(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321774
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】可撓性のバルブを備えた無針コネクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/26 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
A61M39/26
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-500342(P2016-500342)
(86)(22)【出願日】2014年2月21日
(65)【公表番号】特表2016-510652(P2016-510652A)
(43)【公表日】2016年4月11日
(86)【国際出願番号】US2014017826
(87)【国際公開番号】WO2014143529
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年1月19日
(31)【優先権主張番号】13/829,227
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾリンガー、クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】イェー、ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、ジョージ ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】クワック、マシュー
【審査官】
和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−522729(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/112866(WO,A2)
【文献】
国際公開第2011/060384(WO,A1)
【文献】
特表2013−500128(JP,A)
【文献】
特表2002−514475(JP,A)
【文献】
特表2007−500537(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0030386(US,A1)
【文献】
特開2012−024565(JP,A)
【文献】
特開平09−182790(JP,A)
【文献】
特表2005−511162(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0270756(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ用の可撓性のバルブ(100)であって、
上部(112)と、外周面を有する柱部(118)と、頭部(110)を通って長手方向に延在する軸心(101)と、該柱部(118)に配置される少なくとも1つのノッチ(114)とを有する頭部(110)であって、
前記少なくとも1つのノッチ(114)は、前記軸心(101)に垂直な断面において前記外周面の一部を含まないように配置され、
前記上部(112)が上部平面(116)を有し、該上部平面(116)は、前記可撓性のバルブ(100)がコネクタの筐体(440)内にまだ挿入されていないときに前記軸心(101)に対して1°から30°の間の非垂直の角度(α)を有する、前記頭部(110)と、
前記頭部(110)に結合されている1次封止部分と、
前記1次封止部分に結合されている下側部分と
を備え、
前記可撓性バルブ(100)は、前記軸心(101)に対して実質的に垂直である、前記上部平面(116)の結果として得られる面を有するように構成され、前記頭部(110)が、前記コネクタの筺体(440)の前記ポート・チャネル(456)と係合されているときに、前記上部平面(116)は、前記コネクタの筺体(440)のポート上面と実質的に面一である、前記可撓性のバルブ(100)。
【請求項2】
前記上部平面の非垂直の角度が、前記少なくとも1つのノッチ(114)の形状及び大きさのうちの少なくとも1つに基づいて規定される、請求項1に記載の可撓性のバルブ(100)。
【請求項3】
前記上部平面(116)の一部分が、垂直の断面(301)の上方に配置され、前記少なくとも1つのノッチ(114)の上方に配置され、前記垂直の断面(301)が前記柱部(118)の前記軸心(101)に対して垂直であるように、前記上部平面(116)の非垂直の角度が規定される、請求項1に記載の可撓性のバルブ(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのノッチが、第1のノッチ(214a)と、第2のノッチ(214b)とを備える、請求項3に記載の可撓性のバルブ(100)。
【請求項5】
前記第1のノッチ(214a)が、前記第2のノッチ(214b)よりも大きく前記柱部(118)からくぼむ凹部体積を有し、前記垂直の断面(301)の上方の前記上部平面(116)の前記一部分が、前記第1のノッチ(214a)の上方に配置されるように、前記非垂直の角度が規定される、請求項4に記載の可撓性のバルブ(100)。
【請求項6】
前記第1のノッチ(214a)が、前記第2のノッチ(214b)の上端よりも前記上部(112)に近接する上端を有し、前記垂直の断面(301)の上方の前記上部平面(116)の前記一部分が、前記第1のノッチ(214a)の上方に配置されるように、前記上部平面(116)の前記非垂直の角度が規定される、請求項4に記載の可撓性のバルブ(100)。
【請求項7】
前記第1のノッチ(214a)が、前記第2のノッチ(214b)よりも前記軸心(101)に近接して延在し、前記垂直の断面(301)の上方の前記上部平面(116)の前記一部分が、前記第1のノッチ(214a)の上方に配置されるように、前記上部平面(116)の前記非垂直の角度が規定される、請求項4に記載の可撓性のバルブ(100)。
【請求項8】
前記封止構成において、前記頭部(110)が、前記コネクタの筺体(440)の前記ポート・チャネル(456)と係合されているときに、前記上部平面(116)の前記結果として得られる面が、前記軸心(101)に対して実質的に垂直であるように、前記上部平面(116)の前記非垂直の角度が規定されている、請求項1に記載の可撓性のバルブ(100)。
【請求項9】
前記頭部(110)が、エラストマー材料を含む、請求項1に記載の可撓性のバルブ(100)。
【請求項10】
前記頭部(110)の前記エラストマー材料が、シリコーン化合物を含む、請求項9に記載の可撓性のバルブ(100)。
【請求項11】
前記1次封止部分及び前記下側部分が、エラストマー材料を含む、請求項9に記載の可撓性のバルブ(100)。
【請求項12】
前記頭部(110)の前記エラストマー材料が、前記下側部分の前記エラストマー材料よりも、高いデュロメータ値を有する、請求項11に記載の可撓性のバルブ(100)。
【請求項13】
前記1次封止部分が、前記頭部(110)の前記柱部(118)の断面領域よりも大きい断面領域を含む、請求項1に記載の可撓性のバルブ(100)。
【請求項14】
前記下側部分が、前記1次封止部分に近位の閉塞端と、前記1次封止部分に遠位の開口端とを有する、細長の管状部材を備える、請求項1に記載の可撓性のバルブ(100)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1つに記載の前記可撓性のバルブ(100)と、
内部のキャビティ(442)を規定し、前記ポート上面と、前記ポート・チャネル(456)とを有するポート部を備える、前記コネクタの筺体(440)とを備え、
前記可撓性のバルブ(100)は、前記内部のキャビティ(442)の少なくとも一部分内に配置され、前記コネクタの筺体(440)内に移動可能に保持され、
前記頭部(110)は、前記コネクタの筺体(440)の前記ポート・チャネル(456)と摺動可能に係合される、無針コネクタ・アセンブリ(400)。
【請求項16】
前記可撓性のバルブ(100)が、
前記コネクタの筺体(440)の内部のシール・エッジと移動可能に係合され、前記頭部(110)に結合されている、1次封止部分と、
前記1次封止部分に結合されている下側部分と、
を更に備える、請求項15に記載の無針コネクタ・アセンブリ(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、一般に、無針コネクタに関し、より詳細には、可撓性のバルブを有する無針コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療処置には、「IVセット」と一般に呼ばれる、可撓性のチュービング及びフィッティングの構成を通り、例えばIVバッグなどの流体源に連結される静脈内(IV:intravenous)カテーテルを用いて、患者へ医療用流体(例えば、生理食塩水又は液薬)を輸液することがしばしば含まれる。
【0003】
ある種の無針コネクタは、IVセットで用いられることができ、自己封止特徴部を有し、かかる無針コネクタから、相手側の医療器具が分離されるときに、取り付けられたチュービングからの流体の漏れを防止することができる。加えて、無針コネクタは、自己封止特徴部を提供し、IVセット内の流体の流れを制御する、機械バルブを含むこともできる。
【0004】
ある種の無針コネクタは、例えば、無針コネクタのポートから取り外され、雄型ルアーの先端部により可撓性のバルブに対する圧力が開放されると、元の位置に戻ることで自己封止する可撓性のバルブを用いている。しかしながら、ある種のバルブは、元の位置に戻るときに、1次封止に沿って自己封止するが、ポートの開口部に近位の、可撓性のバルブの一部分は、典型的にポートの開口部の隣接面と面一にはならないであろう。ポートの開口部に面一の外的な封止がないと、無針コネクタが閉位置にあるときに、無針コネクタの内部から一部の流体が漏れる、及び/又は、ポートの開口部に形成された凹部内で乾燥する、若しくは凝固する恐れがある。更には、非面一の外的な封止により生じる、ポートの開口部の外面からのこのような凹部、小さな細隙、又は他のめり込み(penetration)が、無針コネクタの一部分内に細菌又は他の汚染物を捕捉してしまうかもしれない。
WO2006/078355A1は、バルブ付き雄型ルアー・コネクタを開示している。雄型ルアー・コネクタは、雌型ルアー・コネクタに取り付けられ、このコネクタ間に医療用流体のフロー・チャネルを開放する。雄型コネクタは、2つの内部バルブと、真空状態形成構造体とを有する。2つのバルブと、真空状態形成構造体は、非係合の間、コネクタ間の境界面に残るいずれの流体も雄型コネクタに引き戻し、次いで雄型コネクタの遠位の先端部を封止するように構成されている。
WO2004/112866A2は、針不要のアクセス・デバイスなどの流体処理デバイスを開示している。流体処理デバイスは、入口と、入口チャネルとを有する筺体を含む。流量制御部材は、出口・付勢体・ピストンの組み合わせ部材(combination outlet, biasing and piston member)を備える。流量制御部材は、ピストン部が入口チャネルに位置する閉塞位置と、ピストン部が入口チャネル下方の筺体の内側に位置し、流体が入口チャネルを通って流れることを可能にする開放位置との間で移動可能な、ピストン部を含む。
WO2013/122148Alは、中間的な文書である。それは、雄部材用カバーを開示している。頭部が、弾性的に圧縮変形することができる外周壁の一端に配置されている。外周壁には、中心軸方向の圧縮力により変形する複数の圧縮ユニットが設けられている。
米国特許出願公開第2007/0270756(Al)は、無針アクセス・ポート・バルブを開示している。無針アクセス・ポート・バルブは、一体的に形成されたえら型シース(gilled sheath)を含むピストンを備える。シースは、バルブの筺体に固定されており、医療器具が取り外されると、芯部を第2の位置から第1の位置へ戻してバルブを閉鎖するために必要な反動機能(recoil function)を提供する。
WO2011/060384A1は、無針アクセス・コネクタのプライミング量を減らす、無針アクセス・コネクタで用いられるコラプシブル・バルブ(collapsible valve)を開示している。更に、 プライミング量が少ない無針アクセス・コネクタが開示されており、プライミング量が少ない無針アクセス・コネクタを用いて、第1の医療デバイスを第2の医療デバイスに連結する方法が開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の主題は、可撓性のバルブを有するコネクタに関する。特定の実施例において、上部と、頭部の軸心を規定
し、外周面を有する柱部と
、柱部に配置される少なくとも1つの不連続部とを有する頭部であって、
少なくとも1つの不連続部は、軸心に垂直な断面において外周面の少なくとも一部を含まないように配置され、上部が
、軸心に対して非垂直の上部平面を含む、頭部と、頭部に結合されている1次封止部分と、1次封止部分に結合されている下側部分とを備える、コネクタ用の可撓性のバルブが記載される。
【0006】
特定の実施例において、内部のキャビティを規定し、ポート上面と、ポート・チャネルとを有するポート部を備える、コネクタの筺体と、内部のキャビティの少なくとも一部分内に配置され、コネクタの筺体内に移動可能に保持される可撓性のバルブとを備え、可撓性のバルブが、コネクタの筺体のポート・チャネルと摺動可能に係合され、上部と、頭部の軸心を規定する柱部とを備える頭部であって、可撓性のバルブが、コネクタの筺体内に配置されていないときに、上部が、柱部の軸心に対して非垂直である上部平面を含む、頭部を備え、封止構成において、頭部が、コネクタの筺体のポート・チャネルと係合されているときに、可撓性のバルブの頭部の上部平面が、頭部の柱部の軸心に対して実質的に垂直である、結果として得られる面(resulting plane)を有する、無針コネクタが記載される。
【0007】
本開示には、本発明の主題技術の様々な構成が、例として示され、記載されており、本開示から、本発明の主題技術の様々な構成が、当業者には容易に明らかになることを理解されたい。後に理解されるように、本発明の主題技術は、全て主題技術の範囲から逸脱することなしに、別の異なる構成となることができ、その複数の詳細は、様々な別の点において修正されることができる。従って、課題を解決するための手段、図面、及び発明を実施するための形態は、本質的に例示的なものであり、制限的なものではないと理解されるべきである。
【0008】
添付図面は、更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、開示された実施例を例示し、本開示の実施例の原理を説明とともに明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】バルブ、及びコネクタ内で用いられるバルブの断面図である。
【
図1B】バルブ、及びコネクタ内で用いられるバルブの断面図である。
【
図1C】バルブ、及びコネクタ内で用いられるバルブの断面図である。
【
図1D】バルブ、及びコネクタ内で用いられるバルブの断面図である。
【
図2】本発明の開示の様々な態様による、可撓性のバルブの実例を示す正面平面図である。
【
図3】本発明の開示の様々な態様による、可撓性のバルブの実例を示す断面図である。
【
図4】本発明の開示の様々な態様による、可撓性のバルブの実例を示す正面平面図である。
【
図5】本発明の開示の様々な態様による、可撓性のバルブの実例を示す断面図である。
【
図6】本発明の開示の様々な態様による、可撓性のバルブの頭部の実例を示す部分断面図である。
【
図7】本発明の開示の様々な態様による、無針コネクタ・アセンブリの実例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の、発明を実施するための形態は、本発明の主題技術の様々な構成の説明を意図するものであり、本発明の主題技術が実施され得る唯一の構成の提示を意図するものではない。添付図面は、本明細書に組み込まれ、発明を実施するための形態の一部を構成する。発明を実施するための形態は、本発明の主題技術の完全な理解を提供する目的で特定の詳細を含む。しかしながら、これらの特定の詳細なしに、本発明の主題技術が実施され得ることが、当業者には明らかであろう。いくつかの実例において、理解を容易にするために、類似の構成部品には、同じ要素番号で標示が付される。
【0011】
図1Aは、バルブ10aを示し、
図1Bは、コネクタ11a内のバルブ10aを示す。バルブ10aは、中実の頭部22と、コネクタ11a内の流体流路を塞ぐ1次封止を形成するために用いられることができるショルダ部30とを有する。頭部22の上面24は、概して、頭部22及び/又はバルブ10aの長手方向軸に対して垂直であるので、上面24は、概して、コネクタ11aのポート52の端面53と面一となることができる。バルブ10aには、バルブ10aがコネクタ11a内で閉位置にあるときに、コネクタ11aのポート52の端面53と整合し、ポート52において平面を提供する、垂直の上面24が形成されている。バルブ10aは、概して、円筒形の壁部28により限定される、内部の空気空間32を含む。垂直の上面24に軸方向の力が印加されると、バルブ10aの円筒形の壁部28がつぶれる。
【0012】
図1Bに示すように、コネクタ11aは、本体50のキャビティ51内に配置されるバルブ10aを含む。バルブ10aは、
バルブ10aが、コネクタ11aを通る流体流路を塞ぐ1次封止を形成する、非作動状態(すなわち、相手側のコネクタに連結されていない状態)にあるときに、キャビティ51内のリッジ54と継続的に接触するショルダ部30を有する。同時に、バルブ10aの垂直の上面24は、キャビティ51のポート52及び端面53と概して面一に配置され、バルブl0aの上面24が、ポート52を封止する。連続的な上面(すなわち、端面53及び上面24)は、典型的に、中実な頭部を有するバルブが提供され、連続的な上面に、細菌又は他の汚染物を捕捉してしまう恐れのある細隙やめり込みがないように意図されている。バルブ10aは、円筒形の壁部28によりキャビティ51から分離されている、内部の空気空間32を有する。空気流路70が示すように、空気空間32は、空気通路56、及び本体50の雄型ルアー・フィッティング39を囲むねじ込み式コネクタ38内の外部キャビティ58を通って周囲環境へ通気されている。
【0013】
図1Cは、バルブ10bを示し、
図1Dは、コネクタ11b内のバルブ10bを示す。バルブ10bは、頭部22の片側、又は頭部22の一部分に形成された切り込み26(例えば「スマイリー・カット(smiley cut)」)を有する。バルブ10aと同様に、バルブ10bの頭部22の上面24もまた、概して、頭部22及び/又はバルブ10bの長手方向軸に対して垂直であるので、上面24は、概して、コネクタ11bのポート52の端面53と面一となることができる。バルブ10bには、バルブ10bがコネクタ11b内で閉位置にあるときに、コネクタ11bのポート52の端面53と整合し、ポート52において平面を提供する意図で、垂直の上面24が形成されている。
【0014】
しかしながら、場合によっては、
図1Dに示すように、
バルブ10bが、コネクタ11bを通る流体流路を塞ぐ1次封止を形成する、非作動状態(すなわち、相手側のコネクタに連結されていない状態)にあるときに、バルブ10bの垂直の上面24は、キャビティ51のポート52及び端面53と、概して面一に配置されない可能性がある。それにより、連続的な上面(すなわち、端面53及び上面24)は得られず、コネクタ11bの上面における凹部、細隙、又はめり込み25が、細菌又は他の汚染物を捕捉してしまう恐れがある。
【0015】
図1A及び1Cに示すような可撓性のバルブは、限定はされないが、無針コネクタ・アセンブリにおいて、複数の複合的な機能を実行することができる。例えば、可撓性のバルブの様々な部分は、限定はされないが、封止機構、封止を破断する作動アーム部材、及び/又は、封止を再構築する弾性のバネ部材などの機能及び特徴部のために用いられることができる。更に、可撓性のバルブの様々な部分は、無針コネクタを通る流体の流れを促進するためのつぶれて傾く機能及び特徴部(collapsing and canting functions and features)を提供することができる。この点について、特定の可撓性のバルブ及び無針コネクタには、支持のための剛性と移動のための可撓性とのつり合いが必要とされ得ることを理解されたい。
【0016】
小型の無針コネクタ、及びそれに対応する小型の可撓性のバルブにおいては、剛性と可撓性双方に対する相反する要求のつり合いをとることが、より難しいということを更に理解されたい。更に、いくつかの無針コネクタの応用例においては、無針コネクタのポートにおいて、可撓性のバルブの外側に面する部分と無針コネクタの筺体との間に、面一の封止を確保することが望ましい。(例えば、上述され、
図1Dに示すように)可撓性のバルブ及び無針コネクタの筺体のこのような面一の外側の封止がないと、無針コネクタの内部から一部の流体が漏れ、ポートにおいてバルブ及びコネクタの筺体との間に形成された凹部内で凝固する恐れがある。ポートの外面のこのような凹部、小さな細隙、又は他のめり込みは、無針コネクタ・アセンブリ内に細菌又は他の汚染物を捕捉する恐れがある。
【0017】
図2及び3は、本発明の開示の実施例に従って構築された例示的な可撓性のバルブを単独で示す。このようなバルブは、本発明の開示の実施例に従って構築された無針コネクタ内で使用される。可撓性のバルブ100は、頭部110と、1次封止部分120と、下側部分130とを備える。頭部110は、可撓性のバルブ100の軸心101を規定する柱部118を有する。軸心101は、可撓性のバルブ100の頭部110を通って長手方向に延在する。しかしながら、特定の実施例において、可撓性のバルブ100の下側部分は、可撓性のバルブ100の頭部又は他の部分と同じ軸心を有さない。例えば、特定の実施例において、下側部分が弾性のS字形状の軸部材を備える場合、可撓性のバルブ100の下側部分は、軸心を有さないことになる。
【0018】
頭部110は、上面116を含む上部112を備える。上面116は、柱部118の軸心101に対して、非垂直の面角度を有する。この点について、頭部110の上部112は、非対称であり、上面116の面は、休止状態又は未利用状態(すなわち、可撓性のバルブ100が、無針コネクタの筺体内にまだ挿入されていない、無針コネクタの構築前)において、軸心101に対して非垂直の角度(α)をなす。非垂直の面角度(α)は、約1°から約30°の間である。特定の実施例において、非垂直の面角度(α)は、約3°である。
【0019】
図2及び3の頭部110は、柱部118の外側に沿って配置された少なくとも1つのノッチ114を備える。
図2及び3の実施例の柱部118は、概して、中実な円筒部を有する。
図3の縦断面図に関連して示すように、少なくとも1つのノッチ114は、柱部118内に弓状形の凹部を備える。しかしながら、ノッチ114の実施態様は、限定はされないが、三角形又は様々な幾何形状断面を有するノッチなど、種々の形状及び大きさを備えてもよいことを理解されたい。
【0020】
特定の実施例において、可撓性のバルブの頭部は、ノッチを含まず、柱部に配置される不連続なセグメントを有する。例えば、柱部の片側又は片側の一部分は、柱部の残りの部分とは異なる材料(又は異なる硬度を有する同一材料)から構成されてもよい。加えて、柱部の片側又は片側の一部分は、中空であってもよく、柱部の他方側又は残りの部分は、中実であってもよい。それにより、頭部の動きに対する、(除去された、又は、抜き取られたノッチの体積と同様の)弾力性の有効な変化を得ることができる。
【0021】
図2及び3を再度参照し、1次封止部分120は、頭部110の柱部の断面領域よりも大きな断面領域を含む。例えば、1次封止部分120は、コネクタの筺体の内部のシール・エッジと係合する、円錐台形面122を備える。円錐台形の1次封止部分120は、頭部110に近位の1次封止部分120の第1の断面領域が、頭部110に遠位の1次封止部分120の第2の断面領域よりも小さくなるように構成されている。言い換えれば、1次封止部分120は、頭部110に向かって狭まり、下側部分130に向かって広がる。
【0022】
下側部分130は、1次封止部分120に近位の閉塞端136と、1次封止部分120に遠位の開口端138とを有する、細長の管状部材131を備える。下側部分130の壁部132が、可撓性のバルブ100の内部の空気空間134を部分的に規定してもよい。いくつかの態様によれば、可撓性のバルブ100は、無針コネクタ・アセンブリで作動する際に、つぶれることができる。
【0023】
この点について、下側部分130は、本発明の開示の異なる実施例による、適切なつぶれる機能性(collapsing functionality)を促進するために、様々なディンプル及び/又は切り目を備える。更に、バルブ1
00の頭部110は、医療器具の雄型ルアー・テーパ型先端部、又は同様の相互接続デバイスとの作動を可能にする、概して円筒形の特性を備えてもよく、下側部分130は、バルブがその中で使用される無針コネクタ装置と連動する、可撓性のバルブの機能及び作動に関連して複数の形状、大きさ、及び性質を備えてもよい。いくつかの態様において、下側部分130が、管状部131を備える場合、この管状部131は、限定はされないが、円筒形、矩形、六角形、管状形などの複数の管状形状を備えてもよい。
【0024】
図4及び5は、本発明の開示の他の実施例に従って構築された可撓性のバルブ200を示す。これらの実施例は、
図2及び3に示すものと同様であるが、ノッチ214a及び214bが、それぞれ頭部210に備わっている。
【0025】
図5の縦断面図に関連して示すように、第1のノッチ214a及び第2のノッチ214bは、特定の実施例による柱部218からくぼむ弓状形の凹部を、それぞれ備える。可撓性のバルブ100に関連して上述したように、ノッチの実施態様は、限定はされないが、三角形又は様々な幾何形状断面を有するノッチなど、種々の形状及び大きさを含むことができる。
【0026】
一態様において、可撓性のバルブの頭部は、第1及び第2のノッチ(又は任意の複数のノッチ)を含まなくてもよく、むしろ、柱部に配置される第1及び第2の不連続なセグメントを有してもよい。それにより、頭部の動きに影響を及ぼす弾力性の変化を得ることができる。
【0027】
図6を参照し、可撓性のバルブ200の頭部210の部分拡大断面図を示す。特定の実施例において、上面216の非垂直の面303は、非垂直の面角度(α)を有する。いくつかの実施例において、頭部210の上部112は、滑動可能に、及び封止可能に、無針コネクタの筺体のポート・チャネル(例えば、
図7のポート・チャネル456参照)と係合する、円周部のリップ215、又はその周囲の同様の突出部も含む。一態様において、上部部分212の垂直の断面301は、軸心201と上面216との交点で規定されてもよい。よって、上面21
6の部分313は、頭部210の垂直の断面301の上方にあるとして規定されてもよく、上面212の部分315は、垂直の断面301の下方にあるとして規定されてもよい。垂直の断面301は、基準面として用いられることができ、柱部218の軸心201に対して垂直である。
【0028】
特定の実施例において、第1のノッチ214aは、第2のノッチ214bよりも大きな体積323aを有する。
図6の断面図に示すように、第2のノッチ214bの体積323bは、第1のノッチ214aの体積323aよりも小さい。よって、非垂直の面303は、垂直の断面301の上方の上面212の部分313が、第1のノッチ214aの上方に配置されるように規定されてもよい。
【0029】
一態様において、第1のノッチ214aは、第2のノッチ214bよりも、上部212の下端213により近い(又は、1次封止部分220から距離337だけ離れた)上端334aを有してもよい。
図6の断面図に示すように、第2のノッチ214bの上端334bとの間の距離335は、第1のノッチ214aの距離333よりも、上部212の下端213から離れている(又は、1次封止部分220まで距離339の近い位置にある)。よって、非垂直の面303は、垂直の断面301の上方の上面212の部分313が、第1のノッチ214aの上方に配置されるように規定されてもよい。
【0030】
引き続き
図6を参照し、一態様において、第1のノッチ214aは、(柱部218内の第1のノッチ214aの最深点に関して)第2のノッチ214bよりも、軸心201に近接して延在してもよい。
図6の断面図に示すように、第2のノッチ214bの最深点と軸心201との間の距離345は、第1のノッチ214aの最深点と軸心201との間の距離343よりも長い。よって、非垂直の面303は、垂直の断面301の上方の上面212の部分313が、第1のノッチ214aの上方に配置されるように規定されてもよい。
【0031】
第1のノッチ214a及び第2のノッチ214bは、概して、柱部218を挟んで互いに対向するように示されているが、3つ以上のノッチを含む、柱部の少なくとも1つのノッチの他の構成も想定されていることを理解されたい。
【0032】
可撓性のバルブ100、200の実施例は、無針コネクタ及び他の医療器具用の機械バルブを生産するために用いられる、任意の様々な材料を含むことができる。いくつかの実施態様において、頭部110、210は、限定はされないが、シリコーン化合物などのエラストマー材料から構成されてもよい。更に、1次封止部分120、220、及び下側部分130、230は、エラストマー材料を含んでもよい。例えば、いくつかの実施態様において、頭部110、210、及び1次封止部分120、220は、ショアA硬度スケールで約70のデュロメータ値を有してもよい。特定の実施態様において、全ての又はいくつかの可撓性のバルブは、70のショアA硬度のデュロメータ値を有するWacker ELASTOSIL(登録商標) LR 3003 Seriesの液状シリコーン・ゴムから構成されてもよい。
【0033】
加えて、特定の実施例によれば、頭部のエラストマー材料は、下側部分のエラストマー材料よりも高いデュロメータ値を有してもよい。例えば、頭部及び1次封止部分は、1次封止の係合を解除するために、より頑丈な構造を必要とし得るが、無針コネクタ内の流体流路の促進に関連する下側部分のつぶれる機能性は、作動に寄与する、より撓みやすい材料又は組成物から利益を受けることができる。
【0034】
図7は、可撓性のバルブ200を備える無針コネクタ・アセンブリの実例を示すが、特定の実施例において、可撓性のバルブ200を可撓性のバルブ100で置き換えることができる。例えば、無針コネクタ・アセンブリ400は、コネクタの筺体440と、可撓性のバルブ200とを備える。コネクタの筺体440は、内部のキャビティ442を規定し、ポート上面45
3と、ポート・チャネル456とを有するポート部452を備える。コネクタの筺体440は、内部のシール・エッジ454も備える。
【0035】
可撓性のバルブ200は、内部のキャビティ442の少なくとも一部分内に配置され、コネクタの筺体440内に移動可能に保持されている。この点について、可撓性のバルブ200は、(例えば、医療器具の雄型ルアー・テーパ型先端部をポート・チャネル456に挿入し)流体の流れを促進するために移動可能であるが、弾性的に復元し内部のシール・エッジ454と係合するように、内部のシール・エッジ454は構成されている。可撓性のバルブ200は、内部のシール・エッジ454により、少なくとも部分的にコネクタの筺体440内に保持されている。
【0036】
可撓性のバルブ200の頭部210は、コネクタの筺体440のポート・チャネル456と摺動可能に係合され、1次封止部分220は、コネクタの筺体440の内部のシール・エッジ454と着脱可能に係合される。
【0037】
特定の実施例において、封止構成において、頭部210が、コネクタの筺体440のポート・チャネル456と係合されているときに、可撓性のバルブ200の頭部210の上面216’は、頭部210の柱部218の軸心に対して実質的に垂直である、結果として得られる面を有する。
【0038】
引き続き
図7を参照して、可撓性のバルブ200の1次封止部分220とコネクタの筺体440の内部のシール・エッジ454との間の接触により、1次封止が形成されているとき、無針コネクタ400は、封止構成(又は閉塞状態)であることができる。封止構成において、無針コネクタ400のポート・チャネル456は、それとともに流体係合するための雄型ルアー・テーパ型先端部又は他の医療器具を受け入れている状態ではない。無針コネクタ400は、雄型ルアー・テーパ型先端部又は他の医療器具が、コネクタの筺体440のポート・チャネル456に挿入され、コネクタの筺体440の内部のシール・エッジ454と可撓性のバルブ200の1次封止部分220との間の1次封止が、一時的に壊される、又は、分離されると、非封止構成(又は開放状態)に変化することができる。
【0039】
特定の実施例において、封止構成において、頭部210が、コネクタの筺体440のポート・チャネル456と係合されているときに、可撓性のバルブ200の頭部210の上面216’は、コネクタの筺体440のポート上面453と実質的に面一である。
【0040】
作動時は、空気通路チャネル472は、可撓性のバルブ200の内部の空気空間、及び相互接続されたデバイスからの空気流路474を促進することができる。コネクタの筺体440は、医療デバイス機器と相互接続するための雄型ルアー・テーパ・フィッティング482と、ねじ込み式コネクタ484を更に備えることができる。流体経路は、無針コネクタ400の雄型ルアー・テーパ・フィッティング482を通って提供されることができる。
【0041】
特に記載のない限り、「いくつかの」という用語は、「1つ又は複数」であることを意味する。男性に属する代名詞(例えば、彼の)には、女性及び中性(例えば、彼女の及びその)が含まれ、その逆も同様である。見出し及び小見出しがある場合、便宜上用いられるだけで、本発明を限定しない。
【0042】
「例示的」という語は、「実例又は例証として機能すること」を意味するために本明細書で使用される。本明細書で「例示的」と記載されるいかなる態様又は設計も、他の態様又は設計に比べて好ましく又は有利であると、必ずしも解釈されるべきではない。ひとつの態様において、本明細書に記載される様々な代替的な構成及び作動は、少なくとも均等物であるとみなされることができる。
【0043】
「態様」等の語句は、このような態様が本発明の主題技術に不可欠であること、又は、このような態様が本発明の主題技術の全ての構成に適用することを意味しない。一態様に関する開示は、全ての構成、或いは1つ又は複数の構成に適用してもよい。一態様は、1つ又は複数の実例を提供してもよい。一態様等の語句は、1つ又は複数の態様を指してもよく、その逆も同様である。「実施例」等の語句は、このような実施例が本発明の主題技術に不可欠であること、又はこのような実施例が本発明の主題技術の全ての構成に適用することを意味しない。一実施例に関する開示は、全ての実施例、或いは1つ又は複数の実施例に適用してもよい。一実施例は、1つ又は複数の実例を提供してもよい。一実施例等の語句は、1つ又は複数の実施例を指してもよく、その逆も同様である。「構成」等の語句は、このような構成が本発明の主題技術に不可欠であること、又は、このような構成が本発明の主題技術の全ての構成に適用することを意味しない。一構成に関する開示は、全ての構成、或いは1つ又は複数の構成に適用してもよい。一構成は、1つ又は複数の実例を提供してもよい。一構成等の語句は、1つ又は複数の構成を指してもよく、その逆も同様である。
【0044】
ひとつの態様において、記載のない限り、以下の特許請求の範囲を含む、本明細書で述べられた全ての測定値、値、定格、位置、規模、大きさ、及びその他の仕様は、およそのものであり、厳密なものではない。ひとつの態様において、それらは、それらが関連する機能に整合し、それらが関わる関連技術において通例的である合理的な範囲を有することが意図されている。
【0045】
ひとつの態様において、「結合」等の用語は、直接結合されていることを意味することができる。例えば、いくつかの態様において、可撓性のバルブのある要素が結合されるとき、それらは固定的に取り付けられてもよい。同様に、いくつかの態様において、コネクタの筺体のある要素が結合されるとき、それらは固定的に取り付けられてもよい。別の態様において、「結合」等の用語は、非直接的に結合されていることを意味することができる。
【0046】
「上」、「底」、「前」、「後」などの用語が本開示で使用される場合、一般重力の基準枠ではなく、任意の基準枠を指すと理解されるべきである。よって、上面、底面、前面、後面は、重力の基準枠で上方、下方、斜め、又は水平に延在してもよい。
【0047】
様々な品目が、本発明の主題技術の範囲から逸脱することなく異なるように配置される(例えば、異なる順序で、又は、異なる方法で仕切られて配置される)ことができる。
【0048】
本開示は、当業者が本明細書に記載される様々な態様を実践することができるように提供される。本開示は、本発明の主題技術の様々な実例を提供し、主題技術は、それらの実例に限定されるものではない。これらの態様の様々な修正が当業者には容易に明らかになり、本明細書に規定される一般的原理が他の態様に適用されてもよい。
【0049】
当業者に既知であり、又は後で既知となる本開示にわたって記載される様々な態様の要素に対する全ての構造的、及び機能的な均等物が、本明細書に参照として明示的に組み込まれ、特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。加えて、このような開示が特許請求の範囲に明記されているかどうかにかかわらず、公開目的が意図されるものは何も本明細書で開示されていない。要素が「ための手段」という語句を使用して明記されない限り、米国特許法第112条第6項に基づいて解釈される特許請求の範囲の要素はなく、又は、方法の特許請求の範囲の場合、要素は、「ためのステップ」という語句を使用して記述される。更に、「含む」、「有する」などの用語が使用される範囲内において、このような用語は、「備える」が特許請求の範囲で移行句として用いられるときに解釈されるように、「備える」という用語と類似の方法で包括的であることが意図される。
【0050】
本開示の発明の名称、背景技術、課題を解決するための手段、図面の簡単な説明、及び要約が、本開示に組み込まれ、制限的な説明としてではなく、本開示の例示的な実例として提供される。それらは、特許請求の範囲の範囲又は意味を限定するものとして使用されるものではないという理解のもとに提示されている。加えて、発明を実施するための形態において、例示的な実例が説明され、様々な特徴が、本開示を簡素化するために、様々な実施例においてまとめられていることがわかる。本開示の方法は、特許請求された主題が、各請求項に明記されたものより多くの特徴を必要とするという意向を反映しているものとして、解されるものではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、開示した単一の構成又は作動の特徴全てに及ばない。以下の特許請求の範囲は、発明を実施するための形態の中に組み込まれ、各請求項は別個に特許請求した主題として独立している。