(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321753
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】二重容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20180423BHJP
B65D 8/06 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
B65D81/38 E
B65D8/06 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-208572(P2016-208572)
(22)【出願日】2016年10月25日
(65)【公開番号】特開2018-70182(P2018-70182A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2016年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】591007295
【氏名又は名称】厚木プラスチック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222783
【氏名又は名称】東洋水産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 和夫
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 敏博
【審査官】
矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−007631(JP,U)
【文献】
実開平04−102272(JP,U)
【文献】
実開昭56−166232(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
B65D 6/00−13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部の横断面が非円形である内容器と、少なくとも一部の横断面が非円形である外容器とを有し、前記内容器と前記外容器との間に空間が設けられ、上端部が開口したカップ状の二重容器であって、
前記内容器の筒状の側壁の外周面において、縦方向に延在するとともに、所定の間隔を空けて複数配設されたリブと、
前記外容器の筒状の側壁の内周面に配設され、前記リブに干渉することで、前記内容器と前記外容器との相対的な回転を規制可能な回転規制手段と
を有し、
前記回転規制手段は、縦方向に延設されるとともに前記リブを挟持して固定する溝状の固定部と、前記リブを前記固定部までガイドするように下方に向けて幅が小さくなるガイド部とを備え、
当該回転規制手段により、前記内容器と前記外容器との相対回転が、前記内容器と前記外容器との干渉により両者の離間方向の力が生じない範囲内に規制される
ことを特徴とする二重容器。
【請求項2】
前記内容器および前記外容器はそれぞれ、筒状の側壁の一方側に形成された開口部は円形であり、該側壁の他方側に形成された底壁は4つの角部が円弧形状の略矩形形状であることを特徴とする請求項1に記載の二重容器。
【請求項3】
前記リブは、少なくとも前記内容器における底壁の各円弧形状の中央部を通る位置に配設され、
前記回転規制手段は、前記内容器における底壁の円弧形状の中央部に位置する前記リブに干渉するように、前記外容器における底壁の各円弧形状の中央部の上方側近傍に位置する
ことを特徴とする請求項2に記載の二重容器。
【請求項4】
前記外容器の底壁には略矩形形状の突出部が形成され、前記内容器の底壁には、前記突出部と嵌合可能な略矩形形状の突設部が形成されることを特徴とする請求項2または3に記載の二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容器および外容器からなるカップ状の二重容器に関し、さらに詳細には、内容器と外容器との間に形成された空間によって断熱効果を備える二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内容器と外容器との二重構造とし、容器間に形成された空間によって断熱効果を備えるようにしたカップ状の二重容器が知られている。こうした二重容器では、内容器を外容器に装着した後に、各容器の一部分を溶着するようにしていた。なお、作製工程の簡素化を目的として、溶着工程を省く技術が検討されており、こうした技術として、例えば、特許文献1に開示された技術が知られている。
【0003】
この特許文献1では、内容器の外周面の上部から底部近傍まで上下方向に延在する複数の側部突設部を設けるようにした。なお、この側部突設部は、内容器を外容器に装着した際に、外容器の内周面と当接するようにした。また、外容器の内側の底壁に放射状の底部突設部を設けるとともに、内容器の外側の底壁に環状の底部突設部を設け、内容器を外容器に装着した際に、この2つの底部突設部が当接するようにした。これにより、内容器と外容器とが相対的に回転した際に、側部突設部と外容器の内周面との間に生じた摩擦力および2つの底部突設部の間に生じた摩擦力によって、回転し難くなるものとされている。なお、特許文献1では、外容器の底部突設部を側壁まで延長して形成した側部突設部と内容器の側部突設部とを当接するようにして、回転を抑制することができるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2545154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、当接した部分の摩擦力によって回転を抑制しているため、人の手などが加われば、比較的容易に回転してしまっていた。なお、内容器と外容器とに設けられた側部突設部を当接することで内容器と外容器との相対的な回転を抑制することができるが、側部突設部はそれぞれ隣接する側部突設部との間に所定の間隔が設けられているため、当該所定の間隔に応じた範囲で回転可能となってしまっていた。
【0006】
また、二重容器については、他商品との差別化やデザイン性などの観点から種々の形状が提案されており、例えば、開口形状と底壁の形状とが異なる形状のものなど、その形状は多岐に亘っている。このため、底壁から開口部に向かって広がって形成されるカップ状の二重容器では、開口部や底壁が、非円形、例えば、楕円形状や略多角形状の場合には、この種の容器が一般に上方ほど拡開した形状を有することと相まって、内容器と外容器とを相対的に回転すると、両者の干渉により、外容器から内容器が浮き上がる方向(離間する方向)に力が生じてしまう。このため、外容器と内容器とを相対的に回転することで、内容器と外容器とが比較的容易に分離してしまっていた。
【0007】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、溶着しなくても、内容器を外容器に装着した際に、内容器と外容器とが分離し難い二重容器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明による二重容器は、少なくとも一部の横断面が非円形である内容器と、少なくとも一部の横断面が非円形である外容器とを有し、上記内容器と上記外容器との間に空間が設けられ、上端部が開口したカップ状の二重容器であって、上記内容器の筒状の側壁の外周面において、縦方向に延在するとともに、所定の間隔を空けて複数配設されたリブと、上記外容器の筒状の側壁の内周面に配設され、上記リブに干渉することで、上記内容器と上記外容器との相対的な回転を規制可能な回転規制手段とを有し、上記回転規制手段により、上記内容器と上記外容器との相対回転が、上記内容器と上記外容器との干渉により両者の離間方向の力が生じない範囲内に規制されるようにしたものである。
【0009】
また、本発明による二重容器は、上記回転規制手段は、縦方向に延設されるとともに上記リブを挟持して固定する溝状の固定部と、上記リブを上記固定部までガイドするように下方に向けて幅が小さくなるガイド部とを有するようにしたものである。
【0010】
また、本発明による二重容器は、上記内容器および上記外容器はそれぞれ、筒状の側壁の一方側に形成された開口部は円形であり、該側壁の他方側に形成された底壁は4つの角部が円弧形状の略矩形形状であるようにしたものである。
【0011】
また、本発明による二重容器は、上記リブは、少なくとも上記内容器における底壁の各円弧形状の中央部を通る位置に配設され、上記回転規制手段は、上記内容器における底壁の円弧形状の中央部に位置する上記リブに干渉するように、上記外容器における底壁の各円弧形状の中央部の上方側近傍に位置するようにしたものである。
【0012】
また、本発明による二重容器は、上記外容器の底壁には略矩形形状の突出部が形成され、上記内容器の底壁には、上記突出部と嵌合可能な略矩形形状の突設部が形成されるようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、内容器に形成されたリブが、外容器に形成された回転規制手段に干渉することで、内容器と外容器との相対的な回転が、内容器と外容器との干渉により両者の離間方向の力が生じない範囲に規制されるため、内容器と外容器とを装着すると容易に分離することができなくなる。また、例えば、開口部に向かって拡開するようなテーパー形状の場合であっても、内容器と外容器とを容易に回転することができないため、内容器と外容器とを分離し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1(a)は、本発明による二重容器の概略構成斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)のIb−Ib線断面図である。
【
図2】
図2(a)は、内容器の概略構成斜視図であり、
図2(b)は、内容器の底面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図2(a)のIIIa−IIIa線断面図であり、
図3(b)は、内容器における鍔部近傍の断面図である。
【
図4】
図4(a)は、外容器の概略構成斜視図であり、
図4(b)は、外容器の平面図である。
【
図5】
図5(a)は、
図4(a)のVa−Va線断面図であり、
図5(b)は、外容器に内容器が装着されたときの鍔部近傍の断面図である。
【
図6】
図6(a)は、回転規制部材の正面図であり、
図6(b)は、回転規制部材の概略構成斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による二重断熱容器の一例を詳細に説明するものとする。
図1(a)(b)に示す二重容器10は、内部に液体を貯留可能なカップ状容器であって、カップ状に形成された内容器12および外容器14から構成されており、内容器12と外容器14との間には空間が形成された二重構造となっている。
【0016】
内容器12は、筒状の側壁12cの上方側(一方側)に形成された開口部12aが下方側(他方側)に形成された底壁12bよりも大きく、側壁12cがテーパー状となるカップ形状であって、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂材料により形成されている(
図2(a)、
図3(a)を参照する。)。開口部12aは円形で開口し、底壁12bは4つの角部が円弧形状の略矩形形状に形成されている(
図2(b)を参照する。)。底壁12bでは、その下面の外周に沿って、底壁12bに対して垂直方向に突出する底部突設部22が設けられている。これにより、内容器12の下端部には、底部突設部22により形成された略矩形形状の開口部22aが形成される。また、内容器12の側壁12cには、内容器12が外容器14に装着された際に、その外周面が外容器14の内周面と当接可能な領域S1と、当接不可能な領域S2とが形成されている。
【0017】
側壁12cの外周面には、領域S2から底部突設部22まで延在するリブ24が、一定の間隔を空けて複数配設されている。即ち、リブ24は、側壁12cの外周面に沿って縦方向で延長されるとともに、高さhを有して形成される。なお、本実施形態において縦方向とは、内容器12を外容器14に挿入するときの方向であって、開口部12a、14aおよび底壁12b、14bと交差する方向である。このとき、リブ24の上端部は領域S1の下端部に位置し、リブ24の下端部は底部突設部22の下端部に位置している。これにより、内容器12が外容器14に装着された際には、内容器12における側壁12cの領域S1が外容器14の内周面に当接するとともに、側壁12cの領域S2ではリブ24の端面24aが外容器の内周面に当接するようになる。なお、リブ24は、上記したように側壁12cの外周面に一定の間隔を空けて複数配設されているが、このとき、リブ24は、少なくとも底壁12bの各円弧形状の中央部を通る位置に配設されることが好ましい。なお、底壁12bの円弧形状の中央部とは、略矩形形状の底壁12bの円弧形状の曲線部12b−1の隣り合う2つの直線部12−2との接続点P1から等距離にある曲線部12b−1上の点P2となる。
【0018】
開口部12aでは、開口縁周りに鍔部26が設けられている。この鍔部26は、開口の径方向外側に向かって延設された延設部26−1と、延設部26−1の先端において下方側に延設された延設部26−2とにより構成されている(
図3(b)を参照する。)。この鍔部26によって、開口部12aは開口縁周りが補強されることとなる。また、延設部26−2では、側壁12cと対向する内面26−2aに、側壁12c側に突出した凸部26−2bが形成されている。内容器12を外容器14に装着する際には、この鍔部26内(つまり、側壁12cおよび延設部26−1、26−2で囲われた領域内である。)に外容器14の鍔部36(後述する。)を嵌合して、鍔部36が延設部26−1の内面26−1aと当接した状態となる(
図5(b)を参照する。)。
【0019】
また、外容器14は、内容器12と同様に、側壁14cの上方側に形成された開口部14aが下方側に形成された底壁14bよりも大きく、側壁14cがテーパー状となるカップ形状であって、例えば、ポリプロピレンなどの樹脂材料により形成されている(
図4(a)、
図5(a)を参照する。)。開口部14aは円形で開口し、底壁14bは4つの角部が円弧形状の略矩形形状に形成されている(
図4(b)を参照する。)。底壁14bの内側には、内容器12の底部突設部22の開口部22aが嵌合可能に突出した、略矩形形状の突出部32が形成されている。なお、この突出部32は、開口部22aと嵌合した際に、開口部22aの内周面に緊密に当接するように形成されている。開口部14aの開口縁周りには、鍔部36が設けられており、この鍔部36は、開口の径方向外側に向かって、長さL1となるよう延設されている(
図5(b)を参照する。)。なお、長さL1は、内容器12の鍔部26における凸部26−2bと側壁12cとの間隙G1よりも長く、かつ、延設部26−1の内面26−1aの長さL2よりも短く設計される。このため、
図5(b)に示すように、鍔部26内に鍔部36が嵌合すると、鍔部26における凸部26−2bによって、鍔部36は、容易に鍔部26との嵌合状態を解除することができなくなる。
【0020】
側壁14cの内周面には、内容器12のリブ24を固定可能な4つの回転規制部材34(回転規制手段)が設けられている。具体的には、回転規制部材34は一対の突起からなり、側壁14cの内周面において、底壁14bの各円弧形状の上方側近傍に設けられており、内容器12を外容器14に装着した際に、内容器12の底壁12bの各円弧形状中央部を通る位置に配設されたリブ24を固定可能な溝部38が設けられている(
図6を参照する。)。この溝部38は、ガイド部38−1と固定部38−2とを有して構成されている。
【0021】
ガイド部38−1は、固定部38−2の上方側に位置し、上方側から下方側に向かってその幅が小さくなるよう形成されており、内容器12を外容器14に装着する際に、底壁12bの円弧形状中央部を通る位置に配設されたリブ24を固定部38−2までガイド可能な構成となっている。即ち、底壁12bの円弧形状中央部に位置するリブ24の下端部が、傾斜面38−1aに当接しながら移動することで固定部38−2までガイドされることとなる。
【0022】
また、固定部38−2は、ガイド部38−1によってガイドされたリブ24が挿入され、挿入されたリブ24を挟持、即ち、リブ24の厚さ方向の両面に当接して固定可能な幅Wを備えた溝状に形成されている。さらに、固定部38−2は、縦方向に延設されており、これにより、内容器12が外容器14に装着される際に、底壁12bの円弧形状中央部を通る位置に配設されたリブ24が挿入可能となっている。このように、固定部38−2では、リブ24を挟持して固定する構成であるため、固定部38−2が内容器12と外容器14との相対的な回転を規制可能な構成となっている。即ち、固定部38−2は、内容器12と外容器14とが相対的に回転する方向に付勢された際には、固定部38−2のリブ24との接触面38−2aが、リブ24の側面(厚さ方向の両面)を押圧して回転を規制することとなる。
【0023】
以上の構成において、内容器12を外容器14に装着する場合には、まず、外容器14の開口部14aを介して、底壁12b側から外容器14の側壁14c内に内容器12を挿入する。内容器12は、外容器14に挿入されるにともなって、側壁14cの内周面によって回転方向の位置を粗く矯正され、底壁12bの円弧形状部分が、底壁14bの円弧形状部分の上方側近傍に位置することとなる。その後、底壁12bの円弧形状中央部を通る位置に配設されたリブ24が、回転規制部材34の上端まで達すると、リブ24の下端部が回転規制部材34のガイド部38−1によってガイドされながら固定部38−2まで移動し、これにより、リブ24が回転規制部材34に挟持されながら固定されることとなる。その後、内容器12のさらなる挿入により、内容器12の底部突設部22の開口部が外容器14の突出部32に嵌合するとともに外容器14の鍔部36が内容器12の鍔部26に嵌合して、内容器12の外容器14への装着が完了する。
【0024】
ここで、内容器12が外容器14に装着されると、鍔部26と鍔部36との嵌合と、底部突設部22の開口部22aと突出部32との嵌合とによって、外容器14に対して内容器12が離間する方向への移動が規制される。また、底部突設部22の開口部22aと突出部32との嵌合と、底壁12bの円弧形状中央部を通る位置に配設されたリブ24の回転規制部材34による固定とによって、外容器14に対する内容器12の回転が規制される。このように、内容器12と外容器14とにより構成される二重容器10では、内容器12が外容器14に装着されると、外容器14に対する内容器12の相対的な回転が規制されることとなる。このため、内容器および外容器の構成部材による摩擦力や、所定の間隔で設けられた構成部材同士の当接によって、外容器と内容器との相対的な回転を抑制するようにした技術(例えば、特許文献1に開示された技術である。)と比較して、内容器と外容器とが分離され難くなる。
【0025】
次に、内容器12および外容器14の製造方法について説明する。内容器12および外容器14は、例えば、射出成形など従来より公知の技術を用いることができる。なお、外容器14については特に、図柄が印刷されたフィルムを金型内に配置し、射出成形の際の樹脂の熱によって、成形と同時に成形品に対して、フィルムに印刷されていた図柄を転写する、所謂、インジェクションインモールド成形により成形することが好ましい。こうしたインジェクションインモールド成形により成形された外容器14では、例えば、印刷やフィルムの圧着などにより外周面に形成された図柄と比較して、図柄の歪みがなく、かつ、発色性に優れるなどの効果が得られることとなる。
【0026】
以上において説明したように、本発明による二重容器10では、内容器12の底壁12bを4つの角部が円弧形状に形成された略矩形形状とし、外容器14の底壁14bを4つの角部が円弧形状に形成された略矩形形状とした。また、内容器12の外周面には、所定の間隔を空けてリブ24を複数配設するようにし、このリブ24は、少なくとも底壁12bの各円弧形状の中央部を通る位置に配設されるようにした。さらに、外容器14の内周面における底壁14bの各円弧形状の上方側近傍には、底壁12bの各円弧形状の中央部を通る位置に配設されたリブ24を挟持して固定可能な回転規制部材34を配設するようにした。これにより、本発明による二重容器10では、回転規制部材34により固定されたリブ24によって、内容器12と外容器14との相対的な回転が規制される。このため、内容器12が外容器14に装着された二重容器10では、内容器12と外容器14とを分離し難くなる。さらに、内容器12を外容器14に溶着することなく固定することができるようになる。
【0027】
さらに、本発明による二重容器10では、内容器12を外容器14に装着した際には、内容器12において底部突設部22によって略矩形形状で開口した開口部22aと、外容器14の底壁14bに設けられた略矩形形状の突出部32とが緊密に当接して嵌合するようにした。これにより、二重容器10では、さらに、内容器12と外容器14との相対的な回転が規制されることとなり、内容器12と外容器14とをより分離し難くなる。
【0028】
また、回転規制部材34において、リブ24を挟持して固定する固定部38−2の上方側に、リブ24を固定部38−2までガイドするガイド部38−1を形成するようにした。これにより、リブ24を固定部38−2に挟持させやすくなり、作業性が向上することとなる。また、回転規制部材34は、外容器14における側壁14cのうち比較的変形し難い位置に形成されているため、外部からの力によって二重容器10の形状が変形したとしても、リブ24を挟持し続けることができる。
【0029】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(5)に示すように変形するようにしてもよい。
【0030】
(1)回転規制部材34の配設位置については、底壁14bの各円弧形状の上方側近傍に限定されるものではなく、外容器14の側壁14cの内周面であって、リブ24(底壁12bの円弧形状の中央部を通る位置に配設されていないリブも含む)を固定部38−2で挟持可能な位置であればどのような位置であってもよい。なお、外部からの力による二重容器10の変形に対応するには、当該力によって変形し難い位置に回転規制部材34を配設することが好ましい。また、回転規制部材34は、1から3つ、あるいは、5つ以上設けるようにしてもよく、底壁12b、14bの形状などに基づいて、内容器と外容器との相対的な回転を効果的に規制することができる位置に設けるようにすればよい。
【0031】
(2)二重容器10については、開口部12a、14aを円形とし、底壁12b、14bを4つの角部が円弧形状の略矩形形状に限定されるものではない。即ち、内容器12と外容器14とは、それぞれ上下方向の少なくとも一部に非円形の横断面を有するものであればよく、例えば、開口部は真円でなくてもよい。さらに、そのような非円形の横断面は、四角形以外の多角形の角部分を円弧形状とした略多角形状や楕円形状であってもよい。また、開口部12a、14aと底壁12b、14bとは、互いに同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0032】
(3)上記した実施の形態では、回転規制部材34の固定部38−2がリブ24を挟持するようにしたが、回転規制部材34は、内容器12と外容器14との相対回転が、これら内容器12と外容器14との干渉(特に、内容器12の外周面と外容器14の内周面との干渉)により、両者の離間方向の力が生じない範囲内に規制される限りにおいて、リブ24の回転方向の移動を許容するものであってもよい。
【0033】
(4)内容器12および外容器14を成形する際に用いる材料としては、ポリプロピレンに限定されるものではない。即ち、用途や製造コストなどを考慮して種々の樹脂材料を用いるようにしてもよい。また、外容器14に対する内容器12の離間方向の移動を規制する構成としては、特許文献1に開示されている技術など、従来より公知の技術を用いるようにしてもよい。
【0034】
(5)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(4)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、断熱効果を必要とするカップ状容器として用いて好適である。
【符号の説明】
【0036】
10 二重容器
12 内容器
14 外容器
24 リブ
26、36 鍔部
32 突出部
34 回転規制部材
38 溝部
38−1 ガイド部
38−2 固定部