特許第6321736号(P6321736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321736
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】真空蒸発式造水装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/04 20060101AFI20180423BHJP
   B01D 5/00 20060101ALI20180423BHJP
   C02F 1/16 20060101ALI20180423BHJP
   B01D 1/00 20060101ALI20180423BHJP
   B63J 1/00 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   C02F1/04 A
   B01D5/00 A
   C02F1/16
   B01D1/00 Z
   B63J1/00
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-155279(P2016-155279)
(22)【出願日】2016年8月8日
(62)【分割の表示】特願2012-193025(P2012-193025)の分割
【原出願日】2012年9月3日
(65)【公開番号】特開2016-193437(P2016-193437A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2016年8月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-6182(P2012-6182)
(32)【優先日】2012年1月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000143972
【氏名又は名称】株式会社ササクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島田 統行
(72)【発明者】
【氏名】清水 康次
(72)【発明者】
【氏名】織田 亨
(72)【発明者】
【氏名】中尾 千晶
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−043692(JP,U)
【文献】 特開昭58−064493(JP,A)
【文献】 特開平08−121991(JP,A)
【文献】 実開昭59−087580(JP,U)
【文献】 実開昭62−066796(JP,U)
【文献】 特開2001−279784(JP,A)
【文献】 特開昭51−125668(JP,A)
【文献】 特開2011−72898(JP,A)
【文献】 特開平3−80981(JP,A)
【文献】 国際公開第82/00338(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/02 − 1/18
B01D 1/00 − 8/00
B63J 1/00
F28D 1/00 − 13/00
F28F 1/00 − 1/44
F24H 1/00 − 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に搭載した熱源からの熱を利用して、船舶に取り入れられる海水から淡水を製造する真空蒸発式造水装置において、
原料海水を導入可能な複数の加熱管を有し、供給された原料海水を熱源からの熱により加熱して蒸気を生成する加熱器と、
前記加熱器で発生した蒸気が導入される密閉型の容器本体と、
前記容器本体内を減圧する減圧手段と、
複数の伝熱管を有し、前記容器本体内の蒸気を冷却用海水により冷却して淡水を生成する復水器と、
複数の伝熱管を有し、前記復水器から排出された冷却用海水の一部を前記容器本体内の蒸気により加熱して前記加熱器に原料海水として供給する予熱器と、を備え、
前記復水器および前記予熱器の少なくとも一方の前記各伝熱管は、内面または外面が凸凹加工されており、
前記加熱器は、内部に原料海水を導入可能な複数の加熱管を有し、
前記各加熱管は、内面または外面が凸凹加工されており、
前記復水器と前記予熱器との間には、前記復水器から排出された冷却用海水の一部を昇圧して前記予熱器に供給する補助ポンプが設けられている真空蒸発式造水装置。
【請求項2】
前記復水器に冷却用海水を供給するためのポンプを備え、
前記ポンプは、海から汲み上げた海水を船舶の各海水使用箇所に供給するための海水ポンプである請求項に記載の真空蒸発式造水装置。
【請求項3】
前記復水器に冷却用海水を供給するためのポンプを備え、
前記減圧手段は、海水にて駆動される水エゼクタであり、かつ、前記ポンプは、前記水エゼクタに駆動用海水を供給するためのエゼクタポンプであり、
前記水エゼクタから排出される駆動用海水が冷却用海水として前記復水器に供給される請求項1に記載の真空蒸発式造水装置。
【請求項4】
前記伝熱管は、コルゲート管により構成されている請求項1〜のいずれかに記載の真空蒸発式造水装置。
【請求項5】
前記伝熱管は、内面または外面に突起または溝が一体に設けられることで凸凹加工されている請求項1〜のいずれかに記載の真空蒸発式造水装置。
【請求項6】
前記減圧手段は、海水にて駆動される水エゼクタであり、
前記水エゼクタに駆動用海水を供給するためのエゼクタポンプが、前記容器本体、前記加熱器、前記復水器および前記予熱器からなる装置本体に一体に設けられ、
前記エゼクタポンプは、前記復水器から排出された冷却用海水の一部を昇圧して前記水エゼクタに供給する請求項に記載の真空蒸発式造水装置。
【請求項7】
前記減圧手段は、海水にて駆動される水エゼクタであり、
前記水エゼクタに駆動用海水を供給するためのエゼクタポンプが、前記容器本体、前記加熱器、前記復水器および前記予熱器からなる装置本体よりも下方に設置され、
前記エゼクタポンプは、海から汲み上げた海水を昇圧して前記水エゼクタに供給する請求項に記載の真空蒸発式造水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水から淡水を製造するための真空蒸発式造水装置に関し、特に予熱器を備えた真空蒸発式造水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に海上を運行する船舶においては、船舶に搭載したボイラーからの蒸気またはディーゼル機関やその他からの廃熱を熱源として利用して、海から汲み上げた海水を高真空下で蒸発させて淡水を製造することが従来から行われている。この種の真空蒸発式造水装置は、一般に、供給される原料海水をディーゼル機関の冷却などに用いられた温水との熱交換により加熱して蒸発させる加熱器と、減圧手段により内部が減圧(真空)状態に保持され、発生した蒸気を凝縮して淡水化する密閉型の容器本体とを備えている。容器本体内には、複数の伝熱管を有する復水器が内蔵されており、蒸気を伝熱管の内部を流れる冷却用海水との熱交換により冷却・凝縮させることで淡水化している。また、復水器から排出される冷却用海水の一部が、原料海水として加熱器に供給されている。
【0003】
加熱器に供給される原料海水は、復水器における蒸気との熱交換により、その温度が多少は高くなっているが、海水の蒸発温度よりもかなり低い。そのため、上記構成の真空蒸発式造水装置では、加熱器における原料海水の加熱・蒸発が効率よく行われていなかった。そこで、復水器から排出される冷却用海水(原料海水)をさらに加熱した後に、加熱器に供給する予熱器を備えた真空蒸発式造水装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の真空蒸発式造水装置では、復水器の上方に、復水器と同様の構成の多管式の予熱器が設けられている。復水器から予熱器の伝熱管内に導入された冷却用海水は、容器本体内に発生した蒸気との間の熱交換によりさらに加熱され、より高温の状態で加熱器に原料海水として供給されるようになっている。これにより、特許文献1の真空蒸発式造水装置では、加熱器の熱効率の向上が図られているとともに、装置全体の小型化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−254534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の真空蒸発式造水装置では、予熱器を設けて、加熱器に供給される原料海水の温度をより高くすることにより、加熱器の熱効率の向上を図るようには構成されているが、予熱器(さらには復水器)を構成する各伝熱管の伝熱性能の向上については特に検討されていないため、この点でさらに改良の余地があった。
【0007】
本発明は、上記した課題に着目してなされたものであり、熱効率の優れた真空蒸発式造水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、船舶に搭載した熱源からの熱を利用して、船舶に取り入れられる海水から淡水を製造する真空蒸発式造水装置において、供給された原料海水を熱源からの熱により加熱して蒸気を生成する加熱器と、前記加熱器で発生した蒸気が導入される密閉
型の容器本体と、前記容器本体内を減圧する減圧手段と、複数の伝熱管を有し、前記容器本体内の蒸気を冷却用海水により冷却して淡水を生成する復水器と、複数の伝熱管を有し、前記復水器から排出された冷却用海水の一部を前記容器本体内の蒸気により加熱して前記加熱器に原料海水として供給する予熱器と、を備え、前記復水器および前記予熱器の少なくとも一方の前記各伝熱管は、内面または外面が凸凹加工されている真空蒸発式造水装置により達成される。
【0009】
本発明の好ましい実施態様においては、前記復水器と前記予熱器との間には、前記復水器から排出された冷却用海水の一部を昇圧して前記予熱器に供給する補助ポンプが設けられていることを特徴としている。
【0010】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記復水器に冷却用海水を供給するためのポンプを備え、前記ポンプは、海から汲み上げた海水をディーゼル機関を含む船舶の各海水使用箇所に供給するための海水ポンプであることを特徴としている。
【0011】
本発明の好ましい他の実施態様においては、前記復水器に冷却用海水を供給するためのポンプを備え、前記減圧手段は、海水にて駆動される水エゼクタであり、かつ、前記ポンプは、前記水エゼクタに駆動用海水を供給するためのエゼクタポンプであり、前記水エゼクタから排出される駆動用海水が冷却用海水として前記復水器に供給されることを特徴としている。
【0012】
上記実施態様の真空蒸発式造水装置において、前記伝熱管は、コルゲート管により構成されていることが好ましい。あるいは、前記伝熱管は、内面または外面に突起または溝が一体に設けられることで凸凹加工されていることが好ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい他の実施態様においては、前記減圧手段は、海水にて駆動される水エゼクタであり、前記水エゼクタに駆動用海水を供給するためのエゼクタポンプをさらに備え、前記エゼクタポンプは、前記復水器から排出された冷却用海水の一部を昇圧して前記水エゼクタに供給するとともに前記予熱器に供給することを特徴としている。この実施態様において、前記復水器に冷却用海水を供給するためのポンプをさらに備え、前記ポンプは、海から汲み上げた海水をディーゼル機関を含む船舶の各海水使用箇所に供給するための海水ポンプであることが好ましい。また、前記伝熱管は、コルゲート管により構成されていること、あるいは、前記伝熱管は、内面または外面に突起または溝が一体に設けられることで凸凹加工されていることがさらに好ましい。
【0014】
さらに、上記した全ての実施態様の真空蒸発式造水装置において、前記加熱器は、内部に原料海水を導入可能な複数の加熱管を有し、前記各加熱管は、内面または外面が凸凹加工されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る真空蒸発式造水装置によると、復水器および予熱器の少なくとも一方の各伝熱管の内面または外面を凸凹加工しているため、各伝熱管の伝熱性能を向上することができる。よって、予熱器から加熱器に供給される原料海水の温度を、各伝熱管を平滑管により構成している既存の真空蒸発型造水装置と比べて、より高温にすることができる。よって、加熱器の熱効率をさらに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る真空蒸発式造水装置の概略構成図である。
図2図1の装置本体の縦断面図である。
図3図2のI−I線に沿う断面図である。
図4図2のII−II線に沿う断面図である。
図5】伝熱管の断面図である。
図6】他の実施形態の装置本体の縦断面図である。
図7】加熱管の断面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る真空蒸発式造水装置の概略構成図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る真空蒸発式造水装置の概略構成図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る真空蒸発式造水装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る真空蒸発式造水装置1の概略構成図であり、図2は、図1の装置本体6の縦断面図である。本実施形態の真空蒸発式造水装置1は、図1および図2に示すように、密閉型の容器本体2、加熱器3、復水器4および予熱器5からなる装置本体6と、容器本体2を減圧(真空)状態に保持する減圧手段7とを備えている。なお、図1中において、符号10は船舶の船体、符号11は船舶内に設けられ、海から海水を汲み上げるための海水ポンプである。海水ポンプ11で汲み上げられた海水は、各種の海水使用箇所、例えば、船舶内に搭載したディーゼル機関に、これを冷却するためのジャケット冷却水として供給される他、復水器4に、真空蒸発式造水装置1による造水用の冷却水として供給される。
【0018】
容器本体2は、下部に加熱器3が接続されているとともに、上部に復水器4および予熱器5を内蔵している。また、容器本体2の上部には、ガス抜き管102が設けられているとともに、下部の加熱器3より高い位置には、ブライン出口103が設けられている。
【0019】
ガス抜き管102は、ガス管路17を介して、減圧手段7に接続されている。減圧手段7は、本実施形態では水エゼクタにより構成されており、容器本体2の内部の不凝縮性ガスが、ガス抜き管102から水エゼクタ7により吸引されて、容器本体2内が大気圧より低い減圧(真空)状態に保持され、容器本体2では、減圧(真空)状態で後述する原料海水の蒸発・凝縮が行われる。また、ブライン出口103は、ブライン排出管路18を介して水エゼクタ7に接続されており、後述する容器本体2内において蒸発した後のブライン(海水)がブライン出口103から水エゼクタ7によって吸引された後、船舶外に排出される。
【0020】
加熱器3は、密閉型の加熱室30と、加熱室30内に設けられる複数の加熱管31とを備えている。複数の加熱管31は、垂直方向に延びるように配置されており、その両端部が加熱室30の上壁面および下壁面に連結されている。加熱室30の下部には、海水供給室32が接続されており、海水供給室32には、原料海水を各加熱管31に導入するための原料海水導入口33が設けられている。加熱室30の側壁面には、ディーゼル機関の冷却などに用いられたジャケット冷却水などの温水をそれぞれ導入および排出する温水導入口34および温水排出口35が設けられている。原料海水導入口33から各加熱管31に導入された原料海水は、温水導入口34から加熱室30内に導入された温水との熱交換により加熱されて蒸発し、蒸気となって容器本体2内に供給される。
【0021】
復水器4は、容器本体2内に供給された蒸気を冷却して淡水を生成するためのものであり、複数の伝熱管40と、これら複数の伝熱管40を束ねた伝熱管群の両端とそれぞれ連通している第1ヘッダー9Aおよび第2ヘッダー9Bとを備えている。各伝熱管40は、水平方向に延びるように配置されており、その両端部が容器本体2の左壁面および右壁面に連結されている。
【0022】
復水器4の上方には、予熱器5を構成する複数の伝熱管50が設けられている。この複
数の伝熱管50も、水平方向に延びるように配置されており、その両端部が容器本体2の左壁面および右壁面に連結され、第1ヘッダー9Aおよび第2ヘッダー9Bと連通している。
【0023】
第1および第2のヘッダー9A,9B内には、それぞれ仕切り板90A,90Bが設けられている。両ヘッダー9A,9B内は、各仕切り板90A,90Bにより、上方の予熱用ヘッダー室91A,91Bと下方の凝縮用ヘッダー室92A,92Bとに区画されている。予熱用ヘッダー室91A,91Bは、予熱器5を構成する各伝熱管50と連通している一方、凝縮用ヘッダー室92A,92Bは、復水器4を構成する各伝熱管40と連通している。
【0024】
各凝縮用ヘッダー室92A,92B内には、図3に示すように、それぞれ仕切り板93A,93Bが設けられている。第1のヘッダー9Aの凝縮用ヘッダー92A内は、仕切り板93Aにより、奥側の冷却水入口室94aと手前側の折り返し室94bとに区画されている。また、第2のヘッダー9Bの凝縮用ヘッダー92B内は、仕切り板93Bにより、手前側の冷却水出口室94dと奥側の折り返し室94cとに区画されている。
【0025】
冷却水入口室94aには、容器本体2内の蒸気を冷却・凝縮するための冷却用海水を導入するための冷却水入口95が設けられている。冷却水入口95には、海水ポンプ11から船舶内の各海水使用箇所に至る海水供給管路12に接続された冷却水供給管路13が接続されており(図1参照)、海水ポンプ11の作動により海水が冷却水として導入される。冷却水入口室94aに導入された冷却用海水は、各伝熱管40内を、図3の矢印で示すように、各折り返し室94b,94cを中継して、他方の第2のヘッダー9Bの冷却水出口室94dに向かって流れる。容器本体2内に供給された蒸気は、各伝熱管40内を流れる冷却用海水との熱交換によって冷却されることで凝縮し、凝縮により生成された淡水は、容器本体2に設けられた淡水出口96より取り出される。
【0026】
冷却水出口室94dには、冷却用海水を排出するための冷却水出口97が設けられている。冷却水出口97から排出された冷却用海水は、一部が分岐管路14を介してエゼクタポンプ8に供給され、他の一部が給水管路15を介して予熱器5に供給され、残りが船舶外などに排出される(図1参照)。エゼクタポンプ8は、水エゼクタ7を駆動するためのものであり、装置本体6と一体に設けられている。エゼクタポンプ8に供給された冷却用海水は、エゼクタポンプ8により昇圧された後、水エゼクタ7に供給され、水エゼクタ7を駆動した後、船舶外に排出される。
【0027】
次に、各予熱用ヘッダー室91A,91B内には、図4に示すように、それぞれ2枚の仕切り板98A,98Bが設けられている。第1のヘッダー9Aの予熱用ヘッダー91A内は、仕切り板98Aにより、奥側の原料海水出口室99fと中央および手前側の折り返し室99d、99eとに区画されている。また、第2のヘッダー9Bの予熱用ヘッダー91B内は、仕切り板98Bにより、手前側の原料海水入口室99aと中央および奥側の折り返し室99b、99cとに区画されている。
【0028】
原料海水入口室99aには、復水器4から排出された冷却用海水の一部を導入するための原料海水入口100が設けられている。原料海水入口100には、給水管路15が接続されており、給水管路15には、補助ポンプ9が設けられている(図1参照)。復水器4から排出された冷却用海水の一部は、補助ポンプ9により昇圧された状態で、原料海水入口室99aに導入される。そして、予熱器5を構成する各伝熱管50内を、図4の矢印で示すように、各折り返し室99b〜99eを中継して、他方の第1のヘッダー9Aの原料海水出口室99fに向かって流れる。このとき、冷却用海水は、各伝熱管50内を流れる際に、容器本体2内に供給された蒸気との熱交換により加熱されながら、原料海水出口室
99fに導入される。
【0029】
原料海水出口室99fには、冷却用海水を排出するための原料海水出口101が設けられている。原料海水出口101から排出された冷却用海水は、原料海水供給管路16を介して海水供給室32に原料海水として供給される。
【0030】
このように、上記構成の予熱器5の存在により、復水器4から排出された冷却用海水の一部は、容器本体2内に供給された比較的高い温度の蒸気との熱交換によって温められた後、加熱器3に原料海水として供給される。よって、加熱器3に供給される原料海水の温度をより高くすることができ、加熱器3の熱効率を向上することが可能になっている。
【0031】
復水器4を構成する各伝熱管40および予熱器5を構成する各伝熱管50は、図5に示すように、その内面および外面が凸凹加工されている。本実施形態では、各伝熱管40,50は、コルゲート管により構成されており、その管壁41,51に、多数の凸部42,52および凹部43,53を交互に連続して有している。凸部42,52および凹部43,53の断面視形状は、図5(A)に示すような山形状の他、図5(B),(C)に示されているような矩形状や波形状など、種々の形状に形成することができる。
【0032】
なお、各伝熱管40,50としては、コルゲート管の他に、管壁41,51が平滑な平滑管に対して、周方向に延びる複数の環状の突起を管壁41,51の内面および外面に、軸方向に所定間隔で一体に設けることで凸凹加工された加工管を用いてもよい。また、加工管としては、突起を平滑管の管壁41,51の内面および外面に螺旋状に一体に設けることで凸凹加工するようにしてもよく、また、突起に代えて溝を、平滑管の管壁41,51の内面および外面に、突起と同様に一体に設けることで凸凹加工するようにしてもよい。さらに、平滑管に対して、軸方向に延びる複数の突起または溝を、管壁41,51の内面および外面に、周方向に所定間隔で一体に設けることで凸凹加工するようにしてもよい。このように、各伝熱管40,50の表面積が大きくなるのであれば、管壁41,51の内面および外面を凸凹加工する方法は自由である。
【0033】
本実施形態の真空蒸発型造水装置1では、復水器4および予熱器5の各伝熱管40,50の内面および外面が凸凹加工されているため、その外径がほぼ同じ平滑管と比較して、各伝熱管40,50の表面積が大きくなる、つまりは、伝熱管内外の熱交換時により大きな伝熱面積を確保でき、かつ、凹凸により伝熱管内を流れる冷却用海水が撹拌されることで、伝熱面(管壁41,51)における蒸気および冷却用海水の間の伝熱効率が向上する結果、各伝熱管40,50の熱交換量が増大する。よって、各伝熱管40,50の内面および外面を凸凹加工することで、平滑管を用いる場合と比べて、各伝熱管40,50内を流れる冷却用海水を蒸気との熱交換によりさらに高温に加熱することができる結果、加熱器3に供給される原料海水の温度をより高くすることができる。よって、加熱器3の熱効率をさらに向上することが可能になっている。
【0034】
一方で、各伝熱管40,50の内面および外面を凸凹加工すると、凹凸によって管摩擦係数が増大し、伝熱管内を流れる冷却用海水の圧力損失が大きくなる。そのため、冷却用海水の流れが悪くなるのを防止するために、伝熱管のサイズを大きくする、あるいは海水ポンプの容量・揚程を上げる、といった対策が必要になる。復水器4については、海水ポンプ11により昇圧された後の海水が供給されるため、圧力損失増大の影響は受けにくいが、予熱器5については、復水器4から排出された冷却用海水が供給され、かつ、予熱器5自体の圧力損失も増大するため、予熱器5の出口である原料海水出口101における海水の圧力が、平滑管を使用した場合に比べて大きく低下する。圧力損失が大きくなり、原料海水出口101からの海水供給圧力が低下すると、加熱器3に対して原料海水を十分に供給できないおそれがある。これを解消するために、海水ポンプ11の容量・揚程を上げ
ることが考えられるが、船舶内の各海水使用箇所に海水を供給する大型の海水ポンプ11の容量などをさらに上げたのでは、ポンプ自体のコストや消費電力量など、運転経費が大幅に嵩むという問題がある。そこで、本実施形態の真空蒸発型造水装置1では、復水器4と予熱器5との間の給水管路15に小型の補助ポンプ9を設け、復水器4から排出された冷却用海水を、補助ポンプ9により昇圧した後、予熱器5に供給している。これにより、予熱器5においても、蒸気との間の熱交換を促進しつつ冷却用海水の圧力損失の増大に対応できるので、加熱器3に対して原料海水の給水量を十分に確保することが可能になっている。
【0035】
上記構成の真空蒸発型造水装置1によると、容器本体2の多管式の復水器4の上方に多管式の予熱器5を設けて、加熱器3に供給する原料海水を加熱しているため、予熱器5を復水器4と別個に設けるためのスペースを必要とせず、装置の小型化を図ることができる。
【0036】
さらに、復水器4および予熱器5の各伝熱管40,50の内面および外面を凸凹加工しているため、各伝熱管40,50の伝熱性能を向上することができる。よって、復水器4から予熱器5を介して加熱器3に供給する原料海水の温度を、各伝熱管40,50を平滑管により構成している既存の真空蒸発型造水装置と比べて、より高温にすることができるので、加熱器3の熱効率をさらに向上することができる。また、復水器4と予熱器5との間の給水管路15に補助ポンプ9を設け、復水器4から排出された冷却用海水を、補助ポンプ9により昇圧した後、予熱器5に供給しているため、予熱器5の各伝熱管50内を流れる冷却用海水(原料海水)の圧力損失の増大に対応できる。よって、加熱器3に対して原料海水を十分に供給することができる。その結果、真空蒸発型造水装置1において製造される淡水の製造量が増加し、装置の造水性能を向上することができる。一方で、各伝熱管40,50を平滑管により構成している既存の真空蒸発型造水装置と比べて、装置の造水性能の向上により、復水器4および予熱器5の各伝熱管40,50の数を減らしても、ほぼ同量の淡水を製造することが可能になる。よって、装置のコンパクト化を図ることもできる。
【0037】
また、各伝熱管40,50を平滑管により構成している既存の真空蒸発型造水装置において、平滑管を、内面および外面が凸凹加工されたコルゲート管や加工管などに取り替えるだけで装置の造水性能が向上するので、簡易かつ低コストで既存の真空蒸発型造水装置をバージョンアップすることができる。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記した図1の実施形態では、各伝熱管40,50の内面および外面を凸凹加工しているが、内面または外面の一方だけを凸凹加工するようにしてもよい。
【0039】
また、復水器4および予熱器5の各伝熱管40,50に対して凸凹加工を施しているが、復水器4の各伝熱管40または予熱器5の各伝熱管50の一方のみに凸凹加工を施すようにしてもよい。
【0040】
また、加熱器3の各加熱管31に対して、復水器4や予熱器5の各伝熱管40,50と同様に、凸凹加工を施すようにしてもよい。図6は、復水器4および予熱器5の各伝熱管40,50に加えて、加熱器3の各加熱管31についても凸凹加工を施した実施形態(図2の変形例)を示している。各加熱管31は、復水器4および予熱器5の各伝熱管40,50と同様、図7に示すように、管壁31Aに、多数の凸部31Bおよび凹部31Cを交互に連続して有していて、その内面および外面に凸凹加工が施されている。凸部31Bおよび凹部31Cの断面視形状は、図7(A)に示すような山形状の他、図7(B),(C
)に示されているような矩形状や波形状など、種々の形状に形成することができる。上記構成の加熱管31としては、コルゲート管を好適に用いることができるが、コルゲート管の他にも、管壁31Aが平滑な平滑管に対して、周方向に延びる複数の環状の突起を管壁31Aの内面および外面に、軸方向に所定間隔で一体に設けることで凸凹加工された加工管を用いてもよい。また、加工管としては、突起を平滑管の管壁31A内面および外面に螺旋状に一体に設けることで凸凹加工するようにしてもよく、また、突起に代えて溝を、平滑管の管壁31Aの内面および外面に、突起と同様に一体に設けることで凸凹加工するようにしてもよい。さらに、平滑管に対して、軸方向に延びる複数の突起または溝を、管壁31Aの内面および外面に、周方向に所定間隔で一体に設けることで凸凹加工するようにしてもよい。このように、各加熱管31の表面積が大きくなるのであれば、管壁31Aの内面および外面を凸凹加工する方法は自由である。
【0041】
加熱器3の各加熱管31の内面および外面を凸凹加工することで、その外径がほぼ同じ平滑管と比較して、各加熱管30の表面積が大きくなる、つまりは、加熱管内外の熱交換時により大きな伝熱面積を確保できる。さらに、凹凸により加熱管内を流れる原料海水が撹拌されることで、伝熱面(管壁31A)における温水および原料海水の間の伝熱効率が向上する。その結果、各加熱管31の熱交換量が増大する。よって、図6に示す実施形態のように、各加熱管31の内面および外面を凸凹加工することで、平滑管を用いる場合と比べて、各加熱管31内を流れる原料海水が温水と効率よく熱交換を行うようになり、各加熱管31による加熱効率が高められる結果、原料海水の蒸発効率を良好にでき、容器本体2内に蒸気を十分に供給することができる。
【0042】
また、上記した図1の実施形態では、加熱器3において原料海水を加熱・蒸発させるための熱源として、ディーゼル機関からの廃熱を利用しているが、その他、廃熱を生じる機関からの廃熱を利用してもよいし、ボイラーからの蒸気を利用して、加熱器3において原料海水を加熱・蒸発させるようにしてもよい。
【0043】
また、上記した図1の実施形態では、復水器4から排出される冷却用海水は、その一部が補助ポンプ9により昇圧されて給水管路15を介して予熱器5に供給されているが、この補助ポンプ9を省略することもできる。図8は、図1の実施形態の変形例であり、補助ポンプ9が省略された真空蒸発式造水装置1の概略構成図を示している。なお、基本的な構成は、上記した図1の実施形態の構成と同様であり、ここでは対応する構成に同一の符号を付することで説明を省略する。
【0044】
図8の実施形態では、復水器4から排出された冷却用海水は、一部が分岐管路14を介してエゼクタポンプ8に供給され、残りが船舶外などに排出される。エゼクタポンプ8に供給された冷却用海水は、エゼクタポンプ8により昇圧された後、一部が水エゼクタ7に供給される一方で、残りが給水管路19を介して予熱器5に供給される。そして、予熱器5に供給された冷却用海水は、容器本体2内に供給された蒸気との熱交換により加熱された後、原料海水として、原料海水供給管路16を介して加熱器3に供給される。このように図8の実施形態においては、エゼクタポンプ8の吐き出し側の管路を分岐させ、エゼクタポンプ8により昇圧後の冷却用海水を給水管路19を介して予熱器5に供給することで、予熱器5の各伝熱管50内を流れる冷却用海水の圧力損失の増大に対応でき、加熱器3に対して原料海水を十分に供給することができる。その結果、図1の実施形態と同様の作用・効果を実現することができるうえ、補助ポンプ9が不要となるので、装置を簡略化することもできる。
【0045】
また、上記した図1の実施形態では、エゼクタポンプ8を装置本体6と一体に設けているが、図9に示すように、エゼクタポンプ8を装置本体6よりも下方に設置するようにしてもよい。図1の実施形態においては、エゼクタポンプ8には、復水器4から排出された
冷却用海水の一部が供給されていたが、図9の実施形態では、エゼクタポンプ8は、海から海水を汲み上げて、これを駆動水として水エゼクタ7に供給している。
【0046】
また、図1図8および図9の実施形態では、減圧手段7として水エゼクタを用いているが、必ずしもこれに限られるものではなく、真空ポンプなどであってもよい。
【0047】
さらに、図10は、本発明の他の実施形態に係る真空蒸発式造水装置1の概略構成図を示している。なお、基本的な構成は、上記した図1の実施形態と同様であり、ここでは対応する構成に同一の符号を付することで詳細な説明を省略する。
【0048】
図10の実施形態では、エゼクタポンプ8から駆動水として水エゼクタ7に供給された海水が、冷却水供給回路13を介して、復水器4に、真空蒸発式造水装置1による造水用の冷却水として供給されている。エゼクタポンプ8としては、海から海水を汲み上げて、これを水エゼクタ7のみに供給する小型のポンプが用いられている。
【0049】
この図10の実施形態においても、復水器4に供給された冷却用海水は、容器本体2内に供給された蒸気を冷却・凝縮して淡水を生成した後、復水器4から排出されるが、その一部が、予熱器5に供給されて容器本体2内に供給された蒸気との熱交換により加熱された後、原料海水として、原料海水供給管路16を介して海水供給室32に供給される。ここで、予熱器5の各伝熱管50(さらには復水器4の各伝熱管40)の内面および外面の少なくとも一方を凸凹加工することにより、加熱器3に供給する原料海水の温度をより高くすることで、加熱器3の熱効率を向上することができる。一方で、図10の実施形態においては、エゼクタポンプ8の容量などを上げることで、補助ポンプ9を不要とし、また、海水ポンプ11の容量などを上げるよりかは低コストで、予熱器5の各伝熱管50(さらには復水器4の各伝熱管40)内を流れる冷却用海水の圧力損失の増大に対応できるので、加熱器3に対して原料海水を十分に供給することができる。その結果、図1の実施形態と同様の作用・効果を実現することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 真空蒸発式造水装置
2 容器本体
3 加熱器
4 復水器
5 予熱器
7 水エゼクタ
8 エゼクタポンプ
9 補助ポンプ
11 海水ポンプ
31 加熱管
40,50 伝熱管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10