【実施例】
【0061】
本発明をさらに詳細に説明するために、以下の実施例を示す。しかしながら、本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものではない。本明細書及び実施例において以下の略語を使用する:DCMはジクロロメタンである;EAは酢酸エチルである;THFはテトラヒドロフランである;MTBEはメチルtert-ブチルエーテルである;DMAcはジメチルジメチルアセトアミドである;OTCAはトリクロロアセトイミデート基である;DCEはジクロロエタンである;IPEはイソプロピルエーテルである;CBzはカルボキシベンジル、カルバメート保護基である。化合物BC8は、米国出願公開第2012/0083594号に従って調製できる。化合物A4は、J. Am Chem Soc.,2005,127,3767-3773;またはTetrahedron:Asymmetry,2005,16(2),411-424の手順に従って調製できる。
【0062】
実施例1
ABC1の調製
【0063】
【化15】
【0064】
A4→A5
四つ口丸底フラスコに、機械的撹拌機と温度計を備え付けた。このフラスコに、A4(32g,75mmol,1.4当量)、トルエン(64mL)、K
2CO
3(52g,374mmol,7.0当量)、およびCCl
3CN(37mL,374mmol,7.0当量)を、20〜30℃で窒素下にて添加した。この混合物を、20〜30℃で4時間撹拌した。この混合物を濾過し、濾過ケーキをトルエン(64mL)で洗浄した。濾液と洗浄液を混合し、A5を含むトルエン溶液を得た。-10℃未満に冷却した後、A5/トルエン溶液を使用する準備が整った。
【0065】
BC8→ABC1
四つ口丸底フラスコに、機械的撹拌機と温度計を備え付けた。このフラスコに、BC8(32g,53mmol,1当量)およびMTBE(576mL)を、20〜30℃で窒素下にて添加した。この混合物を、溶解するために45℃未満に加熱した。20〜30℃に冷却した後、3Åの分子篩(15g)をこの混合物に添加し、得られた混合物をこの温度で2時間撹拌した。その後、この混合物を-35〜-25℃に冷却した。TBSOTf(5mL,21mmol,0.4当量)を-35〜-25℃で添加し、この混合物をこの温度で約15分間撹拌した。得られたBC8および3Åの分子篩をMTBE内に含有する混合物を、使用する準備が整った。
【0066】
A5/トルエン溶液を含むフラスコに、BC8および3Åの分子篩を含むMTBEの混合物を、温度を-35〜-25℃に保ちつつ30分かけて添加した。この混合物を、-35〜-25℃で1時間撹拌した。トリエチルアミン(23mL,160mmol,3当量)およびAc
2O(5mL,53mmol,1当量)を、-35〜-25℃で順次添加した。この混合物を、約50℃に加熱し6時間撹拌した。この混合物を濾過し、濾過ケーキをMTBE(64mL)で洗浄した。濾液と洗浄液を混合し、濃縮して粗ABC1溶液を得た。粗ABC1溶液を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー;溶出溶媒:EtOAc/n-ヘプタン(最初の溶出溶媒は1:4、その後2:3)を用いて精製し、その後濃縮してABC1を含むEtOAc/n-ヘプタン(1/1)溶液(50g,88%)を得た。
【0067】
実施例2
ABC2の調製
【0068】
【化16】
【0069】
三つ口丸底フラスコに、機械的撹拌機と温度計を備え付けた。このフラスコに、前もって調製したABC1を含むEtOAc/n-ヘプタン溶液(162mL,1/1(v/v))を、20〜30℃で窒素下にて添加した。この混合物を0〜10℃に冷却した後、Ac
2O(16.3g,0.16mol,3.0当量)およびTMSOTf(3.6g,0.02mol,0.3当量)を、この温度で順次添加した。この混合物を、0〜10℃で10時間以上撹拌した。トリエチルアミン(45mL,0.27mol,6.0当量)を0〜10℃でゆっくりと加えた。この混合物を、0〜10℃で1時間撹拌した。20%NaCl水溶液(64mL,2vol)を0〜10℃でゆっくりと加えた。この混合物を2時間撹拌した。分離した水性部分は廃棄した。ABC2を含有するEtOAc/n-ヘプタン(1/1(v/v))溶液を含む分離有機部分を、次の工程に使用する準備が整った。
【0070】
実施例3
ABC3の調製
【0071】
【化17】
【0072】
三つ口丸底フラスコに、機械的撹拌機と温度計を備え付けた。このフラスコに、前もって調製したABC2を含むEtOAc/n-ヘプタン(1/1(v/v))溶液を、20〜30℃で窒素下にて添加した。H
2NNH
2-H
2O(3.8g,80mmol,1.4当量)を20〜30℃で添加し、この混合物をこの温度で3時間撹拌した。5%NaCl水溶液(160mL)を20〜30℃で添加し、この混合物をこの温度で1時間撹拌した。相を分離させるために撹拌を停止した。分離した水相は廃棄した。有機部分とエマルジョン部分を混合して濃縮し、粗ABC3を含むEtOAc/n-ヘプタン溶液を得た。粗ABC3溶液を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶出溶媒:アセトン/トルエン(0.05%(v/v)のEt
3Nを含む,5/95(v/v)))により精製し、その後濃縮してABC3を含むトルエン溶液(44g,94%)を得た。
【0073】
実施例4
ABC5の調製
【0074】
【化18】
【0075】
ABC3→ABC4
四つ口丸底フラスコに、機械的撹拌機と温度計を備え付けた。このフラスコに、ABC3/トルエン溶液(約96mL,3vol)を、20〜30℃で窒素下にて添加した。K
2CO
3(74g,0.53mol,10当量)およびCCl
3CN(77g,0.53mol,10当量)を、20〜30℃で順次添加した。この混合物を、20〜30℃で4時間以上撹拌した。この混合物を濾過し、濾過ケーキをトルエン(64mL,2vol)で洗浄した。濾液と洗浄液を混合し、ABC4を含むトルエン溶液を得た。-5℃未満に冷却した後、ABC4/トルエン溶液(約160mL,5vol)を、使用する準備が整った。
【0076】
ABC4→ABC5
四つ口丸底フラスコに、機械的撹拌機と温度計を備え付けた。このフラスコに、チオフェノール(24g,0.2mmol,4当量)およびトルエン(260mL)を、20〜30℃で窒素下にて添加した。この混合物を-20〜-10℃に冷却した。TBSOTf(21g,0.08mol,1.5当量)を-20〜-10℃で添加した。得られたチオフェノールおよびTBSOTfをトルエン中に含む混合物を、使用する準備が整った。
【0077】
ABC4溶液を含むフラスコに、チオフェノールおよびTBSOTfを含むトルエンの混合物を、温度を-20〜-10℃に保ちつつ30分かけて添加した。この混合物を-20〜-10℃で2時間撹拌した。Et
3N/トルエン(15mL/65mL)を、温度を-5℃未満に保ちつつ30分かけてゆっくりと添加した。この混合物を-5℃未満で30分間撹拌した。この混合物を濃縮して粗ABC5をトルエン中に含む溶液を得た。ABC5溶液を、カラム(シリカゲル;溶出溶媒:EtOAc/トルエン(0.05%(v/v)のEt
3Nを含む,2/98(v/v)))を用いて精製し、ABC5を含むトルエン溶液(42g,88%)を得た。
【0078】
実施例5
ABCDE1の調製
【0079】
【化19】
【0080】
ABC5(35g,0.03mol,1.0当量)、DE4(28g,0.033mol,1.1当量)、およびDCM(700g)を、20〜40℃で窒素下にて機械的撹拌機と温度計を備え付けた四つ口丸底フラスコに添加した。この混合物を20〜40℃で30分間撹拌し、均一な溶液を得た。3Åの分子篩(35g)を20〜40℃で添加し、この混合物をこの温度で1時間撹拌した。
【0081】
この混合物を-30〜-20℃に冷却した後、N-ヨードスクシンイミド(NIS)(10.2g,1.5当量,0.045mol)をこの温度で添加し、15分間撹拌した。TfOH(1.8g,0.012mol,0.4当量)を含むDCM(10mL)を-30〜-20℃でゆっくりと加え、この混合物をこの温度で2時間撹拌した。Et
3N(6.1g,0.06mol,2当量)を-30〜-20℃で添加し、この混合物をこの温度で30分間撹拌した。この混合物をセライトパッドを用いて濾過し、濾過ケーキをDCM(140mL)で洗浄した。濾液と洗浄液を混合し、30%Na
2S
2O
3・5H
2O水溶液(105mL,3vol)を20〜40℃で添加した。混合物を20〜40℃で1時間撹拌した後、相を分離させるために撹拌を約5分間停止した。分離した水性部分は廃棄した。分離した有機部分を濃縮して、粗ABCDE1溶液を含むDCMを得た。粗ABCDE1溶液をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;溶出溶媒:EtOAc/トルエン(Et
3N(0.1%(v/v))を含む,1/9(v/v))により精製し、ABCDE1溶液を含むトルエン溶液を得た。
【0082】
ABCDE1を含むトルエン溶液(約105mL)を、機械的撹拌機と温度計を備え付けた四つ口丸底フラスコに窒素下にて添加した。この混合物を35〜45℃に加熱した後、IPA(105mL)およびn-ヘプタン(105mL)をこの温度で順次添加した。ABCDE1種(0.035g)を35〜45℃で添加し、この混合物をこの温度で1時間撹拌した。n-ヘプタン(175mL)を35〜45℃で添加した後、この混合物を15〜25℃に冷却し、1時間撹拌した。この混合物を濾過し、濾過ケーキをn-ヘプタン(70mL)で洗浄した。湿ったケーキを60℃未満で乾燥し、ABCDE1を白色固体として得た(39g,65%)。
【0083】
実施例6
ABCDE2の調製
【0084】
【化20】
【0085】
THF(250mL)およびABCDE1(50g,26.4mmol,1.0当量)を、四つ口丸底フラスコに、20〜40℃で窒素下にて添加した。この混合物を10℃に冷却し、35%H
2O
2水溶液(102.5mL,1161mmol,44当量)を、この温度で添加した。2N NaOH水溶液(356mL,712.4mmol,27当量)を10℃で添加した。この混合物を20〜30℃に加熱し、48時間撹拌した。相を分離させるために撹拌を約5分間停止した。分離した有機部分は保存し、分離した水性部分は廃棄した。保存した有機部分に30%Na
2S
2O
3・5H
2O水溶液(250mL,5vol)を添加し、この混合物を約5分間撹拌した。相を分離させるために撹拌を約5分間停止した。分離した有機部分は保存し、分離した水性部分は廃棄した。保存した有機部分に30%Na
2S
2O
3・5H
2O水溶液(250mL,5vol)を添加し、この混合物を約5分間撹拌した。相を分離させるために撹拌を約5分間停止した。分離した有機部分は保存し、分離した水性部分は廃棄した。保存した有機部分にH
2O(500mL,10vol)を添加し、1N HCl水溶液(45mL,0.9vol)を混合物のpHが4〜5に達するまで添加した。アセトン(250mL,5vol)を添加し、容積が約700mLに達するまで、混合物を35〜60℃で濃縮した。1N HCl水溶液(5mL)を、混合物のpHが2.5〜3.5に達するまで添加した。20〜30℃で30分間撹拌した後、混合物を濾過し、濾過ケーキをH
2O(250mL)で洗浄した。湿ったケーキを60℃未満で乾燥し、ABCDE2を白色の固体として得た(38.4g,82%収率)。
【0086】
実施例7
ABCDE3の調製
【0087】
【化21】
【0088】
ABCDE2(8g,1.0当量,5.02mmol)、SO
3-TMA錯体(38.4g,55当量,275.92mmol)、およびDMAc(88mL)を、機械的撹拌機と温度計を備え付けた丸底フラスコに、20〜40℃で窒素下にて添加した。このスラリー混合物を55〜65℃に加熱し、6時間撹拌した。10℃未満に冷却した後、この混合物に8%NaHCO
3水溶液(40mL)を30℃未満で添加した。この混合物を濾過し、濾過ケーキをDMAc(96mL)で洗浄した。濾液と洗浄液を混合し10℃未満に冷却した後、温度を30℃に保ちつつ水(88mL)をゆっくりと加えた。粗ABCDE3を含むDMAc/水の溶液を含有する混合物を、このようにして得た。ABCDE3を、HP20SS樹脂を用い、溶出溶媒としてNaCl水溶液(10%)、その後MeOH、その後水で溶媒交換を行い精製し、ABCDE3水溶液を得た。
【0089】
実施例8
ABCDE4の調製
【0090】
【化22】
【0091】
ABCDE3水溶液(8gのABCDE2に基づく)および10%Pd/C(3.2g,40%wt)を、20〜30℃のオートクレーブに添加した。この混合物を、水素(0〜0.5kgのゲージ圧)に20〜30℃で48時間曝した。この混合物をセライトパッドを用いて濾過し、濾過ケーキを水(32mL)で洗浄した。濾液と洗浄液を混合した後、活性炭(1.6g)を20〜30℃で加え、この混合物をこの温度で3時間撹拌した。この混合物をセライトパッドを用いて濾過し、濾液を保存した。反応物を水(32mL)でリンスし、溶液を0.2ミクロンのフィルターを用いて濾過した。2つの濾液を混合しABCDE4水溶液を得た。
【0092】
実施例9
フォンダパリヌクスの調製
【0093】
【化23】
【0094】
ABCDE4水溶液(8gのABCDEに基づく)を、機械的撹拌機と温度計を備え付けた丸底フラスコに20〜40℃で添加した。この混合物に1N HCl水溶液を、pHが8〜9に達するまで添加した。SO
3・TMA(23.04g,33当量,165.5mmol)を20〜40℃で添加した後,この混合物を40〜50℃に加熱し10時間撹拌した。この混合物を10℃以下に冷却した。この混合物を濾過し、濾過ケーキを水(32mL)で洗浄した。濾液に1N NaOH水溶液を、pHが9〜10に達するまで添加した。この混合物を45〜55℃に加熱し、20時間撹拌した。この混合物を30℃未満に冷却した。このようにして、粗フォンダパリヌクスナトリウム水溶液を含有する混合物を得た。
【0095】
粗フォンダパリヌクスナトリウム水溶液(2.4g)を、Q Sepharose Fast Flow樹脂(QSFF)(190mL)により0.4M NaCl水溶液、0.8M NaCl水溶液、および2M NaCl水溶液を溶出溶媒として用いて精製し、フォンダパリヌクスナトリウム溶液を得た。フォンダパリヌクスナトリウムを、0.1m
2の1 kDa regenerousセルロース(RC)膜よりタンジェンシャルフロー濾過(TFF)を用いて脱塩し、その後凍結乾燥してフォンダパリヌクス(2.2g,80%)を得た。
【0096】
前述の発明は、明確に理解する目的のために例示および実施例によっていくらか詳細に記載されているが、当業者は、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲内で実施され得ることを理解するであろう。各文献は個別に参照により援用されるのと同程度に、その全体が参照により本明細書に援用される。本出願と本明細書中に援用される文献との間に矛盾が存在する場合、本出願が支配するものとする。