特許第6321806号(P6321806)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6321806圧力検出硝子体切除手術システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321806
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】圧力検出硝子体切除手術システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
   A61F9/007 130G
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-534215(P2016-534215)
(86)(22)【出願日】2014年11月6日
(65)【公表番号】特表2016-538070(P2016-538070A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】US2014064423
(87)【国際公開番号】WO2015080851
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2016年5月25日
(31)【優先権主張番号】14/090,360
(32)【優先日】2013年11月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(72)【発明者】
【氏名】タモ ヘーレン
【審査官】 白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05865764(US,A)
【文献】 特開平03−049756(JP,A)
【文献】 特開平01−207059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61B 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置中に患者の眼内に洗浄を提供するためのシステムであって、前記システムは、
前記患者の眼と流体連通する流体源を配置するように構成された注入ラインであって、前記注入ラインは、
近位端、遠位端、及び前記近位端から前記遠位端まで伸びる管腔であって、前記患者の眼に洗浄流体を通すように構成された管腔を有する比較的よりフレキシブルな細長い部材と、
前記遠位端に配置された比較的より硬質の係合部材であって、前記患者の眼の硝子体腔に入るように構成された係合部材と、を含む注入ラインと、
前記フレキシブルな細長い部材の長さの一部に沿って規則的な均一の間隔で配置された複数の圧力センサーと
前記複数の圧力センサーから圧力データを受け取り、かつ、前記圧力データに基づき圧力差を識別することによって前記フレキシブルな細長い部材に沿ったフロー障害の位置を検知するように構成される、コンソールと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記フレキシブルな細長い部材に形成された凹部をさら含み、前記凹部は、管腔に開口し且つ前記複数の圧力センサーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記フレキシブルな細長い部材の近位端に配置された光ファイバー連結要素または電気連結要素をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記硬質の係合部材が前記眼に挿入される場合、硝子体腔の圧力を測定するように、前記硬質の係合部材の外側表面に配置されている、第1の追加の圧力センサーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
周囲圧力を測定するように前記フレキシブルな細長い部材の外側表面に配置されている、第2の追加の圧力センサーを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
内部切断チューブ、外部切断チューブ、及び外部ポートを含み、前記内部切断チューブは硝子体切除処置中に硝子体液を切断するように前記外部切断チューブに対して移動する、切断部を有する硝子体プローブと、
前記外部ポートを開閉するように前記外部切断チューブに対して前記内部切断チューブを移動するように構成されたモーターと、
前記硝子体プローブに関連する1つ以上の圧力を測定するように硝子体プローブに連結した1つ以上の圧力センサーと、
患者の眼と流体連通する流体源を配置するように構成された注入ラインであって、前記注入ラインは、
近位端、遠位端、及び前記近位端から前記遠位端まで伸びる管腔であって前記患者の眼に洗浄流体を通すように構成された管腔を有する比較的よりフレキシブルな細長い部材と、
前記遠位端に配置された比較的より硬質の係合部材であって、前記患者の眼の硝子体腔に入るように構成された係合部材と、を含む注入ラインと、
前記フレキシブルな細長い部材の長さの一部に沿って規則的な均一の間隔で配置された複数の圧力センサーと
前記規則的な均一の間隔で配置された複数の圧力センサーから圧力データを受け取り、かつ、前記圧力データに基づき圧力差を識別することによって前記フレキシブルな細長い部材に沿ったフロー障害の位置を検知するように構成される、コンソールと、
を含む、硝子体切除手術システム。
【請求項7】
前記硝子体プローブに連結した前記1つ以上の圧力センサーの第1圧力センサーは、前記第1圧力センサーが硝子体腔圧力を測定するように構成されるように前記外部切断チューブの外側表面に配置される、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1圧力センサーは、前記外部切断チューブに形成された凹部内に配置される、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記硝子体プローブに連結した前記1つ以上の圧力センサーの第2圧力センサーは、前記第2圧力センサーが前記硝子体切除処置中に吸引圧を測定するように構成されるように前記内部切断チューブ内に配置される、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1圧力センサー及び前記第2圧力センサーは、圧力測定値差を提供するために用いられる、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
大気圧の測定値を提供するように前記システムに連結した周囲圧力センサーをさらに含む、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記硝子体プローブに連結した前記1つ以上の圧力センサーの少なくとも1つの圧力センサーは、光ファイバー圧力センサーである、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硝子体切除プローブ、システム、及び方法に関する。より詳細には、限定するものではないが、本発明は、硝子体切除プローブとその動作環境のモニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
顕微手術処置は、様々な体組織を精密切削及び/または除去することを頻繁に必要とする。例えば、特定の眼科手術処置は、眼の後部を満たす透明なゼリー状物質である、硝子体液の部分を切断及び除去することを必要とする。硝子体液または硝子体は、網膜にしばしば付着する多数の微細なフィブリルから構成されている。それゆえ、硝子体の切断及び除去は、網膜上の牽引、脈絡膜からの網膜の分離、網膜裂孔、または最悪の場合には網膜自体を切断及び除去することを避けるために細心の注意を払って行わなければならない。特に、移動性組織管理(例えば、網膜または網膜裂孔の剥離された部分に近い硝子体の切断及び除去)、硝子体ベース切開、ならびに膜の切断及び除去のような繊細な手術は、特に困難である。
【0003】
後部眼科手術における顕微手術切断プローブの使用はよく知られている。これらの切断プローブは、典型的には中空外部切断部材と、中空外部切断部材と同軸上に配置され且つその内部に移動可能に配置された中空内部切断部材と、遠位端近くに外部切断部材を介して半径方向に伸びるポートとを含む。硝子体液及び/または膜は開いているポートの中に吸引され、内部部材はポートを閉じて、作動される。ポートの閉鎖の下で、内部及び外部の両方の切断部材の切断面は、硝子体及び/または膜の切断に協力し、切断された組織はその後、内部切断部材を介して離れて吸引される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの合併症は、これらの顕微切断プローブの使用を必要とする処置の際に発生し得る。これらの合併症のいくつかは、処置の性質上生じ得る。例えば、硝子体液の除去の間、硝子体腔の圧力があまりにも多く低下する場合、眼がつぶれることがある。さらに、切断プローブ自体で合併症が生じ得る。例えば、切断プローブの空気圧ラインまたは輸液ラインがよじれたまたはほぼよじれた場合、プローブの一貫性制御を維持することは圧力が変動するので困難となり得る。
【0005】
本開示は、従来技術における1つ以上の欠点を対処することに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの典型的な態様において、本開示は、医療処置中の患者の眼に洗浄を提供するシステムに向けられる。システムは、患者の眼に流体連通する流体源を置くように構成された注入ラインと、注入ラインと連結され且つ医療処置中に注入ラインのおよその圧力を測定するように構成された1つ以上の圧力センサーとを含む。注入ラインは、近位端、遠位端、及び近位端から遠位端まで通じて伸びる内腔を有する比較的フレキシブルな細長い部材を含む。内腔は、患者の眼に洗浄流体を通すように構成される。注入ラインは、患者の眼の硝子体腔を貫通するように構成された遠位端で比較的堅い係合部材をさらに含む。
【0007】
さらなる典型的な態様において、本開示は、硝子体切除手術システムに関する。システムは、内部切断チューブ、外部切断チューブ、及び外部ポートを有する切断部を有する硝子体切除プローブを含む。内部切断チューブは、硝子体切除処置中に硝子体液を切除するために、外部切断チューブに対して移動可能である。上記システムは、また、外部ポートを開け閉めするために外部切断チューブに対して内部切断チューブを移動するように構成されたモーターと、硝子体切除プローブの遠位部の近傍の圧を測定し、且つ圧力のフィードバックを提供する硝子切除プローブに連結した1つ以上の圧力センサーとを含む。
【0008】
さらなる典型的な態様において、本開示は眼の症状を治療する方法に向けられる。方法は、患者の硝子体腔内へ強膜を介して少なくとも1つの圧力センサーを含むプローブを挿入することと、硝子体腔圧測定を提供するための少なくとも1つの圧力センサーで硝子体腔圧を測定することと、硝子体腔圧測定に基づく硝子体液除去処置のパラメーターを調整することとを含む。
【0009】
前述の一般的な説明及び以下の図面及び詳細な説明は、例示と本質の説明であり、本開示の範囲を限定することなく、本発明の理解を提供することを意図すると理解されるべきである。その点において、本開示のさらなる態様、特徴及び利点は、以下から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付の図は、本明細書に開示された装置及び方法の実施形態を説明し、説明とともに本開示の原理を説明するものである。
図1図1は、本開示の典型的な態様による手術システムの図である。
図2図2は、本開示の典型的な態様による硝子体切除プローブの断面図である。
図3図3は、本開示の典型的な態様による図2の硝子体切除プローブのカッターの遠位部の拡大断面図である。
図4図4は、本開示の典型的な態様による眼の硝子切除プローブ及びその場での注入ラインの図である。
図5A図5Aは、本開示の典型的な態様による注入ラインの図である。
図5B図5Bは、図5Aの注入ラインの長さに沿った圧力の関係を示すチャートである。
図5C図5Cは、図5Aの注入ラインの長さに沿った圧力の関係を示すチャートである。
図6図6は、本開示の典型的な態様による眼の症状を治療する方法を示すフローチャートである。 これらの図は、以下の詳細な説明を参照してより良く理解されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の原理の理解を促進する目的のために、参照符号が図面に記載された実施形態に付され、且つ特定の言語がそれらを説明するために用いられるであろう。それでも、本開示の範囲の限定を意図していないことが理解されるであろう。記載された装置、機器、方法、及び本開示の原理のさらなる適用への変更及びさらなる改変は、本開示に関連する当業者にとって通常思いつくようなものとして完全に意図される。特に、1つの実施形態に関して記載された特徴、構成要素、及び/または工程が本開示の他の実施形態に関して記載された特徴、構成要素、及び/または工程と組み合わされ得ることを完全に意図する。簡単にするために、いくつかの例において、同じ参照番号が、同じまたは同様の部品を指すために図面全体を通じて使用される。
【0012】
本開示は、眼科手術の間に、関連する様々なポイントでの圧力をモニタリングするシステム及び方法に概して関し、特に外科医が患者の眼から硝子体液を除去する必要がある手術に関する。圧力は変化し、過度に低いまたは高い圧力が、そのような処置の実施を複雑にし得、患者にリクスを与える。本明細書に記載されたいくつかの態様において、硝子体切除プローブは、眼圧、プローブ先端内部の圧力、及び周囲の圧力をモニターする圧力センサーを含む。本明細書に記載されたいくつかのさらなる態様において、注入ラインは、ラインのキンクを識別し且つ配置するためにその長さに沿った圧力センサーを含む。本明細書に開示されたシステム及び方法は、外科医が重要な圧力をよりよくモニターし且つ処置中に生じる圧力低下への急激な対応を可能にする。外科医の能力を改善することまたはシステムを硝子体切除処置中に圧力状態に応答させることにより、患者への成果を改善し得る。
【0013】
図1は、例示的な実施形態による硝子体切除手術システム100を示す。手術システム100は、移動ベースハウジング103を有するコンソール102、及び硝子体切除外科処置の間、システムの動作及び性能に関するデータを示す対応する表示画面104を含む。手術システム100は、以下により詳細に説明される硝子体切除プローブシステム110を含む。手術システム100のコンソール102は、硝子体切除プローブシステム110の制御を可能にし得る特徴を含む。例えば、空気圧及び/または電力供給ライン102は、ハウジング102にプローブシステム110を連結し得る。供給ライン102は、プローブシステム110及びコンソール102の間でデータを送信することによっても、プローブシステム110の制御及びモニタリングを容易にする。コンソール102は、プローブシステム110を制御、画面104の情報を表示、ならびに入力コマンド及びデータを受信及び処理するためのコンピューター支持を有するメモリーと通信する1つ以上のプロセッサーをさらに含む。手術システム100は、ネットワークとの通信のためのネットワークインターフェースを含み得る。これらの機能は、動作中、プローブシステム110の制御及びモニタリングを容易にする。さらにこれらの特徴は、モニタリング、データ処理、及びプローブシステム110上または付近に配置された1つ以上の圧力センサーの制御を容易にし得る。外科用システム100のいくつかの実施形態は、周囲圧力を感知するためにハウジング103の上または付近に配置された圧力センサー106をさらに含む。この周囲圧力は大気圧であり得る。
【0014】
図2は、図1に先に示した硝子体切除プローブシステム110の断面図を示す。この実施例において、プローブシステム110は、図1に示す供給ライン112上の第1及び第2ポート202及び204を介して交互する空気圧を受け取ることにより操作する空気圧駆動システムである。プローブシステム110は、その基本的な構成要素としてカッター210と、往復動空気駆動ダイヤフラム220として本明細書に示されているプローブアクチュエータとを含み、すべて部分的にプローブハウジング230によって包まれている。プローブハウジング230は、第1及び第2空気供給ポート202、204を備えるプローブ近位端に端部片232と、1つの吸引ポート234とを含む。カッター210は、外部切断チューブ212と内部切断チューブ214とを含む。理解されるように、カッター210はハウジング230から伸び、遠位部216を含む。
【0015】
図3は、図2に見られ、上で議論されたように、カッター210の遠位部216に関するさらなる詳細を提供する断面図である。遠位部216は、使用中に、眼の組織のような組織を受け取る外部ポート302を含む。外部ポート302は、遠位部216の閉鎖端304からオフセットされている。外部ポート302は、外部切断チューブ212の内部通路306と流体連通している。内部切断チューブ214は、外部切断チューブ212の内部通路306内に位置する。内部切断チューブ214は、内孔308、開口端310、及び切断面312を有する。内孔308は、図2の吸入ポート234に連結された吸引ラインと流体連通している。吸引ラインは、図1の供給ライン112の一部である。吸引ポート234は、吸引ラインをコンソール102または他の装置により提供され得る真空(吸引圧力を提供する)に接続し、内部切断表面312がポート302から離れて位置する場合、外部ポート302に組織を引き込むために用いられる。内部切断チューブ214は、吸引ラインによって外部ポート302に引き込まれる組織を切断するために外部切断チューブ212の内部チャンネル306内を移動する。外部ポート302で受信された眼の組織は、硝子体または膜を含み得る。
【0016】
組織を切断するために使用される場合、内部切断チューブ214は、最初に外部ポート302から離れるように移動し、真空圧は組織をポート302及び内部チャンネル306に引き込む。内部切断チューブ214は、その後外部ポート302に向かって移動し、切断面312を備える内部チャネル306内の組織を切断する。切断された組織は、吸引システムにより内部切断チューブ214の内孔308を通して引っ張られる。内部切断チューブ214はその後、外部ポート302から離れて移動し、切断処理が繰り返される。
【0017】
図2及び図3の両方の図を参照すると、内部切断チューブ214は、ダイヤフラム220の逆側に向かう空気圧によって駆動される。操作の1つの実施例において、空気圧が、第1ポート202で増加した場合、ダイヤフラム220は遠位に移動し、外部切断チューブ212に対して内部切断チューブ214を移動させ、それにより外部切断チューブ212の組織受取外部ポート302を閉じる。これは、組織受取外側ポート302の中に吸引され得る硝子質材料を切断する。第1ポート202で圧力をベントし、第2ポート204で圧力を増大することは、ダイヤフラム220を近位に移動し、切断される新たな硝子質材料に引きこむように組織受取外部ポート302を開ける。他の実施形態が代替プローブアクチュエータを含むことは注目に値する。例えば、いくつかのアクチュエータの実施形態は、ダイヤフラムの代わりにピストンモータを含む。この種類の実施形態において、カッター210は、ピストンの動きがまた、カッター214の内部切断チューブ210を移動するように配置される。さらなる他のアクチュエータの実施形態は、内部切断チューブ214を駆動する他の種類の空気圧または電気モーターを含む。
【0018】
図2及び図3に示す硝子体切除プローブシステム110はさらに、複数の圧力センサーを含む。第1圧力センサー320は、外部切断チューブ212に接続され(例えば、中に埋め込まれて)、外部切断チューブ212の外側の圧力を感知して測定するように構成されている。図示の実施形態において、圧力センサーは、外部ポート302及びシステムハウジング230の間に構成されている。他の実施形態において、圧力センサー320は、閉鎖端304の外面に配置され得る。一般に、圧力センサー320は、チューブ212の外部の圧力を測定するために、外部切断チューブ212の外表面上に配置される。この外部圧力は、周囲圧または大気圧であってもよく、あるいは硝子体腔内の圧力であってもよく、センサー320及びカッター210の位置決めに応じて、眼圧を決定するために用いられ得る。図示のように、圧力センサー320は、図2に見られるように、プローブハウジング230の電子機器に接続された光ファイバー圧力センサー及び/またはセンサーライン322による図1に見られるコンソール102である。センサーライン322は、圧力センサー320のために使用される圧力センサーの種類に応じて、電気または光ファイバー線であり得る。圧力センサー320及びセンサーライン322の両方は、外部切断チューブ212の表面が平坦なままであるように外部切断チューブ212に形成された凹部内に配置される。いくつかの実施形態において、他では内側に形成されるが、この凹部は、外部圧にアクセスするためにセンサー320に形成された開口部を備える切断チューブ212の外側に形成される。
【0019】
第2圧力センサー324は、カッター210の外部切断チューブ212の内部圧力を測定するように、カッター210に含まれる。図示のように、第2圧力センサー324は、外部切断チューブ212の内面上に配置される。第2センサーライン326は、第2圧力センサー324を圧力センサー320と接続した上記の電子機器と接続する。いくつかの実施形態において、圧力センサー324は、内部切断チューブ214の外面または内面のいずれかで、壁内に配置され得る。圧力センサー324は、カッター210内の圧力の測定を可能にする。圧力センサー320及び324の使用は差圧の決定を可能にする。他の実施形態において、他の種類の圧力センサーが使用されるが、圧力センサー320及び324は両方とも、実施形態の光ファイバー圧力センサーであり得る。
【0020】
図4は、硝子体切除プローブシステム410及び注入ラインまたは注入カニューレ420を含む処置を受ける眼400の部分断面図である。プローブシステム410及び注入ライン420の両方は、図1のコンソール102のように、コンソールに結合され得る。図4に示すように、プローブシステム410及び注入ライン420は、強膜402を介して眼400の硝子体腔404内に挿入される。注入ライン420は、硝子体切除処置の間に硝子体腔404に交換用流体または洗浄流体を送達するために使用されるプローブの特殊な種類である。手術システムによって洗浄流体の圧力レベルを増加または減少させることができる。プローブシステム410は、図1、2及び3に示すように硝子体切除プローブシステム110と同様である。図示の実施形態において、プローブシステム410は、圧力センサー412、圧力センサー414、及び圧力センサー416を含む複数の圧力センサーを含む。圧力センサー412〜416の各々は、異なる場所の圧力を測定する。図示のように、圧力センサー412は、周囲圧または大気圧を測定するためのプローブシステム410のハウジングに構成されている。図1に関連して上述したように、いくつかの実施形態において、圧力センサー412のような周囲圧センサーは、プローブシステム410に電気的及び/または空気圧で連結されたコンソール102の外面に設けられている。
【0021】
圧力センサー414及び416は、プローブシステム410のカッターに配置されている。これらの圧力センサーは、図3に示した圧力センサー320及び324と同様である。図示のように、カッターの外部の圧力、すなわち硝子体腔404内の圧力、を測定するように圧力センサー414は、プローブシステム410に配置されている。プローブシステム410に吸引ラインを介して供給される真空を特徴付けるために使用され得る内圧、すなわちカッターの内圧、を測定するように、圧力センサー416はカッター内に配置されている。それらのそれぞれ検知された圧力に加えて、圧力センサー412とともに圧力センサー414及び416は、そのような眼圧の圧力の代表として差圧を提供するために組み合わせて使用され得る。プローブシステム410によって検知することができる圧力は、手術システム100によって処理され得、且つ自動フロー及び圧力制御のために用いられ得るさらなる情報を提供することにより、図1の手術システム100によって改良された制御を容易にする。例えば、眼400の眼圧を測定または決定することにより、手術システム100は、補充流体のフロー速度の増大、吸引圧力もしくは切断速度を低減、またはこれらもしくは他のパラメーターの調整により、硝子体切除処置中の注入ライン420を介した、硝子体腔404からの硝子体液の過剰な除去による、または硝子体液と食塩水または他の適切な補充液の不十分な置換による眼400の崩壊を避ける。また、内部圧力または差圧は、硝子体液を除去する際のプローブシステム410の性能に関する手術システムのデータを提供し得る。
【0022】
差圧は、眼圧を規定するために使用されてもよい。一般に、眼圧またはIOPは、眼の絶対圧力(センサー414によって測定される)及び大気圧(センサー412によって測定される)の間の差により決定されたゲージ圧力測定値である。したがって、いくつかの例示的な実施形態において、圧力測定値は、実際の眼圧が測定圧の関数として計算され得るように、同時またはほぼ同時にセンサー412及び414により採取される。
【0023】
注入ライン420は、遠位端に固定されたより硬質の係合部材424を有するフレキシブルな細長い部材422を含む。注入ライン420は、硝子体液404の一部を除去して適切な眼圧を維持するために、中央の管腔を介して運ばれる、流体源から補充液を提供する。図示のように、注入ライン420はまた、圧力センサー426及び圧力センサー428を含む複数の圧力センサーを含む。圧力センサー426が外科手術中に眼400の外側に残るように、圧力センサー426は注入ライン420上に配置される。圧力センサー426は、眼400の外側に配置されるが、圧力センサー428は、外科手術中の眼圧を決定するために使用され得る内部の眼圧を感知するように硬質の係合部材424の遠位部に配置される。プローブシステム410の圧力センサー412、414及び416のように、圧力センサー426及び428は、図示の実施形態における光ファイバー圧力センサーである。硬質の係合部材424はまた管腔を有し、補充液が硝子内腔404へそこを介して流れる。
【0024】
図4に示すように、いくつかの実施形態は冗長圧力センサーを含み得る。例えば、注入ライン420の圧力センサー428は、プローブシステム410の圧力センサー414の存在により余分と考えられ得る。いくつかの実施形態において、眼の内圧を測定する1つの圧力センサーだけは、プローブシステム410または注入ライン420の一方が、硝子体腔404内の圧力センサーを含むように、プローブシステム410及び注入ライン420の使用と組み合わせて提供される。同様にいくつかの実施形態において、周囲圧力センサーが1つだけ存在する。他の実施形態において、単一の圧力のデータは、複数の圧力センサーを用いて得られる。各圧力センサーからのデータを直接提供してもよく、圧力センサーの数学的な組み合わせは単一の値を提供するために使用され得る。図4に示された圧力センサーから得られた圧力測定値の使用は、外科医が外科処置中に、プローブシステム410及び注入ライン420のより多くの情報に基づいた制御の実施を可能にし得る。
【0025】
図5Aは、以前に図4に示された注入ライン420の追加の図である。前述したように、注入ライン420は、その遠位端に固定された比較的より硬質の係合部材424と比較的よりフレキシブルな細長い部材422を含む。上述したように、注入ライン420は、硝子体液が外科処置中の眼から除去される場合、補充液を提供するために使用される。図5Aに示すように、注入ライン420は、前述の圧力センサー426及び428を含む。圧力センサー426及び428に加えて、注入ライン420は、フレキシブルな細長い部材422の長さに沿って分布する複数の内圧センサーをさらに含む。図示のように、これらの内部圧力センサーは、圧力センサー502、504、506、508、及び510を含む。他の実施形態は、より多くのまたはより少ない圧力センサーを含み得る。圧力センサー502〜510は、外科処置を受けている患者の眼への補充液の流れを妨げないように、フレキシブルな細長い部材422の内側表面にまたはその内に配置される。圧力センサー502〜510は、記載された光ファイバー圧力センサーであるが、他の実施形態における他の種類の圧力センサーが用いられ得る。電気的及び/または光学的供給ライン(図4及び図5Aに存在するが、明示的に示されていない)は、電力及び圧力センサーとの通信を提供するために注入ライン420の長さを延長する。
【0026】
圧力センサーは、フレキシブルな細長い部材422に形成された凹部内に配置される。凹部は、フレキシブルな細長い部材422の内側または外側の表面上に形成され得る。内部または外部表面上に形成されるかどうかにかかわらず、圧力センサーは、補充液を運ぶフレキシブルな細長い部材422を介して通る管腔内の複数の関連開口部を介したアクセスを有する。例えば、各凹部は、チューブ内壁の内面における切欠きとして形成される。いくつかの実施形態において、凹部は、圧力センサーが内壁と平坦に位置するように、圧力センサーを受け止めるように寸法決めされている。この状態で、圧力センサーは、内腔を通る流れに対して最小の衝撃を有し得る。他の実施形態において、凹部は、センサーの厚さよりも小さい、またはセンサーの厚さよりも大きい。凹部は、正方形または圧力センサーを受け止め且つ収容するのに適した任意の他の形状であり得る。細長い凹部は、電気的及び/または光学的供給ラインに提供される。光ファイバー圧力センサーが使用される場合、光ファイバーの結合要素は、コンソール102のように、圧力センサーからデータ処理コンソールまでの光の供給ラインと通信的に連結するために注入ラインの近位端に設けられる。いくつかの実施形態において、電気的結合要素は、関連点での圧力をモニターし且つ通信するために圧電圧力センサーまたは微小電気機械システム(MEMS)のような電気圧力センサーとともに使用される。
【0027】
図示された注入ライン420において、圧力センサーは、フレキシブルな細長い部材422の長さに沿って均一に離間している。個々の圧力センサー間の間隔は、約5センチメートル(約2インチ)〜約13センチメートル(約5インチ)の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、間隔は、約5から約91センチメートル(約2から約36インチ)の範囲であり得る。圧力センサーの規則的な均一の間隔は、図1のコンソール102のようなコンソールにより、注入ライン420の使用中の障害物などのフロー問題の位置の検出を可能にし得る。これは、注入ライン420の長さに沿った圧力差を識別することによって行なわれ得る。一般的には、注入ライン420の圧力降下は、最も近位及び最も遠位のセンサーで測定された圧力の差に等しい。したがって、注入ライン420内の総圧力降下は、センサー502により測定された圧力からセンサー510によって測定された圧力を引くことにより計算し得る。センサー502からセンサー510までの圧力損失のいくつかの量は、許容または期待され得る。問題の圧力変動を識別するために、閾値圧力変化は、任意の2つの圧力センサーの測定された変化の大きさが、隣もしくは離れている、同じまたは過剰な閾値変化しているかどうか、通知がトリガーされるように用いられ得る。
【0028】
例えば、注入ライン420が補充液を提供するために用いられている処置中に、フレキシブルな細長い部材422は、眼内の硝子体腔への補充液のフローを部分的または完全に妨げるように、ねじれ、よじれ、またはさもなければ好ましくない位置になり得る。図示されるように、フレキシブルな細長い部材422は、圧力センサー504及び506の位置の間に位置するキンク512を有する。このような場合は、崩壊の危険性をもたらす、眼内に有害な低圧力を引き起こし得る。フローが一時的に妨げられその後復元されると、関連する圧力スパイクは、眼内に有害な高圧力を引き起こし得る。等間隔の圧力センサー502〜510の包含は、フレキシブルな細長い部材422の長さに沿った圧力の測定およびモニタリングを提供する。したがって、注入ライン422の実施形態は、注入ライン420を用いて外科医にライン420の状態に関する有用な情報を提供するために、1つ以上の内部の圧力センサーを含む。
【0029】
図5B及び図5Cは、フレキシブルな細長い部材422に沿った距離に応じて圧力センサー502〜510により測定される圧力の例示的なチャートである。図5Bに示すように、チャートのx軸はフレキシブルな細長い部材422の長さに沿った距離であり、y軸は圧力である。チャートは、括弧内に示されたセンサーによる測定された圧力とともに、圧力センサー502〜510に対応する位置における所定の時間のフレキシブルな細長い部材内の圧力を示す。キンク512により、ライン420内の圧力は、遠位側よりも近位側で高い。したがって、圧力センサー502及び504は、圧力センサー506、508、510の測定よりもかなり高い圧力を測定する。これは、キンク512の存在及び一般的な位置を示すものとして解釈され得る。
【0030】
図5Cは、圧力センサー502〜510により取られた圧力測定値から算出された差圧の例示的なチャートである。各差圧測定値は、与えられた圧力センサーの測定値及び最も近い、より近隣のセンサーの測定値の間の差と等しい。したがって、圧力センサー504に関連付けられた差圧センサー測定値は、圧力センサー504により測定された圧力から502によって測定された圧力を引いたものである。図示のように、かなりの圧力差が、圧力センサー506によって観察される。この圧力は、フレキシブルな細長い部材422の近位側からキンク512の遠位側までの差を反映している。この差圧は、キンク512の存在及び一般的な位置を示し得る。
【0031】
図5B及び図5Cによって示されるような圧力測定値は、ともに外科処置中に使用され得る。この情報は、図1のコンソール102に存在するデータプロセッサーに連続的にまたは周期的に提供され得る。キンク512またはフロー障害がフレキシブルな細長い部材422の長さに沿って形成される場合、圧力センサーにより検知されるフロー問題が患者の眼に害を及ぼす前に解決されるように、コンソール102は、視覚的及び/または音声警報を提供するように構成され得る。
【0032】
図6は、眼症状を治療する方法600のフローチャートである。示されるように、方法600は、列挙された複数の工程を含むが、方法600の実施形態は、列挙されたステップの前、後、及び間にさらなる工程を含み得る。示された実施形態は、外科医が患者の硝子体腔内へ強膜を介して少なくとも1つの圧力センサーを含むプローブを挿入する工程602で始まる。工程604において、硝子体腔の圧力は、硝子体腔の圧力の測定値を提供するために圧力センサーを用いて測定される。工程606において、硝子体液除去処置は硝子体腔の圧力の測定値に応じて調整される。
【0033】
方法600の性能のよりよい理解のために、図1、2、3、4及び5A〜Cならびに上記に示されたシステムが参照され得よう。例えば、外科医がプローブシステム410及び注入ライン420を挿入する場合、工程602が実行され得る。これら2つの要素、プローブシステム410及び注入ライン420の一方または両方は、圧力測定値を得るための少なくとも1つの圧力センサーを含む。注入ライン420は2つ含むが、図4に示すようにプローブシステム410は3つの圧力センサーを含む。工程604は、硝子体腔404内の圧力測定値(複数可)を得るために、圧力センサー428及び414の一方または両方を使用することによって実行され得る。圧力センサー428及び/または414から得られた圧力データは、データを処理するように構成されたコンソール102に提供され得る。コンソール102は、工程606で、測定された硝子体腔の圧力により硝子体液除去速度を適切に調整するために外科医に圧力データを通信する。いくつかの実施形態において、コンソール102は、吸引圧力及び/またはカッター速度のような硝子体液除去処置に関連するパラメーターを自動的に調整し得る。さらに、コンソール102は、注入ライン420を介して硝子体腔404に入る補充液のフローを自動的に調節し得る。補充液のフローはまた、得られた圧力測定値に基づいて外科医によって調整され得る。
【0034】
硝子体腔の圧力を測定することに加えて、プローブシステム410及び/または注入ライン420の様々な圧力センサーは、周囲圧力及び吸入圧力を含む他の圧力を測定するために用いられ得る。これらの付加的な圧力測定値は、測定された硝子体腔の圧力に代えてまたは加えて使用され得る、眼圧などの差圧の計算に使用され得る。したがって、圧力センサーの位置の任意または全てで測定された圧力は、進行中の処置の性能をモニターまたは補正するための情報を外科医またはコンソール102に提供し得る。
【0035】
本明細書に記載されたシステム及び方法は、外科処置中に関連する複数の部位の圧力測定を可能にすることによって、硝子体切除プローブシステム及び手術システムのより優れた性能を提供するために使用され得る。この追加情報は、適切な水準に硝子体腔404内の圧力を維持するために、除去速度及び/または流体補充速度のようなパラメーターを外科医がより良く調整できるようにし得る。同様に、圧力情報は、コンソール102によるこれらの割合及びその他の自動調整を可能にし得る。これは、より効果的な治療及びより正確なデータをもたらし、それにより全体的な臨床結果を改善する。
【0036】
当業者は、本開示に包含される実施形態は、上述の特定の例示的な実施形態に限定されるものではないことを理解するであろう。その点で、例示的な実施形態を示して説明してきたが、幅広い改変、変更、組み合わせ、及び置換が前述の開示において意図される。このような変形は、本開示の範囲から逸脱することなく、上記になされ得ることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、広く、且つ本開示と一致するように解釈されることが適切である。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6