(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321729
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】回路基板構造およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/28 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
H05K3/28 D
H05K3/28 E
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-134435(P2016-134435)
(22)【出願日】2016年7月6日
(65)【公開番号】特開2017-139436(P2017-139436A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2016年7月6日
(31)【優先権主張番号】201610079405.8
(32)【優先日】2016年2月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510222442
【氏名又は名称】毅嘉科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】孫永祥
(72)【発明者】
【氏名】陳欽
【審査官】
齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−222545(JP,A)
【文献】
特開2012−252448(JP,A)
【文献】
特開2005−93844(JP,A)
【文献】
特開平7−221440(JP,A)
【文献】
特開2002−294197(JP,A)
【文献】
特開平1−245064(JP,A)
【文献】
特開平1−194209(JP,A)
【文献】
特開昭60−169190(JP,A)
【文献】
特開2008−177463(JP,A)
【文献】
特開平6−45736(JP,A)
【文献】
特表2004−525785(JP,A)
【文献】
特表2009−528700(JP,A)
【文献】
特開2002−226822(JP,A)
【文献】
特開2001−262101(JP,A)
【文献】
特開平2−140991(JP,A)
【文献】
特開昭52−35870(JP,A)
【文献】
特開2000−242757(JP,A)
【文献】
特開平3−253340(JP,A)
【文献】
実公平1−19414(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K1/00−3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板構造を製造するための方法であって、
(a)所定部を定めた第1基板表面と、反対側の第2基板表面と、前記第1基板表面上に配置される導電回路とを有し、前記導電回路の少なくとも一部は、前記所定部上に配置される回路基板を提供するステップと、
(b)前記回路基板を製造装置内に配置するステップと、
(c)前記製造装置を使用して、厚さが30μm〜350μmの感圧ゲル層を形成するために、前記回路基板の前記所定部上に感圧ゲルをスクリーン印刷し、前記感圧ゲル層は前記所定部上の前記導電回路の少なくとも一部を覆い、前記感圧ゲル層における前記回路基板から離れた側の表面は、平面であるように形成するステップと、
(d)前記製造装置を使用して、前記感圧ゲル層を固化させて、前記回路基板の前記所定部をシームレスに覆い、前記回路基板から離れた側の表面が接着面となる接着層を形成するステップとを含む、製造方法。
【請求項2】
前記感圧ゲル層は、UV硬化性感圧ゲル層であり、
前記ステップ(d)において、前記製造装置から放射されるUV光を使用して、前記接着層を形成するために前記感圧ゲル層を固化させるステップと、
前記ステップ(d)の後に、前記接着層の前記接着面上に剥離フィルムを配置するステップとをさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記感圧ゲル層は、UV硬化性感圧ゲル層であり、
前記ステップ(c)の後に、前記感圧ゲル層における前記回路基板から離れた側の表面上に透明の剥離フィルムを配置するステップと、
前記ステップ(d)において、前記製造装置から放射され、前記透明の剥離フィルムを透過するUV光を使用して、前記接着層を形成するために前記感圧ゲル層を固化させるステップとをさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(d)は、
前記回路基板および前記感圧ゲル層を前記製造装置の半透明のチャンバ内に配置するステップと、
前記製造装置を使用して、前記チャンバ内に窒素を充填または流通させるステップと、
前記チャンバを透過するUV光を使用して、前記接着層を形成するために前記感圧ゲル層を固化させるステップとを含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(b)において、前記第1基板表面の前記所定部と整列する貫通孔を有する周縁治具を前記第1基板表面上に配置するステップと、
前記ステップ(c)において、スクリーン印刷により、前記周縁治具の前記貫通孔に前記感圧ゲルを充填するステップと、
前記ステップ(d)において、前記感圧ゲル層および前記周縁治具上に透明フィルムを配置し、前記透明フィルムを透過するUV光を使用して、前記接着層を形成するために前記感圧ゲル層を固化させるステップとをさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記感圧ゲル層は、アクリル、アクリル酸、シリコンプレポリマ、シリコンモノマ、または、シリコンプレポリマとシリコンモノマとの混合物から作成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記回路基板は、フレキシブル回路基板またはリジッド−フレックス回路基板であり、
前記導電回路の少なくとも一部は、前記感圧ゲル層内に埋め込まれている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
所定部が定められた第1基板表面およびその反対側の第2基板表面を有し、前記第1基板表面上に少なくとも一部が前記所定部上に配置される導電回路を備える回路基板と、
前記回路基板の前記第1基板表面の前記所定部上にシームレスに形成されて、前記導電回路の少なくとも一部をシームレスに覆い、前記回路基板から離れた側の表面が平坦な接着面である接着層とを含む、回路基板構造。
【請求項9】
前記接着層は、アクリル、アクリル酸、シリコンプレポリマ、シリコンモノマ、または、シリコンプレポリマとシリコンモノマとの混合物から作成され、
前記接着層の厚さが100μm〜200μmである、請求項8に記載の回路基板構造。
【請求項10】
前記接着層の前記接着面上にシームレスかつ取り外し可能に配置される剥離フィルムをさらに含む、請求項8または9に記載の回路基板構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に関し、とくに、回路基板構造およびそれを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1および
図2には、従来の回路基板構造100’が示されている。従来の回路基板構造100’は、両面テープ2’の剥離フィルム(図示せず)を取り除いた後、両面テープ2’を回路基板1’に接着させることによって準備される。両面テープ2’は、回路基板1’の導電回路11’上に配置される。したがって、両面テープ2’を使用し、他方の剥離フィルム3’を取り除くことによって、所定の表面に回路基板1’を接着させることができる。
【0003】
しかしながら、回路基板1’および両面テープ2’は、2つの独立した生産工程によってそれぞれ製造され、2つの異なる製造者によってそれぞれ製造される。そのため、従来の回路基板構造100’の製造コストをさらに削減することが可能である。また、両面テープ2’を回路基板1’に接着させる前に、両面テープ2’を形成するために、大きな両面テープを回路基板1’の形状に従って裁断しなければならず、この裁断ステップが材料の無駄を生じさせる。さらに、製造者には、両面テープ2’と回路基板1’とを結合するための接着ステップを実行する必要がある。
【0004】
とくに、
図3に示されるように、回路基板1’の基板表面12’は、特定の凹凸を有しているため、複数のギャップGが両面テープ2’と基板表面12’との間および両面テープ2’と導電回路11’との間に存在する。したがって、両面テープ2’と回路基板1’の接着強度を向上させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2014/097898号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、回路基板構造およびそれを製造するための方法を提供し、それにより、従来の回路基板構造によって生じていた問題を効果的に解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様に係る回路基板構造の製造方法は、回路基板構造を製造するための方法であって、(a)所定部を定めた第1基板表面およびその反対側の第2基板表面を有する回路基板を提供するステップと、(b)前記回路基板を製造装置内に配置するステップと、(c)前記製造装置を使用して、厚さが30μm〜350μmの感圧ゲル層を形成するために、前記回路基板の前記所定部上に感圧ゲルをスクリーン印刷するステップと、(d)前記製造装置を使用して、前記感圧ゲル層を固化させて、前記回路基板の前記所定部をシームレスに覆い、前記回路基板から離れた側の表面が接着面となる接着層を形成するステップとを含む。
【0008】
好ましくは、前記感圧ゲル層は、UV硬化性感圧ゲル層であり、前記ステップ(d)において、前記製造装置から放射されるUV光を使用して、前記接着層を形成するために前記感圧ゲル層を固化させるステップと、前記ステップ(d)の後に、前記接着層の前記接着面上に剥離フィルムを配置するステップとをさらに含む。
【0009】
好ましくは、前記感圧ゲル層は、UV硬化性感圧ゲル層であり、前記ステップ(c)の後に、前記感圧ゲル層における前記回路基板から離れた側の表面上に透明の剥離フィルムを配置するステップと、前記ステップ(d)において、前記製造装置から放射され、前記透明の剥離フィルムを透過するUV光を使用して、前記接着層を形成するために前記感圧ゲル層を固化させるステップとをさらに含む。
【0010】
本発明の他の態様に係る回路基板構造は、所定部が定められた第1基板表面およびその反対側の第2基板表面を有し、前記第1基板表面上に少なくとも一部が前記所定部上に配置される導電回路を備える回路基板と、前記回路基板の前記第1基板表面の前記所定部上にシームレスに形成されて、前記導電回路の少なくとも一部をシームレスに覆い、前記回路基板から離れた側の表面が平坦な接着面である接着層とを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、接着層が回路基板上に直接かつ一体的に形成されるので、従来の両面テープの接着ステップおよび裁断ステップなしで、単一の製造者が回路基板構造を自由に製造可能であり、それにより、回路基板構造の製造コストが効果的に低減される。
【0012】
また、感圧ゲル層が回路基板の基板表面上にシームレスに形成されるので、接着層と回路基板との間にギャップが存在せず、また、回路基板の基板表面の凹凸により接着層と回路基板との接着強度を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来の回路基板構造の製造方法を示す断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る回路基板構造を製造するための方法におけるステップ(a)および(b)を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態の方法におけるステップ(c)を示す断面図である。
【
図6】第1の実施形態の方法におけるステップ(d)を示す断面図である。
【
図7】第1の実施形態の方法におけるステップ(e)を示す断面図である。
【
図9】回路基板構造の製造方法の変形例を示す断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る回路基板構造を製造するための方法におけるステップ(a)および(b)を示す断面図である。
【
図11】第2の実施形態の方法におけるステップ(c)を示す断面図である。
【
図12】第2の実施形態の方法におけるステップ(d)を示す断面図である。
【
図13】第2の実施形態の方法におけるステップ(e)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図4、
図5、
図6、
図7および
図8は、本発明の第1の実施形態を示す。なお、以下では、本発明に関連する詳細な説明および添付図面について述べる。しかしながら、添付図面は、単に一例を示すものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0016】
本発明は、回路基板構造100を製造するための方法を提供する。当該製造方法は、ステップ(a)〜(e)を含み、製造方法のステップの順序は、この実施形態の明瞭な理解のために開示されているのであって、本発明は、それに限定されない。製造方法のステップは、以下のとおりである。
【0017】
ステップ(a)では、
図4に示されるように、回路基板1が提供される。回路基板1は、好ましくは、フレキシブル回路基板またはリジッドフレックス回路基板であるが、それに限定されない。回路基板1は、第1基板表面11(たとえば、
図4に示される回路基板1の上面)およびその反対側の第2基板表面12(
図4に示される回路基板1の底面)を有する。回路基板1は、第1基板表面11上に配置される少なくとも1つの導電回路13を有する。第1基板表面11には、所定部(符号なし)が規定され、導電回路13の少なくとも一部は、当該所定部上に配置される。
【0018】
なお、この実施形態における所定部は、第1基板表面11の中心部であるが、所定部は、それに限定されず、設計者の要求または導電回路13の形状に従って変更可能である。
【0019】
ステップ(b)では、
図4に示されるように、回路基板1が製造装置200内に配置される。具体的には、回路基板1の第2基板表面12が製造装置200のテーブル201上に配置される。製造装置200の構造は、複雑であるので、図には、最も基本的な製造装置200が単に示されている。
【0020】
ステップ(c)では、
図5に示されるように、製造装置200において、スクリーン印刷機構202(たとえば、鋼板、ナイロン板、スチール・メッシュまたはプリント治具のうちの1つと組み合わされるスクレーパ)が用いられて、回路基板1の所定部上に感圧ゲル(符号なし)がスクリーン印刷されることにより、所定部がシームレスに覆われる。感圧ゲルは、30μm〜350μmの厚さを有する感圧ゲル層2aに形成される。感圧ゲル層2aは、所定部上に配置された導電回路13を覆い、感圧ゲル層2aにおける回路基板1から離れた側の表面(すなわち、
図5に示された感圧ゲル層2aの上面)は、平面をなしている。感圧ゲル層2aの厚さは、設計者の要求に従って調整可能であり、この実施形態における感圧ゲル層2aの厚さは、好ましくは、100μm〜200μmである。
【0021】
具体的に、感圧ゲル層2aは、熱硬化性感圧ゲル層または光硬化性感圧ゲル層であってもよい。この実施形態における感圧ゲル層2aは、UV光硬化性感圧ゲル層であるが、感圧ゲル層2aは、それに限定されない。また、感圧ゲル層2aは、アクリル、アクリル酸、シリコンプレポリマ、シリコンモノマ、または、シリコンプレポリマとシリコンモノマとの混合物から作成することができる。
【0022】
ステップ(d)では、
図6に示されるように、製造装置200において、感圧ゲル層2aが固化されて、接着層2bが形成される。接着層2bにおける回路基板1から離れた側の表面(すなわち、
図6に示される接着層2bの上面)は、接着面21bである。接着層2bの厚さは、感圧ゲル層2aの厚さと実質的に同じであり、接着層2bの接着面21bは、平面である。言い換えれば、接着層2bの接着面21bは、第1基板表面11または第2基板表面12とほぼ平行をなす。また、
図8に示されるように、接着層2bは、回路基板1の第1基板表面11の所定部および導電回路13をシームレスに覆う。
【0023】
具体的には、回路基板1および感圧ゲル層2aは、製造装置200の半透明のチャンバ203内に配置される。製造装置200では、好ましくは、チャンバ203内に窒素が充填または流通され、チャンバ203内を非酸素状態にされる(たとえば、感圧ゲル層2aの好ましい固化状態を達成するためにチャンバ203内の酸素濃度を100ppm未満にする)。したがって、製造装置200では、チャンバ203を透過するUV光が約5分〜15分間使用されることにより、感圧ゲル層2aが固化する。
【0024】
ステップ(e)では、
図7および
図8に示されるように、接着層2bの接着面21b上に、剥離フィルム3が平らにかつ取り外し可能に配置される。具体的には、
図7に示されるように、剥離フィルム3は、第1基板表面11または第2基板表面12とほぼ平行をなし、接着層2bの接着面21bの全体に接着される。このようにして、回路基板構造100が上記の方法のステップによって準備される。
【0025】
また、本発明は、ステップ(a)〜(e)の順序に限定されない。たとえば、
図9に示されるように、ステップ(c)の後に、透明の剥離フィルム3が感圧ゲル層2aにおける回路基板1から離れた側の表面上に配置されてもよく、ステップ(d)では、製造装置200において、チャンバ203および透明の剥離フィルム3を透過するUV光が使用されることにより、感圧ゲル層2aが固化されて、接着層2bが形成される。さらに、図示されない実施形態においては、接着層2bが導電回路13を備えていない回路基板1の基板表面上に形成されてもよく、また、2つの接着層2bがそれぞれ回路基板1における互いに反対側の2つの基板表面に備えられてもよい。
【0026】
この実施形態の方法では、接着層2bが回路基板1上に直接かつ一体的に形成されるので、従来の両面テープ2’の接着ステップおよび裁断ステップなしで、単一の製造者が回路基板構造100を自由に製造可能であり、それにより、回路基板構造100の製造コストが効果的に低減される。
【0027】
また、感圧ゲル層2aが回路基板1の基板表面上にシームレスに形成されるので、接着層2bと回路基板1との間にギャップが存在せず、また、回路基板1の基板表面の凹凸により接着層2bと回路基板1との接着強度を増大させることができる。
【0028】
言い換えれば、
図2および
図3に示されるように、従来の回路基板構造100’の両面テープ2’は、少なくとも1つの突出部分21’および少なくとも1つの平面部分22’を有し、突出部分21’は、導電回路11’の上に配置され、平面部分22’は、導電回路11’の周囲に設けられる。したがって、両面テープ2’の接着面(たとえば、
図2に示されている両面テープ2’の上面)が平らな表面でなく、そのため両面テープ2’の接着力に改善の余地がある。具体的には、従来の回路基板構造100’が平坦面に接着される場合、突出部分21’が平面部分22’から突出しているので、両面テープ2’の接着面が一様な接着力を発揮することができず、その結果、従来の回路基板構造100’が平面表面から容易に剥がれる。
【0029】
しかしながら、この実施形態の方法は、平面の接着面21bが得られるように、接着層2bが回路基板1上に直接かつ一体的に形成されるので、接着層2bの接着力が増大する。
【0030】
上記の説明は、本発明の方法を開示しており、この実施形態は、その方法の実行によって準備される回路基板構造100を提供するが、本発明の回路基板構造100の製造方法は、当該方法に限定されない。また、以下の説明により、回路基板構造100の明瞭な理解のために回路基板構造100の構成が開示される。
【0031】
図7および
図8に示されるように、回路基板構造100は、回路基板1、接着層2および剥離フィルム3を含む。回路基板1は、第1基板表面11およびその反対側の第2基板表面12を有する。第1基板表面11には、所定部(符号なし)が規定され、この実施形態における所定部は、第1基板表面11の中心部である。回路基板1は、第1基板表面11上に形成される導電回路13を含み、導電回路13の少なくとも一部は、所定部上に形成される。
【0032】
回路基板1の第1基板表面11の所定部上に、接着層2bがシームレスかつ一体的に形成され、所定部上に形成された導電回路13が接着層2bにシームレスに覆われることにより、接着層2bと回路基板1との接着強度が増大する。接着層2bにおける回路基板1から離れた側の表面は、平坦な接着面21である。この実施形態の接着層2bは、アクリル、アクリル酸、シリコンプレポリマ、シリコンモノマ、または、シリコンプレポリマとシリコンモノマとの混合物から作成することができる。接着層2bの厚さは、30μm〜350μmであり、好ましくは、100μm〜200μmである。
【0033】
剥離フィルム3は、好ましくは、透明フィルムであるが、それに限定されない。剥離フィルム3は、接着層2bの接着面21b上に、シームレスかつ取り外し可能に配置される。したがって、接着層2bおよび剥離フィルム3は、平坦な接着面21bを形成することにより、それらの間に良好な接着強度を有する。
【0034】
[第2実施形態]
図10、
図11、
図12および
図13は、本発明の第2の実施形態を示す。この実施形態は、第1の実施形態と類似しており、共通する特徴については記載を省略する。また、以下では、2つの実施形態の主な相違点を説明する。
【0035】
ステップ(a)では、
図10に示されるように、回路基板1が提供される。回路基板1は、好ましくは、フレキシブル回路基板またはリジッド−フレックス回路基板であるが、それに限定されない。回路基板1は、第1基板表面11およびその反対側の第2基板表面12を有する。回路基板1は、第1基板表面11上に配置される少なくとも1つの導電回路13を有する。第1基板表面11には、所定部(符号なし)が規定され、導電回路13の少なくとも一部は、当該所定部上に配置される。
【0036】
なお、所定部は、設計者の要求または導電回路13の形状に従って変更可能である。
【0037】
ステップ(b)では、
図10に示されるように、回路基板1が製造装置200内に配置される。具体的には、回路基板1の第2基板表面12が製造装置200のテーブル201上に配置される。製造装置200の構造は、複雑であるので、図には、最も基本的な製造装置200が単に示されている。
【0038】
また、周縁治具205が第1基板表面11上に配置され、周縁治具205は、パターン化された貫通孔2051を有する。貫通孔2051は、第1基板表面11の所定部と位置が対応する。貫通孔2051内には、導電回路13が設けられている。
【0039】
ステップ(c)では、
図11に示されるように、製造装置200において、スクリーン印刷機構202(たとえば、鋼板、ナイロン板、スチール・メッシュまたはプリント治具のうちの1つと組み合わされるスクレーパ)が用いられて、回路基板1の所定部上に感圧ゲル(たとえば、感圧ゲルが周縁治具205の貫通孔2051内に充填される)がスクリーン印刷されることにより、所定部がシームレスに覆われる。感圧ゲルは、30μm〜350μmの厚さを有する感圧ゲル層2aに形成される。感圧ゲル層2aは、貫通孔2051内に設けられた導電回路13を覆い、感圧ゲル層2aにおける回路基板1から離れた側の表面は、平面をなしている。感圧ゲル層2aの厚さは、設計者の要求に従って調整可能であり、この実施形態における感圧ゲル層2aの厚さは、好ましくは、100μm〜200μmである。
【0040】
具体的に、この実施形態の感圧ゲル層2aは、UV光硬化性感圧ゲル層であるが、感圧ゲル層2aは、それに限定されない。また、感圧ゲル層2aは、アクリル、アクリル酸、シリコンプレポリマ、シリコンモノマ、または、シリコンプレポリマとシリコンモノマとの混合物から作成することができる。
【0041】
ステップ(d)では、
図12に示されるように、感圧ゲル層2aおよび周縁治具205の上に、酸素から感圧ゲル層2aを隔離するための透明フィルム206が配置される。その後、透明フィルム206を透過するUV光が使用されることにより、感圧ゲル層2aが固化されて、接着層2bが形成される。接着層2bにおける回路基板1から離れた側の表面は、平坦な接着面21bである。接着層2bの厚さは、感圧ゲル層2aの厚さと実質的に同じである。言い換えれば、接着層2bの接着面21bは、第1基板表面11または第2基板表面12とほぼ平行をなす。また、接着層2bは、回路基板1の第1基板表面11の所定部および導電回路13をシームレスに覆う。
【0042】
ステップ(e)では、
図13に示されるように、周縁治具205および透明フィルム206が取り除かれ、接着層2bの接着面21b上に、剥離フィルム3が平らにかつ取り外し可能に配置される。具体的には、剥離フィルム3は、第1基板表面11または第2基板表面12とほぼ平行をなし、接着層2bの接着面21bの全体に接着される。このようにして、回路基板構造100が上記の方法のステップによって準備される。
【0043】
[発明の効果]
以上のように、本発明の製造方法では、接着層2bが回路基板1上に直接かつ一体的に形成されるので、従来の両面テープ2’の接着ステップおよび裁断ステップなしで、単一の製造者が回路基板構造100を自由に製造可能であり、それにより、回路基板構造100の製造コストが効果的に低減される。
【0044】
また、感圧ゲル層2aが回路基板1の基板表面上にシームレスに形成されるので、接着層2bと回路基板1との間にギャップが存在せず、また、回路基板1の基板表面の凹凸により接着層2bと回路基板1との接着強度を増大させることができる。
【0045】
また、本発明の製造方法では、接着層2bが回路基板1上に直接かつ一体的に形成されるので、接着層2bの接着力が増大する。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 回路基板
2 接着層
2a 感圧ゲル層
2b 接着層
3 剥離フィルム
11 第1基板表面
12 第2基板表面
13 導電回路
21 接着面
21b 接着面
22 平面部分
100 回路基板構造
200 製造装置
203 チャンバ
205 周縁治具
206 透明フィルム
2051 貫通孔