特許第6321784号(P6321784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6321784共重合ポリエステル樹脂およびこれを用いた成形製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321784
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】共重合ポリエステル樹脂およびこれを用いた成形製品
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/199 20060101AFI20180423BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   C08G63/199
   C08J5/18CFD
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-511678(P2016-511678)
(86)(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公表番号】特表2016-516878(P2016-516878A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】KR2014003820
(87)【国際公開番号】WO2014178631
(87)【国際公開日】20141106
【審査請求日】2017年3月14日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0049543
(32)【優先日】2013年5月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513193923
【氏名又は名称】エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】リム ソルフィ
(72)【発明者】
【氏名】キム スンギ
【審査官】 水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0329980(US,A1)
【文献】 特表2000−504761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00−64/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジカルボン酸に由来した残基のジカルボン酸由来残基100モル%;および
下記化学式1で表される4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートに由来した残基0.1乃至5モル%、下記化学式2で表される4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノールに由来した残基0.1乃至12モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来した残基0.1乃至15モル%、ジエチレングリコールに由来した残基2乃至15モル%、およびエチレングリコールに由来した残基53乃至97.7モル%を含むジオール由来残基;
を含む共重合ポリエステル樹脂。
【化1】
【請求項2】
前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸(terephthalic acid)、ジメチルテレフタレート(dimethyl terephthalate)、脂環式ジカルボン酸(cycloaliphatic dicarboxylic acid)、イソフタル酸(isophthalic acid)、アジピン酸(adipic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、ナフタレンジカルボン酸(naphthalenedicarboxylic acid)、およびコハク酸(succinic acid)からなる群より選択される一つ以上である請求項1に記載の共重合ポリエステル樹脂。
【請求項3】
芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸100モル%に対して
下記化学式1で表される4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート0.1乃至5モル%、下記化学式2で表される4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノール0.1乃至12モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール0.1乃至15モル%、ジエチレングリコール2乃至15モル%、およびエチレングリコール53乃至97.7モル%を含むジオールを反応させてエステル化反応および重縮合反応を行う段階を含む共重合ポリエステル樹脂の製造方法。
【化2】
【請求項4】
前記エステル化反応は、前記ジカルボン酸に対してジオールを1.2乃至3.0のモル比で投入し、230乃至265℃の反応温度、および1.0乃至3.0kg/cmの圧力下で100乃至300分間行う請求項に記載の共重合ポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記重縮合反応では、重縮合触媒、安定剤、および呈色剤を含む添加剤が使用される請求項に記載の共重合ポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記重縮合反応は、260乃至290℃の反応温度および400乃至0.1mmHgの減圧条件下で行う請求項に記載の共重合ポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の共重合ポリエステル樹脂を含む成形製品。
【請求項8】
前記成形製品は、熱収縮フィルムである請求項に記載の成形製品。
【請求項9】
前記熱収縮フィルムは、収縮開始温度が60℃以下であり、60℃で最大熱収縮率が4%以上である請求項に記載の成形製品。
【請求項10】
前記熱収縮フィルムは、90℃で最大熱収縮率が80%以上である請求項に記載の成形製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共重合ポリエステル樹脂およびこれを用いた成形製品に関するものであってより詳しくは収縮率が優れており、低い温度で熱収縮が可能な共重合ポリエステル樹脂およびこれを用いた成形製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱収縮性プラスチック製品は加熱により収縮する性質を用い、収縮包装、収縮ラベル(label)などのフィルム用途に広く使用される。そのうちのポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(Polystyrene)、ポリエステル(polyester)系プラスチックフィルムなどが各種容器などのラベル(label)やキャップシール(cap seal)、または直接包装などの目的で使用されてきた。
【0003】
しかし、ポリ塩化ビニルからなるフィルムは焼却時に塩化水素ガスおよびダイオキシンの原因になる物質が発生する問題があるため規制対象になっている。また、この製品をPET容器などの収縮ラベルとして使用すれば、容器を再生利用する時にはラベルと容器を分離しなければならない煩雑さがあった。
【0004】
また、ポリスチレン(polystyrene)系フィルムは収縮工程による作業安定性が良く、製品の外観が良好な反面、耐化学性が良くないため印刷時には特殊な組成のインクを使用しなければならない問題がある。さらに、常温での保管安定性が不十分であるため自然に収縮するなど寸法が変わる短所がある。
【0005】
前述の問題を解決するためにポリエステル(polyester)樹脂からなるフィルムが前記二つの原料から製造されるフィルムを代替する原料として研究開発されている。一方、PET容器の使用量が増加することに伴って再利用時に別途にラベルを分離せず再生が容易なポリエステルフィルムの使用量が増加する傾向であるが、従来の熱収縮ポリエステルフィルムは収縮特性において問題点があった。即ち、急激な収縮率挙動変化によって収縮時にシワや不均一な収縮が成形中に頻繁に発生する問題点があり、またポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレン系フィルムと比較するとき、低温での収縮性が落ちるので、これを補完するために高温で収縮しなければならず、この場合、PET容器の変形または白濁が発生する問題点があった。
【0006】
これにより、収縮率が優れ、低い低温収縮性が向上した共重合ポリエステル樹脂に対する研究が必要であるのが実情であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、収縮率が優れ、低い温度で熱収縮が可能な共重合ポリエステル樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面による共重合ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸に由来した残基のジカルボン酸由来残基;および下記化学式1で表される4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートに由来した残基、および下記化学式2で表される4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノールに由来した残基のジオール由来残基;を含む。
【0009】
【化1】
【0010】
そして、前記ジオール由来残基は、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、およびエチレングリコールに由来した残基をさらに含んでもよい。
【0011】
さらに、前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸(terephthalic acid)、ジメチルテレフタレート(dimethyl terephthalate)、脂環式ジカルボン酸(cycloaliphatic dicarboxylic acid)、イソフタル酸(isophthalic acid)、アジピン酸(adipic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、ナフタレンジカルボン酸(naphthalenedicarboxylic acid)、およびコハク酸(succinic acid)からなる群より選択される一つ以上であってもよい。
【0012】
本発明の他の側面による共重合ポリエステル樹脂の製造方法は、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、前記化学式1で表される4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートおよび前記化学式2で表される4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノールを含むジオールを反応させてエステル化反応および重縮合反応を行う段階を含んでもよい。
【0013】
そして、前記ジオールは、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、およびエチレングリコールをさらに含んでもよい。
【0014】
また、前記ジオールは、前記ジカルボン酸100モル%に対して、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート0.1乃至5モル%、4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノール0.1乃至12モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール0.1乃至15モル%、ジエチレングリコール2乃至15モル%、およびエチレングリコール53乃至97.7モル%を含んでもよい。
【0015】
そして、前記エステル化反応は、前記ジカルボン酸に対してジオールを1.2乃至3.0のモル比で投入し、230乃至265℃の反応温度、および1.0乃至3.0kg/cmの圧力下で100乃至300分間行ってもよい。
【0016】
また、前記重縮合反応では、重縮合触媒、安定剤、および呈色剤を含む添加剤が使用されてもよい。
【0017】
一方、前記重縮合反応は、260乃至290℃の反応温度および400乃至0.1mmHgの減圧条件下で行ってもよい。
【0018】
本発明の他の側面による成形製品は前述の共重合ポリエステル樹脂を含んでもよく、前記成形製品は熱収縮フィルムであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明による共重合ポリエステル樹脂およびこれを含む熱収縮フィルムなどの成形製品は、従来の共重合ポリエステルに比べて収縮率が優れており、PVCと類似な低い温度で熱収縮が可能であるためフィルムの熱収縮工程で引き起こされたPET容器の変形または白濁を防止することができ、収縮速度調節が容易であるため成形不良を減少させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は多様な変換を加えることができ様々な実施例を有し得るところ、特定の実施例を詳細な説明において詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変換、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。本発明を説明することにおいて、関連公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を曇らすことがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0021】
本発明は、芳香族ジカルボン酸に由来した残基のジカルボン酸由来残基;および
下記化学式1で表される4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートに由来した残基、および下記化学式2で表される4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノールに由来した残基のジオール由来残基を含む共重合ポリエステル樹脂を提供する。
【0022】
【化2】
【0023】
また、本発明の他の側面によれば、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、前記化学式1で表される4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートおよび前記化学式2で表される4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノールを含むジオールを反応させてエステル化反応および重縮合反応を行う段階を含む共重合ポリエステル樹脂の製造方法が提供される。
【0024】
そして、本発明のまた他の側面によれば、前述の共重合ポリエステル樹脂を含む成形製品が提供される。
【0025】
以下、発明の具体的な実施形態による共重合ポリエステル樹脂に関してより詳細に説明する。
【0026】
本明細書で、‘残基’は特定の化合物が化学反応に参与したとき、その化学反応の結果物に含まれ前記特定化合物に由来した一定の部分または単位を意味する。例えば、前記ジカルボン酸由来‘残基’またはジオール由来‘残基’それぞれは、エステル化反応または重縮合反応によって形成されるポリエステルにおいてジカルボン酸成分に由来した部分またはジオール成分に由来した部分を意味する。
【0027】
本発明の一側面による共重合ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸に由来した残基のジカルボン酸由来残基;および前記化学式1で表される4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートに由来した残基、および前記化学式2で表される4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノールに由来した残基のジオール由来残基を含む。
【0028】
従来のポリエステルフィルムは急激な収縮率挙動変化によって収縮時にシワや不均一な収縮が成形中に頻繁に発生する問題点があり、またポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレン系フィルムと比較するとき、低温での収縮性が落ちたので、これを補完するために高温で収縮しなければならず、この場合、PET容器の変形または白濁が発生する問題点があった。
【0029】
よって、本発明者らは4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、および4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノールを含むジオールを使用して共重合ポリエステル樹脂およびこれを含む熱収縮フィルムなど成形製品を提供する場合、収縮率が優れ、PVCと類似な低い温度で熱収縮が可能であるためフィルムの熱収縮工程で引き起こされたPET容器の変形または白濁を防止することができ、収縮速度調節が容易であるため成形不良を減少させることができるという点を実験を通じて確認し発明を完成した。
【0030】
テレフタル酸とジエチレングリコールおよびエチレングリコールを原料とするポリマーの成形性またはその他の物性を改善するために使用されるジオール化合物としては、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、および1,3−シクロヘキサンジメタノールなどがあるが、特にポリマーの物性改善のために使用されるジオール化合物としては4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートと4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノールが好ましい。これは、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートと4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノールを使用する場合、残留応力に関連した一定水準以上の分子鎖長さが前記化合物を使用する時より長くなり、延伸による残留応力が大きくなり熱量供給時に残留応力解消による収縮力が高くなるためである。
【0031】
前記4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートは下記化学式1で表され、4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノールは下記化学式2で表される。
【0032】
【化3】
【0033】
本発明で使用される4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートと4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノールの使用量は、最終ポリマーの中の所望のモル%に近似の量を投入し、好ましくは、結晶化による成形性不良を防止するために全体ジオール成分中の2乃至17モル%であるのが好ましい。これは、2モル%未満であれば収縮率向上効果を確認するのが難しく、17モル%を超過する場合、過延伸による白化現象が発生し熱収縮フィルムとしての活用度が落ちる問題点があるためである。
【0034】
そして、前記ジオール由来残基は、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、およびエチレングリコールに由来した残基をさらに含んでもよい。
【0035】
さらに、前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸(terephthalic acid)、ジメチルテレフタレート(dimethyl terephthalate)、脂環式ジカルボン酸(cycloaliphatic dicarboxylic acid)、イソフタル酸(isophthalic acid)、アジピン酸(adipic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、ナフタレンジカルボン酸(naphthalenedicarboxylic acid)、およびコハク酸(succinic acid)からなる群より選択される一つ以上であってもよい。
【0036】
本発明の他の側面による共重合ポリエステル樹脂の製造方法は、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、前記化学式1で表される4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレートおよび前記化学式2で表される4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノールを含むジオールを反応させてエステル化反応および重縮合反応を行う段階を含んでもよい。
【0037】
そして、前記ジオールは1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、およびエチレングリコールをさらに含んでもよく、前記ジオールは前記ジカルボン酸100モル%に対して、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート0.1乃至5モル%、4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノール0.1乃至12モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール0.1乃至15モル%、ジエチレングリコール2乃至15モル%、およびエチレングリコール53乃至97.7モル%を含んでもよい。
【0038】
本発明による共重合ポリエステル樹脂は、エステル化反応、および重縮合反応を通じて製造される。第1段階のエステル化反応はバッチ(Batch)式または連続式で遂行することができ、それぞれの原料は別途に投入してもよいが、好ましくはジオールにジカルボン酸をスラリー形態にして投入してもよい。
【0039】
そして、前記エステル化反応は、前記ジカルボン酸に対してジオールを1.2乃至3.0のモル比で投入し、230乃至265℃、さらに好ましくは245乃至255℃の反応温度、および1.0乃至3.0kg/cmの圧力下で行ってもよい。また、前記エステル化反応時間は通常100〜300分程度かかるが、これは反応温度、圧力、および使用されるジカルボン酸に対するグリコールのモル比によって適切に変化してもよいので、これに限定されるのではない。
【0040】
一方、前記エステル化反応には触媒が必要でないが、反応時間短縮のために選択的に触媒を投入してもよい。
【0041】
前述のエステル化反応が完了した後には、重縮合反応が行われ、ポリエステルの樹脂の重縮合反応時に一般に使用される成分として重縮合触媒、安定剤および呈色剤などが選択的に使用されてもよい。
【0042】
本発明で使用可能な重縮合触媒としては、チタン、ゲルマニウムおよびアンチモン化合物などがあるが、特にこれに限定されるのではない。
【0043】
前記チタン系触媒はシクロヘキサンジメタノール系誘導体をテレフタル酸重量に対して15%以上共重合させたポリエステル樹脂の重縮合触媒として使用される触媒であって、アンチモン系触媒に比べて少量を使用しても反応が可能であり、またゲルマニウム系触媒より価格が低廉な長所を有する。
【0044】
具体的に使用可能なチタン系触媒としては、テトラエチルチタネート、アセチルトリプロピルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ポリブチルチタネート、2−エチルヘキシルチタネート、オクチレングリコールチタネート、ラクテートチタネート、トリエタノールアミンチタネート、アセチルアセトネートチタネート、エチルアセトアセティックエステルチタネート、イソステアリルチタネート、チタニウムジオキシド、チタニウムジオキシドとシリコンジオキシド共沈物およびチタニウムジオキシドとジルコニウムジオキシド共沈物などがある。
【0045】
この時、前記重縮合触媒の使用量は、最終ポリマーの色に影響を与えるので所望の色と使用される安定剤および呈色剤によって変わってもよいが、好ましくは最終ポリマーの重量に対してチタン元素量を基準に1乃至100ppm、さらに好ましくは1乃至50ppmがよく、シリコン元素量を基準に10ppm以下が好ましい。これは、前記チタン元素量が1ppm未満であれば所望の重合度に到達せず、100ppmを超過すれば最終ポリマーの色が黄色くなり所望の色が得られないためである。
【0046】
また、その他の添加剤として安定剤および呈色剤などが使用されてもよい。本発明で使用可能な安定剤としてはリン酸、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリエチルホスホノアセテートなどがあり、その添加量はリン元素量を基準に最終ポリマーの重量に対して10乃至100ppmであるのが好ましい。これは、前記安定剤の添加量が10ppm未満であれば所望の明るい色を得にくく、100ppmを超過すれば所望の高重合度に到達しない問題があるためである。
【0047】
また、本発明で色を向上させるために使用可能な呈色剤としてはコバルトアセテートおよびコバルトプロピオネートなどの呈色剤が挙げられ、その添加量は最終ポリマー重量に対して100ppm以下が好ましい。さらに、前記呈色剤以外にも既存に公知された有機化合物を呈色剤として使用してもよい。
【0048】
一方、このような成分が添加された後に遂行される重縮合反応は260乃至290℃および400乃至0.1mmHgの減圧条件下で実施されるのが好ましいが、これに限定されるのではない。
【0049】
前記重縮合段階は所望の固有粘度に到達するまで必要な時間実施され、反応温度は一般に260乃至290℃であり、好ましくは260乃至280℃、さらに好ましくは265乃至275℃である。
【0050】
本発明のまた他の側面による成形製品は、前述の共重合ポリエステル樹脂を含んでもよく、前記成形製品は熱収縮フィルムであってもよい。
【0051】
このような熱収縮フィルムは収縮開始温度が60℃以下、あるいは40乃至60℃、あるいは50乃至60℃であり、60℃で最大熱収縮率が4%以上、あるいは4乃至10%、あるいは5乃至9%であり、90℃で最大熱収縮率が80%以上、あるいは80乃至99%、あるいは81乃至95%であってもよい。
【0052】
以下、本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。但し、これら実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されるとは解釈されない。
【実施例】
【0053】
<実施例1>
テレフタル酸14モルを基準に4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボン酸1モル、4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノール5モル、1,4−シクロヘキサンジメタノール1モル、ジエチレングリコール10モル、エチレングリコール83モルを、共重合ポリエステル樹脂の製造のために用い、これらを3kgバッチ反応器で混合しながら、温度を徐々に255℃まで引き上げながら反応させた。
【0054】
この時、発生する水を界外に流出させてエステル反応させ、水の発生、流出が終了すると、攪拌器と冷却コンデンサおよび真空システム付きの重縮合反応器に内容物を移した。
【0055】
エステル化反応物にテトラブチルチタネート0.5g、トリエチルホスフェート0.4g、およびコバルトアセテート0.5gを添加した後に内部温度を240℃から275℃まで上げながら低真空(圧力を常圧から50mmHgまで減圧)下で1次的に40分間反応を行った。その後にエチレングリコールを除去し、圧力を再び0.1mmHgまで徐々に減圧して高真空雰囲気で所望の固有粘度となるまで反応させ、これを吐き出してチップ状に切断した。製造された共重合ポリエステル樹脂を用いて熱収縮フィルムを製造した。
【0056】
<実施例2>
テレフタル酸14モルを基準に4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボン酸2.5モル、4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノール11.5モル、1,4−シクロヘキサンジメタノール1.5モル、ジエチレングリコール10モル、エチレングリコール74.5モルが投入されたことを除いては実施例1と同様の方法で熱収縮フィルムを製造した。
【0057】
<実施例3>
テレフタル酸14モルを基準に4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボン酸2.5モル、4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノール8モル、1,4−シクロヘキサンジメタノール5モル、ジエチレングリコール10モル、エチレングリコール74.5モルが投入されたことを除いては実施例1と同様の方法で熱収縮フィルムを製造した。
【0058】
<実施例4>
テレフタル酸14モルを基準に4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボン酸3モル、4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノール4.5モル、1,4−シクロヘキサンジメタノール7.5モル、ジエチレングリコール10モル、エチレングリコール75モルが投入されたことを除いては実施例1と同様の方法で熱収縮フィルムを製造した。
【0059】
<実施例5>
テレフタル酸14モルを基準に4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボン酸5モル、4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノール1モル、1,4−シクロヘキサンジメタノール10モル、ジエチレングリコール10モル、エチレングリコール74モルが投入されたことを除いては実施例1と同様の方法で熱収縮フィルムを製造した。
【0060】
<比較例1>
4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル4’−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボキシレート、4,4−(オキシビス(メチレン)ビス)シクロヘキサンメタノールを使用しないことを除いては実施例1と同様に熱収縮フィルムを製造した。
【0061】
<比較例2>
PVC樹脂を用いて熱収縮フィルムを製造した。
【0062】
<試験例>
前記実施例および比較例によって製造された共重合ポリエステル樹脂を用いて製造された熱収縮フィルムを下記方法によってガラス転移温度、収縮開始温度、熱収縮率および固有粘度を測定して下記表1に示した。
【0063】
(1)ガラス転移温度(Tg):ティーエイインスツルメント(TA instrument)社の示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimetry)用いて測定した。
【0064】
(2)固有粘度(IV):150℃でオルト−クロロフェノールに、製造された共重合ポリエステル樹脂を0.12%濃度に溶解した後、35℃の恒温槽でウベローデ型粘度計を用いて測定した。
【0065】
(3)熱収縮率:製造されたフィルム試料を10cm×10cmの正四角形に裁断し、延伸比(DR)のMD:TD=1:5または1:6、延伸速度50〜60mm/minで延伸した後、下記表1に記載されたような温度で40秒間オーブンに入れて熱収縮させた後、試料の縦および横方向長さを測定して下記式によって計算した。
【0066】
− 熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/(収縮前の長さ)
【0067】
【表1】
【0068】
上記表1から分かるように、本発明による共重合ポリエステル樹脂の熱収縮フィルムは低い収縮開始温度を有することによって収縮速度が遅いため円滑な工程制御が可能であることにより不良率が減少し優れた成形性を有する。したがって、このような共重合ポリエステル樹脂を押出および延伸工程を通じて成形して優れた成形性を有する熱収縮フィルム製品を得ることができる。
【0069】
以上、本発明内容の特定の部分を詳しく記述したところ、当業界の通常の知識を有する者にとって、このような具体的技術は単に好ましい実施態様に過ぎず、これによって本発明の範囲が制限されるのではない点は明白である。従って、本発明の実質的な範囲は添付された請求項とそれらの等価物によって定義される。