【発明の効果】
【0011】
各プロセッサコアは、自身の固有の局所的メモリにのみアクセスすることが可能である。従来の制御装置と異なって、個々のプロセッサコアはもはや、大域的メモリ、又は、残りのプロセッサコアの局所的メモリにアクセスすることが可能ではない。本発明によれば、調整ユニットが、個々のプロセッサコアの局所的メモリと大域的メモリとの間のデータ交換、及び、個々のプロセッサの局所的メモリ間でのデータ交換を担当又は調整する。従って、様々なプロセッサコアが大域的メモリに同時にアクセスし、又は、大域的メモリの同じデータに同時にアクセスすることを防止することが可能である。
【0012】
さらに、プロセッサコアはもはやデータの転送及び交換に対応する必要がないため、個々のプロセッサコアの負荷が軽減される。従来の制御装置のプロセッサコアがデータ交換のために要した時間及び演算能力を節約し、プロセッサコアの本来の機能のために利用することが可能である。データ交換は、特に調整ユニットのみを介して、個々のプロセッサコアに依存せずに行われる。従って特に、通信又はデータ交換と、タスク又はプロセスの実行と、の分離が実現される。従って、対応するプロセッサコアにデータ交換又はメモリ転送を実行するよう命令する特別なプログラミングを行わなくてもよい。これにより特に、個々のプロセッサコアで処理又は実行されるソフトウェア又はプログラムコードを簡略化することが可能である。従って特に、プロセッサコアでのタスク又はプロセスの実行のために要する実行時間が短縮される。従って、プロセッサコアの演算能力が上げられる。
【0013】
制御装置の大域的メモリは、例えば、フラッシュ(Flash)メモリ又はRAMメモリとして構成されうる。プロセッサコアの局所的メモリも各々、特に、フラッシュメモリ、NOR型フラッシュメモリ、又は、RAMメモリとして構成されうる。大域的メモリは、周辺モジュールも含みうる。このような周辺モジュールは特に、センサ、アクチュエータ、アナログデジタル変換器、PWM生成器、及び/又は、タイミングジェネレータである。このような周辺モジュールは特に、プロセッサコアが特にその機能又はタスクを実行するために要するデータを提供する。従って、「大域的メモリ」という概念には、このような周辺モジュールも含まれる。
【0014】
プロセッサコアは各々が様々に構成されてもよい。例えば、プロセッサコアは、性能が様々なユニバーサルコア(Universal−Core)(16、32、64ビット、浮動小数点(Float)ユニット付き、又は浮動小数点ユニット無し、等)として、又は、特別なコア(DSP、画像処理、FFT、パターン認識等)として構成されうる。
【0015】
本発明によって、データが局所的メモリに存在するため、プロセッサコアが常に非常に速くデータにアクセス出来るということが可能となる。このアクセスは、キャッシュへのアクセスに匹敵する。非埋込式システム(例えばPC)では、局所的メモリの代わりに、キャッシュが利用されることが多い。これに対して、局所的メモリは大抵、埋込式システムの制御装置及びそのマルチコアプロセッサで利用される。キャッシュには、各任意のソフトウェアによるデータアクセスを加速させ、その際にソフトウェアを特別に適合させる必要がないという利点がある。キャッシュの欠点は、キャッシュの内容が予測出来ず、これにより、プロセッサコアによるデータへのアクセス時間が予測出来ないということである。即ち、データが既にキャッシュに存在する場合には(キャッシュヒット、cache hit)、このデータへのアクセスが非常に速くなりうる。しかしながら、このデータを最初にキャッシュにロードする必要がある場合には(キャッシュミス、cache miss)、より長い時間が掛かる可能性がある。従って、従来の制御装置では、アクセス時間を予測出来ることを優先してキャッシュの使用を諦めることが多かった。しかしながら、調整ユニットによって、(キャッシュと同じような)速いデータアクセスを可能にすることが出来る。その際に調整ユニットは、大域的メモリ及び局所的メモリのための対応するアドレス信号及び制御信号を、特に同時に生成する。従って、データが直接的に居所的メモリから大域的メモリへと流れ、その反対に、大域的メモリから局所的メモリへと流れる。このことは特に(キャッシュコントローラに類似した)調整ユニットが特にメモリ間で転送することにより可能となる。
【0016】
従って、本発明によって、大域的メモリと局所的メモリとの間(又は、局所的メモリと大域的メモリとの間)でデータが遥かに高速に交換されうる。なぜならば、データが(キャッシュの場合のように)直接的に、一時格納されることなく、転送されるからである。このデータ転送は、特に、プロセッサコアの(比較的)短いデータワード長(通常32ビット)では行われず、特に、キャッシュ又はキャッシュコントローラの長いデータワード長(通常64〜256ビット)により行われる。これにより、1桁までデータ転送を加速させることが可能である。
【0017】
さらに、本発明によって、通常キャッシュに伴う欠点を克服することが可能である。制御装置内に調整ユニットを実現することは、キャッシュを実装するよりも基本的にコストが低くて安価である。所謂キャッシュミス(全キャッシュが無駄に検索され、即ち、対応するデータがキャッシュには存在しない)の際に初めてキャッシュがデータをロードし、キャッシュの時間挙動の予測が非常に困難であるのに対して、調整ユニットは、効率良くかつ先を読んで、大局的メモリ又は局所的メモリにデータをロードする。調整ユニットによって、時間挙動を予測することが遥かに容易であり、制御装置又はマルチコアプロセッサの実時間性能が保証されうる。
【0018】
従って、各プロセッサコアは、キャッシュにアクセスするのと同じ速さ又は近似的に同じ速さで、自身の局所的メモリにアクセスすることが可能である。さらに、従来の制御装置で大域的なRAMメモリ及びフラッシュメモリにアクセスした際に発生しうる待ち時間が回避される。アクセスの衝突、及び、これに伴う待ち時間も同様に回避される。従って、(特に、分けられたリソースへの、即ち、大域的メモリへの同時アクセスによる)予測不可能な遅延が回避される。従って、タスク又はプロセス又はソフトウェアの最大実行時間が正確に決定されうる。当該タスク又はプロセス又はソフトウェアを実行するために、個々のプロセッサコアの全計算能力を利用することが可能である。さらに、特定の実行時間を保証し、実時間性能を保証することが可能である。さらに、保証された実行時間を短縮することが可能である。安全マージンも回避される。
【0019】
各プロセッサコアは自身の固有の局所的メモリにのみアクセスすることが可能であるため、個々のプロセッサコアは(完全に)カプセル化されている。これにより、個々のプロセッサコアは、残りのシステム又は残りのプロセッサコアを妨害しえない。従って、ISO26262に従って要求される更なる別の安全性要件、即ち「無干渉」(Freedom of Interference)を満たすことが可能である。従って、ソフトウェア要素が互いに妨害し合わず、又は、(1のプロセッサコアでの)タスクの実行が(他のプロセッサコアでの)他のタスクの実行を妨害しないことが保証される。調整ユニットによって、このような「無干渉」がコンセプト通りに与えられる。
【0020】
特に、調整ユニットは、データ変換又はデータ変換を実行する。特に、調整ユニットは、データをリトルエンディアン(Little Endian)形式で読み込み、ビックエンディアン(Big Endian)形式で書き込むことが可能である(その反対に、データをビックエンディアン形式で読み込み、リトルエンディアン形式で書き込むことも可能である)。さらに特に、調整ユニットは、浮動小数点値(double型、float型)としてデータを読み込み、整数値(integer)としてデータを書き込むことが可能である(その反対に、整数値としてデータを読み込み、浮動小数点値としてデータを書き込むことが可能である)。その際にデータ変換は、調整ユニット内で、データ転送(即ち、データの読み出し及び書き込み)のパラメータとして、又は特別なデータ転送オペレーションとして実現されうる。
【0021】
調整ユニットは、特に制御装置の通信インフラを介して、制御装置の大域的メモリにアクセスすることが可能である。特に、調整ユニットは、別々のバス又は連結されたバスを介して大域的メモリにアクセスする。さらに、調整ユニットは、特に簡素なバスを介して、プロセッサコアの局所的メモリにアクセスする。その際に特に、クロスバー(Crossbar)又はマトリクススイッチは必要ではない。このバスは特に大きなスループットを有する。調整ユニットによって、データが特に大きなブロックで常に一方向に伝送されるため、バスは、特に長い待ち時間を有してもよい。これにより、実装が著しく簡素化される。安全性要件を満たし、データ伝送及びデータ格納の際の誤りを調整ユニットによって検出し、場合により修正するために、上記のバス、及び、大域的メモリ及び/又は局所的メモリを、特に誤り訂正方法によって、特に誤り訂正コード(ECC:Error Correcting Code)を用いて保全することが可能である。
【0022】
好適に、データの読み出し及び書き込みは、調整ユニットによって特定の用途向けに、特に特定のスケジュールに従って行われる。その際に、それに従って個々のプロセッサコアが特定のタスクを実行し又はプロセスを処理する特定のスケジュールが、調整ユニットには分かっている。このスケジュールによって調整ユニットには、どの時点にどのプロセッサコアがどのデータを必要とするのかが、即ち、どの時点にどのデータが各プロセッサコアの局所的メモリに書き込まれていなければならないのかが分かる。その一方で、これにより、どの時点にどのプロセッサコアがデータを提供するのか、即ち、どの時点に各プロセッサコアの局所的メモリからデータを読み込むことが可能なのかが調整ユニットには分かる。このスケジューリングのために特に、特定のタスク又は特定のプロセスの周期が考慮される。この周期は、タスク又はプロセスがプロセッサコアによって実行される間の期間である。従って、この周期は、個々のタスク又はプロセスの実行時点を記述する。しかしながら、タスク又はプロセスは、必ずしも固定の周期で実行されなくてもよい。代替的に、タスク又はプロセスの、時間的に予測可能な更なる別の実行についても、調整ユニットが分かっていてもよい。
【0023】
従って、調整ユニットは、好適に時間駆動により(zeitgetrieben)、さらに特に、個々のタスク又は個々のプロセスの周期又は実行時点に応じて、データの読み出し及び書き込みを実行する。従って、調整ユニットは、個々のプロセッサコアに依存せずに、データの読み出し及び書き込みを実行する。例えば、調整ユニットは、規則的な時間間隔で、特定のタスク又はプロセスの既知の周期的な実行の前に、大域的メモリのデータをプロセッサコアの局所的メモリに書き込むことが可能である。時間的に駆動されたデータ読み出し及び書き込みが、実行されるタスク及びプロセスの周期と一致するように、調整ユニットとプロセッサコアは、特に共通の時間ベースを有する。この共通の時間ベースは、例えば、共通のクロック(clock)を介して、又は適切な同期化の仕組みを介して実現されうる。しかしながら、調整ユニットが、固有のサイクルを有することも可能である。
【0024】
好適な構成において、調整ユニットは、実行すべきタスクのプログラムコード、及び/又は、実行すべきタスクのために必要な入力データを、大域的メモリから読み込む。調整ユニットは、上記読み込まれたプログラムコード又は上記読み込まれた入力データを、データとしてプロセッサコアの局所的メモリに書き込む。その際、1つのタスクは1つのソフトウェアである。タスクを実行又は処理するためには入力データが必要である。入力データは特に、周辺モジュール、特にセンサが収集した測定値であり、例えばエンジンスピード、温度、及び/又は、圧力である。
【0025】
従来の制御装置とは異なって、プロセッサコアは、対応するタスクを自身が実行すべき場合には、プログラムコード及び入力データを、自発的に大域的メモリから自身の局所的メモリにロードする必要がない。その代わりにプロセッサコアには、対応するプログラムコード/入力データが、外部から調整ユニットによって供給される。
【0026】
その際に、調整ユニットは、プログラムコードをブロック単位で局所的メモリに書き込むことが可能であり、又は、さらに、複数のタスクのプログラムコードを同時に書き込むことが可能である。特に、調整ユニットは、対応するプロセッサコアにより実行される次のタスクのためのプログラムコードを、対応する局所的メモリに書き込むことが可能である。例えば、どのプロセッサがどのタスクを実行すべきかが常に変更される場合には、調整ユニットは、永続的な入力データも、局所的メモリに散発的に書き込むことが可能である。
【0027】
代替的に、実行されるタスクのプログラムコードが、プロセッサコアの局所的メモリに既に格納されていてもよい。例えば、このプログラムコードは、制御装置の初期化過程の間に局所的メモリに書き込まれてもよい。先行するタスク実行に由来するプログラムコードが、局所的メモリに格納されているということも可能である。その際に、プログラムコードが、プロセッサコアの局所的なフラッシュメモリ又は(不揮発性の)RAMメモリに格納されているということも可能である。この場合、調整ユニットは、大域的メモリから新たにプログラムコードを読み込んで局所的メモリに書き込む必要はなく、上記タスクを実行するようプロセッサコアに命令するだけでよい。
【0028】
対応するプログラムコードがプロセッサコアの局所的メモリに既に格納されている場合には、調整ユニットは、入力データのみを局所的メモリに格納することが可能である。その際に調整ユニットは、例えば、制御装置の大域的なフラッシュメモリ又は大域的なRAMメモリから、又は、直接的に個々の周辺モジュールから、特に個々のセンサから入力データを読み込むことが可能である。
【0029】
更なる別の好適な構成において、調整ユニットは、プロセッサコアがタスクの実行後に自身の局所的メモリに格納する出力データを、当該局所的メモリから読み込む。調整ユニットは、この読み込んだ出力データを、データとして大域的メモリに書き込み、及び/又は、データとして残りのプロセッサコアのうちの1つの局所的メモリに書き込む。タスクの実行によって、プロセッサコアは、対応する出力データを決定する。出力データは、例えば、噴射時間、及び/又は、噴射量でありうる。
【0030】
プロセッサコアの出力データは、さらに、他のプロセッサコアの入力データとしても用いられ、又は、他のプロセッサコアによって更に処理されうる。この場合に、調整ユニットは、この出力データを対応するプロセッサコアの局所的メモリに書き込む。
【0031】
従来の制御装置とは異なって、個々のプロセッサコアは、タスクの実行中又はタスクの実行後に、大域的メモリ又は他のプロセッサコアの局所的メモリに出力データを自発的には書き込まない。さらに従来の制御装置とは異なって、制御信号の形態による駆動信号によって、周辺モジュール、例えばアクチュエータを直接的に駆動することがプロセッサコアには許されていない。その代わりに、対応する出力データが外部から調整ユニットによって取り出される。
【0032】
調整ユニットは、プロセッサコアがタスクの実行に成功し次第、又は、タスクが未だ実行されている間にも既に(出力データは既に局所メモリに書き込まれている)、出力データを読み込むことが可能である。調整ユニットは、例えば複数のタスクの出力データも、当該複数のタスクが実行された後で、ブロック単位で読み込むことが可能である。複数回実行されたタスクの出力データのブロック単位での読み込みも考えられる。
【0033】
プロセッサコアによるタスクの実行の終了は、例えば、時間の経過により推定又は予測されうる。プロセッサコアは、例えば割り込みを用いて、又は自身の局所的メモリでの時点(Datum)の設定によって、タスクの実行の終了を調整ユニットにもシグナリングすることが可能である。
【0034】
出力データは、周辺モジュールを駆動するために、特に駆動信号であってもよく、又は、周辺モジュールをどのように駆動すべきかについての情報を含んでもよい。この場合に、調整ユニットは、上記駆動信号に対応して周辺モジュールを制御する。
【0035】
好適に調整ユニットは、個々のプロセッサコアに、実行すべきタスクを割り当て、及び/又は、個々のプロセッサコアに、特定のタスクを実行するように命令する。従って、調整ユニットは、特に、どのタスクがどのプロセッサコアによって実行されるのかを調整する。特に、調整ユニットは、上記のスケジュールに従って個々のタスクを調整する。その際に、調整ユニットは、特に個々のプロセッサコアに、対応するタスクの対応する開始アドレスを報知する。さらに特に、調整ユニットは、いつ個々のプロセッサコアが個々のタスクの実行を開始するべきかを、個々のプロセッサコアにシグナリングする。このことは例えば、対応するプロセッサコアへの割り込みによって、又はプロセッサコアでのタイミングジェネレータの設定によって実現されうる。調整ユニットは、現在のタスクの実行に成功した直後に新しいタスクを開始するように、対応するプロセッサコアに命令することも可能である。
【0036】
特に、調整ユニットは、様々なソースからのタスク又は対応するソフトウェア要素が様々なプロセッサコアで実行されるように、個々のプロセッサコアに実行すべきタスクを割り当てる。その際に、調整ユニットが入力データを正しく各プロセッサコアの局所的メモリに格納し、かつ出力データを適切に読み込めるように、ソフトウェア要素ごとに、対応する入力データ及び出力データが指定される。調整ユニットは、特に、個々のタスク又はソフトウェア要素の実行時間に関する知識を有する。ソフトウェア要素は、目的に適ったプログラム言語において、任意のツールチェーンを利用して生成されうる。ソフトウェア要素は、特に、完成したプログラムコード又はオブジェクトコードとして存在する。このプログラムコードは再配置可能(特定のメモリアドレスに調整可能)である必要はない。なぜならば、各プロセッサコアは、自身の固有の局所的メモリを有し、従って自身の固有のアドレス空間を有するからである。
【0037】
調整ユニットは、データを迅速に変換することが可能であるため、データは特に様々にコード化されうる。従って、浮動小数点(Float)を利用する最新のソフトウェア要素は特に、整数を利用するより古いソフトウェア要素と共に協働しうる。その際に、調整ユニットは、必要なデータ変換を実行し、従って、個々のデータの「翻訳」を具象的に(anschaulich)実行する。従って、様々にコード化されたソフトウェア要素をより最新の構造に移行し、かつ、より最新のプログラム言語及びツールチェーンを利用することが可能である。代替的に、有利に、様々な構造を継続的に並行して利用してもよい。
【0038】
好適に、調整ユニットは、複数のプロセッサコアに、特定のタスクを実行するよう命令する。続いて、調整ユニットは、上記複数のプロセッサコアの個々の出力データを互いに比較する。代替的又は追加的に、調整ユニットは、1つのプロセッサコアに、特定のタスクを複数回実行するよう命令する。この場合にも、調整ユニットは、1つのプロセッサコアによる複数回の実行により得られた個々の出力データを互いに比較する。調整ユニットは、多数決によっても上記出力データを互いに比較することが可能である。タスクの上記冗長的な実行は、特に安全性要件が高い際には有利である。
【0039】
好適に、調整ユニットは、個々のプロセッサコアを駆動する。その駆動過程において、調整ユニットは、個々のプロセッサコアを休止させ、リセットし、停止させ、検査し、節電モードに置き、及び/又は、個々のプロセッサコアのクロック周波数を変更することが可能である。従って、調整ユニットは、各プロセッサコアを目的に合わせて制御することが可能であり、その際に、残りのプロセッサコアに影響を与え又は当該プロセッサコアを妨害することはない。特に、調整ユニットは、定期的な時間間隔で個々のプロセッサコアを検査することが可能である。場合によっては破損している「疑わしい」プロセッサコアは、調整ユニットによって停止させることが可能である。この場合には、調整ユニットは、上記停止されたプロセッサコアに割り当てられたタスクを、他のプロセッサコアに割り当てることが可能である。特に、上記タスクは、空いているリザーブ(Reserve)プロセッサコアに割り当てられ、このリザーブプロセッサコアによって実行されうる。調整ユニットはさらに、停止させたプロセッサコアでセルフテスト(BIST)を実行させることが出来る。
【0040】
好適に、調整ユニットは、個々のプロセッサコアで、1つの割り込み又は様々な割り込みを起動することが可能である。これにより、例えば、遅延又はメモリアクセスエラーが、調整ユニットによって表示されうる。割り込みは、スケジューリングのためにも利用することが可能である。即ち、プロセッサコアの局所的メモリへのデータの書き込みが終了し次第、調整ユニットは、割り込みによって、対応するタスクを実行するようにプロセッサコアに命令することが可能である。データ転送、即ちデータの読み出し及び書き込みには、特に、最大時間がクロック単位で割り当てられる。データ転送がこの時間内に終了しない場合には、調整ユニットは、対応するプロセッサコアで割り込みを起動する。さらに、データ転送オペレーションには、特に、最小時間がクロック単位で割り当てられる。データ転送が上記最小時間よりも短い時間内に終了しない場合には、残りのクロックは待機させられる。さらに、調整ユニットは、特にモジュロ(Modulo)待機オペレーションを可能にする。これにより、例えばデータ転送の時間が可変的である際に、特定の周期に同期化される。調整ユニットはさらに、絶対時間待機オペレーションも含み、これにより特定数のクロックは待機させられる。
【0041】
好適に、プロセッサコアの個々の局所的メモリは各々異なるメモリバンクに分けられる。調整ユニットは、各プロセッサコアがどのメモリバンクにアクセスが許されるのかを制御し、設定し、又は調整する。従って調整ユニットは、或るプロセッサコアのメモリバンクであって、当該プロセッサコアにアクセスが許されないメモリバンクに常時アクセスすることが可能であり、その際に、当該プロセッサコアの実行時間に影響を与えることはない。従って、プロセッサコアの実行時間は予測可能である。プロセッサコアが、自身にアクセスが許されるメモリバンクで作業しタスクを実行する間に、調整ユニットは、残りのメモリバンクで既に次のタスクを準備し、特に、対応するプロセッサコアが次に実行すべきタスクのプログラムコード及び/又は入力データを、既に上記残りのメモリバンクに格納することが可能である。従って、コストが掛かるデュアルポートRAMは必要ではない。特に、各プロセッサコアは少なくとも4つのメモリバンクを有する。しかしながら、メモリバンクの数及び大きさは、個々のプロセッサコアの適応分野に従って、個々のプロセッサコアごとに様々に選択されてもよい。
【0042】
本発明の好適な構成において、調整ユニットは、プロセッサコアの一部として構成される。その際に特に、複数のプロセッサコアは各々が調整ユニットを有しうる。さらに特に、各プロセッサコアは、固有の個別の調整ユニットを有する。この個々の調整ユニットは各々、各対応付けられたプロセッサコアによるデータの読み出し及び書き込みを調整する。個々の調整ユニットは互いに接続されており、複数の調整ユニットが同時に同じデータにアクセスすることが防止されるように互いに調整可能であり、従ってアクセスの衝突を防止することが可能である。
【0043】
代替的又は追加的に、調整ユニットは、好適に別体の構成要素又はハードウェア要素として構成される。特に、調整ユニットは、コントローラとして、又は、固有のプロセッサコアとして構成されうる。コントローラとしての構成は、特に、マスタ及びスレーブを備えるバスシステムにおいて構想される。その際には、複数の上記調整ユニットが存在してもよい。このような調整ユニットによって、特に、最高データ読込速度、最高データ書込速度、最高の安全性、及び最高の利便性が保証される。
【0044】
ハードウェア構成要素として構成されたこのような調整ユニットは、特に、データを読み込み及び書き込むためのマスタ(Master)ポートを有し、さらに、特に固有の局所的メモリを有する。さらに調整ユニットは、特に、個々のプロセッサコアへの1つ以上の(マスタ)インタフェースであって、特にプロセッサコアごとに1つ以上のスレーブ(Slave)ポートを備えた上記(マスタ)インタフェースを有する。特に、調整ユニットは、調整ユニットの起動以降クロック数を記録するカウンタも有しうる。
【0045】
さらに、調整ユニットは特に、目的に適ったロジック部又は論理ユニット、即ち特に演算論理ユニット(ALU)を有する。このロジック部によって、調整ユニットは、目的に適ったプログラムを実行することが可能である。「調整ユニット」という概念には、特に、上記プログラム、又は一般に、対応するハードウェア要素で実行されるソフトウェアも含まれるものとする。従って、「調整ユニット」という概念には、対応するハードウェアウェア要素と、対応する実行されるソフトウェアと、が含まれる。
【0046】
その際に、上記プログラムは、調整ユニットの局所的メモリに格納されている。代替的に、上記プログラムは、制御装置の大域的メモリ又はプロセッサコアの局所的メモリに格納されうる。上記プログラムは、特に調整ユニットによって連続的に実行される。上記プログラムは、特に、調整ユニットの設定のために役立つ。
【0047】
プロセッサコアと同様に、調整ユニットはクロックにより動作する。クロックごとに、調整ユニットは、特にオペレーションを実行することが可能であり、又はスリープ状態にあることが可能である。クロックは、プロセッサのクロックであってもよいが、通信媒体のクロックのように、プロセッサのクロックに対して同期していなくてもよい。調整ユニットのプログラムは、特に、任意の順番によるデータ転送オペレーションと、待機オペレーションと、ジャンプオペレーションと、からのリストであってもよい。データ転送オペレーションは、特に、データが読み出される読出アドレスと、データが書き込まれるメモリアドレスと、を含む。さらに、データ転送オペレーションは、転送すべきデータワードの数と、データの再コード化のための任意の命令と、を含む。待機オペレーションは特に、調整ユニットが何クロックの間スリープ状態にあるべきかを示す数値を含む。特別な値(例えばゼロ)は、特に「通知があるまでスリープせよ」を意味する。ジャンプオペレーションは、特に、調整ユニットが次に実行すべきオペレーションがどこに存在するのかを示すメモリアドレスを含む。
【0048】
本発明の更なる別の利点及び構成は以下の明細書の記載及び添付の図面から明らかとなろう。
【0049】
先に挙げた特徴及び以下で解説する特徴は、各示される組み合わせにおいてのみならず他の組み合わせにおいても、又は単独でも、本発明の範囲を逸脱することなく利用されうると理解されたい。
【0050】
本発明が図面の実施例によって概略的に示され、以下では図面を参照して詳細に解説される。