特許第6321778号(P6321778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6321778CPVモジュールにおけるレンズプレートを最適に調整するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321778
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】CPVモジュールにおけるレンズプレートを最適に調整するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/22 20140101AFI20180423BHJP
   G02B 7/00 20060101ALI20180423BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   H02S40/22
   G02B7/00 D
   G02B7/00 B
   G02B3/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-506785(P2016-506785)
(86)(22)【出願日】2014年4月10日
(65)【公表番号】特表2016-521108(P2016-521108A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】DE2014000186
(87)【国際公開番号】WO2014166477
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2015年11月11日
(31)【優先権主張番号】102013006264.0
(32)【優先日】2013年4月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】314014416
【氏名又は名称】グレンツェバッハ・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121692
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 勝美
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】ノイハウスラー,ウルリッヒ
【審査官】 佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−031838(JP,A)
【文献】 特開2010−034134(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0126794(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0115830(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−10/40、30/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光型光電池(以下「CPV」と略称する)モジュールにおけるセンサ担持プレート(1)に対するレンズプレート(2)の位置を最適に調整するための装置であって、前記センサ担持プレート(1)は複数のCPVセンサ(5)を有し、前記レンズプレート(2)は、前記CPVセンサ(5)の数に対応した数のレンズを有し、前記レンズプレート(2)の前記レンズは、前記レンズの焦点距離分だけ前記CPVセンサ(5)よりも上方で、前記レンズの光軸の領域において、前記CPVセンサ(5)の水平方向の位置に対してほぼ平行に取り付けられており、
前記装置は、
前記CPVモジュールの前記CPVセンサ(5)に設定可能な電力を供給するための手段と、
前記レンズプレート(2)と同じ寸法を有し、調節される前記レンズプレート(2)と平行に取り付けられた固定レンズプレート(3)と、
前記CPVセンサ(5)の数に対応した数の4分割センサ(4)であって、前記固定レンズプレート(3)と平行に配置され、前記4分割センサ(4)の幾何学的中心点は、前記固定レンズプレート(3)のレンズの光軸上で、前記レンズの焦点距離分だけ離れた位置にあるものと、
互いに直角に配置され、前記レンズプレート(2)を水平方向に移動させる2つの調整装置(12,13)と、
前記4分割センサ(4)の出力信号を解析し、前記4分割センサ(4)の出力信号の電圧又は電流に基づいて前記2つの調整装置(12,13)を制御する制御ユニット(9)と、
を備えたことを特徴とする。
【請求項2】
集光型光電池(以下「CPV」と略称する)モジュールにおけるセンサ担持プレート(1)に対するレンズプレート(2)の位置を最適に調整するための装置であって、前記センサ担持プレート(1)は複数のCPVセンサ(5)を有し、前記レンズプレート(2)は、前記CPVセンサ(5)の数に対応した数のレンズを有し、前記レンズプレート(2)の前記レンズは、前記レンズの焦点距離分だけ前記CPVセンサ(5)よりも上方で、前記レンズの光軸の領域において、前記CPVセンサ(5)の水平方向の位置に対してほぼ平行に取り付けられており、
前記装置は、
前記レンズプレート(2)と同じ寸法を有し、調節される前記レンズプレート(2)と平行に取り付けられた固定レンズプレート(3)と、
前記CPVセンサ(5)の数に対応した数の点状光源(6)であって、前記固定レンズプレート(3)と平行に配置され、前記点状光源(6)の幾何学的中心点は、前記固定レンズプレート(3)のレンズの光軸上で、前記レンズの焦点距離分だけ離れた位置にあるものと、
前記点状光源(6)に設定可能な電力を供給するための手段と、
互いに直角に配置され、前記レンズプレート(2)を水平方向に移動させるための2つの調整装置(12,13)と、
前記CPVセンサ(5)の出力信号を解析し、前記CPVセンサ(5)の出力信号の電圧又は電流に基づいて前記2つの調整装置(12,13)を制御する制御ユニット(9)と、
を備えたことを特徴とする。
【請求項3】
前記レンズプレート(2)を垂直方向に移動させるための調整装置がさらに設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された装置。
【請求項4】
モジュールフレーム(14)と前記レンズプレート(2)の間及び前記モジュールフレーム(14)と前記センサ担持プレート(1)の間にシリコン封止剤塊(15)を塗布する装置をさらに備え、前記モジュールフレーム(14)は、前記センサ担持プレート(1)と前記レンズプレート(2)を保持するために用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された装置。
【請求項5】
集光型光電池(以下「CPV」と略称する)モジュールにおけるセンサ担持プレート(1)に対するレンズプレート(2)の位置を最適に調整するための方法であって、前記センサ担持プレート(1)は複数のCPVセンサ(5)を有し、前記レンズプレート(2)は、前記CPVセンサ(5)の数に対応した数のレンズを有し、前記レンズプレート(2)の前記レンズは、前記レンズの焦点距離分だけ前記CPVセンサ(5)よりも上方で、前記レンズの光軸の領域において、前記CPVセンサ(5)の水平方向の位置に対してほぼ平行に取り付けられており、
前記方法は、
固定レンズプレート(3)及び複数の4分割センサ(4)を配置する工程であって、前記固定レンズプレート(3)は、前記レンズプレート(2)と同じ寸法を有し、調節される前記レンズプレート(2)と平行に取り付けられ、前記4分割センサ(4)は、前記CPVセンサ(5)の数に対応した数であって、前記固定レンズプレート(3)と平行に配置され、前記4分割センサ(4)の幾何学的中心点は、前記固定レンズプレート(3)のレンズの光軸上で、前記レンズの焦点距離分だけ離れた位置にあるものと、
互いに直角に配置され、前記レンズプレート(2)を水平方向に移動させるための2つの調整装置(12,13)を前記レンズプレート(2)に取り付ける工程と、
前記CPVモジュールの前記CPVセンサ(5)に設定可能な電力を供給する工程と、
前記4分割センサ(4)の出力信号を解析し、前記4分割センサ(4)の出力信号の電圧又は電流に基づいて前記2つの調整装置(12,13)を制御する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【請求項6】
集光型光電池(以下「CPV」と略称する)モジュールにおけるセンサ担持プレート(1)に対するレンズプレート(2)の位置を最適に調整するための方法であって、前記センサ担持プレート(1)は複数のCPVセンサ(5)を有し、前記レンズプレート(2)は、前記CPVセンサ(5)の数に対応した数のレンズを有し、前記レンズプレート(2)の前記レンズは、前記レンズの焦点距離分だけ前記CPVセンサ(5)よりも上方で、前記レンズの光軸の領域において、前記CPVセンサ(5)の水平方向の位置に対してほぼ平行に取り付けられており、
前記方法は、
固定レンズプレート(3)及び複数の点状光源(6)を配置する工程であって、前記固定レンズプレート(3)は、前記レンズプレート(2)と同じ寸法を有し、調節される前記レンズプレート(2)と平行に取り付けられ、前記点状光源(6)は、前記CPVセンサ(5)の数に対応した数であって、前記固定レンズプレート(3)と平行に配置され、前記点状光源(6)の幾何学的中心点は、前記固定レンズプレート(3)のレンズの光軸上で、前記レンズの焦点距離分だけ離れた位置にあるものと、
互いに直角に配置され、前記レンズプレート(2)を水平方向に移動させるための2つの調整装置(12,13)を前記レンズプレート(2)に取り付ける工程と、
前記点状光源(6)に設定可能な電力を供給する工程と、
前記CPVセンサ(5)の出力信号を解析し、前記CPVセンサ(5)の出力信号の電圧又は電流に基づいて前記2つの調整装置(12,13)を制御する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【請求項7】
前記レンズプレート(2)を垂直方向に移動させるための工程がさらに設けられていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載された方法。
【請求項8】
モジュールフレーム(14)と前記レンズプレート(2)の間及び前記モジュールフレーム(14)と前記センサ担持プレート(1)の間にシリコン封止剤塊(15)を塗布する工程をさらに備え、前記モジュールフレーム(14)は、前記センサ担持プレート(1)と前記レンズプレート(2)を保持するために用いられることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載された方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野及び背景技術】
【0001】
集光された太陽輻射と共に仕事をする光電池の分野においては、すでに、長年にわたって様々な取り組みが行われている。この場合、太陽輻射は、ミラー及び/又はレンズによって集光され、特別な集光型太陽電池上に導かれる。対応する集光型光電池システム(CPV)は、現在、カスティーリャ=ラ・マンチャ州プエルトリャノにおいて、集光型光電池システムのためのスペインの研究所(ISFOC)においてテストされている。太陽光は、従来のシリコン太陽電池よりもずっと効果的な小型の太陽電池に入射するまでに、強度が400乃至1000倍になるように、レンズ又はミラーを用いて束ねられる。世界各地から集まった製造者は、そこの実験場においてCPVモジュールを設置している。現在、その実験場には、およそ1000基のモジュールが設置されている。研究者達は、利潤予想を進めており、とりわけ、この技術を開発段階から市場に移行させるのを容易にするために、長期間の安定性を試験している。
【0002】
この時点までに、世界中で50−100CPVパイロットシステムが稼動中である(http:www.interpv.net/market/market_view.asp?idx=567&part_code=01)。それらのトータルの出力は約30メガワットである。しかしながら、アメリカの市場調査協会であるグリーンテックメディア・リサーチが実施した最新の調査は、この技術に対しては実績の増加を予測しており、「PVマニュファクチュアリング」誌も、第13刊において自動化された製造能力の需要の増加を予測している(2011年9月)。
【0003】
このようなシステムの核心は高性能太陽電池素子であり、それらは、現在のところ、特に、宇宙空間において用いられている。そこで、高性能太陽電池素子は、すでに長年にわたって人工衛星や電力を備えたロボットに提供されている。これらの太陽電池素子は、シリコンに代えて、ガリウム、インジウム、ヒ素又はリンで作られたいわゆる半導体化合物を含む。これらは、多数の異なった半導体層から成り、伝統的なシリコン太陽電池素子は、太陽光スペクトルの狭い範囲のみを電流に変換することができるけれども、それらの各層は、それぞれ太陽光スペクトルの異なった範囲を処理する。
【0004】
特に、特許文献の中から以下の先行技術が知られている。US 4 834 805 Aに開示された光電池モジュールは、以下の特徴を備えている。積層基板中の個々のセル位置に割り当てられた光電池半導体結晶素子の構造であって、それらは2つの導電層で囲まれ、絶縁層によって分離されている。さらに、このモジュールは、積層基板から離れた位置に配置されたレンズでできた光搬送層で構成され、入射した輻射はレンズによって光搬送層の内部で基板内部に集光され、レンズ層、基板層及びそれらの間の空間は2インチ以下である。
【0005】
DE 10 2006 007 472 A1から公知の光電池集光モジュールは、レンズプレートと、その上に太陽電池素子が取り付けられたベースプレートと、フレームを有し、フレームはレンズプレートとベースプレートを結合するように、レンズプレートとベースプレートの縁に沿って取り囲むように配置されている。
【0006】
この公知の集光モジュールは、費用効果を生みだすことができ、長寿命であり、(従来は)かろうじてレンズプレート又はベースプレート上に収納されうるか又は全く収納できなかった付加的な構成部品を簡単に、且つ、柔軟に結合することを可能にするように改良されるべきである。また、そのような集光モジュールの製造を可能にするように、製造方法を発展されるべきである。
【0007】
ここで述べられた目的は、レンズプレートとフレームの間及び/又はベースプレートとフレームの間でこのフレームに沿って、一方には少なくとも1つの第1封止剤塊及び/又は接着剤塊が、他方には少なくとも1つの第2封止剤塊が、フレームの長手方向の少なくとも一部分の周囲に配置されており、2つの封止剤塊及び/又は接着剤塊が硬化時間及び/又はガス密閉性に関して異っていることによって、達成される。
【0008】
電池集光モジュールの製造方法は、以下の特徴を有する。すなわち、フレームを配置し、レンズプレートとベースプレートを結合し、レンズプレートとベースプレートの縁に沿って、及び、フレームとレンズプレート及び/又はフレームとベースプレートの間に、一方には少なくとも1つの第1封止剤塊及び/又は接着剤塊を、他方には少なくとも1つの第2封止剤塊を、フレームの長手方向の少なくとも一部分の周囲に沿って導入し、2つの封止剤塊及び又は接着剤塊は、その硬化時間及び/又はガス密閉性に関して異なっている。
【0009】
DE 10 2006 034 793 A1は、PV集光モジュール用の検査装置、この検査装置を補助するPV集光モジュール用の検査方法、及びこの装置を用いて検査されたPV集光モジュールの製造方法を開示している。この場合、PVは光電池を意味する。この文献は、PV集光モジュールの品質管理を可能にすること、特に、完成されたモジュールの検査のために、最終組立前及び/又は最終組立後に、PV集光モジュールの効率及び/又はその他のパラメータの検査を可能にするという目的に基づいている。検査のための検査方法又はPV集光モジュールを製造するための製造方法も準備されており、PV集光モジュールは容易に検査され又は信頼性の高い品質で製造される。
【0010】
この目的を達成するため、PV集光モジュール用の検査装置は、太陽輻射をシミュレートした光を発生させる第1光源を有し、さらに、第1光源から出力された光ビームを、個々の光ビームの開き角が2度未満となるように束ね、この光束をPV集光モジュールの光入射面に向けて方向付ける光学系を含む。さらに、この検査装置は、光束によって照射されたPV集光モジュールの出力信号を測定するための測定装置を有している。この文献に開示された検査方法は、品質管理のために、最終組立の前及び/又は後に適用されるように準備されている。しかしながら、そこに記載された機能シーケンス又はその一部分ですら、製造工程中に直接的に適用されるようには準備されていない。
【発明の概要】
【0011】
本発明に係る装置及びそれに対応した方法は、それを用いることによって、工業的に製造された集光モジュールを費用効果的に及び信頼性良く製造することができ、信頼性の高い最終検査を実施することができ、それによって、実際の運転に際して集光モジュールの長期安定性を達成することができる、装置及び方法を提案するという目的に基づいている。
【0012】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、集光型光電池(以下「CPV」と略称する)モジュールにおけるセンサ担持プレート(1)に対するレンズプレート(2)の位置を最適に調整するための装置であって、前記センサ担持プレート(1)複数のCPVセンサ(5)を有し、前記レンズプレート(2)は、前記CPVセンサ(5)の数に対応した数のレンズを有し、前記レンズプレート(2)の前記レンズは、前記レンズの焦点距離分だけ前記CPVセンサ(5)よりも上方で、前記レンズの光軸の領域において、前記CPVセンサ(5)の水平方向の位置に対してほぼ平行に取り付けられており、
前記装置は、
前記CPVモジュールの前記CPVセンサ(5)に設定可能な電力を供給するための手段と、
前記レンズプレート(2)と同じ寸法を有し、調節される前記レンズプレート(2)と平行に取り付けられた固定レンズプレート(3)と、
前記CPVセンサ(5)の数に対応した数の4分割センサ(4)であって、前記固定レンズプレート(3)と平行に配置され、前記4分割センサ(4)の幾何学的中心点は、前記固定レンズプレート(3)のレンズの光軸上で、前記レンズの焦点距離分だけ離れた位置にあるものと、
互いに直角に配置され、前記レンズプレート(2)を水平方向に移動させる2つの調整装置(12,13)と、
前記4分割センサ(4)の出力信号を解析し、前記4分割センサ(4)の出力信号の電圧又は電流に基づいて前記2つの調整装置(12,13)を制御する制御ユニット(9)と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、集光型光電池(以下「CPV」と略称する)モジュールにおけるセンサ担持プレート(1)に対するレンズプレート(2)の位置を最適に調整するための装置であって、前記センサ担持プレート(1)複数のCPVセンサ(5)を有し、前記レンズプレート(2)は、前記CPVセンサ(5)の数に対応した数のレンズを有し、前記レンズプレート(2)の前記レンズは、前記レンズの焦点距離分だけ前記CPVセンサ(5)よりも上方で、前記レンズの光軸の領域において、前記CPVセンサ(5)の水平方向の位置に対してほぼ平行に取り付けられており、
前記装置は、
前記レンズプレート(2)と同じ寸法を有し、調節される前記レンズプレート(2)と平行に取り付けられた固定レンズプレート(3)と、
前記CPVセンサ(5)の数に対応した数の点状光源(6)であって、前記固定レンズプレート(3)と平行に配置され、前記点状光源(6)の幾何学的中心点は、前記固定レンズプレート(3)のレンズの光軸上で、前記レンズの焦点距離分だけ離れた位置にあるものと、
前記点状光源(6)に設定可能な電力を供給するための手段と、
互いに直角に配置され、前記レンズプレート(2)を水平方向に移動させるための2つの調整装置(12,13)と、
前記CPVセンサ(5)の出力信号を解析し、前記CPVセンサ(5)の出力信号の電圧又は電流に基づいて前記2つの調整装置(12,13)を制御する制御ユニット(9)と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載された装置であって、前記レンズプレート(2)を垂直方向に移動させるための調整装置がさらに設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された装置であって、モジュールフレーム(14)と前記レンズプレート(2)の間及び前記モジュールフレーム(14)と前記センサ担持プレート(1)の間にシリコン封止剤塊(15)を塗布する装置をさらに備え、前記モジュールフレーム(14)は、前記センサ担持プレート(1)と前記レンズプレート(2)を保持するために用いられることを特徴とする。
【0016】
請求項5に係る発明は、集光型光電池(以下「CPV」と略称する)モジュールにおけるセンサ担持プレート(1)に対するレンズプレート(2)の位置を最適に調整するための方法であって、前記センサ担持プレート(1)複数のCPVセンサ(5)を有し、前記レンズプレート(2)は、前記CPVセンサ(5)の数に対応した数のレンズを有し、前記レンズプレート(2)の前記レンズは、前記レンズの焦点距離分だけ前記CPVセンサ(5)よりも上方で、前記レンズの光軸の領域において、前記CPVセンサ(5)の水平方向の位置に対してほぼ平行に取り付けられており、
前記方法は、
固定レンズプレート(3)及び複数の4分割センサ(4)を配置する工程であって、前記固定レンズプレート(3)は、前記レンズプレート(2)と同じ寸法を有し、調節される前記レンズプレート(2)と平行に取り付けられ、前記4分割センサ(4)は、前記CPVセンサ(5)の数に対応した数であって、前記固定レンズプレート(3)と平行に配置され、前記4分割センサ(4)の幾何学的中心点は、前記固定レンズプレート(3)のレンズの光軸上で、前記レンズの焦点距離分だけ離れた位置にあるものと、
互いに直角に配置され、前記レンズプレート(2)を水平方向に移動させるための2つの調整装置(12,13)を前記レンズプレート(2)に取り付ける工程と、
前記CPVモジュールの前記CPVセンサ(5)に設定可能な電力を供給する工程と、
前記4分割センサ(4)の出力信号を解析し、前記4分割センサ(4)の出力信号の電圧又は電流に基づいて前記2つの調整装置(12,13)を制御する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る発明は、集光型光電池(以下「CPV」と略称する)モジュールにおけるセンサ担持プレート(1)に対するレンズプレート(2)の位置を最適に調整するための方法であって、前記センサ担持プレート(1)は複数のCPVセンサ(5)を有し、前記レンズプレート(2)は、前記CPVセンサ(5)の数に対応した数のレンズを有し、前記レンズプレート(2)の前記レンズは、前記レンズの焦点距離分だけ前記CPVセンサ(5)よりも上方で、前記レンズの光軸の領域において、前記CPVセンサ(5)の水平方向の位置に対してほぼ平行に取り付けられており、
前記方法は、
固定レンズプレート(3)及び複数の点状光源(6)を配置する工程であって、前記固定レンズプレート(3)は、前記レンズプレート(2)と同じ寸法を有し、調節される前記レンズプレート(2)と平行に取り付けられ、前記点状光源(6)は、前記CPVセンサ(5)の数に対応した数であって、前記固定レンズプレート(3)と平行に配置され、前記点状光源(6)の幾何学的中心点は、前記固定レンズプレート(3)のレンズの光軸上で、前記レンズの焦点距離分だけ離れた位置にあるものと、
互いに直角に配置され、前記レンズプレート(2)を水平方向に移動させるための2つの調整装置(12,13)を前記レンズプレート(2)に取り付ける工程と、
前記点状光源(6)に設定可能な電力を供給する工程と、
前記CPVセンサ(5)の出力信号を解析し、前記CPVセンサ(5)の出力信号の電圧又は電流に基づいて前記2つの調整装置(12,13)を制御する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項5又は請求項6に記載された方法であって、前記レンズプレート(2)を垂直方向に移動させるための工程がさらに設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項8に係る発明は、請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載された方法であって、モジュールフレーム(14)と前記レンズプレート(2)の間及び前記モジュールフレーム(14)と前記センサ担持プレート(1)の間にシリコン封止剤塊(15)を塗布する工程をさらに備え、前記モジュールフレーム(14)は、前記センサ担持プレート(1)と前記レンズプレート(2)を保持するために用いられることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、CPVモジュールの概略構造を示す図である。
図2図2は、第1のレンズプレートの調整方法を示す図である。
図3図3は、第2のレンズプレートの調整方法を示す図である。
図4図4は、調整工程の概略図である。
図5図5は、4分割センサの電力分布の概略図である。
図6図6は、CPVセンサにおける電流及び電圧の輪郭を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る装置について、以下に詳細に説明する。図1は、CPVモジュールの概略構造を示す。CPVモジュールは、基本的に、互いに隣接するように配置された複数のCPVセンサ5を含むセンサ担持プレート1と、その上に平行に配列され、互いに隣接するように配列された一般的にはフレネルレンズである複数のレンズを備えたレンズプレート2で構成されている。図1において、断面の左側に示されているモジュールフレーム14は、2つのプレート1及び2を保持するために用いられている。2つのプレート1及び2の距離を基本的に決定する構造的寸法は、モジュールフレーム14の高さである。このモジュールフレーム14の高さは、レンズプレート2において用いられているレンズタイプの焦点距離に相当する。このように、太陽から平行に伸びた光束中のレンズプレート2に入射する太陽光が、各レンズと連係して確実にCPVセンサ(5)の中央に正確に集光されることを可能にする。しかしながら、このことは、水平なX−Y方向だけでなく、むしろ垂直方向にも要求される。そのため、レンズプレート2の調整中、モジュールフレーム14とレンズプレート2の間及びモジュールフレーム14とセンサ担持プレート1の間のシリコン封止剤塊15の厚みも考慮に入れられるべきである。センサ担持プレート1とモジュールフレーム14の間のシリコン封止剤塊15の厚みは、基本的に一定であるが、しかしながら、製造工程中、特定の限界の範囲内で変化させることができる。しかしながら、レンズプレートの調整の時点で、センサ担持プレート1は、すでにモジュールフレーム14に結合されている。
【0024】
図2は、第1のレンズプレート2の調整方法を示す。ここで示す方法、すなわち、いわゆる第1の方法は、太陽輻射の自然な進行がシミュレートされる方法であって、レンズプレート2のレンズの寸法と同じものを有する固定されたレンズプレート3が、調整されるべきレンズプレート2に対して上流側に平行にさらに結合され、点状光源がレンズプレート3のレンズの焦点距離の位置に取り付けられている。このようにして、固定されたレンズプレート3は、調整されるべきレンズプレート2の方向に平行に伸びる光束を確実に放射することを可能にする。もしも、調整されるべきレンズプレート2が水平方向に少しずつ移動されるならば、それによって、レンズプレート2によって照射されたCPVセンサ5は、個別にも、もちろん全体的にも、異なった電圧及び異なった電流を発生させる。
【0025】
計画された手順に従ってレンズプレート2を少しずつ移動させ、それぞれの場合に、その後電圧と電流を測定することによって、センサ担持プレート1に対するレンズプレート2の最適な位置合わせを確認することができる。センサの表面全体にわたって感度が均一な理想的であると推定される受光素子に対して、最適な位置合わせは、センサ担持プレート上で測定された電力が最大になるという特徴を示す。そのような二次元の電流又は電圧分布の高品質のモデル化された輪郭を図6に示す。領域全体に対して均一な感度を有しない円形センサの場合、実際の電流/電圧の輪郭は、質的な例に関しては外れる。そのため、最適な動作点は、対称性を考慮して決定されるべきである。
【0026】
水平方向におけるこの最適な位置合わせに続いて、垂直方向の調整が実行され、この調整は電圧及び/又は電流が最大になるという特徴を示し、基本的に、後から紹介するシリコン封止剤塊の厚み又は量によって決定される。そのような調整工程は図4から推測することができる。
【0027】
さらに、図3は、図2において既に説明された第1の方法に類似した構造を有するけれども、光路を反転した、すなわち、動作を反対にした第2の方法を示す。ここでは、CPVセンサ5は、電力に関して評価されるのではなく、むしろ、エレクトロルミネセンス効果により制御可能なパワーを有する発光素子として機能し、個々のCPVセンサ5に所定の直流電流を供給し、それによって放射された光は4分割センサ4によって検出され、量的に評価される。レンズプレート2に対するCPVセンサ5の距離は、基本的にレンズプレート2で用いられるレンズの焦点距離に相当し、それによって、レンズプレート2とレンズプレート3の間で平行に伸びる光束が生じる。レンズプレート3は、4分割センサ4に対して予め自動的に調整されている。レンズプレート3は、X、Y及びZ方向の座標系において移動することができる。解りやすくするため、レンズプレート3の調整装置は示されていない。
【0028】
4分割センサ4はレンズプレート3の焦点距離分だけ離れた場所に取り付けられ、レンズプレート3は4分割センサ4に対して位置合わせされ固定されているので、光を放射する各CPVセンサ5は、それぞれ対応する4分割センサ4上に結像される。固定されたレンズプレート3が、位置合わせされるべきレンズプレート2と同じ焦点距離を有する場合、この結像は1:1の大きさの像を生じる。しかしながら、原理的には、(レンズプレート3の焦点距離がレンズプレート2の焦点距離よりも小さいとき)縮小像又は(レンズプレート3の焦点距離がレンズプレート2の焦点距離よりも大きいとき)拡大像も可能である。しかしながら、単純化及び置換可能性の理由により、レンズプレート2及び3として、レンズの寸法だけでなくその焦点距離も同じにすることが望ましく、すなわち、同じタイプのレンズプレートを用いることができる。
【0029】
図4は、いわゆる第2の方法に係るレンズプレート2の調整工程を概略的に示す。ここでは、4つの異なった平面が示されており、一番下のものは多数のCPVセンサ5を有するセンサ担持プレート1を表す。それに最も近い2番目の平面は、背面調整装置12と正面調整装置13を有する関連したレンズプレート2を示す。これら2つの調整装置12及び13は、レンズプレート2を三次元座標系X、Y及びZにおける2つの水平なX及びY方向に移動させることが可能であり、概略図であるため、Z方向の移動の可能性は図示していない。その次に近い平面は、図2及び図3の説明において既に述べた固定されたレンズプレート3を示す。4分割センサ4は、図4の一番上の平面に表示されている。ここでは、制御ユニット9へのデータ線8は、そこに取り付けられた全ての4分割センサに対して象徴的に示されている。また、制御ユニット9は、線7を介して個々のCPVセンサ5に設定された電力を確実に供給する。さらに、制御ユニット9は、制御線10及び11によって、背面調整装置12及び正面調整装置13をそれぞれ制御する。ここでは、垂直なZ方向におけるレンズプレート2の調整も図示していない。
【0030】
第1の方法による調整工程の場合、点状の光源、例えばLED素子が4分割センサ4の場所に配置されており、制御線7を備えた制御ユニット9は、CPVセンサに電力を供給するために用いられるのではなく、むしろ、CPVセンサにより発生された電力を引き出し、解析のためのその電力量を測定する。
【0031】
図5は、位置合わせされるべきレンズプレート2のX及びY方向の位置によって決まる4分割センサの4つに分割された各区分に要求される定性的な電流分布を概略的に示す。このダイオードの4つに分割された各区分の原点は光軸上にあり、それゆえ、4つに分割された各区分でそれぞれ同じダイオード電流が測定されたとき、又は、隣接する1組のダイオードごとの4つの差分信号が最小になるとき、最適な調整が正確に得られる。
【0032】
この測定方法のための位置決め精度は、機械的な移動工程の達成可能な精度に依存する。機械的公差の補償によって20μm未満の精度を達成することができる。この測定構造として、シリコン4分割フォトダイオードからの予想される信号は、10〜100μAの大きさの範囲であり、これらはnAの範囲にある暗電流に対する一般的な値である。このことは、高いSN比をももたらすことができる。いずれにしても、第1の方法及び第2の方法にとっても、位置の変化に対して信号の変化率は非常に高い。
【0033】
最後に、図6は、CPVセンサにおける電圧の輪郭を示す。一般的に、CPVモジュールは、数百個の独立したCPVセンサで構成されている。既にベースプレート上に組み立てられているCPVセンサは、その理想的な位置から一定の確率偏差を有しているので、センサ担持プレートのCPVセンサ全体の最適な位置合わせを決定するためには、レンズプレートに対して様々な位置に分布されたCPVセンサを合理的に選択して使用しなければならない。そして、測定に使用されていないCPVセンサは、その他の用途に利用可能であるので、両方の方法を平行して使用することも可能であり、調整のために必要とされるXYZ座標に関して、測定結果に基づいて制御プログラムにより自動的に適切なものを決定してもよい。図3及び図4で説明したレンズプレートの代わりに、調整システムによってレンズプレート3に対して、集光モジュールのCPVセンサ担持プレート1を位置合わせすることができる。4分割センサ又はLED及びレンズプレート3及びレンズプレートは、1つの光路上で互いに関連して位置合わせされる必要がある。
【0034】
説明した動作シーケンスの複雑な制御は、特別な制御プログラムを必要とする。
【符号の説明】
【0035】
1 センサ担持プレート
2 レンズプレート
3 固定されたレンズプレート
4 4分割センサ
5 CPVセンサ
6 点状光源
7 CPVセンサ用の電源
8 4分割センサのデータ線
9 制御ユニット
10 背面調整装置用の制御線
11 正面調整装置用の制御線
12 背面調整装置
13 正面調整装置
14 モジュールフレーム
15 シリコン封止剤塊
図1
図2
図3
図4
図5
図6