特許第6321782号(P6321782)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セブ ソシエテ アノニムの特許一覧

特許6321782取付け要素が具備された温度センサを備える調理容器
<>
  • 特許6321782-取付け要素が具備された温度センサを備える調理容器 図000002
  • 特許6321782-取付け要素が具備された温度センサを備える調理容器 図000003
  • 特許6321782-取付け要素が具備された温度センサを備える調理容器 図000004
  • 特許6321782-取付け要素が具備された温度センサを備える調理容器 図000005
  • 特許6321782-取付け要素が具備された温度センサを備える調理容器 図000006
  • 特許6321782-取付け要素が具備された温度センサを備える調理容器 図000007
  • 特許6321782-取付け要素が具備された温度センサを備える調理容器 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321782
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】取付け要素が具備された温度センサを備える調理容器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/10 20060101AFI20180423BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20180423BHJP
   A47J 27/08 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   A47J37/10
   A47J27/00 101Z
   A47J27/08 Z
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-508218(P2016-508218)
(86)(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公表番号】特表2016-515910(P2016-515910A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】FR2014050921
(87)【国際公開番号】WO2014170602
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2017年1月20日
(31)【優先権主張番号】1353519
(32)【優先日】2013年4月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブノア リングリン
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−262446(JP,A)
【文献】 特開2013−015430(JP,A)
【文献】 特開平08−219904(JP,A)
【文献】 実開昭61−017632(JP,U)
【文献】 特表平09−506040(JP,A)
【文献】 特表2004−524054(JP,A)
【文献】 米国特許第05441344(US,A)
【文献】 米国特許第07887380(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/10−37/12
A47J 27/00
A47J 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底(3)および側壁(4)を含むボウル部分(2)と、前記ボウル部分(2)の外面(7)に取り付けられた穴あきプレート(6)と、前記ボウル部分(2)の前記外面(7)と前記穴あきプレート(6)の間に絶縁されて配設された2つの導体要素(11、12)が具備された温度センサ(10)とを備え、前記導体要素(11,12)が前記底(3)から前記側壁(4)の方へ延びている調理容器(1)であって、前記温度センサ(10)は前記ボウル部分(2)の前記底(3)に取り付けられた取付け要素と一体をなすこと、および前記取付け要素は、前記底(3)の材料に埋め込まれる傾斜した周縁のリップ(22)が具備される穴(21)を有する取付けプレート(20)を備えることを特徴とする調理容器(1)。
【請求項2】
前記傾斜した周縁のリップ(22)の前記底の埋込みは圧着操作によって行われることを特徴とする請求項1に記載の調理容器(1)。
【請求項3】
前記穴(21)は円形であることを特徴とする請求項1または2に記載の調理容器(1)。
【請求項4】
前記取付け要素は、前記温度センサ(10)が内部に固定される鞘部(13)を備え、前記鞘部(13)は前記取付けプレート(20)が具備される端部(15)を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の調理容器(1)。
【請求項5】
前記取付けプレート(20)は溶接によって前記鞘部(13)に取り付けられることを特徴とする請求項4に記載の調理容器(1)。
【請求項6】
前記鞘部(13)の前記端部(15)は、つぶされて前記取付けプレート(20)を形成することを特徴とする請求項4に記載の調理容器(1)。
【請求項7】
前記鞘部(13)は剛性であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の調理容器(1)。
【請求項8】
前記鞘部(13)はステンレス鋼製であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載の調理容器(1)。
【請求項9】
前記温度センサ(10)はNTCまたは熱電対であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の調理容器(1)。
【請求項10】
フライパン、片手鍋、ソテーパン、深鍋または圧力鍋であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の調理容器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食物の調理のために、調理プレート、コンロまたはそれに類するものの上に配置されるように意図された調理容器、とりわけフライパン、片手鍋、ソテーパン、深鍋または圧力鍋に関し、より詳細には温度センサを備える調理容器に関する。
【背景技術】
【0002】
底と、側壁と、底に一体化され、数量を処理して温度を表示するための電子回路に接続された温度センサとを備える調理容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。温度センサおよび2本の導線は、調理容器の底に設けられた溝の中に配設されており、穴あきプレートが冷間鍛造によって底に取り付けられている。そのため、穴あきプレートと底の間に位置付けされた温度センサは、調理容器を繰り返し加熱および冷却する間に底から離れ、穴あきプレートと底の間で予測不能な移動をする可能性がある。そのため、温度センサが具備されたこのような容器では、底の温度を測定しようとしているにもかかわらず、センサは穴あきプレートの温度から底の温度までの間の温度を測定することになる。さらに、センサと底の間の接触は安定せず、空気層を備える可能性があることから、センサの熱抵抗はより高くなる。その結果、センサによって測定される温度は不正確となり、その応答速度もまちまちとなる。
【0003】
調理容器を繰り返し加熱および冷却する間に、穴あきプレートも底からわずかに剥離して、それによって一段と大きなセンサの移動を許す可能性がある。さらに、穴あきプレートが調理容器の誘導加熱器具への対応を保証するにしても、剥離されたプレート内に発生される熱の底への伝達は低下し、底の温度に比べて高温のスポットが穴あきプレートに現れるようになる。そのため、センサが移動して穴あきプレートに突き当たるようになったときには、それは底の温度と比べてはるかに高い穴あきプレートの温度を測定することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0931495号明細書
【特許文献2】仏国特許第2693894号明細書
【特許文献3】仏国特許第2711051号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述の欠点を是正し、信頼性および反復性、経時的な耐久性のある動作を有する温度センサが具備された調理容器を提案することにある。
【0006】
本発明のさらに別の目的は、単純かつ経済的に実施できる設計の温度センサが具備された調理容器を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
それらの目的は、底および側壁を含むボウル部分と、ボウル部分の外面に取り付けられた穴あきプレートと、ボウル部分の外面と穴あきプレートの間に絶縁されて配設された2つの導体要素が具備された温度センサとを備え、前記導体要素が底から側壁の方へ延びている調理容器であって、温度センサはボウル部分の底に取り付けられた取付け要素と一体をなすことを特徴とする調理容器によって達成される。
【0008】
そのため、温度センサはボウル部分の底に固定される。調理容器を加熱手段にかけて繰り返し使用しても、温度センサは移動することなく、底の温度を経時的に反復性と信頼性をもって測定することができる。
【0009】
好ましくは、取付け要素は取付けプレートからなる。
【0010】
温度センサは、底に部品を追加しなければ取り付けることが困難な繊細な構成要素であるため、この設計は、取付けプレートによって温度センサを間接的に底に取り付けることを可能にする。
【0011】
有利には、この取付けプレートは、底の材料内に埋め込まれる傾斜した周縁のリップが具備された穴を有している。
【0012】
この設計は、経時的に耐久性のある取付けプレートの結合を底に得ることを可能にする。さらに、このような構成は非常にコンパクトである。
【0013】
有利には、傾斜した周縁のリップの底への埋込みは圧着操作によって行われる。
【0014】
この設計は、底への温度センサの取付けを非常に経済的に行うことを可能にする。
【0015】
好ましくは、穴は円形である。
【0016】
有利には、取付け要素は、温度センサが内部に固定される鞘部を備え、前記鞘部は取付けプレートが具備される端部を備える。
【0017】
この設計は、調理容器の製造時および使用時に温度センサを保護することを可能にする。温度センサは、鞘部の中で端部および取付けプレートの直近に保持されることがわかる。
【0018】
好ましくは、取付けプレートは溶接によって鞘部に取り付けられる。
【0019】
この設計は、鞘部へのプレートの取付けを単純な操作によって行うことを可能にする。溶接は、取付けプレートと、温度センサが内部に配設された鞘部との熱的結合を確保することも可能にする。
【0020】
有利には、鞘部の端部は、つぶされて取付けプレートを形成する。
【0021】
この設計は、鞘部と取付けプレートに同じ部品を使用することによって製造コストを最適化することを可能にするとともに、取付けプレートと、温度センサが押し当てて保持される鞘部との熱的連続性を保証することを可能にする。
【0022】
好ましくは、鞘部は剛性である。
【0023】
この設計は、調理容器の製造過程でのセンサの取扱いを容易にすることを可能にする。実際、溝および穴あきプレートが具備される第1の「ボウル部分」サブアセンブリと、導体要素、鞘部および取付けプレートが具備される第2の「温度センサ」サブアセンブリとを設けることができ、その上で第2のサブアセンブリが第1のサブアセンブリの溝の中に挿入され、次いで取付けプレートが底に圧着される。
【0024】
有利には、鞘部はステンレス鋼製である。
【0025】
有利には、温度センサはNTCまたは熱電対である。
【0026】
ここで、NTCとは、負特性(Negative Temperature Coefficient)サーミスタを意味する。
【0027】
好ましくは、料理用具は、フライパン、片手鍋、ソテーパン、深鍋または圧力鍋である。
【0028】
本発明は、何ら限定的でないものとして取り上げられ、添付の図面によって図解された実施形態を検討することによって、よりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の具体的な実施形態による容器の斜視図である。
図2】調理容器の温度センサを収めた鞘部に付設された取付けプレートを下から見た透視図である。
図3】調理容器の温度センサを収めた鞘部の鍛造によって設けられた取付けプレートを下から見た透視図である。
図4】鞘部および図2に示されたIV−IV線に沿って付設された取付けプレートの中に配設された温度センサの概略断面図である。
図5】鞘部の中に配設された温度センサの概略断面図であって、取付けプレートは図3に示されたV−V線に沿って鞘部に由来するものである概略断面図である。
図6】底と穴あきプレートの間に配設される温度センサの取付けプレートの概略図であって、その取付けプレートが図1に示されたVI−VI線に沿って底に取り付けられる前の概略図である。
図7図1に示されたVI−VI線に沿って底に圧着された温度センサの取付けプレートの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に示す実施形態によれば、調理容器1は、底3および側壁4を含むボウル部分2を備える。調理容器1は、ボウル部分2の外面7に取り付けられた穴あきプレート6と、絶縁された2つの導体要素11、12が具備された温度センサ10とを備える。温度センサ10および2つの導体要素11、12は、ボウル部分2の外面7と穴あきプレート6の間の溝5の中に配設されている。導体要素11、12は、温度センサ10によって測定された数量を処理して温度を表示するための電子回路40に電気的に接続されている。温度センサ10は底3のほぼ中心に配設され、導体要素は底3の中心から側壁4の方へ径方向に延びている。穴あきプレート6は、温度センサおよびボウル部分2の外面7の中心部を覆う円形部6aと、導体要素11、12を覆い、側壁4の方へ径方向に延びている延伸部6bとを備えている。
【0031】
調理容器1は、取付け手段(図示せず)によって側壁4に取り付けられる、端部31を有するハンドル30を備える。電子回路40はハンドル30内に配設され、2つの端子41、42によって導体要素11、12に電気的に接続されている。ハンドル30の端部31は、くぼみ(logement)32を備え、その内部で導体要素11、12が溶接などによって端子41、42に接続される。くぼみ32はカバー33(図1では取り外された状態で示されている)によって閉ざされる。
【0032】
図2から5に従えば、温度センサ10および導体要素11、12は筒形の鞘部13の中に配設されている。鞘部13は、横方向に平らにされて、ほぼ楕円である断面を有している。鞘部13は、好ましくは剛性であり、ステンレス鋼製である。鞘部13は壁14および端部15を備えている。温度センサ10は、鞘部13の端部15の中に壁14に押し当てられて位置付けされている。絶縁体の無機粉末16が導体要素11、12および温度センサ10を取り囲み、それらを所定の位置に保持している。導体要素はさらにPTFE絶縁体によって覆われてもよい。鞘部の端部15は取付けプレート20を備えている。
【0033】
図2および4に示される実施形態では、取付けプレート20は鞘部13の端部15に対して溶接によって付設されている。図3および5に示される実施形態では、取付けプレート20は筒形の鞘部13の端部15を平らにすることによって設けられている。鞘部13と取付けプレート20の結合部には溶接が施され、温度センサ10の部分の密封性が確保されるようにする。鞘部13の中に配設された温度センサ10および導体要素11、12と取付けプレート20とは「センサ」サブアセンブリを形成する。
【0034】
図6および7に示すように、取付けプレート20は、円錐形のリップ22と周縁のリップ端部23とを有する円形の穴21を備えるように形成されている。図6は、このように形成された取付けプレート20が底3の溝5の中に、穴あきプレート6で覆われるようにして配設されたところを示している。穴21のリップ22は底3の方に向けられた突起を形成している。図7は、取付けプレート20がパンチ25によるプレス加工によって圧着されたところを示している。圧着時には、リップ22およびリップ端部23の回復(redressement)が、底3の材料の穴21内への流れ込みと相まって取付けプレート20の底3への固定をもたらす。
【0035】
図1に示される調理容器1のボウル部分2は、2から6ミリメートルの厚さのアルミニウム円板から製作される。円板の中心から径方向に延びている溝5は、鍛造操作によって「センサ」サブアセンブリ受入れのくぼみを形成するように設けられている。溝5は、2つの導体要素11、12が具備された温度センサ10を、それらを傷めることなく受け容れるように寸法設計されている。
【0036】
穴あきプレート6および「センサ」サブアセンブリは、「センサ」サブアセンブリが溝5の中に位置付けられ、次いで穴あきプレート6が鍛造操作によって円板に取り付けられるように、円板上に配設される。円板への穴あきプレート6の取付け方法については、特許文献2および特許文献3の説明を参照されたい。こうして穴あきプレート6および「センサ」サブアセンブリが具備された円板は、鍛造操作によって成形されて調理容器1の円板2を構成する。
【0037】
ボウル部分2はアルミニウム製の鋳造部品であってもよい。その場合には、成型によって溝5は用意される。鋳造によるボウル部分の厚さは厚めであってよく、5から10mmであることができる。
【0038】
本発明が、もっぱら例としてのみ掲げられて説明されたが、図示された実施形態だけに何ら限定されるものでないことは言うまでもない。とりわけ各要素の構成という観点からの変更や、技術的等価物による置換えによる変更は、それによって本発明の保護領域から外れることなくなお可能である。
【0039】
そのため、変形実施形態では、穴あきプレート6は底3の直径に近い直径を持つもので、それによって誘導加熱器具で動作するように適合されるものであることができよう。
【0040】
さらに別の変形実施形態では、温度センサは底(3)に対して、例えば中心から50ミリメートルなどというように、わずかに偏心されて配設され得る。この実施形態では、穴あきプレート6の円形部6aは円環状であることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7