前記休止状態において、前記制御装置に接続された前記自動車の複数の周辺構成要素の中から少なくとも1つを所定イベントの発生をもって選択するステップと、
前記ウェイクアップコントローラ(10)は、前記選択された周辺構成要素の動作状態をチェックするステップと、
前記ウェイクアップコントローラ(10)は、前記動作状態に応じて、前記自動車を前記休止状態から起動させるステップと、
を行うこと、
そして、前記制御装置は車載充電器の一部として構成されており、
更に、以下のステップ、すなわち、
前記車載充電器の第1のウェイクアップ出力部(11)を用いてプラグをチェックするステップと、
前記車載充電器の第2のウェイクアップ出力部(12)を用いてパイロットコンタクトをチェックするステップと、
前記車載充電器の第3のウェイクアップ出力部(13)を用いて第2の押しボタンをチェックするステップと、
前記車載充電器の第4のウェイクアップ出力部(14)を用いて第1の押しボタンをチェックするステップと、
を含むことを特徴とする方法(20)。
【請求項2】
以下のステップ、すなわち、
前記ウェイクアップコントローラ(10)の第1のモジュールは、前記動作状態をチェックするステップと、
前記ウェイクアップコントローラ(10)の第2のモジュールは、前記ウェイクアップ出力部(11、12、13、14)を選択するステップと、
前記ウェイクアップコントローラ(10)の第3のモジュール(25)は、前記周辺構成要素について診断用の履歴情報を収集するステップと、
前記ウェイクアップコントローラ(10)の第4のモジュール(26)は、前記ウェイクアップ出力部(11、12、13、14)の接続動作の妥当性を監視およびチェックするステップと、
前記ウェイクアップコントローラ(10)の第5のモジュールは、前記車載充電器のアイドリングを監視し続けるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法(20)。
【請求項3】
以下のステップ、すなわち、
前記プラグが切り離され、前記第5のモジュールが、前記車載充電器の第1の動作状況(21)で作動し、すべての前記ウェイクアップ出力部(11、12、13、14)から前記ウェイクアップ出力部(11)を除いて、遮断するステップと、
前記プラグが接続され、前記第1のモジュールが、前記車載充電器の第2の動作状況(22)で作動し、前記第1のウェイクアップ出力部(11)に休止電流IPXYのみが流れるステップと、
前記プラグが接続され、信号が前記パイロットコンタクトに印加され、前記第2のモジュールが、前記車載充電器の第3の動作状況(23)で作動し、すべての前記ウェイクアップ出力部(11、12、13、14)のそれぞれに休止電流が流れ、前記前記ウェイクアップ出力部がチェックされ、総休止電流が発生するステップと、
前記プラグが接続され、前記信号が不要になり、前記第2のモジュールおよび前記第1のモジュールが、前記車載充電器の第4の動作状況(24)で作動し、前記第1のウェイクアップ出力部(11)に休止電流IPXYに流れ且つ前記第2のウェイクアップ出力部(12)に休止電流ICPに流れ、そして、前記第3のウェイクアップ出力部(13)且つ前記第4のウェイクアップ出力部(14)は無効化されるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法(20)。
【請求項4】
以下のステップ、すなわち、
前記チェック動作は、前記周辺構成要素の診断抵抗を流れる休止電流を用いて行われるステップと、
前記ウェイクアップ動作は、前記診断抵抗の両端間で降下する読み取り電圧に応じて行われるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法(20)。
【請求項5】
前記第2の動作状況(22)において、前記第1のモジュールは、前記休止電流が、前記診断抵抗を流れているかどうかを、約330μsの時間間隔で周期的に判断するように、前記プラグをチェックすることを特徴とする、請求項4に記載の方法(20)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法(20)で、自動車における休止状態を監視する制御装置用のウェイクアップコントローラ(10)であって、
以下の手段、すなわち、
前記制御装置に接続された前記自動車の複数の周辺構成要素の中から、少なくとも1つの周辺構成要素をイベント制御型の態様で選択する手段と、
前記選択された周辺構成要素の動作状態をチェックする手段と、
前記動作状態に応じて、前記自動車を起動させる手段と、
を含むことを特徴とするウェイクアップコントローラ(10)。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法のすべてのステップを実行するように設計されたコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータプログラムが格納された機械可読の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車における休止状態を監視する方法に関する。本発明はさらに、ウェイクアップコントローラの形態に対応する装置、対応するコンピュータプログラム、および対応する記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車における制御装置に休止電流を供給する様々な手法を先行技術に見ることができる。この種のいくつかの公知の制御装置、例えば、充電ケーブルを用いて、電気駆動式自動車のトラクションバッテリを据え置き型電力供給グリッドに接続するために設けられた車載充電器(OBC)は、複数の周辺構成要素を有する。この種の周辺構成要素は、特に、情報を照査する、または読み取るように機能することができ、車載充電器の場合、例えば、情報を形成し、妥当性をチェックし、診断するための対応する診断抵抗を有するプラグコネクタ、押しボタン、または発光ダイオードを含む。さらに、「スリープ状態の」自動車の場合、前記自動車は、それに加えて、例えば、車載充電器の場合に、設けられた充電ソケットにプラグを接続する、または押しボタンを押すなど、使用者による対応する操作により、ウェイクアップコントローラによって起動される。したがって、自動車を起動すべきかどうかを決めるために、すべての診断抵抗に電流が印加されなければならず、読み取り電圧は、情報担体として処理されなければならない。これは、休止電流を急に増加させる。
【0003】
そのため、(特許文献1)は、多数の車両サブシステムの入力部を有する車両監視システムを動作させる方法を提案している。車両は適宜待機モードに切り換えられ、通常は、多数の車両サブシステムによって入力部に印加される委託信号はない。この場合に、入力部は、繰り返しサイクルで委託信号があるかどうかを走査され、この走査プロセスは、所定の期間にわたって時間に関して調整される。走査ステップから走査ステップまでのサイクル間の時間は、この場合に、少なくとも特定の入力部において、各先行した走査ステップに対して、各所定の期間内に委託信号がないことを受けて引き延ばされる。
【0004】
(特許文献2)は、いくつかのステーション間でデータを伝送する電子システムにおいて、信号レベルおよびウェイクアップレベルを適切に選択することで、部分的なシステムの作動が可能であり、ステーションの一部は互いに通信することができ、一方、他のステーションは休止モードであり、電力を節約すると記述している。
【0005】
また、(特許文献3)は、車両の機能グループの待機動作用の回路を開示しており、機能グループは、制御装置、センサ、およびアクチュエータから形成される。前記回路は、車両がスイッチを切られ、待機動作が作動した場合に、機能グループに電圧を供給し、特定の範囲の機能を有効状態に保ち、かつ/または特定の範囲の機能を有効化し、他の範囲の機能を阻止するように働く。所定の時間を経て、または、例えば、エネルギ供給物の欠乏を示す所定のセンサ値が示された後、待機動作が自動的に動作を停止する。
【0006】
(特許文献4)および(特許文献5)は、他の関連する方法、装置、制御システム、および媒体に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,198,995B1号明細書
【特許文献2】米国特許第6,674,762B2号明細書
【特許文献3】欧州特許第0 571 718B1号明細書
【特許文献4】米国特許第7,183,896B2号明細書
【特許文献5】KR 10−1131526号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、独立請求項による、自動車における休止状態を監視ずる方法、対応する装置、対応するコンピュータプログラム、および対応する記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
特許請求の範囲によれば、制御装置のウェイクアップコントローラが、選択的およびイベント制御型の態様で周辺構成要素を選択し、個々の周辺構成要素のみをチェックすることで、前記ウェイクアップコントローラによる適応制御が実施される。
【0010】
休止電流は、ウェイクアップコントローラを使用して、制御装置の周辺構成要素を自動的に特定および選択することで、大幅に低減することができる。
【0011】
この問題解決策は、汎用型の車載充電器が使用される場合に、特に利益をもたらす。例えば、プラグが充電ソケットに差し込まれていない場合、周辺構成要素はチェックされず、充電プラグが充電ソケットに差し込まれているが、制御信号/CP信号がない場合、1つの周辺構成要素だけがチェックされる。
【0012】
本発明のさらに有益な改良が、従属特許請求項に明示される。
【0013】
本発明の例示的な実施形態が図面に示され、以下の本文でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明によるウェイクアップコントローラの電子回路図を示している。
【
図2】本発明による方法のブロック図を示している。
【
図3】個々のウェイクアップ出力部に電流を印加するタイミングシーケンスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明による、自動車における休止状態を監視する制御装置用のウェイクアップコントローラ10を示している。この場合に、制御装置は、図で上部から底部まで示された通りに列挙して、第1のウェイクアップ出力部11、第2のウェイクアップ出力部12、第3のウェイクアップ出力部13、および第4のウェイクアップ出力部14を有する車載充電器(OBC)であり、これらのウェイクアップ出力部は、それぞれ、プラグ、パイロットコンタクト、第2の押しボタン、および第1の押しボタンに対応している。本発明の範囲から逸脱することなく、自動車のきわめて多岐にわたる、さらなる周辺構成要素(簡潔にするためにその全体を示していない)を車載充電器に接続することができるのは言うまでもない。
【0016】
ウェイクアップコントローラ10は、特定の休止電流I
PXY、休止電流I
CP、休止電流I
Pushbutton2、または休止電流I
Pushbutton1を用いて、例として挙げた各周辺構成要素をチェックすることができ、このために、これらの休止電流は、それぞれの周辺構成要素の診断抵抗を流れる。したがって、本発明による自動車用のウェイクアップ操作は、診断抵抗の両端間で降下し、それぞれの周辺構成要素の動作状態を示す読み取り電圧に応じて行うことができる。
図2は、この手順の詳細を示している。
【0017】
このために、
図1による車載充電器のウェイクアップコントローラ10は、イベント制御型の態様で、周辺構成要素の中から少なくとも1つの周辺構成要素を選択し、前記ウェイクアップコントローラは、上記の態様で、前記少なくとも1つの周辺構成要素の動作状態をチェックする。この場合、前記周辺構成要素の選択は、ウェイクアップコントローラ10の第1のモジュールによって行われる。次に、ウェイクアップコントローラ10の第2のモジュールが、対応するウェイクアップ出力部を選択する。ここで、ウェイクアップコントローラ10の第3のモジュール25は、診断用の履歴情報を収集し、一方、ウェイクアップコントローラ10の第4のモジュール26は、ウェイクアップ出力部11、12、13、14の接続動作の妥当性を監視およびチェックする。最後に、ウェイクアップコントローラ10の第5のモジュールは、必要に応じて、車載充電器のアイドリングを監視し続ける。本発明に含まれる上記モジュールは、必要に応じて任意の態様で関連させることができ、単なる例示に過ぎない。
【0018】
個々のモジュール間の機能上の相互作用は、例えば、次のように行うことができる、すなわち、第5のモジュールが、プラグは差し込まれていないと判断する限り、車載充電器の第1の動作状況21が実現されている。この第1の動作状況21では、すべてのウェイクアップ出力部11、12、13、14は遮断され、チェックはもはや行われず、このチェックにおいては、第1のウェイクアップ出力部11のみが例外となる。この第1の動作状況21では、休止電流は、従来の方法と比較して、1/10まで低減される。
【0019】
車載充電器の第2の動作状況22では、プラグが差し込まれ、第1のモジュールが作動する。この第2の動作状況22では、その時点で、休止電流I
PXYのみが、第1のウェイクアップ出力部11を流れる。
【0020】
同じことが第3の動作状況23には当てはまらず、第3の動作状況23では、プラグが差し込まれるだけでなく、前記プラグのパイロットコンタクトにCP信号が印加される。この場合に、第2のモジュールが作動する。この第3の動作状況23では、それぞれの休止電流I
PXY、I
CP、I
Pushbutton2、I
Pushbutton1は、それぞれ第1のウェイクアップ出力部11、第2のウェイクアップ出力部12、第3のウェイクアップ出力部13、および第4のウェイクアップ出力部14を流れ、前記ウェイクアップ出力部はチェックされて、最大限の総休止電流I
PXY+I
CP+I
Pushbutton2+I
Pushbutton1が発生する。
【0021】
最後に、車載充電器の第4の動作状況24では、プラグが差し込まれ、CP信号は不要になり、第2のモジュールが作動し、一方、第1のモジュールはモードを変える。したがって、単に休止電流I
PXYが第1のウェイクアップ出力部11を流れ、また、単に休止電流I
CPが第2のウェイクアップ出力部12を流れ、一方、第3のウェイクアップ出力部13および第4のウェイクアップ出力部14は無効化され、これは、休止電流の消費をかなり削減する。
【0022】
本発明による手法の利点は、プラグが差し込まれただけの第2の動作状況22に対応して
図3に示す電流のウェイクアップ印加に見ることができる。この動作状況では、第1のモジュールは、休止電流I
PXYが、使用者による押しボタンの平均操作持続時間に対応する、例えば、約330μsの時間間隔で、プラグ接続の診断抵抗を周期的に流れるような方法で、時間tにわたってプラグをチェックし、一方、他のウェイクアップ出力部12、13、14には電流は印加されない。したがって、例として、以下の平均休止電流が全体として発生する。
I
PXY+I
CP+I
Pushbutton2+I
Pushbutton1=100μA
【符号の説明】
【0023】
10 ウェイクアップコントローラ
11 第1のウェイクアップ出力部
12 第2のウェイクアップ出力部
13 第3のウェイクアップ出力部
14 第4のウェイクアップ出力部
20 方法
21 第1の動作状況
22 第2の動作状況
23 第3の動作状況
24 第4の動作状況
25 第3のモジュール
26 第4のモジュール