特許第6321717号(P6321717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6321717ループスの治療、診断、モニタリング方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321717
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】ループスの治療、診断、モニタリング方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20180101AFI20180423BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20180423BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20180423BHJP
   A61P 37/02 20060101ALN20180423BHJP
【FI】
   C12Q1/68 AZNA
   C12N15/00 A
   G01N33/53 M
   !A61P37/02
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】70
(21)【出願番号】特願2016-95330(P2016-95330)
(22)【出願日】2016年5月11日
(62)【分割の表示】特願2012-533270(P2012-533270)の分割
【原出願日】2010年10月6日
(65)【公開番号】特開2017-12158(P2017-12158A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2016年6月8日
(31)【優先権主張番号】61/278,510
(32)【優先日】2009年10月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ベーレンズ, ティモシー, ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】グレアム, ロバート, アール.
【審査官】 白井 美香保
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5937008(JP,B2)
【文献】 国際公開第2008/144761(WO,A1)
【文献】 国際公開第2001/011084(WO,A1)
【文献】 国際公開第2002/018414(WO,A2)
【文献】 Nat. Genet.,2009年10月18日,vol.41, no.11,pp.1228-1233
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12Q 1/00−3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)
CiNii
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体におけるループスを同定する方法において、少なくとも1つの全身性エリテマトーデス(SLE)リスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、
ここで、少なくとも1つのSLEリスク遺伝子座がJAZF1を含み、JAZF1におけるバリエーションが、配列番号:80に示される核酸配列におけるrs849142でのSNPのチミン対立遺伝子であり、被検体がループスへの罹患が疑われている、方法。
【請求項2】
BLK遺伝子座におけるバリエーションの存在をさらに検出することを含む、請求項1に記載の方法であって、
ここで、BLKにおけるバリエーションが、配列番号:13に示される核酸配列におけるrs922483での一塩基多型(SNP)のチミン対立遺伝子である、方法。
【請求項3】
少なくとも1つの遺伝子座がさらにPRDM1を含み、かつPRDM1におけるバリエーションが、配列番号:79に示される核酸配列におけるrs6568431でのSNPのアデニン対立遺伝子である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの遺伝子座がさらにUHRF1BP1を含み、かつUHRF1BP1におけるバリエーションが、配列番号:81に示される核酸配列におけるrs11755393でのSNPのグアニン対立遺伝子である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの遺伝子座がさらにIL10を含み、かつIL10におけるバリエーションが、配列番号:82に示される核酸配列におけるrs3024505でのSNPのアデニン対立遺伝子である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの遺伝子座がさらにIFIH1を含み、かつIFIH1におけるバリエーションが、配列番号:83に示される核酸配列におけるrs1990760でのSNPのチミン対立遺伝子である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの遺伝子座がさらにCFBを含み、かつCFBにおけるバリエーションが、配列番号:84に示される核酸配列におけるrs641153でのSNPのグアニン対立遺伝子である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの遺伝子座がさらにCLEC16Aを含み、かつCLEC16Aにおけるバリエーションが、配列番号:85に示される核酸配列におけるrs12708716でのSNPのアデニン対立遺伝子である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの遺伝子座がさらにIL12Bを含み、かつIL12Bにおけるバリエーションが、配列番号:86に示される核酸配列におけるrs6887695でのSNPのグアニン対立遺伝子である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ループスを有する被検体のループス治療剤に対する応答性を予測するための、請求項1〜の何れか一項に記載の方法であって、
ここで、バリエーションの存在が、被検体がループス治療剤に対して応答するであろうことを示す、方法。
【請求項11】
被検体がループスを発症するリスクがあるかどうかを評価する方法であって、被検体から得た生物学的試料中において、ループスを発症するリスクを示す遺伝的サインの存在を検出することを含み、
ここで、遺伝的サインが、JAZF1、並びにPRDM1、HRF1BP1、IL10、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3からなる群から選択される2つの遺伝子座を含む、少なくとも3つの全身性エリテマトーデス(SLE)リスク遺伝子座におけるバリエーションを含み、
ここで、JAZF1におけるバリエーションが、配列番号:80に示される核酸配列におけるrs849142でのSNPのチミン対立遺伝子であり;
PRDM1におけるバリエーションが、配列番号:79に示される核酸配列におけるrs6568431でのSNPのアデニン対立遺伝子であり
UHRF1BP1におけるバリエーションが、配列番号:81に示される核酸配列におけるrs11755393でのSNPのグアニン対立遺伝子であり;
IL10におけるバリエーションが、配列番号:82に示される核酸配列におけるrs3024505でのSNPのアデニン対立遺伝子であり;
IFIH1におけるバリエーションが、配列番号:83に示される核酸配列におけるrs1990760でのSNPのチミン対立遺伝子であり;
CFBにおけるバリエーションが、配列番号:84に示される核酸配列におけるrs641153でのSNPのグアニン対立遺伝子であり;
CLEC16Aにおけるバリエーションが、配列番号:85に示される核酸配列におけるrs12708716でのSNPのアデニン対立遺伝子であり;
IL12Bにおけるバリエーションが、配列番号:86に示される核酸配列におけるrs6887695でのSNPのグアニン対立遺伝子である、方法。
【請求項12】
BLK遺伝子座におけるバリエーションの存在をさらに検出することを含む、請求項11に記載の方法であって、
ここで、BLKにおけるバリエーションが、配列番号:13に示される核酸配列におけるrs922483での一塩基多型(SNP)のチミン対立遺伝子である、方法。
【請求項13】
検出が、プライマー伸長法;対立遺伝子特異的プライマー伸長法;対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ;5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコン使用アッセイ;及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイから選択されるプロセスを実施することを含む、請求項1〜12の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願とのクロスリファレンス)
この出願は、その内容を出典明示によりここに援用する2009年10月7日出願の米国仮出願第61/278510号の優先権を主張する。
【0002】
(配列表)
本出願は、EFS−Webを介してASCIIフォーマットで提示され、その内容を出典明示によりここに援用する配列表を含む。2010年9月20日に作成された前記ASCIIコピーはP4325R1W.txtと命名され、3576バイトのサイズである。
【0003】
(技術分野)
進行性ループスの危険性を同定し、診断し、予後予測する方法、並びにループスを治療する方法が提供される。また提供されるものは、効果的なループス治療剤を同定し、ループス治療剤に対する応答性を予測する方法である。
【背景技術】
【0004】
ループスは、主に20〜40歳の女性の、ほぼ100万人のアメリカ人が罹患していると推定される自己免疫疾患である。ループスは結合組織を攻撃する抗体を伴う。ループスの主な態様は全身性のもの(全身性エリテマトーデス;SLE)である。SLEは強い遺伝的な要素だけでなく環境的要素を持つ慢性的な自己免疫疾患である(例えば、Hochberg MC, Dubois' Lupus Erythematosus. 5版, Wallace DJ, Hahn BH, eds. Baltimore: Williams and Wilkins (1997);Wakeland EK等, Immunity 2001;15(3):397-408; Nath SK等, Curr. Opin. Immunol. 2004;16(6):794-800; D’Cruz等, Lancet (2007), 369:587-596を参照)。限定するものではないが、皮膚エリテマトーデス(CLE)、ループス腎炎(LN)、及び新生児ループスを含む様々な更なる型のループスが知られている。
【0005】
未処置のループスは、皮膚と関節の侵襲から肺、心臓、及び腎臓(腎臓疾患が一番の問題)を含む内部臓器に進行するので、致死的になり得、よってループスの早期の精確な診断及び/又はその発症のリスクの評価が特に重要になる。ループスは、主に、徴候を殆どもしくは全く示さない期間をはさんで、連続して再燃するように思われる。尿中のタンパク尿の量で測定される腎臓損傷は、SLEの病原に関連した最も急性の損傷部位の一つであり、疾患の死亡率及び罹患率の少なくとも50%を占める。
【0006】
臨床的には、SLEは高親和性の自己抗体(autoAbs)によって特徴づけられる不均一な疾患である。自己抗体(autoAbs)はSLEの病理発生において重要な役割を果たしており、疾患の多様な臨床上の症状は、腎臓、脳及び皮膚の炎症へ至る、血管内における抗体含有免疫複合体の沈着が原因である。自己抗体は溶血性貧血及び血小板減少症を引き起こす直接的な病原作用も併せ持つ。SLEは抗核抗体の産生、免疫複合体の循環、補体系の活性化を伴う。SLEは、20から60歳の女性700人中およそ1人に発病する。SLEは何れの臓器系にも作用し、重症の組織損傷を引き起こしうる。特異性が様々な数多くの自己抗体がSLEにおいて存在する。SLE患者は、抗DNA、抗Ro、及び抗血小板特異性を有し、例えば糸球体腎炎、関節炎、漿膜炎、新生児の完全心ブロック及び血液学的な異常のような疾患の臨床症状を惹起しうる自己抗体をしばしば産生する。これらの自己抗体は、おそらく中枢神経系障害にも関連しうる。Arbuckle等は、SLEの臨床発症前の自己抗体の発生を記述している(Arbuckle等 N. Engl. J. Med. 349(16): 1526-1533 (2003))。SLEを含むループスの確定診断は容易ではなく、多因子徴候及び症状ベースの分類アプローチに応じて、臨床医によりなされる(Gill等, American Family Physician 68(11): 2179-2186(2003))。
【0007】
ループスのような複合自己免疫疾患の臨床管理における最も困難なものの一つは、患者における疾患の精確で早期の同定である。長年にわたって、SLE易罹患性に寄与すると考えられる多くの連鎖及び候補遺伝子が同定されている。HLAクラスII対立遺伝子DRB1*0301及びDRB1*1501を担持するハプロタイプは、疾患、並びに核自己抗原に対する抗体の存在に明らかに関連している。例えば、Goldberg MA等, Arthritis Rheum. 19(2):129-32 (1976);Graham RR等, Am J Hum Genet. 71(3):543-53 (2002);及びGraham RR等, Eur J Hum Genet. 15(8):823-30 (2007)を参照。インターフェロン調節因子5(IRF5)及びシグナル伝達性転写因子4(STAT4)は、SLEに対する有意な危険因子であることが発見されている。例えば、Sigurdsson S等, Am J Hum Genet. 76(3):528-37 (2005);Graham RR等, Nat Genet. 38(5):550-55 (2006);Graham RR等, Proc Natl Acad Sci USA 104(16):6758-63 (2007);及びRemmers EF等, N Engl J Med. 357(10):977-86 (2007)を参照。SLEの危険性のある遺伝子としてのIRF5及びSTAT4の同定は、ある例では、I型インターフェロン(IFN)経路が、SLEの病理発生において重要な役割を果たしていることを支持している。I型IFNはSLE症例の血清中に存在し、IFNの産生がAbと免疫複合体を含む核酸の存在に関連している (Ronnblom等, J Exp Med 194:F59 (2001)に概説; また、Baechler EC等, Curr Opin Immunol. 16(6):801-07 (2004);Banchereau J等, Immunity 25(3):383-92 (2006);Miyagi等, J Exp Med 204(10):2383-96 (2007)を参照)。SLE症例の大部分は、血球細胞中に顕著なI型IFN遺伝子発現「サイン」を示し(Baechler等, Proc Natl Acad Sci USA 100:2610 (2003);Bennett等, J Exp Med 197:711 (2003))、血清中のIFN誘導性サイトカイン及びケモカインの量が上昇している(Bauer等., PLoS Med 3:e491 (2006))。天然DNA及びRNAを含む免疫複合体は、樹上細胞及びB細胞によって発現されるトール様レセプター(TLRs)7及び9を刺激してI型インターフェロンを産生せしめ、それが免疫複合体形成を更に刺激する(Marshak-Rothstein等, Annu Rev Immunol 25, 419 (2007)に概説)。
【0008】
さらに、多くの研究では、診断及び予防目的で信頼のおけるバイオマーカーを同定することが実施されている。しかしながら、SLE罹患率に寄与すると考えられている多くの候補遺伝子及び対立遺伝子(変異体)は同定されているが、SLEの病態生理学的側面、臨床活動、治療に対する応答、予後、又は疾患を発症する危険性を、臨床医等が正確に定義することのできる臨床的に有効な診断マーカー、例えばバイオマーカーは同定されていない。例えば、ヨーロッパ子孫の個体においてSLEのリスクに寄与する少なくとも13の共通の対立遺伝子が報告されている(Kyogoku等, Am J Hum Genet 75(3):504-7 (2004);Sigurdsson等, Am J Hum Genet 76(3):528-37 (2005);Graham等, Nat Genet 38(5):550-55 (2006);Graham等, Proc Natl Acad Sci U S A 104(16):6758-63 (2007);Remmers等, N Engl J Med 357(10):977-86 (2007);Cunninghame Graham等, Nat Genet 40(1):83-89 (2008);Harley等, Nat Genet 40(2):204-10 (2008);Hom等, N Engl J Med 358(9):900-9 (2008);Kozyrev等, Nat Genet 40(2):211-6 (2008);Nath等, Nat Genet 40(2):152-4 (2008);Sawalha等, PLoS ONE 3(3):e1727 (2008))。推定の関係ある対立遺伝子はHLA-DR3、HLA-DR2、FCGR2A、PTPN22、ITGAM及びBANK1に対して知られており(Kyogoku等, Am J Hum Genet 75(3):504-7 (2004);Kozyrev等, Nat Genet 40(2):211-6 (2008);Nath等, Nat Genet 40(2):152-4 (2008))、一方でIRF5、TNFSF4及びBLKに対するリスクハロタイプがmRNA及びタンパク質発現レベルに影響することによって、SLEに寄与している可能性がある(Sigurdsson等, Am J Hum Genet 76(3):528-37 (2005);Graham等, Nat Genet 38(5):550-55 (2006);Graham等, Proc Natl Acad Sci U S A 104(16):6758-63 (2007);Cunninghame Graham等, Nat Genet 40(1):83-89 (2008);Hom等, N Engl J Med 358(9):900-9 (2008))。STAT4、KIAA1542、IRAK1、PXK、及び他の遺伝子、例えばBLKに対する因果関係のある対立遺伝子は確定されていない(Remmers等,N Engl J Med 357(10):977-86 (2007);Harley等, Nat Genet 40(2):204-10 (2008);Hom等, N Engl J Med 358(9):900-9 (2008);Sawalha等, PLoS ONE 3(3):e1727 (2008))。また、ループスに関連したこれら及び他の遺伝的変異は、国際特許出願第PCT/US2008/064430号(国際公開第2008/144761号)に記載されている。SLEリスク及び今日までに記載されている疾患の種々の局面に対する、このような遺伝的変異の寄与が重要である一方、遺伝的変異の寄与についてのさらなる情報、例えばSLEの顕著な臨床的不均一性は、決定されたままである。
【0009】
従って、患者における疾患の存在を客観的に同定し、及び/又は疾患を分類し、ループスの病態生理学的な側面、臨床活動、治療に対する応答、予後、及び/又はループスを発症する危険性を定義するために使用することができる、付加的な分子ベースの診断方法があれば非常に有利となるであろう。加えて、疾患の様々な臨床上及び/又は病態生理学的及び/又は他の生物学的な指標に関連する分子ベースの診断マーカーがあれば有利となるであろう。よって、ループス並びに他の自己免疫疾患に関連した新規リスク遺伝子座及び多型を同定することが必要とされている。そのような連関性は、患者におけるループスの存在の同定又は疾患を発症する易罹患性の判定に多大な利益となるであろう。そのような連関性は、病態生理学的なループスの側面や、臨床活動、治療への応答性又は予後の同定にも役立つであろう。更に、そのような連関性に関する統計学的及び生物学的に有意かつ再現性のある情報は、例えば治療剤がこのような特定のループス患者の亜集団において治療的利点があるか又はあることが臨床研究で示されている場合に、特定の治療剤による治療により顕著な利益を受けると期待される特定の患者のサブセットを同定する努力における不可欠な要素として利用できる。
【0010】
ここに記載した発明は上述の要望に応え、他の利益を提供するものである。
【0011】
特許出願及び刊行物を含むここで引用される全ての文献は、あらゆる目的のために出典明示によってその全体を援用する。
【発明の概要】
【0012】
本方法は、SLEに関連し、疾患リスクに挙する新規の遺伝子座のセット(SLEリスク遺伝子座)の発見に少なくとも部分的に基づく。また、SLEリスク遺伝子座に関連する対立遺伝子(アレル)のセットが提供される。さらに、SLEリスクを増加させる生物学的効果に関連した、BLK遺伝子座内の関係ある対立遺伝子も含まれる。またさらに、他の自己免疫疾患及び増加するSLEリスクに関連したリスク遺伝子座が提供される。
【0013】
一態様では、被検体におけるループスを同定する方法において、SLEリスク遺伝子座のバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここでSLEリスク遺伝子座がBLKであり、BLK遺伝子座におけるバリエーションが一塩基多型(SNP)の位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、被検体はループスへの罹患が疑われている方法が提供される。一実施態様では、検出は、プライマー伸長法;対立遺伝子特異的プライマー伸長法;対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ;5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコン使用アッセイ;及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイから選択されるプロセスを実施することを含む。
【0014】
他の態様では、被検体におけるループスを同定する方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここで少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表4に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、被検体はループスへの罹患が疑われている方法が提供される。ある実施態様では、バリエーションは少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座、又は少なくとも10遺伝子座、又は少なくとも13遺伝子座、又は26遺伝子座において検出される。一実施態様では、少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択される。一実施態様では、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションは表4に記載されたSNPを含む。ある実施態様では、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションで、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表4に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっているバリエーションの存在が、BLK SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在と組合せて検出され、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである。一実施態様では、検出は、プライマー伸長法;対立遺伝子特異的プライマー伸長法;対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ;5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコン使用アッセイ;及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイから選択されるプロセスを実施することを含む。
【0015】
さらなる他の態様では、被検体におけるループスを同定する方法において、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここで少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表6に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、被検体はループスへの罹患が疑われている方法が提供される。ある実施態様では、バリエーションは少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座において検出される。一実施態様では、少なくとも1の遺伝子座は、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。一実施態様では、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションは表6に記載されたSNPを含む。ある実施態様では、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションで、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表6に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっているバリエーションの存在が、BLK SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在と組合せて検出され、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである。一実施態様では、検出は、プライマー伸長法;対立遺伝子特異的プライマー伸長法;対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ;5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコン使用アッセイ;及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイから選択されるプロセスを実施することを含む。
【0016】
さらなる他の態様では、被検体におけるループスを同定する方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在、及び表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここで各々の遺伝子座におけるバリエーションが、それぞれ表4及び表6に記載された各々の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、被検体はループスへの罹患が疑われている方法が提供される。ある実施態様では、バリエーションは少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座、又は少なくとも7遺伝子座、又は少なくとも10遺伝子座において検出される。一実施態様では、表4に記載された少なくとも1の遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択され、表6に記載された少なくとも1の遺伝子座は、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。一実施態様では、表4に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーション、及び表6に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションは、各々表4及び6に記載されたSNPを含む。ある実施態様では、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションで、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表4に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっているバリエーションの存在、及び表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションで、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表6に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっているバリエーションの存在が、BLK SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在と組合せて検出され、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである。一実施態様では、検出は、プライマー伸長法;対立遺伝子特異的プライマー伸長法;対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ;5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコン使用アッセイ;及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイから選択されるプロセスを実施することを含む。
【0017】
他の態様では、ループス治療剤へのループスの被検体の応答性を予測するための方法において、SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、ここでSLEリスク遺伝子座がBLKであり、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体82における染色体上の位置11389322のチミンであり、BLK SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在が治療剤への患者の応答性を示す方法が提供される。
【0018】
他の態様では、ループス治療剤へのループスの被検体の応答性を予測するための方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、ここで少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表4に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在が治療剤への患者の応答性を示す方法が提供される。ある実施態様では、被検体は、少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座、又は少なくとも10遺伝子座、又は少なくとも13遺伝子座、又は26遺伝子座におけるバリエーションを含む。一実施態様では、少なくとも1の遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択される。一実施態様では、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションは表4に記載されたSNPを含む。ある実施態様では、本方法は表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、ここで少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、BLK SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションと組合せて、表4に記載された少なくとも1の遺伝子剤に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、表4に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションの存在が治療剤への患者の応答性を示す。
【0019】
さらなる他の態様では、ループス治療剤へのループスの被検体の応答性を予測するための方法において、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、ここで少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表6に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在が治療剤への患者の応答性を示す方法が提供される。ある実施態様では、被検体は、少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座におけるバリエーションを含む。一実施態様では、少なくとも1の遺伝子座は、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。一実施態様では、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションは表6に記載されたSNPを含む。ある実施態様では、本方法は表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、ここで少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、BLK SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションと組合せて、表6に記載された少なくとも1の遺伝子剤に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、表6に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションの存在が治療剤への患者の応答性を示す。
【0020】
さらなる態様では、ループス治療剤へのループスの被検体の応答性を予測するための方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーション、及び表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、ここで少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表4に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、また少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表6に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、表4に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及び表6に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在が治療剤への患者の応答性を示す方法が提供される。ある実施態様では、被検体は、少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座、又は少なくとも7遺伝子座、又は少なくとも10遺伝子座におけるバリエーションを含む。一実施態様では、表4に記載された少なくとも1の遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択され、表6に記載された少なくとも1の遺伝子座は、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。一実施態様では、表4に記載された少なくとも1の遺伝子座、及び表6に記載された少なくとも1の遺伝子座は、各々表4及び表6に記載されたSNPを含む。ある実施態様では、本方法は、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーション、及び表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、ここで、BLK SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションと組合せて、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、表4に記載された少なくとも1の遺伝子剤に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、表6に記載された少なくとも1の遺伝子剤に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、表4に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及び表6に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションの存在が治療剤への患者の応答性を示す。
【0021】
さらに他の態様では、被検体においてループスを診断し又は予後予測する方法において、SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここでSLEリスク遺伝子座がBLKであり、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、BLK遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である方法が提供される。
【0022】
またさらなる態様では、被検体においてループスを診断し又は予後予測する方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここで:生物学的試料は、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、表4に記載されたSNPを含むか、又は該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し;少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である方法が提供される。ある実施態様では、バリエーションは少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座、又は少なくとも10遺伝子座、又は少なくとも13遺伝子座、又は26遺伝子座において検出される。一実施態様では、少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択される。ある実施態様では、本方法は、BLK SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションと組合せて、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を検出することを含み、ここで:生物学的試料は、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーション、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;表4に記載された少なくとも一の遺伝子座におけるバリエーションが、表4に記載されたSNPを含むか、該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、表4に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である。
【0023】
またさらなる態様では、被検体においてループスを診断し又は予後予測する方法において、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここで:生物学的試料は、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、表6に記載されたSNPを含むか、又は該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し;少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である方法が提供される。ある実施態様では、バリエーションは少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座において検出される。一実施態様では、少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。ある実施態様では、本方法は、BLK SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在と組合せて、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を検出することを含み、ここで:生物学的試料は、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーション、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;表6に記載された少なくとも一の遺伝子座におけるバリエーションが、表6に記載されたSNPを含むか、該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、表6に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である。
【0024】
またさらなる他の態様では、被検体においてループスを診断し又は予後予測する方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在、及び表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここで:生物学的試料は、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーション、及び表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、各々表4及び6に記載されたSNPを含むか、又は該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し;表4に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及び表6に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である方法が提供される。ある実施態様では、バリエーションは少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座、又は少なくとも7遺伝子座、又は少なくとも10遺伝子座において検出される。一実施態様では、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択され、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。ある実施態様では、本方法は、BLK SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在と組合せて、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在、及び表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を検出することを含み、ここで:生物学的試料は、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーション、及び表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーション、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;表4に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、表4に記載されたSNPを含むか、該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し、表6に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、表6に記載されたSNPを含むか、該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、表4に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及び表6に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である。
【0025】
他の態様では、被検体におけるループスの診断又は予後を助ける方法において、SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここでSLEリスク遺伝子座がBLKであり、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、BLK遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である方法が提供される。
【0026】
またさらなる他の態様では、被検体においてループスの診断又は予後を助ける方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここで:生物学的試料は、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、表4に記載されたSNPを含むか、又は該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し;少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である方法が提供される。ある実施態様では、バリエーションは少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座、又は少なくとも10遺伝子座、又は少なくとも13遺伝子座、又は26遺伝子座において検出される。一実施態様では、少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択される。ある実施態様では、本方法は、BLK SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションと組合せて、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を検出することを含み、ここで:生物学的試料は、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーション、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;表4に記載された少なくとも一の遺伝子座におけるバリエーションが、表4に記載されたSNPを含むか、該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、表4に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である。
【0027】
またさらなる態様では、被検体においてループスの診断又は予後を助ける方法において、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここで:生物学的試料は、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、表6に記載されたSNPを含むか、又は該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し;少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である方法が提供される。ある実施態様では、バリエーションは少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座において検出される。一実施態様では、少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。ある実施態様では、本方法は、BLK SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在と組合せて、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を検出することを含み、ここで:生物学的試料は、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーション、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;表6に記載された少なくとも一の遺伝子座におけるバリエーションが、表6に記載されたSNPを含むか、該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、表6に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である。
【0028】
またさらなる態様では、被検体においてループスの診断又は予後を助ける方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在、及び表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここで:生物学的試料は、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーション、及び表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、各々表4及び6に記載されたSNPを含むか、又は該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し;表4に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及び表6に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である方法が提供される。ある実施態様では、バリエーションは少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座、又は少なくとも7遺伝子座、又は少なくとも10遺伝子座において検出される。一実施態様では、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択され、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。ある実施態様では、本方法は、BLK SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在と組合せて、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在、及び表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を検出することを含み、ここで:生物学的試料は、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーション、及び表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーション、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;表4に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、表4に記載されたSNPを含むか、該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し、表6に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、表6に記載されたSNPを含むか、該SNPに対応するヌクレオチド位置に位置し、BLK遺伝子座におけるバリエーションがSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、表4に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及び表6に記載された少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在、及びBLK遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である。
【0029】
一態様では、被検体のループス症状を治療する方法において、遺伝的変異がSLEリスク遺伝子座におけるSNPに対応したヌクレオチド位置に存在することが知られており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、SLEリスク遺伝子座がBLKであり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、該症状を治療するのに効果的な治療剤を被検体に投与することを含む方法が提供される。
【0030】
他の態様では、被検体のループス症状を治療する方法において、遺伝的変異が表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座における、表4に記載されたSNPに対応したヌクレオチド位置に存在することが知られており、該症状を治療するのに効果的な治療剤を被検体に投与することを含む方法が提供される。一実施態様において、少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択される。
【0031】
他の態様では、被検体のループス症状を治療する方法において、遺伝的変異が表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座における、表6に記載されたSNPに対応したヌクレオチド位置に存在することが知られており、該症状を治療するのに効果的な治療剤を被検体に投与することを含む方法が提供される。一実施態様において、少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。
【0032】
他の態様では、ループス症状の被検体を治療する方法において、SLEリスク遺伝子座におけるSNPに対応したヌクレオチド位置に遺伝的変異がある被検体の症状の治療に有効な治療剤を被検体に投与し、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、SLEリスク遺伝子座がBLKであり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである方法が提供される。
【0033】
さらなる他の態様では、ループス症状の被検体を治療する方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座における、表4に記載されたSNPに対応したヌクレオチド位置に遺伝的変異がある被検体の症状の治療に有効な治療剤を被検体に投与することを含む方法が提供される。一実施態様において、少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択される。
【0034】
さらなる他の態様では、ループス症状の被検体を治療する方法において、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座における、表6に記載されたSNPに対応したヌクレオチド位置に遺伝的変異がある被検体の症状の治療に有効な治療剤を被検体に投与することを含む方法が提供される。一実施態様において、少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。
【0035】
さらなる他の態様では、ループス症状の被検体を治療する方法において、少なくとも1の臨床試験において前記症状を治療するのに効果的であることが示された治療剤を被検体に投与することを含み、ここで、治療剤が、SLEリスク遺伝子においてSNPに対応するヌクレオチド位置にそれぞれ遺伝的変異がある少なくとも5人のヒト被検体に投与され、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、SLEリスク遺伝子座がBLKであり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである方法が提供される。
【0036】
さらなる他の態様では、ループス症状の被検体を治療する方法において、少なくとも1の臨床試験において前記症状を治療するのに効果的であることが示された治療剤を被検体に投与することを含み、ここで、治療剤が、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座において、表4に記載されたSNPに対応したヌクレオチド位置にそれぞれ遺伝的変異がある少なくとも5人のヒト被検体に投与される方法が提供される。一実施態様において、少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択される。
【0037】
さらなる他の態様では、ループス症状の被検体を治療する方法において、少なくとも1の臨床試験において前記症状を治療するのに効果的であることが示された治療剤を被検体に投与することを含み、ここで、治療剤が、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座において、表6に記載されたSNPに対応したヌクレオチド位置にそれぞれ遺伝的変異がある少なくとも5人のヒト被検体に投与される方法が提供される。一実施態様において、少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。
【0038】
他の態様では、ループス治療剤を製造することを含む方法において、ループスであるか又はループスであると思われ、SLEリスク遺伝子座においてSNPに対応する位置に遺伝的変異を有する被検体に薬剤を投与するための指示書と共に薬剤を包装し、ここでSNPがrs922483(配列番号:13)であり、SLEリスク遺伝子座がBLKであり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである方法が提供される。
【0039】
さらなる他の態様では、ループス治療剤を製造することを含む方法において、ループスであるか又はループスであると思われ、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座において、表4に記載されたSNPに対応する位置に遺伝的変異を有する被検体に薬剤を投与するための指示書と共に薬剤を包装する方法が提供される。
【0040】
またさらなる態様では、ループス治療剤を製造することを含む方法において、ループスであるか又はループスであると思われ、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座において、表6に記載されたSNPに対応する位置に遺伝的変異を有する被検体に薬剤を投与するための指示書と共に薬剤を包装する方法が提供される。
【0041】
一態様では、ループス治療剤での治療のためにループスに罹患している患者を選択する方法において、SLEリスク遺伝子座におけるSNPに対応するヌクレオチド位置における遺伝的変異の存在を検出することを含み、ここでSNPがrs922483(配列番号:13)であり、SLEリスク遺伝子座がBLKであり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである方法が提供される。一実施態様では、検出は、プライマー伸長法;対立遺伝子特異的プライマー伸長法;対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ;5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコン使用アッセイ;及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイから選択されるプロセスを実施することを含む。
【0042】
さらなる態様では、ループス治療剤での治療のためにループスに罹患している患者を選択する方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座における、表4に記載されたSNPに対応するヌクレオチド位置における遺伝的変異の存在を検出することを含む方法が提供される。ある実施態様では、バリエーションは少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座、又は少なくとも10遺伝子座、又は少なくとも13遺伝子座、又は26遺伝子座において検出される。一実施態様では、少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択される。一実施態様では、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションは表4に記載されたSNPを含む。一実施態様では、検出は、プライマー伸長法;対立遺伝子特異的プライマー伸長法;対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ;5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコン使用アッセイ;及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイから選択されるプロセスを実施することを含む。
【0043】
さらなる態様では、ループス治療剤での治療のためにループスに罹患している患者を選択する方法において、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座における、表6に記載されたSNPに対応するヌクレオチド位置における遺伝的変異の存在を検出することを含む方法が提供される。ある実施態様では、バリエーションは少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座において検出される。一実施態様では、少なくとも1のSLEリスク遺伝子座は、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。一実施態様では、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションは表6に記載されたSNPを含む。一実施態様では、検出は、プライマー伸長法;対立遺伝子特異的プライマー伸長法;対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ;5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコン使用アッセイ;及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイから選択されるプロセスを実施することを含む。
【0044】
他の態様では、被検体にループスを発症するリスクがあるかどうかを評価する方法において、被検体から得た生物学的試料中において、ループスを発症するリスクを示す遺伝的サインの存在を検出することを含み、ここで、該遺伝的サインが少なくとも3つのSNPsのセットを含み、各SNPが表4及び/又は表6に記載されたSLEリスク遺伝子座で生じている方法が提供される。ある実施態様では、遺伝的サインは、少なくとも4つのSNP、又は少なくとも5つのSNP、又は少なくとも7つのSNP、又は少なくとも10のSNPのセットを含む。一実施態様では、SLEリスク遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、IL10、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。ある実施態様では、遺伝的サインはSLEリスク遺伝子座にSNPをさらに含み、ここでSNPがrs922483(配列番号:13)であり、SLEリスク遺伝子座がBLKであり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである。
【0045】
さらなる態様では、被検体においてループスを診断する方法において、上記被検体から得られた生物学的試料においてループスを示す遺伝的サインの存在を検出することを含み、ここで、該遺伝的サインが少なくとも3つのSNPsのセットを含み、各SNPが表4及び/又は表6に記載されたSLEリスク遺伝子座で生じている方法が提供される。ある実施態様では、遺伝的サインは、少なくとも4つのSNP、又は少なくとも5つのSNP、又は少なくとも7つのSNP、又は少なくとも10のSNP、又は少なくとも15のSNP、又は少なくとも20のSNP、又は少なくとも30のSNPのセットを含む。一実施態様では、SLEリスク遺伝子座は、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、IL10、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される。ある実施態様では、遺伝的サインはSLEリスク遺伝子座にSNPをさらに含み、ここでSNPがrs922483(配列番号:13)であり、SLEリスク遺伝子座がBLKであり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである。
発明の実施態様
実施態様1
被検体におけるループスを同定する方法において、SLEリスク遺伝子座のバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここでSLEリスク遺伝子座がBLKであり、BLK遺伝子座におけるバリエーションが一塩基多型(SNP)の位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8の染色体上の位置11389322のチミンであり、被検体はループスへの罹患が疑われている方法。
実施態様2
被検体におけるループスを同定する方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここで少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表4に記載された少なくとも1の遺伝子座に対して一塩基多型(SNP)の位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、被検体はループスへの罹患が疑われている方法。
実施態様3
バリエーションが少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座、又は少なくとも10遺伝子座、又は少なくとも13遺伝子座、又は26遺伝子座において検出される、実施態様2に記載の方法。
実施態様4
少なくとも1のSLEリスク遺伝子座が、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択される、実施態様2に記載の方法。
実施態様5
少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表4に記載されたSNPを含む、実施態様2に記載の方法。
実施態様6
被検体におけるループスを同定する方法において、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここで少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表6に記載された少なくとも1の遺伝子座に対して一塩基多型(SNP)の位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、被検体はループスへの罹患が疑われている方法。
実施態様7
バリエーションが少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は5遺伝子座において検出される、実施態様6に記載の方法。
実施態様8
少なくとも1の遺伝子座が、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される、実施態様6に記載の方法。
実施態様9
少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表6に記載されたSNPを含む、実施態様6に記載の方法。
実施態様10
表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座において、さらなるバリエーションを検出することを含み、少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションが表4に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっている、実施態様1に記載の方法。
実施態様11
表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座において、さらなるバリエーションを検出することを含み、少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションが表6に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっている、実施態様1に記載の方法。
実施態様12
表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座において、さらなるバリエーションを検出することを含み、少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションが表6に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっている、実施態様10に記載の方法。
実施態様13
表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座において、さらなるバリエーションを検出することを含み、少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションが表6に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっている、実施態様2に記載の方法。
実施態様14
検出が、プライマー伸長法;対立遺伝子特異的プライマー伸長法;対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ;5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコン使用アッセイ;及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイから選択されるプロセスを実施することを含む、実施態様1から13のいずれか一項に記載の方法。
実施態様15
ループス治療剤へのループスの被検体の応答性を予測するための方法において、SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、ここでSLEリスク遺伝子座がBLKであり、BLK遺伝子座におけるバリエーションが一塩基多型(SNP)の位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、BLK遺伝子座におけるバリエーションの存在が治療剤への患者の応答性を示す方法。
実施態様16
ループス治療剤へのループスの被検体の応答性を予測するための方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、ここで少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表4に記載された少なくとも1の遺伝子座に対して一塩基多型(SNP)の位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在が治療剤への患者の応答性を示す方法。
実施態様17
バリエーションが少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は少なくとも5遺伝子座、又は少なくとも10遺伝子座、又は少なくとも13遺伝子座、又は26遺伝子座において検出される、実施態様16に記載の方法。
実施態様18
少なくとも1の遺伝子座が、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択される、実施態様16に記載の方法。
実施態様19
少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表4に記載されたSNPを含む、実施態様16に記載の方法。
実施態様20
ループス治療剤へのループスの被検体の応答性を予測するための方法において、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、ここで少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表6に記載された少なくとも1の遺伝子座に対して一塩基多型(SNP)の位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在が治療剤への患者の応答性を示す方法。
実施態様21
バリエーションが少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は5遺伝子座において検出される、実施態様20に記載の方法。
実施態様22
少なくとも1の遺伝子座が、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される、実施態様20に記載の方法。
実施態様23
少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表6に記載されたSNPを含む、実施態様6に記載の方法。
実施態様24
表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるさらなるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションが表4に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっている、実施態様15に記載の方法。
実施態様25
表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座において、さらなるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションが表6に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっている、実施態様15に記載の方法。
実施態様26
表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座において、さらなるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションが表6に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっている、実施態様24に記載の方法。
実施態様27
表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座において、さらなるバリエーションを被検体が含むかどうかを判定することを含み、少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションが表6に記載された少なくとも1の遺伝子座に対してSNPの位置に対応したヌクレオチド位置で起こっている、実施態様16に記載の方法。
実施態様28
被検体においてループスを診断し又は予後予測する方法において、SLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここでSLEリスク遺伝子座がBLKであり、
(a)生物学的試料が、BLK遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;
(b)バリエーションが一塩基多型(SNP)の位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、ここでSNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、
(c)BLK遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体の診断又は予後である方法。
実施態様29
被検体においてループスを診断し又は予後予測する方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここで、
(a)生物学的試料が、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;
(b)少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、表4に記載されたSNPを含むか、該SNPに対応したヌクレオチド位置に位置し;
(c)少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である方法。
実施態様30
バリエーションが少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4、又は少なくとも5遺伝子座、又は少なくとも10遺伝子座、又は少なくとも13遺伝子座、又は26遺伝子座において検出される、実施態様29に記載の方法。
実施態様31
少なくとも1の遺伝子座が、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択される、実施態様29に記載の方法。
実施態様32
少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表4に記載されたSNPを含む、実施態様29に記載の方法。
実施態様33
被検体においてループスを診断し又は予後予測する方法において、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションの存在を被検体から得た生物学的試料において検出することを含み、ここで、
(a)生物学的試料が、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;
(b)少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが、表6に記載されたSNPを含む又は、又は該SNPに対応したヌクレオチド位置に位置し;
(c)少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションの存在が被検体におけるループスの診断又は予後である方法。
実施態様34
バリエーションが少なくとも2遺伝子座、又は少なくとも3遺伝子座、又は少なくとも4遺伝子座、又は5遺伝子座において検出される、実施態様33に記載の方法。
実施態様35
少なくとも1の遺伝子座が、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される、実施態様33に記載の方法。
実施態様36
少なくとも1の遺伝子座におけるバリエーションが表6に記載されたSNPを含む、実施態様33に記載の方法。
実施態様37
(a)生物学的試料が、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるさらなるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;
(b)少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションが、表4に記載されたSNPを含むか、該SNPに対応したヌクレオチド位置に位置し;
(c)少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションの存在が被検体におけるループス診断又は予後である、実施態様28に記載の方法。
実施態様38
(a)生物学的試料が、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるさらなるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;
(b)少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションが、表6に記載されたSNPを含むか、該SNPに対応したヌクレオチド位置に位置し;
(c)少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションの存在が被検体におけるループス診断又は予後である、実施態様28に記載の方法。
実施態様39
(a)生物学的試料が、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるさらなるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;
(b)少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションが、表6に記載されたSNPを含むか、該SNPに対応したヌクレオチド位置に位置し;
(c)少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションの存在が被検体におけるループス診断又は予後である、実施態様37に記載の方法。
実施態様40
(a)生物学的試料が、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座におけるさらなるバリエーションを含む核酸を含むことが知られているか、又は含むことが疑われ;
(b)少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションが、表6に記載されたSNPを含むか、該SNPに対応したヌクレオチド位置に位置し;
(c)少なくとも1の遺伝子座におけるさらなるバリエーションの存在が被検体におけるループス診断又は予後である、実施態様29に記載の方法。
実施態様41
検出が、プライマー伸長法;対立遺伝子特異的プライマー伸長法;対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ;5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコン使用アッセイ;及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイから選択されるプロセスを実施することを含む、実施態様28から40のいずれか一項に記載の方法。
実施態様42
被検体のループス症状を治療する方法において、遺伝的変異がSLEリスク遺伝子座における一塩基多型(SNP)に対応したヌクレオチド位置に存在することが知られており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、SLEリスク遺伝子座がBLKであり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンであり、該症状を治療するのに効果的な治療剤を被検体に投与することを含む方法。
実施態様43
被検体のループス症状を治療する方法において、遺伝的変異が、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座における、表4に記載された一塩基多型(SNP)に対応したヌクレオチド位置に存在することが知られており、該症状を治療するのに効果的な治療剤を被検体に投与することを含む方法。
実施態様44
被検体のループス症状を治療する方法において、遺伝的変異が、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座における、表6に記載された一塩基多型(SNP)に対応したヌクレオチド位置に存在することが知られており、該症状を治療するのに効果的な治療剤を被検体に投与することを含む方法。
実施態様45
ループス症状の被検体を治療する方法において、SLEリスク遺伝子座に遺伝的変異がある被検体の症状の治療に有効な治療剤を被検体に投与し、SLEリスク遺伝子座がBLKであり、BLK遺伝子座におけるバリエーションが一塩基多型(SNP)の位置に対応したヌクレオチド位置で起こっており、SNPがrs922483(配列番号:13)であり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである方法。
実施態様46
ループス症状の被検体を治療する方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座に、表4に記載された一塩基多型(SNP)に対応したヌクレオチド位置に遺伝的変異がある被検体の症状の治療に有効な治療剤を被検体に投与することを含む方法。
実施態様47
少なくとも1のSLEリスク遺伝子座が、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択される、実施態様46に記載の方法。
実施態様48
ループス症状の被検体を治療する方法において、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座に、表6に記載された一塩基多型(SNP)に対応したヌクレオチド位置に遺伝的変異がある被検体の症状の治療に有効な治療剤を被検体に投与することを含む方法。
実施態様49
少なくとも1の遺伝子座が、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される、実施態様48に記載の方法。
実施態様50
ループス治療剤を製造し、ループスであるか又はループスであると思われ、SLEリスク遺伝子座において一塩基多型(SNP)に対応する位置に遺伝的変異を有する被検体に薬剤を投与するための指示書と共に薬剤を包装することを含み、ここでSNPがrs922483(配列番号:13)であり、SLEリスク遺伝子座がBLKであり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである方法。
実施態様51
ループス治療剤を製造し、ループスであるか又はループスであると思われ、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座において、表4に記載された一塩基多型(SNP)に対応する位置に遺伝的変異を有する被検体に薬剤を投与するための指示書と共に薬剤を包装することを含む方法。
実施態様52
ループス治療剤を製造し、ループスであるか又はループスであると思われ、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座において、表6に記載された一塩基多型(SNP)に対応する位置に遺伝的変異を有する被検体に薬剤を投与するための指示書と共に薬剤を包装することを含む方法。
実施態様53
ループス治療剤での治療のためにループスに罹患している患者を選択する方法において、SLEリスク遺伝子座における一塩基多型(SNP)に対応するヌクレオチド位置での遺伝的変異の存在を検出することを含み、ここでSNPがrs922483(配列番号:13)であり、SLEリスク遺伝子座がBLKであり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである方法。
実施態様54
ループス治療剤での治療のためにループスに罹患している患者を選択する方法において、表4に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座における、表4に記載された一塩基多型(SNP)に対応するヌクレオチド位置での遺伝的変異の存在を検出することを含む方法。
実施態様55
少なくとも1のSLEリスク遺伝子座が、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10から選択される、実施態様54に記載の方法。
実施態様56
ループス治療剤での治療のためにループスに罹患している患者を選択する方法において、表6に記載された少なくとも1のSLEリスク遺伝子座における、表6に記載された一塩基多型(SNP)に対応するヌクレオチド位置での遺伝的変異の存在を検出することを含む方法。
実施態様57
少なくとも1のSLEリスク遺伝子座が、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される、実施態様56に記載の方法。
実施態様58
検出が、プライマー伸長法;対立遺伝子特異的プライマー伸長法;対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ;5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコン使用アッセイ;及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイから選択されるプロセスを実施することを含む、実施態様53から57のいずれか一項に記載の方法。
実施態様59
被検体にループスを発症するリスクがあるかどうかを評価する方法において、被検体から得た生物学的試料中において、ループスを発症するリスクを示す遺伝的サインの存在を検出することを含み、ここで、該遺伝的サインが少なくとも3つの一塩基多型(SNP)のセットを含み、各SNPが表4及び/又は表6に記載されたSLEリスク遺伝子座で生じている方法。
実施態様60
遺伝的サインが、少なくとも4つのSNP、又は少なくとも5つのSNP、又は少なくとも7つのSNP、又は少なくとも10のSNP、又は少なくとも15のSNP、又は少なくとも20のSNP、又は少なくとも30のSNPのセットを含む、実施態様59に記載の方法。
実施態様61
各SLEリスク遺伝子座が、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、IL10、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される、実施態様59に記載の方法。
実施態様62
遺伝的サインがSLEリスク遺伝子座にSNPをさらに含み、ここでSNPがrs922483(配列番号:13)であり、SLEリスク遺伝子座がBLKであり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである、実施態様58に記載の方法。
実施態様63
被検体においてループスを診断する方法において、被検体から得られた生物学的試料においてループスを示す遺伝的サインの存在を検出することを含み、ここで、該遺伝的サインが少なくとも3つの一塩基多型(SNP)のセットを含み、各SNPが表4及び表6に記載されたSLEリスク遺伝子座で生じている方法。
実施態様64
遺伝的サインが、少なくとも4つのSNP、又は少なくとも5つのSNP、又は少なくとも7つのSNP、又は少なくとも10のSNP、又は少なくとも15のSNP、又は少なくとも20のSNP、又は少なくとも30のSNPのセットを含む、実施態様63に記載の方法。
実施態様65
各SLEリスク遺伝子座が、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、IL10、IFIH1、CFB、CLEC16A、IL12B、及びSH2B3から選択される、実施態様63に記載の方法。
実施態様66
遺伝的サインがSLEリスク遺伝子座にSNPをさらに含み、ここでSNPがrs922483(配列番号:13)であり、SLEリスク遺伝子座がBLKであり、バリエーションがヒト染色体8における染色体上の位置11389322のチミンである、実施態様63に記載の方法。
実施態様67
検出が、プライマー伸長法;対立遺伝子特異的プライマー伸長法;対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ;対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ;5’ヌクレアーゼアッセイ;分子ビーコン使用アッセイ;及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイから選択されるプロセスを実施することを含む、実施態様59から66のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】実施例1に記載される付加的なSLEリスク遺伝子座を同定するための所定のSNPの標的複製研究のための実験計画の概要を示す。
図2A】SLEにおける新規な全ゲノムでの有意な連関と実施例1に記載されるTNIP1(A)内の新規リスク遺伝子座の同定を示す。
図2B】SLEにおける新規な全ゲノムでの有意な連関と実施例1に記載されるPRDM1(B)内の新規リスク遺伝子座の同定を示す。
図2C】SLEにおける新規な全ゲノムでの有意な連関と実施例1に記載されるJAZF1(C)内の新規リスク遺伝子座の同定を示す。
図2D】SLEにおける新規な全ゲノムでの有意な連関と実施例1に記載されるUHRF1BP1(D)内の新規リスク遺伝子座の同定を示す。
図2E】SLEにおける新規な全ゲノムでの有意な連関と実施例1に記載されるIL10(E)内の新規リスク遺伝子座の同定を示す。
図2F】実施例1に記載される本症例及びコントロール複製試料における独立したSNPのP値のヒストグラム;ヌル分布下の結果の予測密度は破線により示される。
図3】実施例1に記載される最初のGWASにおけるP値により階層化されたメタアナリシスでの、候補(P<1×10−5)及び確認(P<1×10−8)状態に達する変異体の割合を示す。
図4】実施例2に記載されるBLKプロモーター領域内の連鎖不均衡ブロック(rで示す)を示す。
図5A図5は、実施例2に記載される様々なハプロタイプを有するBLKプロモーター領域のルシフェラーゼレポーター遺伝子発現アッセイの結果を示す。(A)BJAB細胞におけるSNP rs922483 C>T(配列番号:13);示されるデータは、3回のアッセイでの平均+/−平均の標準誤差を表す;スポットバーは、グラフの左側に示したハプロタイプについての結果を示す;ハッチングのバーはリスクハプロタイプ22-ACT;白抜きのバーは非リスクのハプロタイプ22-GAC;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、ns=有意でない(t検定)。図5A−Fは配列番号:15として「22(GT)反復」を開示する。また、図5C−Fは配列番号:13として「rs922483 C>T」を開示する。
図5B図5は、実施例2に記載される様々なハプロタイプを有するBLKプロモーター領域のルシフェラーゼレポーター遺伝子発現アッセイの結果を示す。(B)ダウディ細胞におけるSNP rs922483 C>T(配列番号:13);示されるデータは、3回のアッセイでの平均+/−平均の標準誤差を表す;スポットバーは、グラフの左側に示したハプロタイプについての結果を示す;ハッチングのバーはリスクハプロタイプ22-ACT;白抜きのバーは非リスクのハプロタイプ22-GAC;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、ns=有意でない(t検定)。図5A−Fは配列番号:15として「22(GT)反復」を開示する。また、図5C−Fは配列番号:13として「rs922483 C>T」を開示する。
図5C図5は、実施例2に記載される様々なハプロタイプを有するBLKプロモーター領域のルシフェラーゼレポーター遺伝子発現アッセイの結果を示す。(C)BJAB細胞におけるSNP rs1382568 A>C/G>C;示されるデータは、3回のアッセイでの平均+/−平均の標準誤差を表す;スポットバーは、グラフの左側に示したハプロタイプについての結果を示す;ハッチングのバーはリスクハプロタイプ22-ACT;白抜きのバーは非リスクのハプロタイプ22-GAC;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、ns=有意でない(t検定)。図5A−Fは配列番号:15として「22(GT)反復」を開示する。また、図5C−Fは配列番号:13として「rs922483 C>T」を開示する。
図5D図5は、実施例2に記載される様々なハプロタイプを有するBLKプロモーター領域のルシフェラーゼレポーター遺伝子発現アッセイの結果を示す。(D)ダウディ細胞におけるSNP rs1382568 A>C/G>C;示されるデータは、3回のアッセイでの平均+/−平均の標準誤差を表す;スポットバーは、グラフの左側に示したハプロタイプについての結果を示す;ハッチングのバーはリスクハプロタイプ22-ACT;白抜きのバーは非リスクのハプロタイプ22-GAC;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、ns=有意でない(t検定)。図5A−Fは配列番号:15として「22(GT)反復」を開示する。また、図5C−Fは配列番号:13として「rs922483 C>T」を開示する。
図5E図5は、実施例2に記載される様々なハプロタイプを有するBLKプロモーター領域のルシフェラーゼレポーター遺伝子発現アッセイの結果を示す。(E)BJAB細胞におけるSNP rs4840568 G>A;示されるデータは、3回のアッセイでの平均+/−平均の標準誤差を表す;スポットバーは、グラフの左側に示したハプロタイプについての結果を示す;ハッチングのバーはリスクハプロタイプ22-ACT;白抜きのバーは非リスクのハプロタイプ22-GAC;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、ns=有意でない(t検定)。図5A−Fは配列番号:15として「22(GT)反復」を開示する。また、図5C−Fは配列番号:13として「rs922483 C>T」を開示する。
図5F図5は、実施例2に記載される様々なハプロタイプを有するBLKプロモーター領域のルシフェラーゼレポーター遺伝子発現アッセイの結果を示す。(F)ダウディ細胞におけるSNP rs4840568 G>A3;示されるデータは、3回のアッセイでの平均+/−平均の標準誤差を表す;スポットバーは、グラフの左側に示したハプロタイプについての結果を示す;ハッチングのバーはリスクハプロタイプ22-ACT;白抜きのバーは非リスクのハプロタイプ22-GAC;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、ns=有意でない(t検定)。図5A−Fは配列番号:15として「22(GT)反復」を開示する。また、図5C−Fは配列番号:13として「rs922483 C>T」を開示する。
図6】実施例2に記載されるダウディ細胞における、18(GT)反復(配列番号:14)又は22(GT)反復(配列番号:15)の何れか、及びSNP rs1382568 A>C/G>Cを有するBLKプロモーター領域のルシフェラーゼレポーター遺伝子発現アッセイの結果を示す。示したデータは、2回のアッセイでの、平均+/−平均の標準誤差を表す;ns=有意でない(t検定)。図6は配列番号:14の「18(GT)反復」、配列番号:15の「22(GT)反復」、及び配列番号:13の「rs922483 C>T」を開示する。
図7】SNP、rs922483の配列(配列番号:13)、及び実施例2に記載されるBLK遺伝子座に対する原因対立遺伝子のSNP内の位置を示す。原因対立遺伝子の位置は、太字の括弧により示され;C/Tバリエーションは太字で示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の実施には、別段の記載がない限り、当業者の技量の範囲内にある分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の一般的な技術を使用する。かかる技術は、例えば"Molecular Cloning: A Laboratory Manual", 2版 (Sambrook等, 1989);"Oligonucleotide Synthesis" (M. J. Gait編, 1984);"Animal Cell Culture" (R. I. Freshney編, 1987);"Methods in Enzymology" (Academic Press, Inc.);"Current Protocols in Molecular Biology" (F. M. Ausubel等編, 1987,及び定期的改訂版);"PCR: The Polymerase Chain Reaction", (Mullis等編, 1994)のような文献で十分に説明されている。さらに、本発明で用いられるプライマー、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは当該分野で知られている標準的な技術を使用して産生せしめることができる。
【0048】
特に別に定義しない限り、ここで使用する技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。Singleton等, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2版, J. Wiley & Sons (New York, N.Y. 1994)、及びMarch, Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 4版, John Wiley & Sons (New York, N.Y. 1992)は、本願で使用される用語の多くに対する一般的な手引きを当業者に提供する。
【0049】
定義
本明細書の解釈の目的で、以下の定義が適用され、必要な場合はいつでも、単数で使用した用語には複数形も含まれ、その逆もしかりである。この明細書及び付随する請求項に使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」には、内容に他に明確に示されないならば、複数の指示対象が含まれる。よって、例えば「a protein」なる指示対象には複数のタンパク質が含まれ;「a cell」なる指示対象には細胞の混合物が含まれる。以下に示す何れかの定義が、出典明示によってここに援用された何れかの文献と矛盾する場合には、以下に記載する定義が優先する。
【0050】
ここで使用される「ループス」又は「ループス症状」は、一般に、結合組織を攻撃する抗体を伴う自己免疫性疾患又は障害である。ループスの主な形態は、全身性のもの、つまり、SLE及び亜急性皮膚SLEを含む全身性エリテマトーデス(SLE)、並びに他のタイプのループス(腎炎、腎外、脳炎、小児性、腎臓以外、円板状、及び脱毛性を含む)である。
【0051】
ここで交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを称し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド又は塩基、及び/又はそれらのアナログ、又はDNAもしくはRNAポリメラーゼによりポリマー中に取り込まれうる任意の基質でありうる。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチド及びそれらのアナログを含みうる。存在するならば、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立ての前又は後になされ得る。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分により中断されていてもよい。ポリヌクレオチドは重合後に、例えば標識成分とのコンジュゲーションにより、更に修飾されてもよい。他のタイプの修飾には、例えば「キャップ(caps)」、アナログとの自然に生じたヌクレオチドの一又は複数の置換、ヌクレオチド間修飾、例えば非荷電連結(例えばホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミダート、カルバマート等)及び荷電連結(ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート等)を有するもの、ペンダント部分、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジン等)を含むもの、インターカレーター(intercalators)を有するもの(例えばアクリジン、ソラレン等)、キレート剤を含むもの(例えば金属、放射性金属、ホウ素、酸化的金属等)、アルキル化剤を含むもの、修飾された連結を含むもの(例えばアルファアノマー核酸等)、並びにポリヌクレオチド(類)の未修飾形態が含まれる。更に、糖類中に通常存在する任意のヒドロキシル基は、例えばホスホナート基、ホスファート基で置き換えられてもよく、標準的な保護基で保護されていてもよく、又は付加的なヌクレオチドへの更なる連結を調製するように活性化されてもよく、もしくは固体支持体にコンジュゲートされていてもよい。5'及び3'末端OHはホスホリル化でき、又は1〜20の炭素原子を有するアミン又は有機キャップ基部分で置換することもできる。また他のヒドロキシルは標準的な保護基に誘導体化されうる。またポリヌクレオチドは当該分野で一般的に知られているリボース又はデオキシリボース糖類の類似形態のものをまた含み、これらには例えば2'-O-メチル-2'-O-アリル、2'-フルオロ又は2'-アジド-リボース、炭素環式糖のアナログ、α-アノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロース類又はリキソース類、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式アナログ、及び非塩基性ヌクレオシドアナログ、例えばメチルリボシドが含まれる。一又は複数のホスホジエステル連結は代替の連結基で置き換えてもよい。これらの代替の連結基には、限定されるものではないが、ホスファートがP(O)S(「チオアート」)、P(S)S(「ジチオアート」)、「(O)NR2(「アミダート」)、P(O)R、P(O)OR'、CO又はCH2(「ホルムアセタール」)と置き換えられた実施態様のものが含まれ、ここでそれぞれのR又はR'は独立して、H又は、エーテル(-O-)結合を含んでいてもよい置換もしくは未置換のアルキル(1−20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル又はアラルジルである。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同一である必要はない。先の記述は、RNA及びDNAを含むここで言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0052】
ここで使用される「オリゴヌクレオチド」とは、少なくとも約7のヌクレオチド長で、約250未満のヌクレオチド長である短い一本鎖ポリヌクレオチドを称する。オリゴヌクレオチドは合成であってもよい。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」なる用語は、相互に排他的なものではない。ポリヌクレオチドについての上の説明はオリゴヌクレオチドに等しく完全に適用可能である。
【0053】
「プライマー」なる用語は、核酸にハイブリダイズすることができ、一般的に遊離3’−OH基を提供することによって、相補的核酸のハイブリダイゼーションを可能にする一本鎖ポリヌクレオチドを称する。
【0054】
「遺伝的変異」又は「ヌクレオチド変異」なる用語は、参照配列(例えば、よく見出される及び/又は野生型の配列、及び/又は主要対立遺伝子の配列)に対するヌクレオチド配列における変化(例えば一塩基多型(SNP)等、一又は複数のヌクレオチドの挿入、欠失、反転、又は置換)を称する。該用語は、他に示さない限り、ヌクレオチド配列の相補鎖における対応する変化もまた包含する。一実施態様では、遺伝的変異は、体細胞多型である。一実施態様において、遺伝的変異は生殖系列多型である。
【0055】
「一塩基多型」又は「SNP」は、異なった対立遺伝子、又は別のヌクレオチドが集団中に存在するDNA中の一塩基位置を称する。SNPの位置は、通常は、対立遺伝子の高度に保存されている配列(例えば集団の1/100又は1/1000未満のメンバーで変動する配列)が前にありまた後に続く。個体は各SNPの位置における対立遺伝子に対してホモ接合性又はヘテロ接合性でありうる。
【0056】
「アミノ酸変異」は、参照配列に対するアミノ酸配列中の変化(例えば、一又は複数のアミノ酸の挿入、置換、又は欠失、例えば内部欠損又はN末端又はC末端トランケーション)である。
【0057】
「バリエーション」は、ヌクレオチド変異又はアミノ酸変異の何れかを称する。
【0058】
「SNPの位置に対応するヌクレオチド位置における遺伝的変異」、「SNPの位置に対応するヌクレオチド位置におけるヌクレオチド変異」なる用語及びその文法的な変形表現は、ゲノム中において前記SNPによって占められる相対的対応DNA位置におけるポリヌクレオチド配列のヌクレオチド変異を称する。該用語は、他の定義が示されない限り、ヌクレオチド配列の相補鎖における対応するバリエーションも包含する。
【0059】
「アレイ」又は「マイクロアレイ」なる用語は、基質上でのハイブリダイズ可能なアレイエレメント、好ましくはポリヌクレオチドプローブ(例えばオリゴヌクレオチド)の規則正しい整列を称する。基質は、ガラススライドなどの固体基質、又はニトロセルロースメンブレンなどの半固体基質でありうる。
【0060】
「増幅」なる用語は、参照核酸配列又はその相補鎖の一又は複数のコピーを生産するプロセスを称する。増殖は、線形的又は指数関数的(例えばPCR)でありうる。「コピー」は、鋳型配列に対する完全な配列相補性又は同一性を必ずしも意味するものではない。例えば、コピーは、ヌクレオチドアナログ、例えばデオキシイノシン、意図的な配列変化(例えば鋳型に完全には相補的ではないがハイブリダイズすることができる配列を含んでなるプライマーにより導入される配列変化)及び/又は増幅中に起こる配列エラーを含みうる。
【0061】
「対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド」なる用語は、ヌクレオチド変異(一般には置換)を含む標的核酸の領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを称する。「対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション」は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドがその標的核酸にハイブリダイズされるときに、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド中のヌクレオチドがヌクレオチド変異と塩基対を特異的に形成することをを意味する。特定のヌクレオチド変異に対して対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションが可能な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドはその変異「に対して特異的」であると言われる。
【0062】
「対立遺伝子特異的プライマー」なる用語は、プライマーである対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを称する。
【0063】
「プライマー伸長アッセイ」なる用語は、ヌクレオチドが核酸に付加され、直接的又は間接的に検出される、より長い核酸又は「伸長産物」を生じるアッセイを称する。ヌクレオチドは核酸の5'又は3'末端を伸長するように付加されうる。
【0064】
「対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ」なる用語は、プライマーが(a)ヌクレオチド変異の3'又は5'の領域で標的核酸にハイブリダイズし、(b)ポリメラーゼにより伸長されることにより、ヌクレオチド変異に相補的なヌクレオチドが伸長産物に取り込まれるプライマー伸長アッセイを称する。
【0065】
「対立遺伝子特異的プライマー伸長アッセイ」なる用語は、対立遺伝子特異的プライマーが標的核酸にハイブリダイズして伸長されるプライマー伸長アッセイを称する。
【0066】
「対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ」なる用語は、(a)対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドが標的核酸にハイブリダイズされ、(b)ハイブリダイゼーションが直接的又は間接的に検出される、アッセイを称する。
【0067】
「5’ヌクレアーゼアッセイ」なる用語は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドの標的核酸へのハイブリダイゼーションにより、ハイブリダイズされたプローブの核酸分解切断が起こり、検出可能なシグナルが生じるアッセイを称する。
【0068】
「分子ビーコンを用いたアッセイ」なる用語は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドの標的核酸へのハイブリダイゼーションが、遊離オリゴヌクレオチドから発せられる検出シグナルレベルよりも高い検出シグナルレベルを生じるアッセイを称する。
【0069】
「オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ」なる用語は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドが標的核酸上で互いに隣接してハイブリダイズし、(直接又は介在性ヌクレオチドを通して間接的に)共にライゲートし、ライゲーション産物が直接的又は間接的に検出されるアッセイを称する。
【0070】
「標的配列」、「標的核酸」又は「標的核酸配列」なる用語は、一般的に、ヌクレオチド変異が存在すると推測されるか、又は存在することが知られている対象のポリヌクレオチドを称し、増幅により生成されるかかる標的核酸のコピーも含む。
【0071】
「検出」なる用語は、直接的及び間接的な検出を含む検出する任意の手段を含む。
【0072】
「SLEリスク遺伝子座」及び「確認されたSLEリスク遺伝子座」なる用語は、表4及び表6に示された遺伝子座、及びBLK遺伝子座の任意の一つを称する。
【0073】
「SLEリスク対立遺伝子」及び「確認されたSLEリスク対立遺伝子」なる用語は、SLEリスク遺伝子座で起こっている変異を称する。このような変異は、一塩基多型、挿入、及び欠失を含むが、これだけに限定される訳ではない。所定の例示的なSLEリスク対立遺伝子を表4及び表6に示す。
【0074】
ここで使用される場合、ループスを発症する「リスクがある」被検体は、検出可能な疾患又は疾患の症状を有していても有していなくてもよく、ここに記載の治療方法の前に検出可能な疾患又は疾患の症状を示していても示していなくてもよい。「リスクがある」とは被検体が一又は複数の危険因子を有することを示し、ここに記載され、当該分野で知られているように、該危険因子はループスの発症と相関している測定可能なパラメーターである。これらの危険因子の一又は複数を有する被検体は、これらの危険因子の一又は複数を持たない被検体より、ループスを発症する可能性が高い。
【0075】
「診断」なる用語は、分子又は病的状態、疾患又は状態の同定又は分類を称するためにここでは用いられる。例えば、「診断」は特定のタイプのループス症状、例えばSLEの同定を称する。また、「診断」は、例えば組織/臓器の関与により(例えばループス腎炎)、分子的特徴による(例えば特定の遺伝子又は核酸領域内の遺伝的変異(群)によって特徴付けられる患者亜集団)、ループスの特定のサブタイプの分類を称する。
【0076】
「診断を助ける」なる用語は、ループスの症状や状態の特定のタイプの存在、又は性質に関する臨床上の決定を支援する方法を称するために用いられる。例えば、ループスの診断を助ける方法は、個体からの生体試料中における一又は複数のSLEリスク遺伝子座又はSLEリスク対立遺伝子の存在を測定すること含みうる。
【0077】
「予後」なる用語は、ループスのような自己免疫性疾患の例えば再発、再燃、及び薬剤耐性を含む自己免疫性疾患に起因し得る疾患症状の可能性の予測を称するためにここで用いられる。「予測」なる用語は、患者が薬剤又は薬剤セットに対して有利に又は不利に応答する可能性を称するためにここでは用いられる。
【0078】
ここで使用される「治療」とは、治療される個体又は細胞の自然の経過を変化させる試みにおける臨床的介入を称し、臨床病理経過中又はその前に実施することができる。治療の所望する効果には、疾患又はその状態ないし症状の発症又は再発の予防、疾患の状態ないし症状の緩和、疾病の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の低減、疾病の進行速度の低減、病状の回復又は緩和、及び寛解の達成又は予後の改善が含まれる。いくつかの実施態様では、本発明の方法及び組成物は疾患又は障害の発達を遅らせるために有用である。
【0079】
「有効量」とは、所望される治療的又は予防的結果を達成するのに必要な期間、必要な用量での有効量を称する。個体に所望する反応を引き出すための治療剤の「治療的有効量」は、病状、年齢、性別、個体の体重、及び抗体の能力等の要因に応じて変わり得る。また、治療的有効量とは、治療剤の任意の毒性又は有害な影響を、治療的に有益な効果が上回る量でもある。「予防的有効量」は、所望する予防的結果を達成するのに必要な期間、用量で有効な量を称する。必ずではないが、典型的には、予防的用量は、疾病の前又は初期の段階に患者に使用されるために、予防的有効量は治療的有効量よりも少ない。
【0080】
「個体」、「被検体」又は「患者」は脊椎動物である。ある実施態様では、脊椎動物は哺乳動物である。哺乳動物には、これに限定されないが、霊長類(ヒト及び非ヒト霊長類を含む)及び齧歯類(例えばマウス及びラット)が含まれる。ある実施態様では、哺乳動物はヒトである。
【0081】
ここで使用される場合、「患者亜集団」及びその文法上の変形は、疾患が属する広範な疾患カテゴリーにおいて他の者から患者サブセットを区別する一又は複数の典型的な測定可能な及び/又は識別可能な特徴を有することに特徴がある患者サブセットを称する。このような特徴には、疾患サブカテゴリー(例えばSLE、ループス腎炎)、性別、生活習慣、病歴、関与する臓器/組織、治療歴などが含まれる。
【0082】
「コントロール被検体」はループスである又はループス症状ではないと診断されており、ループス又はループス症状に関係するの何らかの兆候もしくは症状に侵されていない健康な被検体を称する。
【0083】
ここで使用される「試料」なる用語は、例えば理学的、生化学的、化学的及び/又は生理学的特徴に基づいて特性を示す及び/又は同定される、細胞実体及び/又は他の分子実体を含有する対象とする被検体から得られる、又は対象とする被検体由来の組成物を称する。例えば、「生物学的試料」又は「疾患試料」なる表現及びこの変形は、特徴付けられている細胞実体及び/又は分子実体を含むことが予測される、又はそうであることが知られている対象の被検体から得た任意の試料を意味する。
【0084】
「組織又は細胞の試料」は、被検体又は患者の組織から採取された同種の細胞の集まりを意味する。組織又は細胞試料の供給源は、新鮮な、凍結された及び/又は保存されていた臓器や組織の試料又は生検又は吸引による固形組織;血液又はいずれかの血液成分;大脳脊髄液、羊水、腹水又は間質液などの体液;被検体の妊娠期又は発生期の任意の時期の細胞であってもよい。また、組織試料は原発性又は培養した細胞又は細胞株であってもよい。場合によっては、組織又は細胞の試料は罹患組織/臓器から得られる。組織試料は、防腐剤、抗凝血物質、バッファー、固定液、栄養分、抗生物質など天然の組織にはもともと混在していない化合物を含んでもよい。ここで使用される「参照試料」、「参照細胞」、「参照組織」、「コントロール試料」、「コントロール細胞」又は「コントロール組織」は、本発明の方法又は組成物が同定するために用いられている疾患又は状態に罹患していないことがわかっているか、又は考えられている供給源から採取した試料、細胞又は組織を称する。一実施態様では、参照試料、参照細胞、参照組織、コントロール試料、コントロール細胞又はコントロール組織は、本発明の組成物又は方法によって疾患又は状態が同定される被検体又は患者と同じ身体の健康な部分から採取される。一実施態様では、参照試料、参照細胞、参照組織、コントロール試料、コントロール細胞又はコントロール組織は、本発明の組成物又は方法によって疾患又は状態が同定される被検体又は患者でない個体の身体の健康な部分から採取される。
【0085】
ここでの目的のために、組織試料の「切断部分(切片)」とは、組織試料の一部又は一片、例えば組織試料から切り出した組織又は細胞の一薄片を意味する。本発明が、組織試料の同じ切断部分が形態学的及び分子的レベルで分析されるか、又はタンパク質及び核酸の両方に関して分析される方法を含む場合に、組織試料の複数の切断部分が採取され、本発明に係る分析に供されてもよいと理解される。
【0086】
「相関」又は「相関する」は、任意の方法で、第一の分析又はプロトコルの成績及び/又は結果を、第二の分析又はプロトコルの成績及び/又は結果と比較することを意味する。例えば、第二のプロトコルを行う際に第一の分析又はプロトコルの結果を用いてもよいし、及び/又は第一の分析又はプロトコルの結果を用いて、第二の分析又はプロトコルを行うかどうかを決定してもよい。遺伝子発現分析又はプロトコルの実施態様に関し、遺伝子発現分析又はプロトコルの結果を用いて、特定の治療投薬計画を実行するかどうかを決定してもよい。
【0087】
ここで使用される場合、「標識」なる言葉は、核酸プローブや抗体などの試薬に直接的又は間接的にコンジュゲートないしは融合され、コンジュゲートないしは融合した試薬の検出を容易にする化合物又は組成物を称する。標識自体が検出可能なもの(例えば放射性標識又は蛍光性標識)であってもよく、酵素標識の場合、検出可能な基質化合物ないしは組成物の化学的変化を触媒するものであってもよい。
【0088】
「医薬」は、疾患、障害及び/又は状態を治療するために活性な薬剤である。一実施態様では、疾患、障害及び/又は状態は、ループス又はその症状又は副作用である。
【0089】
本発明に従って用いられる場合、特定の治療剤又は治療選択に対する「耐性の増加」なる用語は、薬剤の標準的な用量又は標準的な治療手順に対する応答の減少を意味する。
【0090】
本発明に従って用いられる場合、特定の治療剤又は治療選択に対する「感受性の減少」なる用語は、薬剤の標準的な用量又は標準的な治療手順に対する応答の減少を意味し、この応答の減少は薬剤の用量や治療の強度を増やすことによって、(少なくとも部分的に)補われうるものである。
【0091】
被検体の「患者応答」及びその変形は、限定するものではないが以下のものを含む患者に利益を示す任意のエンドポイントを使用して評価できる。(1)緩徐化及び完全な停止を含む、ある程度の疾患進行の阻害;(2)疾患出現及び/又は症状の数の減少;(3)病変サイズの減少;(4)近接する末梢器官及び/又は組織への疾患細胞浸潤の阻害(すなわち減少、緩徐化又は完全な停止);(5)疾患の拡がりの阻害(すなわち減少、緩徐化又は完全な停止);(6)必ずではないが疾患病変の退縮又は除去が生じ得る自己免疫応答の減少;(7)障害と関連する一又は複数の症状の、ある程度の軽減;(8)治療後の無症候期間の増加;及び/又は(9)治療後の特定の時点での死亡率の減少。
【0092】
ここで使用される「ループス治療剤」、「ループスを治療するために有効な治療的薬剤」及びこれらの文法上の変形は、臨床医によって有効な量で施された場合にループスを有する被検体に治療上の有益をもたらすことがわかっているか、臨床上示されるか、又はそうであることが期待される薬剤を称する。一実施態様では、このフレーズには、有効な量で施された場合にループスを有する被検体に治療上の効果をもたらすことが期待される臨床上許容される薬剤として、製造業者によって販売される、さもなくば有資格臨床医によって用いられる任意の薬剤が含まれる。一実施態様では、ループス治療剤には、アセチルサルチル酸(例えばアスピリン)、イブプロフェン(モトリン)、ナプロキセン(Naprosyn)、インドメタシン(インドシン)、ナブメトン(Relafen)、トルメチン(Tolectin)を含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、並びに治療上同等な活性成分(一又は複数)及びその製剤を含む任意の他の実施態様が含まれる。一実施態様では、ループス治療剤には、アセトアミノフェン(例えばタイルノール)、副腎皮質ステロイド又は抗マラリア薬(例えばクロロキン、ヒドロキシクロロキン)が含まれる。一実施態様では、ループス治療剤には、免疫調節性薬剤(例えばアザチオプリン、シクロホスファミド、メトトレキセート、シクロスポリン)が含まれる。一実施態様では、ループス治療剤は、抗B細胞薬剤(例えば抗CD20(例えばリツキシマブ)、抗CD22)、抗サイトカイン薬剤(例えば抗腫瘍壊死因子α、抗インターロイキン1レセプター(例えばアナキンラ)、抗インターロイキン10、抗インターロイキン6レセプター、抗インターフェロンα、抗B-リンパ球刺激因子)、同時刺激のインヒビター(例えば抗CD154、CTLA4-Ig(例えばアバタセプト))、B細胞アネルギーのモジュレーター(例えばLJP394(例えばアベチムス(abetimus))である。一実施態様では、ループス治療剤には、ホルモン治療(例えばDHEA)および抗ホルモン療法(例えば抗プロラクチン薬剤ブロモクリプチン)が含まれる。一実施態様では、ループス治療剤は、免疫吸着を提供する薬剤、抗補体因子(例えば抗C5a)、T細胞ワクチン、T細胞レセプターゼータ鎖による細胞形質移入、またはペプチド療法(例えば、抗DNAイディオタイプを標的とするedratide)である。
【0093】
ここで使用される、「販売承認」がある治療剤、又は「治療剤として承認され」ている治療剤、又はその文法上の変形は、関係政府団体(例えば、連邦、州ないしは地方の管理機関、部門、局)により、特定の疾患(例えばループス)又は患者亜集団(例えばループス腎炎を有する患者、特定の民族性、性別、生活習慣、疾患リスク性質などを有する患者)の治療のために、ある商業団体(例えば営利団体)によって、及び/又は該団体を介して、及び/又は該団体の代わりに販売されることが承認、許諾、登録又は権限を与えられている(例えば薬剤製剤、医薬の形態の)薬剤を称する。関連する政府独立団体には、例えば、食品・医薬品局(FDA)、欧州医薬品審査庁(EMEA)およびその同等団体が含まれる。
【0094】
「抗体」(Ab)及び「免疫グロブリン」(Ig)は、類似の構造的特徴を有する糖タンパク質を称する。抗体は、特定の抗原に対して結合特異性を示すが、免疫グロブリンは、抗体と、一般に抗原特異性を欠く抗体様分子の双方を含む。後者の種類のポリペプチドは、例えばリンパ系では低レベルで、骨髄腫では高レベルで産出される。
【0095】
「抗体」及び「免疫グロブリン」なる用語は、最も広義で相互に交換可能に使用され、モノクローナル抗体(例えば、全長又は無傷のモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、一価抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば、所望の生物活性を示す限り二重特異性抗体)が含まれ、さらにある種の抗体断片(ここに詳細に記載されるもの)も含まれ得る。抗体は、キメラ、ヒト、ヒト化及び/又は親和成熟したものであってよい。
【0096】
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、ここでは交換可能に使用され、実質的にインタクトな形態の抗体を称し、以下に定義するような抗体断片は称さない。この用語は、特にFc領域を含む重鎖を有する抗体を称する。
【0097】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部、好ましくはその抗原結合領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab')、及びFv断片;ダイアボディ(diabodies);直鎖状抗体;単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。
【0098】
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、その各々は単一の抗原結合部位を持ち、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc」断片と命名される。ペプシン処理はF(ab')断片を生じ、それは2つの抗原結合部位を持ち、抗原を交差結合することができる。
【0099】
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含む最小抗体断片である。ある実施態様では、二本鎖Fv種は、堅固な非共有結合をなした一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。集合的に、Fvの6つのCDRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
【0100】
またFab断片は、重鎖及び軽鎖の可変ドメインを含み、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常領域(CH1)を有する。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に数個の残基が付加している点でFab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が一つの遊離チオール基を担持しているFab'に対するここでの命名である。F(ab')抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生産された。また、抗体断片の他の化学結合も知られている。
【0101】
ここで使用される「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を称し、すなわち、集団に含まれる個々の抗体は、少量で存在しうる可能性がある変異、例えば自然に生じる突然変異を除いて同一である。従って、「モノクローナル」との形容は、個別の抗体の混合物ではないという抗体の性質を示す。ある実施態様では、このようなモノクローナル抗体は、通常、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、この場合、標的に結合するポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列から単一の標的結合ポリペプチド配列を選択することを含むプロセスにより得られる。例えば、この選択プロセスは、雑種細胞クローン、ファージクローン又は組換えDNAクローンのプールのような複数のクローンからの、唯一のクローンの選択とすることができる。選択された標的結合配列を更に変化させることにより、例えば標的への親和性の向上、標的結合配列のヒト化、細胞培養液中におけるその産生の向上、インビボでの免疫原性の低減、多選択性抗体の生成等が可能になり、並びに、変化させた標的結合配列を含む抗体も、本発明のモノクローナル抗体であることを理解すべきである。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体の調製物とは異なり、モノクローナル抗体の調製物の各モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体の調製物は、それらが他の免疫グロブリンで通常汚染されていないという点で有利である。
【0102】
「モノクローナル」との形容は、抗体の、実質的に均一な抗体の集団から得られたものであるという特性を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないこと解釈されるものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は様々な技術によって作製することができ、それらの技術には、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler等, Nature, 256:495 (1975);Harlow等, Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988);Hammerling等: Monoclonal Antibodies and T-Cell hybridomas 563-681 (Elsevier, N. Y., 1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clackson等, Nature, 352:624-628 (1991);Marks等, J. Mol. Biol. 222:581-597 (1992);Sidhu等, J. Mol. Biol. 338(2): 299-310 (2004);Lee等, J. Mol. Biol. 340(5);1073-1093 (2004);Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004);及びLee等, J. Immounol. Methods 284(1-2): 119-132 (2004))、並びに、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の一部又は全部、或るいはヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子を有する動物にヒト又はヒト様抗体を生成する技術(例えば、国際公開第98/24893号;国際公開第96/34096号;国際公開第96/33735号;国際公開第91/10741号;Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 2551 (1993);Jakobovits等, Nature 362: 255-258 (1993);Bruggemann等, Year in Immunol. 7:33 (1993);米国特許第5545807号;同第5545806号;同第5569825号;同第5625126号;同第5633425号;同第5661016号; Marks等, Bio.Technology 10: 779-783 (1992);Lonberg等, Nature 368: 856-859 (1994);Morrison, Nature 368: 812-813 (1994);Fishwild等, Nature Biotechnol. 14: 845-851 (1996);Neuberger, Nature Biotechnol. 14: 826 (1996)及びLonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93 (1995)参照)が含まれる。
【0103】
ここでモノクローナル抗体は、特に「キメラ」抗体を含み、それは特定の種由来又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体において、対応する配列に一致する又は類似する重鎖及び/又は軽鎖の一部であり、残りの鎖は、所望の生物学的活性を表す限り、抗体断片のように他の種由来又は他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体において、対応する配列に一致するか又は類似するものである(米国特許第4816567号;及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855(1984))。
【0104】
非ヒト(例えばマウス)の抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。一実施態様では、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は所望の特異性、親和性及び/又は能力を有する非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)からの高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。例として、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、もしくはドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性をさらに洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質的に全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFRが、ヒト免疫グロブリン配列のものである少なくとも一又は典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。また、ヒト化抗体は、場合によっては免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部も含む。さらなる詳細については、Jones等, Nature 321:522-525(1986);Riechmann等, Nature 332:323-329(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596(1992)を参照のこと。また次の文献とそこに引用されている文献を参考のこと:Vaswani及びHamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1:105-115 (1998);Harris, Biochem. Soc. Transactions 23:1035-1038 (1995);Hurle及びGross, Curr. Op. Biotech. 5:428-433 (1994)。
【0105】
「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含むもの、及び/又はここに開示されたヒト抗体を作製する任意の技術を使用して製造されたものである。そのような技術には、ファージディスプレイのようなヒト由来組み合わせライブラリーのスクリーニング(例えば、Marks等, J. Mol. Biol., 222: 581-597 (1991)及びHoogenboom等, Nucl. Acids Res., 19: 4133-4137 (1991)参照);ヒトモノクローナル抗体産生のためのヒトミエローマ及びマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株の使用(例えば、Kozbor J. Immunol., 133: 3001 (1984);Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987)及びBoerner等, J. Immunol., 147: 86 (1991)参照);及び内因性の免疫グロブリンを産生しない、ヒト抗体の完全なレパートリーを産生可能なトランスジェニック動物(例えばマウス)におけるモノクローナル抗体の生成(例えば、Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci USA, 90: 2551 (1993);Jakobovits等, Nature, 362: 255 (1993);Bruggermann等, Year in Immunol., 7: 33 (1993)参照)が含まれる。ヒト抗体のこの定義は、特に非ヒト動物由来の抗原結合残基を含むヒト化抗体を除く。
【0106】
「親和成熟」抗体とは、その改変を有していない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じさせる、その一又は複数のCDRにおいて一又は複数の改変を持つものである。一実施態様では、親和成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性を有する。親和成熟抗体は、当該分野において知られている手順によって生産される。Marks等, Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和成熟について記載している。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘導は、Barbas等, Proc Nat Acad. Sci, USA 91:3809-3813(1994);Schier等, Gene, 169:147-155(1995);Yelton等, J. Immunol.155:1994-2004(1995);Jackson等, J. Immunol.154(7):3310-9(1995);及びHawkins等, J. Mol. Biol.226:889-896(1992)に記載されている。
【0107】
「阻止(ブロック)抗体」又は「アンタゴニスト抗体」は、結合する抗原の生物学的活性を阻害するか又は低下させる抗体である。特定の阻止抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を、部分的又は完全に阻害する。
【0108】
「小分子」又は「有機小分子」は、ここでは500ダルトン以下の分子量を有する有機分子と定義される。
【0109】
ここで用いられる単語「標識」は、検出可能な化合物又は組成物を意味する。標識は、それ自体(例えば放射性同位元素標識又は蛍光標識)が検出可能であってもよく、酵素的な標識においては検出可能な生成物を生じる基質化合物又は組成物の触媒化学変化であってもよい。検出可能な標識としての機能を果たす放射性核種には、例えばI−131、I−123、I−125、Y−90、Re−188、Re−186、At−211、Cu−67、Bi−212及びPd−109が含まれる。
【0110】
核酸、ポリペプチド又は抗体のような「単離された」生物学的分子は、少なくとも1つの自然環境の構成成分から同定及び分離、及び/又は回収されたものである。
【0111】
ここでの「およそ」の値又はパラメーターをいう場合、その値又はパラメーター自体に関する実施態様を含む(記載する)。例えば、「およそX」との記載には「X」の記載が含まれる。
【0112】
一般的技術
ループスに関連するヌクレオチド変異がここでは提供される。これらの変異は、ループスのバイオマーカーを提供し、及び/又は、ループスの発症、持続及び/又は進行の素因となり又は寄与する。従って、ここに開示される発明は、例えばループスの診断及び治療に関する方法及び組成物における様々な設定において有用である。
【0113】
ある実施態様において、本方法は、予後、すなわちループスのような自己免疫性疾患の例えば再発、再燃、及び薬剤耐性を含む自己免疫性疾患に起因し得る疾患症状の可能性の予測に関する。一実施態様において、予測はそれらの応答性の程度に関する。一実施態様において、予測は、例えば特定の治療的薬剤による治療、及び疾患の再発を伴わない一定期間の治療の後に患者が生存しているか改善しているかどうか、及び/又はその可能性に関する。本発明の予測方法は、任意の特定の患者のために最も好適な治療様式を選択することによって、治療決定を臨床的に行うことができる。本発明の予測方法は、患者が、治療投薬計画、例えば特定の治療剤や組み合わせの投与、外科的介入、ステロイド治療などを含む特定の治療投薬計画に有利に応答するかどうか、又は治療投薬計画の後に患者が長期に生存しているかどうかを予測する際の有用なツールである。SLEの診断は、現在の米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)(ACR)判定基準に従ってもよい。活動中の疾患は、1つのイギリス諸島ループス活動性グループ(British Isles Lupus Activity Group)(BILAG)の「A」判定基準又は2つのBILAG「B」判定基準によって定められてもよい。SLEを診断するために用いられるいくつかの兆候、症状又は他の指標(出典:Tan等 "The Revised Criteria for the Classification of SLE" Arth Rheum 25 (1982))は、頬にわたる発疹などの頬部発疹、円板状(ジスコイド)発疹、又は赤い隆起したパッチ、日光に対する反応のような光線過敏症、結果として生じる皮膚発疹の発症又は増加、鼻又は口内の潰瘍のような口腔内潰瘍(通常痛くない)、関節炎、例として2以上の末梢関節を伴う非びらん性関節炎(関節のまわりの骨が破壊されない関節炎)、漿膜炎、胸膜炎又は心膜炎、尿中の過剰タンパク質などの腎臓疾患(0.5gm/日より多い又は試験スティックにおいて3+)及び/又は細胞性キャスト(尿及び/又は白血球及び/又は尿細管細胞から得られる異常な成分)、神経学的兆候、症状又は他の指標、発作(痙攣)、及び/又は引き起こすことがわかっている代謝性障害又は薬剤がない場合の精神異常、及び溶血性貧血又は白血球減少症(1立方ミリメートルにつき4000細胞未満の白血球数)又はリンパ球減少症(1立方ミリメートルにつき1500未満)又は血小板減少(1立方ミリメートルにつき100000未満の血小板)などの血液学的兆候、症状又は他の指標であってもよい。白血球減少症及びリンパ球減少症は一般に二以上の原因で検出されるはずである。血小板減少症は一般に、それを誘導することが知られている薬剤がない場合に検出されるはずである。本発明はループスのこれらの兆候、症状又は他の指標に限定されるものではない。
【0114】
遺伝的変異の検出
上記の方法の何れかに係る核酸は、ゲノムDNA;ゲノムDNAから転写されるRNA;又はRNAから産生されるcDNAでありうる。核酸は、脊椎動物、例えば哺乳動物に由来しうる。核酸は、その供給源から直接得られる場合、又はそれがその供給源に見出される核酸のコピーである場合、特定の供給源「に由来する(から誘導された)」という。
【0115】
核酸は、核酸のコピー、例えば増幅により生じるコピーを含む。例えば、変異を検出するための材料の所望量を得るために、ある状況下では、増幅が望ましいことがある。ついで、アンプリコンに、変異がアンプリコン内に存在するかどうか決定するために、以下に記載するもののような変異検査法を施してもよい。
【0116】
変異は、当業者に知られた所定の方法によって検出されうる。かかる方法は、DNA配列決定、対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ及び対立遺伝子特異的プライマー伸長アッセイ(例えば、対立遺伝子特異的PCR、対立遺伝子特異的ライゲーション連鎖反応(LCR)、及びgap−LCR)を含むプライマー伸長アッセイ;対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイ(例えばオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ);切断剤からの保護を核酸二重鎖のミスマッチ塩基を検出するために用いる切断保護アッセイ;MutSタンパク質結合の分析;変異体及び野生型核酸分子の可動性を比較する電気泳動的解析;変性勾配ゲル電気泳動(DGGE、例えばMyers等 (1985) Nature 313:495に記載);ミスマッチ塩基対のRNアーゼ切断の分析;ヘテロ二重鎖DNAの化学的又は酵素による切断の分析;マススペクトル分析(例えばMALDI−TOF);遺伝子のビット分析(GBA);5’ヌクレアーゼアッセイ(例えばTaqMan(登録商標));及び分子ビーコンを用いたアッセイを含むが、これに限定されるものではない。これらの方法の所定のものは、以下に更に詳細に検討する。
【0117】
標的核酸変異の検出は、その分野で公知の技術を用いて、標的核酸分子クローニング及び配列決定により達成され得る。あるいは、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)のような増幅技術を、腫瘍組織のゲノムDNA標本から直接標的核酸配列を増幅するために用いることができる。増幅された配列の核酸配列が決定され、変異が同定される。増幅技術はその分野で公知であり、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応はSaiki等, Science 239:487, 1988;米国特許第4683203号及び同第4683195号において記載される。
【0118】
その分野で公知であるリガーゼ連鎖反応もまた、標的核酸配列を増幅するために用いることができる。Wu等, Genomics 4:560-569 (1989)参照。さらに対立遺伝子特異的PCRとして公知の技術もまた、変異(例えば置換)を検出するために用いることができる。Ruano and Kidd (1989) Nucleic Acids Research 17:8392; McClay等 (2002) Analytical Biochem. 301:200-206参照。この技術のある実施態様において、対立遺伝子特異的プライマーを用いることができ、そのプライマーの3’末端ヌクレオチドは標的核酸における特定の変異に相補的である(すなわち、特異的に塩基対合できる)。特定の変異がない場合、増幅産物は観察されない。Amplification Refractory Mutation System(ARMS)もまた、変異(例えば置換)を検出するために用いることができる。ARMSは、例えば、欧州特許出願公開0332435及びNewton等, Nucleic Acids Research, 17:7, 1989において記載される。
【0119】
変異(例えば置換)を検出するために有用な他の方法は(1)単一塩基伸長アッセイなどの対立遺伝子特異的ヌクレオチド取り込みアッセイ(例えば、Chen等 (2000) Genome Res. 10: 549-557;Fan等 (2000) Genome Res. 10: 853-860;Pastinen等 (1997) Genome Res. 7: 606-614;及びYe等 (2001) Hum. Mut. 17: 305-316)参照);(2)対立遺伝子特異的PCRを含む対立遺伝子特異的プライマー伸長アッセイ(Ye等 (2001) Hum. Mut. 17: 305-316;及びShen等 Genetic Engineering News, vol. 23, Mar. 15, 2003参照);(3)5’ヌクレアーゼアッセイ(De La Vega等 (2002) BioTechniques 32:S48-S54(TaqMan(登録商標)アッセイを記載); Ranade等 (2001) Genome Res. 11: 1262-1268;及びShi (2001) Clin. Chem. 47:164-172参照);(4)分子ビーコンを用いるアッセイ(例えば、Tyagi等 (1998) Nature Biotech. 16:49-53;及びMhlanga等 (2001) Methods 25:463-71参照);及び、(5)オリゴヌクレオチド・ライゲーション・アッセイ(例えば、Grossman等 (1994) Nuc. Acids Res. 22: 4527-4534;米国特許出願公開US2003/0119004A1;PCT国際公開WO01/92579A2;及び米国特許第6027889号参照)を含むが、これに限定されるものではない。
【0120】
変異は、ミスマッチ検出法によってもまた検出され得る。ミスマッチは、100%相補的でないハイブリダイズされた二本鎖核酸である。完全な相補性の欠如は、欠失、挿入、逆転又は置換に起因している場合がある。ミスマッチ検出法の1つの例は、例えば、Faham等, Proc. Natl Acad. Sci. USA 102:14717-14722 (2005)及びFaham等, Hum. Mol. Genet. 10:1657-1664 (2001)において記載されるMismatch Repair Detection(MRD)アッセイである。他のミスマッチ切断技術の例は、RNアーゼ保護法であり、Winter等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:7575, 1985及びMyers等, Science 230:1242, 1985においてその詳細が記載される。例えば、本発明の方法は、ヒト野生型標的核酸に相補的な標識化されたリボプローブを用いてもよい。組織試料の由来される標的核酸及びリボプローブは、共にアニール(ハイブリダイズ)され、二本鎖RNA構造におけるいくつかのミスマッチを検出することが可能な酵素RNアーゼAによってその後消化される。ミスマッチがRNアーゼAによって検出されると、ミスマッチの部位で切断される。従って、アニールされたRNA標本が電気泳動的ゲルマトリックスに分離され、ミスマッチが検出されてRNアーゼAによって切断された場合、リボプローブ及びmRNAもしくはDNAに対して全長二本鎖RNAより小さいRNA産物が確認される。リボプローブは、標的核酸の完全長である必要はなく、それが変異を有すると推測される位置を含むならば標的核酸の一部であってもよい。
【0121】
これと同様の方法で、例えば酵素的もしくは化学的な切断を通して、ミスマッチを検出するためにDNAプローブを用いることができる。例えば、Cotton等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:4397, 1988;及びShenk等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 72:989, 1975参照。あるいは、ミスマッチは、マッチする二本鎖と比較して、ミスマッチ二本鎖の電気泳動易動度の変動によって検出することができる。例えば、Cariello, Human Genetics, 42:726, 1988参照。変異を含むと推測される標的核酸は、リボプローブ又はDNAプローブのいずれかにより、ハイブリダイゼーションの前に増幅されてもよい。特に標的核酸の変化が、大きな再配列、例えば欠失及び挿入である場合、その変化はサザンハイブリダイゼーションを用いても検出できる。
【0122】
標的核酸又は周囲のマーカー遺伝子に対する制限断片長多形性(RFLP)プローブを、変異、例えば挿入又は欠失の検出に用いることができる。挿入及び欠失を、標的核酸のクローニング、配列決定及び増幅により検出することができる。一本鎖DNA高次構造多型(SSCP)分析もまた、対立遺伝子の塩基変化変異体の検出に用いることができる。例えば、Orita等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2766-2770, 1989及びGenomics, 5:874-879, 1989参照。
【0123】
マイクロアレイは、高緊縮条件下で、cDNA又はcRNA試料等とハイブリダイズさせるために、整列させた数千シリーズの核酸プローブを典型的には使用するマルチプレックス技術である。プローブ-標的ハイブリダイゼーションは、標的中の核酸配列の相対量を測定するために、典型的にはフルオロフォア-、銀-、又は化学発光標識された標的を検出することにより、検出され、定量される。典型的なマイクロアレイにおいて、プローブは化学マトリックス(エポキシ-シラン、アミノ-シラン、リジン、ポリアクリルアミド又はその他を介して)に共有結合することにより、固体表面に付着する。固体表面は、例えばガラス、シリコンチップ、又は顕微鏡用ビーズである。例えば Affymetrix, Inc. 及びIllumina, Incにより製造されたものを含む、種々のマイクロアレイが商業的に入手可能である。
【0124】
生物学的試料は当業者に知られた所定の方法を使用して得ることができる。生物学的試料は、脊椎動物、特に哺乳動物から得ることができる。腫瘍組織の代表的な片を得るために組織バイオプシーがしばしば使用される。別法では、腫瘍細胞は、興味のある腫瘍細胞を含むことが知られているか含むと思われる組織又は液体の形態で間接的に得ることができる。例えば、肺癌病変部の試料は、切除術、気管支鏡検査法、細針吸引、気管支擦過によって、あるいは痰、肋膜体液又は血液から採取されてもよい。標的核酸(又はコードされたポリペプチド)中の変異は、腫瘍試料から、あるいは尿、痰又は血清などの他の身体試料から検出されうる。(癌細胞は腫瘍から脱離させられ、そのような身体試料中に見られる。)そのような身体組織をスクリーニングすることによって、癌のような疾患のために簡便で迅速な診断法が達成されうる。加えて、治療の経過は、そのような身体試料を標的核酸(又はコードされたポリペプチド)中の変異について試験することによって、より容易にモニターされうる。加えて、腫瘍細胞の組織調製物を濃縮する方法が当該分野で知られている。例えば、組織をパラフィン又はクリオスタット切片から単離することができる。癌細胞はまたフローサイトメトリー又はレーザーキャプチャー法によって正常細胞からまた分離することができる。
【0125】
被検体、又は組織又は細胞試料がここに開示された遺伝的変異を含むことが決定された後、有効量の適切なループス治療剤を被検体に投与して被検体中のループス症状を治療することができる。ここに記載された様々な病理症状の哺乳動物における診断は、当業者によってなすことができる。例えば哺乳動物におけるループスの診断又は検出に対して許容される診断技術は当該分野において利用可能である。
【0126】
ループス治療剤は、既知の方法に従い、例えばボーラスとしての静脈内投与、又は一定期間にわたる連続的な注入、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、骨液内、くも膜腔内、経口、局所的、又は吸入経路により投与され得る。場合によっては、投与は、様々な市販の装置を使用するミニポンプ注入によって実施することもできる。
【0127】
ループス治療薬を投与するための有効用量及び投与計画は経験的に決定されてもよく、このような決定は当業者の技量の範囲内である。単一又は複数用量が使用されうる。例えば、単独で用いられるインターフェロンインヒビターの有効用量又は有効量は1日につき約1mg/kgから約100mg/kg体重又はそれ以上の範囲でありうる。用量の種間のスケーリングは例えばMordenti等, Pharmaceut. Res., 8:1351 (1991)に開示されるような当該分野で知られている方法で実施されうる。
【0128】
ループス治療剤のインビボ投与が用いられる場合、通常の用量は、投与経路に応じて、約10ng/kgから100mg/kg(哺乳動物体重)日又はそれ以上、好ましくは約1μg/kg/日から10mg/kg/日であってもよい。特定の用量及びデリバリーの方法に関する手引きは文献に提供されている;例えば、米国特許第4657760号、同第5206344号、又は同第5225212号を参照のこと。異なる製剤が異なる治療化合物及び異なる疾患に対して効果的であり、器官又は組織を標的とする投与は例えば他の器官又は組織に対するものとは異なった形でのデリバリーを必要としうることが予想される。
【0129】
また更なる療法を該方法に用いることができることが考慮される。一又は複数の他の療法には、問題の障害のためのステロイド投与や他の標準的な治療計画が含まれるがこれらに限定されるものではない。例えば目標とするループス治療剤とは異なる薬剤としてそのような他の療法が使用されうることが考えられる。
【0130】
キット
上記され又は先に提案された用途での使用のために、キット又は製造品も提供される。このようなキットは、バイアル、チューブなどのような一又は複数の容器手段を密に閉じ込めて収容するように区画化されている運搬手段を含み得、容器手段の各々は該方法で使用される別個の手段の一つを含む。例えば、容器手段の一つは、標識されているか又は検出可能に標識されうるプローブを含みうる。そのようなプローブは、SLEリスク遺伝子座を含むポリヌクレオチドに対して特異的なポリヌクレオチドでありうる。キットが標的核酸を検出するために核酸ハイブリダイゼーションを利用する場合、キットは、標的核酸配列の増幅のためのヌクレオチドを収容する容器、及び/又は酵素、蛍光又は放射性標識などのリポーター分子に結合した、アビジン又はストレプトアビジンなどのビオチン結合タンパク質のようなレポーター手段を含む容器を有していてもよい。
【0131】
キットは、典型的には、上述の容器と、商業的及び使用者の観点からみて望ましい材料、例えばバッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用のための指示書を有するパッケージ挿入物を収容する一又は複数のその他の容器を具備する。特定の治療又は非治療的用途に組成物が使用されることを示すラベルが容器上にあってもよく、またそのラベルは上述したもののようにインビボ用途又はインビトロ用途の何れかについての指示を示すものであってもよい。
【0132】
キット中の他の任意成分には、一又は複数のバッファー(例えばブロックバッファー、洗浄バッファー、基質バッファーなど)、酵素標識によって化学的に変化する基質などの他の試薬(例えば色素原)、エピトープ探索溶液、コントロール試料(ポジティブコントロール及び/又はネガティブコントロール)、コントロールスライドなどがある。付加的な成分は、例えば限定されるものではないが、ヌクレアーゼ、リガーゼ、又はポリメラーゼを含む酵素である。
【0133】
マーケティング方法
また、本発明には、ループス治療剤、又はその薬学的に許容可能な組成物の販売方法であって、標的とする相手に対し、採取した試料がここに開示される遺伝子バリエーションの存在を示すループスを有する患者又は患者の集団の治療に、本薬剤又は本薬剤の薬学的組成物の使用を促す、指示する、及び/又は明確に述べることを含む方法が提供される。
【0134】
マーケティングは、通常、スポンサーが特定されてメッセージが制御される非個人的媒体を通した有料の通信である。ここでの目的のために行われるマーケティングには、公報、広告、製品の提供、後援、引受業務、及び販売促進が含まれる。この用語はまた大衆に訴えて、ここでの発明の購入、後援、又は承認の好ましいパターンに向かって、説得、通知、促進、動機付け又はそれ以外の方法で行動させるように設計された任意の活字媒体に現れるスポンサーがついた情報の告知を含む。
【0135】
診断方法のマーケティングは何れの手段で達成されてもよい。これらのメッセージを伝えるために使用されるマーケティング媒体の例には、テレビ、ラジオ、映画、雑誌、新聞、インターネット及び看板が含まれ、電波媒体に登場するメッセージであるコマーシャルも含まれる。
【0136】
使用されるマーケティングの種類は、多くの要因、例えば、病院、保険会社、診療所、医師、看護師、及び患者等の標的とする相手の性質、並びに経費の考慮、及び医薬と診断の販売を規定する関連の法律及び規則に依存する。サービスのやりとり、及び/又はユーザーの人口統計及び所在地のようなその他のデータによって規定されるユーザーの特徴に基づいて、マーケティングを個別化又はカスタマイズしてもよい。
【0137】
以下は、本発明の方法及び組成物の例である。上の一般的な記述が提供されていれば、様々な他の実施態様が実施されうることが理解される。
【実施例】
【0138】
実施例を通して、所定の刊行物への言及は、実施例のセクションの終わりに完全な書誌的情報を示す番号によって示す。
【0139】
実施例1
新規なSLEリスク遺伝子座の同定
方法及び被検体
被検体
SLE症例の選別及び遺伝子タイピング、全ゲノム連関スキャン(GWAS)に使用される試料並びにニューヨークヘルスプロジェクト(NYHP)コレクション(Mitchell等, J Urban Health 81(2):301-10 (2004))からのコントロールは先に記載された(Hom等, N Engl J Med 358(9):900-9 (2008))。以下に詳述するように、SLE症例は、3つの症例シリーズから構成された:a) NIH/NIAMSが資金供給した管理機関である自己免疫性バイオマーカー協力ネットワーク(ABCoN:Autoimmune Biomarkers Collaborative Network)(Bauer等, PLoS medicine 3(12):e491 (2006))から338の症例、及び複数自己免疫性疾患遺伝子共同体(MADGC:Multiple Autoimmune Disease Genetics Consortium)(Criswell等, Am J Hum Genet 76(4):561-71 (2005))から141の症例;b) カリフォルニアサンフランシスコ大学(UCSF)ループス遺伝子プロジェクト(Seligman等, Arthritis Rheum 44(3):618-25 (2001);Remmers等, N Engl J Med 357(10):977-86 (2007))から613の症例、及び;c) ピッツバーグメディカルセンター大学(UPMC)(Demirci等, Ann Hum Genet 71(Pt 3):308-11 (2007))から335の症例とファインスタインメディカルリサーチ研究所で集められた8の症例。コントロールは1861のNYHPコレクションからの試料、公的に利用できるiControlDBデータベース(Illumina Inc.から入手可能)からの1722の試料、及び公的に利用できる国際癌研究所癌遺伝子マーカーの感受性(CGEMS)National Cancer Institute Cancer Genetic Markers of Susceptibility プロジェクト(URL:cgems.cancer.govで入手可能)からの4564の試料であった。
【0140】
1310のSLE症例及び7859のコントロールの全ゲノムデータセット
我々は過去にSLE症例試料の選択と遺伝子タイピングを記載した(Hom等, N Engl J Med 358(9):900-9 (2008))。全SLE症例は自己報告に加え遺伝子タイピングによって確かめられたヨーロッパ系の北アメリカ人であった。SLEの診断(米国リウマチ学会(ACR)規定の判定基準 [Hochberg等, Arthritis Rheum 40(9):1725[1997]の4以上の達成)は、医療記録検査(94%)又は治療するリウマチ専門医(6%)による文書での判定基準によって全症例において確認された。これらの症例のための臨床データは他に提示した(Seligman等, Arthritis Rheum 44(3):618-25 (2001);Criswell等, Am J Hum Genet 76(4):561-71 (2005);Bauer等, PLoS medicine 3(12):e491 (2006);Demirci等, Ann Hum Genet 71(Pt 3):308-11 (2007);Remmers等, N Engl J Med 357(10):977-86 (2007))。NYHP試料の遺伝子タイピング及び選別は前述した(Hom等, N Engl J Med 358(9):900-9 (2008))。表1には、場所により組織化された提供された試料の数が記載されている。
【0141】
試料及びSNPフィルタリングは以下に記載されるソフトフェアプログラムPLINK及びEIGENSTRAT内の解析モジュールを使用して実施した(またPurcell等, Am J Hum Genet 81(3):559-75 (2007);Price等, Nat Genet 38(8):904-09 (2006)を参照)。この研究では、症例及びコントロールの密接なマッチングを容易にするために、また確認され疑われたSLE遺伝子座における遺伝子型を提供するために、全ゲノムSNPデータを使用した。
【0142】
記載された全ゲノム連関スキャンからの試料 (Hom, G等, N Engl J Med 358:900-9 (2008))。プロファイルSLEコンソーシアム(PROFILE SLE consortium)、カリフォルニア・サンフランシスコ大学(UCSF)(Thorburn, C.M等, Genes Immun 8:279-87 (2007)) 、ピッツバーグ・メディカルセンター大学(UPMC)、ミネソタ大学(UMN)、及びジョンズホプキンス大学(JHU)から引き出された合衆国コホートからの独立したSLE症例。ニューヨークヘルスプロジェクト(Gregersen等)からの合衆国コントロール、及びピッツバーグ大学及びNCRADからのアルツハイマー症例及びコントロール。ストックホルム、カロリンスカ、ソルナ、ウプサラ、ランド及びウーメオ、スウェーデンからのSLE症例及びコントロール。ストックホルムからの823のコントロールを、イルミナ(Illumina)317Kアレイを使用して遺伝子タイピングした。これらの試料におけるSNPを、本方法に記載したようにして帰属させ、分析した。
【0143】
カスタムSNPアレイ
以下に記載された品質管理基準をパスした10848のSNPでカスタムアレイを設計した。完全なアレイは12864のSNPを有していたが、2016のSNPが品質管理基準を通らず、10848のSNPが分析に進んだ。カスタムアレイは、SLE全ゲノム連関スキャンにおける名目上P<0.05に基づいて選択された3188のSNPと、25の過去に報告されたSLEリスク遺伝子座からの505のSNPと、他の自己免疫疾患から確認されたリスク対立遺伝子について文献探索後に選択された42のSNPと、人口部分構造の確認及びコントロールに使用される7113のSNPから構成された。後者のグループは、大陸の人口差を定めるために使用されたSNP(Kosoy, R等, Hum. Mutat. 30:69-78 (2009))及びヨーロッパ人口部分構造に対してリッチ化されたSNP(Tian, C等, PLoS Genet 4, e4 (2008))を含んでいた。カスタムアレイは、そのiSelect Custom BeadChip及び以下に記載される品質管理フィルターをパスしたSNPに対して与えたrs同定数を使用してイルミナ社(Illumina, Inc.)により製造された。
【0144】
品質管理及びインピュテーション
合衆国のデータでは、全体で1464の合衆国症例と3078の合衆国コントロールを、カスタム12Kチップともここでは呼ばれる上述のカスタムイルミナチップで遺伝子タイピングした。我々は、ストリンジェントな品質管理(QC)条件を使用し、高品質データが、最終分析に確実に含まれるようにした。すなわち、我々は、>5%の欠けているデータを有する116の個体を除外し、b)潜在的連関性に基づいた279の個体、及び州毎の同一性(IBS)状態(PI Hat>0.15)に基づく複製試料を除外した。我々は、a)<5%の欠けているデータ、b)ハーディー・ワインベルグ平衡(HWE)p値>1×10−6、c)微量の対立遺伝子頻度(MAF)>0.01%、及びd)症例とコントロールとの間の差次的欠損に対する検定において、p値>1×10−5を有するSNPのみを含めた。また、SNPをバッチ効果について検査した。上記フィルターの適用後、1144の症例と3003のコントロール、及び11024のSNPの最終セットを分析に利用することができた。PLINKを使用して全てのQC検定を実施した(Purcell等, Am J Hum Genet 81(3):559-75 (2007))。
【0145】
スウェーデンのデータでは、カスタム12Kチップで遺伝子タイピングされた888の症例と527のコントロールを分析に使用できた。また、イルミナ社の317KヒトHapMapビーズアレイ(ここでは317Kアレイとも称される)で遺伝子タイピングされた1115のスウェーデンコントロールの別のセットも、分析に導入した。我々は次の工程に従って二つのデータセットを組み合わせた。第1に、12K及び317Kデータの間の6789SNPの重複データセットを作成した。我々はこのデータセットを使用し、潜在的連関性と複製試料についてスウェーデンの複製コホートを調べた。その結果、313の試料を除外した(PI Hat>0.15)。品質管理チェックの後、我々は、カスタム12Kチップにおいて遺伝子タイピングされた863の症例と523のコントロール、及び317Lイルミナチップで遺伝子タイピングされた831のコントロールを分析に進めた。第2に、我々は、317Kアレイを用いて遺伝子タイピングされた831のスウェーデンコントロールをインピュテートし(以下参照)、重複SNPのより大きなセットを作成した。残ったSNPから、我々は、インピュテーションにより4605のSNPを捕捉した。11394の重複SNPの最終セットを分析に進めた。我々は、上述したものと同じ閾値を使用してこのデータセットにおいてSNPをフィルターにかけた。インピュテーションにより捕捉されなかった残りの1250のSNPを、12Kチップで遺伝子タイピングされたスウェーデン試料の最初のセットにおいてのみ分析した。
【0146】
317Kアレイで遺伝子タイピングされた831のスウェーデンコントロールを、参照として第II相HapMap CEU試料を使用するMACH(URL sph.umich.edu/csg/abecasis/MACHで利用されるハプロタイピングソフトウェアプログラムをベースにしたマルコフ鎖)を用いてインピュートした。第II相HapMap CEUは、「第II相」データリリースからの北及び西ヨーロッパ(CEU)の祖先を有するUtahレジデントとして知られているヒトハプロタイププロジェクトからの試料に言及する(またLi等. Am J Hum Genet S79 at 2290 (2006)を参照)。インピュテーションの前、我々は、317KのSNPにストリンジェントな品質管理チェックを適用した。次の基準(1)MAF>1%、(2)欠損率<5%、及び(3)HWE p値>1×10−6を通過した293242のマーカーのサブセットをインピュテーションに含めた。インピュテーション後、低いインピュテーション品質、すなわちMACHにより報告されたR−二乗_Hat(RSQR_HAT)<0.40のSNPを廃棄した。11394のマーカーの重複セットを分析に利用できた。インピュテーションにおける不確実性を考慮に入れるために、遺伝子型判定よりもむしろ確率スコアを分析において使用した。
【0147】
全ゲノム連関研究試料のインピュテーションでは、メタアナリシスで使用された遺伝子型データは、イルミナ550K全ゲノムSNPプラットフォームを用いて遺伝子タイピングされた1310のSLE症例からであった(Hom, G等, N Engl J Med 358:900-9 (2008)参照)。SLE症例の試料の選択及び遺伝子タイピングは先に記載された(Hom, G等, N Engl J Med 358:900-9 (2008))。先に記載された3583のコントロール(Hom, G等, N Engl J Med 358:900-9 (2008))に加えて、公的に利用できる癌遺伝子感受性マーカー(Cancer Genetic Markers of Susceptibility)(CGEMS)プロジェクトからの4564のコントロール試料を、承認を得た後に含めた(URL:cgems.cancer.govで入手可能)。7859のコントロールの全試料を、先に記載したデータ品質管理フィルターを使用して検査した(Hom, G等, N Engl J Med 358:900-9 (2008))。我々は次にIMPUTEバージョン1を使用し ( URL www.stats.ox.ac..uk/~marchini/software/gwas/impute.htmlで入手可能)、参照としてHapMap第II相CEU試料を使用して遺伝子タイピングを推察した(Marchini, J等, Nat. Genet. 39:906-913 (2007))。我々はSNPTEST(URL www.stats.ox.ac.uk/~marchini/software/gwas/snptest_v1.1.4.htmlで入手可能)を使用し、連関統計を作成した(Marchini, J等, Nat. Genet. 39:906-913 (2007))。特に、連関統計は付加的なモデル(−SNPTESTにおけるFrequentist1オプション)を使用して作成し、インピュートされた遺伝子型の不確実性に対して調節した(−SNPTESTにおける適切なオプション)。連関統計の順位リストを使用し、記載されたように複製に対する領域を選択した。
【0148】
複製試料における集団層別化
各複製コホートについて、我々は、祖先情報マーカを使用して可能な集団層別化を修正した。ストリンジェントな品質管理基準をパスした5486の相関していない祖先情報マーカーのサブセットを使用し、ソフトウェアEIGENSTRATを用いて、遺伝的変異の上位10の主成分を推察した(Price等, Nat Genet 38(8):904-09 (2006))。各試料セットから外れ値を除去した(σ>6として定義)。すなわち、我々は合衆国コホートから27の遺伝的外れ値を、スウェーデンコホートから45の外れ値をそれぞれ除去した。第1の2の固有ベクトルに沿って、合衆国及びスウェーデンの複製コレクションの双方に、ある程度の集団層別化が観察された。症例−コントロール層別化に対して修正するために、我々は、次の方法の一つを使用した:(1)我々は、遺伝子型データが利用可能であれば、合衆国の複製データセット及びスウェーデンのデータセットに、EIGENSTRATに導入されたコクラン-アーミテージ検定統計量の修正を適用した;(2)我々はインピュートされたスウェーデンデータの分析に、ロジスティック回帰モデルにおける共変数として主成分を使用した。
【0149】
連関分析
合衆国データについて、検定統計量におけるいくつかのインフレーションが、連関性に対して未修正1-自由度の対立遺伝子検定を実施した後に観察された(PLINK [Purcell, S等. Am J Hum Genet 81:559-75 (2007)])。合衆国試料における集団層別化について修正するために、5486の相関していない祖先情報マーカーを使用する主成分分析(EIGENSTRAT)を実施した。第1に、我々は遺伝的外れ値を除去した(σ>6として定義)。第2に、コクラン-アーミテージ傾向のカイ二乗検定統計量を、1129の症例及び2991のコントロールにおいて、遺伝子タイピングされたSNPについて算出し、第1の4つの固有ベクトルを使用してEIGENSTRATにおいて、各SNPの検定統計値を調節した。各SNPについての検定統計量をベースにした両側p値を算出した。集団層別化の修正後、合衆国試料におけるλgcは1.05であった。
【0150】
スウェーデンデータについて、我々は、12K試料並びに付加的なイルミナ317Kコントロールにおいて遺伝子タイピングされた5486の祖先情報マーカーを使用し、スウェーデンコホートの隠し集団層別化を試験した。遺伝的外れ値を除去した後、我々は、カスタム12Kチップにおいて遺伝子タイピングされた834の症例及び515のコントロール、及びイルミナ317Kチップにおいて遺伝子タイピングされた832のコントロールを有していた。我々は、2つのイルミナアレイの間の6789のSNPの重複セットにおいて、EIGENSTRATにて実行される検定統計の修正を使用した。EIGENSTRATは、インピュートされた遺伝子タイピングデータを用いて使用されることを意図していないために、12K試料において遺伝子タイピングされた4605のSNPのセットで層別化を修正し、イルミナ317K試料にインピュートするため、我々は、SNPTESTにて実行されるロジスティック回帰モデルにおける共変数として、上で決定された第1の4つの固有ベクトルを使用した。イルミナ317Kにインピュートすることにより捕捉されない1250のマーカーの小さなセットを、カスタム12Kチップにおいて遺伝子タイピングされた834の症例及び515のコントロールでのみ分析した。集団層別化について修正した後、スウェーデン試料におけるλgcは1.10であった。
【0151】
メタアナリシス
我々は加重zスコア法を使用してメタアナリシスを実施した。異なるコホートにわたる結果を組合せるために、ヒトゲノムの対立遺伝子を、C/G及びA/T SNPに関連した曖昧さを回避するために、国立生物工学情報センター(NCBI)の36参照配列の順方向ストランドに配向させた。ヒトゲノムのNCBI参照配列は、URL www.ncbi.nlm.nih.govから入手可能である。また、Pruitt等, Nucl. Acids Res. 35 (データーベース号):D61-D65 (2007)を参照。各コホートに対するP値を、任意の参照対立遺伝子に対して効果の方向を考慮してzスコアに転換させた。加重したzスコアの合計を、各コホートの試料サイズの平方根により、各zスコアを加重し、ついで、全試料サイズの平方根で合計を割ることにより算出した。スウェーデン及び合衆国の複製コホートに対する組合せzスコアを、片側p値に転換させた。メタアナリシスzスコアを両側p値に転換させ、連関性の証拠を評価した。我々は、5×10−8の閾値を通過したSNPが、SLEと圧倒的に関連していると考えた。全ゲノム有意性をパスしなかった1×10−5未満の組合せp値を有する遺伝子座は、強力な候補であると考えた。自由に入手可能なMETALソフトウェアパッケージ(URL www.sph.umich.edu/csg/abecasis/Metalで入手可能)を使用し、メタアナリシス法を実施した。プールされたオッズ比を算出するために、我々は、METALソフトウェアにより実行されるコクラン-マントル-ヘンチェル(CMH)法を使用した.オッズ比を、各SNPに対するリスク対立遺伝子に対して算出した。また、コントロールにおける加重平均対立遺伝子頻度を、各SNPのリスク対立遺伝子に対して算出した。
【0152】
説明された分散パーセント(Percent Variance Explained)
我々の複製研究において1×10−5未満のメタp値を有するSNPと、SLEに以前から関連しているSNPについて、我々は、説明された分散パーセントを算出した。SLEが、平均0及び分散1で正規分布している基礎的傾向スコアを有すると仮定する傾向閾値モデルを使用した。我々は、母集団においてSLEの有病率は0.1%と仮定した。各遺伝子型の閾値を算出するために、我々は、コントロールにおける対立遺伝子頻度と、我々の分析からのオッズ比(OR)に対応する効果量(エフェクトサイズ)を使用した。
【0153】
交互作用分析(Interaction Analysis)
トップシグナル間のエピスタシス効果を探すために、我々は表2、4及び6の全てのSNPのリストをコンパイルし、PLINKにおいて実行されるエピスタシスオプションを使用し、各複製コホートにおいて交互作用分析を実施した。より大きな統計的検出力を達成するために、我々は症例のみの分析(case-only analysis)を実施した。検定の数を修正した後、いずれのSNP-SNP交互作用も、p<0.05のレベルでの有意性は見出されなかった。
【0154】
条件付き分析(Conditional Analysis)
SLEとの強い連関性を示す各ゲノム領域において、我々は最も強いシグナルを示すSNPを選択した。我々はこのSNPにおける条件に対してPLINKを使用し、SLEとの強い連関性を示す他のSNPを探した。
【0155】
全身性エリテマトーデスの新規リスク遺伝子座としての、TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10を同定する大規模複製研究
近年の全ゲノム関連(GWA)及び候補遺伝子研究にて、全ゲノム有意性(P<5×10−8)を達成する、少なくとも15の共通リスク対立遺伝子を同定する。これらには、自己抗体の適応免疫及び生成にとって重要な遺伝子(HLAクラスII対立遺伝子、BLK、PTPN22、及びBANK1)、及び先天免疫及びインターフェロンシグナル伝達における役割を担っている遺伝子(ITGAM、TNFAIP3、STAT4、及びIRF5) (Cunninghame Graham, D.S等, Nat. Genet. 40:83-89 (2008);Graham, R.R等, Nat. Genet. 40(9):1059-61 (2008);Graham, R.R等, J Intern Med 265:680-88 (2009);Harley, J.B等, Nat. Genet. 40:204-10 (2008);Hom, G等, N Engl J Med 358:900-9 (2008);Kozyrev, S.V等, Nat. Genet. 40:211-6 (2008);Sawalha, A.H等, PLoS ONE 3:e1727 (2008);Sigurdsson, S等, Am J Hum Genet 76:528-37 (2005))が含まれる。付加的なリスク遺伝子座の同定を、我々は、1310の症例及び7859のコントロールの最新GWAS75において、名目上P値<0.05を示す2466の遺伝子座からのSNPの標的複製研究にて実施した。また我々は、25の過去に報告されたSLEリスク遺伝子座からのSNP、他の自己免疫疾患に関連している35の遺伝子座からの42のSNP、及び7000超の祖先情報マーカーを遺伝子タイピングした。実験の設計の概説を図1に示す。上述したSNPをイルミナカスタムSNPアレイに導入した。合衆国及びスウェーデンからの独立した症例及びコントロールにおいて、アレイを遺伝子タイピングした。823のスウェーデンコントロールをイルミナ310K SNPアレイを使用して遺伝子タイピングし、上の方法で記載されたようにして変異体を分析した。
【0156】
特に、上述したように、我々は>12000の変異体からなるカスタムSNPアレイを設計し、アメリカ合衆国(1129のSLE症例、及び2991のコントロール)及びスウェーデン(834のSLE症例及び1338のコントロール)からの、2つの独立したSLE症例及びコントロール集団を遺伝子タイピングした。合衆国コントロールは、2215のアルツハイマー病の症例/コントロール試料を含み、SLE及びアルツハイマーの遺伝的部分構造が独立していることが予期されるため、コントロールとして許容可能であると思われる。次に、データ品質フィルターを適用し、実施性に乏しい試料及びSNPの人口外れ値、及び複製/血縁にある個体を除去した(上の方法を参照)。これらの品質管理基準に従って、10848のSNPの最終セットを、図1に示したようにして試験した。3735の変異体についての連関統計を算出し、7113の祖先情報マーカーを使用して集団層別化に対して修正した(上の方法を参照)。
【0157】
最初に、我々は、SLEと関連することが過去に報告されている25の変異体(23の遺伝子座から)を試験した(表2を参照)。さらに我々は、現在の組合せデータセットにおいて全ゲノム有意性(P<5×10−8)に達した9の遺伝子座を含む21の変異体(P<0.05)についての連関性の証拠を見出した。全ゲノム有意性の結果は、HLAクラスII DR3(DRB10301)、IRF5、TNFAIP3、BLK、STAT4、ITGAM、PTPN22、PHRF1(KIAA1542)、及びTNFSF4(OX40L)であった。分析により、9の遺伝子座からの変異体についての付加的な証拠が提供され、そこでは単一の以前の研究で、全ゲノムの有意性レベルが報告されている:HLADR2、TNFAIP3(rs6920220)、BANK1、ATG5、PTTG1、PXK、FCGR2A、UBE2L3、及びIRAK1/MECP2)。
【0158】
初期の候補遺伝子研究では、SLEについての可能性のあるリスク対立遺伝子として、MECP2が同定された(Sawalha, A.H等, PLoS ONE 3:e1727 (2008))。しかしながら、現在のデータセットでは、IRAK1近傍のSNP、MECP2周囲の連鎖不均衡の同定領域内に位置し、シグナル伝達する、トール様レセプター7及び9についての重要遺伝子が、連関性の最も強い証拠を示した。同様の発見が最近報告されており(Jacob, C.O等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2009))、IRAK1/MECP2遺伝子座における関連した対立遺伝子を決定するためのさらなる研究が必要となるであろう。さらに我々は、3つの遺伝子座 - TYK2、ICA1及びNMNAT2−全ゲノムレベルで連関性の証拠はないが、以前から有意性が示されている−についての連関性の証拠を見出した(Harley, J.B等, Nat. Genet. 40:204-10 (2008);Sigurdsson, S等, Am J Hum Genet 76:528-37 (2005))。4つの以前より関連していた変異体−LYN、SCUBE1、TLR5及びLY9−は、組合せデータセットにおいて、連関性についての何の証拠も観察されていない。
【0159】
新規なSLEリスク遺伝子座を同定するために、我々は、1310のSLE症例及び7859のコントロールの拡張セットにおいて遺伝子タイピングされた502033のSNPを含んでいた我々の全ゲノムデータセット(Hom, G等, N Engl J Med 358, 900-9 (2008))において、SLEに対して連関性の証拠が示した2446の異なる遺伝子座から計3188のSNPを調べた。このデータセットを使用し、我々は、参照として第II相HapMap CEU試料を使用し、変異体を>2.1にインピュートし(上の方法を参照)、連関統計の順位リストを作成した。P<0.05の変異体をカスタム複製アレイへの可能な含有のために選択した。効果的な遺伝子タイピングのために、我々は相関する変異体の群を同定し (r>0.2)、ついで、各群から少なくとも2のSNPを選択し、ここで最も低いP値は<0.001であった。残った群について、群中の最も低いP値を有するSNPを含めた。複製試料において、我々は連関統計(本方法を参照)を算出し、予期されるヌル分布に対する複製結果の有意なリッチ化を観察した。過去に報告されたSLEリスク対立遺伝子を除外すると、P<0.05(予想64、P=2×10−15)を有する134の遺伝子座、及びP<0.001(予想1、P=1×10−9)を有する12の遺伝子座が存在し、真のポジティブの存在が示唆された。
【0160】
図2A−2Eのそれぞれには、TNIP1(図2A)、PRDM1(図2B)、JAZF1(図2C)、UHRF1BP1(図2D)、及びIL−10(図2E)で定まる遺伝子座を囲む500kb領域内のx軸上のゲノム位置に対してy軸上にプロットされた全ゲノム連関性スキャンからの連関性結果が示されている。最も連関性のあるマーカーについてのメタアナリシスP値は、図2A−2Eのそれぞれにおいて塗り潰された四角により示される。図2A−2Fの各々について、ゲノムスキャンからのP値は、全ゲノム関連変異体に対するLDを示すようにマークされている:点描の円はr>0.8;破線の円はr2>0.5;縞状の円はr>0.2;白抜きの円はr<0.2を示す。図2A−2Eの底部に沿って、CEU HapMapからの組換え率(黒の実線)及び既知のヒト遺伝子を各プロットの下に示した。図2B(PRDM1)では、ATG5遺伝子近傍の過去に報告され、独立したSLEリスク遺伝子座(rs2245214)を黒い実線の円で示した。図2Fは、1963の症例及び4329のコントロール複製試料における1256の独立したSNP(アレイ中の任意の他のSNPに対してr<0.1)のP値のヒストグラムを示す。ヌル分布下、結果の予期された密度は図2Fに破線で示される。図2Fに示されるように、P<0.05未満の結果の有意なリッチ化が観察された。
【0161】
従って、複製研究では、有意性(P<5×10−8)について全ゲノム閾値を越えた組合せP値を有する5つの新規SLEリスク遺伝子座:TNIP1、PRDM1、JAZF1、UHRF1BP1、及びIL10が同定された。これらと他の遺伝子座に対する詳細の統計的連関性を以下の表4に示す。
【0162】
TNF-アルファ誘導性タンパク質3(TNFAIP3)交互作用タンパク質1(TNIP1)のイントロン内に存在する5q33.1上の変異体rs7708392は、3つ全てのコホートにおいてSLEと有意に連関しており、組合せP=3.8×10−13図2A)を有していた。TNIP1近傍の変異体は、近年、乾癬のリスクの原因であることが見出されているが(Nair, R.P等, Nat Genet 41:199-204 (2009))、SLE及び乾癬変異体は21Kbだけ離れており、異なる遺伝的シグナルであると思われる(r=0.001)。TNIP1及びTNFAIP3は交互作用するタンパク質であるが(Heyninck, K.等, FEBS Lett 536:135-40 (2003))、TNFAIP3の調節におけるTNIP1の正確な役割は知られていない。SLE(Graham, R.R等, Nat. Genet. 40(9):1059-61 (2008), Musone, S.L等, Nat. Genet. 40(9):1062-64 (2008))、関節リウマチ(Plenge, R.M等, Nat Genet 39:1477-82 (2007))、乾癬(Nair, R.P等, Nat Genet 41:199-204 (2009))及びI型糖尿病 (Fung, E.Y等, Genes Immun 10:188-91 (2009))とのTNFAIP3近傍の複数の区別される変異体の連関は、この経路が自己免疫疾患の調節において重要な役割を有することを示唆している。
【0163】
第2の確認されたリスク変異体(rs6568431、P=7.12×10−10)は、ZNFドメイン(PRDM1、BLIMP1としても知られている)及びAPG5オートファジー5-様(ATG5)と、PRドメイン含有1との間の遺伝子間領域に同定された。rs6568431でのシグナルは、rs6568431がrs2245214と共にr<0.1を有し、rs2245214が、rs6568431が導入された条件付きロジスティック回帰後、SLE(P<1×10−5)との有意な相関性を保持しているため、ATG5、rs2245214(Harley, J.B等, Nat Genet 40:204-10 (2008))(表4を参照)内の過去に報告されているSLEリスク対立遺伝子とは異なると思われる(図2B)。
【0164】
他のジンクフィンガー遺伝子1との並置体(JAZF1)のプロモーター領域は、第3の新規に確認されたSLE遺伝子座(rs849142、P=1.54×10−9)(図2C)である。興味あることに、この同じ変異体は2型糖尿病(Zeggini, E等, Nat Genet 40:638-45 (2008))のリスクと、高さの差異(Johansson, A等, Hum Mol Genet 18:373-80 (2009))に以前から関連していた。JAZF1近傍の別の前立腺癌対立遺伝子rs10486567(Thomas, G等, Nat Genet 40:310-5 (2008))は現在の研究では連関性の証拠を示さなかった。
【0165】
SLEにおける第4の新規リスク遺伝子座は、ICBP90結合タンパク質1(UHRFBP1、rs11755393、P=2.22×10−8)の非同義対立遺伝子(R454Q)により定まる(図2D)。この対立遺伝子は、複数の経路に関連した転写及びメチル化因子である、UHRF1の推定結合パートナーにおける非保存的アミノ酸変化である(Arita, K.等, Nature 455:818-21 (2008))。UHRFBP1リスク対立遺伝子は、伸長した連鎖不均衡の領域内にあり、SLE自己抗体によってしばしば標的とされるRNAプロセシング複合体の一部である小核リボヌクレオタンパク質ポリペプチドC(SNPRC)を含む複数の遺伝子を包含する。
【0166】
同定された第5の新規のSLE遺伝子座はインターロイキン-10(IL10;rs3024505、P=3.95×10−8)(図2E)である。IL10は、免疫応答をダウンレギュレートするように機能する重要な免疫調節サイトカインであり(Diveu, C等, Curr Opin Immunol 20:663-8 (2008))、IL10の変異はSLEに関連していることが報告されている(Nath, S.K等, Hum Genet 118:225-34 (2005))。SLEに関連した変異体は潰瘍性大腸炎(Franke, A等, Nat Genet 40:1319-23 (2008))及びI型糖尿病(Barrett, J.C等. , Nature Genetics 41:703 - 707 (2009))に対するリスクの原因として最近同定されているSNPと同一であり、これらの疾患におけるIL10経路での共有病態生理学の可能性が示唆される。
【0167】
組合せた複製試料におけるP<1×10−5の有意な閾値を使用し、我々は、21の付加的なSLE候補リスク遺伝子座を同定した(表4)。P<1×10−5を有する1未満の遺伝子座(0.01)がメタアナリシスのヌル分布(P=8×10−77)下で予想され、これらの遺伝子座のいくつかが真のポジティブ遺伝子座である可能性があることが示唆される。このリストにおける関心ある候補遺伝子は:a)先のGWASに関係し、そのファミリーメンバーIRF5及びIRF7が確認されたSLEリスク遺伝子座内にあるインターフェロン調節因子8(IRF8)(Graham, R.R等, Nat. Genet. 40(9):1059-61 (2008));b)TAOキナーゼ3(TAOK3)、つまりリンパ球で発現するキナーゼのミスセンス対立遺伝子(rs428073、N47S);c)リソソーム輸送レギュレーター(LYST)、つまりヒトにおけるチェディアック-東症候群、リンパ増殖性疾患により特徴付けられる複合疾患の原因となる変異、;及びd)インターロイキン12レセプター、ベータ2(IL12RB2)、IL23R及びSERPBP1を含む遺伝子座であるが、自己免疫疾患、炎症性腸疾患、乾癬及び強直性脊椎炎で報告されているIL23R変異体とは異なると思われるものを含む(Duerr, R.H等, Science 314:1461-3 (2006))。
【0168】
最近のGWA研究の顕著な特徴は、異なった複合疾患間で共有される多数の重複遺伝子座である(Zhernakova, A等, Nat Rev Genet 10:43-55 (2009))。我々は、SLEと連関する自己免疫疾患リスク対立遺伝子として過去に報告されている35の遺伝子座からの42の変異体を試験した(表6及び7)。単一の遺伝子座は未調節のP値<5×10−8を有していないが、我々は、連関対立遺伝子のリッチ化を見出した。検定した35の遺伝子座から(42の全変異体)、未調節のP<0.0004(偶然予期された1未満の結果、P=4.4×10−12)、及び35の前もって特定された遺伝子座に対するボンフェローニ補正後、P<0.05を有する5つの対立遺伝子が存在した。5つの変異体のそれぞれについて、SLE関連対立遺伝子は過去に報告された対立遺伝子にマッチし、同じ方向の効果を有している(表6)。我々はI型糖尿病及びグレーブス病(Smyth, D.J等, Nat Genet 38:617-9 (2006);Sutherland, A等, J Clin Endocrinol Metab 92:3338-41 (2007))と過去に関連していたIFIH1(rs1990760、P=3.3×10−7)のミスセンス対立遺伝子の高度に有意な連関性を観察した。また、我々は、HLAクラスIII領域に存在し、加齢黄斑変性の検証されたリスク対立遺伝子である補体因子B(CFB、rs641153)のミスセンス対立遺伝子(R32Q)との連関性も観察した(Gold, B等, Nat Genet 38:458-62 (2006))。SLEリスク対立遺伝子は、SLEに関連した他のHLA領域変異体(DR2/DR3)と有意な連鎖不均衡(LD)ではなく、DR2及びDR3を導入した条件付きロジスティック回帰分析後に有意なままであった。HLAは複合遺伝的領域であるが、SNP rs641153の対立遺伝子が、報告されたAMDリスク対立遺伝子とほぼ同一の保護効果を有していることは印象的である(Gold, B等, Nat Genet 38:458-62 (2006))。5つの候補疾患対立遺伝子のさらなる研究が示される。
【0169】
また、表7は、他の自己免疫疾患で同定されている42の変異体について詳細な要約統計値を提供する。関心あることに、他の自己免疫疾患で有意な危険因子であるCTLA4、IL23R、NOD2及びCD40からの変異体はSLEに対する連関性の証拠を示さないようである。
【0170】
26のSLEリスク対立遺伝子(表2の過去に報告された21の遺伝子座と、上述した5つの新規のSLE遺伝子座)を使用し、いくつかの付加的な分析を実施した。確認された遺伝子座を用いたペアワイズ交互作用分析を実施し、SLE(Harley, J.B等, Nat Genet 40:204-10 (2008))及び他の複合疾患(Barrett, J.C等, Nat Genet 40:955-62 (2008))から、先の文献と一致し、非付加的交互作用についての証拠は観察されなかった。条件付きロジスティック回帰分析を使用しても、我々は、個々のリスク遺伝子座の任意でのリスクの原因となる複数の独立した対立遺伝子について、何の証拠も観察しなかった。次に我々は、Barrett等(Barrett, J.C等, Nat Genet 40:955-62 (2008))により記載された方法を使用し、確認されたSLEリスク対立遺伝子の各々により説明されるパーセント分散を推定した。HLA−DR3、IRF5及びSTAT4はそれぞれ>1%の遺伝的分散を占めると推定され、残りの遺伝子座はそれぞれ1%未満の分散を占めた。併せると、26のSLEリスク遺伝子座がSLEに対する推定8%の全遺伝的感受性を説明する。
【0171】
GWAS結果の標的複製は、付加的なリスク遺伝子座を確認するための効果的な研究設計である(Hirschhorn, J.N等, Nat Rev Genet 6:95-108 (2005))。しかしながら、全ゲノム有意性についての許容されるP値基準に不十分な結果を複製する確率に関して、入手可能なデータはほとんどない。現在の研究では、最初のGWAS研究からP<0.05の全ての変異体を複製に含めた。図3に示されるように、GWAS研究においてP値が低ければ低いほど、複製メタアナリシスにおいて候補又は確認された状態に達する確率は高くなる。関心あることに、何の候補又は確認された結果も、複製において検定された全ての変異体の〜50%を占めるにもかかわらず、0.05と0.01の間のGWAS Pを有する変異体の群から、現在の研究では得られなかった。これらの結果は、将来の標的研究設計の指針に有用でありうるが、確かに最初のGWAS集団のサイズ、複製試料のサイズ、疾患構造、及び候補変異体のエフェクトサイズを、複製試作のプランニングにおいて注意深く考慮する必要がある。
【0172】
これらのデータは、免疫系の適応及び自然アームの機能に重要な遺伝子における共通の変異が、SLE発症のリスクを確立するのに重要であるというさらなる証拠を提供する。同定された対立遺伝子の各々は、全体的な遺伝的リスクの一部のみを説明するが、これらの及び他の継続している研究は、ループスの病因への新規な見識を提供し、薬剤の発見及び開発のための新規な標的及び経路を示唆している。
【0173】
臨界領域は、HapMap CEU集団でr>0.4の変異体を含む最小領域として定められ、HG18座標(Mb)で報告される。P値は示された症例/コントロール集団から算出され(GWAS:1310の症例及び7859のコントロール、合衆国:1129の症例及び2991のコントロール、スウェーデン:834の症例及び1338のコントロール、組合せ:3273の症例及び12188のコントロール試料)、組合せP値は本方法に記載のようにして算出した。リスク対立遺伝子は+参照ストランドに対して報告される。リスク対立遺伝子頻度はコントロール染色体における頻度である。オッズ比は上の方法に記載した組合せオッズ比である。はGWAS試料において、方法に記載されたようにインピュートされ、複製試料において直接遺伝子タイピングされたマーカーを示す。 rs3135394はHLA*DR3(DRB1*0301)対立遺伝子に対してr=0.87を有する。c rs9271366はHLA*DR2(DRB1*1501)対立遺伝子に対してr=0.97を有する。拡張した要約統計に対しては表3を参照。N.A.=利用不可;QC基準にパスしなかったため(TYK2、FCGR2A、及びIRAK1/MECP2)、又は特定の変異体が全ゲノムアレイに存在しないため(TLR5及びIRF5)。しかしながら、rs2070197(IRF5領域)は、ゲノムスキャンでP=2×10−11を有していたrs10488631と強い連鎖不均衡(LD)にある。
【0174】
ここでの臨界領域はHapMap CEU集団でr>0.4の変異体を含む最小領域として定められ、HG18座標(Mb)で報告される。対立遺伝子頻度は示された症例/コントロール集団から算出された(GWAS:1310の症例及び7859のコントロール、合衆国:1129の症例及び2991のコントロール、スウェーデン:834の症例及び1338のコントロール、組合せ:3273の症例及び12188のコントロール試料)。対立遺伝子は+参照ストランドに対して報告され、全データは対立遺伝子1(A1)に言及する。各集団に対するオッズ比(OD)を列挙する。
【0175】
試料、臨界領域、P値、リスク対立遺伝子、及びオッズ比は、表2の凡例に記載された通りである。はGWAS試料から上の方法で記載されたようにインピュートされ、複製試料において直接遺伝子タイピングされたマーカーを示す。拡張した要約統計に対しては表5を参照。
【0176】
ここでの臨界領域はHapMap CEU集団でr>0.4の変異体を含む最小領域として定義され、HG18座標で報告される。対立遺伝子頻度は示された症例/コントロール集団から算出された(GWAS:1310の症例及び7859のコントロール、合衆国:1129の症例及び2991のコントロール、スウェーデン:834の症例及び1338のコントロール、組合せ:3273の症例及び12188のコントロール試料)。対立遺伝子は+参照ストランドに対して報告され、全データは対立遺伝子1(A1)に言及する。各集団に対するオッズ比(OD)を列挙する。
【0177】

表中の全対立遺伝子は、報告されている変異体と同一であるか又は報告されている変異体に対してr2>0.8を有し、同じ方向の効果を持つ同じリスク対立遺伝子である。位置(塩基対)はHG18座標で報告される。試料、個体及び組合せP値、リスク対立遺伝子頻度及びORは表2の凡例に記載された通りである。組合せ補正P値は、過去に報告された35のリスク遺伝子座に対するボンフェローニ補正P値である。他の自己免疫連関:T1D=I型糖尿病、AMD=加齢黄斑変性、MS=多発性硬化症、IBD=炎症性腸疾患及びPS=乾癬。拡張された要約統計及び検定された変異体の完全なリストについては表7を参照。aはGWAS試料から方法に記載されたようにしてインピュートされ、複製試料において直接遺伝子タイピングされたマーカーを示す。
【0178】
【0179】
位置(塩基対)はHG18座標で報告される。P値は示した症例/コントロール集団から算出し(GWAS:1310の症例及び7859のコントロール、合衆国:1129の症例及び2991のコントロール、スウェーデン:834の症例及び1338のコントロール、組合せ:3273の症例及び12188のコントロール試料)、組合せたP値は上記方法に記載したようにして算出した。複製P値は、合衆国及びスウェーデンの組合せた試料に対するメタP値を意味する。対立遺伝子は+参照ストランドに対して報告され、全データは対立遺伝子1(A1)に言及する。各集団に対するオッズ比(OD)を列挙する。
【0180】
実施例2
BLKに対する原因対立遺伝子の再配列化及び同定
上で検討したように、BLKは全ゲノム有意性(P<5×10−8)を達成するSLEに関連したリスク遺伝子座として同定された。この連関性の遺伝学的基礎をさらに特徴付け、原因対立遺伝子を同定するために、我々は以下に記載するような、BLK遺伝子座の再配列化研究及びレポーター遺伝子発現アッセイを実施した。
【0181】
再配列化研究では、自己免疫性バイオマーカー協力ネットワーク(ABCoN)(Bauer等, PLoS medicine 3(12):e491 (2006))において192人の患者、NIH/NIAMS資金提供リポジトリ、及びニューヨーク癌プロジェクト(NYCP)(Mitchell等, J. Urban Health 81:301-10 (2004))の96人のコントロール個体から単離されたDNAのBLK遺伝子座の2.5kb上流のプロモーター配列、及び13エクソンの全てを再配列化した。配列化の前に、ゲノムDNAを製造者のプロトコルに従い、全ゲノムで増幅させた(Qiagen, Valencia, CA., Cat. No. 150045)。
【0182】
再配列化の結果は、17の変異(10の非同義、7の同義)がBLK遺伝子のコード化領域で見出されることを示した(表8)。これらの変異はいずれも、コントロールより症例において有意に高い頻度を示さなかった。非同義変異の全体的な頻度は、コントロール(7/96)よりも症例(14/191)において有意に高くはなかった。
【0183】
さらに、複数の共通のバリエーションが、BLKの非コード化領域で同定された(表9に示す)。これらのSNP(rs4840568、rs1382568[三重対立遺伝子SNP(A/C/G);C対立遺伝子はリスク対立遺伝子として予め同定されていた]、及びrs922483(配列番号:13))は、r>0.5を有するGWAS(Hom等, N Engl J Med 358:900-09 (2008))(rs13277113、オッズ比、1.39、P=1×10−10)から予め同定されていた遺伝子座と連関していることが示された。図4は、ハプロビュー(URL www.broadinstitute.org/haploview/haploviewで自由に入手可能なソフトウェア;Barrett J.C等, Bioinformatics 21:263-65 (2005)を参照)を使用して作成されたBLKのプロモーター領域内の連鎖不均衡(LD)ブロック(rで示す)を示す。図の上部は、同定されたSNPの相対位置を有するBLKのプロモーター領域の概略ダイアグラムを示す。列挙したSNP間のr値は、ボックス内に示す。2つのSNP間のLDの強度を、各ボックスに提供されるr値で示す。GWASから同定された遺伝子座(rs13277113)及び再配列化から同定された3つのSNP(rs4840568、rs1382568、及びrs922483(配列番号:13))を、図の上部の黒い境界で示す。
【0184】
この再配列化研究では、BLKのコード化領域における任意の共通変異は明らかにならなかった。しかしながら、プロモーター領域での3つの共通変異(rs4840568、rs1382568、及びrs922483(配列番号:13))が、SLEの増加するリスクと関連して、BLKの生物学的効果の潜在的な原因対立遺伝子として同定された。これらの各バリエーションを、連関性をさらに特徴付けるために以下に詳述するルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて用いた。
【0185】
【0186】
【0187】
ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイを、BLK媒介性遺伝子発現に対する3つのSNP、rs4840568、rs1382568、及びrs922483(配列番号:13)の効果を調査するために実施した。BLKの上流配列(−2256〜+55bp)を、リスク又は非リスクハプロタイプを有する個体から、ゲノムDNAを使用して増幅させた。各PCR産物をpCR2.1−TOPOベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA; Cat. No. K4500-01)にクローニングし、ついでpGL4ルシフェラーゼレポーターベクター(Promega, Madison, WI; Cat. No. E6651)にサブクローニングした。非リスクハプロタイプを有するコンストラクトを、変異誘発に対する鋳型として使用し(Stratagene, La Jolla, CA; Cat. No. 10519-5)、様々なハプロタイプを作製した。
【0188】
PCR増幅に使用されるプライマーは以下の通りであった:
順方向:CCACCTCTCTTCCGCCTTTCTCAT(配列番号:1);
逆方向:TTTCATGGCTTGTGGCTTTCTGCC(配列番号:2)。変異誘発に使用されたプライマーを以下の表10に列挙する。
【0189】
【0190】
ウミシイタケルシフェラーゼコントロールレポーターベクターpRL−TK(Promega, Madison, WI;カタログ番号E2241)を正規化に使用した。細胞株BJAB(エプスタイン・バーウイルスゲノムを欠き、3つのヒトリンパ腫から誘導された、B細胞(骨髄由来)の特徴を有する連続したリンパ球細胞株;Klein等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 71:3283-86 (1974))、又はダウディ細胞株 (アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)カタログ番号CCL-213)を形質移入に使用した。各形質移入では、Amaxa(登録商標)Nucleofector(登録商標)装置(Lonza, Walkersville Inc., Walkersville, MD (Lonza Group Ltd., Switzerland);カタログ番号AAD-1001)を使用し、各ベクターのDNA5μgを用いて、5×10細胞を形質移入させた。細胞株Nucleofector(登録商標)キットL(Lonza, カタログ番号VCA-1005)を、Nucleofector(登録商標)装置プログラムA-030と共にダウディ細胞に使用した。細胞株Nucleofector(登録商標)キットV(Lonza, Cat. No. VCA-1005)を、Nucleofector(登録商標)装置プログラムT-020と共にBJAB細胞に使用した。全ての形質移入を2回又は3回実施した。形質移入後、細胞を37℃で16時間インキュベートした。そのインキュベーション後、細胞を収集し、製造者の使用説明書に従い、デュアル−ルシフェラーゼ(登録商標)レポーターアッセイシステム (Promega, Madison, WI;カタログ番号E1960)を使用し、ルシフェラーゼ活性を測定した。
【0191】
上述したルシフェラーゼレポーターアッセイ系において測定されたBLK媒介性遺伝子発現に対する各SNP rs4840568、rs1382568、及びrs922483(配列番号:13)の効果を図5に示す。変異誘発により作製された種々のハプロタイプを、非リスク(野生型)ハプロタイプ22−GAC(各図5A−Fの白抜きバー)及びリスクハプロタイプ22−ACT(各図5A−Fのハッチングのバー)と比較した。
【0192】
図5A及び5Bは、SNP rs922483(C>T)(配列番号:13)が、BJAB(図5A)及びダウディ細胞(図5B)の双方においてBLK媒介性遺伝子発現に対する有意な効果を生じることを示している。非リスクハプロタイプ22−GAC(オープンバー)と比較して、ハプロタイプ22−GATは、双方の細胞株でほぼ50%まで転写活性を低下させることが示された。T対立遺伝子を有するハプロタイプは、C対立遺伝子を有するものよりも、一致して低い活性を示した。5つの独立した実験がBJAB細胞で実施され、6つの独立した実験がダウディ細胞で実施された。示されたデータは3回のアッセイにおける平均+/−平均の標準誤差(s.e.m.)を表す;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001(t検定)。
【0193】
図5C及び5Dは、SNP rs1382568(A>C/G>C)が、いずれかの細胞株においてBLK媒介性発現に対して如何なる有意な効果も生じなかったことを示している。ハプロタイプ22−GCC及び22−GGC(スポットバー)の双方が、非リスクハプロタイプ22−GAC(白抜きバー)と比較して、同様のレベルのルシフェラーゼ活性を示した。5つの独立した実験がBJAB細胞で実施され、6つの独立した実験がダウディ細胞で実施された。示されたデータは3回のアッセイにおける平均+/−s.e.m.を表す;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、ns=有意でない(t検定)。
【0194】
図5E及び5Fは、SNP rs4840568(G>A)が、BJAB細胞又はダウディ細胞においてBLK媒介性遺伝子発現に対して有意な効果を生じなかったことを示している。ハプロタイプ22−AAC(スポットバー)と非リスクハプロタイプ22−GAC(白抜きバー)との差異は、BJAB細胞では統計的に有意ではなかったが(図5E)、ダウディ細胞では統計的に有意であった(図5F)。ハプロタイプ22−ACC(スポットバー)が、非リスクハプロタイプ−GAC(白抜きバー)と比較して、ルシフェラーゼ活性に如何なる欠陥も示さなかったという事実を考慮すると、A対立遺伝子が原因対立遺伝子である可能性は大きく低下する(図5F)。示されたデータは3回のアッセイにおける平均+/−s.e.m.を表す;*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、ns=有意でない(t検定)。
【0195】
BLKプロモーターの上流の領域での(GT)反復が、BLK遺伝子発現のエンハンサーとして機能しうることは、以前に示されている(Lin等, J Biol Chem 270: 25968 (1995))。よって、我々は、(GT)反復の長さが、BLKプロモーターの転写活性に影響を及ぼすかどうか試験した。これらの実験を実施するため、18の(GT)反復(配列番号:14)又は22の(GT)反復(配列番号:15)の双方を有する個体からのゲノムDNA試料を、上述した方策を使用して、クローニングのために選択した。最終ベクターを配列化し、それらが正確な長さの(GT)反復を含んでいることを確認した。図6に示されるように、18の(GT)反復(配列番号:14)を有するハプロタイプは、ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて、22の(GT)反復(配列番号:15)を有するものと比較して、同様のレベルの転写活性を示した。示されたデータは2回のアッセイにおける平均+/−s.e.m.を表し、ns=有意でない(t検定)。
【0196】
要約すると、BLK再配列化試作のこれらの結果及びルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイの結果は、SNP rs922483(C>T)(図7、配列番号:13)が、SLEのリスク増加に関連した生物学的効果である、BLKの転写を低減させる原因対立遺伝子であることを示している。加えて、該結果は、rs922483(配列番号:13)のT対立遺伝子が、BLK媒介性遺伝子発現のレベルを50%低下させたことを示している。
【0197】
BLKの第1エクソンの進化的に保存された領域及び可能なヒト転写開始部位内にrs922483(配列番号:13)が存在していることに留意することは興味深い。ヒトInrモチーフのコンセンサス配列は、YYANWYY(IUPACヌクレオチドコード)として同定されている。Juven-Gershon等 Dev. Biol. 339:225-229 (2010)。SNP rs922483(配列番号:13)において、Inr領域中の第2の塩基は、コンセンサスモチーフに対して改変されている。従って、「野生型」ハプロタイプInr配列はCCACCTCであるが、SLEリスクハプロタイプInr配列はCTACCTCである。我々は、保存されたInrモチーフにおける第2の塩基の修飾が、TFIID転写複合体の親和性を変化させ、上述の転写の観察された差異が生じることを示唆する。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]